説明

メラニン産生抑制剤

【課題】優れたメラニン産生抑制効果がリーチライムエキスに見出されたが、リーチライムエキスをメラニン産生抑制剤として配合するにあたっては、リーチライムエキスの配合量を多くすると臭いや製剤の安定性に悪影響を与える。高配合量のリーチライムエキスを含有するメラニン産生抑制効果の良好な組成物を提供する。
【解決手段】リーチライムエキスとアミノ酸を併用することによる、リーチライムエキス単独よりも非常に効果に優れたメラニン産生抑制剤。アミノ酸としてはグリシン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーチライムエキス(Citrus hystrix DC.)或いはリーチライムエキスとアミノ酸からなるメラニン産生抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リーチライム(コブミカン)はコラーゲン産生促進作用および/またはヒアルロン酸産生促進作用を有する物質として、皮膚に対する抗老化剤として有効であることが、特開2004−83416号に開示されている。また、特開2005−239715号には、リーチライムの抽出物を含む光老化を緩和する薬用化粧品が開示され、特開平11−199427号にはコブミカン葉の抽出物を有効成分とする抗酸化剤組成物が開示されている。さらに、特開2007−246429号には、リーチライムエキスがリパーゼ活性阻害作用を有し、肥満の解消・抑制・予防に有用な、当該エキスを含むリパーゼ活性阻害用飲食品が開示されている。
【0003】
特開2004−51544号には、リーチライムと近縁で同じ属であるチンピに若干のシミ及びソバカス改善効果が認められ、更にアミノ酸であるアルギニンやセリンと組み合せると紫外線照射により誘導される色素沈着を改善する効果に優れることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−83416号
【特許文献2】特開2005−239715号
【特許文献3】特開平11−199427号
【特許文献4】特開2007−246429号
【特許文献5】特開2004−51544号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、リーチライムエキスについてさらに研究を進めていたところ、リーチライムエキスには、これまで知られていなかったメラニン産生抑制作用を有することを見いだした。しかしながら、リーチライムエキスをメラニン産生抑制剤として配合するにあたっては、リーチライムエキスの配合量を多くすると臭いや製剤の安定性に悪影響を与える虞があった。一方、配合量を少なくするとメラニン産生抑制効果が発揮されないという問題が考えられた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、リーチライムエキスとアミノ酸を併用することにより、リーチライムエキスが少量でも非常に優れたメラニン産生抑制効果を発揮することを新規に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の優れたメラニン産生抑制効果により、日焼けによるシミ・ソバカスを防ぎ美白効果が期待できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本発明のメラニン産生抑制剤は、リーチライムエキス或いはリーチライムエキスとアミノ酸からなることを特徴とする。
【0009】
本発明で用いるリーチライム(Citrus hystrix DC)エキスには、リーチライムを抽出原料として得られる抽出液、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、またはこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。リーチライムは、ミカン科に属する常緑高木であって、インド東部から東南アジア、中国南部に分布し、葉、果実(果皮および果肉)は食用として用いられている。
また、抽出原料として用いる植物の構成部位は葉、果実、果実の果皮部、果肉部、種子等の構成部位を抽出原料として用いることができる。これらのうち特に葉部、果皮を抽出原料として用いることが好ましい。
【0010】
リーチライムエキスの作製には、例えば、抽出原料を乾燥した後、そのまま、または粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。この際、抽出原料の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、リーチライムの極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0011】
抽出溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒またはこれらの混合液を室温または溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。水と親水性有機溶媒との混合液を抽出溶媒として使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して10〜90質量部添加することが好ましい。
【0012】
本発明において、リーチライム中の有効成分を抽出するにあたり特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温または還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、30分から2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)であり、抽出条件は、例示すると、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃で1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜4時間程度である。
得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、またはこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0013】
また、リーチライムエキスは特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料や飲食品などに添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。精製は具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0014】
本発明に使用するアミノ酸は、リーチライムエキスのメラニン産生抑制効果を高めるものであれば特に限定されない。つまり、本発明で用いられるアミノ酸は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物であればよく、必須アミノ酸、非必須アミノ酸のいずれでもよい。また、極性アミノ酸、非極性アミノ酸を問わず用いることができ、荷電の有無や荷電数の如何によらない。これらのアミノ酸のうち、必須アミノ酸であるグリシン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸が好ましい。これらのアミノ酸は、リーチライムエキスのメラニン産生抑制作用を向上させる作用が強いからである。また、アミノ酸としてそれらの塩を用いることもできる。
【0015】
本発明で「皮膚外用剤」とは、皮膚に適用される各種薬剤を意味し、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品等が含まれる。皮膚外用剤の具体例としては、肌に対するものとして、軟膏、パップ、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー等を例示でき、頭皮に対するものとして、トニック、リンス、シャンプー、アストリンゼント等を例示できる。
【0016】
本発明におけるリーチライムエキスの好適な配合率は標準的な抽出物の固型分に換算して約0.005〜10重量%である。またアミノ酸の好適な配合量は0.001〜5重量%である。
【0017】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の有効成分であるリーチライムエキスおよびアミノ酸の作用の妨げにならない限り、その皮膚外用剤の製造に通常使用される各種主剤および助剤、その他任意の添加剤を使用することができる。
【0018】
以下、製造実施例、試験例及び配合例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の各例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
(リーチライムエキスの調製)
リーチライム (Citrus hystrix A. DC)の葉の乾燥物、果実の果皮部、および果肉部の乾燥物を細切りしたものそれぞれの20gに水200mLを加え、還流抽出器で80℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥して抽出物を得た。水の代わりに、50%エタノール(水とエタノールとの重量比1:1)または75%エタノール(水とエタノールとの重量比(2.5:7.5)を用いて同じ操作を行った。抽出物の収率は表1のとおりであった。
【0020】
【表1】

【0021】
(メラニン産生度の測定)
メラニン産生細胞の培養
培養液は牛胎児血清5.0%を加えたダルベッコMEM(D−MEM)培地を用いた。細胞はマウスメラノーマB−16
を使用し、12wellのシャーレに細胞を植え付けた。細胞の植え付け量は4×10個/wellとした。細胞を播種した翌日、各種試料を添加し、添加後3日後に試験を終了した。
【0022】
(評価方法)
メラニン量の測定は培養後、細胞を2N-NaOHに溶解し405nmの吸光度を測定した。また、細胞増殖度は2N-NaOHに溶解した細胞溶解液の一部を BCA法によるタンパク測定法により540nmの吸光度で測定し、タンパク量に換算した。メラニン産生度は、単位タンパク量あたりのメラニン量の割合で計算し評価した。また、メラニン産生抑制効果の陽性対照物質としてβ-アルブチンを用いた。
計算式:メラニン産生度(%)=(試料添加区の405nmの吸光度値/試料添加区の540nmの吸光度値)/(無添加区の405nmの吸光度値/無添加区の540nmの吸光度値)×100
メラニン産生度が100%を以下の場合、メラニン産生が抑制されていることを示すものである。
また、細胞増殖度及びメラニン産生抑制効果については標準偏差を平均値で割った変動係数を併記した。
【0023】
(リーチライムエキスを添加した場合のメラニン産生度)
表2に上記で得られたリーチライムエキスをマウスメラノーマB−16細胞に添加した場合の、メラニン産生抑制度を示した。リーチライムエキス10ppm、25ppm添加においては、メラニン産生度がそれぞれ99%、95%とほとんどメラニン産生抑制効果は認められなかったが、50ppm添加では、83%、100ppm添加では73%を示し、アルブチンと同等の効果を示すことがわかった。
【0024】
【表2】

【0025】
(リーチライムエキスとアミノ酸の混合添加試験)
リーチライムエキスの濃度はメラニン産生度が99%とほとんどメラニン産生を抑制しない10ppmとし、各種アミノ酸と同時に添加して試験を行った。
表3には、リーチライムエキス10ppmと各種アミノ酸5mMを同時に添加した場合のマウスメラノーマ細胞でのメラニン産生抑制試験の結果を示した。
まず、リーチライム葉エキスに非極性アミノ酸のうち、プロリンを添加したものはメラニン産生度が87%を示し高いメラニン産生抑制効果を示した。
また、細胞増殖については96%とプロリンの添加による著しい阻害は認められず、刺激性は低いと考えられる。
【0026】
次に、リーチライム葉エキスに極性アミノ酸で電荷を帯びていないアミノ酸ではグリシンを添加した場合、メラニン産生度が83%を示し高いメラニン産生抑制効果を示した。また、細胞増殖については111%とグリシンの添加による阻害は認められず、刺激性は低いと考えられる。
【0027】
さらに、リーチライム葉エキスに極性アミノ酸で負電荷を帯びたアミノ酸ではアスパラギン酸Na、グルタミン酸Naを添加した場合、メラニン産生度がそれぞれ71%、76%と高いメラニン産生抑制効果を示し、陽性対照として用いたアルブチン100ppm添加区のメラニン産生度値の72%と、ほぼ同等の値を示した。また、細胞増殖については、アスパラギン酸Na、グルタミン酸Naを添加した場合、細胞増殖が113%、95%と阻害は認められず、刺激性は低いと考えられる。
【0028】
【表3】

【0029】
(アミノ酸を添加した場合のメラニン産生度)
リーチライムエキスとアミノ酸を併用することでメラニン産生抑制効果が高まることがわかったが、比較実験としてアミノ酸単独でメラニン産生抑制効果を確認した。
表4に各種アミノ酸5mMをマウスメラノーマB−16細胞に添加した場合の、メラニン産生度を示した。
アミノ酸には、必須アミノ酸としてアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、グリシン、セリン、スレオニン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸の11種類と非必須アミノ酸としてノルロイシン、グリシルグリシン、グリシンベタインの3種類の計14種類のアミノ酸を用いた。表4には、これら14種類のアミノ酸を極性の有無及び非極性のアミノ酸については電荷の有無によって分類して示した。
【0030】
【表4】

【0031】
表4に示したように、非極性アミノ酸6種類は、5mM添加してもメラニン産生度は92%〜110%の値を示した。また、極性アミノ酸だが電荷を帯びていないアミノ酸6種類のメラニン産生度は92%〜100%の値を示した。さらに、極性アミノ酸で負電荷を帯びたアミノ酸では96%〜101%を示した。
このようにアミノ酸を単独で用いた場合、非極性アミノ酸、極性アミノ酸(電荷なし・負電荷)共に顕著なメラニン産生抑制効果がないことが確認された。
【0032】
次に、比較実験としてリーチライムと同属植物であるチンピ(Citrus unshiu Markovich)エキスを用いて実験を行った。
チンピ(Citrus unshiu Markovich)の果皮部の乾燥物を細切りしたものそれぞれの20gに水200mLを加え、還流抽出器で80℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣についてさらに同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥して抽出物を得た。
【0033】
(チンピエキスを添加した場合のメラニン産生度)
表5にチンピエキスをマウスメラノーマB−16細胞に添加した場合の、メラニン産生抑制度を示した。チンピエキス10ppm、25ppm添加においては、メラニン産生度がそれぞれ101%、97%とほとんどメラニン産生抑制効果は認められなかったが、50ppm添加では、88%、100ppm添加では77%を示し、リーチライム葉エキスより若干弱いながらアルブチン100ppmと同等の効果を示すことがわかった。
【0034】
【表5】

【0035】
(チンピエキスとアミノ酸の混合添加試験)
比較実験としてチンピエキスとアミノ酸を併用した場合のメラニン産生度を確認した。
チンピエキスの濃度はメラニン産生度が101%とメラニン産生を抑制しない10ppmとした。
表6には、チンピエキス10ppmと各種アミノ酸5mMを同時に添加した場合のマウスメラノーマ細胞でのメラニン産生抑制試験の結果を示した。
チンピエキスに非極性アミノ酸のうち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンを添加した場合のメラニン産生度はいずれも90%以上の値を示しており、増強効果は認められなかった。
【0036】
次に、チンピエキスに極性アミノ酸で電荷を帯びていないアミノ酸のスレオニンを添加した場合、メラニン産生度が91%を示したほか、その他のアミノ酸を添加した場合は96-103%を示し。アミノ酸添加によるメラニン産生抑制効果の増強は認められなかった。
【0037】
さらに、チンピエキスに極性アミノ酸で負電荷を帯びたアミノ酸のアスパラギン酸Na、グルタミン酸Naを添加した場合、メラニン産生度がそれぞれ95%、102%を示し、アミノ酸添加によるメラニン産生抑制効果の増強は認められなかった。以上の結果から、アミノ酸との混合添加によるメラニン産生抑制効果の増強はリーチライムエキスには認められたが、チンピエキスには認められなかった。
【0038】
【表6】

【0039】
次に、リーチライムエキスと各種アミノ酸14種類とを併用して添加した場合のメラニン産生度を表7にまとめた、比較としてチンピエキスと各種アミノ酸14種類とを併用して添加した場合のメラニン産生度を記載した。表7から明らかなようにリーチライムエキスにプロリンを加えた場合は110%から87%、グリシンを加えた場合は100%から83%、アスパラギン酸を加えた場合は96%から71%、グルタミン酸を加えた場合は101%から76%へメラニン産生度が低下しメラニン産生抑制効果が増強されていることがわかる。これと比較して他のアミノ酸では、イソロイシンが94%から92%、スレオニンでは94%から92%とわずかにメラニン産生度が低下しているだけであり、強いメラニン抑制効果は認められなかった。
一方、比較として行ったチンピエキスにアミノ酸を加えた試験の結果、メラニン産生抑制効果の増強は認められなかった。
【0040】
【表7】

【0041】
(ヒトでの効果確認試験)
被験者として、20〜60歳の女性10名に1日2回(朝、夜)連続1ヵ月間、試験品と比較品1,2,3のそれぞれの皮膚外用剤を使用させ、塗布部位の状態を試験前後で比較し、改善効果を調べた。本試験には、試験品として処方例1で示した皮膚外用剤を用い、比較品1には処方例1に示した皮膚外用剤からリーチライム葉エキスを除いた皮膚外用剤を、比較品2には処方例1に示した皮膚外用剤からアスパラギン酸ナトリウムを除いた皮膚外用剤を作成し、その使用による効果について調べた。評価は表8に従って行った。本発明の有効成分を配合した皮膚外用剤を毎日使用しながら肌の美白効果を塗布開始前及び1ヶ月塗布後におけるアンケートで集計し、効果の確認を行った。結果は表9に示す。表中の数字は、人数を示している。表9からも明らかなように、リーチライム葉エキスとアスパラギン酸ナトリウムが入った試験品の皮膚外用剤では、評価点数が69点を示した。一方、試験品からリーチライム葉エキスを抜いた比較品1では、評価点数が34点であり、また試験品からアミノ酸としてアスパラギン酸ナトリウムを抜いた比較品2では評価点数が42点であった。この結果から明らかなように、リーチライム葉エキスとアミノ酸を同時に添加することにより高い美肌効果が得られることが明らかとなった。
【0042】
【表8】

【0043】
【表9】

【0044】
次に、本発明の各種成分を配合した各製剤の処方例の例を示すが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0045】
<処方例1>
化粧用クリーム

(重量%)
a)ミツロウ
2.0
b)ステアリン酸
5.0
c)スクワラン
10.0
d)セタノール
5.0
e)自己乳化型グリセリルモノステアレート

3.0
f)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)
1.0
g)リーチライム葉エキス
0.5
h)アスパラギン酸ナトリウム
0.5
i)水酸化カリウム
0.3
j)防腐剤・酸化防止剤
適量
k)精製水
残部
製法 a)〜f)までを加熱溶解し、80℃に保つ。g)〜k)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜f)に加えて乳化する。40℃まで撹拌しながら冷却する。
【0046】
<処方例2>
乳液

(重量%)
a)ミツロウ
0.5
b)ワセリン
2.0
c)スクワラン
8.0
d)ソルビタンセスキオレエート
0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.)
1.2
f) リーチライム果皮エキス

0.005
g)グリシン
0.001
h)精製水
残部
i)防腐剤・酸化防止剤
適量
j)エタノール
7.0
製法 a)〜e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。f)〜i)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜e)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。50℃でj)を添加し、40℃まで攪拌冷却する。
【0047】
<処方例3>
乳液
(重量%)
a)ミツロウ
0.5
b)ワセリン
2.0
c)スクワラン
8.0
d)ソルビタンセスキオレエート 0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.)
1.2
f)リーチライム果肉エキス

10.0
g)グリシン
5.0
h)精製水
残部
i)防腐剤・酸化防止剤
適量
j)エタノール
7.0
製法 a)〜e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。f)〜i)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜e)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。50℃でj)を添加し、40℃まで攪拌冷却する。
【0048】
<処方例4>
乳液

(重量%)
a)ミツロウ

0.5
b)ワセリン
2.0
c)スクワラン
8.0
d)ソルビタンセスキオレエート
0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 1.2
f)リーチライム葉エキス 0.5
g)プロリン 0.5
h)精製水

残部
i)防腐剤・酸化防止剤

適量
j)エタノール
7.0
製法 a)〜e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。f)〜i)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜e)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。50℃でj)を添加し、40℃まで攪拌冷却する。
【0049】
<処方例5>
乳液
(重量%)
a)ミツロウ
0.5
b)ワセリン
2.0
c)スクワラン 8.0
d)ソルビタンセスキオレエート

0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.)
1.2
f)リーチライム果皮エキス

3.0
g)グルタミン酸ナトリウム 0.1
h)精製水

残部
i)防腐剤・酸化防止剤

適量
j)エタノール

7.0
製法 a)〜e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。f)〜i)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜e)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。50℃でj)を添加し、40℃まで攪拌冷却する。
【0050】
<処方例6>
化粧水 (重量%)
a)リーチライム果肉エキス

0.5
b)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.) 2.0
c)エタノール
6.0
d)香料
適量
e)防腐剤・酸化防止剤 適量
f)精製水
残部
g)アスパラギン酸ナトリウム 0.1
製法 a)〜e)を均一に混合する。f)、g)を均一に混合し、a)〜e)混合物に加える。
【0051】
<処方例7>
化粧水
(重量%)
a)リーチライム葉エキス
0.5
b)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.) 2.0
c)エタノール
6.0
d)香料
適量
e)防腐剤・酸化防止剤
適量
f)精製水
残部
g)アスパラギン酸ナトリウム 0.1
製法 a)〜e)を均一に混合する。f)、g)を均一に混合し、a)〜e)混合物に加える。
【0052】
<処方例8>トローチ
トローチ (重量%)
a)アラビアゴム 6.0
b)ブドウ糖 73.0
c)リーチライム葉エキス 0.5
d)グルタミン酸ナトリウム 0.1
e)リン酸第二カリウム 0.2
f)リン酸第一カリウム 0.1
g)乳糖 17.0
h)香料 適量
i)ステアリン酸マグネシウム 残部
製法 a)〜h)を均一に混合し成型する。
【0053】
<処方例9>散剤
散剤 (重量%)
a)リーチライム葉エキス 3.0
b)グルタミン酸ナトリウム 1.0
c)トレハロース 13.0
d)結晶セルロース 残部
e)10w/v%メチルセルロース水溶液 16.0
製法 e)バインダーとしてa)〜d)を均一に混合し流動層造粒機にて造粒した。造粒品を30メッシュの篩を用いて整粒し、散剤を得た。

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のメラニン産生抑制剤は優れたメラニン産生抑制効果を示しシミを改善する化粧品や軟膏等外用薬の他、トローチや散剤等他の製剤への応用も期待できるものである。















【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーチライムエキスからなることを特徴とするメラニン産生抑制剤。
【請求項2】
リーチライムエキスとアミノ酸からなることを特徴とするメラニン産生抑制剤。
【請求項3】
請求項2のアミノ酸がグリシン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とするメラニン産生抑制剤。
【請求項4】
請求項1〜3記載のメラニン産生抑制剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。





























【公開番号】特開2011−16756(P2011−16756A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162249(P2009−162249)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】