説明

メリコペハイエシー(Melicopehayesii)を含有する局所用組成物及び皮膚を治療する方法

メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する化粧品組成物、及び皮膚に抗老化効果を与えるために該組成物を用いる方法が提供される。これらの組成物は、皮膚の老化に関与する少なくとも1つの生化学的経路に拮抗する調節活性を有すると考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、皮膚への局所適用のためのメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含む局所用組成物、及び皮膚に効果を提供する該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
徐々に進行する顔のしわは、表面の小じわであれより深いしわ及び折り目であれ、蓄積された皮膚のダメージ及び皮膚の老化の早期のサインである。それは、内因性のもの、及び/又は外因性の要因により引き起こされ又は促進されたものである。例えば、早期の老化及び皮膚のしわは、過剰な太陽の照射、及び他のダメージを与える要因、顔面表情筋の過度の動き、タバコ製品の頻回な使用、栄養不足、又は皮膚障害により促進され得る。表面の小じわ(より深いしわ、繰り返される皮膚の折り畳みに起因した深まる顔面表情、及び成熟とともに進展する深い折り目に進行する)は、目に見える変化であり、それは魅力に劣る外観を呈することに結びつき得る。皮膚の領域に物質を注入又は移植するという、いくつかの侵襲的な技術が利用されている。それにより、一時的に筋肉が弱められ、又はフィラーとして皮膚にボリュームが与えられる。しかしながら、侵襲的な技術はしばしば危険を伴い、及び医師の指示又は援助を必要とし、不便でコストがかかり得るものである。そして、非侵襲的な技術は歴史的に小さな成功しかおさめていない。顔のしわ又は折り目の原因にかかわらず、これらの問題を軽減又は除去するために安全かつ効果的な治療法を成し遂げるのは、非常に難しいことであった。
【0003】
Thornfeldtらは、老化を含む皮膚粘膜疾患を治療する医師により推奨される活性成分を用いた皮膚のケアレジメンが、慢性炎症の改善又は抑制において、より注目されるべきであると提言した(非特許文献1)。Thornfeldtは、慢性炎症が、多くの抑制可能かつ治療可能な皮膚疾患及び目に見える皮膚の老化といったコンディションに強く関連しているようであると報告した。Thornfeldtは、外因性の老化を含む多くの全身性疾患及び皮膚粘膜疾患の最終共通経路としての皮膚粘膜炎症が分子レベル及び細胞レベルで確立していると述べた。
【0004】
Bissettらは、紅斑紫外線量の紫外線(UV)を慢性的に照射されたアルビノヘアレスマウスでは、炎症細胞を含む真皮の細胞質の増加がみられたことを報告した(非特許文献2)。一実施態様において、Bissettは、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、及びナプロキセンの局所適用が、アルビノヘアレスマウスにおけるUVB照射により誘導された目に見えるしわ、腫瘍形成、及び組織学的な交代を防いだことを観察した。他の実施態様において、Bissettは、ヒドロコルチゾン及びナプロキセンが、アルビノヘアレスマウスにおけるUVA照射により誘導された目に見える皮膚のたるみ及び組織学的な交代に効果あったことを観察した。研究者らは、このデータが慢性的な光ダメージにおける炎症の役割を示唆したものとの仮説を立てた。
【0005】
カルシニューリンは、転写因子である活性化T細胞核内因子(“NFAT”)の活性化に関与するタンパク質ホスファターゼである。NFAT転写因子の活性化は、カルシウムのトラフィッキング及び炎症反応に関与するT細胞を刺激する。皮膚におけるカルシニューリンの発現は、加齢とともに本質的に増加する。
【0006】
プロトピック(PROTOPIC)(商標名)として市販されているタクロリムス軟膏といった、局所用のカルシニューリン阻害薬がアトピー性皮膚炎(典型的には局所用ステロイドで治療されてきた湿疹性皮膚疾患である)の治療に用いられてきた。タクロリムス軟膏は、カルシニューリンを阻害することで、抗原特異的なT細胞の活性化を抑制し、及び炎症性サイトカイン放出を抑制することが報告されてきた(非特許文献3)。Furueらは、タクロリムス軟膏がアトピー性皮膚炎の炎症に対する第一選択薬として用いられることを報告した(非特許文献4)。他の市販されているカルシニューリン阻害薬は、ピメクロリムスであり、エリデル(ELIDEL)(商標名)として市販されている。
【0007】
メリコペハイエシー(Melicope hayesii)は、ミカン科(メリコペ属)の低木である。オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)の北岸で野生している。メリコペ属には、科において約150の異なる種の低木及び樹木が含まれ、ハワイ西部、アジアの熱帯地方、オーストラリア及びニュージーランドで見られ得る。メリコペ属の植物は通常、オーストラリアでは“コルクウッド(Corkwood)”又は“ドーウッド(Doughwood)”、及びハワイでは“アラニ(Alani)”と称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Thornfeldt,CR(2008)J.Cosmet.Dermatol.7:78−82
【非特許文献2】Bissett,et al.(1990)Photodermatol.Photoimmunol.Photomed.7:153−8
【非特許文献3】Bekersky et al,2001,J.Am.Acad.Dermatol.441:S17−S27
【非特許文献4】Furue,et al.(2006)Dermatol.Ther.19:118−26
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
老化のサインを低減させる化粧品組成物の需要が存在する。したがって、本発明の目的は、カルシニューリン活性を阻害するための新しい組成物及び方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、新しい化粧品組成物でカルシニューリン活性を阻害することにより、皮膚の全体の外観を改善することであり、それには皮膚のしわといった老化のサインを治療し、改善させ、及び/又は抑制することが含まれる。
【0010】
前述の記載は、直面している技術の課題の特性をより良く理解するために単に提示されているにすぎず、いかなる態様においても先行技術に含まれると理解されるべきではなく、いかなる参照の引用についても本出願に対する“先行技術”を構成するというように理解されるべきではない。
【0011】
前述の目的および他の目的を踏まえて、驚くべきことに、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物はカルシニューリン活性を阻害することができ、それゆえ内因性の老化及び皮膚の光老化の種々のサインに有用であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点において、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるための化粧品組成物が提供される。それは、皮膚に抗老化効果を提供するのに有効な量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物と、化粧品として許容可能な媒材と、を含有する。該化粧品組成物は、ローション、クリーム、ゲル、又はフォームの形態であってもよい。
【0013】
本発明の他の観点において、化粧品組成物は、局所適用のために提供される。局所適用のための化粧品組成物は、皮膚のダメージ又は皮膚の老化のサインを治療し、改善させ、改良させ、及び/又は抑制する、有効量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する。このような効果は、限定されることなく下記を含む。
(a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/若しくは抑制する。
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする。
(c)皮膚の厚み、ふくらみ、及び/若しくは張りを改善する。
(d)皮膚の柔らかさ、及び/若しくは柔軟性を改善する。
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/若しくは透明度を改善する。
(f)プロコラーゲン及び/若しくはコラーゲンの生成を改善する。
(g)エラスチンの維持及び再構築を改善する。
(h)皮膚のきめを改善し、及び/若しくは再組織化を促進する。
(i)皮膚バリアを修復し、及び/若しくはその機能を改善する。
(j)皮膚の凹凸を改善する。
(k)皮膚の艶及び/若しくは明るさを修復する。
(l)皮膚の必須栄養素及び/若しくは構成要素を補充する。
(m)老化及び/若しくは更年期により劣化した皮膚の外観を改善する。
(n)皮膚の潤い及び/若しくは水分を改善する。
(o)皮膚の弾性及び/若しくは弾力性を向上させ、並びに/又は皮膚の弾性及び/若しくは弾力性の喪失を抑制する。
(p)皮膚のたるみを治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する、並びに/又は
(q)皮膚の変色を治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する。
【0014】
また、化粧品として許容可能な媒材中に、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物及び化粧品として許容可能な媒材を含有する組成物を、必要に応じて皮膚に局所適用することを含む、皮膚に抗老化効果を与える方法が提供される。該抽出物は、カルシニューリン活性を阻害するのに十分な量で存在し得る。
【0015】
本発明の他の観点において、皮膚のしわ及び/又は小じわを治療する方法が提供される。該方法は、しわ又は小じわの程度を低減させるのに十分な期間、化粧品として許容可能な媒材中に有効量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)の抽出物を含有する組成物を、必要に応じて皮膚のしわ及び/又は小じわに局所適用することを含む。
【0016】
本発明のこれらの観点及び他の観点は、下記の本発明についての詳細な記載を参照するで、より良く理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で用いられるすべての用語は、特に他に言及がない限り、それらの通常の意味を有するものと意図される。
【0018】
以下の本発明の記載において、本明細書で用いられる用語は、他に特定がない限り、本技術分野におけるそれらの通常かつ慣例の意味を有すると理解されるべきである。本明細書で用いられるすべての重量の割合は、組成物の全重量に対する“重量%”又は“%wt”として表され、特に示唆がない限り、キャリア、溶媒、エモリエント、又は皮膚への適用前に加えられる他の成分添加後の組成物の全重量に対する重量パーセントを意味する。
【0019】
驚くべきことに、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物はカルシニューリン活性を阻害し得ることが見出された。皮膚のカルシニューリンの発現は、加齢とともに本質的に増加する。カルシニューリンは炎症に関与していると考えられ、それは皮膚の外観に有害な影響をもたらし得る。具体的には、炎症(にきび、湿疹、接触アレルギーを含む)により、コラーゲンが破壊され、色素の異常(斑点)がもたらされ、及び瘢痕が引き起こされると考えられる。カルシニューリンを阻害することで、炎症の皮膚老化への寄与が低減されることが期待される。これらの知見及び他の知見の観点から、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する局所用組成物は、カルシニューリン活性阻害を介して、皮膚のダメージ及び皮膚老化のサインに有効である(小じわ及びしわ、皮膚のたるみ又は萎縮、弾性の喪失、皮膚の変色、並びに皮膚の老化に関連するサインを低減させることを含む)と考えられる。
【0020】
“しわ(wrinkle)”又は“しわ(wrinkling)”という用語は、小じわ及び粗いしわの両方を意味する。小じわ(fine wrinkling)又は小じわの線(fine lines)は、皮膚表面における表面上の線及びしわを意味する。粗いしわは、深いしわ、具体的には顔及び目の回りにおける深い線/しわを意味する。それには、眉間の線及びしわ、額の線及びしわ、目尻の線及びしわ、鼻唇溝及びマリオネットの線及びしわといった表情線も含まれる。額の線及びしわは、額の皮膚における表面上の線及び/又は深いしわを意味する。目尻の線及びしわは、目の領域の周りの皮膚における表面上の線及び/又は深いしわを意味する。マリオネットの線及びしわは、口の周りの皮膚における表面上の線及び/又は深いしわを意味する。しわは、線の数、長さ、及び深さで評価され得る。
【0021】
皮膚の変色は、離散的な色素沈着を含み、通常、しみ(pigment spots)又は“老化によるしみ(age spots)”及び斑状色素沈着として知られている。離散的な色素沈着は、より暗い色素による区別できる一定の領域であり、皮膚における茶色のしみ又はそばかすとして現れ得る。斑状色素沈着は、濃い染み(dark blotches)でり、サイズ及び形において離散的な色素沈着よりも大きく、より不規則的である。斑状色素沈着の領域は、太陽光照射でより濃くなる傾向にある。
【0022】
皮膚の弾性は、皮膚の変形後もとの形及びサイズへ復帰する能力である弾力性及び復元性を意味する。皮膚の弾性は、伸張又は圧迫のいずれかにより皮膚に変形を生じさせ得るピンチテストにより評価され得る。
【0023】
本発明は、局所適用のための組成物を提供する。該組成物は、皮膚のダメージ又は皮膚の老化のサインを治療し、改善させ、改良させ、及び/又は抑制する、有効量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する。このような効果は、限定されることなく下記を含む。
(a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/若しくは抑制する。
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする。
(c)皮膚の厚み、ふくらみ、及び/若しくは張りを改善する。
(d)皮膚の柔らかさ、及び/若しくは柔軟性を改善する。
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/若しくは透明度を改善する。
(f)プロコラーゲン及び/若しくはコラーゲンの生成を改善する。
(g)エラスチンの維持及び再構築を改善する。
(h)皮膚のきめを改善し、及び/若しくは再組織化を促進する。
(i)皮膚バリアを修復し、及び/若しくはその機能を改善する。
(j)皮膚の凹凸を改善する。
(k)皮膚の艶及び/若しくは明るさを修復する。
(l)皮膚の必須栄養素及び/若しくは構成要素を補充する。
(m)老化及び/若しくは更年期により劣化した皮膚の外観を改善する。
(n)皮膚の潤い及び/若しくは水分を改善する。
(o)皮膚の弾性及び/若しくは弾力性を向上させ、並びに/又は皮膚の弾性及び/若しくは弾力性の喪失を抑制する。
(p)皮膚のたるみを治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する、並びに/又は
(q)皮膚の変色を治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する。
【0024】
実際には、本発明の組成物は、治療の必要に応じて皮膚に適用される。それは、前述の特性のいずれかが不足若しくは喪失している皮膚、又は前述の皮膚の特性のいずれかを改善することで利益がもたらされる皮膚である。
【0025】
ある好ましい実施態様において、本発明の組成物及び方法は、皮膚における小じわ及び/又はしわの抑制、治療、及び/又は改良の方向に意図される。この場合において、組成物は治療の必要に応じて皮膚に適用される。この場合の皮膚は、しわ及び/又は小じわを有する皮膚を意味する。好ましくは、該組成物は、小じわ及び/又はしわに直接適用される。該組成物及び方法は、限定されることなく顔、首、及び/又は手の皮膚を含む、皮膚の表面における小じわ及び/又はしわを治療するのに適する。
【0026】
本発明の一成分は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物から得られた植物成分である。本発明の組成物における使用のために、該植物成分は好ましくは、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物から直接得られる。該植物成分は純粋な形態、半純粋な形態、又は未精製の形態であってもよい。メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物成分は、液体、半固形、又は固形の堅さの形態であってもよい。好ましくは、該植物成分はエッセンシャルオイルである。
【0027】
具体的には、該植物成分は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物から収集された未加工のマテリアルから得られ、それは、種子、針葉(needles)、葉、根、皮(bark)、球果(cones)、茎、根茎、カルス細胞、プロトプラスト、器官及び器官系、並びに分裂組織といった、所望の構成要素を含み得る。好ましくは、未加工のマテリアルは、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物の葉及び末端枝から収集される。ある実施態様において、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物から収集された未加工のマテリアルは、小さい粒子サイズに粉砕される。加えて、未加工のマテリアルは、乾燥させて水分量を減らし得る。未加工のマテリアルは、多数の異なる方法で乾燥させてもよく、例えば、空気乾燥、オーブン乾燥、真空下での回転蒸発、又は凍結乾燥よる乾燥が挙げられる。
【0028】
メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物は、ストリッピング剤で未加工のマテリアルを蒸留することで得られてもよい。該ストリッピング剤は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)からの所望の抽出物に混合性、非混合性、又は部分的に混和性を有する液体であってもよい。適切なストリッピング剤は、限定されることなく、水;アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及び同様物);グリコール;エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、及び同様物);エステル(例えば、ブチルアセテート、エチルアセテート、及び同様物);ケトン(例えば、アセトン、エチルメチルケトン、及び同様物);ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;他の有機溶媒;並びにこれらの混合物を含む。一実施態様において、該ストリッピング剤は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)からの所望の抽出物(例えば、エッセンシャルオイル)に非混和性である。好ましくは、該ストリッピング剤は、水である。より好ましくは、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物は、水蒸気蒸留により得られる。メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物(例えば、エッセンシャルオイル)は、該ストリッピング剤からの相分離により収集されてもよい。該ストリッピング剤は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を得るための蒸留システムの全体の蒸気圧を上昇させ、その結果、所望の生成物、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物(又は具体的には、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)のエッセンシャルオイル)の沸点が下降すると考えられる。
【0029】
他の実施態様において、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物成分は、溶媒抽出により得られた、好ましくは有機溶媒抽出により得られた抽出物の形態であってもよい。端的にいえば、有機溶媒抽出方法は、有機溶媒を用いて、未加工のマテリアル(全体であってもよく、小さい粒子サイズに粉砕されたものでもよい)を洗浄及び抽出することを含む。有機溶媒の例としては、限定されることなく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、キシレン、及びペトロラタムエーテルが含まれる。本技術分野においてよく知られているように、有機溶媒抽出に抽出機器が用いられ得る。未加工のマテリアルが、スラスターにより抽出機器に押し出される。スラスターは、植物の未加工のマテリアルをゆっくりと前方に移動させる。有機溶媒(例えば、エタノール)が、排出出口の上部にある溶媒入口を介して機器に加えられてもよい。重力と平衡(equilibrium)との差により、溶媒は未加工のマテリアルの入口の方へ流動し、マテリアルを浸し、溶媒入口とは反対側から流出する。植物マテリアルと溶媒とが互いに反対方向に流動するため、植物マテリアルは、低濃度の抽出物を含有する溶液に絶えず浸される。平衡(equilibrium)の結果、低濃度の溶液に対して、植物マテリアルを継続的に抽出することで、植物成分の高い収率が達成され得る。
【0030】
メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物成分の抽出に適した抽出時間が用いられ、典型的には約1〜10時間の間が適切であり、より好ましくは約2〜8時間の間であり、最も好ましくは約3〜6時間の間である。抽出温度は、約30℃〜100℃の間であり、好ましくは約40℃〜70℃の間であり、より好ましくは約50℃〜60℃の間である。収集された抽出物をその後ファインフィルターでろ過して残屑を取り除く。それを直接用いてもよく、又は例えば溶媒を蒸留することにより若しくは他の一般的な処理により濃縮してもよい。抽出活性物の溶液は、真空下で回転蒸発させてもよく、又は凍結乾燥させてもよい。典型的な抽出活性物の含量は、約25%以上であり、好ましくは50%以上である。抽出物は、エッセンシャルオイル又は半固形又は固形の堅さを有する濃縮物として提供され得る。
【0031】
同様に、水性有機溶媒抽出は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物から未加工のマテリアルを最初に収集することに関与し、それは全体であってもよく、小さい粒子サイズに粉砕されたものでもよい。粉砕された植物マテリアルは、酸性又はアルカリ性(塩基性)のコンディション下の所望の抽出物の溶解度及び安定性に依存して、酸性又はアルカリ性の水性溶液に浸される。酸性のコンディション下での抽出のために、塩酸又は硫酸といった酸を水に加える(例えば、約3%(w/v)の濃度)。アルカリ性のコンディション下での抽出のために、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムといったアルカリを水に加える。抽出時間及び抽出温度は典型的には、前述の有機溶媒抽出で用いられたものと同様である。
【0032】
その後抽出物を収集し、ファインフィルターでろ過して残屑を取り除く。アルカリ剤(例えば、アンモニア)又は酸性化剤(例えば、硫酸)を抽出物に加え、収集された抽出物の酸性度又はアルカリ性度に基づき、pHを調節することにより溶液を中和する。水性の抽出物を直接用いてもよく、濃縮又は乾燥させてもよい。あるいは、中和された溶液にその後有機溶媒を加えて、抽出物を水相から有機相に移してもよい。このような有機溶媒の例は、限定されることなく、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びキシレンを含む。有機溶媒に溶解された、移された抽出活性物を含む抽出物をエッセンシャルオイル又は濃縮物として直接用いてもよく、又は例えば空気乾燥、オーブン乾燥、真空下での回転蒸発、若しくは凍結乾燥といった多くの異なる方法により半固形若しくは固形の堅さに乾燥させてもよい。
【0033】
異なる成分を含有する異なる植物をメリコペハイエシー(Melicope hayesii)に混合させて一緒に抽出することもできる。この混合抽出のプロセスは好ましくは、エタノールといった抽出に用いる溶媒においてメリコペハイエシー(Melicope hayesii)と同程度の溶解度を有する成分を含む植物の抽出に用いられ得る。抽出物の混合物は、濃縮され、適切な溶媒中で保存され得る。
【0034】
他の実施態様において、本明細書で用いられるメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物は、“合成の”抽出物、すなわち、公知のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物成分及び/又は要素の種々の組み合わせをも含む。それは、天然由来のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物抽出物の組成物及び/又は活性を実質的に再現するように組み合わされる。好ましくは、合成の抽出物は、天然のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物マテリアルと実質的に同数の活性成分を有する。合成の抽出物と天然のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)の植物マテリアルとの間の活性物の数的な割合の対応はまた、“割合の共通性”の用語で記載され得る。合成抽出物は、植物又は天然抽出物の化学的組成物に約50%又はそれ以上の共通性を有する。言い換えれば、合成抽出物は、植物又は天然抽出物でみられる活性成分の約50%又はそれ以上を有する。より好ましくは、合成抽出物の化学的組成物は、植物又は天然抽出物の化学的組成物に約70%又はそれ以上の共通性を有する。任意に、合成抽出物は、植物又は天然抽出物の化学的組成物に約90%又はそれ以上の共通性を有する。
【0035】
本発明による組成物は、局所適用のための種々の形態で作られ得、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を約0.0001重量%〜約90重量%含有し、好ましくは約0.001重量%〜約25重量%含有し、より好ましくは約0.01重量%〜約10重量%含有する。より好ましい範囲内において、該組成物はメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を全組成物中、約0.1重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%又は約1重量%から、約5重量%、約7.5重量%又は約10重量%までの範囲内で含有し得る。該組成物は、有効量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有し、これは、局所適用された場合に皮膚の一定の領域のカルシニューリン活性を阻害するのに十分な量という意味である。上述の量は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物の“活性物の量”という意味である。“活性物の量”の用語は、希釈剤、溶媒、キャリア、フィラー、又はその他の成分がない状態でのメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物の量という意味である。皮膚への特定の抗老化効果を提供する“有効な量(amount effective)”又は“有効量(effective amount)”とは、皮膚老化の特定の症状において臨床的に測定可能な改善を提供するのに十分な期間適用された場合に、皮膚老化の特定の症状において臨床的に測定可能な改善を提供するのに必要な抽出物の“活性物の量”という意味である。
【0036】
該組成物は、特に局所適用のための、例えば、ローション、クリーム、乳液(serum)、スプレー、エアロゾル、ケーキ(cake)、軟膏、エッセンス、ゲル、ペースト、パッチ、ペンシル、ウェットティッシュ(towelette)、マスク、スティック、フォーム、エリキシル剤、濃縮物、及び同様物といった種々の製品の形態で作られ得る。好ましくは、該組成物は、ローション、クリーム、軟膏、又はゲルとして作られる。
【0037】
該組成物は、化粧品として許容可能な媒材を含み得る。このような媒材は、皮膚への適用に適した技術において公知であるいかなる形態をもとり得、水(例えば、脱イオン水);植物油;鉱物油;オクタルパルミテート、イソプロピルミリステート及びイソプロピルパルミテートといったエステル;ジカプリルエーテル及びジメチルイソソルバイドといったエーテル;エタノール及びイソプロパノールといったアルコール;セチルアルコール、セチアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びビフェニルアルコールといった脂肪族アルコール;イソオクタン、イソドデカン、及びイソヘキサデカンといったイソパラフィン;シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコンクロスポリマー、ポリシロキサン、及びそれらの誘導体、好ましくは有機修飾された誘導体といったシリコーン油;鉱物油、ペトラタム、イソエイコサン、及びポリイソブテンといった炭化水素油;プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及びヘキシレングリコールといったポリオール;ビーズワックス及び植物性ワックスといったワックス;又は前述の組み合わせ若しくは混合物を含み得る。
【0038】
該媒材は、水相、油相、アルコール、シリコーン相、又はこれらの混合物を含み得る。化粧品として許容可能な媒材はまた、エマルションを含有し得る。適切なエマルションの限定されない例示としては、油中水滴型エマルション、水中油滴型エマルション、水中シリコーン型エマルション、シリコーン中水滴型エマルション、水中ワックス型エマルション、水/油/水三相のエマルション、又はクリーム、ゲル、若しくはマイクロエマルションの特性を有する同様物が挙げられる。該エマルションは、非イオン性、アニオン性、又は両性の界面活性剤といった、乳化剤を含み得る。
【0039】
エマルションの油相は好ましくは、1又は2以上の有機化合物を有し、それには、エモリエント;保湿剤(例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール、メチルグルセス−20、及びグリセリン);ビーガム又はヒドロキシアルキルセルロースといった増粘剤を含む他の水分散性成分又は水溶性成分;高分子量のポリアクリル酸(すなわち、CARBOPOL934)といったゲル化剤;及びこれらの混合物が含まれる。該エマルションは、該組成物中に存在する種々の成分を乳化することのできる1又は2以上の乳化剤を有していてもよい。
【0040】
油相での使用に適する化合物は、限定されることなく、植物油;オクチルパルミテート、イソプロピルミリステート、及びイソプロピルパルミテートといったエステル;ジカプリルエーテルといったエーテル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びビフェニルアルコールといった脂肪族アルコール;イソオクタン、イソドデカン、及びイソヘキサデカンといったイソパラフィン;ジメチコン、環状シリコーン、及びポリシロキサンといったシリコーン油;鉱物油、ペトラタム、イソエイコサン、及びポリイソブテンといった炭化水素油;天然ワックス又は合成ワックス;並びに同様物を含む。適切な疎水性炭化水素油は、飽和型若しくは不飽和型であってもよく、脂肪族化合物の特性を有していてもよく、直鎖若しくは分岐していてもよく、又は脂環若しくは芳香環を含んでいてもよい。油を含有する相は、単一の油又は異なる油の混合物からなっていてもよい。
【0041】
炭化水素油は、6−20の炭素原子を有するもの、より好ましくは10−16の炭素原子を有するものを含む。代表的な炭化水素は、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、及び炭素数8−20のイソパラフィンを含む。パラフィン炭化水素は、ISOPARSの商標名のもとでエクソン社から購入可能であり、及びパルメチル社から購入可能である。加えて、Permethyl 99ATMの商標名のもとでパルメチル社により製造されている炭素数12のイソパラフィン(イソドデカン)といった、炭素数8−20のパラフィン炭化水素もまた、適切であるといえる。イソヘキサデカン(Permethyl RTMの商標名を有する)といった、購入可能な種々の炭素数16のイソパラフィンもまた、適切である。好ましい揮発性炭化水素の例は、例えばPermethyl−99A(プレスパース社)を含むイソドデカン及びイソデカンといったポリデカン、並びにエクソンケミカル社から購入可能なIsoparシリーズといった炭素数7−8から炭素数12−15のイソパラフィンを含む。代表的な炭化水素溶媒は、イソドデカンである。
【0042】
油相は、1又は2以上のワックスを含み得、それには例えば、米ぬかワックス、カルナバワックス、オーリクリーワックス、カンデリラワックス、モンタンワックス、サトウキビワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタンワックス、シリコーンワックス、フッ素化ワックス、及びこれらの混合物が含まれる。
【0043】
乳化剤には限定されることなく、乳化ワックス、乳化多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル、ポリオールのモノ−エステル又はジ−エステル、エチレングリコールモノ−ステアレート、グリセリンモノ−ステアレート、グリセリンジ−ステアレート、シリコーン含有乳化剤、大豆ステロール、セチルアルコールといった脂肪族アルコール、アクリレート、ステアリン酸といった脂肪酸、脂肪酸塩、及びこれらの混合物が含まれる。好ましい乳化剤には、大豆ステロール、セチルアルコール、ステアリン酸、乳化ワックス、アクリレート、乳化剤を含有するシリコーン、及びこれらの混合物が含まれる。本発明の組成物において用いられ得る他の特定の乳化剤には、数例を挙げると、限定されることなく、炭素数10−30のアルキルアクリレートクロスポリマー;ジメチコン PEG−7 イソステアレート;アクリルアミドコポリマー;鉱物油;ソルビタンエステル;ポリグリセリル−3−ジイソステアレート;ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンモノオレアート;グリセロールモノステアレート及びグリセロールモノオレアートといったグリセロールエステル;ポリオキシエチレンオクチルフェノール及びポリオキシエチレンノニルフェノールといったポリオキシエチレンフェノール;ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルといったポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレングリコールエステル;ポリオキシエチレンソルビタンエステル;ジメチコンコポリオール;ポリグリセリル−3−ジイソステアレートといったポリグリセリルエステル;グリセリルラウレート;ステアレス−2、ステアレス−10、及びステアレス−20のうちの1又は2以上が含まれる。付加的な乳化剤は、INCI Ingredient Dictionary and Handbook(11th Edition,2006年)において提供される。この内容は、参照によって本出願に取り込まれる。
【0044】
これらの乳化剤は典型的には、組成物中、約0.001重量%から約10重量%の量、具体的には約0.01重量%から約5重量%の量、より好ましくは約0.1重量%から約3重量%の量で存在する。
【0045】
油相は、1又は2以上の揮発性及び/又は非揮発性シリコーン油を含み得る。揮発性シリコーンは、環状及び直鎖の揮発性ジメチルシロキサンシリコーンを含む。一実施態様において、揮発性シリコーンは、シクロジメチコンを含み得、それには、テトラマー(D4)、ペンタマー(D5)、及びヘキサマー(D6)のシクロメチコン、又はこれらの混合物が含まれる。特に、揮発性シクロメチコン−ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチル−シクロテトラシロキサン、及びデカメチル−シクロペンタシロキサンが言及され得る。適切なジメチコンは、Dow Corning 200(商標名)Fluidの名称でダウコーニングから購入可能であり、それは0.65から600,000センチストークス又はそれ以上の範囲の粘度を有する。適切な非極性の揮発性液体シリコーン油は、米国特許4,781,917号明細書に記載され、この内容のすべてにおいて参照により本明細書に取り込まれる。付加的な揮発性シリコーンマテリアルは、Todd et al.,“Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”,Cosmetics and Toiletries,91:27−32(1976)に記載され、この内容のすべてにおいて参照により本明細書に取り込まれる。直鎖状揮発性シリコーンは概して、25℃で約5センチストークス未満の粘度を有し、一方で、環状シリコーンは、25℃で約10センチストークス未満の粘度を有する。種々の粘度の揮発性シリコーンの例は、Dow Corning 200,Dow Corning 244,Dow Corning 245,Dow Corning 344,及びDow Corning 345(ダウコーニング社);SF−1204及びSF−1202 Silicone Fluids(G.E.シリコーン社),GE 7207及び7158(ジェネラルエレクトリック社);並びにSWS−03314(SWSシリコーンズ社)を含む。直鎖状揮発性シリコーンは、数例を挙げると、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサンといった低分子量のポリジメチルシロキサン化合物を含む。
【0046】
非揮発性シリコーン油は典型的には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、及びこれらの混合物を含む。ポリジメチルシロキサンは、好適な非揮発性シリコーン油である。非揮発性シリコーン油は典型的には、25℃で約10センチストークスから約60,000センチストークス、好ましくは約10センチストークスと約10,000センチストークスとの間、より好ましくは約10センチストークスと約500センチストークスとの間の粘度を有し;大気圧で250℃より高い沸点を有する。限定されない例示は、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、フェニルトリメチコン、及びジフェニルジメチコンを含む。揮発性及び非揮発性シリコーン油は任意に、数例を挙げると、アルキル、アリール、アミン基、ビニル、ヒドロキシ、ハロアルキル基、アルキルアリール基、及びアクリレート基といった種々の官能基で置換され得る。
【0047】
シリコーン中水滴型エマルションは、例えば、ポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーといった非イオン性界面活性剤(乳化剤)(米国特許4,122,029号明細書に記載されるものを含み、この内容は参照により本明細書に取り込まれる)で乳化され得る。これらの乳化剤は概して、ポリジオルガノシロキサン骨格(典型的にはポリジメチルシロキサン)を含み、それは−(EO)−及び/又は−(PO)−(EOはエチレンオキシであり、POは1,2−プロピレンオキシである)を含む側鎖を有し、側鎖は典型的には水素又は低級アルキル基(例えば、炭素数1〜6、典型的には炭素数1〜3)でキャップ又は末端修飾されている。他の適切なシリコーン中水滴型エマルションは、米国特許6,685,952号明細書に記載され、この内容は参照により本明細書に取り込まれる。購入可能なシリコーン中水滴型エマルションは、3225C及び5225C FORMULATION AID(商標名)(ダウコーニング社);SILICONE SF−1528(ジェネラルエレクトリック社);ABIL EM 90及びEM 97(ゴールドシュミットケミカル社(ホープウェル、バージニア));並びにSILWETシリーズの乳化剤(OSIスペシャルティーズ社(ダンブリー、コネチカット))を含む。
【0048】
シリコーン中水滴型乳化剤の例は、限定されることなく、ジメチコンPEG10/15クロスポリマー、ジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール、PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー、ラウリルメチコンクロスポリマー、シクロメチコン及びジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオール(及び)カプリリック/カプリックトリグリセリド、ポリグリセリル−4 イソステアレート(及び)セチルジメチコンコポリオール(及び)ヘキシルラウレート、並びにジメチコンコポリオール(及び)シクロペンタシロキサンを含む。好適なシリコーン中水滴型乳化剤の例は、限定されることなく、PEG/PPG−18/18ジメチコン(商標名5225C,ダウコーニング),PEG/PPG−19/19ジメチコン(商標名BY25−337,ダウコーニング),セチル PEG/PPG−10/1ジメチコン(商標名Abil EM−90,ゴールドシュミットケミカル社),PEG−12ジメチコン(商標名SF 1288,ジェネラルエレクトリック社),ラウリル PEG/PPG−18/18メチコン(商標名5200 FORMULATION AID,ダウコーニング社),PEG−12ジメチコンクロスポリマー(商標名9010及び9011 silicone elastomer blend,ダウコーニング社),PEG−10ジメチコンクロスポリマー(商標名KSG−20,信越社),ジメチコンPEG−10/15クロスポリマー(商標名KSG−210,信越社),並びにジメチコンPEG−7イソステアレートを含む。
【0049】
シリコーン中水滴型乳化剤は典型的には、組成物中、約0.001重量%から約10重量%の量、具体的には約0.01重量%から約5重量%の量、より好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0050】
エマルションの水相は、エタノール、イソプロパノール、及び同様物といった低級アルコールを含む、1又は2以上の付加的な溶媒を含み得る。揮発性溶媒はまた、ブチルアセテート若しくはエチルアセテートといった化粧品として許容可能なエステル;アセトン若しくはエチルメチルケトンといった化粧品として許容可能なケトン;又は同様物であってもよい。
【0051】
油含有相は典型的には、エマルションの全重量に基づき、約10重量%から約99重量%、好ましくは約20重量%から約85重量%、より好ましくは約30重量%から約70重量%を構成し、水相は典型的には、エマルションの全重量に基づき、約1重量%から約90重量%、好ましくは約5重量%から約70重量%、より好ましくは約20重量%から約60重量%を構成する。水相は典型的には、約25重量%から約100重量%、より好ましくは約50重量%から約95重量%を構成する。
【0052】
組成物は、リポソームを含み得る。リポソームは、他の添加剤若しくは物質を含んでいてもよく、及び/又は投与後ある部位により特異的に到達するように若しくは留まるように修飾されていてもよい。
【0053】
組成物は任意に、当業者にとって明らかである、他の化粧用活性剤及び添加剤を含んでいてもよく、それには限定されることなく、フィラー、乳化剤、抗酸化剤、界面活性剤、膜形成剤、キレート剤、ゲル化剤、増粘剤、エモリエント、保湿剤、モイスチャー剤、ビタミン、ミネラル、粘度及び/又はレオロジー変性剤、サンスクリーン、角質溶解剤、脱色剤、レチノイド、ホルモン化合物、α−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、抗抗酸菌剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、脂質化合物、抗アレルギー剤、H1又はH2抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗腫瘍剤、免疫系賦活剤、免疫系抑制剤、抗にきび剤、麻酔剤、消毒剤、防虫剤、皮膚冷却化合物、皮膚保護剤、皮膚浸透亢進剤、剥脱剤(exfollient)、潤滑剤、香料、着色料、脱色剤(depigmenting agents)、脱色剤(hypopigmenting agents)、防腐剤(例えば、DMDM ヒダントイン/ヨードプロピニルブチルカルボネート)、安定化剤、薬剤、光安定化剤、中和剤(例えば、トリエタノールアミン)、並びにこれらの混合物が含まれる。前述に加えて、本発明の化粧品組成物は、皮膚疾患の治療のための他の化合物を含んでいてもよい。
【0054】
着色剤は、例えば、有機及び無機顔料、並びに真珠光沢剤を含み得る。適切な無機顔料は、限定されることなく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、及びフェリックブルーを含む。適切な有機顔料は、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、及びアルミニウムレーキ、並びにカーボンブラックを含む。適切な真珠光沢剤は、酸化チタン、酸化鉄、又は天然の顔料で被覆されたマイカを含む。
【0055】
種々のフィラー及び付加的な成分が加えられ得る。フィラーは通常、組成物の全重量に基づき、約0重量%から約20重量%の量で、好ましくは約0.1重量%から約10重量%の量で存在する。適切なフィラーは、限定されることなく、シリカ、処理されたシリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、Orgasol(商標名)といったナイロン粉末、ポリエチレン粉末、テフロン(商標名)、スターチ、窒化ホウ素、Expancel(商標名)(ノーベルインダストリー社)といったコポリマーミクロスフェア、Polytrap(商標名)(ダウコーニング社)及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(Tospearl(商標名)(東芝社)、並びに同様物を含む。
【0056】
本発明の一実施態様において、組成物は、限定されることなく、植物、角質溶解剤、落屑剤(desquamation agent)、ケラチノサイト増殖亢進剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、脱色剤、抗炎症剤、ステロイド、抗にきび剤、抗酸化剤、サリチル酸又はサチリル酸塩、チオジプロピオン酸又はそのエステル、終末糖化産物(AGE)阻害剤といった付加的な皮膚活性剤を含み得る。
【0057】
特定の実施態様において、組成物は、例えば、植物抽出物、エッセンシャルオイル、又は植物自体といった少なくとも1つの付加的な植物を含み得る。適切な植物は、限定されることなく、アビエスピンドロー(Abies pindrow),アセンヤクノキ(Acacia catechu),アノゲイサスラティフォリア(Anogeissus latifolia),アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica),アザディラチタ インディカ(Azadirachta indica),ハナモツヤクノキ(Butea frondosa),ハナモツヤクノキ(Butea monosperma),ヒマラヤシダー(Cedrus deodara),アンマロク(Emblica officinalis),ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis),カンゾウ(Glycyrrhiza glabra),ナナミノキ(Ilex purpurea Hassk),イヌララセモサ(Innula racemosa),リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong),リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum),クスノハガシワ(Mallotus philippinensis),ミサキノハナ(Mimusops elengi),ヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia),ワサビノキ(Moringa oleifera),ナリンギクレヌラタ(Naringi crenulata),キョウチクトウ(Nerium indicum),オランダビユ(Psoralea corylifolia),Stenoloma chusana,ビビタキ(Terminalia bellerica),トマト糖脂質(tomato glycolipid)からの抽出物、及びそれらの混合物を含む。
【0058】
組成物は、抗老化効果を有する付加的な活性成分を含有し得る。このような組み合わせにより相乗効果が得られることが期待されるからである。典型的な抗老化成分は、限定されることなく、数例を挙げると、植物(例えば、ツルハナモツヤクノキ(Butea Frondosa)抽出物);チオジプロピオン酸(TDPA)及びそのエステル;レチノイド(例えば、オール−トランスレチノイン酸,9−シスレチノイン酸,フィタン酸、及びその他);ヒドロキシ酸(α−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸),サリチル酸及びサリチル酸塩;角質除去剤(例えば、グリコール酸,3,6,9−トリオキサウンデカン二酸等),エストロゲン合成酵素促進化合物(例えば、カフェイン及び誘導体);5α−リダクターゼ活性阻害作用を有する化合物(例えば、リノレン酸、リノール酸、フィナステライド、及びこれらの混合物);バリア機能促進剤(例えば、セラミド、グリセリド、コレステロール、及びこれらのエステル、α−ヒドロキシ脂肪酸、ω−ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらのエステル等);コラゲナーゼ阻害剤;並びにエラスターゼ阻害剤を含む。
【0059】
典型的なレチノイドは、限定されることなく、レチノイン酸(例えば、オール−トランス又は13−シス)及びそれらの誘導体,パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール及びレチノールプロピオナートといったレチノール(ビタミンA)及びそれらのエステル、並びにそれらの塩を含む。
【0060】
他の実施態様において、本発明の局所用組成物はまた、皮膚浸透促進剤、エモリエント、皮膚プランパー、オプティカルディフューザー、サンスクリーン、角質除去剤、及び抗酸化剤のうちの1又は2以上を含んでいてもよい。
【0061】
エモリエントは、皮膚の滑らかさを向上させ、小じわ及び粗いしわの外観を低減させる機能的効果を提供する。例は、イソプロピルミリステート、ペトロラタム、イソプロピルラノレート、シリコーン(例えば、メチコン、ジメチコン)、油、鉱物油、脂肪酸エステル、セチルエチルヘキサノエート、炭素数12〜15のアルキルベンゾエート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピル二量体ジリノエート、又はこれらの混合物を含む。エモリエントは好ましくは、組成物の全重量の約0.1重量%から約50重量%存在し得る。
【0062】
皮膚プランパーは、皮膚のコラーゲン促進剤として機能する。適切かつ好ましい皮膚プランパーの例は、パルミトイルオリゴペプチドである。他の皮膚プランパーは、コラーゲン及び/又は他のグリコサミノグリカン(CAG)の促進剤である。皮膚プランパーが存在する場合、組成物の全重量の約0.1重量%から約20重量%を構成し得る。
【0063】
オプティカルディフューザーは、皮膚表面の視覚を変化させる粒子であり、それにより、例えば線及びしわを視覚的にぼやかし和らげることができる。本発明において用いられ得るオプティカルディフューザーの例は、限定されることなく、窒化ホウ素、マイカ、ナイロン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリウレタン粉末、絹雲母、シリカ、シリコーン粉末、タルク、テフロン、二酸化チタン、酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含む。オプティカルディフューザーが存在する場合、組成物の全重量の約0.01重量%から約20重量%で存在し得る。
【0064】
ダメージを与える紫外線光から皮膚を保護するためのサンスクリーンがまた、含まれ得る。好ましいサンスクリーンは、オクトクリレン、アボベンゾン(Parsol 1789)、オクチルメトキシシナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、ホモサレート、ベンゾフェノン、しょうのうの誘導体、酸化亜鉛、及び二酸化チタンといった、UVB及びUBAの広範囲における保護が可能なものである。サンスクリーンが存在する場合、組成物の約0.01重量%から約70重量%を構成し得る。
【0065】
適切な角質除去剤は、例えば、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、オキソ酸、オキソ二酸、並びにエステル、無水物、及び塩といったそれらの誘導体を含む。適切なヒドロキシ酸は、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、2−ヒドロキシアルカン酸、マンデル酸、サリチル酸、及びこれらの誘導体を含む。好適な角質除去剤は、グリコール酸である。角質除去剤が存在する場合、組成物の約0.1重量%から約80重量%を構成し得る。
【0066】
抗酸化剤はとりわけ、環境の外的因子から皮膚を保護するために、皮膚からフリーラジカルを捕捉するように機能する。本発明において用いられ得る抗酸化剤の例は、アスコルビン酸及びその誘導体/エステル;α−ヒドロキシ酸;β−カロテン;カテキン、クルクミン;フェルラ酸誘導体(例えば、フェルラ酸エチル、フェルラ酸ナトリウム);没食子酸誘導体(例えば、没食子酸プロピル);リコペン;還元酸;ロスマリン酸;タンニン酸;テトラヒドロクルクミン;トコフェロール及びその誘導体(例えば、トコフェリルアセテート);尿酸;又はこれらの混合物といったフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物を含む。他の適切な抗酸化剤は、グルタチオン、リポ酸、チオグリコール酸、及び他のスルフヒドリル化合物といった、還元型又は非還元型での、1又は2以上のチオール基(−SH)を有するものである。抗酸化剤は、亜硫酸水素塩、メタ亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、又は硫黄を含む他の無機塩及び酸といった、無機物でもよい。本発明の組成物は、抗酸化剤を、組成物の全重量の好ましくは約0.001重量%から約10重量%、より好ましくは約0.01重量%から約5重量%含有し得る。
【0067】
他の通常の添加剤は、トコフェロール及びアスコルビン酸といったビタミン;アスコルビルモノパルミテートといったビタミン誘導体;ヒドロキシアルキルセルロースといった増粘剤;ゲル化剤;ベントナイト、スメクタイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム及びケイ酸リチウムマグネシウムといった構造化剤(structuring agent);EDTAといった金属キレート剤;酸化亜鉛及び二酸化チタンといった顔料;着色料;エモリエント;並びに保湿剤を含む。
【0068】
組成物は、例えば有機過酸化物又は無機過酸化物を含む、強力な酸化作用を有する成分を本質的に含まないのが好ましい。“本質的に含まない”とは、(該成分が)存在する量では、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物のカルシニューリン阻害活性に測定可能な影響を与えるほどではないことを意味する。いくつかの実施態様において、該成分は、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物の量に関連して、1重量%未満含まれる。
【0069】
一実施態様において、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する本発明の組成物は、約1と約8との間のpHを有し得る。ある実施態様において、該組成物のpHは、酸性であり、すなわち、7.0未満、好ましくは約2と約7との間、より好ましくは約3.5と約5.5との間である。
【0070】
本発明は、好ましくは化粧品として許容可能な媒材中に、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する組成物を局所適用することにより老化した皮膚を治療する方法を提供する。該組成物は、老化の皮膚科学的なサインを低減させ、改良させ、改善させ、又は抑制するのに十分な期間、罹患部位に適用される。この方法は具体的には、皮膚の光老化及び内因性の老化のサインを治療するのに有用である。
【0071】
概して、コンディション及び/又は審美上の外観における改善は、年齢による老化、光老化、ホルモンによる老化、及び/又は化学線による老化の皮膚科学的なサインを低減させる;線及び/又はしわの外観を抑制及び/又は低減させる;顔の線及びしわ、頬、額のしわ、眉間のしわ、目の上及び口の周りの横じわ、マリオネットライン、並びに特に深いしわ又は折り目の外観を低減させる;線及び/又はしわの外観及び/又は深さを抑制、低減、及び/又は減少させる;眼窩下の線及び/又は眼窩周囲の線の外観を改善させる;目尻のしわの外観を低減させる;皮膚、具体的には老化した皮膚を若返らせ、及び/又は再生させる;皮膚の脆弱性を低減させる;グリコサミノグリカン及び/又はコラーゲンの喪失を抑制及び/又は改善させる;エストロゲンのアンバランスの影響を改善させる;皮膚萎縮を抑制する;色素過剰を抑制し、低減させ、及び/又は治療する;皮膚の変色を最小化する;皮膚のトーン、輝き、明るさ、及び/又はこわばりを改善させる;皮膚のたるみを抑制し、低減させ、及び/又は改良する;皮膚の硬さ、張り(plumpness)、柔軟性、及び/又は柔らかさを改善する;プロコラーゲン及び/又はコラーゲン生成を改善させる;皮膚のきめを改善させ、及び/又は再組織化を促進する;皮膚のバリア修復及び/又は機能を改善させる;皮膚の凹凸の外観を改善させる;皮膚の光沢及び/又は輝きを回復させる;疲労及び/又はストレスの皮膚化学的なサインを最小化する;環境的なストレスに耐える;老化及び/又は更年期により減少した皮膚の成分を補充する;皮膚細胞間のコミュニケーションを改善させる;細胞増殖及び/又は増加を促進する;老化及び/又は更年期により減少した皮膚細胞の代謝を促進する;細胞の老化を遅らせる;皮膚の湿潤を向上させる;皮膚の厚さを強化させる;皮膚の弾性及び/又は弾力性を増加させる;剥離を促進する;微小循環を改善させる;セルライト形成を減少及び/又は抑制する;並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0072】
特定の理論に縛られるものではないが、本発明の組成物は、炎症を低減させ、及び/又は皮膚の線維芽細胞におけるカルシニューリン活性を阻害することで、皮膚の審美上の外観を向上させ、及び改善させると考えられる。
【0073】
組成物は典型的には、所望の抗老化作用が得られるのに必要な期間、毎日1回、2回、又は3回皮膚に適用される。治療レジメンは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも8週間、又は少なくとも12週間、毎日適用することを含み得る。長期間の治療レジメンもまた、期待される。
【0074】
メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する組成物は、“個人の必要に応じて”局所適用される。この個人とは、皮膚のダメージ又は老化の、目に見えるサインを低減する利益を受ける個人を意味する。特定の実施態様において、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物は、薬学的に、生理学的に、化粧品として、及び皮膚化学的に許容可能な媒材、希釈剤、又はキャリア中に提供され、組成物は、皮膚のコンディション及び審美上の外観を改善させるのに有効な量で、皮膚の罹患部位に局所適用され、及び罹患部位に留まるように適用される。
【0075】
一実施態様において、小じわ及びしわを治療する方法は、必要に応じて個人の皮膚にメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する本発明の組成物を局所適用することを含み、例えば、小じわ及び/若しくはしわの程度を低減させ、又は新しい小じわ及び/若しくはしわの形成を抑制若しくは阻害するのに十分な量及び期間で、小じわ及び/若しくはしわに直接的に局所適用する。小じわ及びしわの形成又は外観に対する組成物の効果は、定性的に(例えば目視により)、又は定量的に(例えば顕微鏡又はコンピューターによるしわの形態の評価(例えば、皮膚の単位領域あたりのしわの数、深さ、長さ、面積、容積、及び/又は幅)により)、評価され得る。この実施態様は、手、腕、足、首、胸、額を含む顔の皮膚におけるしわの治療を含む。
【0076】
本発明の組成物は、必要に応じて個人のひ薄化した皮膚に該組成物を局所適用することによる、ひ薄化した皮膚の治療にも有用であることが期待される。“ひ薄化した皮膚”の意味には、年齢による老化、更年期、又は光によるダメージに起因してひ薄化した皮膚が含まれる。いくつかの実施態様において、該治療は男性のひ薄化した皮膚を対象とし、一方、他の実施態様においては、該治療は更年期前又は更年期後の女性のひ薄化した皮膚を対象とする。皮膚のひ薄化は、男性と女性とで年齢により異なり、特に女性において年齢の段階により異なると考えられている。
【0077】
本発明の方法は、老化を未然に防ぐように予防的に利用され得、(対象として)皮膚の老化のサインを呈していない患者、通常25歳以下の個人を含む。該方法はまた、通常25歳以上の患者においていったん現れた老化のサインを改善し、又は治療し得る。
【実施例1】
【0078】
(メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物の調製)
プロセスは概して、典型的には水蒸気蒸留(steam distillation)に言及されているものの、バイオマスの部分的な浸水及び沸騰水の蒸気を利用するというように、水蒸気蒸留(steam distillation)と水中蒸留(hydro−distillation)とを組み合わせて行われる。水蒸気蒸留(steam distillation)では、熱により植物の脂腺が開かれ、エッセンシャルオイルと水とが混合される。その後、蒸気圧の上昇及びそれに対応する沸点下降(2つの非混和性の液体を混合させることで生じる)により、エッセンシャルオイル(通常200℃以上の沸点を有する)が100℃未満で沸騰するようになる。
【0079】
オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)の北岸で野生していたメリコペハイエシー(Melicope hayesii)の木から葉及び末端枝を切り出した。約2.102kgの葉のバイオマスを、レシーバーコンデンサー及び500mLの分離フラスコを有する蒸留ユニットとしてセットされた20Lの反応導管に大まかに投入した。4Lの熱水を該導管に加え、ホットプレートでさらに加熱した。コンデンサーの流速を、分離じょうごにおける蒸留温度が少なくとも50℃となるように調節した。エッセンシャルオイルが水中に浮かんでいた。約1時間後、水を抜いて該導管に戻した。蒸留を8.5時間後で終了させた。その際には、それ以上のオイルは蒸留されなかった。分離フラスコ中の水を抜き、エッセンシャルオイルを取り出した。2.102kgの葉のバイオマスから3.35gのエッセンシャルオイルが作られ、収率は0.16%であった。エッセンシャルオイルの相対密度は20℃で0.950であり、屈折率は20℃で1.510であった。
【0080】
この抽出プロセスにおいて、特に生成のためにより大きな容量にスケールアップする間において、他の仕様、変更、及び適応が可能である。
【実施例2】
【0081】
(カルシニューリン活性の阻害)
メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物のカルシニューリン活性調節能を評価するために、ex−vivoのホスファターゼアッセイを用いた。
【0082】
ex−vivoのホスファターゼアッセイ:カルシニューリン活性調節を、DiFMUP(6,8−ジフルオロ−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン ホスファターゼ)ホスファターゼアッセイ(Wegner et al.,2007,Methods Mol.Biol.365:61−69を参照、この内容の全体は参照により本明細書に取り込まれる)を用いて観察する。DiFMUPの脱リン酸化により、高い蛍光性を有し、かつ安定的な生成物:Di4MUが生成される。種々の濃度の抽出物を反応バッファー(典型的には、50mMのTris−HCl、pH7.4、0.0125%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.1mMのCaCl、400U/mLのカルモジュリン、及び1mMのNiClを含有する)に加える。反応バッファー混合物を30分間37℃でインキュベートする。その後、DiFMUの基質を10μMの濃度に加え、混合物をさらに15分間37℃でインキュベートする。蛍光強度をスペクトロフルオロメーターで測定する。
【0083】
結果:最も低い濃度において、0.001%重量/容量の濃度では、メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物はカルシニューリン活性を17%阻害した。メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物の濃度を上げると、用量依存的にカルシニューリン活性阻害が高くなり、0.01%及び0.1%の濃度では、活性が各々69%及び97%低下した。化合物のIC50は、0.0047%と予測された。メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する組成物の局所適用により、炎症性の皮膚の状態に関連する症状が改善されることが示唆される。
【実施例3】
【0084】
(典型的な組成物)
皮膚への局所適用のためのメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する化粧品組成物を表1に示す。
【表1】

【0085】
これらの組成物は、皮膚の老化のサインを治療し、改善し、改良し、及び/又は抑制する効果を有すると考えられる。具体的には、該組成物は、皮膚の小じわ及びしわの外観を低減させると考えられる。表1の組成物は、特にしわ及び/又は小じわを有する皮膚において、治療の必要に応じて(皮膚の抗老化効果の必要に応じて、の意味)皮膚に適用される。該化粧品組成物は、小じわ及び/又はしわに直接適用され得る。典型的な組成物は、限定されることなく、顔、首、及び/又は手の皮膚を含む、皮膚の表面の小じわ及び/又はしわを治療し、改善させ、改良させ、及び/又は抑制するために適用され得る。
【0086】
該化粧品組成物は、所望の抗老化効果が得られるのに必要な期間、毎日1回、2回、又は3回、皮膚、小じわ及び/又はしわに適用される。治療レジメンは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも8週間、又は少なくとも12週間、毎日適用することを含み得る。あるいは、典型的な化粧品組成物は、皮膚、小じわ及び/又はしわの長期間の治療において用いられ得る。
【0087】
本明細書に記載された特許出願及び公報を含む全ての参照は、各々個々の公報、特許、又は特許出願が全ての目的のためにその全てにおいて参照により取り込まれるよう具体的及び個別に示唆される場合と同様に、その全体において及び全ての目的のために参照により本明細書に取り込まれる。この発明の多くの改良及び変形が、本技術分野における当業者にとって明らかであるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載された特定の実施態様は、例示のために提供されたにすぎず、本発明は、特許請求の範囲に記載されたものの同等物の全範囲と同様に、特許請求の範囲に記載された用語のみに制限されない。
【0088】
(関連する出願)
本出願は、米国特許出願12/344,787(出願日2008年12月29日)に基づく優先権を主張しており、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容可能な媒材中に、皮膚に抗老化効果を与えるのに有効な量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する組成物を、必要に応じて個人の皮膚に局所適用すること、を含む、ヒトの皮膚に抗老化効果を与える方法。
【請求項2】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、カルシニューリン活性を阻害するのに十分な量で存在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、前記組成物の全重量に基づき、0.0001重量%から90重量%の量で存在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、前記組成物の全重量に基づき、0.001重量%から25重量%の量で存在する、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、前記組成物の全重量に基づき、0.01重量%から10重量%の量で存在する、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗老化効果が、下記(a)〜(q)
((a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/若しくは抑制する、
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする、
(c)皮膚の厚み、ふくらみ、及び/若しくは張りを改善する、
(d)皮膚の柔らかさ、及び/若しくは柔軟性を改善する、
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/若しくは透明度を改善する、
(f)プロコラーゲン及び/若しくはコラーゲンの生成を改善する、
(g)エラスチンの維持及び再構築を改善する、
(h)皮膚のきめを改善し、及び/若しくは再組織化を促進する、
(i)皮膚バリアを修復し、及び/若しくはその機能を改善する、
(j)皮膚の凹凸を改善する、
(k)皮膚の艶及び/若しくは明るさを修復する、
(l)皮膚の必須栄養素及び/若しくは構成要素を補充する、
(m)更年期により劣化した皮膚の外観を改善する、
(n)皮膚の潤いを改善する、
(o)皮膚の弾性を向上させ、及び/若しくは皮膚の弾性の喪失を抑制する、
(p)皮膚のたるみを治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する、又は、
(q)皮膚の変色を治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する)
からなる群より選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗老化効果が、小じわ又はしわの治療、低減、及び/又は抑制である、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗老化効果が、皮膚のたるみの治療、低減、及び/又は抑制である、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記抗老化効果が、皮膚の変色の治療、低減、及び/又は抑制である、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記抗老化効果が、皮膚の弾性の向上、及び/又は皮膚の弾性の喪失の抑制である、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が水蒸気蒸留により得られる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
しわ及び/又は小じわの程度を低減させるのに十分な期間、化粧品として許容可能な媒材中に有効量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物を含有する組成物を、必要に応じて個人の皮膚における前記しわ及び/又は小じわに局所適用すること、を含む、皮膚における前記しわ及び/又は小じわを治療する方法。
【請求項13】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が水蒸気蒸留により得られる、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
皮膚に抗老化効果を与えるのに有効な、ある量のメリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物と、
化粧品として許容可能な媒材と、
を含有し、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、又はスティックの形態である、皮膚に抗老化効果を与えるための局所用組成物。
【請求項15】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、カルシニューリン活性を阻害するのに十分な量で存在する、
ことを特徴とする請求項14に記載の局所用組成物。
【請求項16】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、前記局所用組成物の全重量に基づき、0.0001重量%から90重量%の量で存在する、
ことを特徴とする請求項14に記載の局所用組成物。
【請求項17】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、前記局所用組成物の全重量に基づき、0.001重量%から25重量%の量で存在する、
ことを特徴とする請求項16に記載の局所用組成物。
【請求項18】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が、前記局所用組成物の全重量に基づき、0.01重量%から10重量%の量で存在する、
ことを特徴とする請求項17に記載の局所用組成物。
【請求項19】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が水蒸気蒸留により得られる、
ことを特徴とする請求項14に記載の局所用組成物。
【請求項20】
前記化粧品として許容可能な媒材が、油中水滴型エマルション又は水中油滴型エマルションを含有する、
ことを特徴とする請求項14に記載の局所用組成物。
【請求項21】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が少なくとも1つの他の皮膚活性剤と組み合わされる、
ことを特徴とする請求項14に記載の局所用組成物。
【請求項22】
前記メリコペハイエシー(Melicope hayesii)抽出物が少なくとも1つの他の植物と組み合わされる、
ことを特徴とする請求項14に記載の局所用組成物。
【請求項23】
前記他の植物が、アビエスピンドロー(Abies pindrow),アセンヤクノキ(Acacia catechu),アノゲイサスラティフォリア(Anogeissus latifolia),アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica),アザディラチタ インディカ(Azadirachta indica),ハナモツヤクノキ(Butea frondosa),ハナモツヤクノキ(Butea monosperma),ヒマラヤシダー(Cedrus deodara),アンマロク(Emblica officinalis),ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis),カンゾウ(Glycyrrhiza glabra),ナナミノキ(Ilex purpurea Hassk),イヌララセモサ(Innula racemosa),リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong),リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum),クスノハガシワ(Mallotus philippinensis),ミサキノハナ(Mimusops elengi),ヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia),ワサビノキ(Moringa oleifera),ナリンギクレヌラタ(Naringi crenulata),キョウチクトウ(Nerium indicum),オランダビユ(Psoralea corylifolia),Stenoloma chusana,ビビタキ(Terminalia bellerica),トマト糖脂質(tomato glycolipid)、及びそれらの混合物からなる群より選択される、
ことを特徴とする請求項22に記載の局所用組成物。

【公表番号】特表2012−513996(P2012−513996A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543509(P2011−543509)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/057307
【国際公開番号】WO2010/077396
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】