説明

メンブレンスイッチ、キーボードおよびキーボードを有する電子機器

【課題】本発明は、簡単な作業で導体パターンの防水性を充分に確保でき、防水面での信頼性が高まるメンブレンスイッチを得ることにある。
【解決手段】メンブレンスイッチ16は、固定接点34を有する第1のシート部31と、可動接点36を有する第2のシート部32と、折り返し線Aを有する折り返し部33とを備える可撓性の絶縁シート30を含んでいる。第1のシート部31と第2のシート部32とは、折り返し線Aを間に挟んで線対称に配置される。折り返し部33は、折り返し線Aを横切る導体パターン40を有している。絶縁シート30の折り返し部33を、固定接点34と可動接点36とが互いに対向し合うように折り返し線Aに沿って折り返すことで、折り返し部33の曲げ内側に導体パターン40が位置する隙間42が形成される。隙間42に電気絶縁性および撥水性を有する接着剤45が充填されている。接着剤45は、導体パターン40を被覆している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り返して使用する可撓性の絶縁シートを有するメンブレンスイッチに係り、特に絶縁シートの折り返し部分の防水性を高める構造に関する。さらに本発明は、メンブレンスイッチを用いてキートップの押し下げ動作を電気的に検出するキーボード、およびキーボードを有するポータブルコンピュータのような電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばポータブルコンピュータに用いるキーボードは、キートップの押し下げ動作を電気的に検出するメンブレンスイッチを備えている。メンブレンスイッチは、複数の固定接点および複数の可動接点を有している。固定接点および可動接点は、夫々キートップに対応するように互いに間隔を存して向かい合っている。
【0003】
例えば特許文献1は、固定接点および可動接点を可撓性を有する一枚の絶縁シートの片面に印刷するとともに、固定接点と可動接点とが互いに対向するように絶縁シートを折り返して使用する形態のメンブレンスイッチを開示している。
【0004】
この種の折り返しタイプのメンブレンスイッチによると、絶縁シートは、固定接点が印刷された第1のシート部と、可動接点が印刷された第2のシート部と、第1のシート部と第2のシート部との間に介在される折り返し部とを備えている。
【0005】
第1のシート部と第2のシート部とは、折り返し部を間に挟んで互いに対称に配置されている。さらに、折り返し部には、折り返し部を横切る複数の導体パターンが印刷されている。導体パターンは、第1のシート部と第2のシート部との間に跨るように配線されている。
【0006】
絶縁シートの折り返し部は、固定接点と可動接点とが互いに対向し合うように折り返されている。この折り返しにより、折り返し部の曲げ内側に隙間が形成され、この隙間に導体パターンが露出している。
【0007】
ところで、従来の折り返しタイプのメンブレンスイッチによると、絶縁シートの折り返し部は、メンブレンスイッチの薄型化を図るために比較的大きな曲率で折り曲げられている。そのため、絶縁シートの折り返し部にストレスが加わり易く、長期間に亘って使用した場合に、折り返し部に微細な亀裂が発生する虞があり得る。
【0008】
この結果、キーボードの使用環境によっては、水分が亀裂を伝わって折り返し部の内側の隙間に浸入するのを避けられず、これが原因で隙間に露出している導体パターンにマイグレーションが発生するといった問題がある。
【0009】
これを改善するため、特許文献1に開示されたメンブレンスイッチでは、絶縁シートの折り返し部に粘着剤を介して防水性の保護フィルムを接着している。粘着剤は、保護フィルムの外周縁部に沿うように設けられており、その大部分が導体パターンから外れている。保護フィルムは、絶縁シートの反対側から導体パターンを覆うことで、導体パターン回りの防水性を確保している。
【特許文献1】特開平9−259693号公報 (図1、段落番号0012,0013)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1によると、保護フィルムは、粘着剤を介して絶縁シートに接着されるので、粘着剤が保護フィルムと絶縁シートとの間に隙間なく充填されるように、保護フィルムの接着作業を細心の注意を払って入念に行う必要がある。
【0011】
したがって、保護フィルムの接着作業に多大な手間と熟練を要し、作業に時間がかかるといった問題がある。
【0012】
さらに、保護フィルムを絶縁シートに接着した状態では、保護フィルムが粘着剤を覆い隠すので、保護フィルムの接着が充分であるか否かの判断が難しいものとなる。この結果、保護フィルムの接着状態が製品毎にばらつき易く、導体パターンの防水性を維持する上での信頼性が低下するといった不具合がある。
【0013】
本発明の目的は、簡単な作業で導体パターンの防水性を充分に確保することができ、耐候性、耐マイグレーション性に優れるとともに、防水面での信頼性が高いメンブレンスイッチを得ることにある。
【0014】
本発明の他の目的は、防水性に優れたメンブレンスイッチを有するキーボードを得ることにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、防水性に優れたキーボードを有する電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るメンブレンスイッチは、
第1の接点を有する第1のシート部と、第2の接点を有する第2のシート部と、折り返し線を有する折り返し部とを備える可撓性の絶縁シートを含んでいる。
上記第1のシート部と上記第2のシート部とは、上記折り返し線を間に挟んで配置されるとともに、上記折り返し部は上記折り返し線を横切る導体パターンを有し、
上記第1の接点と上記第2の接点とが互いに対向し合うように上記絶縁シートの折り返し部を上記折り返し線に沿って折り返すことで、上記折り返し部の曲げ内側に上記導体パターンが位置する隙間が形成され、この隙間に電気絶縁性および撥水性を有する接着剤が充填されて、この接着剤により上記導体パターンが被覆されていることを特徴している。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るキーボードは、
複数のキートップと、上記キートップによって操作されるメンブレンスイッチと、を備えている。
上記メンブレンスイッチは、上記キートップに対応する複数の第1の接点を有する第1のシート部と、上記キートップに対応する複数の第2の接点を有する第2のシート部と、折り返し線を有する折り返し部とを備える可撓性の絶縁シートを含み、
上記第1のシート部と上記第2のシート部とは、上記折り返し線を間に挟んで線対称に配置されるとともに、上記折り返し部は、上記折り返し線を横切る導体パターンを有し、
上記第1の接点と上記第2の接点とが互いに対向し合うように上記絶縁シートの折り返し部を上記折り返し線に沿って折り返すことで、上記折り返し部の曲げ内側に上記導体パターンが位置する隙間が形成され、この隙間に、電気絶縁性および撥水性を有する接着剤を充填するとともに、この接着剤で上記導体パターンを被覆したことを特徴としている。
【0018】
さらに、本発明の一つの形態に係る電子機器は、
筐体と、上記筐体に支持されたキーボードとを備え、上記キーボードは、複数のキートップと、上記キートップによって操作されるメンブレンスイッチとを有している。
上記メンブレンスイッチは、上記キートップに対応する複数の第1の接点が形成された第1のシート部と、上記キートップに対応する複数の第2の接点が形成された第2のシート部と、折り返し線を有する折り返し部とを備える可撓性の絶縁シートを含み、
上記第1のシート部と上記第2のシート部とは、上記折り返し線を間に挟んで線対称に配置されるとともに、上記折り返し部は、上記折り返し線を横切る導体パターンを有し、
上記第1の接点と上記第2の接点とが互いに対向し合うように上記絶縁シートの折り返し部を上記折り返し線に沿って折り返すことで、上記折り返し部の曲げ内側に上記導体パターンが位置する隙間が形成され、この隙間に電気絶縁性および撥水性を有する接着剤を充填するとともに、この接着剤で上記導体パターンを被覆したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、絶縁シートの折り返し部に位置する導体パターンが接着剤によって直に覆われるので、簡単な作業で導体パターンの防水性を充分に確保することができる。したがって、防水面での信頼性が向上し、耐候性、耐マイグレーション性に優れた折り返しタイプのメンブレンスイッチを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図面に基づいて説明する。
【0021】
図1および図2は、電子機器の一例であるポータブルコンピュータ1を開示している。ポータブルコンピュータ1は、本体ユニット2とディスプレイユニット3とを備えている。本体ユニット2は、偏平な箱状の第1の筐体4を有している。第1の筐体4は、例えばCPUが実装されたプリント配線板やハードディスク駆動装置のような主要な構成要素を収容している。第1の筐体4は、フラットな上面4aを有し、この上面4aの中央部にキーボード取り付け部5が形成されている。
【0022】
ディスプレイユニット3は、偏平な箱状の第2の筐体7と、第2の筐体7に収容された液晶表示パネル8とを備えている。液晶表示パネル8は、スクリーン8aを有している。スクリーン8aは、第2の筐体7の前面に開けた開口部9を通じてディスプレイユニット3の外に露出している。
【0023】
ディスプレイユニット3は、第1の筐体4の後端部から突出する一対のヒンジ部10a,10bに支持されている。ディスプレイユニット3は、ヒンジ部10a,10bを支点として、本体ユニット2の上に横たわる閉じ位置と、本体ユニット2の後端から起立する開き位置との間で回動可能となっている。
【0024】
第1の筐体4のキーボード取り付け部5にキーボード12が固定されている。図3に示すように、キーボード12は、キーボードベース13、複数のキートップ14、複数のパンタグラフ式のキートップ支持部15および折り返しタイプのメンブレンスイッチ16を備えている。
【0025】
キーボードベース13は、キーボード取り付け部5に嵌まり込むような平坦な板状をなしている。キーボードベース13は、下フレーム17と上フレーム18とを有している。下フレーム17および上フレーム18は、互いに積層されている。
【0026】
キーボードベース13の前端縁は、キーボード取り付け部5に引っ掛かっている。キーボードベース13の後端縁は、キーボードベース13の後方に突出する一対の舌片19a,19bを有し、これら舌片19a,19bがねじ20を介してキーボード取り付け部5に固定されている。舌片19a,19bおよびねじ20は、帯状のカバー21によって覆い隠される。
【0027】
キートップ14は、キーボードベース13の上にマトリックス状に配列されており、夫々指先で押圧し得る大きさを有している。
【0028】
キートップ支持部15は、各キートップ14とキーボードベース13の上フレーム18との間に介在されている。キートップ支持部15は、第1のリンクレバー23、第2のリンクレバー24およびラバースプリング25を備えている。
【0029】
第1のリンクレバー23と第2のリンクレバー24とは、X字状に交差されるとともに、その交差部がピボット軸26を介して回動可能に連結されている。第1のリンクレバー23の上端は、キートップ14の下面の前部に回動可能に支持されているとともに、第1のリンクレバー23の下端は、上フレーム18の上面にスライド可能に支持されている。同様に、第2のリンクレバー24の上端は、キートップ14の下面の後部にスライド可能に支持されているとともに、第2のリンクレバー24の下端は、上フレーム18の上面に回動可能に支持されている。
【0030】
このことから、第1のリンクレバー23および第2のリンクレバー24は、ピボット軸26を中心として上下方向に相対的に回動可能であり、キートップ14をキーボードベース13に昇降動可能に支持している。
【0031】
言い換えると、キートップ14は、キーボードベース13の上方に押し上げられる待機位置と、キーボードベース13に沿うように沈み込む押し下げ位置との間で上下にストロークするようになっている。
【0032】
ラバースプリング25は、キートップ14の下面と上フレーム18との間に介在されている。ラバースプリング25は、上フレーム18に向けて開口するカップ状又はドーム状をなしており、常にキートップ14を待機位置に向けて弾性的に付勢している。さらに、ラバースプリング25の上端部に、下向きに突出する押圧突起27が一体に形成されている。押圧突起27は、上フレーム18に開けた貫通孔28と向かい合っている。
【0033】
メンブレンスイッチ16は、キートップ14の押し下げ動作を電気的に検出するためのものであり、下フレーム17と上フレーム18との間に介在されている。図4ないし図6に示すように、メンブレンスイッチ16は、一枚の絶縁シート30を有している。絶縁シート30は、例えばポリエチレンテレフタレートのような合成樹脂材料で造られており、可撓性を有している。
【0034】
絶縁シート30は、第1のシート部31、第2のシート部32および折り返し部33を一体に備えている。第1のシート部31および第2のシート部32は、互いに同じ形状を有している。第1のシート部31の一方の面に複数の固定接点34および複数の導体パターン35が印刷されている。固定接点34は、第1の接点の一例であって、上記キートップ14の配列に対応するように第1のシート部31の一方の面の上にマトリックス状に並んでいる。
【0035】
第2のシート部32の一方の面に複数の可動接点36および複数の導体パターン37が印刷されている。可動接点36は、第2の接点の一例であって、上記キートップ14の配列に対応するように第2のシート部32の一方の面の上にマトリックス状に並んでいる。
【0036】
折り返し部33は、第1のシート部31と第2のシート部32との間に位置するとともに、これら第1および第2のシート31,32を連結している。
【0037】
折り返し部33は、真っ直ぐな折り返し線Aを有している。折り返し線Aは、第1のシート部31と第2のシート部32とを分断するように、これらシート部31,32の並び方向と直交する方向に延びている。このため、固定接点34を有する第1のシート部31と、可動接点36を有する第2のシート部32とは、折り返し部33の折り返し線Aを間に挟んで線対称の位置関係を満たすように配置されている。
【0038】
さらに、折り返し部33は、複数の通孔38と複数のブリッジ部39とを有している。通孔38は、折り返し線Aの上に位置するとともに、折り返し線Aの長さ方向に間隔を存して並んでいる。
【0039】
ブリッジ部39は、通孔38の間に位置するとともに、第1のシート部31と第2のシート部32との間に跨っている。ブリッジ部39の一方の面の上に夫々導体パターン40が印刷されている。導体パターン40は、折り返し線Aを横切るとともに、第1のシート部31の所望の導体パターン35と第2のシート部32の所望の導体パターン37との間を電気的に接続している。
【0040】
絶縁シート30は、第2のシ−ト部32が第1のシート部31の上に位置するように、折り返し部33の折り返し線Aを折り目として180°折り返されている。この折り返しにより、固定接点34と可動接点36とが互いに間隔を存して向かい合っている。さらに、図7に示すように、折り返し部33のブリッジ部39がU形に折り返されて、このブリッジ部39の曲げ内側に隙間42が形成されている。
【0041】
言い換えると、折り返し部33は、導体パターン40が位置するブリッジ部39の一方の面を内側にしてU形に折り曲げられている。そのため、導体パターン40は、隙間42に面している。
【0042】
絶縁シート30を折り返し部33で折り返す際には、第1のシート部31と第2のシート部32との間に絶縁スペーサ43が介在されている。図3に示すように、絶縁スペーサ43は、固定接点34および可動接点36に対応する位置に、これら接点34,36を避ける通孔44を有している。
【0043】
この絶縁スペーサ43の存在により、固定接点34と可動接点36との間隔が一定に保たれる。図3に示すように、互いに対向し合う固定接点34および可動接点36は、キートップ14の押圧突起27の真下に位置している。
【0044】
本実施の形態では、絶縁シート30の折り返し部33を折り返す以前の段階で、ブリッジ部39の一方の面の上に例えばシリコンを主成分とする接着剤45を塗布している。接着剤45は、電気部品用のものであり、電気絶縁性および撥水性を有するとともに、耐熱性、揮発性に優れている。接着剤45は、ブリッジ部39の一方の面に位置する導体パターン40を直に覆っている。
【0045】
折り返し線Aを折り目としてブリッジ部39を折り返すと、図7に示すように、接着剤45がブリッジ部39の曲げ内側に形成される隙間42に充填される。この結果、隙間42が接着剤45によって隙間無く埋められるとともに、接着剤45が硬化することでブリッジ部39の折り曲げ形状が維持される。
【0046】
このようなメンブレンスイッチ16を有するキーボード12において、キートップ14を待機位置から押し下げ位置に向けて指先で押し下げると、第1および第2のリンクレバー23,24がラバースプリング25の付勢力に抗して下向きに回動する。
【0047】
それとともに、ラバースプリング25が圧縮されて、その押圧突起27が下方に移動する。これにより、第2のシート部32のうち可動接点36に対応する部分が押圧突起27によって下向きに押圧される。この結果、可動接点36が固定接点34に押し付けられ、メンブレンスイッチ16が閉じる。
【0048】
キートップ14の押し下げを解除すると、ラバースプリング25の付勢力によりキートップ14が押し下げ位置から待機位置に押し上げられ、ラバースプリング25の押圧突起27が第2のシート部32から離脱する。これにより、第2のシ−ト部32が自己の復元力によって元の形状に復帰し、可動接点36が固定接点34から離れる。よって、メンブレンスイッチ16が開く。このことから、メンブレンスイッチ16は、キートップ14によって操作される。
【0049】
本発明の実施の形態によると、絶縁シート30の折り返し部33を折り返す以前に、ブリッジ部39の一方の面の上に電気絶縁性および撥水性を有する電気部品用の接着剤45を塗布し、この接着剤45でブリッジ部39の一方の面に印刷された導体パターン40を直に覆っている。
【0050】
このため、接着剤45がブリッジ部39に確実に塗布されているか否かを目視により容易に見極めることができ、接着剤45を塗布する際の作業性が良好となる。
【0051】
さらに、接着剤45は、折り返し部33を折り返し線Aに沿って折り返した時に、ブリッジ部39の曲げ内側に形成される隙間42を埋めるので、隙間42に位置する導体パターン40を接着剤45で完全に被覆することができる。
【0052】
このため、メンブレンスイッチ16の長期間に亘る使用により、たとえブリッジ部39の縁に亀裂が生じて隙間42に水分が浸入したとしても、この水分は接着剤45によって弾かれ、導体パターン40に到達することはない。
【0053】
したがって、導体パターン40回りの防水性能を充分に確保することができ、導体パターン40にマイグレーションが発生し難くなる。よって、メンブレンスイッチ16の折り返し部分の耐候性および耐マイグレーション性が向上し、メンブレンスイッチ16の防水面での信頼性が格段に向上する。
【0054】
加えて、接着剤45は、硬化することで折り返し部33の折り曲げ形状を維持するので、接着剤45を利用して導体パターン40の変形を抑えることができる。したがって、導体パターン40に無理な力が加わらずに済み、導体パターン40の断線を確実に防止できる。
【0055】
それとともに、上記実施の形態によると、絶縁シート30の折り返し部33は、折り返し線Aの上に位置する複数の通孔38を有している。言い換えると、通孔38の存在により、折り返し部33が折り返し線Aの長さ方向に間隔を存して配置された複数のブリッジ部39に分断されるので、折り返し部33の面積が実質的に減少する。
【0056】
このため、折り返し部33を折り返し線Aに沿って折り返す時の抵抗が小さくなり、折り返し部33を少ない力で容易に折り返すことができる。よって、絶縁シート30を折り返す時に、導体パターン40に無理な力が加わり難くなり、この点でも導体パターン40の断線防止に役立つ。
【0057】
なお、本発明に係るメンブレンスイッチは、キーボード用に特定されるものではなく、例えば各種のタッチスイッチとしても同様に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】本発明の実施の形態において、筐体からキーボードを取り外した状態を示すポータブルコンピュータの斜視図。
【図3】本発明の実施の形態に係るキーボードの断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るキーボード用のメンブレンスイッチの平面図。
【図5】本発明の実施の形態において、絶縁シートを折り返す以前の第1のシート部、第2のシート部および折り返し部の位置関係を示すメンブレンスイッチの平面図。
【図6】本発明の実施の形態において、絶縁シートを折り返した状態を一部断面で示すメンブレンスイッチの平面図。
【図7】図6のF7−F7線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0059】
4…筐体(第1の筐体)、12…キーボード、14…キートップ、16…メンブレンスイッチ、30…絶縁シート、31…第1のシート部、32…第2のシート部、33…折り返し部、34…第1の接点(固定接点)、36…第2の接点(可動接点)、40…導体パターン、42…隙間、45…接着剤、A…折り返し線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接点を有する第1のシート部と、第2の接点を有する第2のシート部と、折り返し線を有する折り返し部とを備える可撓性の絶縁シートを含み、
上記第1のシート部と上記第2のシート部とは、上記折り返し線を間に挟んで配置されるとともに、上記折り返し部は上記折り返し線を横切る導体パターンを有し、
上記絶縁シートの折り返し部が上記折り返し線に沿って折り返されることで、上記第1の接点と上記第2の接点とが互いに対向し合うとともに、上記折り返しに伴って上記折り返し部の曲げ内側に形成される隙間に上記導体パターンが位置するメンブレンスイッチであって、
上記折り返し部の曲げ内側の隙間に、電気絶縁性および撥水性を有する接着剤が充填され、この接着剤により上記導体パターンが被覆されることを特徴とするメンブレンスイッチ。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記折り返し部は、上記折り返し線の上に位置する通孔と、上記第1のシート部と上記第2のシート部との間に跨るブリッジ部とを有し、上記接着剤は、上記ブリッジ部に塗布されていることを特徴とするメンブレンスイッチ。
【請求項3】
複数のキートップと、
上記キートップによって操作されるメンブレンスイッチと、を具備し、
上記メンブレンスイッチは、上記キートップに対応する複数の第1の接点を有する第1のシート部と、上記キートップに対応する複数の第2の接点を有する第2のシート部と、折り返し線を有する折り返し部とを備える可撓性の絶縁シートを含み、
上記第1のシート部と上記第2のシート部とは、上記折り返し線を間に挟んで線対称に配置されるとともに、上記折り返し部は、上記折り返し線を横切る導体パターンを有し、
上記絶縁シートの折り返し部を上記折り返し線に沿って折り返すことで、上記第1の接点と上記第2の接点とが互いに対向し合うとともに、上記折り返しに伴って上記折り返し部の曲げ内側に形成される隙間に上記導体パターンが位置するキーボードであって、
上記折り返し部の曲げ内側の隙間に、電気絶縁性および撥水性を有する接着剤を充填し、この接着剤で上記導体パターンを被覆したことを特徴とするキーボード。
【請求項4】
請求項3の記載において、上記絶縁シートの折り返し部は、上記折り返し線の上に位置する通孔と、上記第1のシート部と上記第2のシート部との間に跨るブリッジ部とを有し、上記接着剤は、上記ブリッジ部に塗布されていることを特徴とするキーボード。
【請求項5】
筐体と、
上記筐体に支持されたキーボードと、を具備する電子機器であって、
上記キーボードは、複数のキートップと、上記キートップによって操作されるメンブレンスイッチと、を備え、
上記メンブレンスイッチは、上記キートップに対応する複数の第1の接点が形成された第1のシート部と、上記キートップに対応する複数の第2の接点が形成された第2のシート部と、折り返し線を有する折り返し部とを備える可撓性の絶縁シートを含み、
上記第1のシート部と上記第2のシート部とは、上記折り返し線を間に挟んで線対称に配置されるとともに、上記折り返し部は、上記折り返し線を横切る導体パターンを有し、
上記第1の接点と上記第2の接点とが互いに対向し合うように上記絶縁シートの折り返し部を上記折り返し線に沿って折り返すことで、上記折り返し部の曲げ内側に形成される隙間に上記導体パターンが位置するとともに、上記隙間に電気絶縁性および撥水性を有する接着剤を充填し、この接着剤で上記導体パターンを被覆したことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5の記載において、上記絶縁シートの折り返し部は、上記折り返し線の上に位置する通孔と、上記第1のシート部と上記第2のシート部との間に跨るブリッジ部とを有し、上記接着剤は、上記ブリッジ部に塗布されていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−323906(P2007−323906A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151671(P2006−151671)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】