説明

メール処理システム、メール処理サーバ、メール処理方法及びそのプログラム並びに言語処理システム、言語処理サーバ、言語処理方法及びそのプログラム

【課題】送信先の言語を意識することなく、多言語によるコミュニケーションを行うことができるメール処理システム、メール処理サーバ、メール処理方法及びそのプログラム並びに言語処理システム、言語処理サーバ、言語処理方法及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】第1の端末12は、送信元のものであり、例えば日本人のAさんが用いている。第2の端末14は、送信先のものであり、例えば中国人のBさんが用いている。メール処理サーバ16は、言語情報記憶手段である宛先リスト18を持ち、第1の端末12と第2の端末14とに、LANやインターネット等のネットワークを介して接続されている。宛先リスト18は、Aさん、Bさん等のアドレスと使用言語とを対応付けて記憶している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多言語で文書を交換するためのメール処理システム、メール処理サーバ、メール処理方法及びそのプログラム並びに言語処理システム、言語処理サーバ、言語処理方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワーク環境下にあっては、種々の言語で文書が交換される。種々の言語そのままでは、ユーザが理解できないことがあるので、翻訳サービスが考えられる。従来、電子メールを所定の言語に自動的に翻訳すると共に、電子メールの原文と翻訳文とを受信者側で表示できるようにしたシステムが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−209580
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例においては、送信元の送信者が送信先の言語を指定し、指定された言語に翻訳し、翻訳された文書を送信先に送信するように構成されているので、送信元の送信者は、常に送信先の言語を意識し、一々送信する毎に送信先の言語を指定しなければならない。特に多数の人々と多数の言語でメール通信する場合、送信先の言語を指定することは面倒であるばかりではなく、不可能に近い。
【0005】
本発明の目的は、送信先の言語を意識することなく、多言語によるコミュニケーションを行うことができるメール処理システム、メール処理サーバ、メール処理方法及びそのプログラム並びに言語処理システム、言語処理サーバ、言語処理方法及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、送信元から送信された文書を受け付ける受付手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果に基づいて送信元の文書を送信先の言語に翻訳する翻訳手段と、この翻訳手段により翻訳された文書を送信先に送信する送信手段とを有するメール処理システムにある。したがって、送信元から送信された文書は、言語情報記憶手段に記憶されている言語情報に基づいた言語に翻訳されて送信先に送られるので、送信元では送信先の言語を意識する必要がない。
【0007】
本発明の第2の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、送信元から送信された文書を受け付ける受付手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段と、この判定手段に基づいて翻訳された文書を送信先に送信する送信手段とを有するメール処理サーバにある。送信先から送られた文書は、メール処理サーバ内で翻訳されるようにしてもよいし、他のサーバに送って他のサーバで翻訳されたものをメール処理サーバに戻すようにしてもよいし、さらに人間により翻訳されるようにしてもよい。
【0008】
本発明の第3の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、送信元から送信された文書を受け付け、前記言語情報から翻訳すべき言語を言語間を判定し、この判定結果に基づいて送信元の言語を送信先の言語に翻訳し、翻訳された文書を送信先に送信するメール処理方法にある。
【0009】
本発明の第4の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、送信元から送信された文書を受け付けるステップと、前記言語情報から翻訳すべき言語間を判定するステップと、この判定結果に基づいて送信元の言語を送信先の言語に翻訳するステップと、翻訳された文書を送信先に送信するステップとをコンピュータで実行するプログラムにある。
【0010】
本発明の第5の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果に基づいて送信元の文書を送信先の言語に翻訳する翻訳手段とを有する言語処理システムにある。
【0011】
本発明の第6の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段とを有する言語処理サーバにある。
【0012】
本発明の第7の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、前記言語情報から翻訳すべき言語間を判定する言語処理方法にある。
【0013】
本発明の第8の特徴とするところは、アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、前記言語情報から翻訳すべき言語間を判定するステップをコンピュータで実行するプログラムにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上述したように、送信元では送信先の言語を意識することなく、送信元の文書を送信先の言語に翻訳して送ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を実施するためのコンピュータシステム10を示す。好適な実施の形態を説明するためにコンピュータシステム10を示したが、図示のコンピュータシステム10に限定されず、PDA、携帯電話等、種々の電子的処理システムにおいても用いることができる。第1の端末12は、例えば送信元のものであり、例えば日本人のAさんが用いている。第2の端末14は、例えば送信先のものであり、例えば中国人のBさんが用いている。メール処理サーバ16は、言語情報記憶手段である宛先リスト18を持ち、第1の端末12と第2の端末14とに、LANやインターネット等のネットワークを介して接続されている。
【0016】
宛先リスト18は、Aさん、Bさん等のアドレスと使用言語とを対応付けて記憶している。例えば第1の端末12は日本のAさんが日本語でBさん宛てにメッセージ(文書)を出す。メール処理サーバ16はそのメッセージをあて先リスト18に基づいて中国語に変換するように判定する。第2の端末14の中国Bさんは中国語でそのメッセージを見ることができる。
【0017】
図2は、メール処理サーバ16の構成の一形態を示す図である。メール処理サーバ16は利用者基本ファイル20と、表示・印刷・保存・検索部22と、翻訳依頼部24と、翻訳受付部26と、メール原文・訳文ファイル28と、コンタクト情報収集、反映部30と、コンタクト情報ファイル32とを備えている。
【0018】
利用者基本ファイル20は、利用者に関する情報を記憶するもので、前述した宛先リスト18を含む。
【0019】
表示・印刷・保存・検索部22は、メールの文略を表現するトピック文と共にツリー上に時系列に並べてメールごとの関係が分かるように線でリンクして、また添付の有無や未読が分かるように指定された言語環境下で表示する手段とトピック文を指定することによりメール全文や添付ドキュメントを表示などしたり、トピック文の先頭番号を指定することによりツリーに含まれる全メール文を表示する手段、表示するメール文は翻訳文なのか原文なのか表示ボタンにより判別でき、表示ボタンにより翻訳文または原文を並べて表示する手段と表示された原文、翻訳文に対してメール発信することができる手段とキーワード検索して該当メール文を表示する手段、メール内容を時系列に保存、印刷する手段、コンタクト情報を元に発信回数や閲覧回数が多いものなどの関心度順に表示する手段を備えている。
【0020】
翻訳依頼部24は、端末から送られたメールに翻訳指定があると、端末から送られたメッセージを翻訳エンジンサーバ34に翻訳を依頼する。翻訳エンジンサーバ34は、送られたメッセージをメール処理サーバ16から指定された言語に機械翻訳する。翻訳受付部26は、翻訳エンジンサーバ34で翻訳された翻訳文を受け付け、メール原文・訳文ファイル28に送る。
なお、この実施形態においては、翻訳は、翻訳エンジンサーバ34により行うように構成したが、メール処理サーバ16内に設けてもよいし、人間を介して行ってもよい。
【0021】
メール原文・訳文ファイル28は、メール原文と翻訳文を記憶するもので、文略を表現するトピック文と共に時系列に原文、翻訳文を並べて格納するようにする。
【0022】
コンタクト情報収集、反映部30は、プログラム処理によりメールを表示・発信するなどのアクションごとにアクセス時間や処理行為を記録して集計して、関心度による表示に必要な情報を格納し、未読メール数を配信要求の登録アドレスに通知するようにする。
【0023】
コンタクト情報ファイル32は、コンタクト情報を格納するファイルであって、関心度による表示に必要な情報を格納するようにする。
【0024】
図3において、第1の端末12で新規のメールを作成するフローが示されている。メールプログラムを起動すると、まずステップ10において初期画面が表示される。初期画面は、図7又は図9に示すように、新規メール作成ボタン36を有する。ここで、新規作成ボタン36を選択すると、次のステップ12に進み、図8に示すように、新規投稿画面が表示され、新規メール文書が作成される。新規投稿画面には、トピック文を記載するタイトル欄38と、本文を記載する本文記載欄40と、翻訳方法を選択する翻訳選択ボタン42と、宛先を入力するアップロード欄44と、投稿ボタン46とを有する。ステップ14において、タイトル欄38にタイトルを入力し、本文記載欄40に本文を入力し、翻訳選択ボタン42により翻訳方法を入力し、投稿ボタン46を指定すると、次のステップ16において、メール処理サーバ16に新規メールを送信する。
【0025】
図4において、メール処理サーバ16に新規メールを受け付けた場合のフローが示されている。まずステップ20において、メールの受け付け処理を行う。次のステップ22においては、メールに翻訳指示があるか否かを判定する。翻訳指示が無い場合にはステップ24に進み、メール原文・訳文ファイル28に格納する。ステップ22において、翻訳指示があると判定された場合は、ステップ28に進み、宛先リスト18に基づいて翻訳すべき言語間を判定する。このステップ28で判定した言語間で翻訳が行われるように、次のステップ30では翻訳依頼部24を介して翻訳エンジンサーバ34に翻訳を依頼する。次のステップ32においては、翻訳エンジンサーバ34での翻訳が終了するまで待機し、翻訳が終了した場合は、ステップ34に進み、翻訳受付部26を介して翻訳文を受け付ける。そして、ステップ24でメール原文・訳文ファイル28に原文と共に格納する。
なお、第1の端末12において、翻訳選択ボタン42により翻訳方法が簡易翻訳が選択されていた場合には、翻訳エンジンサーバ34による翻訳を行い、正式翻訳が指定された場合は人による翻訳を行うようにすることができる。
【0026】
図5において、第2の端末14で新規のメールを受信するフローが示されている。メールを受信すると、図11に示すように、メール受付画面が表示される。メール受付画面には、表示される言語が設定言語のみか設定言語及び原文であるかを選択する言語選択ボタン48を有する。ステップ40において、言語選択ボタン48の選択状態が判定され、設定言語のみが選択された場合は、ステップ42に進み、メール処理サーバ16のメール原文・訳文ファイル28にアクセスし、図11に示すように、設定言語が日本語であれば日本語のみが表示される。一方、ステップ40において、設定言語及び原文が選択されたと判定された場合は、ステップ44に進み、メール処理サーバ16のメール原文・訳文ファイル28にアクセスし、図12に示すように、設定言語が日本語、原文が中国語であれば、日本語と中国語とが並列に表示される。
【0027】
次に、図1に示したコンピュータシステム10におけるコミュニケーションの例を図6に基づいて説明する。まず、第1の端末12で日本人のAさんが日本語でメッセージを作成し、中国人のBさん宛てに送信する。図7及び図8に第1の端末12での入力画面が示されている。メール処理サーバ16は、メールを受け取ると、宛先リスト18を検索する。宛先リスト18において、Aさんは日本語、Bさんは中国語に設定されているので、メール処理サーバ16は日本語から中国語へ翻訳すればよいと判定する。日本語から中国語へ翻訳された翻訳文はメール原文・訳文ファイル28に格納され、中国語として表示できるようになる。図9に受信したときの表示画面が示されている。ここで、回信(返信)ボタン50をクリックすると、図10に示すように、返信する画面が表示される。そして、返信メールをメール処理サーバ16へ送ると、メール処理サーバ16は、メールを受け取り、宛先リスト18を検索する。宛先リスト18において、Aさんは日本語、Bさんは中国語に設定されているので、メール処理サーバ16は中国語から日本語へ翻訳すればよいと判定する。中国語から日本語へ翻訳された翻訳文は、メール原文・訳文ファイル28に格納される。図11に第1の端末12に返信メッセージが送られたときの画面が示されている。また、Bさんが原文の日本語も内容確認したいという所望によりその表示要求をメール処理サーバ16に送ると、メール原文・訳文ファイル28より原文を抽出して第2の端末14には、図12に示すように、原文・訳文メッセージが並列に表示される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上述べたように、本発明は、多言語で通信を行うメールなどのコミュニケーションシステムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る実施形態におけるコンピュータシステムを示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に用いたメール処理サーバを示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における第1の端末で新規のメールを作成する場合のフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態におけるメール処理サーバで新規のメールを処理する場合のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における第2の端末で新規のメールを受信する場合のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態のコンピュータシステム10におけるコミュニケーションの例を示す説明図である。
【図7】第1の端末で新規のメールを作成するときの初期画面を示す画面図である。
【図8】第1の端末で新規のメールを作成するときに表示される画面図である。
【図9】第2の端末で新規のメールを受信したときに表示される画面図である。
【図10】第2の端末で返信するときに表示される画面図である。
【図11】第1の端末で返信を受けた場合、設定言語のみを選択したときに表示される画面図である。
【図12】第1の端末で返信を受けた場合、設定言語及び原文を選択したときに表示される画面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 コンピュータシステム
12 第1の端末
14 第2の端末
16 メール処理サーバ
18 宛先リスト
20 利用者基本ファイル
24 翻訳依頼部
26 翻訳受付部
28 メール原文・訳文ファイル
34 翻訳エンジンサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、送信元から送信された文書を受け付ける受付手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果に基づいて送信元の文書を送信先の言語に翻訳する翻訳手段と、この翻訳手段により翻訳された文書を送信先に送信する送信手段とを有するメール処理システム。
【請求項2】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、送信元から送信された文書を受け付ける受付手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段と、この判定手段に基づいて翻訳された文書を送信先に送信する送信手段とを有するメール処理サーバ。
【請求項3】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、送信元から送信された文書を受け付け、前記言語情報から翻訳すべき言語を言語間を判定し、この判定結果に基づいて送信元の言語を送信先の言語に翻訳し、翻訳された文書を送信先に送信するメール処理方法。
【請求項4】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、送信元から送信された文書を受け付けるステップと、前記言語情報から翻訳すべき言語間を判定するステップと、この判定結果に基づいて送信元の言語を送信先の言語に翻訳するステップと、翻訳された文書を送信先に送信するステップとをコンピュータで実行するプログラム。
【請求項5】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果に基づいて送信元の文書を送信先の言語に翻訳する翻訳手段とを有する言語処理システム。
【請求項6】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報記憶手段と、前記言語情報記憶手段に記憶された言語情報から翻訳すべき言語間を判定する判定手段とを有する言語処理サーバ。
【請求項7】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、前記言語情報から翻訳すべき言語間を判定する言語処理方法。
【請求項8】
アドレスに対応した言語情報を記憶する言語情報が記憶されており、前記言語情報から翻訳すべき言語間を判定するステップをコンピュータで実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−58923(P2006−58923A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236974(P2004−236974)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(304040511)ネットファイブスター株式会社 (5)
【Fターム(参考)】