モジュール基板及びモジュール基板の製造方法
【課題】本発明は、モジュール基板をマザー基板に接合する場合の接合強度を十分に保つことができ、マザー基板が変形した場合でもマザー基板から脱落しにくいモジュール基板、及びモジュール基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ベース基板1と、該ベース基板1の少なくとも一面に実装する複数の電子部品2、5と、複数の電子部品2、5を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する複数の導体部3とを備えるモジュール基板10である。導体部3は柱状であり、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側が、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側よりもベース基板1の内側に位置する。
【解決手段】本発明は、ベース基板1と、該ベース基板1の少なくとも一面に実装する複数の電子部品2、5と、複数の電子部品2、5を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する複数の導体部3とを備えるモジュール基板10である。導体部3は柱状であり、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側が、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側よりもベース基板1の内側に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一面に複数の電子部品を実装したベース基板に、複数の導体部を接続してあるモジュール基板及びモジュール基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、電子機器に組み込まれるモジュール基板自体も小型化、軽量化が求められている。そのため、リード端子、ハンダボール、キャビティ構造等を用いて電子部品をベース基板の両面に実装することでモジュール基板の小型化、軽量化が行われている。
【0003】
特許文献1には、ベース基板と、ベース基板の一面にボンディングワイヤで実装してある半導体チップと、実装してある半導体チップを封止する封止樹脂層と、一端部がベース基板に接続され、他端部が封止樹脂層から露出している導体部とを備えるモジュール基板が開示してある。また、特許文献1では、導体部の形状が直方体であるため、ベース基板に接続してある導体部の一端部と、封止樹脂層から露出している導体部の他端部とは略同じ面積である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−16729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モジュール基板を電子機器に組み込む場合、他の電子部品等を実装したマザー基板(他の基板)に実装してから組み込まれるのが一般的である。そのため、モジュール基板の導体部の端部を、マザー基板に形成してある電極パッドにハンダ等の接合材で接合する必要がある。モジュール基板とマザー基板との接合強度は、モジュール基板の導体部の端部と、マザー基板に形成してある電極パッドとの接合強度に依存するため、ハンダ等の接合材と接触する、モジュール基板の導体部の表面積を広くすることで、モジュール基板とマザー基板との接合強度を高めることができる。
【0006】
しかし、特許文献1に開示してある導体部は直方体であるため、ハンダ等の接合材と接触する表面積を広くするために導体部の断面積を広くした場合、ベース基板に接触する表面積も広くなるので、ベース基板の一面に電子部品を実装することができる領域の面積も小さくなる。ベース基板の一面に電子部品を実装することができる領域の面積が小さくなることにより、同じ数の電子部品を実装する場合にはモジュール基板を小型化することができない。逆に、ベース基板の一面に電子部品を実装することができる領域の面積を大きくし、導体部の断面積を小さくした場合、マザー基板に形成してある電極パッドと接触する表面積も小さくなり、ハンダ等の接合材と接触する表面積も小さくなるので、モジュール基板とマザー基板との接合強度を十分に高めることができないという問題がある。
【0007】
また、マザー基板に力が加わり、マザー基板が変形した場合、モジュール基板の導体部とマザー基板に形成してある電極パッドとの接合部分に不要な力が加わり、モジュール基板がマザー基板から脱落する可能性があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、モジュール基板をマザー基板に接合する場合の接合強度を十分に保つことができ、マザー基板が変形した場合でもマザー基板から脱落しにくいモジュール基板、及びモジュール基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1発明に係るモジュール基板は、ベース基板と、該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板を他の基板に接続する複数の導体部とを備え、前記導体部は柱状であり、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側が、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側よりも前記ベース基板の内側に位置するようにしてある。
【0010】
第1発明では、ベース基板と、該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、複数の電子部品を実装したベース基板を他の基板に接続する複数の導体部とを備えるモジュール基板において、導体部は柱状であり、他の基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側が、ベース基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側よりもベース基板の内側に位置するので、モジュール基板を他の基板、例えばマザー基板に接合する場合、モジュール基板の導体部は、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する部分の表面積が大きくなり、ハンダ等の接合材と接触する表面積を広くすることで、モジュール基板とマザー基板との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板をマザー基板に接合した場合に、マザー基板に力が加わり、たとえマザー基板が変形したときであっても、モジュール基板の導体部は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板がマザー基板から脱落することを防止することができる。特に、マザー基板が下に凸に反った場合に、マザー基板と導体部とが直接接しにくくなるため、モジュール基板がマザー基板から脱落することをより確実に防止することができる。さらに、モジュール基板をマザー基板に接合した場合であっても、モジュール基板の導体部は外側面が露出しているので、導体部の外側面にハンダ等の接合材を設けても、ハンダ等の接合材の外観を目視で検査することができる。
【0011】
また、第2発明に係るモジュール基板は、第1発明において、前記導体部は、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状である。
【0012】
第2発明では、導体部は、ベース基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側へと傾斜させた形状であるので、ハンダ等の接合材を設けることができる面の表面積を大きくすることができ、モジュール基板と他の基板との接合強度を高めることが可能となる。
【0013】
また、第3発明に係るモジュール基板は、第1発明において、前記導体部は、前記ベース基板の内側方向へ中途で屈曲させた形状である。
【0014】
第3発明では、導体部は、ベース基板の内側方向へ中途で屈曲させた形状であるので、中途で屈曲させてある部分の側面がベース基板の内側へ傾斜し、ハンダ等の接合材を設けることができる面の表面積を広げることができる。したがって、モジュール基板と他の基板との接合強度を向上させることができる。
【0015】
また、第4発明に係るモジュール基板は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記導体部の外側面に樹脂層を備える。
【0016】
第4発明では、導体部の外側面に樹脂層を備えるので、導体部の外側面は露出せず、湿度等による腐食を防止することができる。また、モジュール基板を他の基板、例えばマザー基板に接合した場合に、マザー基板に力が加わり、たとえマザー基板が変形したときであっても、樹脂層がマザー基板と接触することで、モジュール基板の導体部とマザー基板に形成してある電極パッドとの接合部分に加わる力が緩和され、モジュール基板がマザー基板から脱落することを防止することができる。
【0017】
また、第5発明に係るモジュール基板は、第1乃至第4発明のいずれか一つにおいて、前記ベース基板の両面に、複数の前記電子部品が実装してある。
【0018】
第5発明では、ベース基板の両面に、複数の電子部品が実装してあるので、モジュール基板に多くの電子部品を実装することが可能となり、モジュール基板を小型化することができる。
【0019】
上記目的を達成するために第6発明に係るモジュール基板の製造方法は、少なくとも一面に複数の電子部品を実装した集合基板を分断して、該集合基板から複数のモジュール基板を切り出すモジュール基板の製造方法において、複数の前記電子部品を、前記集合基板の少なくとも一面に実装する第1工程と、柱状の端子接続基板を、切り出し位置を跨ぐように、前記集合基板の一面に接続する第2工程と、前記集合基板から前記切り出し位置にて複数の前記モジュール基板を切り出す第3工程とを含み、前記第3工程で、前記集合基板から複数の前記モジュール基板を切り出す場合、前記端子接続基板から複数の導体部を切り出すときに、切り出す前記導体部を、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状に形成する。
【0020】
第6発明では、集合基板から複数のモジュール基板を切り出す場合、端子接続基板から複数の導体部を切り出すときに、切り出す導体部を、ベース基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側へと傾斜させた形状に形成するので、集合基板から複数のモジュール基板を切り出す工程で、例えばレーザーにより導体部の側面を削り、導体部の側面にベース基板の内側へ向かって傾斜する面も形成することができるため、工程を削減でき製造コストを安価にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
上記構成によれば、モジュール基板を他の基板、例えばマザー基板に接合する場合、モジュール基板の導体部は、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する部分の表面積が大きくなり、ハンダ等の接合材をより多く設けることができるため、モジュール基板とマザー基板との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板をマザー基板に接合した場合に、たとえマザー基板が変形したときであっても、モジュール基板の導体部は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板がマザー基板から脱落することを防止することができる。特に、マザー基板が下に凸に反った場合に、マザー基板と導体部とが直接接しにくくなるため、モジュール基板がマザー基板から脱落することをより確実に防止することができる。さらに、モジュール基板をマザー基板に接合した場合であっても、モジュール基板の導体部は、ベース基板の外縁側が露出しているので、ベース基板の外縁側に設けたハンダ等の接合材の外観を目視で検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図2】ベース基板の外縁側の側面形状を階段状に形成した導体部の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る導体部の製造工程を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の製造工程を示す模式図である。
【図5】別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図6】さらに別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図7】導体部を形成するために削り取る部分を示した端子接続基板の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の製造工程を示す模式図である。
【図10】別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図11】さらに別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。図1に示すように、モジュール基板10は、ベース基板1、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、複数の電子部品2を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する導体部3、実装した電子部品2を被覆する樹脂層4を備えている。さらに、モジュール基板10は、電子部品2を実装したベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5、実装した電子部品5を被覆する樹脂層6、被覆した樹脂層6を覆うシールド層7を備えている。モジュール基板10の導体部3と、マザー基板(他の基板)20に形成してある電極パッド21とをハンダ8で接合することで、モジュール基板10とマザー基板20とを電気的に接続してある。なお、マザー基板とは、複数のモジュール基板10、電子部品2、5等を実装して、それぞれを電気的に接続するための電子回路基板である。
【0025】
ベース基板1としては、LTCC(低温焼成セラミックス:Low Temperature Co−fired Ceramics)基板、有機基板等、特に限定されるものではない。ベース基板1の複数の電子部品2、5を実装する面には、表面電極(図示せず)が形成されている。複数の電子部品2、5は、ベース基板1の一面に表面実装することが可能な表面実装型電子部品(Surface Mount Device)である。
【0026】
導体部3は柱状であり、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側が、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側よりもベース基板1の内側に位置するようにしてある形状、例えばベース基板1の導体部3の外側面に、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を有する台形柱である。モジュール基板10をマザー基板20へ接合する場合、導体部3は、マザー基板20に形成してある電極パッド21と対向する面32以外に、導体部3の傾斜面31にもハンダ8を設けることができるため、ハンダ8を設ける表面積が広くなり、モジュール基板10とマザー基板20との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板10をマザー基板20へ接合した場合、マザー基板20の両端が図中上側に反るように変形することがあっても、導体部3は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板10がマザー基板20から脱落することを防止することができる。
【0027】
さらに、導体部3は、モジュール基板10をマザー基板20に接合した場合でも、傾斜面31が露出しているので、傾斜面31に設けたハンダ8の外観を目視で検査することができる。なお、導体部3は、銅等からなる導電材料で構成されている。また、導体部3と、マザー基板20に形成したある電極パッド21とを接合する材質は、ハンダ8に限定されるものではなく、導電材料(例えば、Ag、Cu等)を含むペーストであっても良い。さらに、傾斜面31は、面取りした平面であることに限定されるものではなく、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側が、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側よりもベース基板1の内側に位置する形状であれば良く、例えば階段状に形成しても良い。図2は、ベース基板1の外縁側の側面形状を階段状に形成した導体部3の構成を示す模式図である。図2に示す導体部3は、ベース基板1の外縁側の側面形状を階段状に形成してある。
【0028】
図1に戻って、樹脂層4、6は、エポキシ樹脂等からなる絶縁材料であるため、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、又はベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5の間の絶縁性が向上する。さらに、ベース基板1の両面に複数の電子部品2、5を実装する場合、まず複数の電子部品2、複数の導体部3を実装したベース基板1の一面を樹脂層4で被覆しておくことにより、ベース基板1の他面に複数の電子部品5を実装するときに生じる応力等により、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、複数の導体部3が落下、移動等することを防止することが可能となる。なお、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、又はベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5の間の絶縁性等を考慮する必要がない場合には、樹脂層4、6を形成する必要はない。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態1に係る導体部3の製造工程を示す斜視図である。まず図3(a)に示すように、セラミック、ガラス、エポキシ樹脂等からなる絶縁基板35の両面に所定の厚みを有している銅箔36を張り付ける。本実施の形態1では、銅箔36の厚みをそれぞれ300μmとする。なお、エポキシ樹脂等で絶縁基板35が構成されている場合、剛性の高い基板であっても良いし、可撓性を有している基板であっても良い。また、銅箔36は純銅に限定されるものではなく、リン青銅、黄銅等の銅合金であっても良い。純銅と比較して加工性が高いので、ダイサー等による分断時、上面研磨時等にバリ、延び等が発生しにくい。
【0030】
さらに、銅箔36はメッキ加工により形成しても良い。例えば150μm前後の厚みを有している銅箔を絶縁基板35の両面に張り付け、その上にメッキ加工することにより200〜400μmの厚みにすれば足りる。銅箔36の厚みは100〜500μm、特に200〜400μmが好ましい。
【0031】
次に、図3(b)に示すように、両面に張り付けた銅箔36のそれぞれ同じ位置に、櫛形の溝37を形成する。溝37の形成方法は特に限定されるものではないが、例えばエッチング加工、ダイサー等による切削加工、両者を併用する加工等、確実に銅箔36を除去して溝37を形成することができる方法であれば良い。
【0032】
そして、図3(c)に示すように、形成した溝37に交差する方向に、絶縁基板35及び銅箔36をダイサー等にて分断し、図3(d)に示すような絶縁体(支持部)38の両側面に導体部3を有している端子接続基板30を切り出す。ダイサー等で分断して切り出す幅は、ベース基板1に接続した場合の端子接続基板30の高さとなる。したがって、ダイサー等で分断して切り出す幅は、実装する電子部品2の高さよりも少なくとも100μmは長くする必要がある。実装する電子部品2の高さのばらつきにより、電子部品2の高さの方が導体部3の高さよりも高くなった場合に、マザー基板20との間の接続不良が生じるおそれがあるからである。切り出した導体部3にメッキ処理、又は防錆処理を施し、図3(e)に示すように90度回転させて絶縁体38の両側面に導体部3が配置されている状態にする。なお、メッキ膜は、Ni/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を湿式メッキ等で成膜する。また、防錆処理を施すことにより、導体部3に用いられている銅の酸化の進行を抑制することができ、ベース基板1への接続時のハンダ濡れ性を向上させることができる。
【0033】
さらに、ダイサー等にて形成した溝37のうち、所望の位置にある溝37にて分断することにより、所望の数の導体部3を設けた端子接続基板30を製造することができる。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板10の製造工程を示す模式図である。まず、図4(a)に示すように、集合基板100の一面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品2を実装するとともに、絶縁体38の両側面に複数の導体部3を有している端子接続基板30を接続する。なお、同じ製造工程で、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、端子接続基板30を接続しても良いし、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、別の製造工程で端子接続基板30を接続しても良い。
【0035】
ここで、LTCC基板を用いて集合基板100を作成する方法について説明する。まずPETフィルム上にセラミックスラリーをコーティングした後、乾燥させ、厚み10〜200μmのセラミックグリーンシートを作成する。作成したセラミックグリーンシートに金型、レーザー等により直径略0.1mmのビアホールをPETフィルム側から形成する。次に、銀又は銅を主成分とする金属粉、樹脂、有機溶剤を混練した電極ペーストをビアホール内に充填して乾燥させる。そして、セラミックグリーンシート上に同等の電極ペーストを所望のパターンにスクリーン印刷等し、乾燥させる。
【0036】
この状態で複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、圧力100〜1500kg/cm2 、温度40〜100℃にて圧着する。その後、電極ペーストが銀を主成分とする場合には空気中で略850℃、銅を主成分とする場合には窒素雰囲気中で略950℃にて焼成し、電極にNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を湿式メッキ等で成膜することで、集合基板100を作成する。
【0037】
端子接続基板30は、隣接する2つのベース基板1の切り出し位置(破線)を跨ぐように、集合基板100の一面に接続してある。なお、端子接続基板30を集合基板100の一面に接続して、集合基板100から複数のモジュール基板10を切り出すときに、端子接続基板30から複数の導体部3を切り出す場合を以下に説明するが、予め端子接続基板30から切り出した複数の導体部3を集合基板100の一面に接続しても良い。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、集合基板100の一面に実装した複数の電子部品2を被覆する樹脂層4を形成する。樹脂層4は、端子接続基板30の一部が露出するように天面を研磨してある。次に、図4(c)に示すように、集合基板100の他面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品5を実装する。
【0039】
次に、図4(d)に示すように、集合基板100の他面に実装した複数の電子部品5を被覆する樹脂層6を形成する。次に、図4(e)に示すように、ダイサー等を用いて、端子接続基板30の天面から集合基板100に至る溝9a、及び樹脂層6の底面から集合基板100に至る溝9bを形成する。溝9aを形成することで、端子接続基板30から複数の導体部3を切り出すときに、切り出す複数の導体部3の、ベース基板1に分断した場合に互いに対向する、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側から、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側へと傾斜させた傾斜面31を形成することができる。なお、溝9a、9bを形成した場合であっても、隣接する2つのベース基板1(集合基板100)の一部又は全部が繋がっている。
【0040】
次に、図4(f)に示すように、ダイサー等を用いて、ベース基板1が繋がっている部分を分断して、集合基板100から複数のモジュール基板10を切り出す。なお、集合基板100から複数のモジュール基板10を切り出す前又は後に、樹脂層4から露出している導体部3に、湿式メッキ等でNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を成膜し、メッキ層11を形成する。また、樹脂層6に、湿式メッキ等でNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を成膜し、シールド層7を形成する。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、ベース基板1と、該ベース基板1の少なくとも一面に実装する複数の電子部品2、5と、複数の電子部品2、5を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する複数の導体部3とを備えるモジュール基板10において、導体部3は柱状であり、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側から、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側へと傾斜させた傾斜面31を有するので、モジュール基板10をマザー基板20に接合する場合、導体部3は、マザー基板20に形成してある電極パッド21と対向する面32以外に、傾斜面31にもハンダ8を設けることができるため、ハンダ8を設ける表面積が大きくなり、モジュール基板10とマザー基板20との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板10をマザー基板20に接合した場合において、マザー基板20に力が加わり、マザー基板20が変形したときであっても、導体部3は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板10がマザー基板20から脱落することを防止することができる。特に、マザー基板20が下に凸に反った場合に、マザー基板20と導体部3とが直接接しにくくなるため、モジュール基板10がマザー基板20から脱落することをより確実に防止することができる。さらに、モジュール基板10をマザー基板20に接合した場合であっても、導体部3の傾斜面31が露出しているので、ベース基板1の外縁側に傾斜する傾斜面31に設けたハンダ8の外観を目視で検査することができる。
【0042】
なお、導体部3の形状は、図1に示した台形柱に限定されるものではなく、導体部3の外側面に、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を有していれば特に形状が限定されるものではない。図5は、別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板10の構成を示す模式図である。図5に示す導体部3aは、角柱の一部を面取りしてある形状であり、角柱の面取りした断面が、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31となる。ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31は、導体部3aの外縁部の側面の一部に形成されている。なお、図5に示すモジュール基板10は、導体部3a以外の構成が図1に示したモジュール基板10の構成と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
また、図6は、さらに別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板10の構成を示す模式図である。図6に示す導体部3bは、ベース基板1の内側へ向かって中途で屈曲させた形状である。導体部3bを中途で屈曲させることにより、屈曲させた導体部3bの側面がベース基板1の内側に向かって傾斜する傾斜面31となる。屈曲させた導体部3bは、モジュール基板10をマザー基板20に接合する場合に、マザー基板20に形成してある電極パッド21と対向する面32が、傾斜面となり、屈曲させない導体部に比べて表面積が大きくなるため、モジュール基板10とマザー基板20との接合強度を高めることができる。なお、図6に示すモジュール基板10は、導体部3b以外の構成が図1に示したモジュール基板10の構成と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
導体部3bは、図3(e)に示す端子接続基板30から不要な部分を削り取ることで形成することができる。図7は、導体部3bを形成するために削り取る部分を示した端子接続基板30の斜視図である。図7に示す端子接続基板30は、破線で囲まれた部分を削ることで、絶縁体38の両側面に導体部3bを有している端子接続基板30に加工することができる。加工した端子接続基板30を、図4(a)に示すように集合基板100の一面に接続することで、図6に示すモジュール基板10を形成することができる。
【0045】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るモジュール基板は、ベース基板の外縁部に樹脂層を備える導体部をベース基板の一面に接続した構成である。図8は、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。図8に示すように、モジュール基板40は、ベース基板1、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、複数の電子部品2を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する導体部3、実装した複数の電子部品2を被覆する樹脂層4を備えている。さらに、モジュール基板40は、複数の電子部品2を実装したベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5、実装した複数の電子部品5を被覆する樹脂層6、被覆した樹脂層6を覆うシールド層7を備えている。モジュール基板40の導体部3と、マザー基板20に形成したある電極パッド21とをハンダ8で接合することで、モジュール基板40とマザー基板20とを接合してある。
【0046】
モジュール基板40は、ベース基板1の一面に接続した導体部3が、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備えている以外、図1に示したモジュール基板10の構成と同じである。そのため、同じ構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
次に、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備える導体部3をベース基板1の一面に接続したモジュール基板40の製造方法について説明する。図9は、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板40の製造工程を示す模式図である。まず、図9(a)に示すように、集合基板100の一面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品2を実装するとともに、絶縁体38の両側面に複数の導体部3を有している端子接続基板30を接続する。なお、同じ製造工程で、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、端子接続基板30を接続しても良いし、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、別の製造工程で端子接続基板30を接続しても良い。
【0048】
端子接続基板30は、隣接する2つのベース基板1の切り出し位置(破線)を跨ぐように、集合基板100の一面に接続してある。なお、端子接続基板30を集合基板100の一面に接続して、集合基板100から複数のモジュール基板40を切り出すときに、端子接続基板30から複数の導体部3を切り出す場合を以下に説明するが、予め端子接続基板30から切り出した複数の導体部3を集合基板100の一面に接続しても良い。予め端子接続基板30から導体部3を切り出すときに、導体部3を支持している絶縁体38を残すことで、該絶縁体38を樹脂層13として用いても良い。
【0049】
次に、図9(b)に示すように、集合基板100の一面に実装した複数の電子部品2を被覆する樹脂層4を形成する。樹脂層4は、端子接続基板30の一部が露出するように天面を研磨してある。次に、図9(c)に示すように、集合基板100の他面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品5を実装する。
【0050】
次に、図9(d)に示すように、集合基板100の他面に実装した複数の電子部品5を被覆する樹脂層6を形成する。次に、図9(e)に示すように、ダイサー等を用いて、端子接続基板30の天面に溝9cを形成する。溝9cを形成することで、端子接続基板30から切り出されるそれぞれの導体部3には、ベース基板1の内側に向かって傾斜する傾斜面31が形成される。
【0051】
次に、図9(f)に示すように、ダイサー等を用いて、溝9cを形成した端子接続基板30の天面から集合基板100に至る溝9d、及び樹脂層6の底面から集合基板100に至る溝9eを形成する。溝9dを形成することで、端子接続基板30から、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備える導体部3を切り出すことができる。なお、溝9d、9eを形成した場合であっても、隣接する2つのベース基板1(集合基板100)の一部又は全部が繋がっている。ベース基板1が繋がっている部分を、ダイサー等を用いて分断して、集合基板100から複数のモジュール基板40を切り出す。なお、集合基板100から複数のモジュール基板40を切り出す前又は後に、樹脂層6に、湿式メッキ等でNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を成膜し、シールド層7を形成する。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、導体部3は、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備えるので、ベース基板1の外縁側の側面が露出せず、湿度等による腐食を防止することができる。また、モジュール基板40をマザー基板20に接合した場合に、マザー基板20に力が加わり、マザー基板20の両端が図中上側に反るように変形した場合であっても、導体部3は、側面に備える樹脂層13がマザー基板20と接触することで、導体部3とマザー基板20に形成してある電極パッド21との接合部分に加わる力が緩和され、モジュール基板40がマザー基板20から脱落することを防止することができる。なお、本発明の実施の形態2では、導体部3の外側面に備える樹脂層13を、導体部3を支持している絶縁体38を用いて形成する場合に限定するものではなく、導体部3の側面に樹脂ペーストを塗布して形成しても良い。
【0053】
また、図10は、別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板40の構成を示す模式図である。図10に示す導体部3dは、ベース基板1の内側へ向かって中途で屈曲させた形状である。導体部3dを中途で屈曲させることにより、屈曲させた導体部3dの側面がベース基板1の内側に傾斜する傾斜面31となる。図10の例では、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を除く導体部3dの側面に樹脂層13を備えている。屈曲させた導体部3dは、モジュール基板40をマザー基板に接合する場合に、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する面が、傾斜面となり、屈曲させない導体部に比べて表面積が大きくなるため、モジュール基板40とマザー基板との接合強度を高めることができる。なお、図10に示すモジュール基板40は、導体部3d以外の構成が図8に示したモジュール基板40と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
また、図11は、さらに別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板40の構成を示す模式図である。図11に示す導体部3dは、ベース基板1の内側へ向かって中途で屈曲させた形状である。導体部3dを中途で屈曲させることにより、屈曲させた導体部3dの側面がベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31となる。ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を含む導体部3dの側面に樹脂層13を備えている。屈曲させた導体部3dは、モジュール基板40をマザー基板に接合する場合に、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する面が、傾斜面となり、屈曲させない導体部に比べて表面積が大きくなるため、モジュール基板40とマザー基板20との接合強度を高めることができる。なお、図11に示すモジュール基板40は、導体部3d及び樹脂層13以外の構成が図8に示したモジュール基板40と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0055】
1 ベース基板
2、5 電子部品
3 導体部
4、6、13 樹脂層
7 シールド層
8 ハンダ
9a、9b、9c、9d、9e 溝
11 メッキ層
10、40 モジュール基板
20 マザー基板
30 端子接続基板
35 絶縁基板
36 銅箔
38 絶縁体(支持部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一面に複数の電子部品を実装したベース基板に、複数の導体部を接続してあるモジュール基板及びモジュール基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、電子機器に組み込まれるモジュール基板自体も小型化、軽量化が求められている。そのため、リード端子、ハンダボール、キャビティ構造等を用いて電子部品をベース基板の両面に実装することでモジュール基板の小型化、軽量化が行われている。
【0003】
特許文献1には、ベース基板と、ベース基板の一面にボンディングワイヤで実装してある半導体チップと、実装してある半導体チップを封止する封止樹脂層と、一端部がベース基板に接続され、他端部が封止樹脂層から露出している導体部とを備えるモジュール基板が開示してある。また、特許文献1では、導体部の形状が直方体であるため、ベース基板に接続してある導体部の一端部と、封止樹脂層から露出している導体部の他端部とは略同じ面積である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−16729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モジュール基板を電子機器に組み込む場合、他の電子部品等を実装したマザー基板(他の基板)に実装してから組み込まれるのが一般的である。そのため、モジュール基板の導体部の端部を、マザー基板に形成してある電極パッドにハンダ等の接合材で接合する必要がある。モジュール基板とマザー基板との接合強度は、モジュール基板の導体部の端部と、マザー基板に形成してある電極パッドとの接合強度に依存するため、ハンダ等の接合材と接触する、モジュール基板の導体部の表面積を広くすることで、モジュール基板とマザー基板との接合強度を高めることができる。
【0006】
しかし、特許文献1に開示してある導体部は直方体であるため、ハンダ等の接合材と接触する表面積を広くするために導体部の断面積を広くした場合、ベース基板に接触する表面積も広くなるので、ベース基板の一面に電子部品を実装することができる領域の面積も小さくなる。ベース基板の一面に電子部品を実装することができる領域の面積が小さくなることにより、同じ数の電子部品を実装する場合にはモジュール基板を小型化することができない。逆に、ベース基板の一面に電子部品を実装することができる領域の面積を大きくし、導体部の断面積を小さくした場合、マザー基板に形成してある電極パッドと接触する表面積も小さくなり、ハンダ等の接合材と接触する表面積も小さくなるので、モジュール基板とマザー基板との接合強度を十分に高めることができないという問題がある。
【0007】
また、マザー基板に力が加わり、マザー基板が変形した場合、モジュール基板の導体部とマザー基板に形成してある電極パッドとの接合部分に不要な力が加わり、モジュール基板がマザー基板から脱落する可能性があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、モジュール基板をマザー基板に接合する場合の接合強度を十分に保つことができ、マザー基板が変形した場合でもマザー基板から脱落しにくいモジュール基板、及びモジュール基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1発明に係るモジュール基板は、ベース基板と、該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板を他の基板に接続する複数の導体部とを備え、前記導体部は柱状であり、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側が、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側よりも前記ベース基板の内側に位置するようにしてある。
【0010】
第1発明では、ベース基板と、該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、複数の電子部品を実装したベース基板を他の基板に接続する複数の導体部とを備えるモジュール基板において、導体部は柱状であり、他の基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側が、ベース基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側よりもベース基板の内側に位置するので、モジュール基板を他の基板、例えばマザー基板に接合する場合、モジュール基板の導体部は、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する部分の表面積が大きくなり、ハンダ等の接合材と接触する表面積を広くすることで、モジュール基板とマザー基板との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板をマザー基板に接合した場合に、マザー基板に力が加わり、たとえマザー基板が変形したときであっても、モジュール基板の導体部は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板がマザー基板から脱落することを防止することができる。特に、マザー基板が下に凸に反った場合に、マザー基板と導体部とが直接接しにくくなるため、モジュール基板がマザー基板から脱落することをより確実に防止することができる。さらに、モジュール基板をマザー基板に接合した場合であっても、モジュール基板の導体部は外側面が露出しているので、導体部の外側面にハンダ等の接合材を設けても、ハンダ等の接合材の外観を目視で検査することができる。
【0011】
また、第2発明に係るモジュール基板は、第1発明において、前記導体部は、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状である。
【0012】
第2発明では、導体部は、ベース基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側へと傾斜させた形状であるので、ハンダ等の接合材を設けることができる面の表面積を大きくすることができ、モジュール基板と他の基板との接合強度を高めることが可能となる。
【0013】
また、第3発明に係るモジュール基板は、第1発明において、前記導体部は、前記ベース基板の内側方向へ中途で屈曲させた形状である。
【0014】
第3発明では、導体部は、ベース基板の内側方向へ中途で屈曲させた形状であるので、中途で屈曲させてある部分の側面がベース基板の内側へ傾斜し、ハンダ等の接合材を設けることができる面の表面積を広げることができる。したがって、モジュール基板と他の基板との接合強度を向上させることができる。
【0015】
また、第4発明に係るモジュール基板は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記導体部の外側面に樹脂層を備える。
【0016】
第4発明では、導体部の外側面に樹脂層を備えるので、導体部の外側面は露出せず、湿度等による腐食を防止することができる。また、モジュール基板を他の基板、例えばマザー基板に接合した場合に、マザー基板に力が加わり、たとえマザー基板が変形したときであっても、樹脂層がマザー基板と接触することで、モジュール基板の導体部とマザー基板に形成してある電極パッドとの接合部分に加わる力が緩和され、モジュール基板がマザー基板から脱落することを防止することができる。
【0017】
また、第5発明に係るモジュール基板は、第1乃至第4発明のいずれか一つにおいて、前記ベース基板の両面に、複数の前記電子部品が実装してある。
【0018】
第5発明では、ベース基板の両面に、複数の電子部品が実装してあるので、モジュール基板に多くの電子部品を実装することが可能となり、モジュール基板を小型化することができる。
【0019】
上記目的を達成するために第6発明に係るモジュール基板の製造方法は、少なくとも一面に複数の電子部品を実装した集合基板を分断して、該集合基板から複数のモジュール基板を切り出すモジュール基板の製造方法において、複数の前記電子部品を、前記集合基板の少なくとも一面に実装する第1工程と、柱状の端子接続基板を、切り出し位置を跨ぐように、前記集合基板の一面に接続する第2工程と、前記集合基板から前記切り出し位置にて複数の前記モジュール基板を切り出す第3工程とを含み、前記第3工程で、前記集合基板から複数の前記モジュール基板を切り出す場合、前記端子接続基板から複数の導体部を切り出すときに、切り出す前記導体部を、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状に形成する。
【0020】
第6発明では、集合基板から複数のモジュール基板を切り出す場合、端子接続基板から複数の導体部を切り出すときに、切り出す導体部を、ベース基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうちベース基板の外縁側へと傾斜させた形状に形成するので、集合基板から複数のモジュール基板を切り出す工程で、例えばレーザーにより導体部の側面を削り、導体部の側面にベース基板の内側へ向かって傾斜する面も形成することができるため、工程を削減でき製造コストを安価にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
上記構成によれば、モジュール基板を他の基板、例えばマザー基板に接合する場合、モジュール基板の導体部は、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する部分の表面積が大きくなり、ハンダ等の接合材をより多く設けることができるため、モジュール基板とマザー基板との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板をマザー基板に接合した場合に、たとえマザー基板が変形したときであっても、モジュール基板の導体部は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板がマザー基板から脱落することを防止することができる。特に、マザー基板が下に凸に反った場合に、マザー基板と導体部とが直接接しにくくなるため、モジュール基板がマザー基板から脱落することをより確実に防止することができる。さらに、モジュール基板をマザー基板に接合した場合であっても、モジュール基板の導体部は、ベース基板の外縁側が露出しているので、ベース基板の外縁側に設けたハンダ等の接合材の外観を目視で検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図2】ベース基板の外縁側の側面形状を階段状に形成した導体部の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る導体部の製造工程を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の製造工程を示す模式図である。
【図5】別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図6】さらに別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図7】導体部を形成するために削り取る部分を示した端子接続基板の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の製造工程を示す模式図である。
【図10】別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図11】さらに別の形状の導体部をベース基板の一面に接続してあるモジュール基板の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。図1に示すように、モジュール基板10は、ベース基板1、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、複数の電子部品2を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する導体部3、実装した電子部品2を被覆する樹脂層4を備えている。さらに、モジュール基板10は、電子部品2を実装したベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5、実装した電子部品5を被覆する樹脂層6、被覆した樹脂層6を覆うシールド層7を備えている。モジュール基板10の導体部3と、マザー基板(他の基板)20に形成してある電極パッド21とをハンダ8で接合することで、モジュール基板10とマザー基板20とを電気的に接続してある。なお、マザー基板とは、複数のモジュール基板10、電子部品2、5等を実装して、それぞれを電気的に接続するための電子回路基板である。
【0025】
ベース基板1としては、LTCC(低温焼成セラミックス:Low Temperature Co−fired Ceramics)基板、有機基板等、特に限定されるものではない。ベース基板1の複数の電子部品2、5を実装する面には、表面電極(図示せず)が形成されている。複数の電子部品2、5は、ベース基板1の一面に表面実装することが可能な表面実装型電子部品(Surface Mount Device)である。
【0026】
導体部3は柱状であり、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側が、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側よりもベース基板1の内側に位置するようにしてある形状、例えばベース基板1の導体部3の外側面に、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を有する台形柱である。モジュール基板10をマザー基板20へ接合する場合、導体部3は、マザー基板20に形成してある電極パッド21と対向する面32以外に、導体部3の傾斜面31にもハンダ8を設けることができるため、ハンダ8を設ける表面積が広くなり、モジュール基板10とマザー基板20との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板10をマザー基板20へ接合した場合、マザー基板20の両端が図中上側に反るように変形することがあっても、導体部3は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板10がマザー基板20から脱落することを防止することができる。
【0027】
さらに、導体部3は、モジュール基板10をマザー基板20に接合した場合でも、傾斜面31が露出しているので、傾斜面31に設けたハンダ8の外観を目視で検査することができる。なお、導体部3は、銅等からなる導電材料で構成されている。また、導体部3と、マザー基板20に形成したある電極パッド21とを接合する材質は、ハンダ8に限定されるものではなく、導電材料(例えば、Ag、Cu等)を含むペーストであっても良い。さらに、傾斜面31は、面取りした平面であることに限定されるものではなく、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側が、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側よりもベース基板1の内側に位置する形状であれば良く、例えば階段状に形成しても良い。図2は、ベース基板1の外縁側の側面形状を階段状に形成した導体部3の構成を示す模式図である。図2に示す導体部3は、ベース基板1の外縁側の側面形状を階段状に形成してある。
【0028】
図1に戻って、樹脂層4、6は、エポキシ樹脂等からなる絶縁材料であるため、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、又はベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5の間の絶縁性が向上する。さらに、ベース基板1の両面に複数の電子部品2、5を実装する場合、まず複数の電子部品2、複数の導体部3を実装したベース基板1の一面を樹脂層4で被覆しておくことにより、ベース基板1の他面に複数の電子部品5を実装するときに生じる応力等により、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、複数の導体部3が落下、移動等することを防止することが可能となる。なお、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、又はベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5の間の絶縁性等を考慮する必要がない場合には、樹脂層4、6を形成する必要はない。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態1に係る導体部3の製造工程を示す斜視図である。まず図3(a)に示すように、セラミック、ガラス、エポキシ樹脂等からなる絶縁基板35の両面に所定の厚みを有している銅箔36を張り付ける。本実施の形態1では、銅箔36の厚みをそれぞれ300μmとする。なお、エポキシ樹脂等で絶縁基板35が構成されている場合、剛性の高い基板であっても良いし、可撓性を有している基板であっても良い。また、銅箔36は純銅に限定されるものではなく、リン青銅、黄銅等の銅合金であっても良い。純銅と比較して加工性が高いので、ダイサー等による分断時、上面研磨時等にバリ、延び等が発生しにくい。
【0030】
さらに、銅箔36はメッキ加工により形成しても良い。例えば150μm前後の厚みを有している銅箔を絶縁基板35の両面に張り付け、その上にメッキ加工することにより200〜400μmの厚みにすれば足りる。銅箔36の厚みは100〜500μm、特に200〜400μmが好ましい。
【0031】
次に、図3(b)に示すように、両面に張り付けた銅箔36のそれぞれ同じ位置に、櫛形の溝37を形成する。溝37の形成方法は特に限定されるものではないが、例えばエッチング加工、ダイサー等による切削加工、両者を併用する加工等、確実に銅箔36を除去して溝37を形成することができる方法であれば良い。
【0032】
そして、図3(c)に示すように、形成した溝37に交差する方向に、絶縁基板35及び銅箔36をダイサー等にて分断し、図3(d)に示すような絶縁体(支持部)38の両側面に導体部3を有している端子接続基板30を切り出す。ダイサー等で分断して切り出す幅は、ベース基板1に接続した場合の端子接続基板30の高さとなる。したがって、ダイサー等で分断して切り出す幅は、実装する電子部品2の高さよりも少なくとも100μmは長くする必要がある。実装する電子部品2の高さのばらつきにより、電子部品2の高さの方が導体部3の高さよりも高くなった場合に、マザー基板20との間の接続不良が生じるおそれがあるからである。切り出した導体部3にメッキ処理、又は防錆処理を施し、図3(e)に示すように90度回転させて絶縁体38の両側面に導体部3が配置されている状態にする。なお、メッキ膜は、Ni/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を湿式メッキ等で成膜する。また、防錆処理を施すことにより、導体部3に用いられている銅の酸化の進行を抑制することができ、ベース基板1への接続時のハンダ濡れ性を向上させることができる。
【0033】
さらに、ダイサー等にて形成した溝37のうち、所望の位置にある溝37にて分断することにより、所望の数の導体部3を設けた端子接続基板30を製造することができる。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板10の製造工程を示す模式図である。まず、図4(a)に示すように、集合基板100の一面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品2を実装するとともに、絶縁体38の両側面に複数の導体部3を有している端子接続基板30を接続する。なお、同じ製造工程で、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、端子接続基板30を接続しても良いし、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、別の製造工程で端子接続基板30を接続しても良い。
【0035】
ここで、LTCC基板を用いて集合基板100を作成する方法について説明する。まずPETフィルム上にセラミックスラリーをコーティングした後、乾燥させ、厚み10〜200μmのセラミックグリーンシートを作成する。作成したセラミックグリーンシートに金型、レーザー等により直径略0.1mmのビアホールをPETフィルム側から形成する。次に、銀又は銅を主成分とする金属粉、樹脂、有機溶剤を混練した電極ペーストをビアホール内に充填して乾燥させる。そして、セラミックグリーンシート上に同等の電極ペーストを所望のパターンにスクリーン印刷等し、乾燥させる。
【0036】
この状態で複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、圧力100〜1500kg/cm2 、温度40〜100℃にて圧着する。その後、電極ペーストが銀を主成分とする場合には空気中で略850℃、銅を主成分とする場合には窒素雰囲気中で略950℃にて焼成し、電極にNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を湿式メッキ等で成膜することで、集合基板100を作成する。
【0037】
端子接続基板30は、隣接する2つのベース基板1の切り出し位置(破線)を跨ぐように、集合基板100の一面に接続してある。なお、端子接続基板30を集合基板100の一面に接続して、集合基板100から複数のモジュール基板10を切り出すときに、端子接続基板30から複数の導体部3を切り出す場合を以下に説明するが、予め端子接続基板30から切り出した複数の導体部3を集合基板100の一面に接続しても良い。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、集合基板100の一面に実装した複数の電子部品2を被覆する樹脂層4を形成する。樹脂層4は、端子接続基板30の一部が露出するように天面を研磨してある。次に、図4(c)に示すように、集合基板100の他面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品5を実装する。
【0039】
次に、図4(d)に示すように、集合基板100の他面に実装した複数の電子部品5を被覆する樹脂層6を形成する。次に、図4(e)に示すように、ダイサー等を用いて、端子接続基板30の天面から集合基板100に至る溝9a、及び樹脂層6の底面から集合基板100に至る溝9bを形成する。溝9aを形成することで、端子接続基板30から複数の導体部3を切り出すときに、切り出す複数の導体部3の、ベース基板1に分断した場合に互いに対向する、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側から、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側へと傾斜させた傾斜面31を形成することができる。なお、溝9a、9bを形成した場合であっても、隣接する2つのベース基板1(集合基板100)の一部又は全部が繋がっている。
【0040】
次に、図4(f)に示すように、ダイサー等を用いて、ベース基板1が繋がっている部分を分断して、集合基板100から複数のモジュール基板10を切り出す。なお、集合基板100から複数のモジュール基板10を切り出す前又は後に、樹脂層4から露出している導体部3に、湿式メッキ等でNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を成膜し、メッキ層11を形成する。また、樹脂層6に、湿式メッキ等でNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を成膜し、シールド層7を形成する。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、ベース基板1と、該ベース基板1の少なくとも一面に実装する複数の電子部品2、5と、複数の電子部品2、5を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する複数の導体部3とを備えるモジュール基板10において、導体部3は柱状であり、ベース基板1と接続する部分のうちベース基板1の外縁側から、マザー基板20と接続する部分のうちベース基板1の外縁側へと傾斜させた傾斜面31を有するので、モジュール基板10をマザー基板20に接合する場合、導体部3は、マザー基板20に形成してある電極パッド21と対向する面32以外に、傾斜面31にもハンダ8を設けることができるため、ハンダ8を設ける表面積が大きくなり、モジュール基板10とマザー基板20との接合強度を高めることができる。また、モジュール基板10をマザー基板20に接合した場合において、マザー基板20に力が加わり、マザー基板20が変形したときであっても、導体部3は、広い表面積にてハンダ等の接合材を用いて接合されているので、モジュール基板10がマザー基板20から脱落することを防止することができる。特に、マザー基板20が下に凸に反った場合に、マザー基板20と導体部3とが直接接しにくくなるため、モジュール基板10がマザー基板20から脱落することをより確実に防止することができる。さらに、モジュール基板10をマザー基板20に接合した場合であっても、導体部3の傾斜面31が露出しているので、ベース基板1の外縁側に傾斜する傾斜面31に設けたハンダ8の外観を目視で検査することができる。
【0042】
なお、導体部3の形状は、図1に示した台形柱に限定されるものではなく、導体部3の外側面に、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を有していれば特に形状が限定されるものではない。図5は、別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板10の構成を示す模式図である。図5に示す導体部3aは、角柱の一部を面取りしてある形状であり、角柱の面取りした断面が、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31となる。ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31は、導体部3aの外縁部の側面の一部に形成されている。なお、図5に示すモジュール基板10は、導体部3a以外の構成が図1に示したモジュール基板10の構成と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
また、図6は、さらに別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板10の構成を示す模式図である。図6に示す導体部3bは、ベース基板1の内側へ向かって中途で屈曲させた形状である。導体部3bを中途で屈曲させることにより、屈曲させた導体部3bの側面がベース基板1の内側に向かって傾斜する傾斜面31となる。屈曲させた導体部3bは、モジュール基板10をマザー基板20に接合する場合に、マザー基板20に形成してある電極パッド21と対向する面32が、傾斜面となり、屈曲させない導体部に比べて表面積が大きくなるため、モジュール基板10とマザー基板20との接合強度を高めることができる。なお、図6に示すモジュール基板10は、導体部3b以外の構成が図1に示したモジュール基板10の構成と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
導体部3bは、図3(e)に示す端子接続基板30から不要な部分を削り取ることで形成することができる。図7は、導体部3bを形成するために削り取る部分を示した端子接続基板30の斜視図である。図7に示す端子接続基板30は、破線で囲まれた部分を削ることで、絶縁体38の両側面に導体部3bを有している端子接続基板30に加工することができる。加工した端子接続基板30を、図4(a)に示すように集合基板100の一面に接続することで、図6に示すモジュール基板10を形成することができる。
【0045】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るモジュール基板は、ベース基板の外縁部に樹脂層を備える導体部をベース基板の一面に接続した構成である。図8は、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。図8に示すように、モジュール基板40は、ベース基板1、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、複数の電子部品2を実装したベース基板1をマザー基板20に接続する導体部3、実装した複数の電子部品2を被覆する樹脂層4を備えている。さらに、モジュール基板40は、複数の電子部品2を実装したベース基板1の他面に実装した複数の電子部品5、実装した複数の電子部品5を被覆する樹脂層6、被覆した樹脂層6を覆うシールド層7を備えている。モジュール基板40の導体部3と、マザー基板20に形成したある電極パッド21とをハンダ8で接合することで、モジュール基板40とマザー基板20とを接合してある。
【0046】
モジュール基板40は、ベース基板1の一面に接続した導体部3が、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備えている以外、図1に示したモジュール基板10の構成と同じである。そのため、同じ構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
次に、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備える導体部3をベース基板1の一面に接続したモジュール基板40の製造方法について説明する。図9は、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板40の製造工程を示す模式図である。まず、図9(a)に示すように、集合基板100の一面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品2を実装するとともに、絶縁体38の両側面に複数の導体部3を有している端子接続基板30を接続する。なお、同じ製造工程で、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、端子接続基板30を接続しても良いし、集合基板100に複数の電子部品2を実装し、別の製造工程で端子接続基板30を接続しても良い。
【0048】
端子接続基板30は、隣接する2つのベース基板1の切り出し位置(破線)を跨ぐように、集合基板100の一面に接続してある。なお、端子接続基板30を集合基板100の一面に接続して、集合基板100から複数のモジュール基板40を切り出すときに、端子接続基板30から複数の導体部3を切り出す場合を以下に説明するが、予め端子接続基板30から切り出した複数の導体部3を集合基板100の一面に接続しても良い。予め端子接続基板30から導体部3を切り出すときに、導体部3を支持している絶縁体38を残すことで、該絶縁体38を樹脂層13として用いても良い。
【0049】
次に、図9(b)に示すように、集合基板100の一面に実装した複数の電子部品2を被覆する樹脂層4を形成する。樹脂層4は、端子接続基板30の一部が露出するように天面を研磨してある。次に、図9(c)に示すように、集合基板100の他面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に複数の電子部品5を実装する。
【0050】
次に、図9(d)に示すように、集合基板100の他面に実装した複数の電子部品5を被覆する樹脂層6を形成する。次に、図9(e)に示すように、ダイサー等を用いて、端子接続基板30の天面に溝9cを形成する。溝9cを形成することで、端子接続基板30から切り出されるそれぞれの導体部3には、ベース基板1の内側に向かって傾斜する傾斜面31が形成される。
【0051】
次に、図9(f)に示すように、ダイサー等を用いて、溝9cを形成した端子接続基板30の天面から集合基板100に至る溝9d、及び樹脂層6の底面から集合基板100に至る溝9eを形成する。溝9dを形成することで、端子接続基板30から、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備える導体部3を切り出すことができる。なお、溝9d、9eを形成した場合であっても、隣接する2つのベース基板1(集合基板100)の一部又は全部が繋がっている。ベース基板1が繋がっている部分を、ダイサー等を用いて分断して、集合基板100から複数のモジュール基板40を切り出す。なお、集合基板100から複数のモジュール基板40を切り出す前又は後に、樹脂層6に、湿式メッキ等でNi/Sn、Ni/Au又はNi/Pd/Au等を成膜し、シールド層7を形成する。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、導体部3は、ベース基板1の外縁部に樹脂層13を備えるので、ベース基板1の外縁側の側面が露出せず、湿度等による腐食を防止することができる。また、モジュール基板40をマザー基板20に接合した場合に、マザー基板20に力が加わり、マザー基板20の両端が図中上側に反るように変形した場合であっても、導体部3は、側面に備える樹脂層13がマザー基板20と接触することで、導体部3とマザー基板20に形成してある電極パッド21との接合部分に加わる力が緩和され、モジュール基板40がマザー基板20から脱落することを防止することができる。なお、本発明の実施の形態2では、導体部3の外側面に備える樹脂層13を、導体部3を支持している絶縁体38を用いて形成する場合に限定するものではなく、導体部3の側面に樹脂ペーストを塗布して形成しても良い。
【0053】
また、図10は、別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板40の構成を示す模式図である。図10に示す導体部3dは、ベース基板1の内側へ向かって中途で屈曲させた形状である。導体部3dを中途で屈曲させることにより、屈曲させた導体部3dの側面がベース基板1の内側に傾斜する傾斜面31となる。図10の例では、ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を除く導体部3dの側面に樹脂層13を備えている。屈曲させた導体部3dは、モジュール基板40をマザー基板に接合する場合に、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する面が、傾斜面となり、屈曲させない導体部に比べて表面積が大きくなるため、モジュール基板40とマザー基板との接合強度を高めることができる。なお、図10に示すモジュール基板40は、導体部3d以外の構成が図8に示したモジュール基板40と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
また、図11は、さらに別の形状の導体部3をベース基板1の一面に接続してあるモジュール基板40の構成を示す模式図である。図11に示す導体部3dは、ベース基板1の内側へ向かって中途で屈曲させた形状である。導体部3dを中途で屈曲させることにより、屈曲させた導体部3dの側面がベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31となる。ベース基板1の内側へ向かって傾斜する傾斜面31を含む導体部3dの側面に樹脂層13を備えている。屈曲させた導体部3dは、モジュール基板40をマザー基板に接合する場合に、マザー基板に形成してある電極パッドと対向する面が、傾斜面となり、屈曲させない導体部に比べて表面積が大きくなるため、モジュール基板40とマザー基板20との接合強度を高めることができる。なお、図11に示すモジュール基板40は、導体部3d及び樹脂層13以外の構成が図8に示したモジュール基板40と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0055】
1 ベース基板
2、5 電子部品
3 導体部
4、6、13 樹脂層
7 シールド層
8 ハンダ
9a、9b、9c、9d、9e 溝
11 メッキ層
10、40 モジュール基板
20 マザー基板
30 端子接続基板
35 絶縁基板
36 銅箔
38 絶縁体(支持部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、
複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板を他の基板に接続する複数の導体部と
を備え、
前記導体部は柱状であり、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側が、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側よりも前記ベース基板の内側に位置するようにしてあることを特徴とするモジュール基板。
【請求項2】
前記導体部は、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状であることを特徴とする請求項1に記載のモジュール基板。
【請求項3】
前記導体部は、前記ベース基板の内側方向へ中途で屈曲させた形状であることを特徴とする請求項1に記載のモジュール基板。
【請求項4】
前記導体部の外側面に樹脂層を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモジュール基板。
【請求項5】
前記ベース基板の両面に、複数の前記電子部品が実装してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のモジュール基板。
【請求項6】
少なくとも一面に複数の電子部品を実装した集合基板を分断して、該集合基板から複数のモジュール基板を切り出すモジュール基板の製造方法において、
複数の前記電子部品を、前記集合基板の少なくとも一面に実装する第1工程と、
柱状の端子接続基板を、切り出し位置を跨ぐように、前記集合基板の一面に接続する第2工程と、
前記集合基板から前記切り出し位置にて複数の前記モジュール基板を切り出す第3工程と
を含み、
前記第3工程で、前記集合基板から複数の前記モジュール基板を切り出す場合、前記端子接続基板から複数の導体部を切り出すときに、切り出す前記導体部を、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状に形成することを特徴とするモジュール基板の製造方法。
【請求項1】
ベース基板と、
該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、
複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板を他の基板に接続する複数の導体部と
を備え、
前記導体部は柱状であり、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側が、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側よりも前記ベース基板の内側に位置するようにしてあることを特徴とするモジュール基板。
【請求項2】
前記導体部は、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、前記他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状であることを特徴とする請求項1に記載のモジュール基板。
【請求項3】
前記導体部は、前記ベース基板の内側方向へ中途で屈曲させた形状であることを特徴とする請求項1に記載のモジュール基板。
【請求項4】
前記導体部の外側面に樹脂層を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモジュール基板。
【請求項5】
前記ベース基板の両面に、複数の前記電子部品が実装してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のモジュール基板。
【請求項6】
少なくとも一面に複数の電子部品を実装した集合基板を分断して、該集合基板から複数のモジュール基板を切り出すモジュール基板の製造方法において、
複数の前記電子部品を、前記集合基板の少なくとも一面に実装する第1工程と、
柱状の端子接続基板を、切り出し位置を跨ぐように、前記集合基板の一面に接続する第2工程と、
前記集合基板から前記切り出し位置にて複数の前記モジュール基板を切り出す第3工程と
を含み、
前記第3工程で、前記集合基板から複数の前記モジュール基板を切り出す場合、前記端子接続基板から複数の導体部を切り出すときに、切り出す前記導体部を、前記ベース基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側から、他の基板と接続する部分のうち前記ベース基板の外縁側へと傾斜させた形状に形成することを特徴とするモジュール基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−151303(P2012−151303A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9174(P2011−9174)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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