説明

モダフィニルおよび他の薬剤を含んでなる製薬学的組成物

モダフィニルとM−薬剤との投与による障害の処置のための組成物および方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.モダフィニル(modafinil)
2−(ベンズヒドリルスルフィニル)アセトアミドまたは2−[(ジフェニルメチル)スルフィニル]アセトアミドとしても知られるモダフィニル、C1515NOS、は覚醒−促進活性を有する合成アセトアミド誘導体であり、その構造は特許文献1および特許文献2に記載されており、そしてそれはナルコレプシーに伴う過度の日中眠気の処置における使用に関して米国食品医薬品局により承認されている。ラセミ体混合物の製造方法は特許文献2に記載されており、そして左旋性異性体の製造方法は特許文献3に記載されている(両者とも引用することにより本発明の内容となる)。左旋性異性体は過睡眠、鬱病、アルツハイマー病の処置に有用でありそして、特に老人における認知症および記憶喪失の徴候に対する活性を有することが報告されている。
【0002】
モダフィニルの主要な薬理学的活性は覚醒を促進することである。モダフィニルはラット(非特許文献1、非特許文献2)、ネコ(非特許文献3)、イヌ(非特許文献4)およびヒト以外の霊長類(非特許文献5)において並びに臨床状態を模するモデル、例えば睡眠時無呼吸(英国ブルドッグ睡眠障害呼吸モデル)(非特許文献6)およびナルコレプシー(ナルコレプシー犬)(非特許文献4)において覚醒を促進する。
【0003】
モダフィニルは、中枢神経系における活性を有する剤として、そしてパーキンソン病の処置における(特許文献4)、脳組織の虚血からの保護における(特許文献5)、尿および便失禁の処置における(特許文献6)、並びに睡眠時無呼吸および脳起点障害の処置における(特許文献7)有用な剤としても報告されている。特許文献8は、約200ミクロンより小さい規定された粒子寸法のモダフィニル調剤を記載している。さらに、モダフィニルは摂食障害の処置において、またはヒトもしくは動物における体重増加を促進するもしくは食欲を刺激するために(引用することにより本発明の内容となる特許文献9)、または注意力不足過剰活動障害(ADHD)(引用することにより本発明の内容となる特許文献10)、もしくは疲労、特に多発性硬化症に伴う疲労(引用することにより本発明の内容となる特許文献11)の処置において使用することもできる。
【0004】
モダフィニルはナルコレプシー、眠気、過度の眠気(例えば、睡眠および覚醒障害に伴う眠気)、ナルコレプシーに伴う過度の日中眠気、パーキンソン病、尿失禁、多発性硬化症疲労、ADHD、アルツハイマー障害、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、鬱病、および虚血の処置において有効であることが示された。
【0005】
ナルコレプシーは、間欠性の睡眠発作、持続性の過度の日中眠気および異常な急速眼球運動(「REM」)睡眠発現、例えば睡眠−作用REM期、脱力発作、睡眠麻痺および半眠幻覚、または両者により特徴づけられる慢性障害である(非特許文献7)。ナルコレプシーのあるほとんどの患者は夜行性睡眠も中断していた(非特許文献8)。ナルコレプシーによろうとまたは他の原因によろうとも、病理学的傾眠は廃失性であり且つ潜在的に危険である。ナルコレプシー以外の病理学的傾眠の原因は、慢性睡眠不足(非特許文献9、非特許文献10)、睡眠時無呼吸(非特許文献11、非特許文献12)、および他の睡眠障害(非特許文献13)を包含する。ナルコレプシーによろうとまたは他の原因によろうとも、病理学的傾眠は意図せぬ睡眠、注意力低下、および行動の間違いの事象を生ずる。従って、それは種々の輸送および工業事故と関連する(非特許文献14)。病理学的傾眠を減ずるかまたは排除する治療剤は個々の患者にとってだけでなく公衆衛生および安全に関しても重要な意味を有するであろう。
【0006】
モダフィニルの他の用途が発表されている。特許文献4はヒトにおける神経保護効果を与えるための、そして特にパーキンソン病治療のための、モダフィニルの使用を開示している。モダフィニルの左旋性形態、すなわち、(−)ベンズヒドリルスルフィニル−アセトアミドは鬱病、睡眠過剰およびアルツハイマー病の治療に関して有効な利点を有しうる(特許文献3)。特許文献12(1993年6月23日公開)は、抗虚血剤としてのモダフィニルの使用を開示している。特許文献13(1994年4月27日公開)は、尿失禁を処置するためのモダフィニルの使用を開示している。
【0007】
特許文献14は、規定された粒子寸法を有する製薬学的組成物、そして特に組成物中の有効量のモダフィニル粒子の累積合計の95%が約200ミクロンより小さい直径を有する組成物を開示している。
【特許文献1】仏国特許第7805510号明細書
【特許文献2】米国特許第4,177,290号明細書
【特許文献3】米国特許第4,927,855号明細書
【特許文献4】米国特許第5,180,745号明細書
【特許文献5】米国特許第5,391,576号明細書
【特許文献6】米国特許第5,401,776号明細書
【特許文献7】米国特許第5,612,379号明細書
【特許文献8】米国特許第5,618,845号明細書
【特許文献9】米国特許第6,455,588号明細書
【特許文献10】米国特許第6,346,548号明細書
【特許文献11】米国特許第6,488,164号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第547952号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第594507号明細書
【特許文献14】米国特許第RE37,516号明細書
【非特許文献1】Touret et al.,1995
【非特許文献2】Edgar and Seidel,1997
【非特許文献3】Lin et al.,1992
【非特許文献4】Shelton et al.,1995
【非特許文献5】Hermant et al.,1991
【非特許文献6】Panckeri et al,1996
【非特許文献7】Assoc. of Sleep Disorders Centers,Sleep 2:1(1979)
【非特許文献8】Montplaisir,in Guilleminault et al.eds.,Narcolepsy,Spectrum Pub.,New York,pp.43−56
【非特許文献9】Carskadon et al.,Sleep,5:S73(1982)
【非特許文献10】Carskadon et al.,Psychophysiology,18:107(1981)
【非特許文献11】Kryger et al.,Principles and Practice of Sleep Medicine
【非特許文献12】W.B.Saunders Co.,Philadelphia,Pa.(1989)
【非特許文献13】International Classification of Sleep Disorders: Diagnostic and Coding Manual,American Sleep Disorder Association,Rochester,Minn.(1990)
【非特許文献14】Mitler et al.,Sleep 11:100(1988)
【発明の開示】
【0008】
発明の要旨
1つの態様において、組成物は、1)蘇生薬(analeptic)、および2)1種もしくはそれ以上の他の薬剤を包含するがそれらに限定されない治療的に有効な量の2種もしくはそれ以上の活性化合物を包含しうる。活性物質は一緒に組み合わせることができそして場合により製薬学的に許容可能な担体を包含することができ、或いは活性物質を別個に投与することもできる。
【0009】
別の態様において、本発明は、他の薬剤により処置できる症状に伴う1種もしくはそれ以上の徴候を処置および/または緩和するため並びに/或いは他の薬剤を用いる処置または療法に伴う1種もしくはそれ以上の副作用を処置および/または緩和するための1種もしくはそれ以上の薬剤と組み合わせたモダフィニルの使用を包含する。
発明の詳細な記述
本発明は、種々の薬剤療法に伴う徴候および副作用を処置しそしてさらに薬剤療法に含まれる薬剤の活性を増加させる組成物および方法に関する。徴候および/または副作用はナルコレプシー、眠気、過度の眠気(例えば、睡眠および覚醒障害に伴う眠気)、ナルコレプシーに伴う過度の日中眠気、パーキンソン病、尿失禁、ADHD、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、鬱病、および虚血を包含しうるが、それらに限定されない。
【0010】
本発明の組成物および方法は、モダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬と、投与に伴われる有害な副作用、特に疲労、眠気、寂寥感−快感の不足、不安、心配、刺激、動揺、過度の眠気、傾眠、鎮静、低エネルギー、動機付けの不足、並びに思考、集中および/または記憶における障害、を有する少なくとも1種の他の薬剤とを包含する。
1.蘇生剤
蘇生薬は、中枢神経系刺激剤として主に作用するかまたは使用される薬剤である。脳の睡眠−覚醒中心に対して作用しそしてアンフェタミン類(amphetamines)の薬理学的影響のない蘇生薬が、本発明の実施における使用にとって好ましい。好ましい蘇生剤はモダフィニルの薬理学的特性を有する。それ故、本発明の好ましい態様では、本発明の実施において使用される蘇生薬はプロビギル(Provigil)(R)(モダフィニル)である。
2.他の薬剤
薬剤投与の副作用として、直接的または間接的のいずれかで、ナルコレプシー、眠気、過度の眠気(例えば、睡眠および覚醒障害に伴う眠気)、ナルコレプシーに伴う過度の日中眠気、パーキンソン病、尿失禁、ADHD、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、鬱病、および虚血の1種もしくはそれ以上を誘発するかまたは引き起こすことが知られているいずれかの薬剤を本発明で使用することができる。
【0011】
例えば、抗精神病薬、例えばリスペリドン(risperidone)、クロザピン(clozapine)およびオランザピン(olanzapine)を使用することができる。さらに、コリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジル(donepezil)、ガランタミン(galantamine)、並びにインターフェロン、例えばインターフェロンベータ−1aおよびインターフェロンベータ−1bを使用することができる。また、ドーパミン作用薬、例えばロピニロール(ropinirole)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ペルゴリド(pergolide)、およびプラミペキソール(pramipexole)が許容可能な薬剤の範囲内に包含される。抗癲癇薬、例えばチアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、フェニトイン(phenytoin)、カルバマゼピン(carbamazepine)、ラモトリギン(lamotrigine)、およびガバペンチン(gabapentin)も本発明の範囲内と考えられる。さらに、心不全薬、例えばジゴキシン(digox
in)、カプトプリル(captopril)、エナラプリル(enalapril)、ベラパミル(verapamil)、ジルチアゼム(diltiazem)、ニフェジピン(nifedipine)、ロサルタン(losartan)、プラゾシン(prazosin)、およびラベタロール(labetalol)を使用することもできる。さらに、抗腫瘍薬(antineoplastics)、例えばタキソール(taxol)、ドセタキセル(docetaxel)、シスプラチナム(cisplatinum)、およびビンクリスチン(vincristine)を使用することができる。一般的に、モダフィニルとの補助療法に適する特定の薬剤および薬剤のタイプまたは種類はここでは「モダフィニル補助薬剤」または「M−薬剤」と称する。M−薬剤は以上で示された化合物を包含するが、それに限定されない。
3.変種、同族体、塩、異なる形態
安全であり且つ有効な、上記化合物の構造同族体を包含するがそれらに限定されない、以上で挙げられていない薬剤も本発明の実施において有用である。
【0012】
ジアステレオマーおよびエナンチオマー(例えば、モダフィニルのLおよび/またはR−異性体)を包含する種々の個々の立体異性体並びにそれらの混合物が本発明の範囲内に包含される。さらに、本発明において有用な化合物は、製薬学的に許容可能な塩、例えば、アルカリ金属塩、例えばナトリウムおよびカリウム、アンモニウム塩、モノアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、並びにトロメタミン塩も包含する。上記化合物の水和物、溶媒和物、および多形相が本発明の範囲内に包含される。蘇生薬およびM−薬剤の組み合わせを使用することもできる。化合物は実質的に純粋であってもまたは他の成分と混合されていてもよい。
4.処置障害
本発明は、例えばアルコールまたは薬剤乱用に伴う鬱病を包含する多くの因子により引き起こされうる疲労および眠気を包含する障害および/またはM−薬剤療法に伴う副作用の処置において有用である。本発明はまた、そのようなM−薬剤が時々処方される他の障害の処置においても有用である。これらは、例えば、癲癇、心不全、および精神病を包含する。ここに記載された薬剤および薬剤のタイプが臨床的に有利な効果を有することが示されたそのような障害をここではまとめて「障害」と称する。
5.蘇生薬およびM−薬剤の治療的に有効な量
本発明の1つの態様において、患者に投与される蘇生薬、例えばモダフィニルの量は、約5〜400mg、より好ましくは5、10、15、20、30、40、50、60、70、75、80、90、100、200、300および/または400mg、のモダフィニル、またはその組み合わせを包含しうる。典型的には、モダフィニルは50、75、100および200mgの量で投与されうる。しかしながら、ここに記載されるように、1種もしくはそれ以上のM−薬剤と組み合わせて使用される場合には、M−薬剤療法に伴う徴候の全てまたは一部を緩和するために必要なモダフィニルの量を減少させることができる。従って、本発明の1つの態様は、M−薬剤と共に投与される場合には、M−薬剤と組み合わされた単位服用量(unit dose)としてまたは別個の服用量として、100mgもしくはそれより少ないモダフィニルを包含する。モダフィニルおよびM−薬剤の両者を含有する単一の単位服用量が、以下で記載されるように、本発明の好ましい組成物である。
【0013】
典型的には、1種もしくはそれ以上のM−薬剤は特定薬剤または薬剤のタイプに関して有効であるとして知られる量で投与することができる。より具体的には、本発明においては、薬剤は動物患者の症状を変えるのに有効な量で、すなわち、M−薬剤が単独投与される場合に動物患者に投与されるであろうM−薬剤の量で投与することができる。適量は、M−薬剤の選択によるが、典型的には0.1〜1,000mgの範囲内である。ほとんどのM−薬剤に関しては、量は5、10、15、20、30、40、50、60、70、
80、90、100、200、300および/または400mgの特定M−薬剤またはその組み合わせでありうる。しかしながら、本発明においては、1種もしくはそれ以上の蘇生薬、例えばモダフィニルと組み合わせて使用される場合には、治療効果を依然として与えながら、投与されるM−薬剤の合計量は10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%ほど減ずることができる。従って、本発明の1つの態様は単独投与される場合に動物に投与されるM−薬剤の量に比べて少ない量のM−薬剤の投与を包含する。
【0014】
一般的に、活性化合物の1日の経口服用量に関しては、1種もしくはそれ以上の蘇生薬および1種もしくはそれ以上のM−薬剤の組み合わせ合計量は1日当たり約0.01mg/kg〜1日当たり約100mg/kgであろう。1日当たり約1〜1000mg/cmの範囲内のIV服用量が有効であろうことが予期される。
【0015】
本発明のいくつかの態様では、蘇生薬対M−薬剤のそれぞれの重量比は0.01:1〜1:1〜100:1、可能なら1000:1でありうる。いくつかの態様では、重量比は1:1〜7:1または10:1、最も好ましくは1:1〜5:1でありうる。
【0016】
上記量の蘇生薬(例えば、モダフィニル)および1種もしくはそれ以上のM−薬剤を含有する薬用量(dosage)形態を患者に与えて、疲労、エネルギー、機敏性および認識機能(例えば精神運動遅延)の影響により示されるように、疲労徴候を改良し且つ覚醒機能を改良することができる。
6.本発明の組成物の製造
本発明の製薬学的組成物を製造するために、モダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬と1種もしくはそれ以上の上記のモダフィニル補助薬剤を包含するがそれらに限定されないM−薬剤とを緊密に混合することができる。混合物は場合により製薬学的担体を従来の製薬学的混和技術に従いさらに包含することもでき、その担体は投与、例えば、経口的、坐薬、または非経口的投与にとって所望される調剤形態によって広範囲の形態をとりうる。組成物中の各活性成分の量は上記量に対応しうる。製薬学的に許容可能な担体は、例えば、安定剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香味剤、着色剤、希釈剤などを包含する。そのような組成物は、鬱障害の治療に使用される場合には、好ましくは治療的に有効な量の蘇生薬およびM−薬剤を包含しうる。
【0017】
経口薬用量形態での組成物の製造においては、一般的な製薬学的媒体のいずれも使用しうる。それ故、液体経口調剤、例えば、懸濁剤、エリキシル剤および液剤に関しては、適する担体および添加剤は水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などを包含し、固体経口調剤、例えば、粉剤、カプセル剤および錠剤に関しては、適する担体および添加剤はデンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを包含する。投与における容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口薬用量単位形態であり、その場合にはもちろん固体の製薬学的担体が使用される。所望するなら、錠剤を標準的技術により糖コーティングまたは腸溶コーティングすることができる。
【0018】
非経口剤に関しては、担体は普通は殺菌水を含んでなるであろうが、例えば、溶解を助けたりまたは保存用の目的のために、他の成分を含むことができる。注射懸濁剤を製造することもでき、その場合には適当な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。
【0019】
1つの態様では、本発明の製薬学的組成物は錠剤もしくはカプセル剤形態でまたは他の適当な単位服用量形態で投与することができる。本発明の錠剤またはカプセル剤は1種もしくはそれ以上の下記の不活性成分を含有しうる:含水ラクトース、予備ゼラチン化されたデンプン、微結晶性セルロース、グリコール酸ナトリウムデンプン、ステアリン酸マグネシウム、精製水、カルナウバ蝋、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン
、ポリエチレングリコール、合成酸化鉄、およびポリソルベート80。
【0020】
従って、製薬学的組成物はここでは薬用量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末注入剤、茶匙1杯分、坐薬など当たり約5〜約1000mgもしくはそれ以上の蘇生薬およびM−薬剤を含有するであろう。本発明の1つの態様では、各々の単一の薬用量単位(または単位服用量)はある量の蘇生薬およびある量のM−薬剤の両者を含む。そのような態様では、患者に投与される薬剤の合計量が各々の有効量である限り、各々の単一の薬用量単位が有効量を含むことは必ずしも必要でない。従って、例えば、患者は有効量の両方の薬剤を受容するために2種もしくはそれ以上の単一の薬用量単位を必要とするかもしれない。
【0021】
投与時に、本発明の調剤は製薬学的に許容可能な量で且つ製薬学的に許容可能な組成で適用される。そのような調剤は慣習的に塩、緩衝剤、防腐剤、相容性担体、および場合により他の治療成分を含有しうる。薬剤中での使用時には、塩は製薬学的に許容可能でなければならないが、製薬学的に許容可能でない塩を製薬学的に許容可能な塩を製造するために簡便に使用することができそして本発明の範囲から除外されない。そのような薬理学的および製薬学的に許容可能な塩は下記の酸から製造されるものを包含するが、それらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、マロン酸、琥珀酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、製薬学的に許容可能な塩をアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として製造することもできる。
【0022】
適する緩衝剤は、酢酸および塩(1〜2%W/V)、クエン酸および塩(1〜3%W/V)、ホウ酸および塩(0.5〜2.5%W/V)、並びに燐酸および塩(0.8〜2%W/V)を包含する。適する防腐剤は、塩化ベンズアルコニウム(0.003〜0.03%W/V)、クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V)、パラベン類(0.01〜0.25%W/V)およびチメロサル(0.004〜0.02%W/V)を包含する。
【0023】
薬用量は所望する薬剤水準を局部的にまたは全身的に得るように適切に調節しうる。上記のように、一般的には、活性化合物の1日経口服用量は1日当たり約0.01mg/kg〜1日当たり2000mg/kgであろう。患者における応答がそのような服用量で不充分である場合には、それより高い服用量(または別のさらに局部に集中させる分配方式によるより高い有効服用量)を患者の耐性が許容する程度まで使用することができる。化合物の適切な全身的水準を得るために、例えば24時間にわたる連続的なIV投与または1日当たり複数回の服用が考えられる。
【0024】
種々の投与方式を利用できる。選択される特定方式は、選択される特定薬剤、処置しようとする1種もしくは複数の疾病症状の重篤度、および治療効果に関して必要な薬用量にもちろん依存するであろう。本発明の方法は、一般的に述べると、医学的に許容可能である投与方式、すなわち臨床的に許容できない有害な影響を引き起こさずに活性化合物の有効な水準を生ずる方式を用いて実施することができる。そのような投与方式は経口、直腸、舌下、局部、鼻、経皮または非経口的方式を包含する。用語「非経口的」は皮下、静脈内、筋肉内、または注入を包含する。
【0025】
組成物は簡便には単位薬用量形態であることができ、そして薬剤技術で既知の方法のいずれかにより製造することができる。一般的には、化合物を液体担体、微細分割状固体担体、または両者と均一に且つ密に混合し、そして次に、所望するなら、製品に成形することにより、組成物が製造される。
【0026】
経口投与に適する組成物は、各々が予め決められた量の活性化合物を含有する個別単位、例えばカプセル剤、カシェ剤、錠剤、またはロゼンジ剤として提供されうる。他の組成物は、水性液中懸濁剤、または非水性液体、例えばシロップ剤、エリキシル剤、もしくは乳剤を包含する。
【0027】
他の分配システムは、時間−放出性、遅延放出性または持続放出性分配システムを包含しうる。そのようなシステムは本発明の活性化合物の繰り返し投与を回避して、患者および医師にとって簡便性を増加させうる。それらは、重合体をベースとしたシステム、例えばポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ無水物並びにポリカプロラクトン;ステロール、例えばコレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸または中性脂肪、例えばモノ−、ジおよびトリグリセリドを包含する脂質である非重合体システム;ヒドロゲル放出システム;シラスチックシステム、ペプチドをベースとしたシステム;ワックスコーティング、一般的な結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠剤、部分的に融合された移植片などを包含する。さらに、ポンプをベースとしたハードウエア分配システムを使用することもでき、それらのあるものは移植用に適用される。
【0028】
本発明の別の態様は、障害を処置するための量の蘇生薬およびM−薬剤の投与を促進させうるキットまたは装置を提供する。具体的には、本発明に従うキットはモダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬を含有する少なくとも1種の薬用量形態および少なくとも1種のM−薬剤を含有する別個の薬用量形態を包含する。本発明の1つの適するキットは、単位服用量のモダフィニルおよび別個の単位服用量のM−薬剤を有するブリスターパックを包含する。最も好ましくは、モダフィニルの単位服用量は50、75、100または200mgのモダフィニルの錠剤を含み、そしてM−薬剤の単位服用量は10、20、30、40または50mgの抗鬱剤の錠剤を含む。キットまたは装置は、蘇生薬およびM−薬剤の投与に関する指示書も包含しうる。好ましくは、指示所は以下に示される投与スキームの1つもしくはそれ以上に従う投与指針を与える。
【0029】
蘇生薬および/またはM−薬剤は、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、カシェ剤などを包含する固体薬用量形態および/または例えば経口エリキシル剤もしくはIV流体の如き液体薬用量形態を包含するがそれらに限定されない適当な薬用量形態でありうる。蘇生薬の薬用量形態はM−薬剤と同じタイプまたは別のタイプでありうる。
【0030】
さらに別の態様では、本発明は経皮薬剤分配システム(「TDDS」)を包含する。パッチ剤形態での本発明の使用に適するTDDSは、典型的には、(1)裏打ち層並びに(2)有効量のM−薬剤および場合によりモダフィニルと共に調合される担体を少なくとも含有する。
【0031】
好ましいパッチ剤は、(1)マトリックスタイプパッチ剤、(2)受器タイプパッチ剤、(3)多層接着剤中薬剤タイプパッチ剤、および(4)単層接着剤中薬剤タイプパッチ剤を包含する(引用することにより本発明の内容となるGhosh,T.K.;Pfister,W.R.;Yum,S.I.Transdermal and Topical
Drug Delivery Systems,Interpharm Press,Inc.p.249−297)。これらのパッチ剤は一般的に市販されている。
【0032】
本発明の実施のためには、マトリックスタイプおよび接着剤中薬剤タイプパッチ剤が特に好ましい。より好ましい接着剤中薬剤パッチ剤は単層タイプである。
【0033】
標準的パッチ剤以外の経皮薬剤分配システムを使用することもできる。これらは、例えば、浸透ポンプシステム、超音波システム、軟膏剤、ペースト剤、ゲル剤、薬用粉剤、クリーム剤、ローション剤、エーロゾル剤、噴霧剤、泡剤、薬用接着剤などを包含する。
7.処置/治療の方法
A.蘇生薬およびM−薬剤の処置の投与スキームおよびタイミング
蘇生薬およびM−薬剤を一緒に組み合わせて単一の単位服用量にすることができるが、2つもしくはそれ以上の個別服用量として別個に投与することもできる。
【0034】
それ故、本発明のいくつかの態様では、鬱病に関連する障害の処置は別個の薬用量形態、すなわち1つもしくはそれ以上の蘇生薬服用量および1つもしくはそれ以上のM−薬剤服用量、の使用により行うことができる。従って、蘇生薬の服用量をM−薬剤服用量とは別の時にまたは同時に投与することができる(すなわち、M−薬剤の投与前後1時間以内の蘇生薬服用量投与)。しかしながら、同時の場合には、蘇生薬およびM−薬剤の投与は蘇生薬およびM−薬剤の両者を含む単一の単位服用量の使用によって行うこともできる。
【0035】
M−薬剤療法を始めようとする患者、すなわちM−薬剤を実質的に含まない患者または約1週間、2週間、より好ましくは約4週間もしくはそれ以上にわたりM−薬剤療法を受けていない患者においては、蘇生薬を含有する薬用量形態をM−薬剤の最初の投与の前におよび/または投与とほぼ同時に投与することができる。そのような態様では、蘇生薬の1回もしくはそれ以上の投与はM−薬剤の最初の投与/服用前の72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、最も好ましくは1時間以内またはすぐに行うことができる。蘇生薬およびM−薬剤の最初の投与後に、蘇生薬およびM−薬剤のその後の服用を典型的な割合で、例えば典型的には1日当たり1回もしくは2回の50、75、100〜200mgのモダフィニルの服用量および1日当たり10、20、30、40〜50mgのM−薬剤で続けることができる。さらに、M−薬剤の最初の投与後に、蘇生薬およびM−薬剤の服用を別個の薬用量形態でまたは単一の単位服用量で行うことができる。しかしながら、蘇生薬の服用量がM−薬剤のその後の服用前に投与される場合には、各々に関する別個の薬用量形態が好ましい。
【0036】
さらに、M−薬剤を実質的に含まない患者においては、蘇生薬の最初の投与をM−薬剤の最初の投与と同時にまたはほぼ同時に行うことができる。これは、その後に同時に(すなわち、M−薬剤の前後1時間以内に)一緒に投与できる蘇生薬およびM−薬剤の別個の薬用量形態の使用により、または上記のように蘇生薬およびM−薬剤の両者を含む単一単位服用量の使用により行うことができる。
【0037】
さらに、モダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬をすでにM−薬剤の少なくとも最初の服用量を受容した患者に投与することもできる。1つの態様では、蘇生薬の最初の投与はM−薬剤の最初の投与後72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、最も好ましくは1時間以内またはすぐに行うことができる。この時機スキームでは、モダフィニルはM−薬剤とほぼ同時であるがM−薬剤の少なくとも1回の投与後に投与される。蘇生薬の最初の服用後に、蘇生薬およびM−薬剤の服用を典型的な方法で続けることができる。1つの特に好ましい態様では、蘇生薬の最初の投与および蘇生薬のその後の投与を蘇生薬およびM−薬剤の両者を含む単一の単位服用量の使用により行うことができる。
【0038】
別の態様では、患者に対する蘇生薬の最初の投与をM−薬剤療法が終了した後に行いおよび/または続けることができる。好ましくは、これは患者に対するある量の蘇生薬の投与により行われ、そしてその投与はM−薬剤療法停止後に1、2、5、10、20、または30日間にわたり続けることができる。
【0039】
蘇生薬およびM−薬剤が別個の薬用量形態である態様では、以下の特定の処置方法で指示されない限り、蘇生薬の投与は好ましくはM−薬剤の投与前後すぐに、1時間以内、または5時間以内、または24時間以内、または48時間以内、または72時間以内に行う
ことができる。
【0040】
1つの態様では、M−薬剤は蘇生薬の投与前に投与することができる。
B.M−薬剤処置停止に伴う副作用を減ずるための蘇生薬の投与
例えばモダフィニルの如き蘇生薬と1種もしくはそれ以上のM−薬剤との組み合わせの投与がM−薬剤療法の停止に伴う有害な副作用を有意に減ずることができる。そのような態様では、有効量のモダフィニルをM−薬剤と同時におよび/またはM−薬剤療法が停止された後に投与することができる。
【0041】
1つの態様では、本発明はM−薬剤療法の停止に伴う動物患者における有害な徴候を減ずる方法を含む。この方法は、有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬を動物患者、好ましくはヒトに投与して有害な徴候を減ずることを含み、ここで蘇生薬はM−薬剤療法停止の前および/または最中および/または後に上記の時機スキームの1つもしくはそれ以上に従い行われる。蘇生薬の量および蘇生薬療法の期間は患者毎に変動しうる。
【0042】
しかしながら、1つの態様では、M−薬剤療法中の蘇生薬の量は有効量の、典型的には約100mg〜約200mgの、1日1回もしくは2回投与されるモダフィニルを含む。別の態様では、蘇生薬の投与は有害な徴候の減少があることが所望されるM−薬剤療法停止前の2日間の期間内に、好ましくは10日間以内に行うことができる。モダフィニルおよびM−薬剤の両者の投与はM−薬剤療法停止に伴う有害な副作用を有意に減じうる。
【0043】
1つの態様では、蘇生薬はM−薬剤処置停止後に投与することができる。そのような態様では、蘇生薬の投与はM−薬剤療法停止後の1、2、5、10、20、もしくは30日間、またはそれ以上の期間にわたり続けることができる。
【0044】
そのような態様では、モダフィニルを経口的に、鼻に、直腸に、静脈内に、硬膜外に、腹腔内に、皮下に、筋肉内にまたは鞘内に投与することができる。
C.一般的な障害処置
1つの態様では、本発明は薬理学的に活性な組成物をその組成物を必要とする患者、好ましくはヒト患者に与えることによる鬱障害の処置方法を包含する。薬理学的に活性な組成物はある量の蘇生薬、好ましくは治療的に有効な量の蘇生薬、および1種もしくはそれ以上のM−薬剤を包含しうる。組成物は場合により上記のように製薬学的に許容可能な担体をさらに包含しうる。薬理学的に活性な組成物を次に動物患者に投与することができる。
【0045】
蘇生薬および他の薬剤は上記のように、患者に同時にまたは異なる時期に投与することができ、そして以上で示された投与スキームの1つまたはそれ以上に従うことができる。
【0046】
薬理学的に活性な組成物および/または組み合わせは、経口的、鼻、直腸、静脈内、硬膜外、腹腔内、皮下、筋肉内または鞘内を包含するがそれらに限定されない許容可能な方式により投与することができる。
【0047】
1つの態様では、投与される蘇生薬はモダフィニルまたはその塩である。別の態様では、M−薬剤はチアガビンを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の上記のM−薬剤を包含しうる。
【0048】
1つの態様では、1種もしくはそれ以上の蘇生薬を単一の単位服用量形態でありそして1種もしくはそれ以上のM−薬剤は別個の単位服用量形態である。各々の単位服用量形態は同時にまたは異なる時期に、上記の投与スキームの1つもしくはそれ以上に従い投与す
ることができる。好ましい態様では、薬理学的に活性な組成物は蘇生薬およびM−薬剤を単一の単位服用量形態で含有する。
【0049】
別の態様では、動物患者における鬱障害を処置するための治療方法は少なくとも1種のM−薬剤を有する製薬学的に許容可能な薬剤調剤を動物の皮膚に適用することを包含し、そこでは製薬学的に許容可能な薬剤調剤はパッチ剤中に含有される。追加の有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬を動物に対して、パッチ剤中に含まれるマトリックス中でまたは経口的、鼻、直腸、静脈内、硬膜外、腹腔内、皮下、筋肉内もしくは鞘内を包含するがそれらに限定されないいずれかの他の許容可能な方式による蘇生薬の投与により、与えることができる。
D.障害副作用の減少
1つの態様では、本発明は患者をM−薬剤が指示される鬱病および他の障害に関して処理する方法を包含し、それによりM−薬剤療法語の副作用が減じられる。その方法は、患者に対する有効量のM−薬剤の投与に加えて患者に有効量の蘇生剤を投与する段階を含む。この療法は以上で示された1つもしくはそれ以上の時機スキームに従い行うことができる。
【0050】
別の態様では、本発明はM−薬剤の活性を増加させる方法を包含し、それにより副作用が減じられる。この方法は、以上で示された1つもしくはそれ以上の時機スキームに従い患者に対する有効量のM−薬剤の投与に加えて患者に有効量の蘇生剤を投与する段階を含む。
【0051】
さらに別の態様では、本発明はM−薬剤の開始時間を短縮する方法を包含し、それにより副作用が減じられる。この方法は、以上で示された1つもしくはそれ以上の時機スキームに従い患者に対する有効量のM−薬剤の投与に加えて患者に有効量の蘇生剤を投与する段階を含む。
【0052】
別の態様では、本発明はM−薬剤の活性を増加させ且つM−薬剤の開始時間を短縮する方法を包含し、それにより副作用が減じられる。この方法は、以上で示された1つもしくはそれ以上の時機スキームに従い患者に対する有効量のM−薬剤の投与に加えて患者に有効量の蘇生剤を投与する段階を含む。
E.M−薬剤活性の増加
1つの態様では、本発明は動物患者、好ましくはヒトにおけるM−薬剤の活性を増加させる方法を包含する。この方法は、患者を有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬で予備処置する段階を包含する。蘇生薬の量および予備処理の期間は患者毎に変動しうるが、典型的には上記量および以上で示された時機スキームの1つもしくはそれ以上に従う。
【0053】
しかしながら、1つの特定態様では、蘇生薬の量はM−薬剤療法開始前の2日間以内の、好ましくは10日間以内の、期間にわたる有効量の、典型的には約100mg〜約200mgの1日1回もしくは2回投与されるモダフィニルを含む。蘇生薬の投与は場合によりM−薬剤療法中に続けることもでき、そして上記のように、M−薬剤療法停止後にある期間にわたり続けることもできる。
【0054】
蘇生薬は経口的に、鼻に、直腸に、静脈内に、硬膜外に、腹腔内に、皮下に、筋肉内にまたは鞘内に投与することができる。
F.M−薬剤効果の開始時間(onset time)の短縮
M−薬剤療法の開始とM−薬剤療法に伴われる徴候の緩和との間の時間経過を短縮することができる。本発明の1つの態様では、モダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬の投与開始後に、M−薬剤療法の前もしくは最中に、または以上で示されたタイミ
ングスキームの1つもしくはそれ以上に従うことにより鬱徴候を改良することができる。
【0055】
改良の時期はM−薬剤療法単独に比べて1、2、4、7、10、および14日間である。
【0056】
別の態様では、本発明は動物患者におけるM−薬剤の開始時間を短縮する方法を包含する。この方法は、患者を有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬で予備処置しおよび/または有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬をM−薬剤と同時投与する段階を包含する。蘇生薬の量および予備療法の期間は患者毎に変動しうる。しかしながら、蘇生薬の投与の時機が以上で示された時機スキームの1つもしくはそれ以上に従うことが好ましい。
【0057】
1つの態様では、蘇生薬の量は有効量のモダフィニル、典型的にはM−薬剤療法の開始前2日間以内の、好ましくは10日間以内の、期間にわたる1日1回もしくは2回投与される約100mg〜約200mgのモダフィニルを含み、それにより開始時間における短縮があることが望まれる。別の態様では、蘇生薬の第1回投与はM−薬剤の最初の投与前の72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、最も好ましくは1時間以内またはすぐに行うことができる。上記のように、蘇生薬の投与は場合によりM−薬剤療法中に続けることもできる。
【0058】
蘇生薬は経口的に、鼻に、直腸に、静脈内に、硬膜外に、腹腔内に、皮下に、筋肉内にまたは鞘内に投与することができる。
G.有害な徴候の減少
1つの態様では、本発明は動物患者におけるM−薬剤療法に伴う有害な徴候を減ずる方法を包含する。この方法は、有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬を動物患者、好ましくはヒトに投与して有害な徴候を減ずることを包含し、そこでは蘇生薬はM−薬剤療法の前および/または最中および/または後に或いは以上で示された1つもしくはそれ以上の投与スキームに従い投与される。
【0059】
本発明の療法で処置可能な有害な徴候は、疲労、眠気、寂寥感−快感の不足、不安、心配、刺激、動揺、過度の眠気、傾眠、鎮静、低エネルギー、動機付けの不足、並びに思考、集中および/または記憶における障害を包含するがそれらに限定されない。これらの徴候の一部または全ては標準的疲労重篤度目盛り(FSS)、視覚的アナログ目盛り(VAS)およびエプワース(Epworth)眠気目盛り(ESS)を用いて測定することができる。
【0060】
蘇生薬の量および蘇生薬療法の期間は患者毎に変動しうる。しかしながら、1つの態様では、蘇生薬の量は約100mg〜約200mgの、M−薬剤療法停止前の1、2、5、10、20もしくは30日間にわたり、最中に、および/または停止後1、2、5、10、20、もしくは30日間にわたり、1日1回もしくは2回投与されるモダフィニルを含む。好ましくは、モダフィニル投与はM−薬剤療法中に続く。
【0061】
ある種の好ましい態様では、M−薬剤はM−薬剤療法の期間にわたり1日当たり約20mgで投与されるチアガビンを包含する。
【0062】
そのような態様では、モダフィニルおよび/またはM−薬剤は経口的に、鼻に、直腸に、静脈内に、硬膜外に、腹腔内に、皮下に、筋肉内にまたは鞘内に投与することができる。
定義
ここで使用される「粒子」は、アセトアミド化合物の集合した物理的単位、すなわちア
セトアミドの片または粒子をさす。
【0063】
ここで使用される「約」は、示された値のプラスもしくはマイナス10%を意味し、例えば「約20mg」は18〜22mgを示す。
【0064】
ここで使用される「本質的に・・・よりなる」は、他の活性成分を含まないが、賦形剤および分解もしくはその他を相殺するための追加量の活性成分を包含することをさす。
【0065】
ここで使用される「有効量」は、鬱症状の処置に有効であるモダフィニルおよび/またはM−薬剤の量、すなわち、鬱病および/または抗鬱療法に伴われるある種の徴候を軽減、緩和または排除しうるモダフィニルおよび/またはM−薬剤の量である。
【0066】
ここで使用される「製薬学的組成物」は、哺乳動物に対する投与に適する方法で製造されるモダフィニルを含んでなる哺乳動物の処置における使用のための薬剤を意味する。本発明に従う製薬学的組成物は無毒の製薬学的に許容可能な担体を包含しうるが、必ずしも必要ではない。製薬学的組成物は薬用量形態の製造における使用のための大量の活性モダフィニルも包含しうる。製薬学的組成物はモダフィニルを別の活性物質、好ましくはM−薬剤、より好ましくはSSRIと組み合わせて含むこともできる。
【0067】
本発明を具体的な態様を参照しながら開示してきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱しない本発明の別の態様および変更を当業者は推量しうる。添付された請求項は全てのそのような態様および同等な変更を包含すると解釈すべきである。さらに、ここに引用された全ての参考文献の内容は引用することにより本発明の内容となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蘇生薬(analeptic)、M−薬剤、および製薬学的に許容可能な担体を含んでなる鬱障害の処置のための製薬学的組成物。
【請求項2】
蘇生薬がモダフィニル(modafinil)を含んでなる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
蘇生薬がモダフィニルの製薬学的に許容可能な塩である請求項1の組成物。
【請求項4】
蘇生薬がモダフィニルの実質的に純粋なエナンチオマーである請求項1の組成物。
【請求項5】
蘇生薬対M−薬剤の重量比が0.1〜10:1である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
蘇生薬対M−薬剤の重量比が1:1〜5:1である請求項5の組成物。
【請求項7】
M−薬剤が抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、インターフェロン、ドーパミン作用薬、抗癲癇薬、心不全薬、および抗腫瘍薬よりなる群から選択される請求項1の組成物。
【請求項8】
M−薬剤がリスペリドン(risperidone)、クロザピン(clozapine)、オランザピン(olanzapine)、ドネペジル(donepezil)、ガランタミン(galantamine)、インターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b、ロピニロール(ropinirole)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ペルゴリド(pergolide)、プラミペキソール(pramipexole)、チアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、フェニトイン(phenytoin)、カルバマゼピン(carbamazepine)、ラモトリギン(lamotrigine)、ガバペンチン(gabapentin)、ジゴキシン(digoxin)、カプトプリル(captopril)、エナラプリル(enalapril)、ベラパミル(verapamil)、ジルチアゼム(diltiazem)、ニフェジピン(nifedipine)、ロサルタン(losartan)、プラゾシン(prazosin)、ラベタロール(labetalol)、タキソール(taxol)、ドセタキセル(docetaxel)、シスプラチナム(cisplatinum)、およびビンクリスチン(vincristine)よりなる群から選択される請求項1の組成物。
【請求項9】
M−薬剤の量が5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300または400mgのM−薬剤を含む請求項1の組成物。
【請求項10】
蘇生薬の量が5、10、15、20、30、40、50、60、70、75、80、90、100、200、300または400mgの蘇生薬を含む請求項1の組成物。
【請求項11】
エナンチオマーがモダフィニルのR−異性体である請求項4の組成物。
【請求項12】
蘇生薬がM−薬剤投与の前または投与と同時に投与される請求項1の組成物。
【請求項13】
(a)治療的に有効な量の蘇生薬およびM−薬剤を含んでなる薬理学的に活性な組成物を準備し、そして
(b)薬理学的に活性な組成物を患者に投与して鬱障害を処置する
ことを含んでなり、蘇生薬およびM−薬剤が単一の単位服用量であるかまたはモダフィニルの投与がM−薬剤の投与の前もしくは投与とほぼ同時である動物患者における鬱障害
の処置方法。
【請求項14】
蘇生薬がモダフィニルを含んでなる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
M−薬剤が抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、インターフェロン、ドーパミン作用薬、抗癲癇薬、心不全薬、および抗腫瘍薬よりなる群から選択される請求項14の方法。
【請求項16】
M−薬剤がリスペリドン、クロザピン、オランザピン、ドネペジル、ガランタミン、インターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b、ロピニロール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、チアガビン、トピラメート、フェニトイン、カルバマゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、ジゴキシン、カプトプリル、エナラプリル、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン、ロサルタン、プラゾシン、ラベタロール、タキソール、ドセタキセル、シスプラチナム、およびビンクリスチンよりなる群から選択される請求項13の方法。
【請求項17】
M−薬剤の量が5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300または400mgのM−薬剤を含む請求項13の方法。
【請求項18】
蘇生薬の量が5、10、15、20、30、40、50、60、70、75、80、90、100、200、300または400mgの蘇生薬を含む請求項13の方法。
【請求項19】
動物患者に有害な徴候を減ずるのに充分な量のモダフィニルを投与することを含んでなる患者におけるM−薬剤療法の停止に伴う有害な徴候を減ずる方法。
【請求項20】
有効量の蘇生剤およびM−薬剤を患者に投与することを含んでなるM−薬剤が指示される鬱病および他の障害のための患者の処置方法であって、それにより副作用が減じられる方法。
【請求項21】
M−薬剤の投与前に動物患者を有効量のモダフィニルで処置することを含んでなる、患者に投与されるM−薬剤の開始時間を短縮する方法。
【請求項22】
モダフィニルをM−薬剤の投与の72時間、48時間、24時間、1時間前または直前の1つもしくはそれ以上で投与する請求項21の方法。

【公表番号】特表2007−506801(P2007−506801A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533141(P2006−533141)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/015408
【国際公開番号】WO2004/103359
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(599133646)セフアロン・インコーポレーテツド (10)
【Fターム(参考)】