説明

モニタリングシステムと遠隔地用保守システム

【課題】風力発電装置用のモニタリング装置などに利用されるソフトウェアのバージョンアップを無線通信によって監視地に対して遠隔地にあるモニタリング装置にソフトウェアのバージョンアップ等に必要なファイルを最適送信されるシステムを提供する。
【解決手段】モニタリング対象を監視制御するモニタリング装置(200)への遠隔地用保守システムであって、モニタリング対象およびモニタリング装置は、遠隔地用保守システムが設置された監視地に対して遠隔地に設置され、遠隔地用保守システムは、モニタリング装置をリモート制御できる監視用端末(100)と、モニタリング装置が使用する情報を格納する監視側制御装置(110,120)とを備え、情報はモニタリング装置の動作を設定するためのものであり、監視側制御装置は、監視用端末からの要求に従い情報の遠隔地への送信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地にあるモニタリングシステムおよびその保守システムに関し、特に遠隔地にあるモニタリング装置などのソフトウェアのバージョンアップ等に必要なファイルを監視地から遠隔地にあるモニタリング装置に無線通信を利用し最適に送信できるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、風力発電や鉄道車両などに設置してあるモニタリング装置は、システムの不具合や新しい機能の追加などの理由から、プログラム内容を変更しなければならない場合がある。特に風力発電装置は僻地に設置されていることが多く、そのモニタリング装置に対して端末を直接接続して、ソフトウェアのバージョンアップ等の保守作業を行っていた。
【0003】
しかしながら、このようなモニタリング装置のメンテナンス作業は、特に僻地の場合、費用、手間が非常にかかる。また、かかる僻地においてはネットワーク回線がない場合が多く、有線ネットワーク回線を設置する場合には、さらに設備投資をする場合がある。
【0004】
そこで、僻地に設置してあるモニタリング装置に監視用端末を直接接続することなく、モニタリング装置の保守する技術が提案されている。
【0005】
たとえば、特開2000−330662号公報(特許文献1)には、遠隔地でも保守作業ができるように、ブラウザソフトウェアをインストールした「遠隔保守クライアント」を設置する。演算システム(モニタリング装置)はウェブサーバを有し、「遠隔保守クライアント」はウェブサーバにアクセスを行い、演算式の変更を行うことが示されている。
【0006】
また、特開2007−189477号公報(特許文献2)には、監視対象となる機器と接続され、機器の情報を集約するコントローラと、コントローラから送信された機器の情報を記憶手段に保管し、機器を制御する運用端末と、所定の通信網を介して運用端末をリモート制御する監視端末とを含んで構成される監視システムにおいて、運用端末は、監視端末からのアクセスを認識し、監視端末によるリモート制御を受け付けることで監視端末による運用端末の操作を可能とすることを特徴とすることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−330662号公報
【特許文献2】特開2007−189477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2000−330662号公報(特許文献1)に開示された発明は、遠隔地でも保守できるように、ブラウザソフトウェアをインストールした「遠隔保守クライアント」を設置する必要がある。また、特開2007−189477号公報(特許文献2)に開示された発明は、別途機器の情報を集約するコントローラが必要となり、コストが増大するという問題がある。
【0009】
また、モニタリング装置が設置されていることにより、そのモニタリング装置による測定エラー等の異常判断の精度を向上させることも問題となっている。たとえば、測定エラー等の異常判断がモニタリング装置に発生した場合に、どのような対応をすればよいのか、バージョンアップのソフトウェアが不適合なのか、ハードウェア(モニタリング装置)の故障なのか等の判断をモニタリング装置から遠隔にある監視地からでは的確に判断することができない問題もある。
【0010】
本発明の目的は、風力発電装置用のモニタリング装置などに利用されるソフトウェアのバージョンアップを無線通信によって監視地に対して遠隔地にあるモニタリング装置にソフトウェアのバージョンアップ等に必要なファイルを最適送信されるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、モニタリング対象を監視制御するモニタリング装置への遠隔地用保守システムであって、モニタリング対象およびモニタリング装置は、遠隔地用保守システムが設置された監視地に対して遠隔地に設置され、遠隔地用保守システムは、モニタリング装置をリモート制御できる監視用端末と、モニタリング装置が使用する情報を格納する監視側制御装置とを備え、情報はモニタリング装置の動作を設定するためのものであり、監視側制御装置は、監視用端末からの要求に従い情報の遠隔地への送信処理を行う。
【0012】
好ましくは、監視側制御装置は、情報と異なる他の情報をさらに格納し、監視側制御装置は、監視用端末からの要求に従う情報の送信処理を行い、情報の送信処理が成功しなかった場合はモニタリング装置への情報の再送信処理を行い、再送信処理が成功しなかった場合は他の情報の送信処理を行う。
【0013】
また好ましくは、監視側制御装置は、モニタリング対象を測定した測定結果が良好でない場合に、原因を検出するために予め用意された原因検出用デバイスファイルをさらに格納し、監視側制御装置は、モニタリング装置で測定された第1の測定結果の受信処理を行い、第1の測定結果が良好な場合は原因検出用デバイスファイルの送信処理を行わず、第1の測定結果が良好でない場合は監視用端末からの要求に従い原因検出用デバイスファイルの送信処理を行う。
【0014】
好ましくは、監視側制御装置は、原因検出用デバイスファイルを使用して測定された第2の測定結果の受信処理を行い、第2の測定結果が測定エラーを示す場合は、モニタリング装置を故障と判定し装置停止指令の送信処理を行い、第2の測定結果が測定エラーを示さない場合は情報の送信処理を行い、情報を使用して測定された第3の測定結果の受信処理を行い、第3の測定結果に応じてモニタリング装置が正常な動作をしているか否かの判定処理を行う。
【0015】
また好ましくは、監視側制御装置は、モニタリング対象を測定した測定結果の測定値が所定の閾値を超えたときに、情報を使用して得られた測定結果よりも詳細な測定結果を得るために予め用意された閾値判断ファイルをさらに格納し、監視側制御装置は、モニタリング装置で測定された第1の測定結果の受信処理を行い、第1の測定結果の測定値が閾値を超える場合は監視用端末からの要求に従い閾値判断ファイルの送信処理を行い、第1の測定結果の測定値が閾値を超えない場合は送信処理を行わない。
【0016】
好ましくは、監視側制御装置は、閾値判断ファイルを使用して測定された第2の測定結果の受信処理を行い、第2の測定結果の測定項目の時間当たりの変化量が基準値以下である場合は第1の測定結果を測定したときに使用された情報の送信処理を行い、第2の測定結果の測定項目の時間当たりの変化量が基準値より大きい場合は基準値以下になるまで第2の測定結果を繰返し受信する。
【0017】
好ましくは、遠隔地用保守システムでは監視地と遠隔地との間の通信は無線通信を介して行われる。
【0018】
また、この発明によれば、モニタリング対象を監視制御するモニタリングシステムであって、モニタリングシステムは、モニタリング対象を監視制御するモニタリング装置と、モニタリング装置が使用する情報を格納する制御装置とを備え、モニタリング対象およびモニタリング装置は、監視地に対して遠隔地に設置され、情報は、監視地に設置された監視用端末の要求に従い、監視地に設置された監視側制御装置から送信され、情報は、モニタリング装置の動作を設定するためのものであり、モニタリング装置は、情報を使用しモニタリング対象を監視制御する。
【0019】
好ましくは、遠隔地に設置された他のモニタリング装置がさらに追加された場合に、監視側制御装置は他のモニタリング装置の種別情報と、他のモニタリング装置を設定する情報の要求とを受け、監視側制御装置は情報が監視側制御装置に存在すれば、制御装置に情報の送信処理を行い、他のモニタリング装置は制御装置から情報を受けて、情報に基づいて監視動作を行う。
【0020】
好ましくは、モニタリングシステムでは監視地と遠隔地との間の通信は無線通信を介して行われる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、容易かつ短時間に、ソフトウェアや設定ファイルの更新(バージンアップ)やモニタリング装置の即時停止等の的確な判断を容易に行うことができる。また、監視地から遠隔にあるモニタリング装置の測定エラー等の異常状況を判断する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るモニタリングシステムの概要の一例を示す図である。
【図2】ソフトウェアのバージョンアップによるデバイスファイル送信動作時における監視側およびモニタリングシステム側の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】モニタリング装置200における測定エラーが発生した場合の監視側およびモニタリングシステム側の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】モニタリングシステム側において新たにモニタリング装置を追加した場合の監視側およびモニタリングシステム側の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】閾値判断プログラムの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るモニタリングシステムの概要の一例を示す図である。図1を参照して、モニタリングシステム側は、例えば、モニタリング装置200と、モニタリング装置200に読み込まれるデバイスファイルが格納されているFTP(File transFer Protocol)サーバ220と、モデム240と、ルータ230とを含む。モニタリング装置200はモニタリング対象である風力発電装置210を監視制御し、無線通信を利用して、たとえばギヤまたは軸受の摩耗の判定結果を送信する。
【0025】
FTPサーバ220は、PLC(Power Line Communication)機能を有するFTPサーバであり、具体的には電力配線を通信回線として利用して、FTP形式でファイルの送受信を行うことができる。
【0026】
監視側は、モニタリング装置200を監視するための監視用端末100A,100B,…,100N(総称して監視用端末100ともいう。)と、制御装置であるサーバ110,120と、モデム140と、ルータ130とを含む。なお、ここでは、モデム140とルータ130とを用いているが、モデム機能を有するルータを用いてもよい。
【0027】
モニタリングシステム側と監視側とは、ネットワーク(インターネット)300を介して、設定ファイル(デバイスファイル)のデータの送受信が行われる。
【0028】
ここで、サーバ110には、モニタリング装置200を設定するデバイスファイルが格納されている。監視用端末からの指示のもと、このサーバ110に格納されているデバイスファイルがFTP形式を利用してFTPサーバ220に格納される。
【0029】
また、モニタリングシステム側から送信された測定データは、最初にサーバ110に格納される。またサーバ110はこの測定データをサーバ120に直接転送する。ここでは、サーバ110,120を用いているが、これに限らず、サーバ120に測定データが直接格納されてもよいし、または、監視側にもFTPサーバを設置して、FTPサーバに測定データをFTP形式で送信させてもよい。
【0030】
ここで、監視用端末100からの要求に従い、サーバ120がサーバ120に格納される通信履歴を記録するプログラムや、閾値判断プログラムや、測定エラー監視・判断プログラムを実行する。後に説明をするが、通信履歴を記録するプログラムは、監視用端末がモニタリングシステム側へモニタリング装置に必要なデバイスファイルを送信できているかどうかを判断するプログラムである。
【0031】
また、閾値判断プログラムは、振動データを用いてモニタリング装置で測定された測定結果が予め用意されていた閾値を越えている場合に自動で測定条件を変更できるデバイスファイルをFTPにより送信されるプログラムである。
【0032】
測定エラー監視・判断プログラムは、モニタリング装置から送信された測定エラーに対し、測定エラー発生時のデバイスファイルを無線通信によって、FTP送信し、モニタリング装置の測定エラーの原因が、監視対象物による原因のものか、あるいは偶発的な原因のもの(誤監視)かを判断するプログラムである。
【0033】
無線通信によって通信がなされる区間は、監視側ではルータ130からネットワーク(インターネット)300への方向の範囲が、モニタリングシステム側ではモニタリングシステム側の全範囲が無線通信によって通信がなされていることが好ましい。すなわち、モニタリングシステム側の全ての機器が無線通信によって接続され、データの送受信が無線通信によって行われていることが好ましい。
【0034】
これは、モニタリング装置およびモニタする対象(風力発電用風車)は、両者は比較的僻地に設置され、両者の距離は、監視側−モニタリングシステム側の距離に比べて非常に近く設置されていることが多く、このため有線通信を行うためには費用が増大するからである。また、モニタリング装置を設置する場合は、配線作業に時間がかかり、作業負荷が大きい。これを有線ではなく、無線で行なうことで作業効率があがり、また、設置が容易となる。
【0035】
本実施の形態におけるモニタリングシステムは、モニタリング装置200が、ルータ230およびモデム240を介して、ネットワーク(インターネット)300に接続されている。
【0036】
また、モニタリングシステム側においては、モニタリング装置200に対し適用されるデバイスファイルがFTPサーバ220に格納される。監視用端末100の要求に従い、サーバ120がFTPサーバ220へこのデバイスファイルの送信処理を行う。
【0037】
監視側には複数の監視用端末100A〜100Nが備えてあり、複数の監視用端末100A〜100Nは、ルータ130およびモデム140を介して、ネットワーク(インターネット)300に接続されている。なお、監視用端末は複数台の必要はない。
【0038】
ソフトウェアのバージョンアップなどの保守作業を行うには、監視用端末100の要求に従い、サーバ120がFTPコマンドでルータ130を経由して、インターネット回線を利用し、対応するデバイスファイルの送信処理を行う。このデバイスファイルは無線通信によりルータ230を経由し、FTPサーバ220に格納される。モニタリング装置200の制御部(たとえばCPU(Central Control Unit))がFTPサーバ220に格納されているこのデバイスファイルを直接読み込み、測定条件の設定変更が行われる。
【0039】
本実施の形態におけるネットワーク(インターネット)300は、構築が容易で安価な公衆回線を利用する方法で説明するが、これに限らず専用線を利用してもよい。
【0040】
なお、セキュリティの高いシステムを構築するために監視側およびモニタリングシステム側それぞれに設置するルータ130,230は、ファイアウォール機能を有することが好ましい。また、モデム140,240は、高速通信用として、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム等を用いてもよい。
【0041】
さらに、モデム140,240については、セキュリティの高いVPN(Virtual Private Network)機能を備えた装置(VPN装置)を用いてもよい。
【0042】
図2は、ソフトウェアのバージョンアップによるデバイスファイル送信動作時における監視側およびモニタリングシステム側の動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
図2を参照して、監視用端末100の要求に従い、ソフトウェアに必要なデバイスファイルをモニタリングシステム側に送信する必要がある場合に、ステップS1において、サーバ120は、サーバ120に格納されているデバイスファイル(F1)をモデム、ルータ、およびネットワーク(インターネット)を介してFTPサーバ220に送信する。
【0044】
そして、ステップS2において、監視用端末100の要求に従い、サーバ120は、サーバ120に上記の送信履歴が記録され、この送信履歴から送信処理が失敗することなく実行されたどうかを判断する。具体的には、デバイスファイル(F1)の送信処理が成功したと判断されれば、処理は終了する。このとき、モニタリングシステム側に設置されているFTPサーバ220に格納されているバージョンアップ前のデバイスファイル(F0)とこのデバイスファイル(F1)とは同じファイル名であるため、このデバイスファイル(F1)は上書保存される。
【0045】
一方、送信処理が失敗しデバイスファイル(F1)が送信されていないと判断されれば、ステップS3に処理が進み、この送信処理エラーの回数について所定の回数の範囲内かどうかが判断される。
【0046】
ステップS3において、送信処理エラーの回数が所定の回数(N)の範囲内かどうかが判断される。送信処理のエラー回数がN回以下であると判断されれば、ステップS1に処理が戻り、再度デバイスファイルの送信処理が行われる。一方、送信処理のエラー回数がN回より多いと判断されれば、ステップS4に処理が進む。
【0047】
ステップS4において、送信処理のエラー回数が所定の回数より多い場合はデバイスファイル(F1)に代えて、別のデバイスファイル(F2)が送信され、処理が終了する。このとき、モニタリングシステム側に設置されているFTPサーバ220に格納されているバージョンアップ前のデバイスファイル(F0)とデバイスファイル(F2)とは同じファイル名であるため、このデバイスファイル(F2)は上書保存される。このデバイスファイル(F2)は、過去に送信処理が成功したデバイスファイルであることが好ましい。
【0048】
一方、モニタリングシステム側においては、ステップS101において、監視用端末からステップS1の処理において送信されたデバイスファイル(F1)またはステップS4の処理において送信されたデバイスファイル(F2)を受信し、モニタリング装置は送信されたこれらデバイスファイルをRAMなどに読み込み、これらのデバイスファイルに従ってモニタリング処理を開始し、処理は終了する。
【0049】
従って送信処理が失敗した場合に、サーバ120はデバイスファイル(F1)を所定の回数(N)分の再送信処理を行い、この再送信処理のエラー回数が所定の回数(N)を超えた場合は、サーバ120は別のデバイスファイル(F2)をモニタリングシステム側に送信する。これにより、デバイスファイル(F2)の送信処理を成功させることで、サーバ120は送信処理が失敗した状態から復帰した状態で動作を継続する。
【0050】
図2で説明したように、本実施の形態により監視用端末100の要求に従い、ソフトウェアのバージョンアップに必要なデバイスファイルをFTPコマンドでルータを介してインターネット回線を利用し、モニタリング装置へ設定変更を反映させることができる。
【0051】
また、サーバ120に送信履歴を記録することよって、ソフトウェアのバージョンアップ用のデバイスファイルの送信処理が失敗している場合は、別のデバイスファイルを送信し、送信処理が失敗した状態から復帰した状態で動作を継続する。
【0052】
次に、モニタリングされる対象(監視対象物という。たとえば、風力発電用風車の軸受や歯車、タワーナセルなど)を監視する問題点として、モニタリング装置の誤監視(測定エラー)の多発が挙げられる。この誤監視の原因は、例えばセンサの故障、測定取り付け不良やセンサへの人の接触、または突風による偶発的な振動値の増加等によるもの等が予想される。
【0053】
このような誤監視の多発を防止するために、急激な振動値の増加がありモニタリング装置が異常と判断した場合、この監視対象物が原因による測定エラーが発生しているか否かを判断する必要がある。
【0054】
図3は、モニタリング装置200における測定エラーが発生した場合の監視側およびモニタリングシステム側の動作を説明するためのフローチャートである。
【0055】
図3を参照して、モニタリングシステム側のステップS111により、モニタリング装置200が測定結果を監視側に無線通信を用いて順次送信処理を行い、監視側では、ステップS11aにおいて、サーバ110が送信された測定結果を順次受信し、受信された測定結果はサーバ110からサーバ120へ転送される(通常動作)。順次送信される代わりに、測定内容ごとに、または一定時間ごとに、送信されても良い。
【0056】
そして、ステップS11bにおいて、サーバ120は、測定結果が測定エラーを発生しているかどうかを判断する。測定エラーが発生していないと判断されれば、監視側は処理が終了する。測定エラーが発生していると判断されれば、ステップS12に処理が進む。
【0057】
そして、ステップS12において、サーバ120はこのような測定エラーが発生した場合に予め用意されている測定エラー発生時のデバイスファイル(F3)をモニタリングシステム側へ無線通信を用いてFTP送信し、ステップS13に処理が進む。一方、モニタリングシステム側では、FTPサーバ220が送信されたデバイスファイル(F3)を受信し、モニタリング装置200がデバイスファイル(F3)を読み込むステップS112に処理が進む。
【0058】
モニタリングシステム側では、ステップS112において、モニタリング装置200がサーバ120から送信されたデバイスファイル(F3)をたとえばRAMなどの記憶装置に読み込み、測定条件の設定変更を行う。この処理が終了すると、この変更された測定条件に従い測定等が実行されるステップS113に処理が進む。
【0059】
なお、この測定エラー発生時のデバイスファイル(F3)は、自動で監視対象物の測定条件を変更することができるデバイスファイルである。このデバイスファイルを適用することにより、監視対象物への測定時間を長くしたり、サンプリングレートをあげたり、監視対象物への測定頻度を多くしたりすることができる。このデバイスファイルの適用によりFFT(Fast Fourier TransForm:高速フーリエ変換)などによる診断が行われる。
【0060】
ステップS113において、読み込まれたデバイスファイル(F3)に基づいて、モニタリング装置が測定を再度行い、その測定結果をサーバ110へ送信する。
【0061】
監視側では、ステップS13において、サーバ110はモニタリングシステム側のステップS113の送信処理されたデバイスファイル(F3)に基づき再度測定された測定結果を受信し、ステップS14に処理が進む。なお、受信された測定結果はサーバ110からサーバ120へ転送される。
【0062】
ステップS14において、サーバ120は測定結果に基づき測定エラーが再び発生しているか否かを判断する。サーバ120は測定エラーが再び発生していないと判断すれば、ステップS15に処理が進む。一方、サーバ120は測定エラーが再び発生していると判断されれば、ステップS18に処理が進む。
【0063】
ステップS15において、一定期間経過後、サーバ120は測定エラー発生時用のデバイスファイル(F3)に代えて、通常使用されているデバイスファイル(F4)をモニタリングシステム側に送信する。
【0064】
一方、モニタリングシステム側では、ステップS114において、ステップS15の処理によって送信されたデバイスファイル(F4)をFTPサーバ220が受信し、モニタリング装置200がこのデバイスファイル(F4)を読み込み、測定等を行う次のステップS115に処理が進む。
【0065】
モニタリングシステム側では、ステップS115において、モニタリング装置200は、ステップS114の処理において読み込まれたデバイスファイル(F4)に基づき、測定を再度行い、その測定結果をサーバ110へ送信する。
【0066】
監視側では、ステップS16において、サーバ110は、ステップS115の処理によって送信されたデバイスファイル(F4)に基づき再度測定された結果を受信し、次のステップS17に処理が進む。なお、受信された測定結果はサーバ110からサーバ120へ転送される。
【0067】
ステップS17においては、サーバ120がステップS16の処理において受信された測定結果が測定エラーか否かが判断される。ステップS17において、測定結果から測定エラーが発生したと判断されれば、ステップS18に処理が進む。一方、ステップS17において、測定結果から測定エラーが発生していないと判断されれば、ステップS19に処理が進む。
【0068】
監視側では、ステップS14,S17の処理の次には、ステップS18において、モニタリング装置200が故障していると判定され、ステップS20に処理が進む。一方、ステップS19において、モニタリングシステム側のモニタリング装置200は正常に動作していると判定され、処理が終了する。
【0069】
ステップS20において、ステップS18の処理によってモニタリング装置200は故障と判断され、それに伴い、サーバ120は装置停止指令をモニタリング装置に送信し、監視側の処理は終了する。
【0070】
一方、モニタリングシステム側では、ステップS116において、監視側のステップS20によって送信された指令が装置停止命令である判断されれば、ステップS117に処理が進み、モニタリング装置200が停止し、処理が終了する。一方、ステップS116において、監視側のステップS20によって送信された指令が装置停止命令でないと判断されれば、ステップS118において、モニタリング装置200は通常動作が継続され、処理が終了する。
【0071】
以上図3を用いて説明したように、サーバ120が測定エラー発生時のデバイスファイル(F3)を無線通信によって送信処理を行い、モニタリング装置200は、送信されたデバイスファイル(F3)に基づいて測定エラーの原因が、監視対象物による原因のものか、あるいは偶発的な原因のもの(誤監視)かを判断する。監視対象物による原因と判断した場合は、異常ありと判断し、また、偶発的な要因(誤監視(測定エラー))と判断した場合は、サーバ120は測定間隔を通常の運転状態に戻すデバイスファイル(F4)をFTPサーバ220にFTP送信し、モニタリング装置200がデバイスファイル(F4)に基づいて測定を再度行い、誤監視(測定エラー)を防止する。
【0072】
次に、モニタリング装置を新たに追加した場合についての動作について説明する。
図4は、モニタリングシステム側において新たにモニタリング装置を追加した場合の監視側およびモニタリングシステム側の動作を説明するためのフローチャートである。
【0073】
図4を参照して、新たにモニタリング装置をモニタリングシステム側に追加などされると、モニタリングシステム側では、ステップS121において、追加されたモニタリング装置に対応する設定ファイルであるデバイスファイルがないことから、監視側へデバイスファイルの送信要求が行われる。ここで、送信される情報としては、追加されたモニタリング装置の種別情報、監視対象物の型番などである。
【0074】
監視側では、ステップS21において、サーバ120は、モニタリングシステム側のステップS121の処理によって送信されたデバイスファイル送信要求を受信する。そして、ステップS22に処理が進む。
【0075】
ステップS22において、上記の送信された情報に応じて、追加されたモニタリング装置について過去に使用実績があるような場合、たとえば追加されたモニタリング装置の監視対象物と既に使用実績のあるモニタリング装置の監視対象物とが同一である場合には、既に監視側のサーバ120にデバイスファイルが格納されているため、サーバ120はFTPサーバ220に既にサーバ120に格納されており、監視対象物が同一のモニタリング装置が使用しているデバイスファイルの送信処理を行う。これにより短時間に効率よく追加されたモニタリング装置を動作させることができる。
【0076】
図4を用いて説明したように、モニタリング装置を追加した場合において、そのモニタリングするためのデバイスファイルを容易にかつ短時間に準備でき、監視対象物の測定を即座に開始できる。
【0077】
図5は、閾値判断プログラムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、閾値判断プログラムは、振動データを用いて、毎回の測定ごとに適用され、測定結果が閾値を越えているか否かを判断される。
【0078】
図5を参照して、ステップS131においてモニタリング装置は測定結果をサーバ110に送信する。ステップS31においてサーバ110はステップS131の処理によって送信された測定結果を受信し、ステップS32に処理が進む。なお、受信された測定結果はサーバ110からサーバ120へ転送される。
【0079】
ステップS32において、サーバ120はこの測定結果の測定値が予め用意されていた閾値よりも大きいか否かが判断される。ステップS32において、測定値が閾値より大きいと判断されれば、ステップS33に処理が進む。一方、測定値が閾値より小さいと判断されれば、処理は終了する。
【0080】
ステップS33において、サーバ120は閾値判断デバイスファイル(F6)をFTPサーバに送信し、ステップS34に処理が進む。
【0081】
一方、モニタリング装置200は、現在使用されていたデバイスファイル(F7)に代えて、ステップS132においてステップS33の処理により送信されたデバイスファイル(F6)を読み込み、測定を行い、次のステップS133に処理が進む。
【0082】
ステップS133において、読み込まれたデバイスファイル(F6)に基づいて、再度測定を行い、その測定結果はサーバ110に送信され、ステップS134に処理が進む。
【0083】
一方、ステップS34において、サーバ110はモニタリングシステム側のステップS133の処理によって送信された測定結果を受信し、ステップS35に処理が進む。なお、受信された測定結果はサーバ110からサーバ120へ転送される。
【0084】
ステップS35において、サーバ120は再測定された測定結果に基づき算出された時間あたりの変化量が予め用意されていた基準値と比較して小さいか否かを判断する。ステップS35において時間当たりの変化量が基準値より小さい場合には、ステップS36に処理が進む。一方、ステップS35において時間当たりの変化量が基準値より大きい場合には、ステップS34に処理が戻り、測定結果を受信することを繰返す。この繰返しは、この変化量が基準値より小さくなるまで続けられる。
【0085】
ステップS36において、時間あたりの変化量が基準値より小さくなると、サーバ120は元のデバイスファイル(F7)をモニタリングシステム側のFTPサーバ220に送信し、処理が終了する。一方、ステップS134において、FTPサーバ220はステップS36の処理により送信された元のデバイスファイル(F7)を受信し、モニタリング装置200はこのデバイスファイル(F7)を読み込み、再度測定を行い、処理が終了する。
【0086】
図5を用いて説明したように、本実施の形態により、測定結果が閾値を超えた場合にはサーバ120は閾値判断デバイスファイルをFTPサーバ220に送信する。
【0087】
このデバイスファイルがモニタリング装置200に読み込まれ、測定頻度を増やし、測定の精度が高められる。一定の変化率(基準値)以下になるまで一定時間計測し、基準値を下回った場合には、測定間隔を戻すデバイスファイルをFTPで送信し、通常運転に戻すことにより、監視対象物の状況を確認することができ、的確な対応をすることができる。
【0088】
以上図1〜図5を用いて説明したように、本実施の形態を用いれば、サーバとルータ間(監視側)もしくはサーバとルータ間(モニタリングシステム側)に無線通信を利用することによって、モニタリング装置あるいは監視対象物が僻地の場合や、有線ネットワーク回線がない場合や、有線ネットワークが存在するが適切な対応をするには追加設備投資が必要な場合などに対して、費用を低減しモニタリング装置への迅速な対応が可能となる。また、容易に誤監視(測定エラー)等の異常判断であるかどうかの判断する精度が向上し、監視側での管理者の対応が迅速に対応できる。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
100 監視用端末、110,120 サーバ、130,230 ルータ、140,240 モデム、200 モニタリング装置、220 FTPサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタリング対象を監視制御するモニタリング装置への遠隔地用保守システムであって、
前記モニタリング対象および前記モニタリング装置は、前記遠隔地用保守システムが設置された監視地に対して遠隔地に設置され、
前記遠隔地用保守システムは、
前記モニタリング装置をリモート制御できる監視用端末と、
前記モニタリング装置が使用する情報を格納する監視側制御装置とを備え、
前記情報は前記モニタリング装置の動作を設定するためのものであり、
前記監視側制御装置は、前記監視用端末からの要求に従い前記情報の前記遠隔地への送信処理を行う、遠隔地用保守システム。
【請求項2】
前記監視側制御装置は、前記情報と異なる他の情報をさらに格納し、
前記監視側制御装置は、前記監視用端末からの要求に従う前記情報の送信処理を行い、前記情報の送信処理が成功しなかった場合は前記モニタリング装置への前記情報の再送信処理を行い、前記再送信処理が成功しなかった場合は前記他の情報の送信処理を行う、請求項1に記載の遠隔地用保守システム。
【請求項3】
前記監視側制御装置は、前記モニタリング対象を測定した測定結果が良好でない場合に、原因を検出するために予め用意された原因検出用デバイスファイルをさらに格納し、
前記監視側制御装置は、前記モニタリング装置で測定された第1の測定結果の受信処理を行い、前記第1の測定結果が良好な場合は前記原因検出用デバイスファイルの送信処理を行わず、前記第1の測定結果が良好でない場合は前記監視用端末からの要求に従い前記原因検出用デバイスファイルの送信処理を行う、請求項1に記載の遠隔地用保守システム。
【請求項4】
前記監視側制御装置は、前記原因検出用デバイスファイルを使用して測定された第2の測定結果の受信処理を行い、前記第2の測定結果が測定エラーを示す場合は、前記モニタリング装置を故障と判定し装置停止指令の送信処理を行い、前記第2の測定結果が前記測定エラーを示さない場合は前記情報の送信処理を行い、前記情報を使用して測定された第3の測定結果の受信処理を行い、前記第3の測定結果に応じて前記モニタリング装置が正常な動作をしているか否かの判定処理を行う、請求項3に記載の遠隔地用保守システム。
【請求項5】
前記監視側制御装置は、前記モニタリング対象を測定した測定結果の測定値が所定の閾値を超えたときに、前記情報を使用して得られた測定結果よりも詳細な測定結果を得るために予め用意された閾値判断ファイルをさらに格納し、
前記監視側制御装置は、前記モニタリング装置で測定された第1の測定結果の受信処理を行い、前記第1の測定結果の測定値が前記閾値を超える場合は前記監視用端末からの要求に従い前記閾値判断ファイルの送信処理を行い、前記第1の測定結果の測定値が前記閾値を超えない場合は前記送信処理を行わない、請求項1に記載の遠隔地用保守システム。
【請求項6】
前記監視側制御装置は、前記閾値判断ファイルを使用して測定された第2の測定結果の受信処理を行い、前記第2の測定結果の測定項目の時間当たりの変化量が基準値以下である場合は前記第1の測定結果を測定したときに使用された前記情報の送信処理を行い、前記第2の測定結果の測定項目の時間当たりの変化量が前記基準値より大きい場合は前記基準値以下になるまで前記第2の測定結果を繰返し受信する、請求項5に記載の遠隔地用保守システム。
【請求項7】
前記監視地と前記遠隔地との間の通信は無線通信を介して行われる、請求項1〜6のいずれかに記載の遠隔地用保守システム。
【請求項8】
モニタリング対象を監視制御するモニタリングシステムであって、
前記モニタリングシステムは、
前記モニタリング対象を監視制御するモニタリング装置と、
前記モニタリング装置が使用する情報を格納する制御装置とを備え、
前記モニタリング対象および前記モニタリング装置は、監視地に対して遠隔地に設置され、
前記情報は、前記監視地に設置された監視用端末の要求に従い、前記監視地に設置された監視側制御装置から送信され、前記情報は、前記モニタリング装置の動作を設定するためのものであり、
前記モニタリング装置は、前記情報を使用し前記モニタリング対象を監視制御する、モニタリングシステム。
【請求項9】
前記遠隔地に設置された他のモニタリング装置がさらに追加された場合に、前記監視側制御装置は前記他のモニタリング装置の種別情報と、前記他のモニタリング装置を設定する情報の要求とを受け、前記監視側制御装置は前記情報が前記監視側制御装置に存在すれば、前記制御装置に前記情報の送信処理を行い、前記他のモニタリング装置は前記制御装置から前記情報を受けて、前記情報に基づいて監視動作を行う、請求項8に記載のモニタリングシステム。
【請求項10】
前記監視地と前記遠隔地との間の通信は無線通信を介して行われる、請求項8〜9のいずれかに記載のモニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−81124(P2013−81124A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220848(P2011−220848)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】