説明

モノアシルグリセロールリパーゼ阻害剤としての複素芳香族及び芳香族ピペラジニルアゼチジニルアミド類

疼痛を含む、MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態又は障害を処置するための、化合物、組成物、及び方法が開示される。このような化合物は以下のように式(I):
【化1】


で表わされ、式中、R1、W及び(Ia)は本明細書に定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年4月22日に出願された米国特許仮出願第61/171,660号「Heteroaromatic and Aromatic Piperazinyl Azetidinyl Amides as Monoacylglycerol Lipase Inhibitors」に関連する。
【0002】
(連邦政府支援研究又は開発に関する陳述)
下に記述される本発明の研究及び開発は、連邦政府の支援によるものではない。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、被験体(哺乳類及び/又はヒトを含む)におけるMGL疾患(MGLによって影響を受ける疾患、症候群、若しくは病的状態)の処置、改善及び/又は予防のために、本明細書で定義される式(I)の化合物を使用することを目的とする。
【背景技術】
【0004】
アサ(Cannabis sativa)は長年にわたって疼痛の治療に使用されている。Δ9−テトラヒドロカンナビノールはアサの主要な有効成分であり、カンナビノイド受容体の作動薬である(Pertwee,Brit J Pharmacol,2008,153,199〜215)。2つのカンナビノイドGタンパク質結合受容体であるカンナビノイド受容体タイプ1(CB1,Matsudaら、Nature,1990,346,561〜4)及びカンナビノイド受容体タイプ2(CB2,Munroら、Nature,1993,365,61〜5)がクローン生成されている。CB1は主に脳領域、例えば視床下部及び側坐核において発現し、また末梢的に肝臓、胃腸管、膵臓、脂肪組織及び骨格筋において発現する(Di Marzoら、Curr Opin Lipidol,2007,18,129〜140)。CB2は主に免疫細胞、例えば単核細胞(Pacherら、Amer J Physiol,2008,294,H1133〜H1134)、並びに、特定の条件下では脳内(Benitoら、Brit J Pharmacol,2008,153,277〜285)、及び骨格筋内(Cavuotoら、Biochem Biophys Res Commun,2007,364,105〜110)及び心臓筋内(Hajrasoulihaら、Eur J Pharmacol,2008,579,246〜252)において発現する。合成作動薬を用いた、薬理的、解剖学的、及び電気生理学的な豊富なデータにより、CB1/CB2を介したカンナビノイド信号が増大すると、慢性の神経障害性又は炎症による疼痛モデルにおいて、急性侵害受容の試験での鎮痛を促進し、痛覚過敏及び/又はアロディニアを抑制することが示されている(Cravatt etら、J Neurobiol,2004,61,149〜60;Guindonら、Brit J Pharmacol,2008,153,319〜334)。
【0005】
合成カンナビノイド(cannabanoid)受容体作動薬の有効性は多数報告されている。更に、カンナビノイド受容体作動薬及びノックアウトマウスを使用した研究では、侵害受容の重要なモジュレーターとしての内因性カンナビノイド系を示唆している。アナンダミド(AEA)(Devaneら、Science,1992,258,1946〜9)及び2−アラキジノイルグリセロール(2−AG)(Mechoulamら、Biochem Pharmacol,1995,50,83〜90;Sugiuraら、Biochem Biophys Res Commun,1995,215,89〜97)が、2つの主な内因性カンナビノイドである。AEAは脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)によって加水分解され、2−AGはモノアシルグリセロールリパーゼ(MGL)によって加水分解される(Piomelli,Nat Rev Neurosci,2003,4,873〜884)。FAAHの遺伝的除去は、内因性AEAを増加させ、急性及び炎症性疼痛モデルにおいてCB1依存性の鎮痛をもたらしており(Lichtmanら、Pain,2004,109,319〜27)、これは内因性カンナビノイド系機能が自然に侵害受容を阻害していることを示している(Cravattら、J Neurobiol,2004,61,149〜60)。FAAHノックアウトマウスを用いた内因性カンナビノイド濃度の構成増加とは異なり、特定のFAAH阻害剤は一時的にAEA濃度を上昇させ、生体内で抗侵害受容を起こす(Kathuriaら、Nat Med,2003,9,76〜81)。内因性カンナビノイド介在の抗侵害受容状態の更なる証拠は、末梢における有害な刺激の後に中脳水道周囲灰白質(痛みの中心として知られる)においてAEAが形成されること(Walkerら、Proc Natl Acad Sci USA,1999,96,12198〜203)、また逆に、脊髄中のCB1アンチセンスRNAの投与の後、痛覚過敏を誘導すること(Dogrulら、Pain,2002,100,203〜9)によって示される。
【0006】
2−AGに関して、静脈内送達によりテールフリック試験(Mechoulamら、Biochem Pharmacol,1995,50,83〜90)及びホットプレート試験(Lichtmanら、J Pharmacol Exp Ther,2002,302,73〜9)において、鎮痛が生じる。これに対して、単独で投与された2−AGは、ホットプレート試験においては鎮痛性ではないが、他の2−モノアシルグリセロール類(すなわち、2−リノレオイルグリセロール及び2−マルミトイルグリセロール)と組み合わせると、顕著な鎮痛が達成され、これは「周囲効果」として知られる現象である(Ben−Shabatら、Eur J Pharmacol,1998,353,23〜31)。この「周囲」の2−モノアシルグリセロールは2−AGとともに放出される内因性脂質であり、恐らくはMGLの活性部位との競合により、2−AG分解を阻害することによってある程度、内因性カンナビノイド信号を増強する。これは、合成MGL阻害剤が同様の効果を有するであろうことを示唆する。実際に、比較的弱い合成MGL阻害剤であるURB602は、急性炎症のハツカネズミモデルにおいて抗侵害受容効果を示す(Comelliら、Brit J Pharmacol,2007,152,787〜794)。
【0007】
合成カンナビノイド作動薬の使用は、増加したカンナビノイド信号が鎮痛効果及び抗炎症効果を生み出すことが結果として示されているが、これらの化合物の有益な効果を、不必要な副作用から分離することは困難である。別のアプローチでは、中枢神経系(CNS)及び胃腸管において最も豊富に存在する内因性カンナビノイドである2−AG濃度を増加させることにより、内因性カンナビノイド系の信号を強化し、これはMGLの阻害によって達成され得る。よって、MGL阻害剤は疼痛、炎症及びCNS疾患の処置(Di Marzoら、Curr Pharm Des,2000,6,1361〜80;Jhaveriら、Brit J Pharmacol,2007,152,624〜632;McCarberg Billら、Amer J Ther,2007,14,475〜83)、並びに、緑内障及び眼圧上昇から生じる疾患状態の処置(Njie,Ya Fatou;He,Fang;Qiao,Xhuanhong;Song,Zhoa−Hui,Exp.Eye Res.,2008,87(2):106〜14)に有用である可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態(例えば疼痛、そのような疼痛をもたらす疾患、炎症及びCNS障害など)の処置又は改善又は予防のための方法を目的とし、これには次式(I)の化合物の治療有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含んでなり、それを必要とする被験体に投与することからなり、及び/又はそれを必要とする被験体に投与することから本質的になる:
【0009】
【化1】

この式は次からなる群から選択される:
WがN、R1がH、
【0010】
【化2】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【0011】
【化3】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がシクロヘキシルである化合物;
WがN、R1がH、
【0012】
【化4】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【0013】
【化5】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2が4−メチルフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0014】
【化6】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0015】
【化7】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【0016】
【化8】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−メトキシフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【0017】
【化9】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がイソブチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0018】
【化10】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0019】
【化11】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【0020】
【化12】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0021】
【化13】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がシクロペンチルメチル、及びR3がメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0022】
【化14】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0023】
【化15】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がシクロヘキシルメチル、及びR3が水素である化合物;
WがN、R1がH、
【0024】
【化16】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が2−メトキシフェニルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0025】
【化17】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がn−プロピル、及びR3がメチルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【0026】
【化18】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0027】
【化19】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0028】
【化20】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がt−ブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【0029】
【化21】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−メトキシフェニルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【0030】
【化22】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【0031】
【化23】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【0032】
【化24】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【0033】
【化25】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがCH、R1が4−フルオロ、
【0034】
【化26】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【0035】
【化27】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がt−ブチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【0036】
【化28】

X−Y−Zが−NH−C(R2)−C(R3)−、R2が4−メチルフェニル、及びR3がメトキシ−メチル−カルボニルである化合物;
WがN、R1がH、
【0037】
【化29】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)、R2がn−プロピル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩。
【0038】
本発明は更に、MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態、又は障害の処置、改善又は予防のために、それを必要としている被験体においての、薬剤又は医薬組成物方法の調製のために、本明細書で定義される式(I)の化合物を使用することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一般に、本開示全体で使用される標準的な命名法の規則の下では、指定される側鎖の末端部が最初に記載され、結合点に向かって隣接する官能基が続く。したがって、例えば「C1〜C6アルキルカルボニル」置換基は下式の基を示す。
【0040】
【化30】

【0041】
特に注記がない限り、分子内の特定の位置におけるいずれの置換基又はその変形物の定義は、同一分子内の他の位置におけるその定義とは独立にいることが意図されている。式(I)の化合物における置換基及び置換様式は、当業者により化学的に安定であり、当技術分野において周知の技術及び同時に本明細書において規定される方法によって容易に合成できる化合物を提供するために選択できることは理解されるべきである。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「被験体」は、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。
【0043】
本明細書で用いるように、用語「治療有効量」は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床専門家により探求される組織システム、動物又はヒトにおいて、処置される疾患、症候群、病的状態、若しくは障害の症状の緩和又は部分的緩和を含む生物学的又は薬効的応答を引き出す活性な化合物又は薬学的物質の量を指す。
【0044】
本明細書で用いるように、用語「組成物」は、治療有効量の特定の成分を含む生成物と同様に特定の量の特定の成分の混合物から直接的に又は間接的にもたらされるいかなる生成物をも包含することを意図している。
【0045】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「処置する」、「処置」、「改善する(ameliorating)」などの用語は、疾患、病状、又は障害への対処を目的とする、被験体又は患者(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)の管理及びケアを包含し、また、症状若しくは合併症の発現の予防、症状若しくは合併症の緩和、又は疾患、病状、若しくは障害の根絶のための、本発明の化合物の投与を包含するものとする。
【0046】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「予防する」及び「予防」は、(a)1つ以上の病状の頻度の低減、(b)1つ以上の病状の重篤度の低下、(c)更なる病状の発現の遅延若しくは回避、及び/又は(d)疾患若しくは病状の発現の遅延若しくは回避を含むものとする。
【0047】
本発明が予防方法を目的とする場合、この方法を必要とする被験体(すなわち、予防を必要とする被験体)が、予防されるべき障害、疾患、若しくは病状のうち少なくとも1つの症状を経験又は示しているいずれの被験体あるいは患者をも包含することを、当業者は理解するであろう。更に、この方法を必要とする被験体は加えて、予防されるべき障害、疾患又は病状のいずれの症状も示していないが、それらの障害、疾患又は病状の発現のリスクがあると、医師、臨床医又は他の医療専門家によって見なされている被験体(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)であってもよい。例えば、限定されるものではないが、家族暦、個体素因、合併(併発)障害又は合併(併発)症状、遺伝子検査などを含めた、被験体の医療履歴の結果として、被験体は障害、疾患又は病状の発現のリスクがあると(またそれゆえ、予防又は予防的処置の必要があると)見なされる場合がある。
【0048】
用語「MGL阻害剤」は、MGLと相互作用してその触媒活性を実質的に低減又は排除し、これによりその基質の濃度を増加させるような化合物を包含することが意図される。用語「MGLモジュレーションされた」は、例えば疼痛、及びそのような疼痛をもたらす疾患、炎症及びCNS障害などの、MGL酵素のモジュレーションによって影響を受ける状態を含む、MGL酵素のモジュレーションによって影響を受ける状態を指すのに使用される。
【0049】
本明細書で使用されるとき、特に注記しない限り、用語「影響する」又は「影響を受ける」は(MGLの阻害によって影響される疾患、症候群、病的状態若しくは障害を指す場合に)、前記疾患、症候群、病的状態若しくは障害の1つ以上の症状又は発現の、頻度及び/若しくは重篤度の低減を意味し、並びに/又は前記疾患、症候群、病的状態若しくは障害の1つ以上の、症状又は発現の進行を予防することを意味し、又は、疾患、症候群、病的状態若しくは障害の進行を予防することを意味する。
【0050】
式(I)の化合物は、MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態又は障害の、処置、改善及び/又は予防に有用である。MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態又は障害の、処置、改善及び/又は予防の方法は、MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態又は障害の、処置、改善、及び/又は予防を必要とする被験体(動物、哺乳類、及びヒトを含む)に、式(I)の化合物、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは製薬上許容される塩の治療有効量を投与することを含んでなり、投与することからなり、並びに/又は投与することから本質的になる。特に、式(I)の化合物は、疼痛;そのような疼痛を生じる疾患、症候群、病的状態若しくは障害;炎症及び/若しくはCNS疾患の、処置、改善及び/又は予防に有用である。より具体的には、式(I)の化合物は、炎症性の疼痛、炎症性の過敏状態、及び/又は神経障害性の疼痛を処置、改善、及び/又は予防するのに有用であり、これには式(I)の化合物の治療有効量を、必要とする被験体に投与することが含まれる。
【0051】
炎症性疼痛の例は、炎症性腸疾患、内臓疼痛、偏頭痛、術後疼痛、変形性関節炎、関節リウマチ、背痛、腰痛、関節痛、腹痛、胸痛、陣痛、筋骨格疾患、皮膚疾患、歯痛、発熱、火傷、日焼け、蛇咬症、毒蛇咬症、クモの咬傷、虫刺され、過敏膀胱、間質性膀胱炎、尿路感染、鼻炎、接触皮膚炎/過敏症、掻痒、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、過敏性腸症候群、胆嚢炎、膵臓炎、乳房切除術後疼痛症候群、生理痛、子宮内膜症、身体外傷による疼痛、頭痛、副鼻腔炎による頭痛、緊張性頭痛、若しくはくも膜炎を含む疾患、病的状態、症候群、障害、又は疼痛状態による疼痛を含む。
【0052】
炎症性疼痛のタイプの1つは、炎症性痛覚過敏/過敏症である。炎症性痛覚過敏症の例は、炎症、変形性関節炎、関節リウマチ、腰痛、関節痛、腹痛、筋骨格疾患、皮膚疾患、術後疼痛、頭痛、歯痛、火傷、日焼け、虫刺され、過敏膀胱、尿失禁、間質性膀胱炎、尿路感染、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、接触皮膚炎/過敏症、掻痒、湿疹、咽頭炎、腸炎、過敏性腸症候群、クローン病を含む炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、尿失禁、良性前立腺肥大、咳、喘息、鼻炎、鼻過敏症、掻痒、接触皮膚炎及び/若しくは皮膚アレルギー、並びに慢性閉塞性肺疾患を含む疾患、症候群、病的状態、障害、又は疼痛状態が挙げられる。
【0053】
一実施形態において、本発明は、亢進した内臓興奮性が認められる、炎症性の内臓痛覚過敏症を処置、改善及び/又は予防する方法を目的とし、かかる処置を必要とする被験体に式(I)の化合物、化合物の塩又は化合物の溶媒和物の処置上有効な量を投与する工程を含むか、投与する工程からなり、及び/又は本質的に投与する工程からなる。更なる一実施形態において、本発明は、熱的、機械的、及び/又は化学的刺激に対する過敏症が存在する、炎症性体性痛覚過敏の処置のための方法を目的とし、これには、式(I)の化合物又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは製薬上許容される塩の治療有効量を、そのような処置を必要としている哺乳類に投与することを含んでなる。
【0054】
本発明の更なる一実施形態は、神経障害性疼痛の処置、改善及び/又は予防のための方法を目的とする。神経障害性疼痛の例は、がん、神経障害、脊椎及び末梢神経手術、脳腫瘍、外傷性脳傷害(TBI)、脊髄外傷、慢性疼痛症候群、線維筋痛、慢性疲労症候群、狼瘡、サルコイドーシス、末梢神経障害、両側性末梢神経障害、糖尿病性神経障害、中心性疼痛、脊髄損傷に伴う神経障害、脳卒中、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、多発性硬化症、坐骨神経炎、舌咽神経痛、末梢神経炎、多発性神経炎、断端痛、幻肢痛、骨折、口腔神経障害痛、シャルコー疼痛、複合性局所疼痛症候群I及びII(CRPS I/II)、神経根障害、ギラン・バレー症候群、知覚異常性大腿神経痛、口腔内灼熱症候群、視神経炎、発熱後神経炎、移動性神経炎、分節性神経炎、ゴンボール神経炎、神経細胞傷害、頸腕神経痛、頭蓋神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、群発頭痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、スルーダー神経痛、スプレノパラチン神経痛、眼窩上神経痛、外陰部痛、又はビディアン神経痛を含む疾患、症候群、病的状態、障害、又は疼痛状態による疼痛を含む。
【0055】
神経障害性疼痛の1つの種類は、神経障害性寒冷異痛症であり、寒冷刺激に対する過敏症が認められる、神経障害に伴う異痛症状態の存在により特徴付けることができる。神経障害性寒冷異痛症の例としては、神経障害性疼痛(神経痛)、脊髄及び末梢神経の手術又は外傷により生じる疼痛、外傷性脳傷害(TBI)、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、灼熱痛、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、中心性疼痛、脳卒中、末梢神経炎、多発性神経炎、複合性局所疼痛症候群I及びII(CRPS I/II)及び神経根障害を含む疾患、症候群、病的状態、障害、又は疼痛状態による異痛症が挙げられる。
【0056】
更なる一実施形態において、本発明は、冷刺激に対する過敏症がある神経障害性寒冷異痛症の処置、改善及び/又は予防のための方法を目的とし、これには、式(I)の化合物又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは製薬上許容される塩の、治療有効量を、冷刺激に対する過敏症がある神経障害性寒冷異痛症の処置、改善及び/又は予防のための処置を必要としている被験体に投与する工程を含んでなり、投与する工程からなり、及び/又は本質的に投与する工程からなる。
【0057】
更なる一実施形態において、本発明はCNS疾患の処置、改善及び/又は予防のための方法を目的とする。CNS疾患の例としては、不安(例えば社会的不安、心的外傷後ストレス障害、恐怖症、社会恐怖症、特殊恐怖症、パニック障害、強迫性障害、急性ストレス障害、分離不安障害、及び全般性不安障害)、並びに抑うつ(例えば大うつ病、双極性障害、季節性情動障害、産後うつ、躁うつ病、及び双極性うつ病)が挙げられる。
【0058】
本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の処置又は改善又は予防のための方法を目的とし、これには次の式(I)の化合物の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなり、投与することからなり、及び/又は投与することから本質的になる:
【0059】
【化31】

この式は次からなる群から選択される:
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#1)
(2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#2)
[2−(3−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#3)
(1−イソブチル−2−p−トリル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#4)
[1−イソブチル−2−(4−メチル−ベンジル)−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#5)
[2−(4−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#6)
[2−(4−メトキシ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#7)
(1,2−ジイソブチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#8)
(1−イソブチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#9)
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェニル−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#10)
(1−シクロヘキシルメチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#11)
(2−シクロペンチルメチル−1−メチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#12)
(1−イソブチル−2−フェニル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#13)
(2−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#14)
[2−(2−メトキシ−ベンジル)−ベンゾオキサゾル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#15)
(2−エチル−1−メチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#16)
(1−イソブチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−{3−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#17)
(2−ベンジル−1−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#18)
(2−tert−ブチル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#19)
[2−(3−メトキシ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#20)
(2−ベンジル−1−イソブチル−1H−インドル−5−イル)−{3−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#21)
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル]−{3−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#22)
(2−ベンジル−1−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−{3−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#23)
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェニル−1H−インドル−5−イル]−{3−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#24)
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェニル−1H−インドル−5−イル]−{3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#25)
[2−tert−ブチル−1−(2,2−ジメチル−プロピル)−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#26)
2−メトキシ−1−{5−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−カルボニル]−2−p−トリル−1H−インドル−3−イル}−エタノン;(化合物#27)
(1−シクロヘキシルメチル−2−プロピル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#28)
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩。好ましくは、MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態又は障害は、本明細書で定義されるように、疼痛、炎症性疼痛、炎症性過敏状態、及び神経障害性疼痛からなる群から選択される。
【0060】
一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の処置又は改善又は予防のための方法を目的とし、これには次の式(Ia):
【0061】
【化32】

の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなり、式中、R1、W、及び−X−Y−Z−は本明細書に定義される通りである。別の一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の処置又は改善又は予防のための方法を目的とし、これには次の式(Ib):
【0062】
【化33】

の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなり、式中、R1、W、及び−X−Y−Z−は本明細書に定義される通りである。更に別の一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の処置、改善、又は予防のための方法を目的とし、これには次の式(Ic):
【0063】
【化34】

の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなり、式中、R1、W、及び−X−Y−Z−は本明細書に定義される通りである。
【0064】
別の一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の、処置、改善又は予防のための方法を目的とし、これには次のもの:
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#1)
(2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#2)
[2−(3−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#3)
(1−イソブチル−2−p−トリル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#4)
[1−イソブチル−2−(4−メチル−ベンジル)−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#5)
[2−(4−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#6)
[2−(4−メトキシ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#7)
(1,2−ジイソブチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#8)
(1−イソブチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#9)
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェニル−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#10)
(1−シクロヘキシルメチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#11)
(2−シクロペンチルメチル−1−メチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#12)
(1−イソブチル−2−フェニル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#13)
(2−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#14)
[2−(2−メトキシ−ベンジル)−ベンゾオキサゾル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#15)
(2−エチル−1−メチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#16)
(1−イソブチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−{3−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#17)
(2−ベンジル−1−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#18)
からなる群から選択される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなる。
【0065】
別の一実施形態において、本発明は、次のもの:
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#1)
[2−(3−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#3)
(1−イソブチル−2−p−トリル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#4)
[1−イソブチル−2−(4−メチル−ベンジル)−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#5)
[2−(4−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#6)
[2−(4−メトキシ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#7)
(1−イソブチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#9)
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェニル−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#10)
(1−シクロヘキシルメチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#11)
(1−イソブチル−2−フェニル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#13)
(2−ベンジル−1−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#18)
(1−シクロヘキシルメチル−2−プロピル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#28)
からなる群から選択される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなる。
【0066】
別の一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の処置又は改善又は予防のための方法を目的とし、これには次のもの:
(2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#2)
[2−(3−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#3)
[1−イソブチル−2−(4−メチル−ベンジル)−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#5)
[2−(4−メトキシ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#7)
[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−フェニル−1H−インドル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#10)
(1−シクロヘキシルメチル−2−フェノキシメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#11)
(2−シクロペンチルメチル−1−メチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#12)
(1−イソブチル−2−フェニル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#13)
(2−ベンジル−1−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#18)
[2−(3−メトキシ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−5−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#20)
(2−ベンジル−1−シクロヘキシルメチル−1H−インドル−5−イル)−{3−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アゼチジン−1−イル}−メタノン;(化合物#23)
2−メトキシ−1−{5−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−カルボニル]−2−p−トリル−1H−インドル−3−イル}−エタノン;(化合物#27)
(1−シクロヘキシルメチル−2−プロピル−1H−インドル−5−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#28)
からなる群から選択される化合物の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなる。
【0067】
別の一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の処置又は改善又は予防のための方法を目的とし、これには次のもの:
(2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#2)
[2−(3−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#3)
[2−(4−フルオロ−フェニル)−ベンゾオキサゾル−7−イル]−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#6)
(2−tert−ブチル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;(化合物#19)
からなる群から選択される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体に投与することを含んでなる。
【0068】
別の一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける障害、疾患、症候群、又は病的状態の処置又は改善又は予防のために、それを必要としている被験体において、下の表1〜3に列記されている化合物から選択される単独化合物又は化合物のサブセット、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の、治療有効量を使用することを目的とする。本発明の式(I)の化合物は、下の表1〜3に列記されている。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
一実施形態において、本発明は、MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態又は障害を処置、改善、又は予防することを目的とし、このMGLの阻害によって疾患、症候群、病的状態又は障害は、炎症性疼痛又は神経障害性疼痛からなる群から選択され、本明細書で定義される群から選択される式(I):
【0073】
【化35】

の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体(哺乳類及び/又はヒトを含む)に投与することを含んでなる。
【0074】
一実施形態において、本発明は炎症性疼痛を処置、改善、又は予防することを目的とし、本明細書で定義される群から選択される式(I):
【0075】
【化36】

の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体(哺乳類及び/又はヒトを含む)に投与することを含んでなる。本発明の別の一実施形態において、この炎症性疼痛は、内臓痛及び炎症性痛覚過敏からなる群から選択され、好ましくは内臓痛である。
【0076】
一実施形態において、本発明は炎症性痛覚過敏を処置、改善、又は予防することを目的とし、本明細書で定義される群から選択される式(I):
【0077】
【化37】

の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体(哺乳類及び/又はヒトを含む)に投与することを含んでなる。本発明の別の一実施形態において、この炎症性痛覚過敏は潰瘍性大腸炎である。
【0078】
一実施形態において、本発明は神経障害性疼痛を処置、改善、又は予防することを目的とし、本明細書で定義される式(I):
【0079】
【化38】

の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩の治療有効量を、それを必要としている被験体(哺乳類及び/又はヒトを含む)に投与することを含んでなる。本発明の別の一実施形態において、この神経障害性疼痛は、神経障害性寒冷異痛症である。
【0080】
薬剤における使用に関して、式(I)の化合物の塩は、非毒性の「製薬上許容される塩」を指す。しかしながら他の塩も式(I)の化合物又はそれらの製薬上許容される塩の調製に有用である場合がある。式(I)の化合物の製薬上許容されうる好適な塩には、例えば、化合物の溶液を塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸のような製薬上許容される酸の溶液と混合することにより得られる酸付加塩が挙げられる。更に、式(I)の化合物が酸性基を有する場合には、製薬上許容できるその好適な塩には、ナトリウム又はカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム又はマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、及び四級アンモニウム塩などの好適な有機リガンドと形成した塩、を挙げることができる。したがって、代表的な製薬上許容できる塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、カルシウム・エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ハイドロバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物塩、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン・アンモニウム塩、オレイン酸塩、パモン酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩が挙げられる。
【0081】
製薬上許容される塩の調製に使用され得る代表的な酸及び塩基には、例えば酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミトリン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバイン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸などの酸;並びに、アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リジン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び水酸化亜鉛などの塩基が挙げられる。
【0082】
本発明の実施形態には、式(I)の化合物のプロドラッグが含まれる。一般にそのようなプロドラッグは、インビボで必要な化合物に容易に転化され得る化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明の処置又は予防の方法においては、用語「投与する」は、具体的に開示された化合物又は具体的には開示されていないが、患者に投与後にインビボにおいて特定の化合物に転化される化合物と共に記載される様々な疾患、病的状態、症候群、及び障害の処置又は予防を包含する。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する通常の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、ed.H.Bundgaard、Elsevier,1985に述べられている。
【0083】
本発明の実施形態に従う化合物は少なくとも1個の不斉中心を有し、したがってそれらは鏡像異性体として存在する。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。全てのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含される。更に、その化合物に関する結晶形態の一部は、多形体として存在でき、このようなものも本発明に含まれるものとする。加えて、化合物の中には水(すなわち水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成できるものもあり、そのような溶媒和物も本発明の範囲に包含されるものとする。当業者は、本明細書で用いる用語「化合物」が、式(I)の化合物の溶媒和物を含むことを理解するであろう。
【0084】
本発明の特定の実施形態に従う化合物の調製のプロセスが、立体異性体の混合物を生じさせる場合は、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの従来技術により分離することができる。化合物はラセミ体で調製されてもよく、又は個々の鏡像異性体をエナンチオ選択的合成、又は分割のいずれかにより調製することができる。化合物は、例えば標準的な技術、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学的に活性な酸と共に塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行ってそれらの構成要素である鏡像異性体に分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されてよい。
【0085】
本発明の一実施形態は、式(I)の化合物の(+)−エナンチオマーを含む、(+)−エナンチオマーからなる、及び/又は本質的に(+)−エナンチオマーからなる医薬組成物を含む組成物を対象とし、その組成物は上記化合物の(−)−異性体を実質的に含まない。本明細書の文脈における「実質的に含まない」とは、下式により求められる(−)−異性体が約25%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、更に好ましくは約2%未満、更にいっそう好ましくは約1%未満であることを意味する。
【0086】
【数1】

【0087】
本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物の(−)−鏡像異性体を含む、式(I)の化合物の(−)−鏡像異性体からなる、及び式(I)の化合物の(−)−鏡像異性体から本質的になる製薬学的組成物を含む組成物であって、実質的にその化合物の(+)−異性体を含まない組成物である。本明細書の文脈において「実質的に含まない」とは、下式により求められる(+)−異性体が約25%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、更により好ましくは約2%未満、及び更により好ましくは約1%未満であることを意味する。
【0088】
【数2】

【0089】
本発明の様々な実施形態の化合物のいずれの調製のプロセスの間も、関係するいずれの分子に対する感応性基又は反応性基を保護することが必要であり及び/又は望ましい。このことは、Protective Groups in Organic Chemistry,Second Edition,J.F.W.McOmie、Plenum Press,1973;T.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley & Sons,1999に記載されるもののような、従来の保護基によって達成することができる。保護基は、続く都合のよい段階で、当技術分野にて公知の方法を用いて除去されてよい。
【0090】
本発明の実施形態の化合物(その薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される溶媒和物を含む)は単独で投与されることができるが、それらは通常、意図された投与経路及び標準の薬学的又は獣医学的な実務の観点から選ばれる、薬学的に許容されるキャリア、薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤との混合物として投与される。したがって、本発明の特定の実施形態は、式(I)の化合物及び少なくとも1個の薬学的に許容されるキャリア、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む薬学的及び獣医学的組成物を対象とする。
【0091】
一例として、本発明の実施形態の医薬組成物では、式(I)の化合物は、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤、及びそれらの組み合わせと混合することができる。
【0092】
本発明の化合物を含む錠剤又はカプセルのような固体の経口投与形態は、必要に応じて1回につき少なくとも1種の投与形態で投与することができる。徐放性製剤として化合物を投与することも可能である。
【0093】
本発明の化合物が投与され得る追加の経口形態としては、エリキシル剤、溶液、シロップ、及び懸濁液が挙げられ、そのそれぞれが任意に香料及び着色剤を含有する。
【0094】
別の方法としては、式(I)の化合物は、吸入(気管内又は経鼻的に)により投与されることができ、又は座薬若しくはペッサリー、又は局所的にローション、溶液、クリーム、軟膏若しくは散布剤として塗布されることができる。例えば、それらは、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルションを含んでなるか、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルションからなるか、及び/又は本質的にポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルションからなるクリームの中に組み込むことができる。それらは、クリームの約1重量%〜約10重量%の濃度で、白色ワックス又は白色軟パラフィン基剤を含んでなるか、白色ワックス又は白色軟パラフィン基剤からなるか、及び/若しくは本質的に白色ワックス又は白色軟パラフィン基剤からなる軟膏に、必要に応じて任意の安定剤及び保存料と共に組み込んでもよい。代替的な投与方法は、皮膚又は経皮パッチを使用することによる経皮投与を含む。
【0095】
本発明の医薬組成物(本発明の化合物単独と同様に)は、非経口的に、例えば空洞内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、又は髄腔内に注入することができる。この場合、その組成は、少なくとも1つの好適なキャリア、1つの好適な賦形剤、及び1つの好適な希釈剤を含む。
【0096】
非経口投与には、本発明の医薬組成物が、例えば、溶液を血液と等張に保つ塩及び単糖のなどの他の物質を十分含む、滅菌水溶液形態での使用に最も適している。
【0097】
口腔又は舌下投与には、本発明の医薬組成物をが、既存の方法で製剤される錠剤又はトローチ剤の形態で投与することができる。
【0098】
更なる例として、式(I)の化合物を少なくとも1つ含む製薬学的組成物は、化合物を通常の製薬学的配合技術に従う製薬上許容されうる担体、製薬上許容されうる希釈剤、及び/又は製薬上許容されうる賦形剤と混合することにより調製することができる。キャリア、賦形剤、及び希釈剤は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口などの)に応じ、広範な形態を取ることができる。したがって懸濁液、シロップ、エリキシル剤及び溶液などの液体の経口用製剤では、適切なキャリア、賦形剤及び希釈剤は、水、グリコール、油、アルコール、着香料、保存料、安定剤、着色剤などを含み、粉剤、カプセル、及び錠剤などの経口固形製剤では、適切なキャリア、賦形剤及び希釈剤は、でんぷん、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などを含む。その吸収及び崩壊の主要な体内部位を調節するために、固体の経口用製剤は、更に任意に糖類などの物質で被覆することができ、又は経腸的に吸収されるように被覆することができる。非経口投与のための、キャリア、賦形剤及び希釈剤は、通常滅菌水を含み、及び溶解性の向上及び組成物の保存のための他の成分を加えることができる。注射用懸濁液又は溶液は、水性のキャリア並びに可溶化剤及び保存料のような好適な添加物と共に調製することができる。
【0099】
式(I)の化合物又はその医薬組成物の治療有効量には、平均的な(70kg)ヒトに1日約1〜4回投与するレジメンで、式(I)の化合物の成分化合物を、約0.1mg〜約3000mgの中の量又は範囲、特に約1mg〜約1000mgの中の量又は範囲、より具体的には、約10mg〜約500mgの中の量又は範囲の用量を含むが、ただし、当業者には、式(I)の化合物の治療有効量が、処置される疾患、症候群、病的状態、及び障害によって異なることが理解されよう。
【0100】
経口投与については、薬学的組成は、好適には式(I)の化合物を約0.01、約10、約50、約100、約150、約200、約250、及び約500ミリグラム含む錠剤として提供される。
【0101】
有利なことに、式(I)の化合物は、1日量を1回に投与してもよく、1日あたりの総量を1日に2回、3回又は4回に分割した用量を投与してよい。
【0102】
式(I)の化合物の投与される最適な投与量は、容易に決定することができ、用いられる具体的な化合物、投与方法、製剤の強度、及び疾患、症候群、状態、又は障害の進行によって変化する。更に、治療される特定の被験体に付随する、被験体の年齢、体重、食事、及び投与時間を含む因子は、好適な処置水準及び望ましい治療効果を達成するために薬量を調節する必要性をもたらす。上記投与量は、したがって、平均的な場合の代表例である。もちろん、より高いか又はより低い薬量範囲が有効である個別の例が存在し、このようなものも本発明の範囲の中に含まれる。
【0103】
当業者は、適切な既知の、及び一般的に受け入れられている細胞及び/又は動物モデル使用したインビボ及びインビトロ試験の両方で、上記障害を処置し、又は防止するための試験化合物の能力が予測されることを認識するであろう。当業者は更に、健康な受診者及び/又は上記障害に罹患している患者を対象としたヒト初回投与(first−in−human)、用量範囲及び効力試験を含むヒトの臨床試験を、臨床及び医学分野で周知な方法に従い行うことができることを認識している。
【0104】
式(I)の化合物は、それを必要としている被験体のために必要な、式(I)の化合物を使用するときはいつでも、上記のいずれかの組成物及び投与レジメン、又は当技術分野で確立されたそれらの組成物及び投与レジメンで投与され得る。
【0105】
一般的な合成方法
本発明の代表的な化合物は、以下に記載され、それに続いてスキームに図示される一般的合成方法に従って合成され得る。このスキームは例示であるので、本発明は、スキーム及び実施例に記載される特定の化学反応及び特定の条件に限定されるものと解釈すべきではない。スキームで用いる種々の出発物質は、市販されているか、又は当業者に周知の方法により調製することができる。変数は、本明細書に定義する通りであり、当業者の範囲内である。
【0106】
明細書、特にスキーム及び実施例で使用される略語は、以下の通りである。
【0107】
【表4】

【0108】
本発明の式(I)の化合物は、下記のスキーム1に概説されたプロセスに従って調製することができる。
【0109】
【化39】

【0110】
したがって、既知の化合物又は既知の方法によって調製された化合物である式(V)の好適に置換された化合物は、既知の化合物又は既知の方法によって調製された、好適に置換された化合物である式(VI)と反応させ、ここにおいてPG1は、好適に選択された窒素保護基、例えば−CH(フェニル)2、ベンジル、t−ブチル、メチル、及び同様物で、好ましくは−CH(フェニル)2である。この反応はDIPEA、ピリジン及び同様物(好ましくはTEAではない)などの有機塩基の存在下において、アセトニトリル、THF、DCM、及び同様物などの有機溶媒中で、好ましくは温度範囲約50℃〜約90℃で行われ、対応する式(VII)の化合物を得る。
【0111】
式(VII)の化合物を公知の方法に従って脱保護して、対応する式(VIII)の化合物を得る。例えば、PG1が−CH(フェニル)2であるとき、式(VII)の化合物は、ジクロロメタンなどの有機溶媒中で1−クロロエチルクロロホルメートと反応させてから、メタノールなどの有機溶媒中で乾留させることによって脱保護され、対応する式(VIII)の化合物を得る。
【0112】
式(VIII)の化合物は、既知の化合物又は既知の方法によって調製された化合物である好適に置換された式(IX)の化合物と反応させる。ここにおいてLG1は−C(O)Cl及びC(O)OHからなる群から選択され、及びここにおいてLG1は式(IX)の化合物のベンゾ縮合部分のベンゼン環の望ましい結合位置に結合しており、反応はHATU、HBTU、DCC及び同様物などの好適に選択されたカップリング剤の存在下で、DIPEA、TEA、ピリジン及び同様物などの好適に選択された有機塩基の存在下において、アセトニトリル、DMF、DCM、及び同様物などの有機溶媒中で行われ、対応する式(I)の化合物を得る。
【0113】
以下の実施例は本発明の理解を助ける目的で説明され、そして添付する特許請求の範囲で説明される本発明をどのようにも限定するものと解釈されるべきではない。
【0114】
以下の実施例において、いくつかの合成生成物は、残留物として単離されたものとして列挙されている。当業者は、用語「残留物」が、生成物が単離された物理的状態を限定するものではなく、例えば、固体、油、発泡体、ゴム、シロップなどを含み得ることを理解するであろう。
【実施例】
【0115】
実施例1:(2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−[3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼチジン−1−イル]−メタノン
【0116】
【化40】

【0117】
工程A:2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸
CH3OH(150mL)中の4−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(5g、29.91mmol)溶液に、シクロヘキサンカルバルデヒド(3.6mL、29.91mmol)を室温で加えた。結果として得られた混合液を室温で2時間撹拌した。この溶媒を蒸発により除去し、CH3CN(150mL)をこの残留物に加えた。酢酸鉛(IV)(13.26g、29.91mmol)をN2雰囲気下で一度に加え、結果として得られた混合物を10分間還流させた。冷却後、得られた固体を濾過し、CH3CNで洗った。この濾液に3N NaOH(40mL)を加えた。結果として得られた混合液を50℃で18時間攪拌した。この溶媒を蒸発により除去し、結果として得られた残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸を得た。MS m/z(M+H+)246.2。
【0118】
工程B:(2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン
2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸(0.47g、1.9mmol)及びHBTU(0.94g、2.5mmol)のDMF(10mL)中溶液に、DIPEA(1.4mL、7.6mmol)を加えた。結果として得られた混合液を室温で10分間攪拌してから、アゼチジン−3−オール(0.452g、4.7mmol)の塩酸塩を加えた。結果として得られた混合液を室温で1時間攪拌してから、逆相液体クロマトグラフィーで精製した。生成物を含む分画を凍結乾燥して、(2−シクロヘキシル−ベンゾオキサゾル−6−イル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノンを得た。MS m/z(M+H+)301。
【0119】
工程C:2−シクロヘキシル−6−{[3−(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル]カルボニル}−1,3−ベンゾキサゾール
メタンスルホニルクロリド(0.152mL、1.9mmol)を、−40℃で窒素雰囲気下、(2−シクロヘキシル−ベンゾキサゾル−6−イル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン(0.48g、1.6mmol)及びDIPEA(0.558mL、3.2mmol)のDCM(20mL)中溶液に加えた。加えた後すぐに、冷却浴を除去し、混合物をゆっくりと室温まで温めた。結果として得られた混合液を水で洗い、硫酸マグネシウムを使って乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。結果として得られた残留物をアセトニトリル(1mL)に溶かした。DIPEA(0.41mL、2.4mmol)及びN−(2−ピリジル)ピペラジン(1.6mmol)を加えた。結果として得られた混合液をつぎに160℃で4時間、マイクロ波にかけた。結果として得られた混合液にDMF(3mL)を加え、これを逆相液体クロマトグラフィーで精製した。生成物を含む分画を1N HCl(5mL)で希釈し、凍結乾燥して、2−シクロヘキシル−6−{[3−(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)アゼチジン−1−イル]カルボニル}−1,3−ベンゾキサゾールを、その対応する塩酸塩として得た。
【0120】
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=9.21(s,1H)、8.15(d,J=5.1Hz,1H),7.96(d,J=8.3Hz,1H),7.81(br.s.,1H),7.16〜7.22(m,1H),7.06(d,J=8.3Hz,1H),6.88(s,1H),4.54(br.s.,2H),4.38(d,J=6.6Hz,2H),4.13(br.s.,1H),3.73(br.s.,8H),3.31〜3.60(m,1H),1.77(d,J=13.7Hz,4H),1.65(br.s.,1H),1.32〜1.44(m,2H),1.15〜1.32(m,2H),1.06(t,J=7.0Hz,1H)。MS m/z(M+H+)446。
【0121】
化合物#2〜28は、実施例1に記述されている手順に従って、上述及び代替の好適に選択された、及び/又は置換された、当業者に既知の試薬、出発原料及び精製方法を用いて、同様に調製することができる。
【0122】
実施例2:(インビトロ測定):MGL酵素活性測定
合計容量30μLの384ウェルの黒色ポリプロピレンPCRマイクロプレート(Abgene)を用いて、全て速度に基づく測定が実施された。基質4−メチルメチルウンベリフェリルブチラート(4MU−B、Sigma)と、精製した変異体MGL酵素(mut−MGLL 11−313 L179S L186S)を、別々に20mM PIPES緩衝液(pH 7)で希釈し、150mM NaClと0.001% Tween 20が含まれるようにした。Cartisian Hummingbird(Genomic Solutions(Ann Arbor,MI)から販売)を用いて、式(I)の化合物をあらかじめ測定プレート内に入れ(50nL)、次に4MU−B(25μLの1.2X溶液、最終濃度10μM)を加えた後、酵素(5μLの6X溶液、最終濃度5nM)を加えて、反応を開始させた。最終化合物濃度は17〜0.0003μMの範囲であった。励起波長335nm及び放射波長440nmで、帯域幅は10nm(Safire2、Tecan)、37℃で5分間、4MU−B開裂による蛍光変化が監視された。
【0123】
式(I)の化合物のIC50値は、Excelを用い、阻害剤濃度の関数として、活性分率の濃度−反応プロットにこの式を適合させて判定された。
【0124】
実施例3:(インビトロ測定):MGL ThermoFluor(登録商標)測定
ThermoFluor(TF)測定は、384ウェルのプレートを用いた、タンパク質の熱安定性を測定する結合測定である(Pantoliano,M.W.、Petrella,E.C.、Kwasnoski,J.D.、Lobanov,V.S.、Myslik,J.、Graf,E.、Carver,T.、Asel,E.、Springer,B.A.、Lane,P.及びSalemme,F.R.、J Biomol Screen 2001,6,429〜40;Matulis,D.、Kranz,J.K.、Salemme,F.R.及びTodd,M.J.、Biochemistry 2005,44,5258〜66)。この実験は、Johnson & Johnson Pharmaceutical Research & Development,LLCから販売されている機器を使用して実施された。すべての実験において、TF染料は1,8−ANS(Invitrogen:A−47)であった。MGL研究に使用された最終TF測定条件は、50mM PIPES(pH=7.0)中、0.07mg/mLの精製変異体MGL(mut−MGLL 11−313 L179S L186S)、100μM ANS、200mM、NaCl、及び0.001% Tween−20であった。
【0125】
スクリーニング化合物プレートは、単一濃度の100% DMSO化合物溶液を含んでいた。濃度−反応の追跡研究では、化合物はあらかじめ分配されたプレートに配置され(Greiner Bio−one:781280)、化合物は100% DMSOで、一連の11本のカラムにわたって連続的に希釈された。カラム12及び24は、DMSO参照として使用され、化合物は含まなかった。単一及び複数の化合物濃度−反応実験について、化合物のアリコート(50nL)をロボット操作により、Cartesian Hummingbird液体ハンドラー(Genomic Solutions(Ann Arbor,MI)より販売)を使って、あらかじめ384ウェルの黒色ポリプロピレンPCRマイクロプレート(Abgene:TF−0384/k)に分配した。化合物を分配した後、タンパク質及び染料溶液を加えて、最終測定容積を3μLとした。測定溶液の上に1μLのシリコーンオイル(Fluka、タイプDC 200:85411)を載せて、蒸発を防いだ。
【0126】
バーコード付きの測定プレートをロボットにより、温度制御されたPCRタイプのサーマルブロックに搭載し、全ての実験について傾斜速度1℃/分で40〜90℃に加熱した。蛍光は、光ファイバーを介して供給され、バンドパスフィルター(380〜400nm;>6ODカットオフ)でフィルターされた紫外線(Hamamatsu LC6)で連続照射することにより測定された。全384ウェルプレートの蛍光発光は、500±25nmで検出するために、濾過されたCCDカメラ(Sensys、Roper Scientific)を用いて光強度を測定することによって検出し、これにより、全ての384ウェルの同時に、かつ独立した読み込みを得た。20秒間露出時間での単一画像が各温度で採取され、測定プレートの所定の面積におけるピクセル強度の合計が温度に対して記録され、標準等式に適合させて、Tmを得た(Pantoliano,M.W.、Petrella,E.C.、Kwasnoski,J.D.、Lobanov,V.S.、Myslik,J.、Graf,E.、Carver,T.、Asel,E.、Springer,B.A.、Lane,P.及びSalemme,F.R.、J Biomol Screen 2001,6,429〜40)。
【0127】
実施例4:2−AG累積測定
10mL HEPES緩衝液中で、HeLa細胞をPolytronと共にホモジェネートした(約4億個の細胞)(HEPES 20mM、pH 7.4、NaCl 125mM、EDTA 1mM、KCl 5mM、グルコース20mM)。2000万個の細胞(0.5mL)からのホモジェネートをMGL阻害剤と共に15分間インキュベートしてMGL活性をブロックし、次にこのHEPES緩衝液をカルシウム(10mM)と共に20分間インキュベートした。合計の反応容積は5mLであった。6mLの有機溶媒抽出(2:1クロロホルム/メタノール)によって、反応を停止させた。メトキシアラキドニルフルオロホスホネート(MAFP)を陽性対照として使用した。MAFPを含まないものにおいて、2−AG濃度はサンプル当たり約3.4pmolである。100nM MAFPを含むものにおいては、2−AG濃度はサンプル当たり174pmolに増加する。有機層の累積2−AGが、HPLC/MS方法によって測定された。これには次の式が用いられた:%MAFP=(化合物2−AG/MAFP 2−AG)×100。
【0128】
式(I)の代表的な化合物を、上記の実施例2、3、及び4に記述された手順に従って試験した。その結果を表4に列記する。
【0129】
【表5】

【0130】
実施例5:経口製剤−予測実施例
経口組成物の特定の実施形態として、実施例1で製造した化合物#1を100mg、十分な微粉乳糖とともに配合し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤を満たした。
【0131】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の「特許請求の範囲」及びそれらの等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MGLの阻害によって影響を受ける疾患、症候群、病的状態又は障害を処置又は改善するための方法であって、処置又は改善を必要とする被験体に、式(I):
【化1】

の化合物を治療有効量投与することを含んでなり、前記式(I)の化合物が、
WがN、R1がH、
【化2】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化3】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がシクロヘキシルである化合物;
WがN、R1がH、
【化4】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化5】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2が4−メチルフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化6】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化7】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化8】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−メトキシフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化9】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がイソブチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化10】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化11】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化12】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化13】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がシクロペンチルメチル、及びR3がメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化14】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化15】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がシクロヘキシルメチル、及びR3が水素である化合物;
WがN、R1がH、
【化16】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が2−メトキシフェニルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化17】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がn−プロピル、及びR3がメチルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【化18】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化19】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化20】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がt−ブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化21】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−メトキシフェニルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【化22】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【化23】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【化24】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【化25】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがCH、R1が4−フルオロ、
【化26】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化27】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がt−ブチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化28】

X−Y−Zが−NH−C(R2)−C(R3)−、R2が4−メチルフェニル、及びR3がメトキシ−メチル−カルボニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化29】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)、R2がn−プロピル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
並びにそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩からなる群から選択される、上記方法。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、
WがN、R1がH、
【化30】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化31】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がシクロヘキシルである化合物;
WがN、R1がH、
【化32】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化33】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2が4−メチルフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化34】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化35】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化36】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−メトキシフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化37】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がイソブチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化38】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化39】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化40】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化41】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がシクロペンチルメチル、及びR3がメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化42】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化43】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がシクロヘキシルメチル、及びR3が水素である化合物;
WがN、R1がH、
【化44】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が2−メトキシフェニルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化45】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がn−プロピル、及びR3がメチルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【化46】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化47】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物が、
WがN、R1がH、
【化48】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化49】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化50】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2が4−メチルフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化51】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化52】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化53】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−メトキシフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化54】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化55】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化56】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化57】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化58】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化59】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)、R2がn−プロピル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
並びにそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、
WがN、R1がH、
【化60】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がシクロヘキシルである化合物;
WがN、R1がH、
【化61】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化62】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化63】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−メトキシフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化64】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3が2,2−ジメチルプロピルである化合物;
WがN、R1がH、
【化65】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェノキシメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化66】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がシクロペンチルメチル、及びR3がメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化67】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニル、及びR3がイソブチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化68】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化69】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−メトキシフェニルである化合物;
WがCH、R1が2−メトキシ、
【化70】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)−、R2がフェニルメチル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
WがN、R1がH、
【化71】

X−Y−Zが−NH−C(R2)−C(R3)−、R2が4−メチルフェニル、及びR3がメトキシ−メチル−カルボニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化72】

X−Y−Zが−CH−C(R2)−N(R3)、R2がn−プロピル、及びR3がシクロヘキシルメチルである化合物;
並びにそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記式(I)の化合物が、
WがN、R1がH、
【化73】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がシクロヘキシルである化合物;
WがN、R1がH、
【化74】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が3−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化75】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2が4−フルオロフェニルである化合物;
WがN、R1がH、
【化76】

X−Y−Zが−O−C(R2)=N−、及びR2がt−ブチルである化合物;
並びにそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、疼痛、炎症性疼痛、炎症性過敏状態、及び神経障害性疼痛からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、疼痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、炎症性疼痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、内臓痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、潰瘍性大腸炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、神経障害性疼痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、寒冷異痛症である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害が、炎症性疼痛及び神経障害性疼痛からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害を処置することを必要とする被験体における、MGLの阻害によって影響を受ける前記疾患、症候群、病的状態又は障害を処置するための、薬剤又は医薬組成物の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項15】
炎症性疼痛又は神経障害性疼痛の前記処置を必要とする被験体における、炎症性疼痛又は神経障害性疼痛の前記処置のための、薬剤又は医薬組成物の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−524810(P2012−524810A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507395(P2012−507395)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/032100
【国際公開番号】WO2010/124122
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】