説明

モノフィラメント、これを利用した柔軟性及び生体適合性が向上した脱腸手術用メッシュ、及びその製造方法

本発明は、分解性高分子と非分解性高分子を使用してセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメント、これを利用した柔軟性及び生体適合性が向上した脱腸手術用メッシュ、及びその製造方法に係り、より詳しくは、分解性高分子と非分解性高分子を使用してセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメントでメッシュを製造して、生体内で徐々に分解するように調節することによって、初期にメッシュが有していた剛性が無くなり、残存するメッシュによる異物感を感じないようにした、柔軟性及び生体適合性が向上した脱腸手術用メッシュ及びその製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、分解性高分子と非分解性高分子を使用してセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメント、これを利用した柔軟性及び生体適合性が向上した脱腸手術用メッシュ、及びその製造方法に係り、より詳しくは、分解性高分子と非分解性高分子を使用してセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメント;これを利用して製造することによって、生体内で徐々に分解するように調節し、初期にメッシュが有していた剛性が無くなり、異物感を感じないようにした、柔軟性及び生体適合性が向上した脱腸手術用メッシュ、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
〔背景技術〕
メッシュを使用して脱腸手術を施行する無緊張手術法(Lichtenstein IL, The tension-free hernioplasty, Am J Surg 1989; 157; 188-193)は、再発率が低いだけでなく、手術時間が短く、傷の回復時間が速いので、患者が日常生活に迅速に復帰できるという長所があって、脱腸手術において有用な方法として受け入れられている。一般的に、脱腸手術に使用されるメッシュは、数年間、化学的、物理的な物性を維持することによって腹膜を強化させる特性を有しなければならないため、その材料としてポリプロピレンモノフィラメントが代表的に使用されている。しかし、ポリプロピレンメッシュの場合、少数ではあるが、潜在的には腸に瘻孔を起こす可能性が報告されており(Seelig MH, A rare complication after incisional hernia repair. Chirurg 1995; 66(7); 739-741, Leber GE, Long-term complications associated with prosthetic repair of incisional hernias, Arch Surg 1988;133(4);378-382)、一般的な副作用として、浮腫、人工膜が位置した腹膜の剛性による流動性の制限と、これに伴う異物感による痛み、ポリプロピレン繊維と組織との間の慢性的な炎症反応などが報告されている(Amid PK, Biomaterials for abdominal wall hernia surgery and principles of their applications, Lagenbecks Arch Chir 1994; 379(3): 168-171, Waldrep DJ, Mature fibrous cyst formation after Marlex Vestweber K, Results of recurrent abdominal wall hernia repair using polypropylene mesh. Zentralblatt Fur Chirurgie 1997;122:885-8, Bellon JM, Integration of biomaterials implanted into abdominal wall: mesh ventral herniorrhaphy: a newly described pathologic entity. Am Surg 1993; 59(11):716-8, process of scar formation and macrophage response. Biomaterials 1995;16(5):381-7, Klinge U, Changes in abdominal wall mechanics after mesh implantation. Experimental changes in mesh stability. Lagenbecks Arch Chir 1996; 381(6): 323-32)。
【0003】
脱腸手術用メッシュの場合、手術の際、傷部位にメッシュの位置を決めて固定させるためにはメッシュの剛性が必要であるので、モノフィラメント形態に製造された繊維でメッシュを製造する方法が知られている。下記の特許文献1、2、3、及び4などは、ポリプロピレンモノフィラメントで構成された脱腸手術用メッシュの製造方法に関するものであるが、原料物質であるポリプロピレンが非分解性であるため、施術初期に必要な強度と剛性が体内にそのまま維持されることにより、傷治癒の後にも過度な剛性が残るようになって、患者には異物感による痛みを起こすという問題点がある。また、下記の特許文献5は、柔軟性を向上させるために、ポリプロピレンマルチフィラメントで構成されたメッシュの製造方法を提示したが、前記の方法もまた、モノフィラメントに比べて初期の一部の柔軟性は向上するが、非分解性物質のみからなるため、初期の強度と剛性が体内でそのまま維持されるだけでなく、ポリプロピレンの過度な量が体内に残留するという問題点がある。
【0004】
このような問題点を克服するために、下記の特許文献6及び7のように、ポリプロピレンの含有量を低くする代わりに、初期に必要な強度と剛性を分解性物質で補強して、傷治癒の後に、一部が分解されて柔軟になるように考案された、部分的に分解性を有したメッシュに関する研究が行われてきた。特許文献6は、3種類の異なる物質で製造された繊維を合絲してメッシュを製造することに関するものであって、このうち、2種類の物質は分解性であり、他の一つの物質は非分解性物質から構成されており、特許文献4では、分解性物質と非分解性物質をマルチフィラメントに作ってメッシュを製造する方法に関するものである。しかし、前記の方法は、色々な筋の分解性及び非分解性の繊維が合絲された形態になっていて、マルチフィラメントの弱点である繊維間の空間への細菌感染が憂慮され、また、色々な筋の繊維が合絲されたマルチフィラメント形態に製造するため、同一の剛性を現わすためには、使用される物質の量がモノフィラメントより多くなる。また、マルチフィラメントの表面積が増加して、体内異物反応を強く起こすようになる(Beets GL, Foreign body reactions to monofilament and braide polypropylene mesh used as preperitoneal implants in pigs. Eur J Surg 1996;162:823-825)。
【0005】
以上の従来の技術で分かるように、現在まで脱腸手術用メッシュの使用が脱腸手術の基本的な手術法として位置していたが、手術の便宜の向上、患者が感じる異物感の緩和及び生体適合性の向上などの利点を有する脱腸手術用メッシュに関しては研究成果が不充分であった。したがって、初期には、強度及び剛性を維持して手術便利性を確保し、傷が治りながら部分的に分解されて、残存するメッシュの柔軟性が向上する脱腸用メッシュを開発することが必要であるのが実情である。
【0006】
〔特許文献1〕 米国特許第4,347,847号
〔特許文献2〕 米国特許第4,452,245号
〔特許文献3〕 米国特許第5,569,273号
〔特許文献4〕 米国特許第6,287,316号
〔特許文献5〕 米国特許第5,292,328号
〔特許文献6〕 米国特許第4,652,264号
〔特許文献7〕 米国特許第6,162,962号
【0007】
〔発明の開示〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、分解性高分子と非分解性高分子をセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメントを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記モノフィラメントを含む柔軟性及び生体適合性が向上した脱腸手術用メッシュを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、前記脱腸手術用メッシュを製造する方法を提供することにある。
【0010】
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明者は、脱腸手術用メッシュを製造するにおいて、初期には強度及び剛性を維持して、手術時に便利性を確保し、傷が治っている間に部分的に分解されることにより、体内に残存するメッシュの柔軟性が向上して、結果的に患者に異物感の苦痛を緩和し、従来のメッシュに比べて非分解性物質の使用量を著しく低くして生体適合性を向上させる、新たな形態の部分的に分解性であるメッシュを開発するために研究した結果、分解性高分子と非分解性高分子で複合紡績したセグメント化パイ形態のモノフィラメントでメッシュを製造して、モノフィラメント自体が有している剛性の特性によって、初期施術時に必要な強度及び剛性を実現する一方、施術後には体内で一部分解されて、より柔軟な構造で残存するメッシュを製造する方法を開発することにより、本発明を完成するに至った。
【0011】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0012】
本発明は、分解性高分子と非分解性高分子を使用してセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメントでメッシュを製造して、生体内で徐々に分解されるように調節することにより、初期にメッシュが有していた剛性が無くなって、残存するメッシュによる異物感を感じないようにした、柔軟性及び生体適合性が向上した脱腸手術用メッシュ及びその製造方法に関するものである。
【0013】
本発明の脱腸手術用メッシュを構成するセグメント化パイ形態のモノフィラメントは、分解性高分子と非分解性高分子とからなり、非分解性高分子2は分解性高分子1によって数個の部分が分離され、分解性高分子1は連続した形態を有する[図1A参照]。本発明のセグメント化パイ形態のモノフィラメントは、初期の分解前にはモノフィラメントの形状を帯びるが、一定の時間が経過して分解性高分子が分解されれば、非分解性高分子が各々マルチフィラメントのように筋に分離されて柔軟性を現わすようになる。
【0014】
本発明で使用する分解性高分子としては、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、カプロラクトン(ε-caprolactone)、ジオキサノン(p-dioxanone)、トリメチレンカーボネート、ポリアンヒドリド、及びポリヒドロキシアルカノエートの中で選択されたモノマーの単独重合体または2種以上を含む共重合体であることができ、好ましくは、グリコリド/カプロラクトン共重合体またはジオキサノン/トリメチレンカーボネート/カプロラクトン共重合体である。
【0015】
本発明で使用される非分解性高分子としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレンとエチレンの共重合体のようなポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン66などのようなポリアミド;ポリウレタン;ポリフッ化ビニリデンのようなフルオロポリマーなどであることができ、好ましくは、ポリプロピレンまたはプロピレンとエチレンの共重合体である。
【0016】
特に、前記分解性高分子の含有量は30乃至70体積%、非分解性高分子の含有量は30乃至70体積%が好ましく、より好ましくは、分解性高分子の含有量が40乃至60体積%、非分解性の含有量が40乃至60体積%である。分解性高分子の含有量が30体積%未満であると、紡績した場合に分解性高分子の体積が低すぎて、非分解性高分子を分離させることができず、むしろ非分解性高分子が連続したままの形態に製造される恐れがあり、非分解性高分子が30体積%未満であると、分解後に残留する非分解性成分の繊維が少な過ぎて最小限の強度を維持することが難しく、また、図3Aでみられるように、非分解性高分子が分解性高分子に包まれている海島型に製造される問題点がある。
【0017】
複合紡績によるモノフィラメントは、構造的に海島(sea/islands)型、セグメント化パイ(segmented pie)型、サイド−バイ−サイド(side-by-side)型、シース/コア(sheath/core)型などに分けられ、本発明の好ましい形態はセグメント化パイ型である。セグメント化パイ型の場合、分解性物質と非分解性物質が繊維の表面に均等に位置して、分解性物質の周囲に形成される脂肪組織(fat tissue)と非分解性物質の周囲に示す結締組織(connective tissue)の適切な組み合わせにより、腹膜の流動性を確保しながら、メッシュと組織との接着能力を向上させることができる。また、セグメント化パイ形態のモノフィラメントは、非分解性物質が分解性物質に囲まれている複合糸(sea/islandes type, sheath/core type)の形態とは違って、初期から組織と結合して、施術初期からメッシュと組織との固い接着を施すことができるという長所がある[U.Klinge, Influence of polyglactin-coating on functional and morphological parameters of polypropylene-mesh modifications for abdominal wall repair, Biomaterials 1999;20:613-623, U.Klinge, Foreign body reaction to meshes used for the repair of abdominal wall Hernias, Eur J Surg, 1999;165:665-673]。
【0018】
セグメント化パイ形態のモノフィラメント製造時、傷治療の後、初期剛性の70%以下にモノフィラメントの剛性を低くし、それに基づいてメッシュを柔軟にするために、非分解性高分子を4本以上に分割するのが好ましく、より好ましくは6乃至10本に分割する。
【0019】
一方、海島型またはシース/コア型モノフィラメントでメッシュを製造する場合、分解性高分子は、外側に位置する海(sea)またはシース(sheath)成分になるようにしなければならず、非分解性高分子は、内側に位置する島(island)またはコア(core)成分になる形態のモノフィラメントに製造されなければならない。このような場合、外部に分解性高分子が位置する時、この分解性高分子が分解されて分散しながら過度な表面積を現わし、これによって繊維化(fibrosis, capsule formation)が行われるため、メッシュと体内組織との堅固な接着を妨害するという短所がある。また、二つの一つが断面の一端に、他の一つが他端に各々位置するサイド−バイ−サイド型の場合、非分解性高分子が示す炎症反応(inflammatory reaction)によりメッシュの周囲に結締組織が強く形成されて、腹膜の流動性を阻害する。これは、メッシュを含む腹膜の柔軟性を向上させようとする本発明の目的と符合せず、溶融挙動及び熱収縮率が相異した2種類の成分で製造することを難しくする。また、二つの成分が同じ直径で製造されるので、残存する非分解性繊維の直径が大きくなり、残存するメッシュの柔軟性を改善するには限界を示す。
【0020】
手術初期に必要な強度や剛性を有すると共に、非分解性高分子が体内に多量残存することを防止して、生体適合性及び柔軟性を向上させるために、モノフィラメントの直径を調節することができる。つまり、初期の強度及び剛性を維持するために、繊維は、一定程度以上の密度及び直径を有しなければならない反面、体内挿入時の異物反応を最小化するために、繊維の全使用量は最小限にしなければならない。本発明のモノフィラメントの直径は100乃至250μmであるのが好ましい。
【0021】
本発明のメッシュは、基本的に多様な形態のものに製造されるが、ネット(Net)構造の四角、六角、網目模様などが好ましく、メッシュの密度は、たて編機の針間隔を基準にして8乃至20gauges/inchであるのが好ましい。医者が患者の傷部位の大きさ及び形態に合うようにメッシュを切断して使用する場合、メッシュの周縁で破片などが生じることがあったりほどけてしまう恐れがある。したがって、切断時に破片が生じたりほどけてしまったりすることが発生する構造のものは相対的に好ましくなく、ネット構造が四角、六角、網目組織などのものがメッシュ切断時の破片を小さくするという面で好ましい。
【0022】
本発明のメッシュの孔の大きさは0.1乃至4.0mm、好ましくは2.0乃至3.0mmであり、厚さは200乃至800μm、好ましくは500乃至600μmである。
【0023】
本発明の脱腸手術用メッシュにおいて、前記非分解性高分子は分解性高分子によって成分が分割され、分解性高分子は連続状になっているのが好ましい。
【0024】
本発明は、分解性高分子と非分解性高分子をセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメントを製造する方法を提供する。
【0025】
本発明で使用する紡績機は通常の複合紡績機を使用することができる。これを見てみれば、複合紡績のために、二台の押出機を利用してポリマーを溶融させる。押出機を通して溶融されたポリマーは、各々の定量ポンプを通して、所望の量だけ吐出させて各成分の含有量比を調節することができる。定量ポンプを通して放出された溶融した高分子は、複合紡績ブロックを通して各々一筋の糸に複合紡績される。図4は、セグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造する概念図であって、複合紡績ブロックの中で分解性高分子3と非分解性高分子4の流れを示す。各々の定量ポンプから吐出された溶融した高分子は、複合紡績ブロック中の分配板5で集められて、ノズル6を通過してセグメント化パイ形態のモノフィラメントに製造される。複合紡績された糸は、冷却槽で固化及び結晶化が行われる。この時、紡績ブロックの吐出口と冷却槽の水面までの間隔(air gap)は0.5乃至100cmであるのが好ましく、より好ましくは1乃至30cmである。固化された糸は、配向による物性向上を得るために、通常の多段延伸装置を通して延伸されて、巻取機に巻き取られる。本発明の好ましいセグメント化パイ形態のモノフィラメントは図1Aの通りである。
【0026】
前記紡績工程で、均一であり、安定的であるセグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造するためには、使用する2種類の高分子成分銀の溶融指数(Melt index, MI)及び紡績条件が正確に調節されなければならない。溶融指数の場合、分解性高分子の溶融指数が非分解性高分子の溶融指数と同一であったり、これより高い方がセグメント化パイ形態を維持するのに適当であり、具体的に、溶融指数の差が10以下であるのが好ましい。分解性高分子の溶融指数が非分解性高分子の溶融指数より低い場合には、図3Bでみられるように歪んだり、非分解性高分子の分布が一側に偏った不均等な形態に製造される。また、2種類の高分子の溶融指数の差が10より大きい場合には、相分離が起こり易い。したがって、分解性高分子の溶融指数は、非分解性高分子の溶融指数と同一であるかまたは高いのが好ましく、溶融指数の差は10以下であるのが好ましい。
【0027】
また、融点、結晶化度、熱収縮率など、物性が相異なる2種類の高分子を複合紡績してセグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造する時、延伸条件が不適合であると、繊維が縮れる現象(curling)、及び図3Cでみられるように2種類の成分が簡単に分離してしまう現象が現れる。このように繊維が縮れる現象(curling)を防止するためには、分解性高分子の溶融指数を非分解性高分子の溶融指数と同一であるかまたは高くなるように紡績温度を一定の範囲内で調節して、二つの高分子の溶融挙動がセグメント化パイが対称的構造を有するように調節しなければならない。また、成分分離現象を抑制するためには、最終の延伸オーブンで2種類の成分の熱収縮率を考慮して、10%以上、より好ましくは10乃至20%の応力緩和(relaxation)をさせて、構造を安定化させなければならない。
【0028】
また、手術時のメッシュを簡単に識別するために、染色された繊維を使用して、一定の間隔で染色されたメッシュを製造することができる。この時、できるだけ体内に染料が残存しないようにするために、分解性高分子の部分のみを染色させるのが好ましい。染料としては、通常封合糸の製造に使用されるD&C violet No.2, D&C Green No.6, FD&C Blue No.2などを使用することができる。
【0029】
本発明は、前記のように製造されたセグメント化パイ形態のモノフィラメントを利用して、メッシュを製造する方法を提供する。
【0030】
本発明のメッシュは、次の通り、整経−編み工程−熱処理の一般的な3段階の過程を通じて製造する。
【0031】
整経段階では、編み工程をする前にたて編機に一定量の糸を均等に供給するために、ビームに多数の筋の繊維を一定の張力で均一に巻き取っておく。以降、ビームをたて編機に設置し、メッシュを製造する。本発明のメッシュは、一般的なトリコット(Tricot)たて編機あるいはラッセル(Raschel)たて編機で製造することができる。メッシュ製造時、初期に必要な強度や剛性を有すると共に、非分解性物質が体内に多量残存するのを防止して、生体適合性及び柔軟性を向上させるためにメッシュの組織形態を調節して、メッシュ組織の強度や剛性を調節することができる。最後の段階として、メッシュの形態を固定するために製造されたメッシュを熱処理する。熱処理の温度及び時間は、熱処理後に物性の変化及び黄変のない条件下で実施するものとし、通常熱処理されるメッシュの構成成分の溶融点より10乃至15℃低い温度、つまり、90乃至160℃で1乃至30分間処理する。一例として、ポリプロピレンを含むメッシュの製造時、分解性成分の溶融点がポリプロピレンより高い場合、ポリプロピレンの溶融点を熱処理基準にし、約100乃至155℃で3分乃至20分以内に熱処理することができる。
【0032】
一例として、ラッセルたて編機を使用して、次のような組織形態のメッシュを製造することができる。
【0033】
(編片組織の例1)
ゲージ数=18(Gauges/inch)
G1=10 01 10 12 21 12
G2=00 11 00 22 11 22
G=ガイドバー
(編片組織の例2)
ゲージ数=12(Gauges/inch)
G1=10 01 10 12 21 12
G2=00 11 00 22 11 22
G3=00 11 00 22 11 22
G4=00 11 00 11 00 11
(編片組織の例3)
ゲージ数=12(Gauges/inch)
G1=10 01 10 12 21 12×4
G2=00 11 00 22 11 22×4
G3=22 33 22 33 22 33 11 22 11 11 00 11 11 22 11
33 22 33 22 33 22 44 33 44
G4=11 22 11 33 22 33 22 33 22 44 33 44 22 33 22
33 22 33 11 22 11 22 00 22
(編片組織の例4)
ゲージ数=18(Gauges/inch)
G1=10 12 23 21
G2=23 21 10 12
(編片組織の例5)
ゲージ数=18(Gauges/inch)
G1=21 12 10 12 21 23
G2=12 21 23 21 12 10
図2Aは、前記の方法で製造されたメッシュの分解前電子顕微鏡写真であり、図2Bは、分解後のものであって、分解前はモノフィラメントに維持されたメッシュの構成成分が、分解後には、マルチフィラメントのような形態での多数の筋の非分解性高分子が残ることを確認することができる。
【0034】
本発明の分解性高分子と非分解性高分子が繊維の全方向にかけて反復的に及び交互に分布するセグメント化パイ形態のモノフィラメントでメッシュを製造することにより、手術後初期のメッシュの組織接着力及びメッシュの生体適合性を向上させ、分解後の剛性が分解前と比較して70%以上減少して、傷治癒後に残存するメッシュの柔軟性を極大化させることができる。これは、従来の非分解性成分のみを原料にする製品または部分分解性製品に比べて、全体的に初期及び残留物質の量を減少させながらも、生体適合性及び柔軟性を向上させたものである。
【0035】
したがって、本発明で製造されたメッシュは、初期には強度及び剛性を維持して手術便利性を確保し、傷が治り次第部分的に分解されて、残存するメッシュの柔軟性が向上して、脱腸手術用として非常に適合している。
【0036】
また、本発明の分解性高分子と非分解性高分子をセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメントは、脱腸手術用メッシュだけでなく、膣のスリング処置、人工靭帯及び人工腱(aitificial ligament&tendon)手術、及び強化物質または連結物質の添加が必要な筋膜欠乏(fascial deficiencies)治療などに用いられることができる。
【0037】
以下、本発明を次の実施例に基づいてより詳しく説明するが、本発明がこれに限定されるわけではない。
【0038】
〔実施例1〕
分解性高分子に、グリコリド(75)/カプロラクトン(25)の共重合体55体積%を使用し、非分解性高分子には、ポリプロピレン45体積%を使用して、次の表1の方法で複合紡績して、セグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造した。製造されたセグメント化パイ形態のモノフィラメントは、150本/7”ビームに整経して前記編片組織の例1の方法でメッシュを製造した後、150℃、5分の条件で熱処理してメッシュを製造し、従来の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、次の表6に整理した。
【0039】
【表1】

【0040】
〔実施例2〕
分解性高分子にグリコリド(75)/カプロラクトン(25)の共重合体55体積%を使用し、非分解性高分子には、プロピレン(97)/エチレン(3)共重合体45体積%を使用して、次の表2の方法で複合紡績して、セグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造した。製造されたセグメント化パイ形態のモノフィラメントは、120本/7”ビームに整経して前記編片組織の例2の方法でメッシュを製造した後、155℃、3分の条件で熱処理してメッシュを製造し、従来の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、次の表6に示した。
【0041】
【表2】

【0042】
〔実施例3〕
分解性高分子にジオキサノン(90)/トリメチレンカーボネート(9)/カプロラクトン(1)のトリブロック共重合体55体積%を使用し、非分解性高分子には、ポリプロピレン45体積%を使用して、次の表3の方法で複合紡績してセグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造した。製造されたセグメント化パイ形態のモノフィラメントは、120本/7”ビームに整経して、前記編片組織の例3の方法でメッシュを製造した後、95℃、10分の条件で熱処理してメッシュを製造し、従来の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、次の表6に示した。
【0043】
【表3】

【0044】
〔実施例4〕
非分解性高分子のセグメント数を8にしたことを除いては、実施例1と同様にしてメッシュを製造した。従来の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、次の表6に示した。
【0045】
〔実施例5〕
定量ポンプの回転数(rpm)を、ポリプロピレンの場合には9.7rpm(50体積%)、グリコリド/カプロラクトン共重合体の場合には4.9rpm(50体積%)にしたことを除いては、実施例1と同様にしてメッシュを製造した。通常の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、次の表6に示した。
【0046】
〔実施例6〕
定量ポンプの回転数(rpm)を、ポリプロピレンの場合には9.6rpm(40体積%)、グリコリド/カプロラクトン共重合体の場合には7.2rpm(60体積%)にしたことを除いては、実施例1と同様にしてメッシュを製造した。通常の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、次の表6に示した。
【0047】
〔比較例1〕
定量ポンプの回転数(rpm)を、ポリプロピレンの場合には4.9rpm(25体積%)、グリコリド/カプロラクトン共重合体の場合には7.3rpm(75体積%)にしたことを除いては、実施例1と同様にしてメッシュを製造した。得られたモノフィラメントは図3Aのように、ポリプロピレン成分がグリコリド/カプロラクトン共重合体に囲まれている海島型形態のモノフィラメントであった。
【0048】
〔比較例2〕
ポリプロピレンの溶融指数が27であることを除いては、実施例1と同様な方法でセグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造した。本モノフィラメントの引張強度は実施例1に比べて若干落ち、セグメント化パイ形態が対称的(図3B)でなかった。
【0049】
〔比較例3〕
延伸条件として、3次ローラーと4次ローラーの速度を同一の55m/minにして、応力緩和を全く与えないようにしたことを除いては、実施例1と同様にして製造した。
【0050】
セグメント化パイ形態のモノフィラメントの強度は前記実施例1に比べて向上したが、メッシュ製造時に2種類成分の糸分離(図3C)が発生した。
【0051】
〔比較例4〕
ポリプロピレンモノフィラメントのみを使用して製造された従来のメッシュ製品(Prolene Hernia mesh, Ethicon Co.)に対して、従来の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、その結果を次の表6に示した。
【0052】
〔比較例5〕
分解性高分子としてグリコリド/ラクチド共重合体で製造されたマルチフィラメントと、非分解性高分子としてポリプロピレンモノフィラメントで製造された従来のメッシュ製品(Vypro II Hernia mesh, Ethicon Co.)に対して、通常の物性評価方法により、厚さ、重量、引張強度、剛性を測定して、その結果を次の表6に示した。
【0053】
〔試験例〕
モノフィラメントの物性評価方法を次の表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
本発明のメッシュの物性評価方法は次の表5の通りである。
【0056】
初期物性を測定した後、加速条件下(80℃、10日間PBS、pH7.4)で完全に分解性の部分を分解させて、残った非分解性成分のみで構成されるメッシュに対して再び測定して、分解前後の物性を比較した。
【0057】
【表5】

【0058】
このような実施例1乃至6及び比較例4乃至5により製造した繊維及びメッシュの物性を、次の表6に示した。
【0059】
【表6】

【0060】
前記表6に示したように、実施例1乃至6及び比較例4乃至5よる物性を比較してみれば、本発明の分解性物質と非分解性物質でセグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造し、これでメッシュを製造した場合が、比較例の非分解性物質で構成されたモノフィラメントで製造したメッシュまたは分解性マルチフィラメントと非分解性モノフィラメントを混合して製造したメッシュの場合と比較して、初期の物性は類似していながら、分解後の残留重量が少なく、剛性が相対的に低くて、生体適合性及び柔軟性が大きく向上することが分かる。
【0061】
つまり、比較例4は、ポリプロピレンモノフィラメントで製造された一般的な脱腸用メッシュ製品であって、一定時間の経過後にも初期の強度及び剛性をそのまま維持している反面、実施例1の場合は、分解性物質が分解されることにより、体内の残留重量が比較例4に比べて3倍以上低く、剛性は10倍以上低いので、患者に与える異物感を減少させることができる。
【0062】
また、本発明の実施例1乃至6と比較例5を比較すれば、実施例1乃至6の場合が初期及び分解後の残留重量が低く、分解後の剛性が3乃至4倍低くて、生体適合性及び柔軟性が大きく向上したことが分かる。
【0063】
また、比較例1の場合には、ポリプロピレンの体積が30%以下である場合の例であって、複合紡績されたモノフィラメントがグリコリド/ラクチド共重合体成分がポリプロピレン成分を囲むようになって、セグメント化パイ形態でなく海島型であって、比較例2のように、溶融指数の差が大きな二つの成分を複合紡績した場合には、紡績区域内の分配板で、溶融指数が低い成分が溶融指数が高い成分を一側に押すようになってセグメント化パイ形態が不均一になり、比較例3でみられるように、延伸の最後の熱処理段階で応力緩和が行われなくなると、熱収縮率が違う2種類の成分の繊維に応力が存在するようになって、外部の衝撃が加えられた場合、特に、メッシュ製造過程の整経及び編み工程で糸分離が起こるようになる。
以上、本発明は、分解性高分子と非分解性高分子を使用してセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメントでメッシュを製造することにより、生体適合性及び柔軟性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】本発明で得られたセグメント化パイ形態の複合糸の断面を示す光学顕微鏡写真である。[1:分解性高分子、2:非分解性高分子]
【図1B】本発明で得られたセグメント化パイ形態の複合糸の断面を示すSEM写真である。
【図2A】複合紡績したモノフィラメントで製造されたメッシュの分解前のSEM写真である。
【図2B】複合紡績したモノフィラメントで製造されたメッシュの分解後のSEM写真である。
【図3A】複合紡績時、分解性物質を75体積%使用した場合に現れる糸の断面のSEM写真である。
【図3B】複合紡績時、溶融指数の差が14を越える場合に発生するセグメント化パイ形態のねじれ現象を示すSEM写真である。
【図3C】複合紡績時、延伸条件で応力緩和が行われなかった場合に現れる糸の分離現象を示すSEM写真である。
【図4】セグメント化パイ形態のモノフィラメントを製造するための複合紡績装置において、分配板とノズルでの二つの高分子の流れを示す概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性高分子と非分解性高分子をセグメント化パイ(segmented pie )形態に複合紡績したモノフィラメント。
【請求項2】
前記分解性高分子の含有量が30乃至70体積%であり、前記非分解性高分子の含有量が30乃至70体積%であることを特徴とする、請求項1に記載のモノフィラメント。
【請求項3】
前記分解性高分子は、グリコリド(glycolide )、グリコール酸(glycolic acid )、ラクチド(lactide )、乳酸(lactic acid )、カプロラクトン(ε- caprolactone)、ジオキサノン(p-dioxanone )、トリメチレンカーボネート、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、及びポリヒドロキシアルカノエートからなる群より選択されたモノマーの単独重合体、または2種以上を含む共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のモノフィラメント。
【請求項4】
前記分解性高分子は、グリコリド/カプロラクトン共重合体またはジオキサノン/トリメチレンカーボネート/カプロラクトン共重合体であることを特徴とする、請求項3に記載のモノフィラメント。
【請求項5】
前記非分解性高分子は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、及びフッ化重合体からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のモノフィラメント。
【請求項6】
前記非分解性高分子は、ポリプロピレン、またはプロピレンとエチレンの共重合体であることを特徴とする、請求項5に記載のモノフィラメント。
【請求項7】
前記分解性高分子の溶融指数が、非分解性高分子の溶融指数と同一であるかまたは高いことを特徴とする、請求項1に記載のモノフィラメント。
【請求項8】
前記分解性高分子と非分解性高分子の溶融指数の差が10以下であることを特徴とする、請求項7に記載のモノフィラメント。
【請求項9】
前記非分解性高分子が4本以上に分割されたことを特徴とする、請求項1に記載のモノフィラメント。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つの項によるモノフィラメントを、脱腸手術、膣のスリング(sling )処置、人工靭帯及び人工腱手術、及び強化物質または連結物質の添加が必要な筋膜欠乏に使用する方法。
【請求項11】
分解性高分子と非分解性高分子をセグメント化パイ形態に複合紡績したモノフィラメントを含むことを特徴とする、生体適合性と柔軟性が向上した脱腸手術用メッシュ。
【請求項12】
前記分解性高分子の含有量が30乃至70体積%であり、前記非分解性高分子の含有量が30乃至70体積%であることを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項13】
前記分解性高分子は、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、カプロラクトン(ε-caprolactone)、ジオキサノン(p-dioxanone)、トリメチレンカーボネート、ポリアンヒドリド、及びポリヒドロキシアルカノエートからなる群より選択されたモノマーの単独重合体、または2種以上を含む共重合体であることを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項14】
前記分解性高分子は、グリコリド/カプロラクトン共重合体またはジオキサノン/トリメチレンカーボネート/カプロラクトン共重合体であることを特徴とする、請求項13に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項15】
前記非分解性高分子は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、及びフッ化重合体からなる群より選択されたことを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項16】
前記非分解性高分子は、ポリプロピレン、またはプロピレンとエチレンの共重合体であることを特徴とする、請求項15に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項17】
前記分解性高分子の溶融指数が、非分解性高分子の溶融指数と同一であるかまたは高いことを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項18】
前記分解性高分子と非分解性高分子の溶融指数の差が10以下であることを特徴とする、請求項17に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項19】
前記非分解性高分子が4本以上に分割されたことを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項20】
直径が100乃至250μmである、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項21】
前記分解性高分子の分解後の剛性が、分解前と比較して70%以上減少することを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項22】
前記非分解性高分子は分解性高分子によって成分が分離され、分解性高分子は連続状になることを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項23】
前記メッシュの組織が、四角、六角または網目模様であることを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項24】
孔の大きさは0.1乃至4.0mmであり、厚さは200乃至800μmである、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項25】
密度は、たて編機の針間隔を基準に、8乃至20gauges/inchである、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項26】
前記分解性高分子の一部分が染色されたことを特徴とする、請求項11に記載の脱腸手術用メッシュ。
【請求項27】
紡績、固化、結晶化、及び延伸過程によってモノフィラメントを製造し、整経、編み工程、熱処理を行って脱腸用メッシュを製造する方法において、
前記紡績時、分解性高分子30乃至70体積%と非分解性高分子30乃至70体積%を各々溶融してセグメント化パイ形態に複合紡績し、
応力緩和が行われ、延伸して、モノフィラメントを製造し、
前記モノフィラメントを、90乃至160℃で1乃至30分間熱処理する段階を含むことを特徴とする、脱腸手術用メッシュの製造方法。
【請求項28】
前記応力緩和を10%以上起こさせることを特徴とする、請求項27に記載の脱腸手術用メッシュの製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−501075(P2008−501075A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514933(P2007−514933)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004455
【国際公開番号】WO2006/071023
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(501026237)サムヤン コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】