説明

モノフィラメントの製造方法およびモノフィラメントの使用

本発明は、少なくとも1つのポリエステルならびにナノ粒子および場合により他の添加剤を成分として含有する熱可塑性ポリマー材料から製造される少なくとも1つのモノフィラメントを製造する方法であって、前記成分を押出機に部分的もしくは完全に混合した形態でまたは別々に添加して、熱可塑性ポリマー材料をまずストランド押出成形した後、冷却して延伸し、次いで40〜120℃の範囲の温度で0.01〜10分間焼戻しする、方法に関する。本発明はさらに、人工芝、鬘、ならびにブラシおよび絵筆の剛毛の製造方法によって製造されるモノフィラメントの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリマー材料から少なくとも1つのモノフィラメントを製造する方法に関する。本発明はさらに前記モノフィラメントの使用にも関する。
【0002】
モノフィラメントは、例えば人工芝の製造に使用される。さらなる用途としては、鬘用の人工毛髪、およびソフトブラシまたはハードブラシ用の剛毛が挙げられる。
【0003】
人工芝は、例えばホテル施設の屋外区域または運動場で使用される。運動場で実施する運動の種類によっては、人工芝の曲げ回復性または摺動性が特に重要となる。現在、人工芝の繊維はポリオレフィンを使用しているが、ポリオレフィンは摺動性に優れるものの、曲げ回復性は劣っている。あるいは、曲げ回復性に優れた人工芝の製造にポリアミドを使用することも知られている。ポリアミドは、例えばフィールドホッケー用ピッチの人工芝に使用されるが、摺動性に劣るという欠点を有する。許容される摩擦係数値を確保するには、ポリアミド繊維から構成される人工芝を備えたピッチまたは運動場に水を定期的に撒かなければならない。
【0004】
人工芝表面の特性を改善するため、現在の研究では、特に種々の繊維形状、タフティングにおける種々の繊維の組み合わせ、または共有押出成形マルチポリマー繊維の使用に焦点が置かれている。しかし、これらの解決法は、低摩擦、優れた曲げ回復性および低コストという主要な要件の部分的な側面に対応しているにすぎない。
【0005】
ポリオレフィンを使用する人工芝もまた、人工芝モノフィラメントに最適な形状をしているにもかかわらず、理想的な曲げ回復性を有していない。これに対しポリアミドは摩擦係数値が高いため、運動場、ピッチまたはコートに十分かつ均一に水を撒いていないと、選手が怪我をする可能性がある。同様に、人工芝の製造に種々の繊維を使用しても、曲げ回復性と摩擦特性はより長い方の繊維に大部分が左右されてしまうため、所望の性能プロフィールが得られない。
【0006】
人工芝の製造に共有押出成形繊維を使用することは、現在のところ経済的に魅力的なものではない。
【0007】
本発明の目的は、例えば人工芝の製造で望まれるような優れた曲げ回復性と優れた摺動性を有するモノフィラメントを製造する方法を提供することである。
【0008】
この目的は、少なくとも1つのポリエステルならびにナノ粒子および場合によりさらなる添加剤を成分として含む熱可塑性ポリマー材料から少なくとも1つのモノフィラメントを製造する方法であって、前記成分を押出機に混合物としてまたは別々に添加して、前記熱可塑性ポリマー材料をまずストランド押出成形した後、冷却して延伸し、最後に40〜120℃の範囲の温度で0.01〜10分間、熱コンディショニングすることを含む、方法によって達成されることを、本発明者等は見出した。
【0009】
本発明に従って製造されるモノフィラメントの1つの利点は、ポリアミドと比べても曲げ回復性が改善されていることである。さらに、モノフィラメント中のナノ粒子は、熱可塑性ポリマー材料の摩擦係数値を減少させるため、得られたモノフィラメントは、特に曲げ回復性と低摩擦係数に優れた繊維を必要とする用途で使用することができる。
【0010】
モノフィラメントの製造に使用されるポリマー材料は、好ましくは10〜99.99質量%、より好ましくは50〜99.8質量%、特に80〜99.5質量%のポリエステルを含む。また、好ましくは0.01〜50質量%のナノ粒子、より好ましくは0.2〜10質量%、特に0.5〜5質量%のナノ粒子も含まれる。さらなる添加剤の割合は、好ましくは0〜60質量%、より好ましくは1〜40質量%、特に2〜20質量%の範囲である。
【0011】
前記熱可塑性ポリマー材料中のポリエステルは、好ましくは芳香族ジカルボン酸、および脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物を主成分とするポリエステルである。
【0012】
好適なポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレート、特に2〜10個の炭素原子をアルコール部分中に含むポリアルキレンテレフタレートである。
【0013】
このようなポリアルキレンテレフタレートはそれ自体が公知であり、文献に記載されている。これらは、主鎖中に芳香族ジカルボン酸由来の芳香環を含む。芳香環は、例えば塩素および臭素等のハロゲンによって、ならびにメチルプロピル基、エチルプロピル基、i−プロピル基もしくはn−プロピル基、またはn−−ブチル基、i−−ブチルもしくはt−ブチル基等のC1〜C4−アルキル基によって置換してもよい。
【0014】
これらのポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸、これらのエステルまたはその他のエステル形成誘導体と、脂肪族ジヒドロキシ化合物とを従来の方法で反応させることによって得ることができる。
【0015】
好適なジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸またはこれらの混合物が挙げられる。30モル%以下、好ましくは10モル%以下の芳香族ジカルボン酸を、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸およびシクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族または脂環式ジカルボン酸により置換してもよい。
【0016】
脂肪族ジヒドロキシ化合物の中では、2〜6個の炭素原子を有するジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびネオペンチルグリコールまたはこれらの混合物が好適である。
【0017】
特に好適なポリエステルとしては、2〜6個の炭素原子を有するアルカンジオール由来のポリアルキレンテレフタレートが挙げられる。これらの中では、特にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートまたはこれらの混合物が好適である。さらには、1質量%以下、好ましくは0.75質量%以下の1,6−ヘキサンジオールおよび/または2−メチル−1,5−ペンタンジオールをさらなるモノマー単位として含むポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートが好適であり、ポリブチレンテレフタレートが極めて特に好適である。
【0018】
ポリエステルの粘度数は、一般的に、ISO1628に従ってフェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(25℃で質量比1:1)中の0.5質量%溶液中で測定すると50〜220、好ましくは80〜160の範囲である。特に、カルボキシル末端基含有量がポリエステル1kg当たり100meq以下、好ましくは50meq以下、特に40meq以下であるポリエステルが好適である。このようなポリエステルは、DE−A4401055の方法に従って得ることができる。前記カルボキシル末端基含有量は、典型的には電位差測定法等の滴定法によって測定される。
【0019】
さらに、PETリサイクレート(スクラップPETとも称する)を適宜ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートと混合して使用するのが好都合である。
【0020】
リサイクレートとは一般的に次のものである:
1)ポストインダストリアルリサイクレートと呼ばれるもの:重縮合中または加工中に生じる生産系廃棄物(例えば、射出成形から得られるスプルー、射出成形もしくは押出成形から得られる出発物質、または押出成形シートまたはフィルムから得られる裁ち屑);
2)ポストコンシューマーリサイクレート:消費者が使用した後に回収され、加工されるプラスチック品である。ミネラルウォーター、ソフトドリンクおよびジュース用のブロー成形PETボトルが、紛れもなく量の点から最も多数を占める品目である。
【0021】
いずれの種類のリサイクレートもリグラインドまたはペレットのいずれかの形態であってよい。後者の場合、未加工のリサイクレートを分離および洗浄した後、押出機を使用して溶融およびペレット化する。通常はこれにより取扱いならびにさらなる加工工程のための自由流れおよび計量が容易になる。
【0022】
ペレット化された形態のリサイクレートだけでなく、リグラインドの形態のリサイクレートも使用してよく、この場合、エッジ長は10mmを超えてはならず、好ましくは8mm未満である。
【0023】
ポリエステルは加工中に(微量の水分により)加水分解されるため、リサイクレートを予乾燥させることが望ましい。乾燥後の残留含水量は、好ましくは0.2%未満、特に0.05%未満である。
【0024】
さらなる基として挙げられるのは、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジヒドロキシ化合物由来の全芳香族ポリエステル基である。
【0025】
好適な芳香族ジカルボン酸は、ポリアルキレンテレフタレートについて前述した化合物である。5〜100モル%のイソフタル酸と0〜95モル%のテレフタル酸との混合物、特に約80%のテレフタル酸と20%のイソフタル酸との混合物から、これらの2種の酸の実質的に等しい混合物までの混合物を使用するのが好適である。
【0026】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、好ましくは一般式
【化1】

[式中、Zは、8個以下の炭素原子を有するアルキレンまたはシクロアルキレン基、12個以下の炭素原子を有するアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素もしくは硫黄原子、または化学結合であり、mは0〜2である]
を有する。前記化合物のフェニレン基は、C1〜C6−アルキルもしくはアルコキシ基、およびフッ素、塩素または臭素置換基を担持してもよい。
【0027】
これらの化合物の親構造として挙げられるのは、例えば
ジヒドロキシビフェニル、
ジ(ヒドロキシフェニル)アルカン、
ジ(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、
ジ(ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ジ(ヒドロキシフェニル)エーテル、
ジ(ヒドロキシフェニル)ケトン、
ジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、
α,α’−ジ(ヒドロキシフェニル)ジアルキルベンゼン、
ジ(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン
レゾルシノール、および
ヒドロキノン、ならびにこれらの環アルキル化または環ハロゲン化誘導体である。
【0028】
これらのうち、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
2,4−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン
α,α’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、
2,2−ジ(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、および
2,2−ジ(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
ならびに特に
2,2−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン
2,2−ジ(3’,5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、および
2,2−ジ(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン
またはこれらの混合物が好適である。
【0029】
なお、ポリアルキレンテレフタレートと全芳香族ポリエステルとの混合物を使用することも可能であることが理解されるであろう。これらは一般的に20〜98質量%のポリアルキレンテレフタレートおよび2〜80質量%の全芳香族ポリエステルを含む。
【0030】
また、コポリエーテルエステル等のポリエステルブロックコポリマーを使用することも可能であることが理解されるであろう。この種の生成物はそれ自体が公知であり、例えばUS_A3651014等の文献に記載されている。対応する生成物もまた市販されており、例えばHytrelR(DuPont)がある。
【0031】
本発明におけるポリエステルには、ハロゲン非含有ポリカーボネートも含まれる。好適なハロゲン非含有ポリカーボネートの例は、一般式
【化2】

[式中、Qは、単結合、C1〜C8−アルキレン、C2〜C3−アルキリデン、C3〜C6−シクロアルキリデン基、C6〜C12−アリーレン基、または−O−、−S−もしくは−SO2−であり、mは0〜2の整数である]
のジフェノールを主成分とするものである。
【0032】
ジフェノールは、フェニレン基上にC1〜C6−アルキルまたはC1〜C6−アルコキシ等の置換基を有してもよい。
【0033】
前記式の好適なジフェノールの例は、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンである。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ならびに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好適である。
【0034】
熱可塑性ポリマー材料中のナノ粒子は、好ましくは1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、Part 2準拠)のOH価を有する高分岐または超分岐ポリカーボネート、Axy型[式中、xは少なくとも1.1であり、yは少なくとも2.1である]の高分岐または超分岐ポリエステル、金属酸化物、半金属酸化物、あるいはこれらの混合物を使用する。ナノ粒子はさらなる添加剤をさらに含んでもよい。
【0035】
本発明において、高分岐または超分岐ポリカーボネートは、ヒドロキシル基およびカーボネート基を有し、かつ構造不均一性および分子不均一性の両方を有する非架橋高分子である。これらはまず、デンドリマーのように中心分子から始まるが、分岐の鎖長が不均一な構造であってよい。また、これらは、官能側基を有する直鎖構造を有する構造であってもよければ、あるいは直鎖部分および分岐部分を有する両極端を兼ね備えたものであってもよい。デンドリマーポリマーおよび超分岐ポリマーの定義については、P. J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718およびH. Frey et al., Chem. Eur. J. 2000, 6, No. 14, 2499も参照されたい。
【0036】
本発明において「超分岐」とは、分岐度(DB)(すなわち、分子当たりの平均デンドリマー結合数+平均末端基数)が10〜99.9%、好ましくは20〜99%、より好ましくは20〜95%であることを意味するものとして理解されたい。
【0037】
本発明において「デンドリマー」とは、分岐度が99.9〜100%であることを意味するものとして理解されたい。「分岐度」の定義については、H. Frey et al., Acta Polym. 1997, 48, 30を参照されたい。
【0038】
当該実体の分岐度(DB)は次のように定義される
【数1】

[式中、Tは、各実体の高分子中の末端モノマー単位の平均数であり、Zは、各実体の高分子中の分岐モノマー単位の平均数であり、Lは、各実体の高分子中の直鎖モノマー単位の平均数である]。
【0039】
高分岐または超分岐ポリカーボネートの平均分子量Mnは、好ましくは100〜15000g/mol、好ましくは200〜12000g/mol、特に500〜10000g/mol(GPC、PMMA標準)の範囲である。
【0040】
ガラス転移温度Tgは、特に−80℃〜+140、好ましくは−60〜120℃である(DSC、DIN53765準拠)。
【0041】
23℃における粘度(mPas)(DIN53019準拠)は、特に50〜200000、特に100〜150000、特に極めて好ましくは200〜100000の範囲である。
【0042】
高分岐または超分岐ポリカーボネートは、好ましくは少なくとも以下の工程:
a)一般式RO[(CO)]nOR[式中、Rは他と独立して1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐脂肪族、芳香族−脂肪族または芳香族ヒドロカルビル基であり、R基は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜5の整数である]の少なくとも1つの有機カーボネート(A)と、少なくとも3個のOH基を含む少なくとも1つの脂肪族、脂肪族−芳香族または芳香族アルコール(B)とをアルコールROHの脱離によって反応させて、1つの以上の縮合生成物(K)を得る工程、あるいは
ab)ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンと前記アルコール(B)とを塩化水素の脱離によって反応させる工程
および
b)縮合生成物(K)の分子間反応により、高分岐または超分岐ポリカーボネートを形成する工程
(この場合、反応混合物中のカーボネートに対するOH基の量比は、縮合生成物(K)が平均して1個のカーボネート基と複数個のOH基、または1個のOH基と複数個のカーボネート基のいずれかを有するように選択される)
を含む方法によって得ることができる。
【0043】
出発物質として有機カーボネートが好適であるが、ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンを使用してもよい。
【0044】
一般式RO(CO)ORの出発有機カーボネート(A)のR基は、それぞれ独立して1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐脂肪族、芳香族−脂肪族、または芳香族ヒドロカルビル基を表す。2つのR基は互いに結合して環を形成してもよい。脂肪族ヒドロカルビル基が好適であり、1〜5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基、または置換もしくは非置換フェニル基が特に好適である。
【0045】
特に式RO(CO)nOR[式中、nは好ましくは1〜3、特に1である]の簡単なカーボネートが使用される。
【0046】
ジアルキルカーボネートまたはジアリールカーボネートは、例えば脂肪族、芳香脂肪族または芳香族アルコール、好ましくはモノアルコールとホスゲンとの反応により得ることができる。これらはさらに、貴金属、酸素またはNOxの存在下におけるアルコールまたはフェノールとCOとの酸化的カルボニル化によっても得ることができる。ジアリールカーボネートまたはジアルキルカーボネートを製造する方法については、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th Edition, 2000 Electronic Release, Verlag Wiley−VCHを参照されたい。
【0047】
好適なカーボネートの例には、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,3−プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジデシルカーボネートまたはジドデシルカーボネート等の脂肪族、芳香族−脂肪族または芳香族カーボネートが含まれる。
【0048】
nが1を超えるカーボネートの例には、ジ(t−ブチル)ジカーボネート等のジアルキルジカーボネート、またはジ(t−ブチル)トリカーボネート等のジアルキルトリカーボネートが含まれる。
【0049】
脂肪族カーボネート、特に基が1〜5個の炭素原子を含むものを使用するのが好適であり、その例は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートまたはジイソブチルカーボネートである。
【0050】
有機カーボネートは、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1つの脂肪族アルコール(B)と、または複数種のアルコールの混合物と反応させる。
【0051】
少なくとも3個のOH基を有する化合物の例には、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール,ポリグリセロール、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジメチルベンゼン、フロログルシド、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,3,5−ベンゼントリメタノール、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(トリメチロールプロパン)、または糖類(例えば、グルコース、3価以上のアルコールとエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドとを主成分とする3価以上のポリエーテルオール、またはポリエステロール)が含まれる。これらのうち、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ならびにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを主成分とするこれらのポリエーテルオールが特に好適である。
【0052】
これらの多価アルコールは、二官能性アルコール(B’)と混合して使用してもよいが、但し、使用する全アルコールの平均合計OH官能価が2を超えるものとする。2個のOH基を有する好適な化合物の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール,1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール,1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール,1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−5−トリメチルシクロヘキサン、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)トルエン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジヒドロキシベンゾフェノン、またはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドもしくはこれらの混合物を主成分とする二価ポリエーテルポリオール、ポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラクトン、またはジオールおよびジカルボン酸を主成分とするポリエステロールが含まれる。
【0053】
ジオールは、ポリカーボネートの特性を微調整する役割を果たす。二価アルコールを使用する場合、三価以上のアルコール(B)に対する二価アルコール(B’)の比率は、ポリカーボネートに望ましい特性に応じて当業者により確定される。一般的な場合、アルコール(B’)の量は、全アルコール(B)および(B’)の総量に対して0〜39.9モル%の範囲である。この量は、好ましくは0〜35モル%、より好ましくは0〜25モル%、最も好ましくは0〜10モル%の範囲である。
【0054】
ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンとアルコールまたはアルコール混合物との反応は、一般的に塩化水素の脱離とともに行われ、本発明の高分岐高官能性ポリカーボネートを形成するためのカーボネートとアルコールまたはアルコール混合物との反応は、カーボネート分子からの一価アルコールまたはフェノールの脱離とともに行われる。
【0055】
本発明の方法に従って形成される高分岐高官能性ポリカーボネートは、反応時の状態で(すなわち、さらなる修飾を行わずに)、末端ヒドロキシル基および/または末端カーボネート基を有する。これらは、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、アルコール−水混合物、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、メトキシエチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート)等の各種溶媒中で優れた溶解度を有する。
【0056】
本発明において、高官能性ポリカーボネートは、ポリマースキャフォールドを形成するカーボネート基以外に、少なくとも3個、好ましくは少なくとも6個、より好ましくは少なくとも10個の官能基を末端位またはペンダント位に含む生成物である。前記官能基は、カーボネート基および/またはOH基を含む。原則として、末端官能基またはペンダント官能基の数に上限はないが、官能基数が極めて多い生成物は、例えば高粘度または低溶解度等の望ましくない特性を有する可能性がある。本発明の高官能性ポリカーボネートは、ほとんどが500個以下の末端官能基またはペンダント官能基、好ましくは100個以下の末端官能基またはペンダント官能基を含む。
【0057】
高官能性ポリカーボネートを製造するには、ホスゲンまたはカーボネートに対するOH含有化合物の比率が、結果として得られる最も簡単な縮合生成物(以下、縮合生成物(K)と称する)が平均して1個のカーボネート基もしくはカルバモイル基と複数個のOH基、または1個のOH基と複数個のカーボネート基もしくはカルバモイル基のいずれかを含むような比率でなければならない。カーボネート(A)およびジアルコールもしくはポリアルコール(B)から形成される縮合生成物(K)の最も簡単な構造は、XYnまたはYnX[式中、Xはカーボネート基であり、Yはヒドロキシル基であり、nは、一般的に1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の数である]の配置となる。結果として得られる1つの基である反応基は、以下では概して「フォーカル基」と称する。
【0058】
例えばカーボネートと二価アルコールから最も簡単な縮合生成物(K)を製造する場合の反応比が1:1の場合は、平均して一般式(1)
【化3】

により示されるXY型の分子が得られる。
【0059】
1:1の反応比でカーボネートおよび三価アルコールから縮合生成物(K)を製造すると、平均して一般式(2)
【化4】

により表されるXY2型の分子が得られる。この場合はカーボネート基がフォーカル基である。
【0060】
同様に1:1の反応比でカーボネートと四価アルコールから縮合生成物(K)を製造すると、平均して一般式(3)
【化5】

により表されるXY3型の分子が得られる。この場合もカーボネート基がフォーカル基である。なお、式(1)〜(3)中、Rは最初に定義した通りであり、R1は脂肪族または芳香族基である。
【0061】
縮合生成物(K)はさらに、例えば、一般式(4)
【化6】

[式(4)中、RおよびR1はそれぞれ式(1)〜(3)と同じ意味を有する]
により表されるように、2:1モルの反応比でカーボネートおよび三価アルコールから製造してもよい。この場合は平均してX2Y型の分子が得られ、OH基がフォーカル基である。
【0062】
二官能性化合物(例えば、ジカーボネートまたはジオール)も当該化合物に添加する場合は、例えば一般式(5)
【化7】

[式(5)中、R2は有機基、好ましくは脂肪族基であり、RおよびR1はそれぞれ上に定義した通りである]
により表されるように鎖が延長される。この場合も平均してXY2型の分子が得られ、カーボネート基がフォーカル基である。
【0063】
また、複数の縮合生成物(K)を合成に使用することも可能である。この場合は、複数のアルコールおよび/または複数のカーボネートを使用してもよい。さらに、使用するアルコールおよびカーボネートまたはホスゲンの比率を変更することによって、種々の構造の各種縮合生成物からなる混合物を得ることもできる。これは、例えばカーボネートと三価アルコールとの反応を使用して説明することができる。式(2)で示すように出発物質を1:1の比で使用すると、XY2型の分子が得られ、式(4)で示すように出発物質を2:1の比で使用すると、X2Y型の分子が得られ、比が1:1〜2:1であると、XY2型の分子とX2Y型の分子の混合物が得られる。
【0064】
本発明によれば、例えば式(1)〜(5)により示される簡単な縮合生成物(K)は、優先的に分子間で反応して高官能性重縮合生成物(以下、重縮合生成物(P)と称する)を形成する。縮合生成物(K)および重縮合生成物(P)を形成する反応は、典型的には0〜250℃、好ましくは60〜160℃の温度で、溶媒を使用してまたは溶媒を使用せずに行われる。溶媒を使用する場合は、各反応物に対して不活性である溶媒を使用することが一般的に可能である。有機溶媒(例えば、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはソルベントナフサ)を使用するのが好適である。
【0065】
好適な一実施形態において、縮合反応は溶媒を使用せずに行われる。反応を促進するには、反応中に放出されるフェノールまたは一価アルコールROHを、適宜減圧下における蒸留によって反応平衡から除去することができる。
【0066】
蒸留により除去しようとする場合は、140℃未満の沸点を有するアルコールROHを反応中に放出するカーボネートを使用するのが一般的に望ましい。
【0067】
反応は、触媒または触媒混合物を添加することによっても促進することができる。好適な触媒は、エステル化またはエステル交換反応を触媒する化合物であり、例えば、好ましくはナトリウム、カリウムまたはセシウムのアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属カーボネートまたはアルカリ金属ビカーボネート、第3アミン、グアニジン、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物または有機ビスマス化合物、あるいは例えばDE10138216もしくはDE10147712に記載されているようないわゆる複合金属シアン化物(DMC)触媒である。
【0068】
水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、イミダゾール類(例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾールまたは1,2−ジメチルイミダゾール)、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、スズジオクトエート、ジルコニウムアセチルアセトネート、またはこれらの混合物を使用するのが好ましい。
【0069】
添加する触媒の量は、使用するアルコールまたはアルコール混合物の量に対して一般的には50〜10000質量ppm、好ましくは100〜5000質量ppmの範囲である。
【0070】
好適な触媒を添加するか、または好適な温度を選択することにより、分子間重縮合反応を制御することも可能である。さらに、出発成分の組成および滞留時間によってポリマー(P)の平均分子量を微調整することも可能である。
【0071】
高温で製造した縮合生成物(K)および重縮合生成物(P)は、通常、室温にて長時間安定している。
【0072】
縮合生成物(K)の構成により、縮合反応から、分岐を有するが架橋は有さない種々の構造を有する重縮合生成物(P)を得ることができる。さらに、理想的な場合、重縮合生成物(P)は、フォーカル基として1個のカーボネート基と3個以上のOH基、またはフォーカル基として1個のOH基と3個以上のカーボネート基のいずれかを有する。反応基の数は、使用する縮合生成物(K)の構成および重縮合度に起因する。
【0073】
例えば、一般式(2)の縮合生成物(K)は、三分子間縮合によって反応して、式(6)および(7)
【化8】

[式中、RおよびR1はそれぞれ上に定義する通りである]
で表される2種類の重縮合生成物(P)を形成することができる。
【0074】
分子間重縮合反応を停止させる方法は様々ある。例えば、反応が停止し、生成物(K)または重縮合生成物(P)が保存安定性を有する範囲まで温度を下げることができる。
【0075】
さらに、塩基性触媒の場合は、例えばルイス酸またはプロトン酸を添加することによって触媒を不活性化することも可能である。
【0076】
別の実施形態においては、縮合生成物(K)の分子間反応により所望の重合度を有する重縮合生成物(P)が得られたらすぐに、生成物(P)のフォーカル基に対して反応性を有する基を有する物質を(P)に添加して、反応を停止させることができる。例えば、カーボネート基がフォーカル基である場合は、モノアミン、ジアミンまたはポリアミンを添加することができ、ヒドロキシル基がフォーカル基である場合は、生成物(P)に例えば、モノイソシアネート、ジイソシアネートもしくはポリイソシアネート、エポキシ含有化合物またはOH反応性酸誘導体を添加することができる。
【0077】
本発明の高官能性ポリカーボネートは、通常、0.1ミリバール〜20バール、好ましくは1ミリバール〜5バールの範囲の圧力にて、バッチ式、半連続式もしくは連続式で運転されるリアクターまたはリアクターカスケードで製造される。
【0078】
製造したままの本発明の生成物は、反応条件に対する前述のような設定により、および該当する場合は好適な溶媒の選択により、さらなる精製を行うことなくさらに加工することができる。
【0079】
別の好適な実施形態において、生成物は低分子量揮発性化合物が揮散(すなわち除去)されている。このためには、所望の変換度に達した時点で、触媒を場合により不活性化して、低分子量揮発性成分(例えば、モノアルコール、フェノール、カーボネート、塩化水素または揮発性オリゴマー化合物もしくは揮発性環状化合物)を、適宜ガス、好ましくは窒素、二酸化炭素または空気を適宜減圧下で導入することにより蒸留除去することができる。
【0080】
さらなる好適な実施形態において、本発明のポリカーボネートは、反応によってすでに取得した官能基に加えて、さらなる官能基を取得してもよい。官能化は、分子量の増加中、あるいはその後(すなわち、実際の重縮合が終了した後)に行われてもよい。
【0081】
ヒドロキシルまたはカーボネート基以外にさらなる官能基または官能要素を有する成分を分子量の増加前または増加中に添加すると、カーボネート基またはヒドロキシル基以外の無作為に分布する官能基を含むポリカーボネートポリマーが得られる。
【0082】
このような効果は、例えば、ヒドロキシル基、カーボネート基またはカルバモイル基に加えて、メルカプト基、第一、第二もしくは第三アミノ基、エーテル基、カルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体、ホスホン酸誘導体、シラン基、シロキサン基、アリール基または長鎖アルキル基等のさらなる官能基または官能要素を担持する化合物を重縮合中に添加することによって達成することができる。カルバメート基による修飾に使用できる化合物の例は、エタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2’−アミノエトキシ)エタノールまたはアンモニアの高級アルコキシル化生成物、4−ヒドロキシピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンまたはイソホロンジアミンである。
【0083】
メルカプト基による修飾は、例えば、メルカプトエタノールを使用することによって得ることができる。第三アミノ基は、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミンまたはN,N−ジメチルエタノールアミンを組み入れることによって生成することができる。エーテル基は、例えば、2価以上のポリエーテルオールを縮合することによって生成することができる。長鎖アルキル基は長鎖アルカンジオールと反応させることによって導入することができ、アルキルジイソシアネートまたはアリールジイソシアネートと反応させるによって、アルキル基、アリール基およびウレタン基または尿素基を有するポリカーボネートが生成される。
【0084】
エステル基は、ジカルボン酸、トリカルボン酸(例えば、ジメチルテレフタレート)またはトリカルボン酸エステルを添加することによって生成することができる。
【0085】
その後の官能化は、得られた高分岐または超分岐高官能性ポリカーボネートを、ポリカーボネートのOH基および/またはカーボネート基または塩化カルバモイル基と反応できる好適な官能化試薬と反応させる、さらなる加工工程(工程c))を使用することによって得ることができる。
【0086】
ヒドロキシルを含有する高分岐または超分岐高官能性ポリカーボネートは、例えば、酸基またはイソシアネート基を含む分子を添加することによって修飾することができる。例えば、酸基を含むポリカーボネートは、無水物基を含む化合物と反応させることによって得ることができる。
【0087】
ヒドロキシルを含有する高官能性ポリカーボネートはまた、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド)と反応させることによって高官能性ポリカーボネートポリエーテルポリオールに変換することもできる。
【0088】
当該方法の1つの大きな利点は、その経済性にある。他の官能基または官能要素を有するポリカーボネートを形成するための縮合生成物(K)または重縮合生成物(P)への変換および(K)または(P)の反応はいずれも、1つの反応装置で行うことができ、この点が技術的にも商業的にも好都合な点である。
【0089】
本発明の成形材料中の高分岐または超分岐ポリエステルは、Axy
[式中、
xは少なくとも1.1であり、好ましくは少なくとも1.3であり、特に少なくとも2であり、
yは少なくとも2.1であり、好ましくは少なくとも2.5であり、特に少なくとも3である]
の超分岐ポリエステルを少なくとも1つ含んでもよい。
【0090】
なお、単位Aおよび/または単位Bとして混合物も使用できることが理解されるであろう。
【0091】
xy型のポリエステルは、x官能性分子Aおよびy官能性分子Bから構成される縮合物である。一例としては、分子A(x=2)としてアジピン酸から、および分子B(y=3)としてグリセロールから形成されるポリエステルがある。
【0092】
本発明において、高分岐または超分岐ポリエステルは、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を有し、構造不均一性および分子不均一性の両方を有する非架橋高分子である。これらはまず、デンドリマーと同様に中心分子から始まるが、分岐の鎖長が不均一な構造であってよい。また、これらは、官能側基を有する直鎖構造であっていてもよければ、あるいは直線部分および分岐部分を有する両極端を兼ね備えたものであってもよい。デンドリマーポリマーおよび超分岐ポリマーの定義については、P. J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718およびH. Frey et al., Chem. Eur. J. 2000, 6, No. 14, 2499も参照されたい。
【0093】
本発明において「超分岐」とは、分岐度(DB)(すなわち、分子当たりの平均デンドリマー結合数+平均末端基数)が10〜99.9%、好ましくは20〜99%、より好ましくは20〜95%であることを意味するものとして理解されたい。
【0094】
本発明において「デンドリマー」とは、分岐度が99.9〜100%であることを意味するものとして理解されたい。「分岐度」の定義については、H. Frey et al., Acta Polym. 1997, 48, 30、および高分岐または超分岐ポリカーボネートに関して前述した式を参照されたい。
【0095】
高分岐または超分岐ポリエステルは、GPC(PMMA標準、溶離剤ジメチルアセトアミド)により測定すると、好ましくは300〜30000、特に400〜25000、極めて特に500〜20000g/molのMnを有する。
【0096】
高分岐または超分岐ポリエステルは、DIN53240に従って測定すると、好ましくは0〜600、好ましくは1〜500、特に20〜500mgKOH/gポリエステルのOH価を有し、好ましくは0〜600、好ましくは1〜500、特に2〜500mgKOH/gポリエステルのCOOH価を有する。
【0097】
gは、好ましくは−50℃〜140℃、特に−50〜100℃の範囲である(DSCにより測定、DIN53765に準拠)。
【0098】
特に、少なくとも1つのOH価またはCOOH価が0を超える、好ましくは0.1を超える、特に0.5を超える高分岐または超分岐ポリエステルが好適である。
【0099】
本発明の高分岐または超分岐ポリエステルは、特に以下に記載の方法、すなわち、
溶媒の存在下、および場合により無機、有機金属もしくは低分子量有機触媒、または酵素の存在下で、
(a)1つの以上のジカルボン酸もしくはこれらの1つの以上の誘導体を1つの以上の三価以上のアルコールと反応させるか、
あるいは
(b)1つの以上のトリカルボン酸もしくは高級ポリカルボン酸またはこれらの1つの以上の誘導体を1つの以上のジオールと反応させる
ことによって得ることができる。溶媒中の反応は好適な製造方法である。
【0100】
本発明において、超分岐高官能性ポリエステルは、分子不均一性および構造不均一性を有する。超分岐高官能性ポリエステルはその分子不均一性によりデンドリマーと識別されるため、かなり低コストでかつ不都合なく得ることができる。
【0101】
変法(a)に従って反応させることができるジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、ならびにシス−およびトランス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸が挙げられ、
ここで、前記ジカルボン酸は、
1〜C10−アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニルまたはn−デシル)、
3〜C12−シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシル(シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが好ましい));
アルキレン基(例えば、メチレンまたはエチリデン)、あるいは
6〜C14−アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アンスリル、2−アンスリル、9−アンスリル、1−フェナンスリル、2−フェナンスリル、3−フェナンスリル、4−フェナンスリルおよび9−フェナンスリル、好ましくはフェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチル、より好ましくはフェニル)
から選択される1つの以上の基で置換してもよい。
【0102】
置換ジカルボン酸の代表例は、2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸である。
【0103】
変法(a)に従って反応させることができるジカルボン酸としてはさらに、エチレン性不飽和酸(例えば、マレイン酸およびフマル酸)ならびに芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸)が挙げられる。
【0104】
前記代表例の複数からなる混合物を使用することも可能である。
【0105】
ジカルボン酸はそのまままたは誘導体のいずれかの形態で使用することができる。
【0106】
誘導体は、好ましくは、
− モノマーまたはポリマー形態の対応する無水物、
− モノアルキルエステルもしくはジアルキルエステル、好ましくはモノメチルエステルもしくはジメチルエステルまたは対応するモノエチルエステルもしくはジエチルエステルだけでなく、高級アルコール(例えば、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール)由来のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、
− さらにはモノビニルエステルおよびジビニルエステル、ならびに
− 混合エステル、好ましくはメチルエチルエステル
である。
【0107】
好適な方法では、ジカルボン酸と1つの以上のその誘導体との混合物を使用することもできる。同様に、1つの以上のジカルボン酸の複数種の誘導体からなる混合物を使用することも可能である。
【0108】
特に、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらのモノメチルエステルもしくはジメチルエステルを使用するのが好ましく、アジピン酸を使用するのが極めて特に好ましい。
【0109】
有用な三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセロール、ブタン−1,2,4−トリオール、n−ペンタン−1,2,5−トリオール、n−ペンタン−1,3,5−トリオール、n−ヘキサン−1,2,6−トリオール、n−ヘキサン−1,2,5−トリオール、n−ヘキサン−1,3,6−トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパンまたはジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール;糖アルコール(例えば、メソエリスリトール、トレイトール、ソルビトール、マンニトールまたはこれらの混合物)が挙げられ、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンおよびペンタエリスリトールを使用するのが好ましい。
【0110】
変法(b)に従って反応させることができるトリカルボン酸またはポリカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸およびメリト酸が挙げられる。
【0111】
トリカルボン酸またはポリカルボン酸は、そのまままたは誘導体のいずれかの形態で本発明の反応において使用することができる。
【0112】
誘導体は、好ましくは、
− モノマーまたはポリマー形態の対応する無水物、
− モノアルキルエステル、ジアルキルエステルもしくはトリアルキルエステル、好ましくはモノメチルエステル、ジメチルエステルもしくはトリメチルエステルまたは対応するモノエチルエステル、ジエチルエステルもしくはトリエチルエステルだけでなく、高級アルコール(例えば、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール)由来のモノエステル、ジエステルもしくはトリエステル、さらにはモノビニルエステル、ジビニルエステルもしくはトリビニルエステル、
− ならびに混合メチルエチルエステル
である。
【0113】
また、本発明においては、トリポリカルボン酸またはポリカルボン酸とその1つの以上の誘導体との混合物を使用することも可能である。同様に、本発明においては、1つの以上のトリポリカルボン酸またはポリカルボン酸の複数種の誘導体からなる混合物を使用して、高分岐または超分岐ポリエステルを得ることも可能である。
【0114】
本発明の変法(b)に有用なジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール,1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール,1,2−ドデカンジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、イノシトールおよび誘導体、(2)−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CH2CH2O)n−HまたはポリプロピレングリコールHO(CH[CH3]CH2O)n−H[式中、nは整数であり、nは4以上である]または前記化合物の複数の代表例からなる混合物が挙げられる。前記ジオール中のヒドロキシル基の一方または両方をSH基で置換することもできる。エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ならびにジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールが好ましい。
【0115】
変法(a)および(b)におけるAxyポリエステル中の分子Aと分子Bのモル比は、4:1〜1:4、特に2:1〜1:2の範囲である。
【0116】
当該方法の変法(a)に従って反応させる三価以上のアルコールは、全て同じ反応性を有するヒドロキシル基を有してもよい。この場合もまた、OH基が当初同じ反応性を有するものの、少なくとも1つの酸基と反応させることによって、立体効果または電子効果により残りのOH基の反応性が減少する、三価以上のアルコールが好ましい。例えばトリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールを使用する場合がこれに該当する。
【0117】
しかし、変法(a)に従って反応させる三価以上のアルコールはまた、少なくとも2つの化学的に異なる反応性を有するヒドロキシル基を有してもよい。
【0118】
官能基の反応性における差は、化学的要因(例えば第1/第2/第3OH基)または立体的要因に由来すると考えられる。
【0119】
例えば、トリオールは、第1および第2ヒドロキシル基を有するトリオールを含んでもよく、好適な例はグリセロールである。
【0120】
本発明の反応が変法(a)に従って実施される場合は、ジオールおよび一価アルコールの非存在下で操作するのが好ましい。
【0121】
本発明の反応が変法(b)に従って実施される場合は、モノカルボン酸またはジカルボン酸の非存在下で操作するのが好ましい。
【0122】
本発明の方法は溶媒の存在下で実施される。有用な溶媒としては、例えば、パラフィンまたは芳香族化合物等の炭化水素が挙げられる。特に好適なパラフィンは、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンである。特に好適な芳香族化合物は、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、異性体混合物の形態のキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンおよびメタジクロロベンゼンである。酸性触媒の非存在下で使用される極めて特に好適な溶媒は、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン等のエーテル、ならびにメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトンである。
【0123】
本発明によれば、添加する溶媒の量は、使用され反応させる出発物質の質量に対して、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも1質量%、より好ましくは少なくとも10質量%である。また、使用され反応させる出発物質の重量に対して過剰な溶媒、例えば1.01〜10倍の量を使用することも可能である。反応物の濃度が著しく低いと反応速度が著しく減少し、無駄に反応時間が長くなるため、使用され反応されるべき出発物質の量の100倍を超える溶媒量は好都合ではない。
【0124】
本発明において好適な方法は、反応開始時に添加する水抜取添加剤の存在下で反応を行うことによって実施してもよい。好適な例はモレキュラシーブであり、特に4Åモレキュラシーブ、MgSO4およびNa2SO4である。反応中は、さらなる水抜取添加剤を添加してもよければ、または水分除去添加剤を新鮮な水抜取添加剤と置換してもよい。また、反応中に、形成された水またはアルコールを蒸留によって除去し、例えば水抜き装置を使用することも可能である。
【0125】
当該方法は酸性触媒の非存在下で実施してもよく、酸性無機、有機金属もしくは有機触媒、または複数の酸性無機、有機金属もしくは有機触媒からなる混合物の存在下で実施するのが好ましい。
【0126】
本発明において有用な酸性無機触媒としては、例えば、硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル(pH=6、特に=5)および酸性アルミナが挙げられる。さらに、例えば、一般式Al(OR)3のアルミニウム化合物および一般式Ti(OR)4のチタン酸塩を酸性無機触媒として使用することも可能であり、この場合、R基はそれぞれ同じであっても異なってもよく、互いに独立して、
1〜C10−アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニルまたはn−デシル)、
3−C12−シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシル
から選択され、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが好適である。
【0127】
Al(OR)3またはTi(OR)4中のR基はそれぞれ、好ましくは同じであり、イソプロピルまたは2−エチルヘキシルから選択される。
【0128】
好適な酸性有機金属触媒は、例えば、ジアルキルスズオキシドR2SnO[式中、Rは上に定義する通りである]から選択される。酸性有機金属触媒の特に好適な例は、「オキソスズ」として市販されているジ−n−ブチルスズオキシド、またはジ−n−ブチルスズジラウレートである。
【0129】
好適な酸性有機触媒は、例えば、ホスフェート基、スルホン酸基、スルフェート基またはホスホン酸基を有する酸性有機化合物であり、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が特に好ましい。また、酸性イオン交換体を酸性有機触媒として使用してもよく、その例としては、スルホン酸基を含み、約2モル%のジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン樹脂がある。
【0130】
また、複数の前記触媒の組み合わせを使用することも可能であり、同様に、別個の分子の形態を取る有機または有機金属または無機触媒の固定化形態を使用することも可能である。
【0131】
酸性無機、有機金属または有機触媒が使用される場合、本発明に従って使用する量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%である。
【0132】
本発明の方法は、不活性ガス下、すなわち、例えば二酸化炭素、窒素または希ガス下で実施され、これらのうちアルゴンが特に好適である。
【0133】
本発明の方法は、60〜200℃の温度で実施され、130〜180℃、特に150℃以下の温度を使用するのが好ましい。最高温度145℃以下が特に好適であり、135℃以下が極めて特に好適である。
【0134】
本発明の方法の圧力条件は、それ自体は重要ではない。例えば10〜500ミリバールという著しく低い圧力を使用することが可能である。また、本発明の方法は、500ミリバールを超える圧力で実施してもよい。大気圧での反応が簡便性の理由から好適であるが、例えば1200ミリバール以下という若干高い圧力を使用することも可能である。また、例えば10バール以下という著しく高い圧力を使用することも可能であるが、大気圧での反応が好適である。
【0135】
本発明の方法の反応時間は、典型的には10分〜25時間、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1〜8時間の範囲である。
【0136】
反応が終了した後、超分岐高官能性ポリエステルは、例えば、触媒を濾過除去し、濾液を濃縮することによって容易に単離され、前記濃縮は通常減圧下で実施される。さらなる好適な仕上げ処理法は、水の添加後に沈殿させた後、洗浄し、乾燥させる方法である。
【0137】
高分岐または超分岐ポリエステルはさらに、酵素または酵素の分解生成物の存在下で製造してもよい(DE−A10163163に記載)。本発明に従って反応させるジカルボン酸は、本発明で意図する酸性有機触媒ではない。
【0138】
また、リパーゼまたはエステラーゼを使用するのが好ましい。好適なリパーゼおよびエステラーゼは、カンジダ・シリンドラセア(Canadida cylindracea)、カンジダ・リポリチカ(Canadida lipolytica)、カンジダ・ルゴサ(Canadida rugosa)、カンジダ・アンタルクチカ(Canadida antarctica)、カンジダ・ウチリス(Canadida utilis)、クロモバクテリウム・ビスコスム(Chromobacterium viscosum)、ゲオトリクム・ビスコスム(Geotrichum viscosum)、ゲオトリクム・カンジズム(Geotrichum candidum)、ムコル・ヤバニクス(Mucor javanicus)、ムコル・ミエヘイ(Mucor miehei)、ピグ・パンクレアス(pig pancreas)、シュードモナス(Pseudomonas)属、シュードモナス・フルオレセンス(Pseidomonas fluorescens)、シュードモナス・セパシア(Pseidomonas cepacia)、リゾプス・アルヒズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・デレマル(Rhizopus delemar)、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム・ロケホルチ(Penicillium roquefortii)、ペニシリウム・カメンベルチ(Penicillium camembertii)、またはバシルス(Bacillus)属およびバシルス・テルモグルコシダシウス(Bacillus thermoglucosidasius)である。特に、カンジダ・アンタルクチカ(Canadida antarctica)リパーゼBが好ましい。記載した酵素は、例えばNovozymes Biotech Inc.(デンマーク)から市販されている。
【0139】
酵素は、好ましくは、シリカゲルまたはLewatit(登録商標)上で固定化された形態で使用される。酵素を固定化する方法はそれ自体が公知であり、例えば、Kurt Faber, "Biotransformations in Organic Chemistry", 3rd edition, 1997, Springer Verlag, chapter 3.2 "Immobilization" pages 345−356に記載されている。固定化酵素は、例えばNovozymes Biotech Inc.(デンマーク)から市販されている。
【0140】
使用する固定化酵素の量は、使用され反応させる出発物質の合計質量に対して0.1〜20質量%、特に10〜15質量%である。
【0141】
本発明の方法は60℃を超える温度で実施され、100℃以下の温度を使用するのが好ましい。80℃以下の温度が好適であり、62〜75℃の範囲の温度が極めて特に好適であり、65〜75℃の範囲の温度がなおより好適である。
【0142】
本発明の方法は、溶媒の存在下で実施される。有用な溶媒としては、例えば、パラフィンまたは芳香族化合物等の炭化水素が挙げられる。特に好適なパラフィンは、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンである。特に好適な芳香族化合物は、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、異性体混合物の形態のキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンおよびメタジクロロベンゼンである。さらに極めて好適な溶媒は、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン等のエーテル、およびメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトンである。
【0143】
添加する溶媒の量は、使用され反応させる出発物質の質量に対して、少なくとも5質量部、好ましくは少なくとも50質量部、より好ましくは少なくとも100質量部である。濃度が著しく低いと反応速度が著しく減少し、無駄に反応時間が長くなるため、10000質量部を超える量の溶媒は望ましくない。
【0144】
本発明の方法は500ミリバールを超える圧力で実施される。例えば1200ミリバールという大気圧下または少し高い圧力での反応が好ましい。また、例えば10バール以下という著しく高い圧力を使用することも可能であるが、大気圧での反応が好適である。
【0145】
本発明の方法の反応時間は、典型的には4時間〜6日、好ましくは5時間〜5日、より好ましくは8時間〜4日の範囲である。
【0146】
反応が終了した後、超分岐高官能性ポリエステルは、例えば、触媒を濾過除去し、濾液を濃縮することによって単離することができ、前記濃縮は典型的には減圧下で実施される。さらなる好適な仕上げ処理法は、水の添加後に沈殿させた後、洗浄し、乾燥させる方法である。
【0147】
反応が終了した後、本発明の方法により得ることができる超分岐高官能性ポリエステルは、変色および樹脂化材料の含有量が特に少ないという点が特徴的である。高分岐ポリマーの定義については、P. J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718およびA. Sunder et al., Chem. Eur. J. 2000, 6, No. 1, 1−8を参照されたい。但し、本発明において「超分岐高官能性」とは、分岐度(すなわち、分子当たりの平均デンドリマー結合数+平均末端基数)が10〜99.9%、好ましくは20〜99%、より好ましくは20〜95%であることを意味するものとして理解されたい(H. Frey et al. Acta Polym. 1997, 48, 30を参照)。
【0148】
本発明のポリエステルは、500〜50000g/mol、好ましくは1000〜20000、より好ましくは1000〜19000の分子量Mwを有する。多分散度は、1.2〜50、好ましくは1.4〜40、より好ましくは1.5〜30、最も好ましくは1.5〜10である。本発明のポリエステルは、50質量%まで、場合によっては80質量%まで含まれたとしても、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸n−ブチル、エタノールおよびその他多数の溶媒中で透明な溶液を得られ、裸眼で検出できるゲル粒子もないため、典型的には極めて可溶性が高いと言える。
【0149】
本発明の超分岐高官能性ポリエステルは、カルボキシル末端、カルボキシルおよびヒドロキシル末端、好ましくはヒドロキシル末端を有する。
【0150】
高分岐または超分岐ポリカーボネートと高分岐または超分岐ポリエステルの比率は、混合物として使用する場合、好ましくは1:20〜20:1、特に1:15〜15:1、極めて特に1:5〜5:1の範囲である。
【0151】
ナノ粒子として使用するのに好適な金属酸化物または半金属酸化物は、例えば、酸化亜鉛、酸化チタンまたは酸化ケイ素である。好適な酸化ケイ素は、例えば、層状ケイ酸塩または疎水性二酸化ケイ素(例えば、Aerosil(登録商標)R)である。また、シリカ(SiO2)で表面修飾された酸化亜鉛も好適である。
【0152】
熱可塑性ポリマー材料中のナノ粒子のサイズは、実質的に球状のナノ粒子の場合、好ましくは20〜500nm、より好ましくは50〜300nmの範囲である。層状ケイ酸塩を使用する場合、層状ケイ酸塩の厚さは、好ましくは1〜10nmの範囲であり、アスペクト比は100〜1000の範囲である。
【0153】
一実施形態において、ナノ粒子はさらなる添加剤も含む。ナノ粒子は、例えば、UV安定剤を添加剤として含んでもよい。好適なUV安定剤は、例えば、カーボンブラック、フェノール、ホスファイト、HALS、およびナノオキシド(例えば、Ciba社製のTinuvin 1577(登録商標)またはBASF SE社製のLumogen 4281(登録商標))である。
【0154】
ナノ粒子が高分岐または超分岐ポリエステルおよび/またはポリカーボネートである場合は、他の物質(例えば、HALSまたはフェノール)とカップリングさせてもよい。他の物質とのカップリングを使用して、ナノ粒子および/または熱可塑性ポリマー材料の特性に作用を及ぼしてもよい。高分岐もしくは超分岐ポリカーボネートまたは高分岐もしくは超分岐ポリエステルは、一般的に熱可塑性ポリマーの流れを改善する役割を果たす。高分岐もしくは超分岐ポリカーボネートおよび/または高分岐もしくは超分岐ポリエステルとカップリングさせる添加剤は、好ましくはUV安定剤および/または滑剤であり、滑剤は、例えばモノフィラメントの摩擦係数値を減少させる。
【0155】
特に、ナノ粒子が高分岐もしくは超分岐ポリカーボネートおよび/または高分岐もしくは超分岐ポリエステルである場合は、少なくとも1つの金属酸化物、好ましくは酸化亜鉛も含まれるのがさらに好ましい。金属酸化物を添加剤としてナノ粒子に添加してもよい。あるいは、金属酸化物はナノ粒子の形態でも熱可塑性ポリマー材料に添加される。
【0156】
金属酸化物をナノ粒子として使用する場合は、金属酸化物にさらなるコーティングを施してもよい。好ましくは、ナノ粒子に塗布するコーティングは、ナノ粒子よりも硬質の材料のものである。コーティングに有用な材料は、例えば酸化ケイ素である。SiCO2のコーティングが施されたZnOのナノ粒子が極めて特に好ましい。
【0157】
ナノ粒子へのコーティングの塗布は、当業者に公知のいずれの好適な方法で実施してもよい。ナノ粒子へのコーティングの塗布に有用な方法としては、例えば、コーティング材料を蒸着により塗布する方法が挙げられる。このような方法は、例えば、CVD(化学蒸着)法、PVD(物理蒸着)法である。しかし、好ましくは、コーティングはゾル−ゲル法によって塗布する。ZnOのナノ粒子をSiO2でコーティングする場合、典型的には湿式法を使用してこれが行われる。この場合、例えば「ストーバー法」を使用することが可能である。コーティングは、テトラオルトシリケートを加水分解することによって非水溶媒中で実施するか、あるいは、ケイ酸ナトリウム前駆体を使用する水溶媒中でコーティングを行うことも可能である。どの方法を使用するかは、所望のフィルム厚によって決まる。好ましくは、ストーバー法により水溶媒中で比較的薄い層にコーティングすることによって、比較的厚い層が生成される。
【0158】
ストーバー法は、例えば、水またはその他の溶媒に懸濁したZnO溶液を60℃まで加熱することによって実施される。次いで、テトラオルトシリケートを約20分間滴加し、ZnO溶液と60℃で約1時間混合する。次の工程で、水およびアンモニアの溶液を10分間かけて徐々に添加し、60℃で3時間反応させる。反応を確実に完了させるには、最後の工程で、80℃で3時間ゲル化を行う。しかし、ここに記載する方法だけでなく、その他いずれの好適なナノ粒子コーティング方法を使用してもよい。
【0159】
ナノ粒子にコーティングを塗布した場合、コーティングはUV安定剤等のさらなる添加剤を含むのが好都合である。
【0160】
ナノ粒子中の添加剤、特にUV安定剤は、製造したモノフィラメントの表面に拡散することができる。これにより、例えばモノフィラメント全体のUV安定性が改善され、これによって、例えばモノフィラメントを含む製品の有効寿命を向上させることができ、例えば、モノフィラメントから製造される人工芝の耐久性が改善される。
【0161】
高分岐もしくは超分岐ポリエステルおよび/またはポリカーボネート、および/または金属酸化物だけでなく、層状ケイ酸塩またはアモルファス二酸化ケイ素から構成されるナノ粒子を使用することも可能である。好適な二酸化ケイ素粒子は、好ましくはゾル−ゲル法によって製造され、10nm未満、特に5〜7nmの範囲の粒子サイズを有する。アモルファス二酸化ケイ素からナノ粒子を製造するのに好適なゾル−ゲル法は、当業者に公知である。
【0162】
一般的に、アモルファス二酸化ケイ素の好適なナノ粒子は、表面に遊離OH基を有する。二酸化ケイ素ナノ粒子のpHは、好ましくは10未満である。
【0163】
アモルファス二酸化ケイ素の好適なナノ粒子は、一般的に150〜400m2/g、特に200〜300m2/g、例えば200〜250m2/gの範囲のBET表面積を有する。アモルファス二酸化ケイ素の密度は、好ましくは1〜1.5g/cm3、特に1.1〜1.2g/cm3、例えば1.11〜1.16g/cm3の範囲である。
【0164】
アモルファス二酸化ケイ素から構成されるナノ粒子を使用する場合、アモルファス二酸化ケイ素から構成されるナノ粒子に起因する熱可塑性成形材料の質量割合は、1〜10質量%である。
【0165】
金属酸化物もしくはアモルファス二酸化ケイ素から構成されるナノ粒子は、典型的には第二表面に関係するスペーサーの役割を果たし、これによって摩擦係数を減少させる。同時に、ZnO、TiO2またはZrOから構成されるナノ粒子は、UV防御も提供する。例えば、他の金属酸化物から構成されるナノ粒子は、前述の通り、例えばUV防御がこのようにして得られるようにコーティングを有してもよい。
【0166】
ナノ粒子は、典型的にはさらに加工することが意図されるペレットの製造過程で熱可塑性成形材料と混合して、ナノ粒子が熱可塑性成形材料のペレット中に均一に分散されるようにする。ナノ粒子は、成形材料の合成の過程で添加しても、またはペレット製造過程で添加剤として添加してもいずれでもよい。製品に望ましいナノ粒子の濃度を得るには、製品製造の過程で、ナノ粒子を含むペレットとナノ粒子を含まないペレットとを混合してもよい。
【0167】
熱可塑性成形材料に含まれてもよいさらなる添加剤は、例えばいずれかの所望の混合物および加工助剤である。より具体的には、さらなる添加剤は染料、安定剤または滑剤である。
【0168】
例えば、熱可塑性ポリマーは、10〜40個、好ましくは16〜22個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和脂肪族カルボン酸と、2〜40個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する脂肪族飽和アルコールもしくはアミンとの少なくとも1つのエステルまたはアミド0〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%、特に0.1〜2質量%を添加剤として含んでもよい。
【0169】
カルボン酸は一塩基性または二塩基性であってよく、これらの例は、ペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカン二酸、ベヘン酸、および特に好ましくはステアリン酸、カプリン酸ならびにモンタン酸(30〜40個の炭素原子を有する脂肪酸の混合物)である。
【0170】
脂肪族アルコールは1〜4価であってよく、アルコールの例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、およびグリセロールであり、ペンタエリスリトールが好ましい。
【0171】
脂肪族アミンは1〜3個のアミノ基を有してよく、その例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、そのうちエチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。従って、好適なエステルまたはアミドは、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、エチレンジアミンジステアレート、グリセロールモノパルミテート、グリセロールトリラウレート、グリセロールモノベヘネート、およびペンタエリスリトールテトラステアレートである。
【0172】
また、各種エステルもしくはアミドの混合物、またはエステルとアミドとを組み合わせた混合物を使用することも可能であり、この場合、混合比は自由に選択することができる。
【0173】
さらなる慣例の添加剤は、例えば40質量%以下、好ましくは30質量%以下の量のエラストマー付加ポリマーであり、これは耐衝撃性改良剤、エラストマーまたはゴムとも称することが多い。
【0174】
一般的に、これらは、好ましくは、以下のモノマー(すなわち、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、ビニルアセテート、スチレン、アクリロニトリル、およびアルコール成分中に1〜18個の炭素原子を有するアクリルエステルまたはメタクリル酸エステル)のうちの少なくとも2つから構成される付加コポリマーを含む。
【0175】
このようなポリマーは、例えば、Houben−Weyl, Methoden der organischen Chemie, vol. 14/1(Georg−Thieme−Verlag, Stuttgart, 1961), pages 392 to 406、およびC. B. Bucknallの研究論文"Toughened Plastics"(Applied Science Publishers, London, 1977)に記載されている。
【0176】
以下には、このようなエラストマーのいくつかの好適な種類を示す。
【0177】
このようなエラストマーの好適な種類は、エチレン−プロピレンモノマー(EPM)ゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)ゴムである。
【0178】
EPMゴムは、一般的に、二重結合がほとんど残っていないのに対し、EPDMゴムは、炭素原子100個当たり1〜20個の二重結合を有することができる。
【0179】
EPDMゴムの有用なジエンモノマーとしては、例えば、イソプレンおよびブタジエン等の共役ジエン、ペンタ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,5−ジエン、2,5−ジメチルヘキサ−1,5−ジエンおよびオクタ−1,4−ジエン等の5〜25個の炭素原子を有する非共役ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエンおよびジシクロペンタジエン等の環状ジエン、ならびに5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン等のアルケニルノルボルネン、および3−メチルトリシクロ(5.2.1.0.2.6)−3,8−デカジエン等のトリシクロジエン、あるいはこれらの混合物が挙げられる。ヘキサ−1,5−ジエン、5−エチリデンノルボルネンおよびジシクロペンタジエンが好ましい。EPDMゴムのジエン含有量は、ゴムの総質量に対して、好ましくは0.5〜50質量%、特に1〜8質量%である。
【0180】
また、EPMおよびEPDMゴムは、好ましくは反応性カルボン酸またはこれらの誘導体にグラフトさせてもよく、その例は、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体、例えば、グリシジルアクリレート(グリシジルメタクリレート)、ならびに無水マレイン酸である。
【0181】
好適なゴムのさらなる群は、エチレンとアクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはこれらの酸のエステルとのコポリマーである。さらに、ゴムは、マレイン酸およびフマル酸またはこれらの酸の誘導体(例えば、エステルおよび無水物)等のジカルボン酸、および/またはエポキシ含有モノマーをさらに含んでもよい。これらのジカルボン酸誘導体およびエポキシ含有モノマーは、好ましくは、一般式IまたはIIまたはIIIまたはIV
1C(COOR2)=C(COOR3)R4 (I)
【化9】

[式中、R1〜R9はそれぞれ水素または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、mは0〜20の整数であり、gは0〜10の整数であり、pは0〜5の整数である]
のそれぞれのジカルボン酸モノマーおよびエポキシ含有モノマーをモノマー混合物に添加することにより、ゴムに組み入れられる。
【0182】
好ましくは、R1〜R9基はそれぞれ水素であり、mは0または1であり、gは1である。対応する化合物は、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテルおよびビニルグリシジルエーテルである。
【0183】
式I、IIおよびIVの好適な化合物は、マレイン酸、無水マレイン酸、ならびにアクリル酸および/またはメタクリル酸のエポキシ含有エステル(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート)、ならびに第3アルコールとのエステル(例えば、t−ブチルアクリレート)である。事実、後者は遊離カルボキシル基を有さないが、その挙動は遊離酸と類似するため、潜在性カルボキシル基を有するモノマーと称される。
【0184】
好都合には、コポリマーは50〜98質量%のエチレン、0.1〜20質量%のエポキシ含有モノマーおよび/またはメタクリル酸および/または酸無水物基を含むモノマーから構成され、残りはアクリル酸(メタクリル酸)エステルである。
【0185】
特に、
50〜98質量%、特に55〜95質量%のエチレン、
0.1〜40質量%、特に0.3〜20質量%のグリシジルアクリレートおよび/またはグリシジルメタクリレート、アクリル酸(メタクリル酸)および/または無水マレイン酸、ならびに
1〜45質量%、特に10〜40質量%のn−ブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレート
から形成されるコポリマーが好ましい。
【0186】
さらなる好適なアクリルおよび/またはメタクリル酸のエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、i−ブチルエステルおよびt−ブチルエステルである。
【0187】
これら以外に、ビニルエステルおよびビニルエーテルをコモノマーとして使用することも可能である。
【0188】
前述のエチレンコポリマーは、従来法に従って、好ましくは高圧および高温下でのランダム共重合によって得ることができる。適切な方法は一般的に周知の事柄である。
【0189】
また、好適なエラストマーはエマルジョンポリマーであり、その製造については、例えば、Blackleyの研究論文"Emulsion Polymerization"に記載されている。有用な乳化剤および触媒はそれ自体が公知である。
【0190】
原則として、均一な構造を有するエラストマーあるいはシェル構造を有するエラストマーを使用してもよい。シェル型構造は、個々のモノマーの添加順序によって決定され、ポリマーの形状もこの添加順序によって左右される。
【0191】
エラストマーのゴム部分を製造するのに有用なモノマーとしては、例えば、n−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレート、これに対応するメタクリレート、ブタジエン、およびイソプレン、ならびにこれらの混合物が挙げられる。これらのモノマーは、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル等のさらなるモノマー、ならびにメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびプロピルアクリレート等のさらなるアクリレートまたはメタクリレートと共重合してもよい。
【0192】
(0℃未満のガラス転移温度を有する)エラストマーの軟質相またはゴム相は、コア、外側シェルまたは中間シェル(3個以上のシェルで構成されるエラストマーの場合)を構成してもよく、2個以上のシェルを有するエラストマーは、ゴム層からなる複数のシェルを有してもよい。
【0193】
ゴム相以外に(20℃を超えるガラス転移温度を有する)1つの以上の硬質成分がエラストマーの構造中に含まれる場合、これらは一般的に、主モノマーとしてスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ならびにアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレート)を重合することによって製造される。これら以外に、半量未満のさらなるコモノマーを使用することも可能である。
【0194】
場合によっては、表面に反応基を有するエマルジョンポリマーを使用することが好都合な場合もあることが明らかにされるであろう。このような基は、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、潜在性カルボキシル基、アミノ基またはアミド基、ならびに一般式
【化10】

[式中、
10は水素またはC1〜C4−アルキル基であり、
11は水素、C1〜C8−アルキル基またはアリール基、特にフェニルであり、
12は水素、C1〜C10−アルキル基、C6〜C12−アリール基または−OR13であり、
13は、それぞれが場合によりOまたはN含有基で置換されるC1〜C8−アルキル基またはC6〜C12−アリール基であり、
Xは化学結合、C1〜C10−アルキレン基、C6−C12−アリーレン基、または
【化11】

であり、
YはO−ZまたはNH−Zであり、
ZはC1〜C10−アルキレン基またはC6〜C12−アリーレン基である]
のモノマーを同時に使用することにより導入することができる官能基である。
【0195】
同様に、EP−A208187に記載されるグラフトモノマーは、表面に反応基を導入するのに好適である。
【0196】
さらなる例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、ならびにアクリル酸またはメタクリル酸の置換エステル(例えば、(N−t−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)メチルアクリレートおよび(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート)である。
【0197】
ゴム相の粒子は、架橋された状態であってもよい。架橋モノマーの例は、1,3−ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、およびジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、ならびにEP−A50265に記載される化合物である。
【0198】
いわゆるグラフト結合モノマー(すなわち、重合中に異なる速度で反応する複数の重合性二重結合を有するモノマー)を使用することも可能である。このような化合物の中でも、少なくとも1つの反応基が他のモノマーと同じ速度で重合する一方で、1つ以上の他の反応基は例えばそれよりも明らかに遅く反応するような化合物を使用するのが好ましい。異なる重合速度により、一定割合の二重結合の不飽和がゴム中に生じる。次いでこの種のゴム上に別の相をグラフトすると、ゴムに含まれる二重結合の少なくとも一部がグラフトモノマーと反応して化学結合を形成する。すなわち、グラフトされた相はグラフト塩基との化学結合を少なくともある程度有する。
【0199】
このようなグラフト結合モノマーの例は、アリル基を含むモノマー、特にエチレン性不飽和カルボン酸のアリルエステル(例えば、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネートまたはこれらのジカルボン酸の対応するモノアリル化合物)である。これら以外にさらなる好適なグラフト結合モノマーが数多くある。詳細については、例えば、米国特許第4148846号を参照されたい。
【0200】
耐衝撃性改良ポリマーにおけるこれらの架橋モノマーの割合は、耐衝撃性改良ポリマーに対して、一般的に5質量%以下、好ましくは3質量%以下である。
【0201】
いくつかの好適なエマルジョンポリマーを以下に列挙する。一覧ではまず、コアおよび少なくとも1つの外側シェルを有するグラフトポリマーについて言及するが、これらは以下の構造を有する:
【表1】

【0202】
これらのグラフトポリマー、特にABSおよび/またはASAポリマーは、好ましくは、40質量%以下の量で、適宜40質量%以下のポリエチレンテレフタレートと混合してPBTの耐衝撃性改良に使用される。この種のブレンド製品は、Ultradur(登録商標)S(BASF AG社製の旧Ultrablend(登録商標)S)の商標で得ることができる。
【0203】
複数のシェルで構築されるグラフトポリマーの代わりに、1,3−ブタジエン、イソプレンおよびn−ブチルアクリレートまたはこれらのコポリマーから構成される均一な(すなわち、単一シェルの)エラストマーを使用することも可能である。これらの生成物はまた、架橋モノマーまたは反応基を有するモノマーを併用して製造してもよい。
【0204】
好適なエマルジョンポリマーの例は、n−ブチルアクリレート−アクリル酸(メタクリル酸)コポリマー、n−ブチルアクリレート/グリシジルアクリレートコポリマーもしくはn−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレートコポリマー、n−ブチルアクリレートから構成されるかもしくはブタジエンを主成分とする内側コアと前記コポリマーの外側シェルを有するグラフトポリマー、ならびに反応基を供給するコモノマーとエチレンとのコポリマーである。
【0205】
記載したエラストマーは、他の慣例の方法(例えば、懸濁重合)によって製造してもよい。
【0206】
DE−A3725576、EP−A235690、DE−A3800603およびEP−A319290に記載されるようなシリコーンゴムも同様に好適である。
【0207】
前記種類のゴムの混合物を使用することも可能であることが理解されるであろう。
【0208】
さらに、含有される添加剤は、熱可塑性ポリマー材料用の慣例の加工助剤、例えば、安定剤、酸化遅延剤、熱分解および紫外線分解拮抗剤、滑剤および離型剤、染料および顔料等の着色剤、核形成剤、可塑剤等を含んでもよい。
【0209】
酸化防止剤および熱安定剤で列挙できる例は、熱可塑性成形材料の質量に対して1質量%以下の濃度の、立体的に遮蔽されたフェノールおよび/またはホスファイト、ヒドロキノン、芳香族第2アミン(例えば、ジフェニルアミン)、これらの基の種々の置換体およびこれらの混合物である。
【0210】
一般的に成形材料に対して2質量%以下の量で使用され、列挙できるUV安定剤は、種々の置換レゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンである。
【0211】
添加できる着色剤は、無機顔料(例えば、二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄およびカーボンブラック)、ならびに有機顔料(例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン)、ならびに染料(例えば、ニグロシンおよびアントラキノン)である。
【0212】
使用できる核形成剤は、フェニルホスフィン酸ナトリウム、アルミナ、二酸化ケイ素、および好ましくはタルクである。
【0213】
さらなる滑剤および離型剤は、典型的には1質量%以下の量で使用される。これらは、好ましくは、長鎖脂肪酸(例えば、ステアリン酸またはベヘン酸)、これらの塩(例えば、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛)またはモンタンワックス(28〜32個の炭素原子の鎖長を有する直鎖飽和カルボン酸の混合物)、ならびにモンタン酸カルシウムおよびモンタン酸ナトリウム、ならびに低分子量ポリエチレンおよびポリプロピレンワックスである。
【0214】
可塑剤の例は、ジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、炭化水素油、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0215】
本発明の成形材料は、0〜2質量%のフッ素含有エチレンポリマーをさらに含んでもよい。これらは、フッ素含有量が55〜76質量%、好ましくは70〜76質量%の範囲であるエチレンのポリマーである。
【0216】
これらの例は、半量未満(一般的には50質量%以下)の共重合性エチレン性不飽和モノマーを有する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーまたはテトラフルオロエチレンコポリマーである。これらについては、例えばSchildknecht, "Vinyl and Related Polymers", Wiley, 1952, pages 484 to 494およびWall, "Fluoropolymers"(Wiley Interscience, 1972)に記載されている。
【0217】
これらのフッ素含有エチレンポリマーは、成形材料中に均一に分布し、好ましくは0.05〜10μm、特に0.1〜5μmの範囲の数平均粒径d50を有する。このように小さな粒径は、特に好ましくは、フッ素含有エチレンポリマーの水性分散液を使用し、これらをポリエステル溶融物中に組み入れることによって得ることができる。
【0218】
本発明の熱可塑性成形材料は、従来の方法に従って得ることができる。前記従来の方法では、スクリュー押出機、ブラベンダーミルまたはバンベリーミル等の従来型混合装置で出発成分を混合した後、押出成形する。押出成形後、押出成形物を冷却し、粉砕する。個々の成分を予混合した後、残りの出発物質を個別におよび/または同様に混合物の形態で添加することも可能である。混合温度は一般的に230〜290℃の範囲である。
【0219】
熱可塑性ポリマー材料の個々の成分を予混合した後、押出機に添加してもよい。また、例えば2つの成分のみまたは成分の一部のみを混合して、残りの成分を別々に添加することも可能である。成分は典型的には1つの注入口から押出機に添加する。あるいは、例えば個々の成分を複数の注入口から添加することも可能である。
【0220】
押出機では、ポリエステルを溶融させ、他の成分と混合し、同時に成形材料を均質化させる。ポリエステルを溶融させるには、押出機を加熱する。加熱は典型的には押出機のジャケットで行われる。
【0221】
押出機は当業者に公知のいずれのものを使用してもよい。例えば、一軸または多軸押出機を使用してもよく、一軸または二軸押出機が慣例的であるが、例えばスクリューを遊星状に配置した押出機も考えられる。二軸押出機の場合、スクリューは互いにかみ合っているのが通例である。スクリューは同じ方向に回転してもよければ、反対方向に回転してもよい。
【0222】
モノフィラメントの製造に使用される押出機は、典型的には3つ以上の領域を含む。添加した成分を混合し、圧縮する供給領域、溶融および均質化領域、ならびに排出領域である。排出領域は成形工具の末端にあり、これによって溶融したポリマー材料をプレス成形する。成形工具は複数のスピナレットダイを含み、これによってモノフィラメントをプレス成形する。次いで、このようにして製造した個々のモノフィラメントを当業者に公知の方法で延伸する。これを行うには、例えば、押出機からの排出速度よりも搬送速度が速い引取装置を介してモノフィラメントを引き取るのが典型的である。あるいは、最初に慣例的な速度の引取装置を設け、それよりも速いモノフィラメント輸送手段を下流に設けて、速度が加速することによりモノフィラメントが延伸されるようにすることも可能である。これを行うには、例えば2つの逆方向に回転するロールの間にモノフィラメントを誘導してもよい。延伸の過程で、ロールの円周速度が増加する。モノフィラメントは、典型的にはストランド押出成形物が冷却された後に延伸する。冷却は典型的には水浴中で行われるが、水以外の液体もモノフィラメントの冷却に考えられる。空気中での冷却も可能である。
【0223】
延伸後、このようにして製造したモノフィラメントを熱コンディショニングする。熱コンディショニングにより、モノフィラメントの応力を取り除く。これによりモノフィラメントは安定する。熱コンディショニングは、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、特に70〜90℃の範囲の温度で実施し、モノフィラメントを、典型的には0.01〜5分、好ましくは0.02〜3分、特に0.03〜0.1分の範囲の期間にわたり維持する。
【0224】
このようにして製造したモノフィラメントを、例えば人工芝の製造に使用する。人工芝を製造するには、個々のモノフィラメントを併せてタフト化した後、所望の長さに切断する。
【0225】
また、製造したモノフィラメントは、例えば人工スキー場の滑走面の製造に、運動場の床面として、または滑り台の滑面として使用してもよい。この目的では、モノフィラメントを人工芝用として併せてタフト化するか、あるいは織布を製造することも可能である。
【0226】
さらに、本発明に従って製造するモノフィラメントは、鬘の製造に使用してもよい。鬘は典型的にはノッティング法によって製造される。
【0227】
同様に、本発明に従って製造するモノフィラメントは、ソフトブラシまたはハードブラシの製造にも有用である。
【0228】
しかし、より具体的には、モノフィラメントは、人工芝の製造において、人工スキー場の滑走面として、運動場の床面として、または滑り台(Rutschen)に有用である。この際立った有用性は、特に、モノフィラメントの製造に使用する熱可塑性ポリマーの優れた曲げ回復性および低摩擦係数によるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリエステルならびにナノ粒子および場合によりさらなる添加剤を成分として含む熱可塑性ポリマー材料から少なくとも1つのモノフィラメントを製造する方法であって、前記成分を部分的もしくは完全に混合してまたは別々に押出機に添加して、前記熱可塑性ポリマー材料をまずストランド押出成形した後、冷却して延伸し、最後に40〜120℃の範囲の温度で0.01〜10分間、熱コンディショニングすることを含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ粒子材料が、1〜600mgKOH/gポリカーボネートのOH価(DIN53240、Part 2準拠)を有する高分岐または超分岐ポリカーボネート、Axy型[式中、xは少なくとも1.1であり、yは少なくとも2.1である]の高分岐または超分岐ポリエステル、金属酸化物、半金属酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選択され、前記ナノ粒子がさらなる添加剤を含むこともできる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物が酸化亜鉛および/または酸化チタンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記半金属酸化物がアモルファス二酸化ケイ素または層状ケイ酸塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子中の前記さらなる添加剤がUV安定剤である、請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
コーティングが前記ナノ粒子の上に塗布されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングがさらなる添加剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングが金属酸化物を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング中の金属酸化物が酸化亜鉛である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティングが二酸化ケイ素を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性ポリマー材料中の前記さらなる添加剤が、染料、安定剤または滑剤である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法によって得られるモノフィラメントの、人工芝、鬘の製造のための、およびソフトブラシまたはハードブラシの剛毛としての使用。

【公表番号】特表2012−505324(P2012−505324A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531467(P2011−531467)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063319
【国際公開番号】WO2010/043603
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】