説明

モバイルIPTVサービスを提供する方法及びこれのためのシステム

【課題】 モバイルIPTVシステムを提供すること。
【解決手段】 IPTVストリームのためのデータをベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにエンコーディングして出力するIPTVヘッドエンドと、前記IPTVヘッドエンドからIPTVストリームを受信し、予め決定された変調技法と符号化率との組合せによってIPTVストリームのエンハンスメントレイヤを部分的に切削して伝送IPTVストリームを出力する基地局と、前記基地局から前記伝送IPTVストリームを受信する移動端末と、を含む。このような本発明によって網内の使用者分布の特性を考えてIPTVサービスの提供時、もっとも効率的に使用者のQoSを満足させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルIPTVサービスに関わり、より詳細にはモバイルIPTVサービスを提供する方法及びこれのためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルTVからTake−Out TVであるモバイルTV(DMB、DVB、MediaFLOなど)にTVは進化しつつある。また、2006年からは国際標準化団体であるITU−Tで新しくIPTV Focus Group(以下、FG IPTV)が設立され、TVはまたIPTVという新しい形態に速く移動しつつある。
【0003】
このようなIPTVサービスを提供する技術についての先行技術文献としては下記の特許文献1などがある。
既存のIPTVは、IPに基づく多様なコンテンツをIP網を通じて使用者に伝送する方式であるため、これをモバイルIPTVに拡張するためには使用者が用いる環境が無線でなければならない。無線技術は、特定技術に局限されないが、最近は広帯域無線接続技術であるWiMAX(韓国ではWiBro)を用いてIPTVサービスを提供する初期形態のモバイルIPTV技術が開発されつつある。また、IPTVサービスのようなマルチメディアコンテンツを該当の無線技術上でより効率的に伝達するために無線技術を拡張しつつある。
【0004】
最近、画像コーディング技法の発展及び広帯域網の普及によって使用者はインターネットによる多様なマルチメディアサービスに非常な関心と需要を示している。特にIPTVサービスは、IT市場で主要応用として位置づけられていて、無線機器及び無線ネットワークの成長とともに近いうちにモバイルIPTVサービスに拡張されると見込まれている。モバイルIPTVサービスを提供しうる代表的な無線網としては、高いデータ伝送率、サービス別に差等化したQoS(Quality of Service)支援、及びMBS(Multicast and Broadcast Service)を提供しうるWiMAX網が脚光を浴びている。
【0005】
WiMAX網内のモバイルIPTVサービスの普及において、効率的な無線資源の活用及び使用者に円滑なQoE(Quality of Experience)を提供することは重要な問題であり、現在多くの研究が進行されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際出願第PCT/EP2007/058611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、WiMAX網でH.264 MGS技法を通じてエンコーディングされた画像を効率的に伝送するための方法とこれのためのモバイルIPTVシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によってモバイルIPTVシステムは、IPTVストリームのためのデータをベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにエンコーディングして出力するIPTVヘッドエンドと、前記IPTVヘッドエンドからIPTVストリームを受信し、予め決定された変調技法と符号化率との組合せによってIPTVストリームのエンハンスメントレイヤを部分的に切削して伝送IPTVストリームを出力する基地局と、前記基地局から前記伝送IPTVストリームを受信する移動端末と、を含む。
【0009】
本発明の一実施例によって、IPTVヘッドエンドと、アクセス網の基地局を含むモバイルIPTVシステムにおいて、移動端末にモバイルIPTVサービスを提供する方法は、前記IPTVヘッドエンドでIPTVストリームのためのデータをベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにエンコーディングして出力するステップと、前記基地局で前記IPTVヘッドエンドからIPTVストリームを受信して予め決定された変調技法と符号化率の組合せによってIPTVストリームのエンハンスメントレイヤを部分的に切削して伝送IPTVストリームを移動端末に伝送するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
前記のような本発明によって基地局は、セル内にエンハンスメントレイヤの提供を受ける使用者の数とそれらの画像画質との相関関係を考えて、使用者のリンク状態に基づいてエンハンスメントレイヤに対する物理階層上の変調技法及び符号化率を決定し、エンハンスメントレイヤの一部のストリームのみを伝送する。これによって国内でサービスされているWiBroと3GPP基盤のLTE(Long Term Evolution)網のMBS(Multicast Broadcast Service)を通じて使用者に多様な形態のビデオコンテンツサービスを提供することができる。特に、網内の使用者の分布特性を考えてもっとも効率的に使用者のQoSを満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例による画像処理装置のブロック構成図である。
【図2】本発明によってH.264/AVC SVC方式によってコーディングされたIPTVストリームの構造を示した図である。
【図3】IPTVチャンネルストリームの伝送過程を示す図である。
【図4】本発明の一実施例による基地局のブロック構成図である。
【図5】本発明において基地局によって移動端末にIPTVサービスを提供する方法を示すフローチャートである。
【図6】多様な移動端末の配置を示す図である。
【図7】本発明の数式4において、αが変化することによるエンハンスメントレイヤを受信する使用者の数と画像PSNR値の変化を示す図である。
【図8】本発明のモバイルIPTVシステム上で使用者の性能を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は多様に変更することができ、多様な形態を有することができる。特定の実施形態を図面に例示して本文に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に限定するのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物、乃至代替物を含むことを理解すべきである。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して付与した。そして、図面において、同一な構成要素に対しては、たとえ他の図面に示したとしてもできるだけ同一の参照番号及び符号で示していることに留意すべきである。また、本発明を説明することにおいて、連関する公知機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にぼかすと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0013】
第1、第2、A、B等の用語は、多様な構成要素を説明するために使用することができるが、構成要素は用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなしに、第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に第2構成要素も第1構成要素に称されてもよい。「及び/または」という用語は、複数関連記載の項目の組合せまたは複数関連記載の項目のうち、いずれかを含む。
【0014】
いかなる構成要素が他の構成要素に「連結」されているか或いは「接続」されていると言及する時には、他の構成要素に直接的に連結されているか或いは接続されていることもあるが、それらの中間に更に他の構成要素が存在することもある。反面、いかなる構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているか或いは「直接接続」されていると言及するときには、中間に更に他の構成要素が存在しないことと理解すべきである。
【0015】
本出願において用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するためのものであって、本発明を限定するのではない。単数の表現は、文脈上、明白に相違が示されない限り、複数の表現を含む。
【0016】
本出願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを意図するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたもの等の存在または付加の可能性を予め排除しないことを理解しなければならない。
【0017】
なお、異なるものとして定義しない限り、技術的であるか科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に用いられる辞典に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有することと解釈すべきであり、本出願で明白に定義されない限り、異常的であるか過度に形式的な意味に解釈されない。
【0018】
以下に添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例による画像処理装置のブロック構成図である。
本発明は、できるだけ多くの使用者に高画質の画像サービスを提供するために、BSは使用者のリンク状態に基づいて受信されたIPTVストリームのうち、一部を切削(ドロップ)し、これを使用者にMBSゾーンを通じて伝送する。
【0019】
図1は、本発明によるモバイルIPTVシステムを示す図面である。図1を参照すると、モバイルIPTVシステムは、IPTVヘッドエンド100、IP網12、アクセス網としてWiMAX網200、及び移動端末300を含む。
【0020】
IPTVヘッドエンド100は、放送チャンネルをケーブル、衛星、地上波放送のような既存の放送システムから受信し、これを伝送に適合した形態にエンコーディングし、網の効率性を高くするためにIPマルチキャスト技術を用いて受信された放送チャンネルをWiMAX網200に伝送する。
【0021】
ここで、IPTVヘッドエンド100は、スケーラブルビデオコーディング(SVC:Scalable Video Coding)方式によって放送チャンネルをコーディングする。
【0022】
具体的に、IPTVヘッドエンド100は、既存のビデオコーディングの標準であるH.264/AVCの拡張であるH.264/AVC SVC方式を用いる。H.264/AVC SVCは、階層構造を通じて画像を利用可能な帯域幅の変動に動的に適応可能にする。 H.264/AVC SVCは、一つのストリームで空間拡張性(Spatial scalability)、時間拡張性(Temporal scalability)、画質拡張性(Quality scalability)を示しうる方法を提案する。時間拡張性は、階層的B構造(Hierarchical B structure)を用いて符号化した一つのストリームから多様なフレーム率を抽出しうるように具現される。空間拡張性と画質拡張性は、一つのベースレイヤ(Base Layer)と複数のエンハンスメントレイヤ(Enhancement layer)とで構成される。ベースレイヤのフレームは、最小の解像度または最小の画質を含み、 H.264/AVCのような方法で具現され、 H.264/AVCと互換を維持する。エンハンスメントレイヤは、増加された解像度と画質を提供し、上位エンハンスメントレイヤであるほど下位エンハンスメントレイヤに比べて更によい解像度と画質を有する。
【0023】
一実施例によって、IPTVヘッドエンド100は、IPTVストリームのためのデータをH.264/AVC SVCコーディング技法によってベースレイヤとエンハンスメントレイヤにエンコーディングする。ベースレイヤは、最小限の画質の再生に必要な情報のみを含む。エンハンスメントレイヤは、若干の画質改善パケットの損失を許容し、ベースレイヤの画像の画質を高くするために用いられる。
【0024】
図2は、本発明によって H.264/AVC SVC方式によってコーディングされたIPTVストリームの構造を示す図である。
図2に示したように、H.264/AVC SVCコーディングは、GOP(Group Of Pictures)単位で行われる。ベースレイヤは固定ビット率でエンコーディングされ、Sparse変調技法と低い符号化率を適用する。
【0025】
WiMAX網200は、インターネットバックボーン網、即ち、IPネットワーク12に接続され、IPTVヘッドエンド100からIPTVストリームを受信して移動端末300に伝達する。これのためにWiMAX網200は、アクセスルータ(AR)210及び基地局(Base Station:BS)220を含む。アクセスルータ210は、IPネットワーク12からのIPパケットを基地局220にルーティングする。基地局220は、無線インタフェースを通じて移動端末との通信を行う。
【0026】
本発明によって基地局220は、前述したように、H.264/AVC SVCコーディング技法によってベースレイヤ及びエンハンスメントレイヤにコーディングされたIPTVストリームを受信し、ベースレイヤを移動端末300に伝送し、エンハンスメントレイヤを予め決定された変調技法と符号化率によって部分的に移動端末300に伝送する。
【0027】
即ち、基地局220は、ベースレイヤを通じてセル内にできるだけ多くの使用者に基本的な画像サービスを提供することができる。また、基地局220は、エンハンスメントレイヤを用いて可変的な符号化率に適応的にIPTVストリームを移動端末300に伝送することができる。移動端末230は、WiMAXを支援し、WiMAX網200に連結され、WiMAX網200から伝送されるIPTVチャンネルストリームを受信する。
【0028】
図3(a)〜図3(c)は、IPTVチャンネルストリームの伝送過程を示す図である。
図3(a)は、IPTVヘッドエンド100から出るIPTVチャンネルストリームを示し、図3(b)は、WiMAX網200の基地局220から出るIPTVチャンネルストリームを示し、図3(c)は、移動端末に入るIPTVチャンネルストリームを示す。
【0029】
図3(a)に示したIPチャンネルストリームは、ベースレイヤとエンハンスメントレイヤにコーディングされている。IPTVヘッドエンド100から出るIPTVチャンネルストリームがWiMAX網200の基地局220によって受信されると、基地局220は、予め決定された変調技法と符号化率によってIPTVチャンネルストリームのエンハンスメントレイヤを部分的に、例えば、図3(b)で、白枠部分を切削(ドロップ)する。それによって、移動端末300によって受信されるIPTVチャンネルストリームは、図3(c)に示したようになる。
【0030】
即ち、ベースレイヤは、固定ビット率でエンコーディングされ、Sparse変調技法と低い符号化率を適用してセル内にできるだけ多くの使用者に基本的な画像サービスを提供する。反面、エンハンスメントレイヤは、図3のように切削されたストリームが基地局220から選択された変調技法と符号化率で使用者に伝送される。
【0031】
本実施例では、一つのエンハンスメントレイヤに対して切削が行われた場合、即ち、該当エンハンスメントレイヤにMGSコーディングの適応された場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0032】
他の実施例で、ベースレイヤと複数のエンハンスメントレイヤに対して切削が行われることが可能である。この場合、基地局220は、エンハンスメントレイヤのうち、いくつのエンハンスメントレイヤが伝送されるか決定することができる。
【0033】
基地局220は、IPTVストリームの伝送のために可能な変調技法と符号化率に対するいくつかの組合せを用いる。変調技法と符号化率の組合せは、無線チャンネルエラーに強い順に1から

までナンバリングされ、それらは、mcとして命名される。このようなmcの例が下記の表1に示されている。
【0034】
【表1】



は、物理階層上のスロット当たり伝送しうるデータビットの数を示し、下記の数式1のように求められる。
【0035】
【数1】

前記の数式1において、



は、mcに該当するシンボル当たりビット数及び符号化率をそれぞれ示す。例えば、変調技法は、QPSKを用いて符号化率が3/4であるとき、スロット当たり伝送しうるデータビットの数、即ち、

は72となる。

は、各使用者のリンク状態に該当する変調技法及び符号化率を示すベクトルであって、数式2のように示される。
【0036】
【数2】

前記数式2において、Nは、セル内の総使用者の数を示し、

は、i番目の使用者を円滑に支援しうるmcの中でもっとも小さい値を示す。基地局220は、エンハンスメントレイヤを特定mc

に伝送するとき、各使用者がエンハンスメントレイヤを円滑に受信しうるか否かを示す

は、下記の数式3のように示される。
【0037】
【数3】

前述したように、本発明による基地局220は、限定された資源内において、セル内にエンハンスメントレイヤの提供を受ける使用者の数とそれらの画像画質との相関関係を考えて、これを数式に示すと下記の数式4のようになる。本発明による基地局220は、下記の数式4を最大化する

及び

を求める。
【0038】
【数4】

前記の数式4の一番目の項は、全体使用者のうち、切削可否に関係なくエンハンスメントレイヤストリームを受信する使用者の数を示し、二番目の項は、エンハンスメントレイヤストリームの切削を行わない画像PSNR値とエンハンスメントレイヤストリームの切削を行う画像PSNR値との間の割合を示す。
【0039】
αは、二つの項の間の加重値を示し、常数である(0≦α≦1)。

は、ベースレイヤの伝送のための固定されたmcを示す。



は、それぞれGOP期間に上位階層から流入されたベースレイヤとエンハンスメントレイヤのビット量を示し、

は、GOP期間に上位階層から流入されたエンハンスメントレイヤのビット量

のうち、基地局220から伝送予定の切削の行われたエンハンスメントレイヤのビット量を示す。
【0040】
このように、本発明は、数式4を最大化する

及び

を求めるものの、この場合、下記の数式5の制約事項を有する。即ち、GOP期間にIPTVストリームのために割り当てられたスロットの個数内でベースレイヤと切削されたエンハンスメントレイヤを伝送可能であるべきであるものの、これを数式で示すと下記の数式5のようになる。
【0041】
【数5】



は、

より大きいもっとも小さい整数値を示し、

は、上位階層から下がったRビットを伝送するためにMAC階層で追加されたMACヘッダーとCRC(Cyclic Redundancy Check)関連ビットを示し、

は、GOP期間にIPTVストリームの伝送のために物理階層で割り当てられた最大スロットの数である。

は、GOP期間にビット率がRである場合に該当する、予測されたPSNR値であり、下記の数式6のように定義することができる。
【0042】
【数6】

前記の数式6において、



はモデルパラメータである。
【0043】
要約すると、本発明による基地局220は、移動端末300から伝送されるCQIに基づいて変調技法と符号化率を決定し、決定された変調技法と符号化率によってIPTVチャンネルストリームのエンハンスメントレイヤを部分的に切削し、その結果のIPTVチャンネルストリームを移動端末300に伝送する。
【0044】
以下、基地局220の構成及び動作を図4を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施例による基地局220のブロック構成図である。
図4を参照すると、基地局220は、分類器221、ベースレイヤバッファ222、エンハンスメントレイヤバッファ223、資源管理者224、スケジューラー225、及びPHYモジュール226を含む。
【0045】
分類器221は、IPTVヘッドエンド100からIP網12を通じて提供を受けたIPTVチャンネルストリームを受信する。ここで、IPTVチャンネルストリームは、H.264/AVC SVCコーディング方式によってベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにコーディングされている。分類器221は、受信したIPTVチャンネルストリームのパケットをベースレイヤのためのパケットとエンハンスメントレイヤのためのパケットとに分類してベースレイヤのためのパケットはベースレイヤバッファ222に出力し、エンハンスメントレイヤのためのパケットはエンハンスメントレイヤバッファ223に出力する。この際、分類器221は、ベースレイヤのためのパケットとエンハンスメントレイヤのためのパケットにMCID(Multicast Connenction ID)を割り当てる。基地局220がベースレイヤ及び切削の行われたエンハンスメントレイヤを伝送するとき、ブロードキャスト方式でエンハンスメントレイヤを伝送するため、移動端末300がこのようなエンハンスメントレイヤを識別するためにエンハンスメントレイヤのためのパケットにMCIDが割り当てられなければならない。
【0046】
資源管理者224は、移動端末300から伝送される上向サブフレーム内のCQIの提供を受ける。資源管理者224は、CQIに基づいてセル内において使用者のリンク状態を知ることができ、それによって

を更新する。
【0047】
資源管理者224は、

に基づいてスロット関連の制約事項を満足しかつ数式4を最大化する

組合せを決定し、

組合せに基づいてエンハンスメントレイヤに対してストリーム切削を行う。

はエンハンスメントレイヤのストリームに対してストリーム切削が行われた結果のエンハンスメントレイヤの伝送ビット量(the amount of transmission bits)である。資源管理者224は、ストリーム切削の行われたIPTVストリームをスケジューラー225に出力する。即ち、エンハンスメントレイヤ(EL)ストリームの残り

は該当バッファ、即ち、第2バッファ223から除去される。
【0048】
スケジューラ225は、資源管理者224からストリーム切削の行われたIPTVストリームの提供を受けると、

に該当する変調技法及び符号化率によってIPTVストリーム

をMBSゾーンを通じて使用者に伝送する。
【0049】
その後、図5を参照して、本発明によって基地局220によって移動端末300にIPTVサービスを提供する方法を説明する。
図5を参照すると、まず、基地局220はステップ410においてIPTVヘッドエンド100からIPTVストリームを受信するかを判断する。基地局220はIPTVヘッドエンド100から受信されたIPTVストリームを移動端末300に伝送する。この際、IPTVストリームは、本発明によってベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにエンコーディングされている。前述したように、ベースレイヤのフレームは、最小の解像度または最小の画質を含んでH.264/AVCのような方法で具現され、H.264/AVCとの互換を維持する。エンハンスメントレイヤは、増加した解像度と画質を提供し、上位エンハンスメントレイヤであるほど、下位エンハンスメントレイヤに比べて更によい解像度と画質を有する。
【0050】
基地局220はIPTVヘッドエンド100からIPTVストリームをマルチキャストに受信する。それから基地局220は、ステップ420においてIPTVヘッドエンド100から受信したIPTVストリームのベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにそれぞれ第1バッファ及び第2バッファを割り当てる。
【0051】
この場合、基地局220はベースレイヤ及びエンハンスメントレイヤのための各第1バッファ及び第2バッファにMCID(Multicast Connection ID)を割り当てることができる。その後、基地局220は、受信されたIPTVストリームの第1階層を第1バッファに保存し、受信されたIPTVの第2階層を第2バッファに保存する。
【0052】
他の実施例で、このバッファは、ベースレイヤのためのストリームとエンハンスメントレイヤのためのストリームに予め割り当てることもできる。
その後、基地局220はステップ430において、CQI(Channel Quality Indicator)に基づいてエンハンスメントレイヤに適合した変調技法及び符号化率

を決定する。前述したように、基地局220は、上向サブフレーム内のCQIを通じてセル内の使用者のリンク状態を周期的に報告を受ける。また、基地局220は、使用者のリンク状態に該当する変調技法及び符号化率を示すベクトル

を更新することができる。
【0053】
基地局220はステップ440において、

によってエンハンスメントレイヤの伝送ビット量

を計算する。この伝送ビット量は、スロット制約事項を満足させかつ前記数式4を最大化するように決定される。
【0054】
具体的に、エンハンスメントレイヤ伝送ビット量

は、下記のステップによって計算される。
ステップ1:基地局220は、可能なすべての

に対して

、下記の数式7を通じて該当する

を計算する。ここで、

が増加することに応じて、該当する

は減少する。
【0055】


であると、


【0056】
【数7】

ここで、

であり、


【0057】
ステップ2:基地局220は、下記の数式8のような評価関数に対して最大値を提供する

組合せを選択する。
【0058】
【数8】

基地局220は、切削ビット量が決定されると、ステップ450で決定された切削ビット量によってエンハンスメントレイヤに対してストリーム切削を行う。その後、基地局220はステップ460で物理階層上に

に該当する変調技法及び符号化率で

だけ切削されたストリームを移動端末300に伝送する。
【0059】
前記説明した本発明によって基地局220はセル内にエンハンスメントレイヤの提供を受ける使用者の数とそれらの画像画質との相関関係を考えて、使用者のリンク状態に基づいてエンハンスメントレイヤに対する物理階層上の変調技法及び符号化率を決定し、エンハンスメントレイヤの一部のストリームのみを伝送する。
【0060】
このような本発明によって、モバイルIPTVシステムの性能を評価した結果を以下に記述する。一番目の実験では、α変化による提案されたアルゴリズムの性能について技術し、二番目の実験ではモバイルIPTVシステム上で使用者の性能を比較及び分析する。
【0061】
実験環境は、OPNETを用いて具現し、



が提案するアルゴリズムの性能を示す尺度として用いられた。実験で、ヘッドエンドにおいてBS間の有線リンク大域幅は1Gbpsに設定し、IPマルチキャスティングを支援する。セル内の使用者の数は20名に設定し、図6のように3形態で配置した。
【0062】
図6は、多様な移動端末の配置を示す図である。
図6(a)は、使用者の多くがBSから遠く離れた場合を示し、図6(b)は、使用者の多くがBSの周りにいる場合を示し、図6(c)は使用者がセル内に任意的に分布した場合を示す。
【0063】
IPTVストリームは、H.264 MGSコーディング技法を用いてベースレイヤとエンハンスメントレイヤにエンコーディングされ、GOP間隔は0.5333秒に設定した。そして、ベースレイヤとエンハンスメントレイヤはそれぞれGOP間隔当たり10個と20個のRTPパケットを周期的に発生させ、パケットサイズは1472byteに固定した。

は3700であり、



は、それぞれ120kbitsと240kbitsに設定し、

は、R/150である。実験期間に用いられた変調技法及び符号化率のパラメータの設定は、前述した表1のようであり、

は (QPSK,1/2)に固定した。物理階層のパラメータの設定は以下の表2のようであり、 Erceg−Greenstein経路損失のモデルが用いられた。
【0064】
【表2】

まず、表3は、αの変化による本発明の性能を記述した。αが小さくなることに応じてスロットの制約事項下で、数式4を計算することにおいて、二番目の項の重要度が増加するため、

は減少するが

は増加することがわかる。

はエンハンスメントレイヤを受信する使用者の数を示し、

はベースレイヤと切削の行われたエンハンスメントレイヤを受信する場合に該当する画像PSNR値を示す。
【0065】
即ち、αが0に近くなるほど本発明はDense変調技法と高い符号化率でエンハンスメントレイヤを伝送するため、リンク状態が比較的よい一部の使用者のみが高画質の画像を視聴することができる。
【0066】
【表3】

図7は、本発明の数式4においてαが変化することによるエンハンスメントレイヤを受信する使用者の数と画像PSNRの変化を示した図である。図7(a)は、αが変化することによる画像PSNR値の変化を示す図である。図7(b)は、αが変化することによるエンハンスメントレイヤを受信する使用者の数の変化を示す図である。
【0067】
そして、

が有しうる値の範囲が不連続的であるため、図7(a)及び図7(b)のように、エンハンスメントレイヤを受信する使用者の数と画像PSNR値が階段関数の形態に示されている。
【0068】
図8は、本発明のモバイルIPTVシステム上で使用者の性能を示した図面である。
図8(a)は、時間による使用者のチャンネル状態を示す、図8(b)は、時間による受信されたエンハンスメントレイヤのパケット数を示す。
【0069】
図8を参照して本発明のモバイルIPTVシステム上における使用者の性能を記述する。本発明はQPSKの変調技法と1/2符号化率を通じてベースレイヤを伝送することによって、セル内のすべての使用者に最小限の画質を保障してくれる。しかし、エンハンスメントレイヤの場合、物理階層上の

が決定され、これより小さい

を維持する一部の使用者にのみ図8のようにエンハンスメントレイヤの一定ビットストリームが受信される。
【0070】
実験結果において、本発明のモバイルIPTVシステムが効果的にモバイルIPTVサービスを提供できることが証明された。それによって、本発明は、韓国でサービスされているWiBroと3GPPに基づくLTE(Long Term Evolution)網のMBS(Multicast Broadcast Service)を通じて使用者に多様な形態のビデオコンテンツのサービスを提供することができる。また、本発明は、特に網内の使用者分布の特性を考えてもっとも効率的に使用者のQoSを満足させることができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0072】
12 IP網
100 IPTVヘッドエンド
200 WiMAX網
210 アクセスルータ
220 基地局
300 移動端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルIPTVシステムにおいて、
IPTVストリームのためのデータをベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにエンコーディングして出力するIPTVヘッドエンドと、
前記IPTVヘッドエンドからIPTVストリームを受信し、予め決定された変調技法と符号化率との組合せによってIPTVストリームのエンハンスメントレイヤを部分的に切削して伝送IPTVストリームを出力する基地局と、
前記基地局から前記伝送IPTVストリームを受信する移動端末と、を含むことを特徴とするモバイルIPTVシステム。
【請求項2】
前記IPTVヘッドエンドは、H.264/AVC SVCコーティング技法によってIPTVストリームのためのデータをエンコーディングすることを特徴とする請求項1に記載のモバイルIPTVシステム。
【請求項3】
前記基地局は、
第1バッファ及び第2バッファと、
受信したIPTVチャンネルストリームのパケットをベースレイヤのためのパケットとエンハンスメントレイヤのためのパケットとに分類してベースレイヤのためのパケットを第1バッファに出力し、エンハンスメントレイヤのためのパケットを第2バッファに出力する分類器と、
前記移動端末から自身のリンク状態が提供され、前記移動端末のリンク状態に基づいて前記エンハンスメントレイヤに適用される変調技法及び符号化率の組合せを決定し、前記変調記法及び符号化率の組合せによってエンハンスメントレイヤの伝送ビット量を計算し、前記伝送ビット量にしたがって前記エンハンスメントレイヤのストリームに対してストリーム切削を行う資源管理者と、
前記資源管理者から前記ストリームの切削の行われたIPTVストリームの提供を受けると、前記変調技法及び符号化率の組合せによって前記ストリームの切削の行われたIPTVストリームを前記移動端末に伝送するスケジューラーと、を含む請求項1に記載のモバイルIPTVシステム。
【請求項4】
前記分類器は、ベースレイヤのためのパケットとエンハンスメントレイヤのためのパケットにMCID(Multicast Connection ID)を割り当てることを特徴とする請求項3に記載のモバイルIPTVシステム。
【請求項5】
前記資源管理者は、下記の数式を最大化するように前記エンハンスメントレイヤに適用される変調技法及び符号化率の組合せ、及び前記エンハンスメントレイヤの伝送ビット量を計算することを特徴とする請求項3に記載のモバイルIPTVシステム。


前記数式において、αは常数であり(0≦α≦1)、

はベースレイヤの伝送のための固定された

を示し、

は、エンハンスメントレイヤの伝送のための固定された

を示し、



はそれぞれGOP期間に上位階層から流入されたベースレイヤとエンハンスメントレイヤのビット量を示し、

は、切削の行われたエンハンスメントレイヤの伝送するビット量を示し、

は、GOP期間にビット率がRである場合に該当する、予測されたPSNR値である。また、

は、エンハンスメントレイヤを受信する使用者の数を示し、

は、ベースレイヤと切削の行われたエンハンスメントレイヤを受信する場合に該当する画像PSNR値を示す。
【請求項6】
前記移動端末のリンク状態は、CQI(Channel Quality Indicator)を通じて獲得されることを特徴とする請求項3に記載のモバイルIPTVシステム。
【請求項7】
前記エンハンスメントレイヤの伝送ビット量は、前記IPTVストリームのために割り当てられたスロットの数内でベースレイヤと切削されたエンハンスメントレイヤを伝送しなければならないというスロットの制約事項によって決定されることを特徴とする請求項3に記載のモバイルIPTVシステム。
【請求項8】
IPTVヘッドエンドと、アクセス網の基地局を含むモバイルIPTVシステムにおいて、移動端末にモバイルIPTVサービスを提供する方法において、
前記IPTVヘッドエンドでIPTVストリームのためのデータをベースレイヤとエンハンスメントレイヤとにエンコーディングして出力するステップと、
前記基地局で前記IPTVヘッドエンドからIPTVストリームを受信して予め決定された変調技法と符号化率の組合せによってIPTVストリームのエンハンスメントレイヤを部分的に切削して伝送IPTVストリームを移動端末に伝送するステップと、を含むことを特徴とするモバイルIPTVサービスの提供方法。
【請求項9】
前記IPTVストリームのためのデータは、H.264/AVC SVCコーディング技法によってベースレイヤ及びエンハンスメントレイヤにエンコーディングされることを特徴とする請求項8に記載のモバイルIPTVサービスの提供方法。
【請求項10】
前記基地局から伝送IPTVストリームを移動端末に伝送するステップは、
受信したIPTVチャンネルストリームのパケットをベースレイヤのためのパケットとエンハンスメントレイヤのためのパケットとに分類し、ベースレイヤのためのパケットを第1バッファに出力し、エンハンスメントレイヤのためのパケットを第2バッファに出力するステップと、
前記移動端末から自身のリンク状態が提供されると、前記移動端末のリンク状態に基づいて前記エンハンスメントレイヤに適用される変調技法及び符号化率の組合せを決定するステップと、
前記変調技法及び符号化率の組合せによってエンハンスメントレイヤの伝送ビット量を計算するステップと、
前記伝送ビット量によって前記エンハンスメントレイヤのストリームに対してストリーム切削を行うステップと、
前記変調技法及び符号化率の組合せによって前記ストリーム切削の行われたIPTVストリームを前記移動端末に伝送するステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載のモバイルIPTVサービスの提供方法。
【請求項11】
前記ベースレイヤのためのパケットとエンハンスメントレイヤのためのパケットにMCID(Multicast Connection ID)を割り当てるステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載のモバイルIPTVサービスの提供方法。
【請求項12】
前記エンハンスメントレイヤの伝送ビット量、及び前記エンハンスメントレイヤに適用される変調技法及び符号化率の組合せは、下記の数式を最大化するように計算されることを特徴とする請求項10に記載のモバイルIPTVサービスの提供方法。

前記数式において、αは常数であり(0≦α≦1)、

はベースレイヤの伝送のための固定された

を示し、

は、エンハンスメントレイヤの伝送のための固定された

を示し、



はそれぞれGOP期間に上位階層から流入されたベースレイヤとエンハンスメントレイヤのビット量を示し、

は、切削の行われたエンハンスメントレイヤの伝送するビット量を示し、

は、GOP期間にビット率がRである場合に該当する、予測されたPSNR値である。また、

は、エンハンスメントレイヤを受信する使用者の数を示し、

は、ベースレイヤと切削の行われたエンハンスメントレイヤを受信する場合に該当する画像PSNR値を示す。
【請求項13】
前記移動端末のリンク状態は、CQI(Channel Quality Indicator)を通じて獲得されることを特徴とする請求項10に記載のモバイルIPTVサービスの提供方法。
【請求項14】
前記エンハンスメントレイヤの伝送ビット量は、前記IPTVストリームのために割り当てられたスロットの数内においてベースレイヤと切削されたエンハンスメントレイヤを伝送しなければならないというスロット制約事項によって決定されることを特徴とする請求項8に記載のモバイルIPTVサービスの提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−35889(P2011−35889A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197250(P2009−197250)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(509242794)ポステック アカデミー‐インダストリー ファウンデーション (9)
【Fターム(参考)】