説明

モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量の予測方法

【課題】簡便な操作により高い精度で膨張剤を含むモルタルやコンクリートの乾燥収縮量を予測する方法の提供。
【解決手段】膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量を予測する方法であって、水中材齢7日のセメント硬化体について、セメントの水和反応に伴って生成されるエトリンガイトの量から前記膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を推定することを特徴とする、膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量の予測方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張材を含むモルタル又はコンクリートの乾燥収縮量を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートやモルタル造建築物の収縮ひび割れ制御設計において、乾燥収縮を予測することは重要である。モルタルやコンクリートには、その乾燥収縮やひび割れを低減する目的で膨張材が添加されることが多いことから、特に膨張材を含むモルタルやコンクリート(「膨張モルタル」、「膨張コンクリート」と称する)等の乾燥収縮の予測が必要とされる。
【0003】
従来、このモルタルやコンクリートの乾燥収縮の把握は、モルタルやコンクリートの供試体を所定条件下で養生し、そのときに生じる乾燥収縮から、後の乾燥収縮を予測することが行われている。しかしながら、当該乾燥収縮量はセメントの種類やロット、膨張材のロットなどにより変化するものであり、特に練混ぜ温度や養生温度には極めて大きく左右され、予測することは難しい。従って、予測精度を向上させるためには、供用条件にあった恒温恒湿の試験室でモルタルやコンクリートを練混ぜ、膨張材を数水準混合して実際の収縮量を測定し、例えば6ヵ月後まで養生して供用配合を決定されているのが実情であり、工期が長期化する要因となっていた。
【0004】
このため、短期間で得た乾燥収縮のデータに所定の演算を施すことにより、長期材齢での乾燥収縮量を予測する方法が提案されている。例えば、コンクリートの乾燥収縮に影響を与えると考えられている使用材料、調合条件の要因をパラメータとして加味した推定式を提示し、その推定式によって短期材齢から所要の材齢(乾燥期間)におけるコンクリートの乾燥収縮率を求める方法(特許文献1)が開示されている。
しかしながら、この方法では、乾燥収縮を行う温度の影響が不明確であり、論理的ではあるが、実際の収縮量の予測は出来にくいという問題がある。
【0005】
一方、膨張モルタルやコンクリートの乾燥収縮量は、膨張材を加えていないモルタルやコンクリートの例えば6ヶ月後の乾燥収縮量から、膨張材を配合したモルタルやコンクリートの7日水中材齢の膨張量を減じた量により把握できることから、最近では、膨張材無添加の収縮量を把握しておき、そこに膨張材を添加した水中材齢7日間の膨張量を相殺することで、6ヵ月後の収縮量を予測するという考え方もある。
【0006】
しかし、この場合においても、実際にコンクリートやモルタルを混練しなければならず、作業や費用、大型の装置や環境条件を実現する試験室が必要となり、それにかかる労力は計り知れないものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−8753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡便な操作により高い精度で膨張材を含むモルタルやコンクリートの乾燥収縮量を予測する方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、膨張材を含むモルタルやコンクリートにおいては、セメントの水和に伴って生成するエトリンガイト量が、膨張モルタルやコンクリートの水中材齢7日の膨張量と良好に相関し、当該エトリンガイト量を指標として、膨張モルタルやコンクリートの膨張量を把握でき、ひいては乾燥収縮量を正確に予測できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0010】
1)膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量を予測する方法であって、水中材齢7日のセメント硬化体について、セメントの水和反応に伴って生成されるエトリンガイトの量から前記膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を推定することを特徴とする、膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量の予測方法。
2)膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量の推定が、以下の工程(1)〜(3)により行われる上記1)の方法。
(1)予測対象の膨張モルタル又はコンクリートの配合から骨材を除いたセメントペーストを作製し、水中養生する工程。
(2)前記工程(1)で得られる水中材齢7日のセメント硬化体を凍結乾燥し、粉砕する工程。
(3)前記工程(2)で得られた粉砕物中のエトリンガイト量を測定する工程。
3)膨張材無添加のモルタル又はコンクリートの乾燥収縮量から、膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を相殺することにより当該膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量を算出する、上記1)又は2)の方法。
4)水中材齢7日のセメント硬化体について、セメントの水和反応に伴って生成されるエトリンガイト量を測定することを特徴とする膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量の推定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乾燥収縮量の予測方法は、セメントの水和反応に伴って生成するエトリンガイト量を指標とすることから、骨材を含まない少量のセメントペーストを供試体とすることができ、モルタルやコンクリートを調製して混練する必要がないことから、廃棄物が少なく、簡便な操作により高い精度で、セメントモルタルやコンクリートの乾燥収縮量を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)エトリンガイトの積分強度と膨張モルタルの膨張量の関係を示したグラフ。(B)膨張材添加量と膨張モルタルの膨張量の関係を示したグラフ。
【図2】膨張材添加又は無添加のコンクリートにおける乾燥収縮量と膨張量を示したグラフ。
【図3】エトリンガイトの積分強度と膨張モルタルの膨張量の関係における温度の影響を示したグラフ。
【図4】エトリンガイトの積分強度と膨張モルタルの膨張量の関係におけるセメント種の影響を示したグラフ。NC=普通セメント、HC=早強セメント、LC=低熱セメント、MC=中庸熱セメント、BB=高炉スラグセメント。
【図5】(A)エトリンガイトの積分強度と膨張コンクリートの膨張量の関係を示したグラフ。(B)膨張材添加量と膨張コンクリートの膨張量の関係を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量の予測方法は、水中材齢7日のセメント硬化体について、セメントの水和反応に伴って生成されたエトリンガイトの量から前記膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を推定することにより行われる。
本発明において、膨張モルタル又はコンクリートとは、膨張材が混和されたモルタル又はコンクリートを意味する。ここで、膨張材としては、セメント水和時においてSO42-及びH2Oと反応してエトリンガイトを生成するものが挙げられ、例えば、CaO−Al23−Fe23系化合物のカルシウムアルミノフェライト系膨張材や、CaO−Al23−SO3系化合物のカルシウムサルフォアルミネート系(CSA系)、等が挙げられる。
ここで、エトリンガイトとは、SO42-及びH2Oが存在するセメントの水和反応において、膨張材由来のアルミン酸三カルシウムとSO42-及びH2Oまたはカルシウムサルフォアルミネート(別名アウイン:3CaO・3Al23・3CaSO4)が反応して生成される水和物で化学式3CaO・Al23・3CaSO4・32H2Oで表される針状の水和物である。
【0014】
当該エトリンガイトを測定するための供試体及び測定手段は、セメントの水和に伴って生成するエトリンガイトを正確に測定できるものであれば特に限定されるものではないが、供試体としては、予測対象の膨張モルタル又はコンクリートから骨材を除いて配合計算し、調製されたセメントペーストを用いるのが作業効率の点から好ましく、エトリンガイトの測定は、粉末X線回折による積分強度により行うのが好ましい。
以下に、本発明において採用される膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を推定する方法について、工程ごとに具体的に説明する。
【0015】
〔工程1〕
予測対象の膨張モルタル又はコンクリートの配合から骨材を除いたセメントペーストを作製し、これを水中養生する工程。
セメントペーストは、予測対象、すなわち乾燥収縮量を予測したい膨張モルタル又はコンクリートの配合から骨材を除いたペースト配合を計算し、作製される。
ここで、用いるセメントは、生成されるエトリンガイトが測定できる量であればよく、例えば10〜20g程度あればよい。
水中養生の条件は、予測対象となる膨張モルタル又はコンクリートに合致する条件で行うのが好ましい。
【0016】
〔工程2〕
工程1で得られた材齢7日のセメント硬化体を凍結乾燥した後、粉砕する工程。
凍結乾燥の条件は限定されないが、例えばマイナス30℃、真空度5〜10Pa、乾燥温度マイナス20℃の条件下で、凍結真空乾燥するのが好ましい。
【0017】
〔工程3〕
工程2で得られた粉砕物中のエトリンガイト量を測定する工程。
エトリンガイト量の測定は、特に限定されないが、粉末X線回折を用いその積分強度を求めるのが好ましい。
粉末X線回折は、慣用の粉末X線回折装置を使用して、慣用の方法により行うことができる。例えば、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、2θ(回折角)=9°付近に存在するピークの積分強度を求めることにより行われる。
【0018】
図1に膨張モルタルをモデルとして作製されたセメントペーストの、水中材齢7日のセメント硬化体に含まれるエトリンガイトの粉末X線回折による積分強度を示す。これより、水中材齢7日のセメント硬化体中のエトリンガイト量は、JIS A 6202附属書1に準拠して測定された膨張モルタルの水中材齢7日の膨張量との間に非常に良い相関性を示す(図1A)。また、この相関性は養生温度、セメントの種類が異なっても同様に認められる(図3、図4)。更にこの相関は、コンクリートをモデルとした場合でも同様である(図5A)。一方、膨張量と膨張材添加量との間には相関は認められない(図1B、図5B)。
従って、セメントの水和反応に伴って生成するエトリンガイト量は、膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を把握するための指標となり得る。
すなわち、試供体を7日間水中養生した場合に生成するエトリンガイトの積分強度を測定することにより、試供体に対応する膨張モルタル又はコンクリートの同一条件下での膨張量の推定が可能となる。斯様に、本発明の方法は、セメントの水和反応に伴って生成するエトリンガイトが測定できれば足りることから、供試体は骨材を除いて作製されるセメントペーストであればよく、セメントは数十グラムあれば十分であり、測定作業が極めて簡便に行うことができる。
【0019】
他方、膨張コンクリートは、JIS A 6202B法に従って7日間水中養生して膨張させ、その後、6ヶ月間気中で乾燥させると、図2(出典:太平洋マテリアル社 低添加型コンクリート用膨張材 太平洋ハイパーエクスパン 技術資料)に示すように、水中養生では膨張し、気中養生では収縮している。膨張材無添加では約400μ収縮している(図2、○:プレーンコンクリート)。一方、膨張材を入れたコンクリートは水中材齢7日で約220μ膨張している(図2、●:ハイパーエクスパン、▲:ハイパーエクスパンM、◆:エクスパン)。この量は6ヵ月後の収縮量180μとの合計が、無添加の収縮量と同じである。すなわち、無添加の収縮量がわかっていれば、水中材齢7日の膨張量がわかると、膨張材添加量に即した6ヶ月後の収縮量を予測することができる。
【0020】
そうすると、上記のように供試体であるセメントペースト中のエトリンガイトの積分強度を測定し、モデルとなる膨張モルタル又はコンクリートの同一条件下での膨張量が推定できれば、モルタル又はコンクリートの収縮量を予測することができる。
これは、実際にモルタル又はコンクリートを練って測定するよりも遥かに簡便であり、廃棄物も少なくできる。
【0021】
本発明の膨張モルタル又はコンクリートの乾燥圧縮量の予測に当たっては、(a)膨張材無添加の各種条件下でのモルタル又はコンクリートの乾燥収縮量のデータ、(b)膨張材を添加した場合のモルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量、(c)膨張材添加セメントペーストの水中材齢7日の硬化体中のエトリンガイト量と、(b)の膨張量との関係近似式(2次関数近似)について、予めデータベースとして準備する必要がある。
【0022】
(a)膨張材無添加のセメントモルタル及びコンクリートの乾燥収縮量のデータ
膨張材無添加のモルタル又はコンクリートそれぞれについて、水セメント比、温度、セメントの種類等を変えた場合の乾燥収縮量(6ケ月〜1年を目処)について、データを収集する。
例えば、水セメント比は概ね30%〜60%、温度は5℃、20℃、30℃、セメントの種類は普通、早強、低熱、中庸熱ポルトランドセメントやスラグ、フライアッシュなどが混入した混合セメント等について、乾燥収縮量の測定データを収集する。
乾燥収縮量の測定は、例えば、コンクリートについては、JIS A 6202の付属書B法、モルタルについては、JIS A 6202付属書1又はJIS A 1129の記載に準じて行われたものを採用すれば良い。
【0023】
(b)膨張セメントモルタル又はコンクリートにおける水中材齢7日の膨張量
(a)に対応した各種条件において、膨張材量を2ないし3水準として配合したセメントモルタル及びコンクリートを作製し、水中材齢7日の膨張量の測定データを収集する。
測定方法については、上記(a)と同様の方法を採用すれば良い。
【0024】
(c)膨張材添加セメントペーストの水中材齢7日のエトリンガイト量と膨張セメントモルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量との関係近似式(2次関数近似)
(a)に対応した各種条件について、上記工程3で示したように、骨材を除いたセメントペーストを作製し、水中材齢7日のセメント硬化体を凍結乾燥後、粉砕し、粉末X線回折(例えば9°付近(CuKa、2θ))のエトリンガイトの積分強度を求め、(b)の膨張セメントモルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量との関係を求める。
【実施例】
【0025】
実施例1
CSA系膨張材(「デンカCSA」(電気化学工業))と普通ポルトランドセメント、水、ISO標準砂を水セメント比56%で下記表1の配合に従い練り混ぜ、温度20℃で水中養生した。JIS A 6202附属書1に従って、材齢7日の膨張モルタルの膨張量を測定した。
【0026】
【表1】

【0027】
別途、この配合において砂を除いたセメントペーストを作製し、上記と同条件で養生した。材齢7日のセメント硬化体を真空凍結乾燥(凍結温度マイナス30℃、乾燥温度マイナス20℃、真空度10Pa)し、粉砕した後、粉末X線回折(リガク社 自動X線回折装置 RINT 2500)により2θ=9°付近のエトリンガイトの積分強度を測定した。結果を図1に示す。
図1Aに示すように、曲線は2次式で近似でき、相関係数は0.97であった。すなわち、エトリンガイトの積分強度は、膨張モルタルの膨張量との間に非常に良い相関性を示した。一方、エトリンガイトと膨張材添加量との関係には相関は認められない(図1B)。
【0028】
実施例2
CSA系膨張材(「デンカCSA」(電気化学工業))と普通ポルトランドセメント、水、ISO標準砂を水セメント比56%で下記表2の配合に従い練り混ぜ、35℃、20℃及び5℃で水中養生した。JIS A 6202附属書1に従って、材齢7日の膨張モルタルの膨張量を測定した。
【0029】
【表2】

【0030】
別途、この配合において砂を除いたセメントペーストを作製し、上記と同条件で養生した。実施例1と同様に、材齢7日のセメント硬化体を真空凍結乾燥し、粉砕した後、粉末X線回折により2θ=9°付近のエトリンガイトの積分強度を測定した。
その結果、図3に示すような曲線が得られ、各曲線は2次式で近似でき、相関係数は0.97であった。
【0031】
実施例3
セメント種を、NC=普通セメント、HC=早強セメント、LC=低熱セメント、MC=中庸熱セメントとし、実施例2と同様に、材齢7日の膨張モルタルの膨張量及びそれに対応するセメント硬化体のエトリンガイトの積分強度を測定した。その結果、図4に示すような曲線が得られ、各曲線は2次式で近似でき、相関係数は0.98であった。
【0032】
実施例4
CSA系膨張材(「デンカCSA」(電気化学工業))と普通ポルトランドセメント、水、ISO標準砂を水セメント比54%で下記表3の配合に従い練り混ぜ、温度20℃で水中養生した。JIS A 6202附属書1に従って、材齢7日の膨張コンクリートの膨張量を測定した。
【0033】
【表3】

【0034】
別途、この配合において骨材を除いたセメントペーストを作製し、上記と同条件で養生した。実施例1と同様に、材齢7日のセメント硬化体を真空凍結乾燥し、粉砕した後、粉末X線回折により2θ=9°付近のエトリンガイトの積分強度を測定した。結果を図5Aに示す。
その結果、エトリンガイトの積分強度は、膨張コンクリートの膨張量との間に非常に良い相関性を示し、相関係数は0.99であった。一方、コンクリートの膨張量と膨張材添加量との関係には相関は認められない(図5B)。
【0035】
実施例5 膨張コンクリートの乾燥収縮量の予測
乾燥収縮量を予測したいコンクリートの配合は表4に示す。
【表4】

【0036】
予め用意した、膨張材無添加のコンクリートの20℃における乾燥収縮量のデータ(前記データベース(a))より、上記の配合(セメント量370kg/m3)及び温度条件等が合致するデータを抽出し、膨張材無添加の場合の6ヵ月後の乾燥収縮量(670μ)を求めた。
【0037】
次に、このコンクリート配合から砂、骨材を除いたペースト配合を表5に示す。
【0038】
【表5】

【0039】
このペーストを練混ぜ、20℃で水中養生し、材齢7日のセメント硬化体を真空凍結乾燥し、粉砕した後、粉末X線回折を行い、9°付近(CuKa、2θ)のエトリンガイトの積分強度を測定したところ、125(cps・deg)であった。
これを、予め用意した、膨張材添加セメントペーストの水中材齢7日のエトリンガイト量と膨張コンクリートの膨張量との関係近似式(前記データベース(c))に当てはめ、膨張量(160μ)を求めた。
これより、所望の膨張コンクリートの6ヵ月後の乾燥収縮量は、670(膨張材無添加の場合の6ヵ月後の乾燥収縮量)−160=510μと予測することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量を予測する方法であって、水中材齢7日のセメント硬化体について、セメントの水和反応に伴って生成されたエトリンガイトの量から前記膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を推定することを特徴とする、膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量の予測方法。
【請求項2】
膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量の推定が、以下の工程(1)〜(3)により行われる請求項1記載の方法。
(1)予測対象の膨張モルタル又はコンクリートの配合から骨材を除いたセメントペーストを作製し、水中養生する工程。
(2)前記工程(1)で得られる水中材齢7日のセメント硬化体を凍結乾燥し、粉砕する工程。
(3)前記工程(2)で得られた粉砕物中のエトリンガイト量を測定する工程。
【請求項3】
膨張材無添加のモルタル又はコンクリートの乾燥収縮量から、膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量を相殺することにより当該膨張モルタル又はコンクリートの乾燥収縮量を算出する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
水中材齢7日のセメント硬化体について、セメントの水和反応に伴って生成されるエトリンガイト量を測定することを特徴とする膨張モルタル又はコンクリートの水中材齢7日の膨張量の推定方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−195368(P2011−195368A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63102(P2010−63102)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】