説明

モータ制御装置およびモータ制御方法

【課題】動作中の進行方向に対する振動や偏差を抑えることにより、整定時間を短くすることが可能なモータ制御装置およびモータ制御方法を提供することにある。また、本発明により、理想的な軌跡でモータを動作させることができ、さらに、現在の位置を常にモニタリングすることができるため、複数の軸を同期させて動作させることが容易となる。
【解決手段】進行方向に対する振動に大きく影響する加加速度データからの指令波形を生成する手段と、偏差量に応じて、常に加加速度制限しながら今後の指令波形を再生成するリアルタイム実位置制御を行う手段とを備え、これにより高速でモータが動作する際の進行方向に対する振動や偏差を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械や産業機械において被駆動体であるワークを移動するために用いられるサーボモータを駆動する制御装置に係り、特に、ダイボンダ等の半導体製造装置のモータ制御装置およびモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図1に示すように、従来のサーボモータの制御装置100は、モーションコントローラからみるとオープンループ制御となっており、現在の指令位置と、モータ130から得られる実位置および実速度を使用して、サーボパック120(速度ループ制御部121および位置ループ制御部122)でのみ位置と速度の補償を行っている。即ち、目標位置速度が制御装置100に与えられると、指令速度波形部110の出力波形111に応じて、指令パルス列生成部112は位置指令値を指令パルス列として順番にサーボパック120に出力する。サーボパック120は、入力された位置指令値に応答して、位置ループ制御部121および速度ループ制御部122がモータ130に制御信号を出力する。即ち、制御信号に応じてモータ130が回転し、回転に応じて、実位置および実速度が位置ループ制御部121および速度ループ制御部122に帰還して、帰還制御が行われる。
上述の従来技術では、高速でモータを動作させる場合に、サーボパック120内では今後の指令波形を把握することができない。このため、進行方向に対する振動や整定時間を容易に抑えることが困難であった。また、溜まりパルス(または、位置偏差パルス、または、エラーパルス)方式でのモータ制御となるため、同期制御等を行う際に理想的な軌跡で動作させることが困難であった。
【0003】
しかし、従来から、サーボモータ制御においては、ワークやワークを支持するユニットに機械的衝撃を与えないように滑らかに加減速して、ワークを移動する必要がある。特許文献1には、目標位置、目標速度および加減速時間の指令値に基づき速度指令値を実時間で演算しながら速度および位置の制御を行うサーボモータにおいて、加減速時間を加速度の増加・一定・減少の3区間域に分け、各区間で一定になるように速度指令値を実時間で演算しつつ加減速するサーボモータの加減速制御方法が記載されている。また、特許文献2には、サーボモータに繰り返し周期的な位置指令を与えるコンピュータ数値制御装置から位置指令を受け、かつ位置検出器から被駆動体の位置を示す信号を受け、位置指令と被駆動体の位置との第1位置偏差を取得する手段から第1補正データを求め、第1位置偏差と第1補正データに基づき被駆動体を位置制御するサーボモータ駆動制御装置が記載されている。また、特許文献3には、指令周期毎に指定加速度に従って、位置指令の今回値と前回値の差である位置指令差分速度が前記指定速度に到達するまで加速する前記位置指令を作成する過程で、これ以上、位置指令差分速度を加速させると減速度で指定位置に減速停止できない場合は、減速度で指令位置に減速停止する位置指令差分速度となるように位置指令を作成し、さらに位置指令差分速度と位置決め時間の関係から形成される速度パターンの頂点における加加速度がプログラムにより予め与えられた加加速度制限値より大きくなる場合は、加加速度が加加速度制限値以下となるように位置指令を作成する位置指令作成方法および位置指令作成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−36977号公報
【特許文献2】特開2007−316702号公報
【特許文献3】特開2009−187521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、高速でモータを動作させる場合に、サーボパック120内では今後の指令波形を把握することができない。このため、被駆動体の進行方向に対する振動や整定時間を容易に抑えることが困難であった。また、溜まりパルス方式でのモータ制御となるため、同期制御等を行う際に理想的な軌跡で動作させることが困難であった。
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、動作中の進行方向に対する振動や偏差を抑えることにより、整定時間を短くすることが可能なモータ制御装置およびモータ制御方法を提供することある。
また、本発明により、理想的な軌跡でモータを動作させることができ、さらに、現在の位置を常にモニタリングすることができるため、複数の軸を同期させて動作させることが容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法は、進行方向に対する振動に大きく影響する加加速度データからの指令波形を生成する手段と、偏差量に応じて、常に加加速度制限しながら今後の指令波形を再生成するリアルタイム実位置制御を行う手段とを備え、これにより高速でモータが動作する際の進行方向に対する振動や偏差を抑え、整定時間短縮を実現する。
【0007】
即ち、本発明のモータ制御装置は、被駆動体をサーボモータで駆動して制御するモータ制御装置であって、加加速度、加速度、速度、および位置の理想的な指令波形を生成する理想波形生成部と、前記理想的な波形を読み出し、目標指令位置、並びに、加加速度、加速度、速度、および位置の指令波形を再生成し、再生成された速度の指令波形を出力する指令波形生成部と、前記再生成された速度の指令波形をアナログデータに変換するDACと、前記アナログデータの制御に応じて駆動し実位置をエンコーダ信号として出力するサーボモータと、を有し、前記指令波形生成部は、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置とに基づいて加加速度加算波形を生成し、生成された前記加加速度加算波形を、前記前回の指令加加速度波形に加算して、加加速度指令波形を再生成し、さらに指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形を再生成する指令波形再生成処理部、および前記生成された理想的な指令波形と、前記再生成加加速度指令波形、指令加速度波形、指令速度波形および指令位置波形とを保存する前回指令波形入出力部、とを備えたものである。
また好ましくは、上記本発明のモータ制御装置において、前記指令波形再生成処理部は、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置との差である偏差量から前記加加速度加算波形を生成する加加速度加算波形生成部を有するものである。
さらに好ましくは、上記本発明のモータ制御装置において、前記指令波形再生成処理部は、さらに、加加速度制限部を有し、前記再生成された指令加加速度波形が、所定の加加速度上限値超または加加速度下限値未満の場合にNG情報を前記指令波形入出力部に出力し、前記指令波形入出力部は、前記NG情報が入力された場合には、前記前回のタイミングで再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を復元し、復元された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を、再生成した指令加加速度波形、指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形とし、再生成された前記指令速度波形を前記DACに出力するものである。
さらに、好ましくは、上記発明のモータ制御装置において、前記指令波形再生成処理部は、さらに、前記再生成された指令加加速度波形が、所定の加加速度上限値超または加加速度下限値未満の場合にNG情報を出力する加加速度制限部と、前記NG情報が入力された場合には、前記前回のタイミングで再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を復元し前記指令波形入出力部に出力する指令波形復元部を有し、前記指令波形入出力部は、復元された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を、再生成した指令加加速度波形、指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形とし、再生成された前記指令速度波形を前記DACに出力するものである。
またさらに好ましくは、上記本発明のモータ制御装置において、前記指令波形生成部は、再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を前回のタイミングで再生成された指令波形として保存するものである。
【0008】
また即ち、本発明のモータ制御方法は、被駆動体をサーボモータで駆動して制御するモータ制御装置のモータ制御方法であって、加加速度、加速度、速度、および位置の理想的な指令波形を生成し、前記理想的な波形を読み出し、目標指令位置、並びに、加加速度、加速度、速度、および位置の指令波形を再生成し、再生成された速度の指令波形をアナログデータとして出力し、前記アナログデータの制御に応じて前記サーボモータを駆動し、実位置をエンコーダ信号として出力し、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置とに基づいて加加速度加算波形を生成し、生成された前記加加速度加算波形を、前記指令波形生成部が前回のタイミングで再生成した指令加加速度波形に加算して、加加速度指令波形を再生成し、さらに指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形を再生成するものである。
また好ましくは、上記本発明のモータ制御方法において、前記加加速度加算波形は、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置との差である偏差量から生成するものである。
さらに好ましくは、上記本発明のモータ制御方法において、前記再生成された指令加加速度波形が、所定の加加速度上限値超または加加速度下限値未満の場合にNG情報を出力し、前記NG情報が入力された場合には、前記前回のタイミングで再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を復元し、復元された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を、再生成された指令加加速度波形、指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形とし、再生成された前記指令速度波形をアナログデータとして出力し、前記アナログデータの制御に応じて前記サーボモータを駆動するものである。
またさらに好ましくは、上記本発明のモータ制御方法において、前記再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を前回のタイミングで再生成された指令波形として保存するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高速でモータが動作する際の進行方向に対する振動や偏差を抑え、整定時間短縮を実現することができる。また、理想的な軌跡でモータを動作させることができ、さらに、現在の位置を常にモニタリングすることができるため、複数の軸を同期させて動作させることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の制御装置の一実施例の基本的な原理を説明するためのブロック構成図である。
【図3】本発明のモータ制御装置のモーションコントローラにおける理想波形生成部で生成される理想的な指令波形の一実施例を説明するための図である。
【図4A】本発明のモータ制御装置の一実施例の加加速度加算波形を説明するための図である。
【図4B】本発明のモータ制御装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図4C】本発明のモータ制御装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明を実施した場合における偏差量が1パルス、2パルス、4パルス、8パルス、および16パルスの場合それぞれの、補償用に加算される加加速度波形、加速度波形、および速度波形を示す図である。
【図6】本発明のモータ制御方法の動作の一実施例の手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法の一実施例における加加速度上限下限確認処理動作を説明するための図である。
【図8】本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法における補償用の加加速度波形算出後の再生成された指令波形の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本発明の制御装置の一実施例の基本的な原理を説明するためのブロック構成図である。200は制御装置、210はモーションコントローラ、211は理想的な指令波形の生成処理を行う理想波形生成部、212は指令波形生成部、213はDAC(Digital to Analog Converter)、220はサーボパック、221は速度ループ制御部、130はサーボモータである。図1と同じ機器には同じ参照番号を付し、説明を省略した。
図2に示すように、本発明の制御装置200は、モーションコントローラ210とサーボパック220とがクローズドループ制御となっている。従って、現在の指令位置と、モータ130から得られる実位置および実速度を使用して、サーボパック220の速度ループ制御部221で速度制御を行う。ただし、速度ループ制御部221は、その速度制御を、モーションコントローラ210がモータ130からの実速度および実位置を得て加加速度制限しながら、指令波形を再生成することによって行っている。なお、指令波形生成部212は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
【0012】
例えば、図2において、目標位置速度が制御装置200に与えられる。そして、指令波形生成部212には、サーボパック220を介して若しくはモータ130から直接、実位置および実速度がエンコーダ信号として逐次入力する。
モーションコントローラ210の理想波形生成部211は、出力信号の指令波形として、(a)加加速度波形、(b)加速度波形、(c)速度波形、(d)位置波形をそれぞれ、指令波形生成部212に出力する。
指令波形生成部212は、理想波形生成部211から出力される出力信号波形と、モータ130から入力されるエンコーダ信号に応じて、加加速度制限しながら、今後の指令波形を再生成して、DAC213に逐次出力する。例えば、指令波形生成部212は、(1)指令波形入出力処理、(2)エンコーダ信号カウント処理、および(3)指令波形再生処理を行う。
DAC213は、入力されたデジタルの指令値をアナログ信号の速度指令値に変換して、サーボパック220の速度ループ制御部221に出力する。なお、エンコーダ信号は、エンコーダシグナルカウンタ(後述の図4B等)にて位置偏差量をパルスとして蓄積する。
【0013】
サーボパック220の速度ループ制御部221は、モーションコントローラ210から入力される速度指令値と、モータ130から入力されるエンコーダ信号に応じて、モータ130の回転速度を制御する。
モータ130は、サーボパック220の速度ループ制御部221から入力される回転速度の制御に応じた回転速度で回転し、実位置および実速度をエンコーダ信号としてサーボパック220の速度ループ制御部221とモーションコントローラ210の指令波形生成部212に出力する。
なお、図2の実施例では、モータ130のカウント値(回転回数および回転角度)から被駆動体の実位置を算出し、算出された実位置をもとに実速度を算出している。しかし、被駆動体の位置を直接検出する位置検出装置を備え、当該位置検出装置が検出した位置を実位置とするようにしても良い。
【0014】
次に、本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法の一実施例をさらに説明する。
まず後述の図3に示すように、目標の加加速度JD、加速度AD、速度VD、および位置PDから、理想的な指令波形を生成する。
次に、図4Bの制御ブロック図の処理で示すように、指令出力処理および指令波形再生成処理を行う。このとき、理想的な指令波形(例えば、理想的な加加速度波形)に、偏差量を加味した加加速度加算波形を加算するようにして、指令波形再生成処理が行われる。
【0015】
図3は、本発明のモータ制御装置のモーションコントローラにおける理想波形生成部で生成される指令波形の一実施例を説明するための図である。図3(a)は指令加加速度波形、図3(b)は指令加加速度波形から生成される指令加速度波形、図3(c)は指令加速度波形から生成される指令速度波形、図3(d)は指令加速度波形から生成される指令位置である。指令位置とは、被駆動体の移動先の位置である。なお、横軸は時間である。また、図3(a)〜図3(d)において、Jobjは目標加加速度、Aobjは目標加速度、Vobjは目標速度、Pobjは目標位置である。
図3(a)において、nは1パルスの指令波形を出力する指令出力周期の回数であり、8の倍数である。図3に示すように、被移動体を駆動するモータは、移動開始から最初の期間T1では徐々に加速され、中央部の期間T2では定速度(期間T2)で、最終移動位置に近付く期間T3では徐々に減速して停止するように加加速度制御される。
本実施例では、8の倍数であるとしたが、目標位置が正方向の場合に加加速度指令値が正値、負値、負値、正値と変化する波形、もしくは目標位置が正方向の場合に加加速度指令値が正値、負値、正値と変化する波形とすることもできる。
これは目標移動距離が短い場合に、加加速度指令値0の区間が無くなるからである。
【0016】
まず図4Bでは、あらかじめ生成されている理想的な指令波形(加加速度JD、加速度AD、速度VD、および位置PD)を読み出す。図4Bは、本発明のモータ制御装置の一実施例の構成を示すブロック図で、本発明のモータ制御装置のモーションコントローラで生成される指令波形の一実施例を説明するための図である。また、図4Aは、本発明のモータ制御装置の一実施例の加加速度加算波形を説明するための図である。
図4Aにおいて、Kはパルス幅、JCはパルス高さ、xはパルス番号(1≦x≦n、xおよびnは自然数)である。
【0017】
次に、図4Bにおいて、モーションコントローラ210の理想波形生成部211は、理想加加速度波形JD、理想加速度波形AD、理想速度波形VD、および理想位置波形PDのパルスを、それぞれ理想的な指令波形として、指令波形生成部212の指令波形入出力部410に出力する。
なお、指令波形入出力部410は、前回の指令出力タイミングで再生成した指令加加速度波形JD’1〜JD’nと、前回の指令出力タイミングで再生成された指令波形の中で指令出力周期1回分手前からの指令加速度波形AD’0〜AD’n、指令速度波形VD’0〜VD’n、および指令位置波形PD’0〜PD’nを保存している。指令波形入出力部410は、指令波形生成部212の指令波形再生成処理部420の減算器421並びに加算器423、424、425および426に、目標指令位置PD’0並びにそれぞれ前回のタイミングで再生成した指令加加速度波形JD’1〜JD’n、指令出力周期1回分手前からの指令加速度波形AD’0〜AD’n−1、指令出力周期1回分手前からの指令速度波形VD’0〜VD’n−1、および指令出力周期1回分手前からの指令位置波形PD’0〜PD’n−1を出力する。
この時、指令波形生成部212のエンコーダシグナルカウンタ430は、モータ130のエンコーダカウント値から現在の実位置PA0を取得し、減算器421に出力する。
【0018】
減算器421は、現在の目標指令位置PD’0から現在の実位置PA0を減じて偏差量Perrを算出し、加加速度加算波形生成部422に出力する。
加加速度加算波形生成部422は、指令出力周期n回で偏差量Perrが将来的に“0”になるような加加速度波形C1〜Cnを生成する。
例えば、加加速度波形C1〜Cnは、次のような手順(1)〜(3)で生成する。なお、以下において、位置偏差目標補償量をP(PerrをPとしてそのまま使用する)、指令出力周期をTC、偏差量補償目標時間をTN、偏差量補償目標指令出力周期をn回、加加速度波形の幅をK、加加速度加算波形の大きさをJCとして説明する。
【0019】
{手順(1)}
まず、以下のように、加加速度波形の幅Kを算出する。
TN>(TC×n)から、加加速度加算波形の形状を固定するため、nは8の倍数とする。
即ち、TN>(TC×8×K)とし、加加速度波形の幅Kは、
K<(TN/(TC×8))とする。
【0020】
{手順(2)}
次に、以下の式から、加加速度加算波形の大きさJCを算出する。
JC=(1/8)×(P/K×TC
【0021】
{手順(3)}
次に、加加速度加算波形C1〜Cnを生成する。
偏差量を補償するための加加速度加算波形C1〜Cnは、下記のようになる。なお、ここで、xは、1〜nのx番目の波形を意味する。
x/K≦1の時、Cx=JC
x/K≦2の時、Cx=0
x/K≦3の時、Cx=−JC
x/K≦4の時、Cx=0
x/K≦5の時、Cx=−JC
x/K≦6の時、Cx=0
x/K≦7の時、Cx=JC
x/K≦8の時、Cx=0
【0022】
例えば、K=1の場合には、加加速度加算波形C1〜Cnは、以下のようになる。
C1〜Cn={JC,0,−JC,0,−JC,0,JC,0}
即ち、C1=JC、C2=0、C3=−JC、C4=0、C5=−JC、C6=0.C7=JC、C)=0である。
【0023】
図5に、偏差量Pを補償するための加加速度加算波形の実施例を示す。
図5は、本発明を実施した場合における偏差量が1パルス、2パルス、4パルス、8パルス、および16パルスの場合それぞれの、補償用に加算される加加速度波形、加速度波形、および速度波形を示す図である。図5に示すように、偏差量が大きければ大きいほど、加加速度波形の高さJCが大きくなる。
【0024】
次に、図4Bにおいて、加加速度加算波形生成部422は、加加速度加算波形C1〜Cnを加算器423に出力する。加算器423は、加加速度加算波形C1〜Cnと前回のタイミングで生成した指令加加速度波形JD’1〜JD’nとを加算して、指令出力周期n回分の全ての指令加加速度波形JD’’1〜JD’’nを再生成し、加加速度制限部427と加算器424に出力する。
例えば、加算器423の出力は、JD’’1=JD’1+C1、JD’’2=JD’2+C2、JD’’3=JD'3+C3、〜、JD’’n=JD’n+Cnとなる。

加算器424は、再生成された指令加加速度波形JD’’1〜JD’’nと前回のタイミングで生成した指令出力周期1回分手前からの指令加速度波形AD’0〜AD’n−1とを加算して、指令出力周期n回分の全ての指令加速度波形AD’’1〜AD’’nを再生成し、加算器425および加加速度制限部427に出力する。
例えば、加算器424の出力は、AD’’1=AD’0+JD’’1、AD’’2=AD’1+JD’’2、AD’’3=AD’2+JD’’3、〜、AD’’n=AD’(n−1)+JD’’nとなる。
加算器425は、再生成された指令加速度波形AD’’1〜AD’’nと前回のタイミングで生成した指令出力周期1回分手前からの指令速度波形VD’0〜VD’n−1とを加算して、指令出力周期n回分の全ての指令加速度波形VD’’1〜VD’’nを再生成し、加算器426および加加速度制限部427に出力する。
例えば、加算器425の出力は、VD’’1=VD’0+AD’’1、VD’’2=VD’1+AD’’2、VD’’3=VD’2+AD’’3、〜、VD’’n=VD’(n−1)+AD’’nとなる。
加算器426は、再生成された指令速度波形VD’’1〜VD’’nと前回のタイミングで生成した指令出力周期1回分手前からの指令位置波形PD’0〜PD’n−1とを加算して、指令出力周期n回分の全ての指令位置波形PD’’1〜PD’’nを再生成して加加速度制限部427に出力する。
例えば、加算器426の出力は、PD’’1=PD’0+VD’’1、PD’’2=PD’1+VD’’2、PD’’3=PD’2+VD’’3、〜、PD’’n=PD’(n−1)+VD’’nとなる。
【0025】
加加速度制限部427は、再生成された指令加加速度波形JD’’1〜JD’’nが上限(または下限)を超えないかどうかを図7を用いて確認する。
図7は、本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法の一実施例における加加速度上限下限確認処理動作を説明するための図である。
図7において、加加速度上限Jmaxおよび加加速度下限−Jmaxはあらかじめ定められている。
図7において、加算器423では、前回のタイミングで生成した指令加加速度波形JD’1〜JD’nに、破線円701内の加加速度加算波形が加算されている。即ち、加算波形パルスC1、C2、C3およびC4が太線で示された加加速度波形に加算されている(指令加加速度波形JD’’1〜JD’’n)。
この場合、加加速度制限部427は、現在時刻でのパルス波形C1、C2、C3およびC4が上限Jmaxと下限−Jmaxの間にあるか否かを検出して、OKかNGを判定し、出力を分岐している。例えば、現在時刻で波形C2が、上限Jmax未満であるか否かを検出する(JD’’1〜JD’’n<Jmax)。そして否(NG)であれば、指令波形復元部4210にNG情報を出力する。またOKであれば、現在時刻での波形C2が、下限Jmax超であるか否かを検出する(−Jmax<JD’’1〜JD’’n)。そして否(NG)であれば、指令波形復元部4210にNG情報を出力する。またOKであれば、加速度制限部428に指令加加速度波形JD’’1〜JD’’n、指令加速度波形AD’’1〜AD’’n、指令速度波形VD’’1〜VD’’n、および指令位置波形PD’’1〜PD’’nを出力する。
【0026】
次に、図4Bにおいて、加速度制限部428は、加加速度制限部427と同様に、現在時刻での加速度波形が、上限Amax未満であるか否かを検出する(AD’’1〜AD’’n<Amax)。そして否(NG)であれば、指令波形復元部4210にNG情報を出力する。またOKであれば、現在時刻での波形が、下限Amax超であるか否かを検出する(−Amax<AD’’1〜AD’’n)。そして否(NG)であれば、指令波形復元部4210にNG情報を出力する。またOKであれば、速度制限部429に指令加加速度波形JD’’1〜JD’’n、指令加速度波形AD’’1〜AD’’n、指令速度波形VD’’1〜VD’’n、および指令位置波形PD’’1〜PD’’nを出力する。
【0027】
さらに図4Bにおいて、速度制限部429は、加加速度制限部427と同様に、現在時刻での速度波形が、上限Vmax未満であるか否かを検出する(VD’’1〜VD’’n<Vmax)。そして否(NG)であれば、指令波形復元部4210にNG情報を出力する。またOKであれば、現在時刻での波形が、下限Vmaxを超えるか否かを検出する(−Vmax<VD’’1〜VD’’n)。そして否(NG)であれば、指令波形復元部4210にNG情報を出力する。またOKであれば、指令波形入出力部410に指令加加速度波形JD’’1〜JD’’n、指令加速度波形AD’’1〜AD’’n、指令速度波形VD’’1〜VD’’n、および指令位置波形PD’’1〜PD’’nを出力する。
【0028】
指令波形復元部4210は、NG情報が、加加速度制限部427、加速度制限部428、または速度制限部429のいずれかから入力された場合には、前回の指令波形を復元し、全偏差量の補正を次回指令出力時まで持ち越す(上限と下限の確認処理)。即ち、復元した前回の指令波形を指令波形入出力部410に出力する。
なお、上記実施例では、指令波形復元部4210が前回の指令波形を復元したが、NG情報を出力し、指令波形入出力部410がNG情報に応じて、保存していた前回の指令波形を現在の指令波形とするようにしても良い。指令波形入出力部410が復元する場合の一実施例を図4Cに示す。
この後、図4Bおよび図4Cにおいて、再生成した指令波形JD’’1〜JD’’n、AD’’1〜AD’’n、VD’’1〜VD’’n、およびPD’’1〜PD’’nを新たな指令波形として保存する。
指令波形の速度指令値VD’’1は、指令波形入出力部410からDAC213に出力され、DAC213は、アナログ変換した速度指令値をサーボパック220に出力する。
【0029】
図4Bにおいて、DAC213は、入力された速度指令値VD’’1をアナログ値に変換してサーボパック220に出力する。サーボパック220は、入力されたアナログデータに応じてモータ130を回転駆動し、かつモータ130の回転位置(および回転速度)をエンコーダ信号として、指令波形生成部212に出力する。
モータ130から出力されたエンコーダ信号は、指令波形生成部212のエンコーダシグナルカウンタ430に入力される。
エンコーダシグナルカウンタ430は、所定のサイクルでカウントしたカウント値PAを指令波形再生成処理部420に出力する。
指令波形再生成処理部420では、加算器421が、その減算入力端子に、エンコーダシグナルカウンタ430が出力するカウント値PAを入力する。
サーボパック220は、入力された速度指令値VD’’1に従ってモータ130を制御する。
【0030】
全ての指令波形が再生成される様子を図8に示す。図8は、本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法における補償用の加加速度波形算出後の、再生成された指令波形の一実施例を示す図である。横軸は時間、縦軸はそれぞれパルス高さを示す。一点鎖線はそれぞれ補償前の波形で、現在時刻から指令加加速度において補償用の加加速度波形が加算された期間Tjの間に、実線で示された波形でモータ130が制御される。
この結果、モータ130が回転し、その回転によって、モータが高速で回転動作する際に、被駆動体の進行方向に対する振動や偏差を抑え、整定時間短縮を実現することができる。また、理想的な軌跡でモータを動作させることができ、さらに、現在の位置を常にモニタリングすることができるため、複数の軸を同期させて動作させることが容易となる。
なお、図8において、実位置波形が現在時刻よりも前からズレているように見える。これは、指令の波形に対して、現在時刻までのズレ(位置偏差)を示している。実際には、非常に短い指令出力周期の間隔で補正し続けているため、図8ほど顕著にズレが生じることはない。図8では、位置が補正される様子を強調して表現するために、現在時刻の実位置を指令波形から少しズレた位置にしてある。
【0031】
図6は、本発明のモータ制御方法の動作の一実施例の手順を説明するためのフローチャートである。図6によって、指令出力周期タイミングで指令加加速度波形JD’’、指令加速度波形AD’’、指令速度波形VD’’、および指令位置波形PD’’を作成する手順を説明する。
ステップ601では、エンコーダカウント値から現在の実位置PA0を取得する。
ステップ602では、実位置PA0と現在の指令位置PD’0から偏差量Perrを算出する。
ステップ603では、指令出力周期n回で、偏差量Perrが将来的に“0”になるような加加速度加算波形C1〜Cnを生成する。
【0032】
ステップ604では、加加速度加算波形C1〜Cnを指令加加速度波形JD’1〜JD’nに加算して、指令出力周期n回分の全ての指令加加速度波形JD’’1〜JD’’nを再生成する。
ステップ605では、指令出力周期1回分手前からの指令加速度波形AD’0〜AD’n−1と再生成した指令加加速度波形JD’’1〜JD’’nから、指令出力周期n回分の全ての指令加速度波形AD’’1〜AD’’nを再生成する。
ステップ606では、指令加速度波形AD’’1〜AD’’nの再生成(ステップ605)と同様な方法で指令速度波形VD’’1〜VD’’nを再生成する。
ステップ607では、指令加速度波形AD’’1〜AD’’nの再生成(ステップ605)、または指令速度波形VD’’1〜VD’’nの再生成(ステップ606)と同様な方法で指令位置波形PD’’1〜PD’’nを再生成する。
【0033】
ステップ608では、再生成した加加速度波形JD’’1〜JD’’nが上限Jmaxを未満か否かを確認する。上限Jmaxを超える場合にはステップ612に処理を移行し、上限未満の場合にはステップ609に処理を移行する。
ステップ609では、再生成した加速度波形AD’’1〜AD’’nが上限Amaxを未満か否かを確認する。上限Amaxを超える場合にはステップ612に処理を移行し、上限未満の場合にはステップ610に処理を移行する。
ステップ610では、再生成した速度波形VD’’1〜VD’’nが上限Vmaxを未満か否かを確認する。上限Vmaxを超える場合にはステップ612に処理を移行し、上限未満の場合にはステップ611に処理を移行する。
【0034】
ステップ611では、再生成した指令加加速度波形JD’’1〜JD’’n、指令加速度波形AD’’1〜AD’’n、指令速度波形VD’’1〜VD’’n、および指令位置波形PD’’1〜PD’’nを新たな指令波形として保存する。
ステップ613では、次回の速度指令値VD’’1〜VD’’nをDAC312から出力させ、図6の処理を終了し、次の指令出力周期タイミングの動作に移行する。
【0035】
ステップ612では、再生成指令波形を前回の指令波形で復元し、ステップ613に処理を移行する。即ち、指令加加速度波形JD’’1〜JD’’nとして、前回の指令加加速度波形JD’1〜JD’nを用いる。また、指令加速度波形AD’’1〜AD’’nとして、前回の指令加速度波形AD’1〜AD’nを用いる。またさらに、指令速度波形VD’’1〜VD’’nとして、前回の指令速度波形VD’1〜VD’nも用いる。またさらに、指令位置波形PD’’1〜PD’’nとして、前回の指令位置波形PD’1〜PD’nを用いる。
【0036】
以上、本発明を実施例によって詳細に説明した。本発明は、回転するモータ以外のリニアモータにも適用することができる。具体的には、図2において、サーボパック220の速度ループ制御部221は、モーションコントローラ210から入力される速度指令値と、モータ130から入力されるエンコーダ信号に応じて、モータ130の移動速度を制御する。
モータ130は、サーボパック220の速度ループ制御部221から入力される移動速度の制御に応じた移動速度で移動し、実位置および実速度をエンコーダ信号としてサーボパック220の速度ループ制御部221とモーションコントローラ210の指令波形生成部212に出力する。
なお、図2の実施例では、モータ130のカウント値から被駆動体の実位置を算出し、算出された実位置をもとに実速度を算出している。しかし、被駆動体の位置を直接検出する位置検出装置を備え、当該位置検出装置が検出した位置を実位置とするようにしても良い。
【0037】
例えば、図4Bにおいて、DAC213は、入力された速度指令値VD’’1をアナログ値に変換してサーボパック220に出力する。サーボパック220は、入力されたアナログデータに応じてモータ130を駆動し、かつモータ130の移動位置(および移動速度)をエンコーダ信号として、指令波形生成部212に出力する。
モータ130から出力されたエンコーダ信号は、指令波形生成部212のエンコーダシグナルカウンタ430に入力される。
エンコーダシグナルカウンタ430は、所定のサイクルでカウントしたカウント値PAを指令波形再生成処理部420に出力する。
指令波形再生成処理部420では、加算器421が、その減算入力端子に、エンコーダシグナルカウンタ430が出力するカウント値PAを入力する。
全ての指令波形が再生成される様子を図8に示す。図8は、本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法における補償用の加加速度波形算出後の、再生成された指令波形の一実施例を示す図である。横軸は時間、縦軸はそれぞれパルス高さを示す。一点鎖線はそれぞれ補償前の波形で、現在時刻から指令加加速度において補償用の加加速度波形が加算された期間Tjの間に、実線で示された波形でモータ130が制御される。
【0038】
この結果、モータ130が移動し、その移動によって、モータが高速で移動動作する際に、被駆動体の進行方向に対する振動や偏差を抑え、整定時間短縮を実現することができる。また、理想的な軌跡でモータを動作させることができ、さらに、現在の位置を常にモニタリングすることができるため、複数の軸を同期させて動作させることが容易となる。
更に、エンコーダカウンタ機能を有するモータなどモータ全般にも適用することが可能である。
【0039】
さらに、本発明は、上述の実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。
例えば、上記実施例では、指令波形入出力部は、速度指令値を出力してモータを制御していた。しかし、速度指令値の代わりに加速度指令値を出力してモータを制御しても良い。その結果、位置の制御だけでなく、荷重制御も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のサーボ制御装置およびサーボ制御方法は、ダイボンダ等の半導体製造装置で利用される。
【符号の説明】
【0041】
100:制御装置、 110:モーションコントローラ、 111:指令速度波形生成部、 112:指令パルス列生成部、 120:サーボパック、 121:位置ループ制御部、 122:速度ループ制御部、 130:サーボモータ、 200:制御装置、 210:モーションコントローラ、 211:理想波形生成部、 212:指令波形生成部、 213:DAC、 220:サーボパック、 221:速度ループ制御部、 410:指令波形入出力部、 420:指令波形再生成処理部、 421:減算器、 422:加加速度加算波形生成部、 423〜426:加算器、 427:加加速度制限部、 428:加速度制限部、 429:速度制限部、 4210:指令波形復元部、 430:エンコーダシグナルカウンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体をサーボモータで駆動して制御するモータ制御装置であって、
加加速度、加速度、速度、および位置の理想的な指令波形を生成する理想波形生成部と、
前記理想的な波形を読み出し、目標指令位置、並びに、加加速度、加速度、速度、および位置の指令波形を再生成し、再生成された速度の指令波形を出力する指令波形生成部と、
前記再生成された速度の指令波形をアナログデータに変換するDACと、
前記アナログデータの制御に応じて駆動し実位置をエンコーダ信号として出力するサーボモータと、を有し、
前記指令波形生成部は、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置とに基づいて加加速度加算波形を生成し、生成された前記加加速度加算波形を、前記前回の指令加加速度波形に加算して、加加速度指令波形を再生成し、さらに指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形を再生成する指令波形再生成処理部、および前記生成された理想的な指令波形と、前記再生成加加速度指令波形、指令加速度波形、指令速度波形および指令位置波形とを保存する指令波形入出力部、
を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のモータ制御装置において、
前記指令波形再生成処理部は、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置との差である偏差量から前記加加速度加算波形を生成する加加速度加算波形生成部を有することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のモータ制御装置において、
前記指令波形再生成処理部は、さらに、加加速度制限部を有し、前記再生成された指令加加速度波形が、所定の加加速度上限値超または加加速度下限値未満の場合にNG情報を前記指令波形入出力部に出力し、
前記指令波形入出力部は、前記NG情報が入力された場合には、前記前回のタイミングで再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を復元し、復元された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を、再生成した指令加加速度波形、指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形とし、再生成された前記指令速度波形を前記DACに出力することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項2記載のモータ制御装置において、
前記指令波形再生成処理部は、さらに、前記再生成された指令加加速度波形が、所定の加加速度上限値超または加加速度下限値未満の場合にNG情報を出力する加加速度制限部と、前記NG情報が入力された場合には、前記前回のタイミングで再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を復元し前記指令波形入出力部に出力する指令波形復元部を有し、
前記指令波形入出力部は、復元された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を、再生成した指令加加速度波形、指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形とし、再生成された前記指令速度波形を前記DACに出力することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のモータ制御装置において、
前記指令波形生成部は、再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を前回のタイミングで再生成された指令波形として保存することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項6】
被駆動体をサーボモータで駆動して制御するモータ制御装置のモータ制御方法であって、
加加速度、加速度、速度、および位置の理想的な指令波形を生成し、前記理想的な波形を読み出し、目標指令位置、並びに、加加速度、加速度、速度、および位置の指令波形を再生成し、再生成された速度の指令波形をアナログデータとして出力し、前記アナログデータの制御に応じて前記サーボモータを駆動し、実位置をエンコーダ信号として出力し、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置とに基づいて加加速度加算波形を生成し、生成された前記加加速度加算波形を、前記指令波形生成部が前回のタイミングで再生成した指令加加速度波形に加算して、加加速度指令波形を再生成し、さらに指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形を再生成することを特徴とするモータ制御方法。
【請求項7】
請求項6記載のモータ制御方法において、
前記加加速度加算波形は、前記エンコーダ信号による実位置と前記目標指令位置との差である偏差量から生成することを特徴とするモータ制御方法。
【請求項8】
請求項7記載のモータ制御方法において、
前記再生成された指令加加速度波形が、所定の加加速度上限値超または加加速度下限値未満の場合にNG情報を出力し、前記NG情報が入力された場合には、前記前回のタイミングで再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を復元し、復元された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を、再生成された指令加加速度波形、指令加速度波形、指令速度波形、および指令位置波形とし、再生成された前記指令速度波形をアナログデータとして出力し、前記アナログデータの制御に応じて前記サーボモータを駆動することを特徴とするモータ制御方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれかに記載のモータ制御方法において、
前記再生成された前記指令加加速度波形、前記指令加速度波形、前記指令速度波形、および前記指令位置波形を前回のタイミングで再生成された指令波形として保存することを特徴とするモータ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−175768(P2012−175768A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33739(P2011−33739)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】