説明

モータ制御装置及びディスク駆動装置

【課題】回路面積の増大を抑制しつつ非常動作時にモータへ必要な駆動電力を供給できるモータ制御装置とこれを用いたディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】リトラクト動作時において、スピンドルモータM1の各端子(U,V,W)を端子ICOMに短絡する短絡モードと、電源線(ISO3V,VGND)からスピンドルモータM1への電力の入力を阻止しつつスピンドルモータM1の逆起電力を整流して電源線(ISO3V,VGND)に出力する整流モードとが交互に繰り返される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドの緊急退避機能を備えたハードディスクドライブ装置などのディスク駆動装置とそのモータの制御に用いられるモータ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にハードディスクドライブ装置は、ディスクを回転させるスピンドルモータ(spindle motor:SPM)と、データの記録・再生を行うヘッドと、ヘッドを先端に取り付けたアームと、アームを動かすボイスコイルモータ(voice coil motor:VCM)を備えている。データの記録・再生が行われる場合、ボイスコイルモータの駆動によってヘッドがディスク上の所望の位置に運ばれる。
【0003】
ヘッドとディスクは、回転するディスクの表面付近に生じる空気の流れを利用して微小な距離を保っている。そのため、一般にモバイル機器に搭載されるハードディスクドライブ装置は、両者の衝突を防止する機能を有している。例えば、電源電圧や環境温度、ディスク回転速度などの異常が検出された場合、ランプと呼ばれる安全領域にヘッドを引き込ませる動作(リトラクト:Retract)が実行される。
【0004】
ランプは、ディスクに近い側から、上りの第1傾斜部分、水平部分、下りの第2傾斜部分を備えている。リトラクトの際、アームが第1傾斜部分を乗り越えて第2傾斜部分の先のパーキングエリアに留まるように、ボイスコイルモータによってアームが動かされる。電源遮断後もリトラクトを行う必要があるため、ボイスコイルモータ用の電源としては、例えば、リトラクト用に予め充電されたキャパシタの電圧や、惰性で回転するスピンドルモータの逆起電力(back electromotive force:BEMF)を整流した電圧が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7301722号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のハードディスクドライブ装置では、リトラクト動作の開始時点から終了時点までのボイスコイルモータの制御方法を、予め設定したタイマーの値に応じて切り替えている。そしてこの場合、ボイスコイルモータの駆動に用いる電源の種類(キャパシタの電圧/BEMFの整流電圧)も、予め設定した時間になると自動的に切り替えるようになっている。
【0007】
しかしながら、キャパシタ電圧は放電によって低下するため、ボイスコイルモータの電源の切り替えをタイマーの設定値に従って行う場合、条件によっては、その切り替え前にキャパシタ電圧がゼロボルト付近まで低下してしまうことがある。そうすると、一時的にボイスコイルモータのトルクが低下してしまい、アームをランプ側へ引き込む力が弱くなる。このとき、アームがディスク側に動いてしまうと、アームをランプに引き込ませることができなくなる可能性がある。
【0008】
そこで、従来のハードディスクドライブ装置では、キャパシタ電圧の低下を抑えるためにキャパシタの容量を十分大きくする必要があり、そのため回路面積が大きく部品コストが高いという不利益があった。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路面積の増大を抑制しつつ非常動作時にモータへ必要な駆動電力を供給できるモータ制御装置とこれを用いたディスク駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、ディスク状記録媒体を回転する第1モータと上記ディスク状記録媒体の情報にアクセスするためのヘッドを動かす第2モータとを、第1電源線及び第2電源線に供給される電力に基づいて制御するモータ制御装置に関する。当該モータ制御装置は、上記第1電源線及び上記第2電源線と上記第1モータの複数の入力端子とを接続する複数のトランジスタを含んだ第1モータ駆動部と、上記ヘッドを安全領域に退避させる非常動作時において、上記第1モータの上記複数の入力端子に生じる逆起電力を上記第1電源線の電圧並びに上記第2電源線の電圧と比較し、当該比較結果に応じて、上記第1電源線及び上記第2電源線から上記第1モータへの電力の入力を阻止するとともに、上記第1モータが発生する逆起電力を整流して上記第1電源線及び上記第2電源線に出力するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する第1モータ制御部とを有する。
【0011】
好適に、上記第1モータ制御部は、上記非常動作時において、上記第1モータの全ての端子を上記第2電源線に短絡するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する短絡モードと、上記電圧比較結果に応じて、上記第1電源線及び上記第2電源線から上記第1モータへの電力の入力を阻止するとともに、上記第1モータが発生する逆起電力を整流して上記第1電源線及び上記第2電源線に出力するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する整流モードとを交互に繰り返してよい。
【0012】
好適に、上記第1モータ制御部は、上記第1電源線と上記第2電源線との間に生じる電源電圧が所定のしきい値より低い場合に上記短絡モードと上記整流モードとを交互に繰り返してよい。
【0013】
好適に、上記第1モータ駆動部は、上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第1電源線とを接続する複数の第1トランジスタと、上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第2電源線とを接続する複数の第2トランジスタとを含んでよい。上記第1モータ制御部は、上記複数の第1トランジスタの駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路であって、上記整流モードにおいて、駆動対象の上記第1トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第1トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力し、上記短絡モードにおいて、当該駆動対象の第1トランジスタを非導通とする駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路と、上記複数の第2トランジスタの駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路であって、上記整流モードにおいて、駆動対象の上記第2トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第2トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力し、上記短絡モードにおいて、当該駆動対象の第2トランジスタを非導通とする駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路とを含んでよい。
【0014】
好適に、上記モータ制御装置は、通常動作時において、上記第1電源線及び上記第2電源線から上記第1モータへ電力を供給するように生成された駆動信号群を上記複数の第1トランジスタ及び上記複数の第2トランジスタに入力し、上記非常動作時において、上記複数の第1トランジスタ駆動回路及び上記複数の第2トランジスタ駆動回路により生成された駆動信号群を上記複数の第1トランジスタ及び上記複数の第2トランジスタに入力する信号選択回路を有してよい。
【0015】
好適に、上記モータ制御装置は、上記ヘッドの速度を検出する検出部と、上記第1電源線及び上記第2電源線の電源電圧に基づいて、上記ヘッドを加速又は減速させる極性を持った駆動電圧を生成し、当該生成した駆動電圧を上記第2モータに印加する第2モータ駆動部と、上記非常動作時において、上記ヘッドが所定の速度に近づくように、上記検出部の検出結果に応じて上記駆動電圧の極性と出力タイミングを制御する第2モータ制御部とを有してよい。
【0016】
好適に、上記検出部は、上記第2モータ駆動部が上記第2モータに上記駆動電圧を印加していない期間に上記第2モータが発生する逆起電力を検出してよい。
【0017】
好適に、上記第1モータ駆動部は、上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第1電源線とを接続する複数の第1トランジスタと、上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第2電源線とを接続する複数の第2トランジスタとを含んでよい。上記第1モータ制御部は、上記複数の第1トランジスタの駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路であって、駆動対象の上記第1トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第1トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路と、上記複数の第2トランジスタの駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路であって、駆動対象の上記第2トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第2トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路とを含んでよい。
【0018】
好適に、上記モータ制御装置は、上記非常動作時において、上記第1モータの上記複数の入力端子並びに上記第1モータの複数のコイルが共通に接続される共通端子を上記第2電源線に接続する複数の抵抗素子を含んだ抵抗回路を有してよい。
【0019】
本発明の第2の観点に係るディスク駆動装置は、ディスク状記録媒体を回転する第1モータと、上記ディスク状記録媒体の情報にアクセスするためのヘッドを動かす第2モータと、上記第1の観点に係るモータ制御装置とを有する。
【0020】
本発明の第3の観点は、円盤状媒体を回転させる3相DCモータである第1モータの逆起電力を利用して、上記円盤状媒体に対するヘッドを動作させる第2モータを駆動し、上記ヘッドの退避動作を制御する制御回路に関する。この制御回路は、第1のモータ駆動部と、第1のモータ制御部とを有する。上記第1のモータ駆動部は、上記第1モータの第1の端子と第1の電圧供給線との間に接続された第1のトランジスタと、上記第1の端子と第2の電圧供給線との間に接続された第2のトランジスタと、上記第1のモータの第2の端子と上記第1の電圧供給線との間に接続された第3のトランジスタと、上記第2の端子と上記第2の電圧供給線との間に接続された第4のトランジスタと、上記第1のモータの第3の端子と上記第1の電圧供給線との間に接続された第5のトランジスタと、上記第3の端子と上記第2の電圧供給線との間に接続された第6のトランジスタとを含む。上記第1のモータ制御部は、上記ヘッドを退避させるための退避モードにおいて、上記第1の端子の電圧と上記第1の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第1のトランジスタの導通状態を制御する第1のトランジスタ駆動回路と、上記第1の端子の電圧と上記第2の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第2のトランジスタの導通状態を制御する第2のトランジスタ駆動回路と、上記第2の端子の電圧と上記第1の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第3のトランジスタの導通状態を制御する第3のトランジスタ駆動回路と、上記第2の端子の電圧と上記第2の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第4のトランジスタの導通状態を制御する第4のトランジスタ駆動回路と、上記第3の端子の電圧と上記第1の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第5のトランジスタの導通状態を制御する第5のトランジスタ駆動回路と、上記第3の端子の電圧と上記第2の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第6のトランジスタの導通状態を制御する第6のトランジスタ駆動回路とを含む。上記第1のモータ制御部の制御により上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に電圧が生成される。
【0021】
好適に、上記制御回路は、上記第1のモータの上記第1、第2及び第3の端子と、上記第1のモータの共通端子と、上記第1又は第2の電圧供給線とに接続される抵抗回路を更に有してよい。上記退避モードにおいて、上記第1、第2及び第3の端子と上記共通端子とを上記第1又は第2の電圧供給線に上記抵抗回路を介して接続する短絡モードと、上記第1乃至第6のトランジスタの導通状態が上記第1のモータ制御部の上記第1乃至第6のトランジスタ駆動回路により制御されて上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に電圧が生成される整流モードとが繰り返されてよい。
【0022】
好適に、上記制御回路は、上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に接続されたコンデンサと、上記コンデンサの電圧を検知する電圧検知回路とを更に有してよい。上記退避モードにおいて、上記電圧検知回路が上記コンデンサの電圧が所定の値以下であることを検知すると、上記第1のモータ制御部が上記第1乃至第6のトランジスタの導通状態を制御して上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に電圧が生成されてよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、回路面積の増大を抑制しつつ非常動作時にモータへ必要な駆動電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るディスク駆動装置の構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示すディスク駆動装置において、スピンドルモータの駆動と制御に関わる部分の回路構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示すディスク駆動装置において、ボイスコイルモータの駆動と制御に関わる部分の回路構成の一例を示す図である。
【図4】図1に示すディスク駆動装置において、ボイスコイルモータとスピンドルモータの駆動に関わる回路の要部を示す図である。
【図5】リトラクト動作時における駆動電力供給用のキャパシタの電圧と電源線の電圧の変化を例示する図である。
【図6】一定時間が経過するまでスピンドルモータの逆起電力の整流を行わないようにした場合を説明するための図である。
【図7】第1の整流方法における駆動電力供給用のキャパシタの電圧、電源線の電圧、及び、スピンドルモータの端子電圧のシミュレーション波形の例を示す図である。
【図8】第2の整流方法における駆動電力供給用のキャパシタの電圧、電源線の電圧、及び、スピンドルモータの端子電圧のシミュレーション波形の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るディスク駆動装置の構成の一例を示す図である。
図1に示すディスク駆動装置は、スピンドルモータM1と、ボイスコイルモータM2と、モータ駆動部10,30と、リトラクトダンピング抵抗部12と、トランジスタ駆動部20,22,40,42と、信号選択回路24,44と、リトラクト制御部50と、クロック発生回路51と、トランジスタ駆動回路52,53と、アナログ−デジタル変換回路54と、チャージポンプ回路61と、レギュレータ回路62,63と、クランプ回路64と、スイッチSW1,SW2と、トランジスタTr1,Tr2と、キャパシタC10〜C12と、ダイオードD1と、抵抗RGを有する。
【0026】
スピンドルモータM1は、本発明における第1モータの一例である。
ボイスコイルモータM2は、本発明における第2モータの一例である。
モータ駆動部10は、本発明における第1モータ駆動部の一例である。
トランジスタ駆動部20及びリトラクト制御部50を含む回路は、本発明における第1モータ制御部の一例である。
信号選択回路24は、本発明における信号選択回路の一例である。
アナログ−デジタル変換回路54は、本発明における検出部の一例である。
モータ駆動部30は、本発明における第2モータ駆動部の一例である。
トランジスタ駆動部40及びリトラクト制御部50を含む回路は、本発明における第2モータ制御部の一例である。
リトラクトダンピング抵抗部は、本発明における抵抗回路の一例である。
【0027】
まず、図1に示すディスク駆動装置において、スピンドルモータM1の駆動と制御に関わる部分の回路について、図2を参照して説明する。
【0028】
スピンドルモータM1は、磁気ディスク等のディスク状記録媒体を回転するモータであり、例えば三相駆動式のDCモータである。
スピンドルモータM1は、例えば図2に示すように、3つのコイルLU,LV,LWを有する。コイルLU,LV,LWの一端は、共通端子P1に接続される。コイルLUの他端は端子Uに接続され、コイルLVの他端は端子Vに接続され、コイルLWの他端は端子Wに接続される。
【0029】
モータ駆動部10は、電源線(ISO3V,VGND)から供給される電力に基づいてスピンドルモータM1を駆動する。スピンドルモータM1は、直接的には、電源線ISO3Vと、抵抗RGを介して電源線VGNDに接続された電源線ICOMとの間の電圧で駆動される。
【0030】
モータ駆動部10は、例えば図2に示すように、n型MOSFET等のトランジスタTr11〜Tr16を有する。トランジスタTr11〜Tr16は、後述する信号選択回路24を介して入力されるゲート駆動信号に応じて、端子U,V,Wと電源線ISO3V又は端子ICOMとの間の電流経路を制御する。端子ICOMは、微少な抵抗値の電流検出用抵抗RGを介してグランド線VGNDに短絡されている。
【0031】
トランジスタTr11は、端子Uと電源線ISO3Vとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr12は、端子Uと端子ICOMとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr13は、端子Vと電源線ISO3Vとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr14は、端子Vと端子ICOMとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr15は、端子Wと電源線ISO3Vとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr16は、端子Wと端子ICOMとを接続する経路に設けられる。
なお、トランジスタTr11,Tr13,Tr15は本発明における第1トランジスタの一例であり、トランジスタTr12,Tr14,Tr16は本発明における第2トランジスタの一例である。
【0032】
トランジスタ駆動部20は、ヘッドを安全領域に退避させるリトラクト動作時において、リトラクト制御部50の制御に従ってトランジスタTr11〜Tr16の各ゲートに与える駆動信号を出力する。
例えば、トランジスタ駆動部20は、スピンドルモータM1の逆起電力を整流し、その整流電圧を電源線(ISO3V,VGND(又はICOM))へ出力するようにトランジスタTr11〜Tr16を制御するモード(整流モード)と、スピンドルモータM1の全ての入力端子(U,V,W)を端子ICOMに短絡するモード(短絡モード)とをリトラクト制御部50の制御信号に従って切り替える。
【0033】
トランジスタ駆動部20が整流モードに設定される場合、スピンドルモータM1の逆起電力を整流した電圧が電源線(ISO3V,VGND)に出力される。
一方、トランジスタ駆動部20が短絡モードに設定される場合、スピンドルモータM1の各コイル(LU,LV,LW)には、逆起電力をコイルの導線抵抗によって短絡した電流が流れる。短絡モードが解除されて整流モードに設定されると、各コイルに流れる電流に応じたサージ電圧が発生し、そのサージ電圧が整流されて電源線(ISO3V,VGND)に出力されるため、整流モード時より高い電圧が電源線(ISO3V,VGND)に出力される。
【0034】
トランジスタ駆動部20は、例えば図2に示すように、ゲート駆動回路201〜206を有する。
ゲート駆動回路201は、トランジスタTr11のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路202は、トランジスタTr12のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路203は、トランジスタTr13のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路204は、トランジスタTr14のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路205は、トランジスタTr15のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路206は、トランジスタTr16のゲートに与える駆動信号を出力する。
【0035】
整流モードにおいて、ゲート駆動回路201〜206は、スピンドルモータM1の端子U,V,Wに生じる逆起電力と、電源線ISO3Vの電圧又は端子ICOMの電圧とを比較する。そしてゲート駆動回路201〜206は、その電圧比較結果に応じて、電源線(ISO3V,VGND)からスピンドルモータM1への電力の入力を阻止しつつ、スピンドルモータM1が発生する起電力を整流して電源線(ISO3V,VGND)に出力するように、トランジスタTr11〜Tr16の導通/非導通状態をリニアに制御する駆動信号を出力する。
すなわち、ゲート駆動回路201,203,205は、駆動対象のトランジスタ(Tr11,Tr13,Tr15)の両端の電圧を比較し、スピンドルモータM1の端子(U,V,W)の電圧が電源線ISO3Vの電圧より高い場合にはその電圧差に応じて当該トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力し、逆の場合には当該トランジスタを非導通とする駆動信号を出力する。
また、ゲート駆動回路202,204,206は、駆動対象のトランジスタ(Tr12,Tr14,Tr16)の両端の電圧を比較し、スピンドルモータM1の端子(U,V,W)の電圧が端子ICOMの電圧より低い場合にはその電圧差に応じて当該トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力し、逆の場合には当該トランジスタを非導通とする駆動信号を出力する。
【0036】
上記のように、整流モードにおいては、トランジスタTr11〜Tr16とゲート駆動回路201〜206の各ペアによって構成される回路は、電圧値(抵抗値)が制御される整流回路として機能する。
【0037】
一方、短絡モードにおいて、ゲート駆動回路201、203,205は、駆動対象のトランジスタ(Tr11,Tr13,Tr15)を非導通とする駆動信号を出力する。また、ゲート駆動回路202、204,206は、駆動対象のトランジスタ(Tr12,Tr14,Tr16)を導通とする駆動信号を出力する。これにより、スピンドルモータM1の3つの端子(U,V,W)が端子ICOMに接続される。
【0038】
ゲート駆動回路201〜206は、例えば、整流モードにおいて入力信号の比較結果(比較電圧の電圧差)に応じたゲート制御信号を出力するレギュレーションアンプとして機能する。
【0039】
トランジスタ駆動部22は、通常動作時において、図示しない制御部の制御信号に応じてトランジスタTr11〜Tr16の駆動信号を出力する。トランジスタ駆動部22の駆動信号に応じてトランジスタTr11〜Tr16がオンオフすることにより、電源線(ISO3V,VGND)からスピンドルモータM1へ電力が供給され、スピンドルモータM1が回転する。
【0040】
信号選択回路24は、通常動作時において、トランジスタ駆動部22により生成された駆動信号S11〜S16をモータ駆動部10のトランジスタTr11〜Tr16に入力し、リトラクト動作時においては、トランジスタ駆動部20のゲート駆動回路201〜206により生成された駆動信号をトランジスタTr11〜Tr16に入力する。
信号選択回路24は、例えば図2に示すように、スイッチSW11〜SW16を有する。スイッチSW11は、ゲート駆動回路201の駆動信号又はトランジスタ駆動部22の駆動信号S11をトランジスタTr11のゲートに入力する。スイッチSW12は、ゲート駆動回路202の駆動信号又はトランジスタ駆動部22の駆動信号S12をトランジスタTr12のゲートに入力する。スイッチSW13は、トランジスタ駆動回路203の駆動信号又はトランジスタ駆動部22の駆動信号S13をトランジスタTr13のゲートに入力する。スイッチSW14は、ゲート駆動回路204の駆動信号又はトランジスタ駆動部22の駆動信号S14をトランジスタTr14のゲートに入力する。スイッチSW15は、ゲート駆動回路205の駆動信号又はトランジスタ駆動部22の駆動信号S15をトランジスタTr15のゲートに入力する。スイッチSW16は、ゲート駆動回路205の駆動信号又はトランジスタ駆動部22の駆動信号S16をトランジスタTr16のゲートに入力する。
【0041】
リトラクトダンピング抵抗部12は、リトラクト動作においてスピンドルモータM1の逆起電力を整流する際に生じるスパイク電圧を抑制するための電流経路を形成する。すなわち、リトラクトダンピング抵抗部12は、リトラクト動作時にコイルLU,LV,LWの端子U,V,Wと共通端子P1とを接続する抵抗回路を形成することによって、トランジスタTr11〜Tr16がオンからオフへ切り替えられる際にコイルLU,LV,LWに発生するスパイク電圧を抑制する。
【0042】
リトラクトダンピング抵抗部12は、例えば図2に示すように、一方の端子が共通のノードに接続された抵抗R1,R2,R3と、この共通ノードと端子ICOMとの間に直列に接続された抵抗R4及びR5を有する。
抵抗R1の他方の端子は、スイッチ回路SW3を介して端子Uに接続される。抵抗R2の他方の端子は、スイッチSW3を介して端子Vに接続される。抵抗R3の他方の端子は、スイッチSW3を介して端子Wに接続される。抵抗R4とR5の接続ノードは、スイッチSW3を介して、共通端子P1に接続される。
【0043】
スイッチSW3は、リトラクト動作時において、制御部50の制御信号に応じてオンする複数のスイッチを含む。スイッチSW3の各スイッチがオンすると、スピンドルモータM1の端子U,V,Wから抵抗R1〜R4を介して共通端子P1に流れる電流の経路が形成される。この電流路は、整流動作に伴って各コイルLU,LV,LWと電源線ISO3Vとの接続がオンからオフに切り替えられたときに各コイルLU,LV,LWに生じるスパイク電圧を削減するため、端子U,V,Wから共通端子P1へ電流を引き込む。
例えば、オン状態のトランジスタTr11を介してコイルLUから電源線ISO3Vに電流が流れているとき、端子Uの電圧が低下してトランジスタTr11がオフ状態になると、端子UにはコイルLUの逆起電力に起因するスパイク電圧が発生する。このとき、端子U、スイッチSW3、抵抗R1、抵抗R4、スイッチSW3、端子P1の経路で電流が流れることで、上記のスパイク電圧が抑制される。他の端子V、Wに発生するスパイク電圧も、端子Uの場合と同様に、リトラクトダンピング抵抗部34により抑制される。
【0044】
次に、図1に示すディスク駆動装置において、ボイスコイルモータM2の駆動と制御に関わる部分の回路について、図3を参照して説明する。
【0045】
ボイスコイルモータM2は、ディスク状記録媒体の読み出し・書き込み用のヘッドが搭載されたアームを前進・後退させる。ボイスコイルモータM2は、端子VCA,VCBに印加される電圧に応じて動作する。
【0046】
モータ駆動部30は、電源線(ISO3V,VGND)に供給される電力に基づいてボイスコイルモータM2を駆動する。
【0047】
モータ駆動部30は、例えば図3に示すように、n型MOSFET等のトランジスタTr21〜Tr24を有する。トランジスタTr21〜Tr24は、後述する信号選択回路44を介して入力されるゲート駆動信号に応じて、端子VCA,VCBを電源線ISO3V又はグランド線VGNDに接続する。
【0048】
トランジスタTr21は、端子VCAと電源線ISO3Vとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr22は、端子VCAとグランド線VGNDとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr23は、端子VCBと電源線ISO3Vとを接続する経路に設けられる。トランジスタTr24は、端子VCBとグランド線VGNDとを接続する経路に設けられる。
【0049】
トランジスタ駆動部40は、リトラクト動作時において、リトラクト制御部50の制御に従って、トランジスタTr21〜Tr24の各ゲートに与える駆動信号を出力する。トランジスタ駆動部40の駆動信号に応じてトランジスタTr21〜Tr24がオンオフすることにより、電源線(ISO3V,VGND)からボイスコイルモータM2へ電力が供給され、ボイスコイルモータM2がアームを退避方向へ移動させる。
トランジスタ駆動部40は、例えば図3に示すように、ゲート駆動回路401〜404を有する。ゲート駆動回路401は、トランジスタTr21のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路402は、トランジスタTr22のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路403は、トランジスタTr23のゲートに与える駆動信号を出力する。ゲート駆動回路404は、トランジスタTr24のゲートに与える駆動信号を出力する。
【0050】
トランジスタ駆動部42は、通常動作時において、図示しない制御部の制御信号に応じてトランジスタT21〜Tr24の駆動信号を出力する。トランジスタ駆動部42の駆動信号に応じてトランジスタTr21〜Tr24がオンオフすることにより、電源線(ISO3V,VGND)からボイスコイルモータM2へ電力が供給され、ボイスコイルモータM2がアームを前進・後退させる。
【0051】
信号選択回路44は、通常動作時において、トランジスタ駆動部42により生成された駆動信号S21〜S24をモータ駆動部30のトランジスタTr21〜Tr24に入力し、リトラクト動作時においては、トランジスタ駆動部40のゲート駆動回路401〜404により生成された駆動信号をトランジスタTr21〜Tr24に入力する。
信号選択回路44は、例えば図3に示すように、スイッチSW21〜SW24を有する。スイッチSW21は、ゲート駆動回路401の駆動信号又はトランジスタ駆動部42の駆動信号S21をトランジスタTr21のゲートに入力する。スイッチSW22は、ゲート駆動回路402の駆動信号又はトランジスタ駆動部42の駆動信号S22をトランジスタTr22のゲートに入力する。スイッチSW23は、ゲート駆動回路403の駆動信号又はトランジスタ駆動部42の駆動信号S23をトランジスタTr23のゲートに入力する。スイッチSW24は、ゲート駆動回路404の駆動信号又はトランジスタ駆動部42の駆動信号S24をトランジスタTr24のゲートに入力する。
【0052】
アナログ−デジタル変換回路54は、電源線(ISO3V,VGND)からボイスコイルモータM2への駆動電圧の供給が停止される期間において、端子VCAと端子VCBの間の電圧を入力し、そのサンプルホールドした電圧をデジタル値に変換してリトラクト制御部50に出力する。スイッチSW2は、端子VCBとアナログ−デジタル変換回路54の入力端子とを接続する。
【0053】
アナログ−デジタル変換回路54は、トランジスタTr21,Tr23,Tr24がオフ状態、トランジスタTr22がオン状態、スイッチSW2がオン状態のときに、ボイスコイルモータM2に生じる逆起電力を入力してデジタル値に変換する。この逆起電力は、ボイスコイルモータM2によるアームの駆動速度に応じた大きさを持つ。
ここで、トランジスタTr21〜Tr24の動作はリトラクト制御部50によって制御されており、スイッチSW2もリトラクト制御部50からの制御信号によってオン/オフ制御される。後述するように、トランジスタTr21〜Tr24は、ボイスコイルモータM2への駆動電圧の供給とアナログ−デジタル変換回路54による逆起電力の測定とを繰り返しながら、アームの速度が所定範囲に収まるようにリトラクト制御部50によって制御される。
【0054】
次に、図1へ戻って、本実施形態に係るディスク駆動装置における電源系及び制御系の回路について説明する。
【0055】
トランジスタTr1は、図示しない外部電源からの電圧(例えば3.3ボルト)が印加される電源線P3P3Vを内部の電源線ISO3Vに接続する。トランジスタ駆動回路52は、リトラクト制御部50の制御信号に従って、通常動作時にトランジスタTr1をオンさせ、リトラクト動作時にトランジスタTr1をオフさせる。これにより、内部の電源線ISO3Vは、通常動作時に電源線P3P3Vと接続され、リトラクト動作時に電源線P3P3Vから遮断される。
【0056】
ダイオードD1のアノードが電源線P3P3Vに接続され、そのカソードが電源線ISO3Vに接続される。これにより、リトラクト動作時に外部電源が停止されていない場合は、ダイオードD1を介して電源線P3P3Vから電源線ISO3に電源を供給することが可能になっている。
【0057】
キャパシタC10は、電源線ISO3Vとグランド線VGNDの間に接続されており、リトラクト動作時にモータ(M1,M2)等へ供給される電源電圧を保持する。
【0058】
クランプ回路64は、電源線ISO3Vとグランド線VGNDの間に接続されており、電源電圧が所定の上限値を超えないようにクランプする。
【0059】
チャージポンプ回路16は、通常動作時において、外部電源に接続される電源線P3P3Vの電圧を昇圧する。チャージポンプ回路16は、例えば、電源線P3P3Vの3.3ボルトの電圧を8ボルトまで昇圧する。キャパシタC11は、端子V8とグランド線VGNDの間に接続されており、チャージポンプ回路16において昇圧された電圧を入力する。
【0060】
スイッチSW1は、チャージポンプ回路16の出力と端子V8との間に設けられており、リトラクト制御部50によってオンオフ制御される。すなわち、スイッチSW1は、通常動作時にオンし、リトラクト動作時にオフする。
【0061】
レギュレータ回路62は、スイッチSW1がオン状態となる通常動作時において、チャージポンプ回路61の出力電圧に基づいて約6ボルトの電圧を生成する。一方、レギュレータ回路62は、スイッチSW1がオフ状態となるリトラクト動作時においては、オフ状態となり、端子V8と端子V6とが電気的に遮断される。
キャパシタC12は、端子V6とグランド線VGNDの間に接続されており、レギュレータ回路62において生成された6ボルトの電圧を入力する。
【0062】
端子V6の6ボルトの電圧は、リトラクト動作時の回路駆動用(例えばモータ駆動部10,30のトランジスタの駆動)に使用される。
【0063】
レギュレータ回路63は、リトラクト動作時に使用される回路の電源電圧や基準電圧を生成する。例えば、レギュレータ回路63は、アナログ回路用の電源回路、デジタル回路用の電源回路、基準電圧を発生するバンドギャップ回路などを有する。レギュレータ回路63は、通常動作時に使用される電源回路に比べて低消費電力で動作するように構成されている。
【0064】
トランジスタTr2は、端子V8と電源線ISO3Vとの間に接続される。トランジスタ駆動回路53は、リトラクト制御部50の制御に従って、リトラクト動作時にトランジスタTr2のゲートへ所定の電圧Vgを印加する。
トランジスタTr2のゲートに電圧Vgが印加されると、トランジスタTr2が導通して端子V8のキャパシタC11から電源線ISO3VのキャパシタC10に充電電流が流れる。キャパシタC10の充電によって電源線ISO3Vの電圧とトランジスタ駆動回路53の出力電圧Vgとの差がトランジスタTr2のしきい値電圧Vtより小さくなると、トランジスタTr2がオフ状態となって充電が停止する。これにより、キャパシタC11の電圧が電源線ISO3Vの電圧に比べて十分高い場合、電源線ISO3Vは所定の電圧Vm(=Vg−Vt)に維持される。
【0065】
リトラクト制御部50は、電源電圧や環境温度、スピンドルモータ30の回転速度等の異常が検出された場合、リトラクト動作が行われるようにディスク駆動装置の各回路を制御する。
【0066】
リトラクト制御部50は、リトラクト動作を開始する場合、トランジスタTr1をオフに設定して内部の電源線ISO3Vを電源線P3P3Vから切り離すとともに、スイッチSW1をオフに設定してキャパシタC11をチャージポンプ回路61の出力から切り離す。また、リトラクト制御部50は、信号選択回路24を制御してトランジスタ駆動部20の駆動信号をモータ駆動部10に入力するとともに、信号選択回路44を制御してトランジスタ駆動部40の駆動信号をモータ駆動部30に入力する。
そして、リトラクト制御部50は、トランジスタ駆動部40を制御してボイスコイルモータM2に駆動電圧を供給し、アームを退避方向へ移動させる。ことのき、リトラクト制御部50は、アナログ−デジタル変換回路54によって逆起電力の測定値を随時取得し、その測定値に応じて駆動電圧の極性と印加のタイミング(デューティ)を制御することで、アームの速度が所定の範囲に収まるように制御する。
ボイスコイルモータM2の駆動によって電源線ISO3Vの電源電圧が低下するが、このときリトラクト制御部50は、トランジスタTr2のゲートに所定の電圧Vgが印加されるようにトランジスタ駆動回路53を制御し、キャパシタC11の電荷でキャパシタC10を充電することにより電源電圧の低下を抑制する。
また、リトラクト制御部50は、惰性で回転するスピンドルモータM1の逆起電力が整流されて電源線(ISO3V,VGND)に出力されるようにトランジスタ駆動部20を制御する。この場合、リトラクト制御部50は、整流モードと短絡モードを交互に繰り返すことにより、スピンドルモータM1の逆起電力を増大させて電源線ISO3Vに出力させる。
【0067】
ここで、上述した構成を有する本実施形態に係るディスク駆動装置について、リトラクト時の動作を中心に説明する。
【0068】
通常動作においては、トランジスタTr1がオン状態にされ、外部電源からの電圧(3.3V)が電源線P3P3Vを介して内部の電源線ISO3Vに供給される。このとき、スイッチSW1がオン状態され、チャージポンプ回路61によりキャパシタC11が8ボルトに充電される。
また、通常動作において、モータ駆動部10に信号選択回路24を介してトランジスタ駆動部22の駆動信号が入力され、モータ駆動部30に信号選択回路44を介してトランジスタ駆動部42の駆動信号が入力される。これにより、モータ駆動部10及び20の各トランジスタ(Tr11〜Tr16,Tr21〜Tr24)が図示しない制御部によりオンオフ制御され、スピンドルモータM1の回転とボイスコイルモータM2の前進・後退動作が制御される。
【0069】
この通常動作時に、スピンドルモータM1の回転速度や電源電圧等に異常が検出されると、リトラクト動作が開始される。リトラクト制御部50の制御によって、トランジスタTr1がオフ状態にされる。これにより、外部電源につながる電源線P3P3Vが内部の電源線ISO3Vから遮断されるため、例えば外部電源の電圧が低下している場合でも、電源線ISO3Vから電源線P3P3Vへ電流が流れることはない。またこのとき、スイッチSW1がオフ状態にされるため、キャパシタC11の電荷がチャージポンプ回路61を介して電源線P3P3Vへ放電されることが防止される。
【0070】
スイッチSW1がオフすると、レギュレータ回路62は動作を停止し、端子V8と端子V6とが切り離される。レギュレータ回路63は、キャパシタC12の出力電圧に基づいて、リトラクト動作に関わる各回路(リトラクト制御部50、クロック発生回路等)の電源電圧を生成する。
【0071】
リトラクト動作時においては、信号選択回路24によってトランジスタ駆動部20の駆動信号が選択されてモータ駆動部10に入力される。これにより、スピンドルモータM1を駆動するモータ駆動部10の各トランジスタ(Tr11〜Tr16)は、リトラクト制御部50によってその導通状態が制御される。
また、このとき、信号選択回路44によってトランジスタ駆動部42の駆動信号が選択されてモータ駆動部30に入力される。これにより、ボイスコイルモータM2を駆動するモータ駆動部30の各トランジスタ(Tr21〜Tr24)は、リトラクト制御部50によってオンオフ制御される。
【0072】
リトラクトを開始する際、まずボイスコイルモータM2に流れている電流をゼロにするために、モータ駆動部30のローサイドのトランジスタTr22,Tr24がオン状態、ハイサイドのトランジスタTr21,Tr23がオフ状態にされて、ボイスコイルモータM2の入力端子(VCA,VCB)がグランド線VGNDに短絡される。また、ボイスコイルモータM2にブレーキを掛けてヘッドの動きを制御することもできる。
【0073】
次に、ボイスコイルモータM2には、アームを退避方向へ動かすように駆動電圧が印加される。
例えば、端子VCBの電圧が端子VCAの電圧より高くなる極性を「正」、これと逆の極性を「負」とし、正の駆動電圧を印加することでアームが退避方向に移動するものとする。この場合、アームを退避方向へ移動させるためには、トランジスタTr23及びTr22がオン状態、トランジスタTr21及びTr24がオフ状態にされる。これにより、端子VCBが電源線ISO3Vに接続され、端子VCAがグランド線VGNDに接続される。
【0074】
ボイスコイルモータM2に一定の時間だけ正電圧が印加された後、アナログ−デジタル変換回路54において端子VCA及びVCBの間に生じる逆起電力が検出される。すなわち、トランジスタTr21,Tr23,Tr24がオフ状態にされて、ボイスコイルモータM2への駆動電圧の供給が停止される。また、トランジスタTr22がオン状態にされて、端子VCAがグランド線VGNDに接続される。この状態で、スイッチSW2がオン状態にされて、端子VCAと端子VCBの間に生じる逆起電力がアナログ−デジタル変換回路54に入力される。アナログ−デジタル変換回路54において、端子VCA及びVCBの電圧がサンプリングされ、そのデジタル変換結果がリトラクト制御部50に入力される。
【0075】
リトラクト制御部50では、アナログ−デジタル変換回路54から入力されるデジタル値に基づいて、アームの速度が一定の範囲に収まるように、ボイスコイルモータM2の駆動電圧の極性とその印加のタイミングが調節される。
例えば、アームの速度が一定の範囲に達していないことをデジタル値が示している場合は、アームが更に加速されるようにするため、正の駆動電圧がボイスコイルモータM2に一定時間入力される。この場合、上記と同様に、トランジスタTr23及びTr22がオン状態、トランジスタTr21及びTr24がオフ状態にされる。一方、アームの速度が一定の範囲を超えていることをデジタル値が示している場合は、アームが減速されるようにするため、負の駆動電圧がボイスコイルモータM2に一定時間入力される。この場合は、トランジスタTr21及びTr24がオン状態、トランジスタTr22及びTr23がオフ状態にされる。アームの速度が一定の範囲内にあることをデジタル値が示している場合は、駆動電圧の供給を停止した状態が維持され、アナログ−デジタル変換回路54による逆起電力の測定が繰り返される。
【0076】
ところで、上記のようにボイスコイルモータM2の駆動が行われると、その電力消費によってキャパシタC10の電荷が放電されて、電源線ISO3Vの電源電圧が低下する。そこで、リトラクト動作時には、図4に示すように、キャパシタC11の8ボルトの電圧がキャパシタC10の充電に用いられる。すなわち、リトラクト制御部50の制御によって、トランジスタ駆動回路53からトランジスタTr2のゲートに所定の電圧Vgが供給され、トランジスタTr2が導通する。キャパシタC11の電荷がトランジスタTr2を介してキャパシタC10に流れることにより、電源線ISO3Vの電源電圧は、トランジスタ駆動回路53の出力電圧Vgに比べてトランジスタTr2のしきい値電圧Vtだけ低い一定の電圧Vmに維持される。
【0077】
しかしながら、キャパシタC11の電荷が放電によって低下し続けると、トランジスタ駆動回路53の出力電圧Vgとしきい値電圧Vtとによって規定される上述の電圧Vmが維持されなくなる。そこで、本実施形態に係るディスク駆動装置では、キャパシタC11の電圧低下に伴う電源線ISO3Vの電源電圧の低下を抑制するため、図4に示すように、スピンドルモータM1の逆起電力を整流して電源線(ISO3V,VGND)に出力する整流動作が行われる。
【0078】
本実施形態に係るドライブ駆動装置は、例えば2通りの方法によって逆起電力の整流を行うことができる。
【0079】
第1の整流方法では、トランジスタ駆動部20が常に整流モードで動作する。この場合、スピンドルモータM1の3つの端子(U,V,W)の中で電圧が最も高く、かつ、電源線ISO3Vより電圧の高い端子が電源線ISO3Vに接続される。また、3つの端子(U,V,W)の中で電圧が最も低く、かつ、端子ICOMより電圧の低い端子が端子ICOMに接続される。
【0080】
一方、第2の整流方法では、トランジスタ駆動部20が短絡モードと整流モードで交互に動作する。短絡モードでは、スピンドルモータM1の3つの端子(U,V,W)がグランド線VGNDに短絡される。これにより、3つのコイル(LU,LV,LW)には、回転に伴う逆起電力と各コイルの導線抵抗とに応じた電流が流れる。短絡モードが解除されて整流モードに移行すると、各コイルに蓄えられた磁気エネルギーがサージ電圧となって電源線(ISO3V,VGND)に出力されるため、第1の整流方法よりも高い整流電圧が生成される。
【0081】
本実施形態に係るドライブ駆動装置では、例えばリトラクト動作の当初から上述した整流方法による整流が可能となるようにトランジスタ駆動部20が制御される。リトラクト動作の初期においては、電源線ISO3Vの電圧がキャパシタC11の電流により維持されており、電源線ISO3Vの電圧がスピンドルモータM1の3つの端子U,V,Wより高いため、逆起電力の整流は行われない。また、このとき、電源線ISO3VからスピンドルモータM1へ電力が入力されることはない。キャパシタC11の放電に伴って電源線ISO3Vの電圧が低下し、電源線ISO3Vの電圧がスピンドルモータM1の3つの端子U,V,Wより低くなると、逆起電力の整流動作が自動的に開始される。
【0082】
図5は、リトラクト動作時におけるキャパシタC11の電圧(V8)と電源線ISO3Vの電圧の変化を例示する図である。図の斜線部は、スピンドルモータM1の逆起電力を整流した電圧を示す。
【0083】
キャパシタC11の電圧(V8)が放電により低下し、時刻t1において「Vm+Vt」より低くなると、電源線ISO3Vの電圧がキャパシタC11の電圧と連動して低下する。
時刻t2において、電源線ISO3Vの電圧がスピンドルモータM1の端子U,V,Wの電圧より低くなると、スピンドルモータM1の逆起電力が整流されて電源線ISO3Vに出力されるようにモータ駆動部10の各トランジスタの導通状態が制御される。これにより、キャパシタC11の電圧低下に連動した電源線ISO3Vの電圧低下が抑制される。ボイスコイルモータM2は、スピンドルモータM1の逆起電力に基づいて安定に駆動される。
【0084】
一方、図6は、一定時間が経過するまでスピンドルモータM1の逆起電力の整流を行わないようにした場合を説明するための図である。これは、予め定めたタイマー値に従ってボイスコイルモータへの電源供給方法を切り替える従来の方式に対応する。
図6の例では、予め定めた時刻t3に達するまでスピンドルモータM1の逆起電力の整流が行われないため、その前に電源線ISO3Vの電圧がゼロボルトまで落ちてしまっている。電源線ISO3Vがゼロボルトになり、ボイスコイルモータM2に駆動電力が供給されなくなると、ボイスコイルモータM2のトルクが低下するため、衝撃等によってアームがディスク側に戻ってしまう可能性がある。本実施形態に係るドライブ駆動装置では、図6に示すようにタイマー値に基づいて逆起電力の整流が開始されるのではなく、図5に示すように電源線ISO3Vの電圧低下に応じて自動的に逆起電力の整流が開始される。そのため、上述のようなボイスコイルモータM2のトルク低下による問題が回避される。
【0085】
次に、上述した第1の整流方法と第2の整流方法のそれぞれの場合についてシミュレーションにより求めた各ノードの電圧波形の例を示す。
【0086】
図7は、第1の整流方法におけるキャパシタC11の電圧(V8)、電源線ISO3Vの電圧、及び、スピンドルモータM1の端子電圧(U,V,W)のシミュレーション波形の例を示す図である。
図7の例では3[msec]付近で整流動作が始まっており、これによって電源線ISO3Vの電圧低下のペースが緩やかになっている。
【0087】
なお、図7において、電源線ISO3Vの電圧とキャパシタC11の電圧(V8)がほぼ等しくなる期間Tdetが繰り返し現れているが、これは、ボイスコイルモータM2への駆動電圧の供給を停止して逆起電力の測定を行っている期間に対応する。この期間においては、ボイスコイルモータM2に電流が殆ど流れないため、トランジスタTr2の電圧降下が小さくなっている。
【0088】
一方、図8は、第2の整流方法におけるキャパシタC11の電圧(V8)、電源線ISO3Vの電圧、及び、スピンドルモータM1の端子電圧(U,V,W)のシミュレーション波形の例を示す図である。
逆起電力による端子電圧(U,V,W)はピークにおいて1.4ボルト程度であるが、短絡モードから整流モードへ移行する際の端子電圧(U,V,W)は3ボルト付近まで上昇する。これにより、第2の整流方法では、電源線ISO3Vの電圧が3V付近まで高くなっている。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、リトラクト動作時において、電源線ISO3VからスピンドルモータM1への電力の入力を阻止しつつ、スピンドルモータM1の逆起電力を整流して電源線(ISO3V,VGND(又はICOM))に出力するようにモータ駆動部10の各トランジスタ(Tr11〜Tr16)が制御される。これにより、電源線(ISO3V,VGND)の電圧が逆起電力の整流電圧より低くなると自動的に電源線(ISO3V,VGND)へ整流電圧が出力されるため、タイマー値を参照して電源供給方法を切り替える従来の装置のように、電源線(ISO3V,VGND)の電圧が一時的に低下してボイスコイルモータM2に駆動電力を供給できなくなる問題を回避できる。
【0090】
また本実施形態によれば、スピンドルモータM1の各端子(U,V,W)を端子ICOMに短絡する短絡モードと、電源線(ISO3V,VGND(又はICOM))からスピンドルモータM1への電力の入力を阻止しつつスピンドルモータM1の逆起電力を整流して電源線(ISO3V,VGND)に出力する整流モードとが交互に繰り返される。これにより、ピンドルモータM1の逆起電力をそのまま整流する場合に比べて高い電圧を電源線(ISO3V,VGND)に出力することが可能となる。
【0091】
一般に、ハードディスクドライブ装置では、ディスクサイズが小型になるほどスピンドルモータの逆起電力が小さくなる傾向がある。逆起電力が小さい場合、整流電圧も小さくなるため、リトラクト動作に十分な電圧をボイスコイルモータに供給すること困難になる。この場合、従来の装置では、キャパシタの充電電圧によってボイスコイルモータを駆動する必要があり、十分な駆動時間を得るためにはキャパシタの容量を大きくする必要があった。
本実施形態によれば、短絡モードと整流モードを交互に繰り返すことによってスピンドルモータの逆起電力より大きな電圧を生成できるため、スピンドルモータの逆起電力が小さい場合でもキャパシタの大容量化を抑えることができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、スピンドルモータM1の逆起電力より大きな電圧を生成することによって、電源線ISO3Vの電圧低下のペースが相対的に小さくなることから、長い時間に渡ってボイスコイルモータM2を駆動できる。これにより、ヘッドを安全領域に留めておくようにボイスコイルモータM2を駆動する時間を長くできるため、ヘッドの安全領域からの跳ね返りを有効に防止できる。
【0093】
更に、本実施形態によれば、リトラクト動作においてアームの速度が所定範囲内に収まるようにボイスコイルモータM2が制御されるため、ボイスコイルモータに一定の電圧を印加し続ける方式に比べてモータ駆動電力を削減できる。これにより、リトラクト動作においてボイスコイルモータに駆動電力を供給するキャパシタ(C11)の容量を抑えることができる。
【0094】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0095】
例えば、本発明の他の実施形態では、電源線(ISO3V,VGND(又はICOM))の電圧に応じて、上述した第1の整流方法と第2の整流方法を切り替えてもよい。例えば、リトラクト制御部50は、電源線(ISO3V,VGND(又はICOM))の電圧を電圧検知回路により監視して、この電圧が所定のしきい値より低くなった場合に上述した第2の整流方法による整流を行ってもよい。
これにより、リトラクトの前半では主にキャパシタC11の電荷がボイスコイルモータM2の駆動に利用され、キャパシタC11の電圧が一定レベルまで低くなったところで、スピンドルモータM1の逆起電力がボイスコイルモータM2の駆動に利用される。
【0096】
また、本発明の他の実施形態では、ボイスコイルモータM2に入力する駆動電圧の印加時間をアナログ−デジタル変換回路54のデジタル値に応じて変化させてもよい。すなわち、アームの速度の標準値に対する誤差が大きいほど、駆動電圧の印加時間が長くなるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
M1…スピンドルモータ、M2…ボイスコイルモータ、10,30…モータ駆動部、12…リトラクトダンピング抵抗部、20,22,40,42…トランジスタ駆動部、201〜206,401〜404…ゲート駆動回路、24,44…信号選択回路、50…リトラクト制御部、51…クロック発生回路、52,53…トランジスタ駆動回路、54…アナログ−デジタル変換回路、61…チャージポンプ回路、62,63…レギュレータ回路、64…クランプ回路、SW1〜SW3,SW11〜SW16,SW21〜SW24…スイッチ、Tr1,Tr2…トランジスタ、C10〜C12…キャパシタ、D1…ダイオード、R1〜R5,RG…抵抗、LU,LV,LW…コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状記録媒体を回転する第1モータと上記ディスク状記録媒体の情報にアクセスするためのヘッドを動かす第2モータとを、第1電源線及び第2電源線に供給される電力に基づいて制御するモータ制御装置であって、
上記第1電源線及び上記第2電源線と上記第1モータの複数の入力端子とを接続する複数のトランジスタを含んだ第1モータ駆動部と、
上記ヘッドを安全領域に退避させる非常動作時において、上記第1モータの上記複数の入力端子に生じる逆起電力を上記第1電源線の電圧並びに上記第2電源線の電圧と比較し、当該比較結果に応じて、上記第1電源線及び上記第2電源線から上記第1モータへの電力の入力を阻止するとともに、上記第1モータが発生する逆起電力を整流して上記第1電源線及び上記第2電源線に出力するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する第1モータ制御部と、
を有するモータ制御装置。
【請求項2】
上記第1モータ制御部は、上記非常動作時において、上記第1モータの全ての端子を上記第2電源線に短絡するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する短絡モードと、上記電圧比較結果に応じて、上記第1電源線及び上記第2電源線から上記第1モータへの電力の入力を阻止するとともに、上記第1モータが発生する逆起電力を整流して上記第1電源線及び上記第2電源線に出力するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する整流モードとを交互に繰り返す、
請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
上記第1モータ制御部は、上記第1電源線と上記第2電源線との間に生じる電源電圧が所定のしきい値より低い場合に上記短絡モードと上記整流モードとを交互に繰り返す、
請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
上記第1モータ駆動部は、
上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第1電源線とを接続する複数の第1トランジスタと、
上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第2電源線とを接続する複数の第2トランジスタとを含み、
上記第1モータ制御部は、
上記複数の第1トランジスタの駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路であって、上記整流モードにおいて、駆動対象の上記第1トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第1トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力し、上記短絡モードにおいて、当該駆動対象の第1トランジスタを非導通とする駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路と、
上記複数の第2トランジスタの駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路であって、上記整流モードにおいて、駆動対象の上記第2トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第2トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力し、上記短絡モードにおいて、当該駆動対象の第2トランジスタを非導通とする駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路とを含む、
請求項2又は3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
通常動作時において、上記第1電源線及び上記第2電源線から上記第1モータへ電力を供給するように生成された駆動信号群を上記複数の第1トランジスタ及び上記複数の第2トランジスタに入力し、上記非常動作時において、上記複数の第1トランジスタ駆動回路及び上記複数の第2トランジスタ駆動回路により生成された駆動信号群を上記複数の第1トランジスタ及び上記複数の第2トランジスタに入力する信号選択回路を有する、
請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
上記ヘッドの速度を検出する検出部と、
上記第1電源線及び上記第2電源線の電源電圧に基づいて、上記ヘッドを加速又は減速させる極性を持った駆動電圧を生成し、当該生成した駆動電圧を上記第2モータに印加する第2モータ駆動部と、
上記非常動作時において、上記ヘッドが所定の速度に近づくように、上記検出部の検出結果に応じて上記駆動電圧の極性と出力タイミングを制御する第2モータ制御部とを有する、
請求項2乃至5の何れか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
上記検出部は、上記第2モータ駆動部が上記第2モータに上記駆動電圧を印加していない期間に上記第2モータが発生する逆起電力を検出する、
請求項6に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
上記第1モータ駆動部は、
上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第1電源線とを接続する複数の第1トランジスタと、
上記第1モータの上記複数の入力端子と上記第2電源線とを接続する複数の第2トランジスタとを含み、
上記第1モータ制御部は、
上記複数の第1トランジスタの駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路であって、駆動対象の上記第1トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第1トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力する複数の第1トランジスタ駆動回路と、
上記複数の第2トランジスタの駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路であって、駆動対象の上記第2トランジスタの両端の電圧を比較した結果に応じて当該駆動対象の第2トランジスタの導通状態を制御する駆動信号を出力する複数の第2トランジスタ駆動回路とを含む、
請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項9】
上記非常動作時において、上記第1モータの上記複数の入力端子並びに上記第1モータの複数のコイルが共通に接続される共通端子を上記第2電源線に接続する複数の抵抗素子を含んだ抵抗回路を有する、
請求項2乃至8の何れか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項10】
ディスク状記録媒体を回転する第1モータと、
上記ディスク状記録媒体の情報にアクセスするためのヘッドを動かす第2モータと、
第1電源線及び第2電源線に供給される電力に基づいて上記第1モータ及び上記第2モータを制御するモータ制御装置とを有し、
上記モータ制御装置は、
上記第1電源線及び上記第2電源線と上記第1モータの複数の入力端子とを接続する複数のトランジスタを含んだ第1モータ駆動部と、
上記ヘッドを安全領域に退避させる非常動作時において、上記第1モータの全ての端子を上記第2電源線に短絡するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する短絡モードと、上記第1モータの上記複数の入力端子に生じる逆起電力を上記第1電源線の電圧並びに上記第2電源線の電圧と比較し、当該比較結果に応じて、上記第1電源線及び上記第2電源線から上記第1モータへの電力の入力を阻止するとともに、上記第1モータが発生する逆起電力を整流して上記第1電源線及び上記第2電源線に出力するように上記第1モータ駆動部の各トランジスタを制御する整流モードとを交互に繰り返す第1モータ制御部とを含む、
ディスク駆動装置。
【請求項11】
円盤状媒体を回転させる3相DCモータである第1モータの逆起電力を利用して、上記円盤状媒体に対するヘッドを動作させる第2モータを駆動し、上記ヘッドの退避動作を制御する制御回路であって、
上記第1モータの第1の端子と第1の電圧供給線との間に接続された第1のトランジスタと、上記第1の端子と第2の電圧供給線との間に接続された第2のトランジスタと、上記第1のモータの第2の端子と上記第1の電圧供給線との間に接続された第3のトランジスタと、上記第2の端子と上記第2の電圧供給線との間に接続された第4のトランジスタと、上記第1のモータの第3の端子と上記第1の電圧供給線との間に接続された第5のトランジスタと、上記第3の端子と上記第2の電圧供給線との間に接続された第6のトランジスタとを含む第1のモータ駆動部と、
上記ヘッドを退避させるための退避モードにおいて、上記第1の端子の電圧と上記第1の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第1のトランジスタの導通状態を制御する第1のトランジスタ駆動回路と、上記第1の端子の電圧と上記第2の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第2のトランジスタの導通状態を制御する第2のトランジスタ駆動回路と、上記第2の端子の電圧と上記第1の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第3のトランジスタの導通状態を制御する第3のトランジスタ駆動回路と、上記第2の端子の電圧と上記第2の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第4のトランジスタの導通状態を制御する第4のトランジスタ駆動回路と、上記第3の端子の電圧と上記第1の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第5のトランジスタの導通状態を制御する第5のトランジスタ駆動回路と、上記第3の端子の電圧と上記第2の電圧供給線の電圧とを比較して当該比較結果に応じて上記第6のトランジスタの導通状態を制御する第6のトランジスタ駆動回路とを含む第1のモータ制御部と、
を含み、
上記第1のモータ制御部の制御により上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に電圧が生成される、制御回路。
【請求項12】
上記第1のモータの上記第1、第2及び第3の端子と、上記第1のモータの共通端子と、上記第1又は第2の電圧供給線とに接続される抵抗回路を更に有し、
上記退避モードにおいて、上記第1、第2及び第3の端子と上記共通端子とを上記第1又は第2の電圧供給線に上記抵抗回路を介して接続する短絡モードと、上記第1乃至第6のトランジスタの導通状態が上記第1のモータ制御部の上記第1乃至第6のトランジスタ駆動回路により制御されて上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に電圧が生成される整流モードとが繰り返される、
請求項11に記載の制御回路。
【請求項13】
上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に接続されたコンデンサと、上記コンデンサの電圧を検知する電圧検知回路とを更に有し、
上記退避モードにおいて、上記電圧検知回路が上記コンデンサの電圧が所定の値以下であることを検知すると、上記第1のモータ制御部が上記第1乃至第6のトランジスタの導通状態を制御して上記第1の電圧供給線と上記第2の電圧供給線との間に電圧が生成される、
請求項11又は12に記載の制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−288425(P2010−288425A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142561(P2009−142561)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】