説明

モータ駆動回路

【課題】モータを迅速に起動すること。
【解決手段】モータの正方向又は逆方向の回転を指示する回転方向指示信号に応じて、モータを正方向又は逆方向に回転させるための駆動信号を出力する駆動回路1と、モータの回転数が基準回転数よりも高いか否かを比較する回転数比較回路4と、回転方向指示信号が変化すると回転数比較回路4の比較結果に基づいて制動を制御するショートブレーキ制御回路2と、回転方向を変更する通電相順序切替制御回路3と、モータが停止しているときに回転方向指示信号が変化すると、回転数比較回路4の比較結果に関わらず、モータの制動動作が行われずにモータの回転方向が変更されるように駆動回路1を制御する為の判断回路110と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、モータの回転方向を切り替えるときに電源電圧を上昇させず、制御半導体素子の破壊を防止することができるモータ制御回路が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記のモータ制御回路は、モータの回転方向を切り替える場合、モータの回転による逆起電圧に起因した過電流が制御半導体素子に供給されて当該制御半導体素子が破壊されるのを防止するために、モータの回転数と基準回転数とを比較した比較結果に基づいて、モータの回転方向を切り替えている。つまり、モータの回転数が基準回転数より高い場合、モータ制御回路は、モータの回転数が基準回転数より低くなるまでモータを制動した後にモータの回転方向を切り替え、一方、モータの回転数が基準回転数より低い場合、モータ制御回路は、モータを制動せずにモータの回転方向を切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−130538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、モータが停止しているときに、モータの正方向又は逆方向の回転を指示して回転方向を切り替える回転方向指示信号が変化した場合、モータを起動する機能を有するシステムが知られている。例えば、特許文献1のモータ制御回路がこの機能を有している。このモータ制御回路では、電源の投入後及びモータの拘束後に回転方向指示信号が変化した場合、モータの回転による逆起電圧に起因した過電流が制御半導体素子に供給されず、当該半導体素子が破壊される虞が無いにも関わらず、モータ制御回路は、モータの回転数と基準回転数とを比較する比較動作を行っていた。そのため、モータを迅速に起動できない虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、モータの正方向又は逆方向の回転を指示する回転方向指示信号に応じて、前記モータを正方向又は逆方向に回転させるための駆動信号を出力する駆動回路と、前記モータの回転数が基準回転数よりも高いか否かを比較する比較回路と、前記モータの回転数が前記基準回転数よりも高いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動されるように前記駆動回路を制御し、前記モータの回転数が前記基準回転数よりも低いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動されないように前記駆動回路を制御する第1制御回路と、前記モータの回転数が前記基準回転数よりも高いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動された状態において前記モータの回転方向が変更されるように前記駆動回路を制御し、前記モータの回転数が前記基準回転数よりも低いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動されていない状態において前記モータの回転方向が変更されるように前記駆動回路を制御する第2制御回路と、前記モータが停止しているときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記比較回路の比較結果に関わらず、前記モータの制動動作が行われずに前記モータの回転方向が変更されるように前記駆動回路を制御する第3制御回路と、を備えたことを特徴とするモータ駆動回路である。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モータを迅速に起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るモータ駆動回路を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るモータ駆動回路がモータを初期起動する際の信号を示す波形図である。
【図3】本発明の実施形態に係るモータ駆動回路が拘束保護を行ってからモータを起動する際の信号を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
===モータ駆動回路の全体構成===
図1は、本実施形態に係るモータ駆動回路を示す図である。
モータ駆動回路100は、例えば三相センサレスモータ(以下、モータという)の駆動コイルに駆動電流を供給するための回路であり、駆動回路1、ショートブレーキ制御回路2(第1制御回路)、通電相順序切替制御回路3(第2制御回路)、回転数検出回路9、回転数比較回路4(比較回路)、判定回路110(第1判定回路、第2判定回路)、制御回路120及び5個の端子Tb、Tc、Tu、Tv、Twを備えて構成される。
【0012】
モータ駆動回路100の端子Tu、Tv、Twは夫々、スター結線され且つ電気角120度の位相差を有してモータのステータに巻回された三相(U相、V相、W相)の駆動コイルLu、Lv、Lwの中性点P100とは反対の一端に接続される。モータの正方向又は逆方向の回転を指示する回転方向指示信号Sc3、モータの回転数と比較する対象である基準回転数を設定するための閾値信号Sc6は夫々、例えばマイコン(不図示)から端子Tc、Tbに入力される。尚、基準回転数の詳細については後述する。
【0013】
駆動回路1は、駆動コイルLu、Lv、Lwにモータを回転させるための駆動電流を供給する回路である。駆動回路1は、三相の駆動コイルLu、Lv、Lw夫々に駆動電流を供給するための三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを有する。各相のソーストランジスタとシンクトランジスタとの接続点夫々は、端子Tu、Tv、Twに接続される。
【0014】
通電相順序切替制御回路3は、モータの回転方向を変更するために、駆動回路1から駆動コイルLu、Lv、Lwに供給される駆動電流の供給順序及び供給方向を切り替える回路である。
【0015】
ショートブレーキ制御回路2は、モータが例えばショートブレーキにより制動されるように駆動回路1を制御する回路である。ショートブレーキ制御回路2は、駆動回路1の三相分の例えばソーストランジスタ全てをオン又は、三相分の例えばシンクトランジスタ全てをオンしてモータを制動する。
【0016】
回転数検出回路9は、モータの回転速度に応じた周波数を有するFG信号を出力する回路である。
【0017】
回転数比較回路4は、FG信号に基づいて、モータの回転数が、基準回転数よりも高いか否かを比較し、比較結果を示す比較信号Sc2を出力する回路である。
【0018】
判定回路110は、FG信号に基づいて、モータが停止しているか否かを判定し、判定結果を示す判定信号Sc1を出力する回路である。尚、判定回路110の詳細については後述する。
【0019】
制御回路120は、回転方向指示信号Sc3が変化した場合、判定信号Sc1及び比較信号Sc2に基づいて、ショートブレーキ制御回路2及び通電相順序切替制御回路3を制御する回路である。例えば、モータが停止していないことを示す判定信号Sc1が出力されているときに回転方向指示信号Sc3が変化した場合、制御回路120は、モータの回転数が基準回転数よりも高くないことを示す比較信号Sc2が出力されるまでモータが制動されるようにショートブレーキ制御回路2を制御する。その後に、制御回路120は、モータの回転方向が変更されるように通電相順序切替制御回路3を制御する。一方、例えば、モータが停止していることを示す判定信号Sc1が出力されているときに回転方向指示信号Sc3が変化した場合、制御回路120は、比較信号Sc2に示される比較結果に関わらず、モータの回転方向が変更されるように通電相順序切替回路3を制御する。尚、制御回路120の詳細については後述する。
【0020】
===判定回路===
判定回路110は、FG信号に基づいて、モータが停止しているか否かを判定し、判定結果を示す判定信号Sc1を出力する回路である。
判定回路110は、回転数比較選択回路5、拘束保護回路6及びFGカウンタ7(カウンタ)を備えて構成される。
【0021】
拘束保護回路6は、FG信号と回転方向指示信号Sc3とが入力され、SET信号及び制御信号Sc9を出力する。拘束保護回路6は、所定期間Ta以内にFG信号が第1所定数(例えば1個)入力されない場合、駆動コイルLu、Lv、Lwへの駆動電流の供給を停止する制御信号Sc9とSET信号とを出力する。尚、SET信号は、FG信号の立ち上がりエッジが拘束保護回路6に入力された時から所定期間Ta以内に、FG信号の立ち上がりエッジが再度入力されない場合、FG信号の立ち上がりエッジが拘束保護回路6に入力されてから所定期間Ta経過時に拘束保護回路6から出力されるワンショットのパルス信号である。駆動コイルLu、Lv、Lwへの駆動電流の供給を停止する制御信号Sc9が出力された後に例えば回転方向指示信号Sc3が変化した場合、拘束保護回路6は、駆動コイルLu、Lv、Lwへの駆動電流の供給を開始させるための制御信号Sc9を出力する。又、拘束保護回路6は、モータ駆動回路100への電源投入後、拘束保護回路6に電源電圧が印加されたときもSET信号を出力するものとする。
【0022】
FGカウンタ7は、FG信号と回転方向指示信号Sc3とが入力され、RESET信号を出力する。FGカウンタ7は、FG信号の立ち上がりエッジの数をカウントし、回転方向指示信号Sc3が変化したときにカウント値をリセットする。FGカウンタ7は、カウント値が第2所定数(例えば10個)に達したときにRESET信号を出力する。尚、RESET信号は、FGカウンタ7のカウント値が第2所定数に達したときにFGカウンタ7から出力されるワンショットのパルス信号である。
【0023】
回転数比較選択回路5は、SET信号とRESET信号とが入力され、判定信号Sc1を出力する。回転数比較選択回路5は、回転数比較選択回路5に入力されたSET信号及びRESET信号を保持し、保持した信号を示す判定信号Sc1を出力する回路である。例えば、SET信号が回転数比較選択回路5に入力された場合、回転数比較選択回路5は、ハイレベルの判定信号Sc1を出力し、例えば、RESET信号が回転数比較選択回路5に入力された場合、ローレベルの判定信号Sc1を出力するものとする。
【0024】
===回転数比較回路===
回転数比較回路4は、FG信号に基づいて、モータの回転数が、基準回転数よりも高いか否かを比較し、比較結果を示す比較信号Sc2を出力する回路である。回転数比較回路4は、閾値信号Sc6、回転方向指示信号Sc3及びFG信号が入力され、比較信号Sc2を出力する。回転方向指示信号Sc3が変化した場合、回転数比較回路4は、FG信号に基づいて、モータの回転数が、閾値信号Sc6によって設定された基準回転数よりも高いか否かを比較する比較動作を開始する。ここで、基準回転数は、駆動回路1から駆動コイルLu、Lv、Lwにモータの回転方向を変更する駆動電流を供給した場合、モータの回転による逆起電圧に起因した過電流が駆動回路1に供給されず、駆動回路1が破壊される虞がない回転数よりも低い回転数であり、例えば100Hzとする。例えば、回転数比較回路4は、FG信号の立ち上がりエッジが回転数比較回路4に入力されたときから、基準回転数(例えば100Hz)の例えば1周期に相当する時間(例えば10ミリ秒)以内にFG信号の立ち上がりエッジが入力されるか否かにより、モータの回転数が基準回転数よりも高いか否かを判断する。尚、FG信号は、モータの回転数と同様な周波数のパルス信号とする。例えば、基準回転数(例えば100Hz)の例えば1周期に相当する時間(例えば10ミリ秒)以内にFG信号の立ち上がりエッジが入力された場合、回転数比較回路4は、モータの回転数が基準回転数よりも高いと判断する。一方、例えば、基準回転数(例えば100Hz)の例えば1周期に相当する時間(例えば10ミリ秒)以内にFG信号の立ち上がりエッジが入力さない場合、回転数比較回路4は、モータの回転数が基準回転数よりも高くないと判断する。
【0025】
回転数比較回路4は、モータの回転数が基準回転数よりも高いと判断した場合、例えばローレベルの比較信号Sc2を出力し、モータの回転数が基準回転数より高くないと判断した場合、回転数比較回路4は、例えばハイレベルの比較信号Sc2を出力するものとする。尚、回転数比較回路4は、モータ駆動回路100への電源投入後、回転数比較回路4に電源電圧が印加されたときはローレベルの比較信号Sc2を出力するものとする。
【0026】
===制御回路===
制御回路120は、回転方向指示信号Sc3が変化した場合、判定信号Sc1及び比較信号Sc2に基づいて、ショートブレーキ制御回路2及び通電相順序切替制御回路3を制御する回路である。制御回路120は、正逆回転方向制御回路8及びOR回路300を備えて構成される。
OR回路300は、判定信号Sc1と比較信号Sc2とが入力され、出力制御信号Sc7を出力する。
正逆回転方向制御回路8は、回転方向指示信号Sc3と出力制御信号Sc7とが入力され、回転方向信号Sc8を出力する。例えば、ハイレベルの出力制御信号Sc7が正逆回転方向制御回路8に入力された場合、正逆回転方向制御回路8は、回転方向指示信号Sc3と同様な論理レベルの回転方向信号Sc8を出力するものとする。一方、例えば、ローレベルの出力制御信号Sc7が正逆回転方向制御回路8に入力された場合、正逆回転方向制御回路8は、直前に出力していた論理レベルの回転方向信号Sc8を出力するものとする。
【0027】
===ショートブレーキ制御回路===
ショートブレーキ制御回路2は、モータが例えばショートブレーキにより制動されるように駆動回路1を制御する回路である。ショートブレーキ制御回路2は、回転方向指示信号Sc3と出力制御信号Sc7とが入力され、ブレーキ信号Sc4を出力する。
例えば、ローレベルの出力制御信号Sc7がショートブレーキ制御回路2に入力された状態で回転方向指示信号Sc3が変化した場合、ショートブレーキ制御回路2は、駆動回路1の三相分の例えばソーストランジスタ全てをオンするブレーキ信号Sc4を出力するものとする。一方、例えば、ハイレベルの出力制御信号Sc7がショートブレーキ制御回路2に入力された場合、ショートブレーキ制御回路2は、ブレーキ信号Sc4を出力しないものとする。
【0028】
===通電相順序切替制御回路===
通電相順序切替制御回路3は、モータの回転方向を変更するために、駆動回路1から駆動コイルLu、Lv、Lwに供給される駆動電流の供給順序及び供給方向を切り替える回路である。通電相順序切替制御回路3は、回転方向信号Sc8が入力され、通電相順序信号Sc5を出力する。
例えば、ハイレベルの回転方向信号Sc8が通電相順序切替制御回路3に入力された場合、通電相順序切替制御回路3は、モータが例えば正回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5を出力するものとする。例えば、ローレベルの回転方向信号Sc8が通電相順序切替制御回路3に入力された場合、通電相順序切替制御回路3は、モータが例えば逆回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5を出力するものとする。
【0029】
===駆動回路===
駆動回路1は、駆動コイルLu、Lv、Lwにモータを回転させるための駆動電流を供給する回路である。駆動回路1は、ブレーキ信号Sc4、通電相順序信号Sc5及び制御信号Sc9が入力され、駆動コイルLu、Lv、Lwに駆動電流を供給する。
【0030】
例えば、駆動回路1の三相分の例えばソーストランジスタ全てをオンするブレーキ信号Sc4が駆動回路1に入力された場合、駆動回路1は、モータがショートブレーキにより制動されるように三相分のソーストランジスタ全てをオンとするものとする。例えば、モータが正回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5が駆動回路1に入力された場合、駆動回路1は、モータを正回転させるための駆動電流が駆動コイルLu、Lv、Lwに供給されるように、三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを適宜オンオフするものとする。例えば、モータが逆回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5が駆動回路1に入力された場合、駆動回路1は、モータを逆回転させるための駆動電流が駆動コイルLu、Lv、Lwに供給されるように、三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを適宜オンオフするものとする。例えば、駆動電流の供給を停止させるための制御信号Sc9が駆動回路1に入力された場合、駆動回路1は、駆動コイルLu、Lv、Lwへ駆動電流が供給されないように例えば三相分のソーストランジスタ全てをオフするものとする。例えば、駆動電流の供給を開始させるための制御信号Sc9が駆動回路1に入力された場合、駆動回路1は、通電相順序信号Sc5に基づいてモータが正回転又は逆回転する駆動電流が駆動コイルLu、Lv、Lwに供給されるように三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを適宜オンオフするものとする。
【0031】
===モータ駆動回路の動作===
図1、図2、図3を参照してモータ駆動回路100の動作について説明する。
図2は、本実施形態に係るモータ駆動回路がモータを初期起動する際の信号を示す波形図である。図3は、本実施形態に係るモータ駆動回路が拘束保護を行ってからモータを起動する際の信号を示す波形図である。尚、図2及び図3の時刻は、同軸時間軸上において連続していることとする。
例えば、時刻T1にモータ駆動回路100への電源投入が行われるものとして、初期起動期間(時刻T1から時刻T3)、定常回転期間(時刻T3から時刻T6)、拘束期間(時刻T12から時刻T13)、拘束保護期間(時刻T13から時刻T14)、起動期間(時刻T14からT15)に分けて、モータ駆動回路100の動作について説明する。
【0032】
<初期起動期間(時刻T1から時刻T3)>
例えば、時刻T1の場合、拘束保護回路6は、電源電圧が印加され、パルス状のSET信号を出力する。回転数比較選択回路5は、SET信号が入力され、ハイレベルの判定信号Sc1を出力する。OR回路300は、ハイレベルの判定信号Sc1が入力され、比較信号Sc2の論理レベルに関わらず、ハイレベルの出力制御信号Sc7を出力する。ショートブレーキ制御回路2は、ハイレベルの出力制御信号Sc7が入力され、ブレーキ信号Sc4を出力しない状態になる。正逆回転方向制御回路8は、ハイレベルの出力制御信号Sc7が入力され、回転方向指示信号Sc3と同様な論理レベルの回転方向信号Sc8を出力する。通電相順序切替制御回路3は、ハイレベルの回転方向信号Sc8が入力され、モータが正回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5を出力する。駆動回路1は、モータが正回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5が入力され、モータを正回転させるための駆動電流が駆動コイルLu、Lv、Lwに供給されるように、三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを適宜オンオフする。モータは、駆動コイルLu、Lv、Lwに供給された駆動電流により、正回転する。
【0033】
例えば、時刻T2で回転方向指示信号Sc3がハイレベルからローレベルに変化した場合、FGカウンタ7は、時刻T1から時刻T2の間にカウントしたFG信号の立ち上がりエッジの数であるカウント値をリセットする。回転数比較選択回路5、OR回路300、ショートブレーキ制御回路2及び正逆回転方向制御回路8は、時刻T1の場合と同様な動作を行うので、その説明は省略する。通電相順序切替制御回路3は、ローレベルの回転方向信号Sc8が入力され、モータが逆回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5を出力する。駆動回路1は、モータが逆回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5が入力され、モータを逆回転させるための駆動電流が駆動コイルLu、Lv、Lwに供給されるように、三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを適宜オンオフする。モータは、駆動コイルLu、Lv、Lwに供給された駆動電流により、逆回転する。
【0034】
従って、初期起動期間に回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータ駆動回路100は、回転数比較回路4の比較信号Sc2に関わらず、モータを制動せずに、モータの回転方向を切り替える。
【0035】
<定常回転期間(時刻T3から時刻T6)>
例えば、時刻T3の場合、FGカウンタ7は、カウント値が第2所定数(例えば10個)に達し、RESET信号を出力する。回転数比較選択回路5は、RESET信号が入力され、ローレベルの判定信号Sc1を出力する。
【0036】
例えば、時刻T4で回転方向指示信号Sc3がローレベルからハイレベルに変化した場合、回転数比較選択回路5は、時刻T3のときに出力したローレベルの判定信号Sc1を出力する。回転数比較回路4は、FG信号に基づいて、モータの回転数が、基準回転数よりも高いか否かを比較し、モータの回転数が基準回転数よりも例えば高いことを示すローレベルの比較信号Sc2を出力する。OR回路300は、ローレベルの判定信号Sc1と例えばローレベルの比較信号Sc2とが入力され、ローレベルの出力制御信号Sc7を出力する。ショートブレーキ制御回路2は、ローレベルの出力制御信号Sc7が入力された状態で、回転方向指示信号Sc3が変化し、駆動回路1の三相分の例えばソーストランジスタ全てをオンするブレーキ信号Sc4を出力する。駆動回路1は、ブレーキ信号Sc4が入力され、モータがショートブレーキにより制動されるように三相分のソーストランジスタ全てをオンする。モータは、駆動回路1のショートブレーキにより制動される。
【0037】
例えば、時刻T5の場合、回転数比較回路4は、FG信号に基づいて、モータの回転数が、基準回転数よりも高いか否かを比較し、モータの回転数が基準回転数よりも例えば高くないことを示すハイレベルの比較信号Sc2を出力するものとする。OR回路300は、ローレベルの判定信号Sc1とハイレベルの比較信号Sc2とが入力され、ハイレベルの出力制御信号Sc7を出力する。ショートブレーキ制御回路2、正逆回転方向制御回路8は、時刻T1の場合と同様な動作を行うので、その説明は省略する。通電相順序切替制御回路3は、ハイレベルの回転方向信号Sc8が入力され、モータが正回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5を出力する。駆動回路1は、モータが正回転するように駆動回路1を制御する通電相順序信号Sc5が入力され、モータを正回転させるための駆動電流が駆動コイルLu、Lv、Lwに供給されるように、三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを適宜オンオフする。モータは、駆動コイルLu、Lv、Lwに供給された駆動電流により、正回転する。
【0038】
従って、定常回転期間に回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータ駆動回路100は、モータの回転数が基準回転数よりも高くない状態になるようにモータを制動した後に、モータの回転方向を切り替える。従って、定常回転期間に回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータ駆動回路100は、回転数比較回路4の比較信号Sc1に応じて、モータの回転方向を切り替える。
【0039】
<拘束期間(時刻T12から時刻T13)、拘束保護期間(時刻T13から時刻T14)、起動期間(時刻T14からT15)>
例えば、時刻T13の場合、拘束保護回路6は、時刻T12から時刻T13までの所定期間TaにFG信号の立ち上がりエッジが第1所定数(例えば1個)入力されず、SET信号と駆動電流の供給を停止するための制御信号Sc9とを出力する。駆動回路1は、駆動電流の供給を停止させるための制御信号Sc9を受信して、駆動コイルLu、Lv、Lwへ駆動電流が供給されないように例えば三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタ全てをオフする。回転数比較選択回路5は、SET信号が入力され、ハイレベルの判定信号Sc1を出力する。OR回路300は、ハイレベルの判定信号Sc1が入力され、比較信号Sc2の論理レベルに関わらず、ハイレベルの出力制御信号Sc7を出力する。
【0040】
例えば、時刻T14で回転方向指示信号Sc3がハイレベルからローレベルに変化した場合、回転数比較選択回路5、OR回路300は夫々、時刻T13のときに出力したハイレベルの判定信号Sc1、ハイレベルの出力制御信号Sc7を出力する。ショートブレーキ制御回路2、正逆回転方向制御回路8、通電相順序切替制御回路3は、時刻T1の場合と同様に動作するので、その説明は省略する。拘束保護回路6は、駆動電流の供給を開始させるための制御信号Sc9を出力する。駆動回路1は、駆動電流の供給を開始させるための制御信号Sc9を受信して、モータを正回転させるための駆動電流が駆動コイルLu、Lv、Lwに供給されるように三相分のソーストランジスタ及びシンクトランジスタを適宜オンオフする。モータは、駆動コイルLu、Lv、Lwに供給された駆動電流により、正回転する。
【0041】
従って、拘束保護期間に回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータ駆動回路100は、回転数比較回路4の比較信号Sc2に関わらずモータを制動せずに、モータの回転方向を切り替える。
【0042】
尚、例えば、時刻T15の場合、カウント値が第2所定数(例えば10個)に達し、RESET信号を出力する。回転数比較選択回路5は、RESET信号が入力され、ローレベルの判定信号Sc1を出力する。時刻T15以降に回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータ駆動回路100は、前述した定常回転期間と同様な動作を行うので、その説明は省略する。
【0043】
前述したように、駆動回路1は、駆動コイルLu、Lv、Lwにモータを回転させるための駆動電流を供給する。回転数比較回路4は、FG信号に基づいて、モータの回転数が、基準回転数よりも高いか否かを比較する。ショートブレーキ制御回路2は、回転数比較回路4の比較結果に基づいて、モータの回転数が基準回転数よりも低くなるようにモータが制動されるように駆動回路1を制御する。通電相順序切替制御回路3は、回転方向指示信号Sc3が変化した場合、回転数比較回路4の比較結果に基づいて、モータの回転数が基準回転数よりも低くなったときに、駆動回路1から駆動コイルLu、Lv、Lwに供給される駆動電流の供給順序及び供給方向を切り替える。判定回路110は、FG信号に基づいて、モータが停止しているか否かを判定する。制御回路120は、モータが停止していると判定回路110に判定されているときに回転方向指示信号Sc3が変化した場合、回転数比較回路4の比較結果に関わらず、モータの制動動作が行われずにモータの回転方向が変更されるように通電相順序切替制御回路3を制御する。よって、モータ駆動回路100が、回転方向指示信号Sc3の変化によりモータを起動する機能を有する場合、回転方向指示信号Sc3が変化したときに、回転数比較回路4の比較結果に関わらず、モータを迅速に起動できる。
【0044】
又、判定回路110は、拘束保護回路6を有する。判定回路110は、所定期間Ta以内に拘束保護回路6へFG信号が第1所定数(例えば1個)入力されない場合、モータが停止していると判定する。よって、モータ駆動回路100は、拘束保護回路6が拘束動作を行っている際に回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータを迅速に起動できる。
【0045】
又、判定回路110は、FGカウンタ7を有する。判定回路110は、モータが停止していると判定した後に、FGカウンタ7がFG信号の立ち上がりエッジを第2所定数(例えば10個)カウントした場合、モータが停止していないと判定する。よって、モータ駆動回路100は、FGカウンタ7がFG信号の立ち上がりエッジを第2所定数(例えば10個)カウントした後に回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータの回転数が基準回転数よりも低くなるようにモータを制動した後にモータの回転方向を切り替える。従って、モータ駆動回路100は、モータの回転による逆起電圧に起因した過電流がモータ駆動回路100に供給されてモータ駆動回路100が破壊されるのを防止することができる。
【0046】
又、FGカウンタは、回転方向指示信号Sc3が変化したときにカウント値をリセットする。よって、判定回路110は、正方向又は逆方向のいずれかにのみ回転した際のFG信号の立ち上がりエッジが第2所定数(例えば10個)FGカウンタ7にカウントされた場合、モータが停止していないと判定する。よって、モータ駆動回路100は、回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータの回転による逆起電圧に起因した過電流がモータ駆動回路100に供給されず、モータ駆動回路100が破壊される虞が無いにも関わらず、回転数比較回路4の比較結果に基づいて、回転方向を切り替えるのを防止し、迅速にモータを起動できる。
【0047】
又、ショートブレーキ制御回路2は、モータがショートブレーキにより制動されるように駆動回路1を制御する。よって、モータ駆動回路100は、回転方向指示信号Sc3が変化した場合、モータの回転数が基準回転数より低くなるようにモータを迅速に制動でき、モータの回転方向を迅速に切り替えることができる。
【0048】
尚、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 駆動回路
2 ショートブレーキ制御回路
3 通電相順序切替制御回路
4 回転数比較回路
5 回転数比較選択回路
6 拘束保護回路
7 FGカウンタ
8 正逆回転方向制御回路
9 回転数検出回路
100 モータ駆動回路
110 判定回路
120 制御回路
Lu、Lv、Lw 駆動コイル
Tb、Tc、Tu、Tv、Tw 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの正方向又は逆方向の回転を指示する回転方向指示信号に応じて、前記モータを正方向又は逆方向に回転させるための駆動信号を出力する駆動回路と、
前記モータの回転数が基準回転数よりも高いか否かを比較する比較回路と、
前記モータの回転数が前記基準回転数よりも高いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動されるように前記駆動回路を制御し、前記モータの回転数が前記基準回転数よりも低いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動されないように前記駆動回路を制御する第1制御回路と、
前記モータの回転数が前記基準回転数よりも高いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動された状態において前記モータの回転方向が変更されるように前記駆動回路を制御し、前記モータの回転数が前記基準回転数よりも低いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータが制動されていない状態において前記モータの回転方向が変更されるように前記駆動回路を制御する第2制御回路と、
前記モータが停止しているときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記比較回路の比較結果に関わらず、前記モータの制動動作が行われずに前記モータの回転方向が変更されるように前記駆動回路を制御する第3制御回路と、
を備えたことを特徴とするモータ駆動回路。
【請求項2】
前記第3制御回路は、
第1所定期間に発生する前記モータの回転数に応じた周波数のパルス信号の数が第1所定数以下である場合、前記モータが停止している状態であると判定する第1判定回路
を有することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動回路。
【請求項3】
前記第3制御回路は、
前記モータが停止している状態であると前記第1判定回路が判定した後、第2所定期間に発生する前記パルス信号の数が第2所定数以上である場合、前記モータが回転している状態であると判定する第2判定回路
を有することを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動回路。
【請求項4】
前記第2判定回路は、
前記パルス信号の数をカウントし、前記回転方向指示信号が変化したときにカウント値をリセットするカウンタを有し、前記カウンタが前記パルス信号の数を前記第2所定数カウントしたとき、前記モータが回転している状態であると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載のモータ駆動回路。
【請求項5】
前記第1制御回路は、
前記モータの回転数が前記基準回転数よりも高いときに前記回転方向指示信号が変化すると、前記モータがショートブレーキにより制動されるように前記駆動回路を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のモータ駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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