説明

ユニット式建物の改築方法

【課題】改築作業を容易に行うことができるユニット式建物の改築方法を提供すること
【解決手段】本発明のユニット式建物1の改築方法は、柱10および梁から直方体状の骨組みを有するとともに前記梁で囲われた平面部が上下に配置される建物ユニット3,5を複数組み合わせて施工されるユニット式建物1を改築する方法であって、前記平面部に居室空間1Aと非居室空間1Bとを区切る面材A1,A2を設け、この面材A1,A2より前記非居室空間1Bであって前記柱10から離れた位置に耐火構造を有する界壁部81,82を設けて建物ユニット3,5を施工し、改築時には、前記界壁部81,82の前記居室空間1Aに対応する位置に耐火構造を有するとともに天井A2から床A1までの高さの壁本体91,92を連結することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物の改築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物ユニットを複数並べて施工されるユニット式建物では、1つまたは複数の建物ユニットから1つの居室が構成されており、建物ユニットの柱や梁に合せて界壁が設けられる(特許文献1参照)。この界壁では、壁本体だけでなく、天井裏にも耐火構造が求められる。レイアウトの多様化により、界壁によって建物ユニットの内部を複数の居室に区切ることが行われており、従来では、建物ユニットの中間位置の居室側と非居室側との双方に界壁を取り付けているものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−193167号公報
【特許文献2】特開平8−177124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の一部を賃借させるために、建物を改築し、1つの居室を界壁で複数の居室に区切りたい場合がある。しかし、従来では、建物ユニットの内部に界壁を設置するため、天井面材等を剥がして耐火構造の界壁を施工する必要があり、改築作業が困難である。
また、一度施工した建物を長期にわたって利用する超長期住宅対応が求められており、この背景のもとでは、簡単に界壁が建物ユニットに設置されることが望まれるが、特許文献1,2で示される従来例では、これを実現することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、改築作業を容易に行うことができるユニット式建物の改築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のユニット式建物1の改築方法は、柱10および梁11,12から直方体状の骨組み13を有するとともに前記梁11,12で囲われた平面部が上下に配置される建物ユニット3,5を複数組み合わせて施工されるユニット式建物1の改築方法であって、前記平面部に居室空間1Aと非居室空間1Bとを区切る面材A1,A2を設け、この面材A1,A2より前記非居室空間1Bであって前記柱10から離れた位置に耐火構造を有する界壁部81,82を設けて建物ユニット3,5を施工し、改築時には、前記界壁部81,82の前記居室空間1Aに対応する位置に耐火構造を有するとともに天井から床までの高さの壁本体91,92を連結することを特徴とする。
【0007】
この発明では、居室空間1Aと非居室空間1Bとを区切る面材A1,A2より非居室空間1Bであって、柱10から離れた位置に耐火構造を有する界壁部81,82を設け、改築時に界壁部81,82の居室空間1Aに対応する位置に耐火構造を有する壁本体91,92を連結する。
つまり、改築の際には、既に非居室空間1Bに界壁部81,82が設けられているため、既存の天井面材A2や床材等A1を取り除き、新たに界壁部81,82を設ける必要がない。
このため、改築する際、居室空間1Aを区切るために界壁部81,82に対応する位置に壁本体91,92を設けるだけで、耐火構造を有する間仕切りを形成することができる。
よって、壁本体91,92を設けるだけで改築作業が行え、その作業性を良好なものとすることができる。
【0008】
本発明では、前記界壁部81,82は、工場にて前記建物ユニット3,5の前記骨組み13に艤装することが好ましい。
【0009】
この発明では、界壁部81,82を工場にて建物ユニット3,5に艤装するため、建物現場では通常のユニット式建物1の施工と同様の作業のみで、非居室空間1Bに界壁部81,82を有するユニット式建物1を構築することができる。
よって、建物現場での作業性をより良好なものとすることができる。
【0010】
本発明では、前記建物ユニット3,5は、上階用と下階用とがあり、上階用建物ユニット5の床部に前記界壁部81を艤装し、下階用建物ユニット3の天井部に前記界壁部81を艤装し、現場では、下階用建物ユニット3の上に上階用建物ユニット5を設置した後、前記界壁部81同士をシールすることが好ましい。
【0011】
この発明では、上階用建物ユニット5に艤装された界壁部81と、下階用建物ユニット3に艤装された界壁部81とをシールするため、上階用建物ユニット5の床部と下階用建物ユニット3の天井部とが形成する非居室空間1Bに界壁部81を連通させることができる。
このため、上下階を有するユニット式建物1の上下階間の非居室空間1Bに耐火構造物を形成することができる。
【0012】
本発明では、前記上階用建物ユニット5の界壁部81と下階用建物ユニット3の界壁部81とは水平方向にずれて形成され、これらの界壁部81同士を連結する耐火構造の床部または天井部が前記非居室空間1Bに予め設置されていることが好ましい。
【0013】
この発明では、上階用建物ユニット5に設けられ界壁部81と、下階用建物ユニット3に設けられた界壁部81とが水平方向にずれて形成されている。そして、これら位置ずれする界壁部81同士を連結する耐火構造の床部と天井部とが予め設置されている。
このため、上階用建物ユニット5の床部と下階用建物ユニット3の天井部とが形成する非居室空間1Bに位置ずれした界壁部81とこれらを連通する耐火構造の床部と天井部とを形成することができる。
よって、上下階を有するユニット式建物1の上下階間の非居室空間1Bに耐火構造物を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態におけるユニット式建物を示す断面図。
【図2】本発明の第一実施形態におけるユニット式建物の下階部を示す平断面図。
【図3】本発明の第一実施形態における建物ユニットを示す斜視図。
【図4】本発明の第一実施形態における第一界壁部周辺の拡大断面図。
【図5】本発明の第一実施形態における第二界壁部周辺の拡大断面図。
【図6】本発明の第二実施形態における第三界壁部周辺の拡大断面図。
【図7】本発明の第三実施形態におけるユニット式建物を示す断面図。
【図8】本発明の第三実施形態における第四界壁部周辺の拡大断面図。
【図9】本発明の第四実施形態におけるユニット式建物を示す断面図。
【図10】本発明の第四実施形態における建物ユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5には本実施形態のユニット式建物が示されている。
図1に基づいて第一実施形態におけるユニット式建物1を説明する。
図1には、本発明の第一実施形態におけるユニット式建物を示す断面図が示されている。
【0016】
図1に示すように、第一実施形態のユニット式建物1は、地中に一部埋設固定される基礎2と、この基礎2に載置される下階用建物ユニット3と、この下階用建物ユニット3に載置される上階用建物ユニット5と、この上階用建物ユニット5に載置される天井ユニット7と、ユニット式建物1の外周に取り付けられる外壁部材Wとを備えている。
ユニット式建物1は、下階用建物ユニット3により形成される下階部4と、上階用建物ユニット5により形成される上階部6とを有している。
【0017】
また、建物ユニット3,5の内部には、床面材A1と、天井面材A2と、壁面材A3とが設けられている。そして、これらの面材A1,A2,A3に囲まれた空間が居室空間1Aとなっており、それ以外の空間が非居室空間1Bとなっている。
なお、第一実施形態における床面材A1、天井面材A2、壁面材A3の材質としては、石膏ボードを適用することができる。
【0018】
また、ユニット式建物1では、下階部4および上階部6ともに建物ユニット3,5の一部が間隔Sを隔てて離し置きされており、離し置きされた隙間に梁材31,51,71が設けられており、さらに図示しない壁パネル等を取り付けることにより、居室空間1Aがより広く確保されている。
【0019】
非居室空間1Bには、建物ユニット3,5の対向する梁112,122の中腹に形成される第一下界壁部811と、この第一下界壁部811と同一鉛直線上に位置する上階用建物ユニット5の梁112から形成される第一上界壁部821が設けられている。
さらに、非居室空間1Bには、建物ユニット3,5が間隔S離し置かれた隙間に形成される第二下界壁部812と、この第二下界壁部812と同一鉛直線上の位置に形成される第二上界壁部822が設けられている。
なお、改築する際、この非居室空間1Bに形成される界壁部81,82に対応して同一鉛直線上に天井から床までの高さの壁本体91,92を形成することで、居室空間1Aが間仕切られるようになっている。
【0020】
図2に基づいて第一実施形態における界壁部81,82の配置を説明する。
図2には、本発明の第一実施形態におけるユニット式建物の下階部を示す平断面図が示されている。
図2に示すように、これら下界壁部811,812は下階用建物ユニット3の長辺方向に沿って下階部4に連通されている。また、図示しない上界壁部は、下界壁部811,812と同様に長辺方向に沿って連通されており、これらの下界壁部811,812に対応してそれぞれ形成されている。
【0021】
図3に基づいて第一実施形態における下階用建物ユニット3および上階用建物ユニット5を説明する。
図3には、本発明の第一実施形態における建物ユニットを示す斜視図が示されている。
下階用建物ユニット3および上階用建物ユニット5は、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の天井梁11と、各柱10の下端間同士を結合する4本の床梁12とを含む骨組み13を有し、略直方体状に形成されている。
【0022】
そして、天井梁11は各2本の長辺天井梁111および短辺天井梁112で構成され、床梁12は各2本の長辺床梁121および短辺床梁122で構成されている。2本の長辺天井梁111間、および2本の長辺床梁121間には、複数本の天井小梁15と複数本の根太16とがそれぞれ架け渡されている。
【0023】
そして、建物ユニット3,5の長手方向、つまり、天井小梁15や根太16と直行する方向に複数に分割された界壁部81,82が設けられ、これら界壁部81,82の端部は天井小梁15や根太16に接合されている。
また、柱10と天井梁11および床梁12とは、仕口14を介して接続されている。そして、下階用建物ユニット3および上階用建物ユニット5の対角に位置する仕口14のそれぞれを連結する図示しないブレースが設けられている。
【0024】
図1、図4および図5に基づいて第一実施形態における界壁部81,82を説明する。
図4には、本発明の第一実施形態における第一界壁部周辺の拡大断面図が示されている。図5には、本発明の第一実施形態における第二界壁部周辺の拡大断面図が示されている。
図4に示すように、第一下界壁部811は、建物ユニット3,5の長辺方向に沿って、天井小梁15および根太16の中腹に形成される。
【0025】
第一下界壁部811の具体的な施工方法としては、建物ユニット3,5において第一下界壁部811が形成される箇所で天井小梁15および根太16が切断されて一部除去される。これら天井小梁15および根太16の切断部分に4つの角柱状の固定部材C1が天井小梁15や根太16に対して垂直にそれぞれ取り付けられ、その両端が建物ユニット3,5の短辺梁112,122に連結固定される。
このことにより、4つの固定部材C1が上下に対向することになり、対向する固定部材C1に両外側から2枚の板面材B1を貼り付けて固定することで第一下界壁部811を形成する。
【0026】
このとき、一方の板面材B1を貼り合わせ、板面材B1および固定部材C1の内側に耐火構造としてのロックウールR1を取り付け、その後他方の板面材B1を他方の固定部材C1に貼り付けて固定する。これにより、耐火構造を有する第一下界壁部811を形成している。
なお、第一実施形態における板面材B1の材質としては、石膏ボードを適用することができる。
また、床面材A1および天井面材A2の非居室空間1B側には、天井小梁15や根太16の箇所を除いてロックウールR2が一面に敷き詰められる。
【0027】
一方、第一上界壁部821は、上階用建物ユニット5の天井小梁15を切断して一部を除去し、切断箇所に2つの角柱状の固定部材C1を天井小梁15に対して垂直にそれぞれ取り付けて対向配置させる。
そして、2枚の板面材B1を対向する固定部材C1に両外側から貼り付けて固定することで第一上界壁部821を形成する。
【0028】
このとき、第一下界壁部811と同様に、板面材B1および固定部材C1の内側にはロックウールR1が取り付けられ、さらに床面材A1および天井面材A2の非居室空間1B側にはロックウールR2が一面に敷き詰められる。
さらに、第一上界壁部821の内部において、コンクリート材72に面する箇所にもロックウールR3が貼り付けられる。
【0029】
図1および図5に示すように、第二下界壁部812は、非居室空間1Bにおいて、建物ユニット3,5が間隔S離し置かれた隙間に形成されている。この第二下界壁部812は、固定部材C1の両端を梁材31,51に連結し、第一下界壁部811(図4参照)と同様に一方の板面材B1を貼り合わせ、板面材B1および固定部材C1の内側にロックウールR1を取り付け、その後他方の板面材B1を他方の固定部材C1に貼り付けて固定することにより形成されている。
【0030】
第二上界壁部822は、第二下界壁部812と同一鉛直線上の位置に形成されている。第二上界壁部822は、固定部材C1の両端を梁材51に連結し、第一上界壁部821(図4参照)と同様に板面材B1および固定部材C1の内側にはロックウールR1が取り付けられ、第二上界壁部822の内部において、コンクリート材72に面する箇所にもロックウールR3が貼り付けられる。
なお、上述した界壁部81,82は、建物ユニット3,5の組立工場において艤装され、建物現場で界壁部81,82を形成しなくて済むようになっている。
【0031】
次に、図4に基づいて本実施形態のユニット式建物を改築する方法について説明する。
改築する際には、まず建物ユニット3,5に設けられた界壁部81,82の内部に取り付けられた固定部材C1と床面材A1または天井面材A2を挟んで対応する位置に同様に固定部材C1を取り付ける。この際、固定部材C1は対向する固定部材C1に釘等により打ちつけることで取り付けられる。
そして、居室空間1A側に取り付けられた固定部材C1に壁本体91,92を取り付けることで居室空間1Aが間仕切られる。このとき、対向する壁本体91,92のいずれか一方にロックウールR4が壁本体91,92の一面に貼付けられる。
これにより、耐火構造の壁を形成して居室空間1Aが間仕切られることとなる。
【0032】
以上のような第一実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)第一実施形態では、非居室空間1Bにおいて、柱10から離れた位置にロックウールR1,R3が取り付けられた界壁部81,82を設け、改築時に界壁部81,82の居室空間1Aに対応する位置に壁本体91,92を連結する。
つまり、改築の際には、既に非居室空間1Bに界壁部81,82が設けられているため、既存の床面材A1や天井面材A2等を取り除き、新たに界壁部81,82を設ける必要がない。
【0033】
このため、改築する際、居室空間1Aを区切るために界壁部81,82に対応する位置に壁本体91,92を設けるだけで、ロックウールR1,R2,R3が取り付けられた間仕切りを形成することができる。
よって、壁本体91,92を設けるだけで改築作業が行え、その作業性を良好なものとすることができる。
【0034】
(2)第一実施形態では、界壁部81,82を工場にて建物ユニット3,5に艤装するため、建物現場では通常のユニット式建物1の施工と同様の作業のみで、非居室空間1Bに界壁部81,82を有するユニット式建物1を構築することができる。よって、建物現場での作業性をより良好なものとすることができる。
【0035】
(3)第一実施形態では、居室空間1A側から固定部材C1が対向する固定部材C1に釘等により打ちつけられることで取り付けられ、この固定部材C1にロックウールR4が一面に貼り付けられた壁本体91,92を取り付けることで居室空間1Aが間仕切られる。
このため、簡易な作業で耐火構造の壁を形成して居室空間1Aを間仕切ることができる。
【0036】
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
本発明の第二実施形態を図6に基づいて説明する。
なお、第二実施形態は、第一実施形態とは、界壁部811,821の工場における艤装方法が異なり、さらに第二界壁部812,822が設けられない点が異なるものであり、その他の構成は第一実施形態と同様である。
図6には、本発明の第二実施形態における第三界壁部周辺の拡大断面図が示されている。
【0037】
図6に示すように、第三下界壁部813は、下階用建物ユニット3の天井小梁15と上階用建物ユニット5の根太16との境界線において上下別体となっている。
第三下界壁部813は、建物ユニット3,5の組立工場において、下階用建物ユニット3の天井小梁15と上階用建物ユニット5の根太16とにそれぞれ別々に界壁部を艤装し、建物現場において建物ユニット3,5を上下に積み上げることにより形成される。
そして仕上げとして板面材B1の外側にシール材B2を貼り付けることにより第三下界壁部813を形成している。
また、第三上界壁部823も第三下界壁部813と同様に天井小梁15と梁材71とにそれぞれ界壁部82を形成し、シール材B2を貼り付けて形成している。
【0038】
以上のような第二実施形態によれば、第一実施形態における(3)と同様の作用効果を奏することができ、さらに次のような作用効果を奏することができる。
(4)第二実施形態では、第三下界壁部813が、上階用建物ユニット5の根太16と、下階用建物ユニット3の天井小梁15とにそれぞれ艤装され、建物現場において建物ユニット3,5を上下に積み上げ、仕上げに板面材B1の外側にシール材B2を貼り付けるため、上階用建物ユニット5の根太16と下階用建物ユニット3の天井小梁15とを連通する第三下界壁部813を形成することができる。
【0039】
このため、上下階を有するユニット式建物1の上下階間の非居室空間1BにロックウールR1,R2,R3を有する界壁部81を形成することができる。
また、第三上界壁部823も同様に天井小梁15と梁材71とにそれぞれ界壁部82を形成するので、同様の効果を奏することができる。
【0040】
次に、本発明の第三実施形態を説明する。
本発明の第三実施形態を図7および図8に基づいて説明する。
なお、第三実施形態は、第二実施形態とは、界壁部813が上下にずれた位置に形成される点で異なるものであり、その他の構成は第二実施形態と同様である。
図7には、本発明の第三実施形態におけるユニット式建物を示す断面図が示されている。図8には、本発明の第三実施形態における第四界壁部周辺の拡大断面図が示されている。
【0041】
図7および図8に示すように、第四下界壁部814は、第三下界壁部813と同様に下階用建物ユニット3の天井小梁15と上階用建物ユニット5の根太16との境界線において上下別体となっており、さらに上下位置が水平方向にずれて配置されている。この位置ずれした第四下界壁部814の間にはロックウールR1,R4が取り付けられ、上下が耐火構造体として連通している。
【0042】
以上のような第三実施形態によれば、第一実施形態における(3)と同様の作用効果を奏することができ、さらに次のような作用効果を奏することができる。
(5)第三実施形態では、上階用建物ユニット5に設けられた界壁部814と、下階用建物ユニット3に設けられた界壁部814とが水平方向にずれて形成されている。そして、これら位置ずれする界壁部814同士を連結するロックウールR1,R3が根太16と天井小梁15とに予め取り付けられている。
このため、上下が水平方向に位置ずれした第四下界壁部814を連続した耐火構造体とすることができる。
【0043】
(6)第三実施形態では、第四下界壁部814が水平方向に位置ずれして形成できるので、改築する際、上階部6と下階部4との居室空間1Aを同じ位置で間仕切る必要がなく、上階部6と下階部4とで異なったレイアウトにすることができる。例えば、下階部4は大空間リビングルームとして改築し、上階部は居住者各人の居室として細かく間仕切ることができる。
【0044】
次に、本発明の第四実施形態を説明する。
本発明の第三実施形態を図9および図10に基づいて説明する。
なお、第四実施形態は、説明を行う構成以外は他の実施形態と同様の構成である。
図9には、本発明の第四実施形態におけるユニット式建物を示す断面図が示されている。図10には、本発明の第四実施形態における建物ユニットを示す斜視図が示されている。
図9に示すように、第四実施形態におけるユニット式建物1は、2個の下階用建物ユニット3が基礎2の上に隣接配置され、これらの下階用建物ユニット3の上に上階用建物ユニット5が同様に隣接配置され、さらに上階用建物ユニット5の上には天井ユニット7が設けられている。
また、このユニット式建物1では、第五下界壁部815と第六下界壁部816および第四上界壁部824とは下階部4と上階部6とにおいて水平方向に位置ずれして設けられている。
このとき、水平方向に位置ずれした第五下界壁部815と第六下界壁部816との間に図示しないロックウールR2が床面材A1もしくは天井面材A2に沿って一面に敷き詰められている。
【0045】
さらに、図10に示すように、第四実施形態における第五下界壁部815、第六下界壁部816および第四上界壁部824は天井小梁15もしくは根太16と平行に形成されており、天井小梁15や根太16によってこれら第五下界壁部815、第六下界壁部816および第四上界壁部824が分断されていない。
【0046】
以上のような第四実施形態によれば、第一実施形態における(3)と同様の作用効果と、上述した第三実施形態と同様な作用効果とを奏することができるとともに、以下の作用効果を奏することができる。
(7)第四実施形態では、第五下界壁部815と第六下界壁部816とが水平方向に位置ずれして形成され、それらの間を床面材A1もしくは天井面材A2に沿って一面にロックウールR2が敷き詰められるので、下界壁部81もしくは上界壁部82が下階用建物ユニット3と上階用建物ユニット5との間で位置ずれする構成に比べてより一層、位置ずれ幅を大きくすることができる。
このため、下階部4と上階部6との居室空間において、大幅に異なるレイアウトに改築することができる。
【0047】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
第二実施形態および第三実施形態では、間隔S離し置かれた建物ユニット3,5の間に第二界壁部812,822を設けないとしたが、これに限らず、第二実施形態および第三実施形態においても第二界壁部812,822を設ける構成としてもよい。
また、第一実施形態から第三実施形態では、ユニット式建物1を下階部4と上階部6を備える2階建てとしたが、これに限られず、1階平屋建てでもよいし、3階以上の建物としてもよい。
さらに、第四実施形態では、界壁部81,82が天井小梁15もしくは根太16と平行に設けられるとしたが、これに限らず、天井小梁15や根太16と直行する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、個人住宅用に利用できる他、アパートやビル等の共同住宅にも利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ユニット式建物
1A…居室空間
1B…非居室空間
3…下階用建物ユニット
5…上階用建物ユニット
10…柱
11…天井梁
12…床梁
13…骨組み
81…下界壁部
82…上界壁部
811…第一下界壁部
812…第二下界壁部
813…第三下界壁部
814…第四下界壁部
815…第五下界壁部
816…第六下界壁部
821…第一上界壁部
822…第二上界壁部
823…第三上界壁部
824…第四上界壁部
91,92…壁本体
A1…床面材(面材)
A2…天井面材(面材)
A3…壁面材(面材)
B2…シール材
R1…ロックウール(耐火構造)
R2…ロックウール(耐火構造)
R3…ロックウール(耐火構造)
R4…ロックウール(耐火構造)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱および梁から直方体状の骨組みを有するとともに前記梁で囲われた平面部が上下に配置される建物ユニットを複数組み合わせて施工されるユニット式建物の改築方法であって、
前記平面部に居室空間と非居室空間とを区切る面材を設け、この面材より前記非居室空間であって前記柱から離れた位置に耐火構造を有する界壁部を設けて建物ユニットを施工し、改築時には、前記界壁部の前記居室空間に対応する位置に耐火構造を有するとともに天井から床までの高さの壁本体を連結することを特徴とするユニット式建物の改築方法。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット式建物の改築方法において、
前記界壁部は、工場にて前記建物ユニットの前記骨組みに艤装することを特徴とするユニット式建物の改築方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のユニット式建物の改築方法において、
前記建物ユニットは、上階用と下階用とがあり、上階用建物ユニットの床部に前記界壁部を艤装し、下階用建物ユニットの天井部に前記界壁部を艤装し、現場では、下階用建物ユニットの上に上階用建物ユニットを設置した後、前記界壁部同士をシールすることを特徴とするユニット式建物の改築方法。
【請求項4】
請求項3に記載のユニット式建物の改築方法において、
前記上階用建物ユニットの界壁部と下階用建物ユニットの界壁部とは水平方向にずれて形成され、これらの界壁部同士を連結する耐火構造の床部または天井部が前記非居室空間に予め設置されていることを特徴とするユニット式建物の改築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−84863(P2011−84863A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236067(P2009−236067)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】