説明

ユーザーに加圧されることによって移動可能な密閉部材を備えた液体吐出装置

【課題】装置が使用されていない場合、特に輸送中や保管中に、該装置の吐出ノズルをしっかりと密閉する装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、吐出される液体を収容し且つプラスチック、ガラスまたは金属によって形成されている容器12に取り付けられているノズル10を備えている。液体遮断位置と液体解放位置との間を移動可能に構成された密閉部材14を備えている。該装置は、上記密閉部材14を上記液体遮断位置で固定することにより、該密閉部材14が液体解放位置へ移動するのを防止する固定手段60をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吐出、特に目薬のように滴下される液体の吐出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体、特に目薬のように滴下される液体を吐出する装置が知られている。特許文献1に記載されている例によれば、液体を吐出する開口部は、液体を吐出するノズルヘッドに挿入されている針と、このノズルを覆うスカート状の覆いとを備えたキャップで密閉されている。このタイプのキャップは、装置が使用されていない場合、該装置から液体が漏れるのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許2872137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、装置が使用されていない場合、特に輸送中や保管中に、該装置の吐出ノズルをしっかりと密閉することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液体解放位置と液体遮断位置との間を移動可能な密閉部材と、上記密閉部材を上記遮断位置で固定することにより、該密閉部材が上記液体解放位置へ移動するのを防止する部材と、を備えている液体吐出装置に関する。
【0006】
したがって、本発明のように上記装置が上記密閉部材を備えた場合、該装置はしっかりと密閉される。上述のように密閉を行う部材は、「密閉弁」と呼ばれる場合もある。通常、上記密閉部材は、十分な柔軟性を有するエラストマーまたは熱可塑性樹脂を含んでいて、例えばユーザーが容器に圧力をかけた場合に液体が一方向のみに流れるように構成されている。上記密閉部材は、該密閉部材を動かすことによって及び/又は該密閉部材の全て若しくは一部を弾性変形させることによって、液体解放位置から液体遮断位置若しくは逆流防止位置へ切り替えることが可能である。
【0007】
上記密閉部材を液体遮断位置で固定することによって、上記密閉部材が液体解放位置に移動しやすい保管中や移動中、または装置の使用前における他の取扱動作中に、該密閉部材が、例えば子供によって偶然に液体解放位置に移動するのを防止できる。したがって、移動可能な密閉部材を備えた装置のために、例えば、取り外し可能または可融性を有する仮の固定手段を用いて、上記密閉部材を一時的に固定することが有用かもしれない。上記可融性を有する部材は、装置が最初に使用される際に破壊される。
【0008】
上記装置は、液体の漏出を防止できるだけでなく、「クリーナー」でもある。上記密閉部材が保管中に固定されていない場合、液体が偶然に上記密閉部材と上記装置のキャップとの間へ流れ、その分だけ滞ってしまうことがある。密閉された領域(特に容器と密閉部材によって囲まれた領域)の外部に液体が滞ると、該液体が汚れてしまうため危険である。
【0009】
本発明に係る装置は、以下に示すように、1または複数の特徴を有する。
【0010】
上記固定手段は、上記密閉部材が液体解放位置に移動するのを防止するように、該密閉部材を加圧している。この圧力は、直接的でも間接的でもよい。
【0011】
上記装置は、特に、上記密閉部材を覆う外殻を備えている。このカバーは、液体解放穴を有していて、上記密閉部材は、上記液体解放穴から突出する末端部を有している。すなわち、上記密閉部材の末端部は、上記液体解放穴の表面よりも凹んでいないので、滴下される液滴を上記カバーの表面から容易に分離できる。
【0012】
上記装置は、例えばノズルの内部コア上に配置され且つ上記固定手段によって及ぼされる圧力と反対方向に上記密閉部材を押圧するための押圧手段をさらに備えている。したがって、上記固定手段が上記装置に作用する場合、この反対方向への圧力によって、上記密閉部材が上記吐出装置内で動作するのを防止できる。言いかえれば、上記密閉部材は、上記固定手段と上記押圧手段との間で締め付けられて動かなくなっている。
【0013】
上記装置は、脱着可能なキャップを備えていて、上記固定手段は、上記キャップが上記装置に取り付けられた場合に作用する。すなわち、上記装置に上記キャップを取り付けると、上記密閉部材が固定される。上記キャップは、液体が偶然に漏れてしまう危険性がある場合、特に装置が商品化されたり家庭内に置かれる前の輸送中や保管中、装置に容易に取り付け可能であるため、上述のような固定は容易に行われる。
【0014】
上記固定手段は、キャップに設けられている。
【0015】
上記キャップに設けられている上記固定手段には、上記密閉部材を押圧する押圧面が形成されている。一つの例としては、上記押圧面は、密閉部材を押圧するように上記キャップの内面から突出している突出部に形成されている。この突出部は、様々な形状をとりうる。該突出部は、上記キャップの内面に形成されていて、空間によって扇状に区画された環状のリブを有していたり、ノズルに形成された液体の流路に入り込んで、上記密閉部材を押圧するピンを有していたりする。別の例としては、上記押圧面は突出しておらず、上記キャップの内面に形成されている。さらに別の例としては、上記押圧面は、キャップの内面に設けられた凹部の底面と一致する。この押圧面は、内部コアに形成された上記押圧手段と対向して若しくはずらして配置されていて、押圧手段に対して力を加える。したがって、装置は、上記密閉部材が圧縮及び/又は変形することによって密閉される。
【0016】
上記装置は、空気を容器内に流入させるための通気手段を備えている。空気の容器への侵入とも呼ばれるこの容器の通気によって、液体を供給するためにユーザーが容器を押圧することによって低下する容器内の圧力が補われる。したがって、上記容器は、液体を吐出した後、元の形に戻る。
【0017】
上記キャップは、上記密閉部材を固定するための固定手段の他に、該キャップが装置に取り付けられている場合に、空気が上記通気手段を介して漏れるのを防止する気密密閉手段を有している。この実施形態は、非常に好ましい。これにより、上記装置の保管中における内部の液体の蒸発や、空気中に存在する物質による液体の汚染を防止できる。
【0018】
上記気密密閉手段は、気密密閉を確実にするため、上記キャップの壁部から内側へ突出し且つ壁部に対して固定される環状のリブを有している。
【0019】
上記装置は、液体解放穴を有し且つ上記密閉部材の少なくとも一部を覆う外殻を備えている。上記固定手段の押圧面は、上記キャップが上記装置に取り付けられている場合、上記液体解放穴に対向するように、または該液体解放穴の内側に入り込むように設けられている。
【0020】
上記外殻は、上記密閉部材の末端部を取り囲む中空突出部を有している。上記密閉部材の末端部は、上記中空突出部によって確実に案内される。特に、上記中空突出部によって、上記密閉部材が上記液体解放位置または液体遮断位置へ動いている間、該密閉部材の軸が傾いたりずれたりして変化するのを防止できる。
【0021】
上記中空突出部は、上記液体解放穴まで延びる環状のリブによって形成されている。この環状のリブは、上記密閉部材を確実に案内するように、該密閉部材の末端部を取り囲んでいる。
【0022】
上記外殻は、上記中空突出部の周囲に配置され、上記密閉部材を上記遮断位置で保持する付勢部材を支える座部を有している。
【0023】
上記密閉部材は、ユーザーの動作により発生する圧力によって液体解放位置に移動するように構成されている一方、上記固定手段は、ユーザーの動作により発生する圧力によって上記密閉部材が液体解放位置に移動するのを防止している。
【0024】
本発明は、単なる例示として与えられる例および図面を参照した以下の記述によって、より深く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明に係る装置の一実施形態を機能的に表した概略図である。
【図2】図2は、図1に示す装置の一例を表す縦断面図である。
【図3】図3は、図2に示す装置の変形例を表す縦断面図である。
【図4】図4は、図2に示す装置のもう一つの変形例であって、キャップが取り付けられている状態のものを表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
液体吐出装置は、吐出される液体を収容し且つプラスチック、ガラスまたは金属によって形成されている容器に取り付けられているノズル10を備えている。このノズル10の一部を、図1に概略的に表す。この装置は、所定の液量、より詳しくは所定の量の液滴やスプレーを吐出するのに用いられる。この液体は、目、鼻、口等に対して用いることを目的としている。例えば、上記装置は、目薬を目に対して滴下するように吐出する。上記ノズル10は、容器12に、より詳しくは該容器の首部12に取り付けられている。この実施例では、上記容器12は、プラスチックで形成されていて、ユーザーが液体を吐出させるために押圧可能に構成されている。他のタイプの容器、例えばユーザーが上述のように容器を加圧するのではなく、ポンプ駆動部を作動することによって液体を吐出するような容器も考えられる。
【0027】
上記ノズル10は、該ノズル10の第1部材16および第2部材18の間に設けられた密閉部材14を備えている。密閉弁とも呼ばれるこの密閉部材14は、いったん液体が封止領域に残った場合、該液体が逆流するのを防止するために図1から図3に示すような液体遮断位置または逆流防止位置をとることができる一方、液体解放位置(図示しない)をとることができる。密閉部材14は、上記ノズル10の末端部近傍、すなわち液体解放穴近傍に配置されているのが好ましい(図3参照)。より詳しくは、上述した実施例では、液体が流出する上記部材14の末端部は、上記解放穴64から少し突出している。変形例として、上記部材14の末端部を、上記解放穴64と同一面にしても、該解放穴64より凹ませてもよい。さらに、上記部材14の末端部を、液滴が上記カバーの表面から容易に分離するように、上記カバー18の表面よりも突出させてもよい。
【0028】
さらに、上記ノズル10は、上記装置が使用されていない場合に該装置を保護するように、該装置に対して着脱可能な封止キャップ11で覆われている。このキャップ11は、例えば、上記容器12の首部にネジ止めされる。
【0029】
上記キャップ11には、上記密閉部材14を遮断位置で固定するための固定部60(固定手段)が設けられている。この固定部60は、特に上記容器12に圧力がかかる場合であっても、上記密閉部材14が液体解放位置へ動くのを防止するように構成されている。上記固定部60は、上記キャップ11が上記装置に取り付けられた場合にその機能を果たす。この例では、上記固定部は、上記密閉部材14を押圧するように設計された突出部60に設けられた押圧面、より詳しくは、上記キャップ11の内面61に上記ノズル10の液体解放穴64に対向するように設けられた環状のリブ60に設けられた押圧面を有している。
【0030】
特別な実施形態に従ったノズル10の構成を、図2および図3でより詳細に示す。上記図3の実施例は、上記図2の実施例を少し変えたものである。図2では、密閉部材14は、エラストマー部34および硬質部36からなり、付勢部材15によって遮断位置で保持されている一方、図3では、部材14は、全てエラストマー材料で形成されていて、以下に記載するように変形することによって液体遮断位置で保持される。
【0031】
図2に示されるように、上記ノズル10の第1部材16は、その末端部から突出する略円筒型の突出部19が設けられた内部コア16に対応している。この突出部19の末端部には、上記密閉部材14を押圧するための押圧部20(押圧手段)が形成されている。この実施例では、この押圧部20には、上記密閉部材14を押圧するように設計された環状のフランジを形成する突条部が設けられている。一方、上記押圧部20は、上述のような環状のフランジ状の突条部が形成されていない突出部19の末端部のみからなる場合もある。さらに、上記内部コア16は、該コア16と上記容器との一部を接続するとともに、液体を上記容器から上記装置の外部へ流すための流路22を備えている。さらに、上記ノズル10は、ユーザーが液体を流出させるために加える圧力によって生じる減圧を補うために、空気を上記容器内へ流入させるための通気部(通気手段)を備えている。この実施例では、上記通気部は、内部コア16に設けられており、そして、液体の流入を遮断する一方空気を濾過して流入させるように設計された疎水性フィルター26と交差する空気流路24を有している。より詳しくは、この実施例では、上記フィルター26は、上記コア16の内面の中央部分に形成された環状のリブを有するフィルターハウジング28に嵌め込まれている。
【0032】
この実施例では、上記ノズル10の第2部材18は、上記ノズル10の外カバー18(外殻)に対応する。この外カバー18は、上記内部コア16、上記密閉部材14、および上記スプリング15を覆うように設計されている。より詳しくは、該外カバー18は、上記突出部19の末端部を取り囲むように、上記解放穴64上で開口する環状のリブによって形成されている中空突出部30を備えている。そして、上記密閉部材14は、液体を上記装置の外部へ流出させる。上記カバー18は、上記突出部30の周縁部に、上記付勢部材15を支える座部32をさらに備えている。
【0033】
この実施例では、上記密閉部材14は、エラストマー部34と、硬質部36とを備えている。このエラストマー部34と硬質材36とはお互いに固定されていて、一方の位置がずれるとそれに伴って他方の位置もずれる。逆の場合も同様である。この実施例では、エラストマー部34と硬質部36とはオーバーモールドによって一体化されているが、他の方法で一体化されていてもよい。上記エラストマー部34は、シリコンやエラストマー熱可塑性材料のようなエラストマー材料で形成されている。上記硬質部36は、ポリプロピレンのようなプラスチック材料で形成されている。上記硬質部36は、上記付勢部材15を支える支持面38を有している。図2に示すように、上記硬質部36は、上記エラストマー部34のほぼ全ての表面を覆っている。一方、上記エラストマー部34の領域40は、該エラストマー部34が伸縮可能なので、該エラストマー部34の端部において変位可能な状態になっている。より詳しくは、上記エラストマー部34および上記硬質部36は、それぞれ、中央に有底円筒部を有し、上記内部コア16の形状と相補的な形状であって、その有底円筒部の端部が外側へ広がっている。このように、上記硬質部36は、上記エラストマー部34の周縁部40を除き、該エラストマー部34の表面の大部分を覆っている。図2に示すように、エラストマー部34および硬質部36には、該エラストマー部34および硬質部36の中央の有底円筒部の底面に設けられていて、液体を流出させる流路42が形成されている。さらに、上記硬質部36には、液滴を形成するための部分44が形成されている。より詳しくは、この部分44は、液体が勢いよく噴射されるのを防止して液滴を形成するように、上記流路42から上記装置の末端部へ拡がるように延びる円錐状に形成されている。この部分44は、上記液滴を円筒部46まで導いて、適量の液滴を吐出するように形成されている。
【0034】
この実施例では、上記付勢部材15は、螺旋状の金属バネである。このスプリング15は、上記密閉部材14を液体遮断位置に戻すために、上記硬質部36の支持面38を押圧することによって上記密閉部材14に圧力をかけている。
【0035】
図2に示すように、上記密閉部材14は、2つの部材16,18の間で密閉(静的な密閉)されているため、上記流路22を介して流れる液体が、カバー18の内部へ漏れることはない。
【0036】
図2に示される吐出装置の動作を、以下に記載する。
【0037】
上記キャップ11が装置に固定されている場合、上記固定部60が上記密閉部材14に作用するので、該密閉部材14が固定される。より詳しくは、上記押圧部20は、上記固定部60によって加えられる圧力に抗する圧力を、上記密閉部材14に加える。その結果、上記密閉部材14は、コア16に向かって押圧され、これにより装置を密閉する。
【0038】
上記装置を使用する際、まず上記キャップ11を取り外して、上記固定部60の圧力が上記密閉部材14に対して加わらないようにする。これにより、上記密閉部材14は2つの位置の間を移動できるようになる。液体の吐出を行うために、ユーザーは、液体を流路22に流すように上記装置の容器を押圧して、上記エラストマー部34に圧力を加える。この圧力により、上記密閉部材14は、矢印48で示されるように上方へ移動して、液体遮断位置から液体解放位置へ動く。より詳しくは、上記エラストマー部34の領域40は、上記エラストマー部34が上方へ変位するように延びることによって変形する。このように変位した後、上記押圧部20が上記密閉部材14と協力して行っていた密閉状態が解除され、液体は、液滴を形成するために上記流路42を介して部分44および46まで流れる。この液体の流れは、矢印50で示されている。いったん液滴が吐出されると、ユーザーは、流路24を介して空気で満たされる容器を押圧する必要がない。そして、液体を吐出するための加圧が停止するので、上記密閉部材14は、スプリング15による付勢力によって液体遮断位置に戻る。このように、上記押圧部20および上記部材14のエラストマー部が協力して、液体が流出するのを防止する。
【0039】
上記ノズルのキャップを元に戻すことによって、上記密閉部材14は再び液体遮断位置で固定され、上記密閉された領域から外部へ液体が漏れて汚れるのを防止することができる。
【0040】
特に、この実施形態の液体吐出装置の利点として、硬質部36がエラストマー部34のための殻状の覆いを形成していて、該硬質部36が変形することなく上記密閉部材14を容易に押圧できることが挙げられる。
【0041】
上記実施例の変形例も可能である。特に、上記付勢部材15は、螺旋状のスプリングであるが、金属であっても、一片のゴムやエラストマー部などの他の種類であってもよい。特に、上記付勢部材15は、上記密閉部材14のエラストマー部34または硬質部36に直接、一体化されていても、カバー18に直接、一体化されていてもよい。
【0042】
図3に示す変形例では、密閉部材14は、全てエラストマー材料で形成されていて、ノズルは、スプリングを有していない。この実施例では、上記部材14は、液体を封止する装置上に変形した状態で取り付けられている。上記部材14は、円筒部65および端部66を有している。上記端部66の周縁部68は、静的に密閉するために、部材16および部材18の間で挟持されている。上記部材14の取り付けは、該部材14を変形することによって行われる。該部材14は、上記突出部19に対して、より詳しくは上記押圧部20に対して、圧力が加わるように変形した状態で上記突出部19上に取り付けられている。図3に示される部材14の形状は、組み立てられる前の部材14の形状とは異なる。該部材14を上記押圧部20に対して押圧することによって、装置が遮断位置で確実に密閉される。
【0043】
図3に示す装置の動作は、図2に示す装置の動作と同様である。
【0044】
図4において、ほとんどの構成部品は、図1から図3に示したものと同様である。上記ノズル10は、上記首部の部材16の接続部分にネジ止めすることによって、上記容器12の首部に固定される。上記接続部分には、上記首部にネジ止めされた外壁80が設けられている。図1から図3の場合と同様、上記部材16も、ユーザーが液体を流出させるために加える圧力によって生じる減圧を補うために、空気を上記容器内へ流入させるための通気部82を備えている。上記通気部82は、上記内部コア16に形成されていて、空気流路24,疎水性フィルタ26およびフィルターハウジング28を有している。上記密閉部材14は、エラストマー材料によって形成されているが、硬質な部分を含んでいてもよい。さらに、図4において、上記密閉部材14は、図1から図3における密閉部材14の場合と比べて、上記液体解放穴64よりも突出している。上記コア部16の末端部19は、上記外カバー18の上面に形成された上記解放穴64の開口面とほぼ面一である。これにより、上記液滴は、外カバー18の上面からより簡単に分離する。
【0045】
図4には、キャップ11が示されている。この実施例では、上記密閉部材14を固定するための上記固定部60には、先端の尖った円錐形状を有する突出部が設けられている。より詳しくは、液滴を形成するための部分44と補完的な形状を有している。したがって、上記キャップ11が上記装置に固定される場合、締め付けによって、上記密閉部材14の末端部をより強く固定することができる。上記キャップ11は、上記装置にキャップを固定するための周縁壁84をさらに備えている。該周縁壁84は、ネジ止めによって上記部材16に固定されている。この固定は、ネジ止めであっても、爪部による固定であってもよい。上記周縁壁84には、上記キャップが上記装置に取り付けられている場合、空気が上記通気部を介して流れるのを防止するように、上記装置を気密密閉するための部分86が形成されている。この実施形態によれば、該部分86は、上記キャップの壁84の内面から突出し、気密密閉を確実にするために部材16の壁部88にぴったりと密着する環状のリブである。該リブ86の内径は、上記壁部88の外径よりも小さいため、上記キャップが上記装置にネジ止めされた場合、上記リブ86は、空気が該リブ86および壁部88の間を流れるのを防止するように、上記壁88にぴったりと密着する。該リブ86および壁部88は、上記キャップの壁84の末端部および上記通気部82の間に配置されていて、気密密閉領域を区画している。
【0046】
本発明は、上述した実施例に限定されない。特に、固定方法と同様、上記密閉部材14の形状は異なる場合がある。上記装置の利点として、上記密閉部材14を固定する上記キャップ11は、例えば上記密閉部材14および上記カバー18の間、または、上記密閉部材14および上記ノズル10の間などの密閉されていない領域に液体が流入するのを防止することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体解放位置と液体遮断位置との間を移動可能な密閉部材(14)と、
液体解放穴(64)が形成され、特に上記密閉部材(14)を覆う外殻(18)と、
上記密閉部材(14)を上記液体遮断位置で固定することにより、該密閉部材(14)が液体解放位置へ移動するのを防止する脱着可能なキャップ(11)および固定手段(60)を備え、
上記密閉部材(14)は、上記液体解放穴(64)から突出する末端部を有し、
上記固定手段(60)は、上記キャップ(11)に設けられていて、該キャップ(11)が装置に取り付けられている場合に、上記密閉部材(14)を押圧するように構成されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
空気を容器(12)内へ流入させるのを可能にする通気手段をさらに備えていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置において、
上記キャップ(11)は、上記密閉部材(14)を固定する固定手段(60)の他に、該キャップ(11)が装置に取り付けられている場合に、空気が上記通気手段を介して漏れるのを防止する、装置を気密密閉するための気密密閉手段(86)を有していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置において、
上記気密密閉手段(86)は、気密密閉を確実にするために、上記キャップ(11)の壁部(84)から内側へ突出し且つ壁部に対して固定される環状のリブを有していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、
上記固定手段(60)によって及ぼされる圧力と反対方向に上記密閉部材(14)に圧力を及ぼす、該密閉部材(14)を押圧するための押圧手段(20)をさらに備えていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、
上記固定手段は、上記密閉部材(14)を押圧するための押圧面(60)、例えば、上記キャップ(11)の内面(61)に形成された環状のリブのように上記密閉部材(14)を押圧するように設計された突出部に設けられた押圧面(60)を有していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の液体吐出装置において、
上記固定手段の押圧面(60)は、上記押圧手段(20)と対向して若しくはずらして配置されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、
上記外殻(18)は、上記密閉部材(14)の末端部を取り囲む中空突出部(30)を有していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体吐出装置において、
上記中空突出部(30)は、上記液体解放穴(64)まで延びる環状のリブによって形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の液体吐出装置において、
上記外殻(18)は、上記中空突出部(30)の周囲に配置され、上記密閉部材(14)を上記遮断位置で保持する付勢部材(15)を支える座部(32)を有していることを特徴とする液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−131370(P2010−131370A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−238607(P2009−238607)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(508375642)ルグザム ファーマ ラ ヴェルピリエール (5)
【Fターム(参考)】