説明

ユーザ端末装置、及びナビゲーション方法

【課題】ユーザに対して、目的方向に対する直感的なナビゲーションを行うことを可能とする。
【解決手段】ユーザ端末装置において、向きを検出する向き検出手段と、一方の端の部分と他方の端の部分のどちらか、又は両方に備えられる振動発生手段と、前記ユーザ端末装置の垂直面での向きを検出し、当該垂直面での向きと水平面との角度差Aが所定の角度B以下であるか否かを判定する垂直面角度判定手段と、前記角度差Aが所定の範囲B以下であると判定された場合に、前記向き検出手段により、前記ユーザ端末装置の水平面での向きを検出し、当該水平面での向きと前記目的方向との角度差Cが所定の角度D以下であるか否かを判定する水平面角度判定手段と、前記角度差Cが所定の角度D以下であると判定された場合に、前記ユーザ端末装置において前記目的方向に近い側の振動発生手段を振動させる振動制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者等に対するナビゲーションを行う技術に関するものであり、特に、高齢者やハンディキャップのある方々に対して、目的方向に対する直感的なナビゲーションを可能にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、歩行者のナビゲーションを行うための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1(特開2004−85301号公報)には、地図画像データを入力し、利用者の歩数や移動方向を計測することにより、地図上での歩行者の現在位置等を算出して表示する携帯用ナビゲーション装置が開示されている。
【0003】
特許文献2(特開2007−85950号公報)には、誘導方向または進行方向が上となるように地図を表示する携帯型ナビゲーション装置が開示されている。また、特許文献3(特許第4064442号)には、ゲーム機に操作信号を送るゲーム用操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−85301号公報
【特許文献2】特開2007−85950号公報
【特許文献3】特許第4064442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された携帯用ナビゲーション装置では、ディスプレイに表示される地図上でナビゲーションを行うため、ディスプレイの存在を前提としている。しかし、ディスプレイの存在を前提としたナビゲーションでは、視力の弱った方々へのナビゲーションが難しいという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載された携帯型ナビゲーション装置も同様に、ディスプレイの存在を前提としており、上記と同様の問題がある。更に、特許文献3に記載された操作装置は、ゲーム機に対して操作指示を行う装置であり、当該操作装置の利用者に対して方向を指示するといったナビゲーションを行うことはできない。
【0007】
以上、例示したように、従来のナビゲーション技術において、地図上でのナビゲーションを行う等のディスプレイの存在を前提とする技術は、視力の弱った方には不便である。また、地図ベースのナビゲーションでは、利用者が直感的に方向を理解し難いという問題もある。更に、ディスプレイは、液晶部品のような衝撃に弱い部品を備えるので、扱いに注意を要し、利用者にとって不便であるという問題もある。
【0008】
また、ディスプレイを備えた装置は、高価になり、もしくは、高価に見え、高齢者等が常時保持し、ナビゲーション装置を埋め込む対象とし得る杖や傘に対して利用する場合に、外観変化が大きく、盗難リスクが高まり、普及が難しくなるという問題もある。
【0009】
また、ナビゲーションの技術として、現在普及しているカーナビのように、音声で曲がる方向等を指示する技術があるが、このような技術では、難聴の方には不便である。また、音声での歩行者のナビゲーションを行う場合、ナビゲーションを要しない周囲の人にとって迷惑になる場合もあり得る。また、現実的に、音声では、曲がる方向を「右」、「左」で指示する程度のナビゲーションしか行うことができず、詳細な方向の指示が難しいという問題もある。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、高齢者やハンディキャップのある方々等のユーザに対して、目的方向に対する直感的なナビゲーションを行うことを可能とした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、ユーザに対して目的方向へのナビゲーションを行うユーザ端末装置であって、前記ユーザ端末装置の向きを検出する向き検出手段と、前記ユーザ端末装置の一方の端の部分と他方の端の部分のどちらか、又は両方に備えられる振動発生手段と、前記向き検出手段により、前記ユーザ端末装置の垂直面での向きを検出し、当該垂直面での向きと水平面との角度差Aが所定の角度B以下であるか否かを判定する垂直面角度判定手段と、前記角度差Aが所定の範囲B以下であると判定された場合に、前記向き検出手段により、前記ユーザ端末装置の水平面での向きを検出し、当該水平面での向きと前記目的方向との角度差Cが所定の角度D以下であるか否かを判定する水平面角度判定手段と、前記角度差Cが所定の角度D以下であると判定された場合に、前記ユーザ端末装置において前記目的方向に近い側の振動発生手段を振動させる振動制御手段とを備えることを特徴とするユーザ端末装置として構成することができる。
【0012】
前記ユーザ端末装置は、棒状の物であることが好ましい。また、前記目的方向は、例えば、通信により受信した目的地の情報、又は、ユーザにより入力された目的地の情報に基づく方向である。
【0013】
また、前記垂直面角度判定手段による処理を、一定時間間隔で行うこととしてもよいし、前記向き検出手段により、所定の角度の大きさ以上の垂直面での角度変化を検出した場合に行うこととしてもよい。
【0014】
また、本発明は、上記ユーザ端末装置が実行するナビゲーション方法として構成することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザが、ユーザ端末装置を地面に対してほぼ水平にして、回転させ、その結果、ユーザ端末装置が目的方向に近い方向を向いたときに、その方向に近い側のユーザ端末装置の先端付近を振動させることができるので、ユーザは、目的方向を知覚することが可能になる。よって、本発明によれば、従来技術における課題が解決され、ユーザに対して具体的な方向を直感的に伝達することが可能となる。
【0016】
すなわち、本発明によれば、視覚が弱くなった高齢者等にも利用しやすく、更に、聴覚が弱くなった高齢者等にも利用しやすいナビゲーション機能を提供できる。また、ディスプレイなどを無くすることが可能なので、衝撃に強く、安価に構成できるとともに、外観に影響せず多様な機器に組み込むことが可能なナビゲーション機能を提供できる。また、ディスプレイなどを無くすることで、外見上機能の特別性を知覚できないユーザ端末装置を実現でき、装置盗難のリスクが減るという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムのシステム構成図である。
【図2】棒状のユーザ端末装置200の構成図(第1の例)である。
【図3】センタ装置300の構成図である。
【図4】ユーザ端末装置200の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態での行程例を示す図である。
【図6】ユーザ端末装置200の向きと、目的方向との間の角度差Cを説明するための図である。
【図7】棒状のユーザ端末装置200の構成図(第2の例)である。
【図8】棒状のユーザ端末装置200の構成図(第3の例)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(システム構成)
図1に、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムのシステム構成を示す。図1に示すように、本実施の形態に係るナビゲーションシステムは、センタ装置300と、ユーザ端末装置200とを備え、これらがインターネット等のネットワーク100で接続された構成を有する。
【0020】
図2に、本実施の形態に係るユーザ端末装置200の構成図を示す。本実施の形態では、ユーザ端末装置200は、棒状の物で、狭い空間でのナビゲーションというより、屋外でのナビゲーションに適した物であることを想定している。例えば、ユーザ端末装置200は、「杖」である。また、ユーザ端末装置200としての棒状の物は、「雨傘」や「折り畳み傘」でもよい。また、ユーザ端末装置200はディスプレイを備える必要がないため、「ペン」のように小さな物であってもよい。もちろん、ユーザ端末装置200として、これら以外の棒状の物を用いてもよい。また、棒状の物をクロスに配置する等、棒状の物を複数組み合わせた形状であってもよい。
【0021】
更に、ユーザ端末装置200の形状は、棒状が好ましいが、必ずしも棒状に限られるわけではなく、方向(前後、上下など)を持ち、ユーザに対して、内部に備えられた振動器の振動でもって特定の方向を指示できる物であればどのような形状の物でもよい。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態に係るユーザ端末装置200は、本体向き検出部201と、2つの振動器(振動発生装置)211、221と、制御部202と、通信部203とを有する。
【0023】
本体向き検出部201は、ユーザ端末装置200の向きを検出し、検出した値を制御部202に渡す機能部である。この「向き」は、ユーザ端末装置200の特定の端(例えば、「杖」を手で持つ側)から、他の端(「杖」の地面に接する側の端)に向かう3次元のベクトルの方向である。また、この「向き」は、例えば、水平面での方位角(北を0度として右回りで増加する角度)と、垂直面での角度(水平を0度として、上側を0度〜90度、下側を0度〜−90度で表した角度)とで表すことができ、本体向き検出部201は、これらの角度を向きの値として取得することができる。また、「水平面での向き」は、上記方位角に相当し、「垂直面での向き」は、上記の垂直面での角度に相当する。
【0024】
もちろん、上記の例は「向き」を表現する方法の一例であり、これに限られるわけではない。
【0025】
本体向き検出部201は、例えば、地磁気センサ、電子コンパス、ジャイロのいずれか、または、それらの組合せによって実現することができる。
【0026】
振動器211、221は、それぞれ制御部202からの指示により振動する振動発生装置であり、棒状のユーザ端末装置200の両端付近に備えられる。例えば、振動器211は上記特定の端に備えられ、振動器221は上記他の端に備えられる。また、振動器は、2つではなく、どちらかの端に1つだけ備えることとしてもよい。
【0027】
通信部203は、ネットワーク100を介してセンタ装置300とデータ通信を行うための機能部である。
【0028】
制御部202は、本実施の形態に係るナビゲーションの処理制御を行うための機能部である。制御部202は、本体向き検出部201により、ユーザ端末装置200の垂直面での向きを検出し、当該垂直面での向きと水平面との角度差Aが所定の角度B以下であるか否かを判定する垂直面角度判定機能と、前記角度差Aが所定の範囲B以下であると判定された場合に、本体向き検出部201により、ユーザ端末装置200の水平面での向きを検出し、当該水平面での向きと目的方向との角度差Cが所定の角度D以下であるか否かを判定する水平面角度判定機能と、前記角度差Cが所定の角度D以下であると判定された場合に、ユーザ端末装置200において目的方向に近い側の振動器を振動させる振動制御機能と、を少なくとも有している。
【0029】
制御部202は、CPUとメモリを含む小型コンピュータに制御プログラムを搭載することにより実現することもできるし、ハードウェアロジック回路を用いて実現することもできる。
【0030】
図3に、本実施の形態に係るセンタ装置300の構成図を示す。図3に示すように、センタ装置300は、通信部301、行程情報管理・提供部302、及び行程情報登録部303を備えている。通信部301は、ネットワーク100を介してユーザ端末装置200等の外部装置とデータ通信を行う機能部である。行程情報登録部303は、例えば、ネットワーク100に接続されたPC端末等から、ユーザ端末装置200を用いたナビゲーションの対象としたい旅行計画等の行程情報を受信し、それを行程情報管理・提供部302に渡す機能部である。行程情報管理・提供部302は、行程情報登録部303から渡された行程情報を保持し、例えば、行程情報に含まれるスケジュールに従って、行程情報をユーザ端末装置200に送信する機能部である。また、行程情報管理・提供部200は、必要に応じて経路探索を行って、行程情報より詳細な経路情報を提供する処理を行ってもよい。なお、センタ装置300は、行程情報として、目的地のみをユーザ端末装置200に送信する場合もある。
【0031】
(ユーザ端末装置200の動作)
以下、ユーザ端末装置200を用いてナビゲーションを行う場面の例を挙げて、ユーザ端末装置200の動作を図4のフローチャートに沿って説明する。
【0032】
ステップ1)まず、ユーザ端末装置200は、センタ装置300から行程情報もしくは目的地を受信する。本実施の形態では、一例として、旅行先にて、ホテルAから出発して、図5に示すスケジュール及び経路にて移動を行い、ホテルAに戻るケース(旅行計画)を想定している。ホテルAから出発して、図5に示すスケジュール及び経路にて移動を行い、ホテルAに戻るという行程情報は、予めセンタ装置300に登録されているものとし、ステップ1において、ユーザ端末装置200は、センタ装置300から当該行程情報を通信部203で受信する。センタ装置300から受信する行程情報は、移動時における経路情報も含む。受信した行程情報は、制御部202が備えるメモリ等の記憶手段に保持される。また、ユーザ端末装置200は、行程情報として目的地のみを受信する場合もある。
【0033】
なお、センタ装置300は、行程情報に含まれるスケジュール(時間)に従って、スケジュールで区分けされた時間毎に、その時間に対応する目的地をユーザ端末装置200に送信することとしてもよい。
【0034】
また、ユーザ端末装置200が、自身の現在位置を取得する機能を備え、それを例えば一定時間間隔でセンタ装置300に送信し、センタ装置300は、その現在位置に応じて、必要な目的地をユーザ端末装置200に送信し、ユーザ端末装置200は、その目的地の情報に基づいて、ナビゲーション動作を行うこととしてもよい。
【0035】
本実施の形態では、ユーザが、「杖」等であるユーザ端末装置200を横に向けたときに、ユーザ端末装置200がそれを検知して、ユーザがナビゲーションを期待しているものと推察し、ナビゲーション動作を開始することとしている。
【0036】
そこで、ユーザ端末装置200の制御部202は、一定時間間隔で、ユーザ端末装置200が横に向けられているか否かを判断する。より詳細には、一定時間間隔で、以下のステップ2、3の処理を行う。
【0037】
ステップ2)制御部202は、本体向き検出部201を用いて、ユーザ端末装置200の垂直面での向きを取得し、水平(地面と平行の向き)との角度差A(本実施形態では、垂直面での向きを表す角度の絶対値)を算出する。
【0038】
ステップ3)続いて、制御部202は、角度差Aが予め定めた範囲B以下であるか否かを判定する。範囲Bは、横であると見なせる角度範囲として予め決定される角度であり、例えば、30度である。つまり、水平から30度以内であれば、ユーザ端末装置200が傾いていても横を向いていると判断するわけである。
【0039】
ステップ3での判定結果がYesであればステップ4に進み、ステップ3での判定結果がNoであれば、ステップ2からの処理が繰り返されることになる。なお、本実施の形態では、一定時間間隔で、ユーザ端末装置200が横に向けられているか否かを判断しているが、この判断を一定時間間隔で行うかわりに、例えば、ユーザ端末装置200の向きが垂直面内で所定の角度以上変化したことを検知したタイミングで行うこととしてもよい。
【0040】
ステップ4)ステップ3で、ユーザ端末装置200が横向きになっていると判定された場合、制御部202は、本体向き検出部201を用いて、ユーザ端末装置200の水平面での向きを取得する。更に、制御部202は、現在の位置(あるいは現在時刻)に対応する目的地の情報から、現時点でユーザが向かうべき方向(ナビゲーションすべき目的方向)を取得し、ユーザ端末装置200の水平面での向きと目的方向との間の角度差Cを算出する。
【0041】
なお、振動器をユーザ端末装置200の両端に備える場合、この角度差Cは、ユーザ端末装置200の向きを表すベクトルに平行な直線(向きを考慮しない直線)と、目的方向に平行な直線(向きを考慮しない直線)との交わる角度(0度〜90度の角度)として算出してよい(例:図6の(a))。振動器をユーザ端末装置200の片側だけ(たとえば、「杖」の手で持たないほうの先端)に備える場合は、角度差Cは方向を考慮した角度差(0度〜180度の角度)として算出する(例:図6の(b))。
【0042】
ステップ5)そして、制御部202は、角度差Cが所定の許容範囲D以下であるか否かを判定する。この許容範囲Dの値は、例えば10度である。ステップ5での判定結果がYesであればステップ6に進み、Noであれば、ステップ2からの処理に戻る。
【0043】
ステップ6)ステップ5での判定により、角度差Cが所定の許容範囲D以下であると判定された場合、制御部202は、目的方向に対応する振動器(211又は221)を振動させる。例えば、図6の例のように、振動器211、221が備えられている場合で、目的方向が図示する方向で、(a)の角度Cが許容範囲D以下である場合、振動器221を振動させる。また、例えば、ユーザ端末装置200において、振動器211のみが備えられていた場合であって、図6に示す角度の状況である場合には、ステップ5の条件は満たされず、ステップ2に戻る。
【0044】
以上の処理を、図5の行程で旅行をしているユーザの操作の観点から説明すると以下のとおりである。
【0045】
例えば、ユーザが、ホテルAから庭園Bへの移動b中であって、その目的地(庭園B)の方角が分からなくなった場合に、所有するユーザ端末装置200(「杖」等)を水平方向に倒し(片手や両手でユーザ端末装置200を水平に持つなどして)、そのユーザ端末装置200を円を描くように水平面に平行な向きで回す。そして、この回す操作の中で、上記ステップ5での判定がYesになると、目的の方向に許容範囲D(10度)以内で向いた側のユーザ端末装置200の振動器が振動する。これにより、ユーザは進むべき方向を把握できる。また、ユーザは、上記のようなユーザ端末装置200の振りを何回か行うことで、目的の方向を確信することができる。
【0046】
(ユーザ端末装置200の他の例)
上記の例では、センタ装置300から行程情報をユーザ端末装置200に送信する例を説明したが、センタ装置300を使用しない構成とすることも可能である。その場合のユーザ端末装置200の構成例を図7に示す。図7に示すように、本例では、通信部203がなく、入力部204と表示部205を備える。なお、入力部204及び表示部205とともに、通信部203を備え、センタ装置300から受信する情報を利用したナビゲーションも可能な構成としてもよい。
【0047】
図7に示す例では、ユーザは、入力部204から、目的地もしくは行程情報を入力し、制御部202は、入力部204から入力された目的地もしくは行程情報に基づいて、これまでに説明した動作と同様のナビゲーションを行う。また、表示部205は、入力した情報の表示等に使用される。
【0048】
また、図7に示す構成において、制御部202が、現在位置の取得機能と経路算出機能を備えてもよい。その場合、例えば、ユーザが、入力部204から目的地を入力すると、制御部202が現在位置と目的地とから、経路情報(複数の経由目的地を、最終の目的地まで進行順に並べた情報)を算出し、当該経路情報を用いて、現在位置に応じた経由目的地を順次利用することにより、ナビゲーションを行うこととしてもよい。
【0049】
また、図8に示すように、振動器211、221に加えて、スピーカ212、222、LED213、223のいずれか又は両方を備える構成としてもよい。この場合、振動器211又は221を振動させることに加えて、振動させる振動器の側にあるLEDを点滅させたり、振動させる振動器の側にあるスピーカから音声を発出させる。これにより、ユーザへの方向伝達精度を向上させることができる。
【0050】
(その他の適用例)
以上説明したように、本実施の形態に係る技術では、ユーザ端末装置200の制御部202が、ユーザ端末装置200の向きと、目的方向とを取得し、これらの間の角度差を算出し、角度差が所定の許容範囲内であれば、目的方向に対応する側の振動器を振動させて、ユーザに対して進むべき方向を指示する。このようなナビゲーション技術は、上述した例に限られず、その他の様々な場面に適用できることはもちろんである。
【0051】
例えば、制御部202が、スケジューリングの情報から、いずれかの目的地での滞在時間が特定時間間隔(スケジューリングで設定された間隔)を過ぎるか、もしくは旅行計画上の出発時刻を過ぎたことを検知した場合に、目的地系列上の次の目的地をユーザ端末装置200の目的地として設定する構成としてもよい。また、このような目的地の設定は、ユーザ端末装置200が、最初にセンタ装置300から受信する行程情報を用いて行うようにしてもよいし、センタ装置300から、ユーザがある目的地に達した都度、次の目的地の情報を受信することにより行ってもよい。
【0052】
本実施の形態に係るナビゲーション技術は、旅行以外にも適用できる。例えば、ユーザ端末装置200のユーザが高齢者である場合には、特定の時刻(例えば16:00)を過ぎると、常に自宅位置を目的地として設定するといった制御を行うことも可能である。これにより、ユーザが迷子になることを避けることが可能になる。このような制御は、ユーザ端末装置200の制御部202が、現在時刻に基づき行ってもよいし、センタ装置300からの指示で行うようにしてもよい。
【0053】
また、さらに別の例として、目的地が移動していても構わない。一例として、息子と親(ユーザ端末装置200のユーザ)が都心で出会う場合に、例えば息子の携帯電話機を利用して、息子の位置情報を、ユーザ端末装置200で使用する目的地としてユーザ端末装置200に送信する。そして、息子の位置情報を目的地として受信したユーザ端末装置200は、その目的地でもって、これまでに説明したナビゲーション動作(振動器を振動させる動作)を行う。これにより、ユーザ端末装置200を持つ親は、ユーザ端末装置200において振動器の振動した側の方向に息子がいることを知ることができる。
【0054】
そして、合流時間に近くなれば、もしくは携帯電話機などによる通話によって互いに近くにいることが分かれば、親が息子に近づいていくことが可能になり、出会う時間を早めることも可能となる。また、本実施の形態に係る技術は、オリエンテーリング等のネーチャーゲームにも使用することが可能である。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る技術によれば、固定のもしくは移動する目的地に関する具体的な方向をユーザに対して直感的に伝達することが可能になる。つまり、視覚を利用せず、聴覚も利用することなく、ナビゲーションを行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ユーザを目的地へナビゲートするための技術に適用することができる。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0057】
100 ネットワーク
200 ユーザ端末装置
201 本体向き検出部
211、221 振動器(振動発生装置)
212、222 スピーカ
213、223 LED
202 制御部
203 通信部
204 入力部
205 表示部
300 センタ装置
301 通信部
302 行程情報管理・提供部
303 行程情報登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して目的方向へのナビゲーションを行うユーザ端末装置であって、
前記ユーザ端末装置の向きを検出する向き検出手段と、
前記ユーザ端末装置の一方の端の部分と他方の端の部分のどちらか、又は両方に備えられる振動発生手段と、
前記向き検出手段により、前記ユーザ端末装置の垂直面での向きを検出し、当該垂直面での向きと水平面との角度差Aが所定の角度B以下であるか否かを判定する垂直面角度判定手段と、
前記角度差Aが所定の範囲B以下であると判定された場合に、前記向き検出手段により、前記ユーザ端末装置の水平面での向きを検出し、当該水平面での向きと前記目的方向との角度差Cが所定の角度D以下であるか否かを判定する水平面角度判定手段と、
前記角度差Cが所定の角度D以下であると判定された場合に、前記ユーザ端末装置において前記目的方向に近い側の振動発生手段を振動させる振動制御手段と
を備えることを特徴とするユーザ端末装置。
【請求項2】
前記ユーザ端末装置は、棒状の物であることを特徴とする請求項1に記載のユーザ端末装置。
【請求項3】
前記目的方向は、通信により受信した目的地の情報、又は、ユーザにより入力された目的地の情報に基づく方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載のユーザ端末装置。
【請求項4】
前記垂直面角度判定手段による処理を、一定時間間隔で行う、又は、前記向き検出手段により、所定の角度の大きさ以上の垂直面での角度変化を検出した場合に行うことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のユーザ端末装置。
【請求項5】
ユーザ端末装置が、ユーザに対して目的方向へのナビゲーションを行うナビゲーション方法であって、
前記ユーザ端末装置は、前記ユーザ端末装置の向きを検出する向き検出手段と、前記ユーザ端末装置の一方の端の部分と他方の端の部分のどちらか、又は両方に備えられる振動発生手段とを有し、
前記向き検出手段により、前記ユーザ端末装置の垂直面での向きを検出し、当該垂直面での向きと水平面との角度差Aが所定の角度B以下であるか否かを判定する垂直面角度判定ステップと、
前記角度差Aが所定の範囲B以下であると判定された場合に、前記向き検出手段により、前記ユーザ端末装置の水平面での向きを検出し、当該水平面での向きと前記目的方向との角度差Cが所定の角度D以下であるか否かを判定する水平面角度判定ステップと、
前記角度差Cが所定の角度D以下であると判定された場合に、前記ユーザ端末装置において前記目的方向に近い側の振動発生手段を振動させる振動制御ステップと
を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項6】
前記ユーザ端末装置は、棒状の物であることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション方法。
【請求項7】
前記目的方向は、通信により受信した目的地の情報、又は、ユーザにより入力された目的地の情報に基づく方向であることを特徴とする請求項5又は6に記載のナビゲーション方法。
【請求項8】
前記垂直面角度判定ステップを、一定時間間隔で行う、又は、前記向き検出手段により、所定の角度の大きさ以上の垂直面での角度変化を検出した場合に行うことを特徴とする請求項5ないし7のうちいずれか1項に記載のナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−7946(P2012−7946A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142914(P2010−142914)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】