説明

ライニング材及びそのライニング材を使用した既設管の更生方法

【課題】熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントの複合材料で成るライニング材に対し、加熱の不均一化を解消することができるライニング材及びそのライニング材を使用した既設管の更生方法を提供する。
【解決手段】ライニング材1は、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成る可撓性を有する複数のライナー基材21,22,23を備え、ライナー基材21,22の間に、高熱伝導率材料が網形状で略筒型に成形されて成る伝熱体3が介在されている。既設管5の更生は、ライニング材1を既設管5内に挿入して補修対象箇所に配置し、熱可塑性フィラメント融点以上の温度で加熱して軟化させ、拡径用チューブにより内側から加圧して既設管5の内周面に沿う管状に成形し、拡径したライナー基材21,22,23を冷却及び硬化させて既設管5をライニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライニング材及びそのライニング材を使用した既設管の更生方法に係る。特に、本発明は、複合材料で成るライニング材の改良及びそのライニング材による既設管の更生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下水道管等の地中埋設管を開削せずに更生する方法として、未硬化のFRP筒状体を管路内に挿入する方法や、熱可塑性樹脂製の管状のライニング材(以下、ライナーと呼ぶ場合もある)を既設管渠内に挿入して既設管内面に貼り付けることにより、この既設管内面をライニングする方法などがあり、実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているように、既設管の内径よりも小径であって、形状記憶温度において管状に形状回復するライニング材を既設管内に挿入し、ライニング材を加熱して形状回復させた後、加圧して膨張拡径させ、既設管の内周面に密着させてライニングする更生方法がある。
【0004】
また、最近では、特許文献2や特許文献3に記載されているように、繊維で補強された熱可塑性複合材料から成るライナーをダクト内に挿入し、そのライナーを加熱するとともに圧力を加え、既設管に接触させてライニングする方法が提案されている。
【0005】
具体的に、この特許文献2や特許文献3に開示されているライナーは、加熱される前段階では、熱可塑性プラスチック材料で成る熱可塑性フィラメントと、ガラス繊維で成る補強繊維フィラメントとによる複合材料によって略筒型に形成されている。そして、このライナーを使用した既設管の更生方法としては、ダクト内に前記ライナーを挿入した後、加熱手段によってライナーを加熱することで、前記熱可塑性フィラメントを溶融させる。これにより、溶融したプラスチック材料の中に補強繊維フィラメントが分散されることになる。その後、ライナー内側に圧力を加えて拡径させると共にプラスチック材料を冷却固化させることで、補強繊維フィラメントで補強された強固な複合ライニング材が成形され、この複合ライニング材によって既設管が更生されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−230412号公報
【特許文献2】特許第4076188号公報
【特許文献3】特表2004−508989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記特許文献2や特許文献3に開示されているようなライニング材(繊維で補強された熱可塑性複合材料から成るライニング材)を使用したライニング方法にあっては、以下に述べるような課題があり、実用化を図るためには未だ改良の余地があった。
【0008】
先ず、熱可塑性フィラメントを構成しているプラスチック材料の溶融に比較的長い時間を要することが挙げられる。例えば、老朽化した既設管の亀裂等の損傷箇所から地中水が既設管内部に浸入している場合、その部分では浸入水によってライニング材が冷やされてしまい、プラスチック材料の溶融が迅速に行えなくなる。その結果、熱可塑性フィラメント全体を溶融させるのに比較的長い時間を要することになり、施工時間の長期化に繋がってしまう。
【0009】
また、上述したようにライニング材の一部分においてプラスチック材料の溶融が迅速に行えない状況になると、加熱の不均一化に伴って熱可塑性フィラメントに溶け残りが発生することがある。このような溶け残りが発生すると、その部分では、プラスチック材料の中に補強繊維フィラメントを分散させた構成が得られなくなり、ライニング材の強度の不均一化を招いてしまうことになり好ましくない。
【0010】
また、前記溶け残りの発生を回避するべく、加熱温度を高く設定したり、加熱時間を長く設定することが考えられる。しかしながら、これでは、部分的に加熱が過剰となる可能性があり、この加熱過剰箇所にあってはプラスチック材料の一部分が流動して(流れ出して)ライニング材に偏肉が発生してしまう可能性がある。このような偏肉が発生した場合にもライニング材の強度の不均一化を招いてしまうことになる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントの複合材料で成るライニング材に対し、加熱の均一化を図ることができるライニング材及びそのライニング材を使用した既設管の更生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、既設管の内壁をライニングするライニング材を前提とする。このライニング材に対し、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成る筒状のライナー基材と、このライナー基材の内部に介在または混入され、前記熱可塑性フィラメントを構成している熱可塑性材料よりも熱伝導率の高い高熱伝導率材料で成る伝熱体とを備えさせている。
【0013】
この特定事項により、既設管の内部にライニング材を挿入した後に、このライニング材を加熱して熱可塑性フィラメントを溶融させる際、このライニング材に与えられた熱はライナー基材を介して伝熱体に伝達されることになる。そして、この伝熱体は高い熱伝導率を有しているため、この伝熱体からライニング材の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになる。このため、ライニング材、特に熱可塑性フィラメントの略全体が略均一に加熱される。その結果、ライニング材に対する加熱の不均一化が解消され、比較的短時間で、熱可塑性フィラメントの全体を溶融させることが可能になり、熱可塑性材料の中に補強繊維フィラメントを分散させた構成(言い換えると、溶融した熱可塑性材料が補強繊維フィラメントを包囲した構成)をライニング材全体に亘って得るための施工時間を短縮化できる。また、ライニング材に対する加熱が均一化されることにより、熱可塑性フィラメントに溶け残りが生じることがなくなり、また、熱可塑性フィラメントの一部分が過剰加熱されて流動してしまうといったことも回避できる。
【0014】
ライニング材のより具体的な構成として次のものが挙げられる。つまり、ライナー基材として、内周側ライナー基材及び外周側ライナー基材を含む複数のライナー基材を備えさせる。そして、前記伝熱体を前記内周側ライナー基材と外周側ライナー基材との間に介在させた構成としている。
【0015】
これにより、内周側ライナー基材及び外周側ライナー基材のうち一方に与えられた熱は、伝熱体に伝達され、この伝熱体からライニング材の広範囲に亘って均等拡散され、他方のライナー基材を均一に加熱することになる。このようにライナー基材同士の間に伝熱体を介在させるといった比較的簡素な構成で、熱可塑性フィラメントの略全体が略均一に加熱され、ライニング材に対する加熱の不均一化を解消できる。
【0016】
ライナー基材が三層以上で構成されるライニング材において、ライニング材を加熱するための加熱手段と前記伝熱体との配設位置の関係について以下の3タイプが挙げられる。
【0017】
先ず、第1のタイプとして、前記ライナー基材を、三層以上の複数のライナー基材で成すと共にライナー基材の内部空間に挿入された加熱手段によって加熱するようにする。この場合に、前記伝熱体を、前記複数のライナー基材のうち最も内周側に位置する内周側ライナー基材と、その外側に配設されている外周側ライナー基材との間に介在させる。
【0018】
第2のタイプとして、前記ライナー基材を、三層以上の複数のライナー基材で成すと共にライナー基材の外部に設けられた加熱手段によって加熱するようにする。この場合に、前記伝熱体を、前記複数のライナー基材のうち最も外周側に位置する外周側ライナー基材と、その内側に配設されている内周側ライナー基材との間に介在させる。
【0019】
第3タイプとして、前記ライナー基材を、三層以上の複数のライナー基材で成すと共にライナー基材の内部空間及び外部にそれぞれ設けられた加熱手段によって加熱するようにする。この場合に、前記伝熱体を、前記複数のライナー基材それぞれの間に介在させる。
【0020】
前記第1タイプの構成によれば、伝熱体の存在により、外周側ライナー基材の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになり、この外周側ライナー基材を構成している熱可塑性フィラメントの略全体を略均一に加熱溶融させることが可能になる。
【0021】
また、前記第2タイプの構成によれば、伝熱体の存在により、内周側ライナー基材の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになり、この内周側ライナー基材を構成している熱可塑性フィラメントの略全体を略均一に加熱溶融させることが可能になる。
【0022】
更に、前記第3タイプの構成によれば、各伝熱体の存在により、それぞれに隣接している全てのライナー基材の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになり、これらライナー基材を構成している熱可塑性フィラメントの略全体を略均一に加熱溶融させることが可能になる。
【0023】
また、前記ライナー基材を織布または不織布により構成した場合、極めて可撓性の高いライニング材を得ることができ、このライニング材を既設管の内部に挿入する際の挿入作業が容易になる。
【0024】
一方、伝熱体の具体構成としては以下に述べる複数のものが挙げられる。
【0025】
先ず、前記伝熱体を、網形状の高熱伝導率材料を略筒型に成形し、これにより拡径が可能な構成とするものである。
【0026】
また、伝熱体を、高熱伝導率材料が、織布、不織布またはパンチングメタル形状に成形されたものとする。
【0027】
また、伝熱体を、高熱伝導率材料が粉末状またはチョップ状とされてライナー基材の内部に混入されたものとする。
【0028】
更に、伝熱体を、高熱伝導率材料が繊維状に形成され、ライナー基材を構成している熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントの内部に配設されたものとする。
【0029】
特に、粉末状またはチョップ状とされた伝熱体をライナー基材の内部に混入するものでは、ライナー基材を複数層設けておく必要がなくなり、ライニング材の構成の簡素化を図ることができる。
【0030】
また、前記高熱伝導率材料としては、アルミニウム、銅、スチール、ステンレス、真鍮、カーボンの中から選択されたものである。特に、アルミニウムを採用した場合、防錆及び汎用性に優れたものとなる。
【0031】
また、上述した各解決手段に係るライニング材を使用した既設管の更生方法も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、既設管の内壁にライニング材によるライニング層を形成して更生する既設管の更生方法を前提とする。また、前記ライニング材に、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成るライナー基材と、このライナー基材の内部に介在または混入され、前記熱可塑性フィラメントを構成している熱可塑性材料よりも熱伝導率の高い高熱伝導率材料で成る伝熱体とを備えさせる。そして、更生方法として、ライニング材を既設管内に挿入して補修対象箇所に配置する挿入工程と、ライニング材に沿って加熱手段を移動させつつ加熱してライナー基材を軟化させる加熱工程と、軟化したライナー基材を拡径手段により内側から加圧して既設管の内周面に沿う管状に成形する拡径工程と、拡径したライナー基材を冷却して硬化させる冷却工程とを備えさせる。
【0032】
このような更生方法により、ライニング材に与えられた熱が伝熱体からライニング材の広範囲に亘って均等拡散され、ライニング材に対する加熱の不均一化が解消され、比較的短時間で、熱可塑性フィラメントの全体を溶融させることが可能になり、老朽化した既設管を短時間で更生することが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明では、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成るライナー基材の内部に高熱伝導率材料で成る伝熱体を備えさせ、この伝熱体によってライニング材の広範囲に亘って熱が均等拡散されるようにしている。このため、熱可塑性フィラメントの略全体を略均一に加熱することができ、比較的短時間で、熱可塑性フィラメント全体を溶融させることが可能になって施工時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る既設管の更生方法を示す説明図である。
【図2】実施例1に係るライニング材による既設管のライニング途中の状態を示す断面図である。
【図3】実施例1に係るライニング材を用いて既設管をライニングした状態を示す断面図である。
【図4】実施例2に係るライニング材を用いて既設管をライニングした状態を示す断面図である。
【図5】実施例3に係るライニング材を用いて既設管をライニングした状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態に係るライニング材及びこのライニング材を用いた既設管の更生方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
以下では、先ず、ライニング材を用いて既設管の内壁をライニングする更生方法について説明し、その後、ライニング材の構成についての複数の実施例について説明する。
【0037】
(既設管の更生方法)
図1は、ライニング材1を用いて既設管5の内壁をライニングする更生方法の説明図である。
【0038】
ライニング材1は、熱可塑性フィラメント及び補強繊維(強化繊維)フィラメントを含む繊維強化複合材料から成る可撓性を有する筒状布帛である。
【0039】
また、このライニング材1は、図2(ライニング材1による既設管5の更生途中の状態を示す断面図)に示すように、第1〜第3の複数のライナー基材21,22,23と、その内部に配設された伝熱体3とを備えている。
【0040】
具体的に、前記ライナー基材21,22,23としては、ライニング材1の内側層を形成するべく比較的小径に形成された第1ライナー基材21と、ライニング材1の中間層を形成するべく前記第1ライナー基材21よりも大径に形成された第2ライナー基材22と、ライニング材1の外側層を形成するべく前記第2ライナー基材22よりも大径に形成された第3ライナー基材23とから成っている。
【0041】
前記第2ライナー基材22の内径寸法は前記第1ライナー基材21の外径寸法よりも大きく設定されており、前記第3ライナー基材23の内径寸法は前記第2ライナー基材22の外径寸法よりも大きく設定されている。このため、図2に示す状態では、第1ライナー基材21の外面と第2ライナー基材22の内面との間、第2ライナー基材22の外面と第3ライナー基材23の内面との間にはそれぞれ隙間が形成されている。
【0042】
また、これらライナー基材21,22,23は、上述した如く、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成る可撓性を有する筒状布帛で構成されている。このライナー基材21,22,23の構成及び材料の具体例については下記の各実施例において説明する。
【0043】
一方、前記伝熱体3は、前記第1ライナー基材21の外面と第2ライナー基材22の内面との間に形成されている隙間に配設(介在)されている。具体的に、この伝熱体3は、前記熱可塑性フィラメントの構成材料及び補強繊維フィラメントの構成材料それぞれの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料(例えば金属材料)で成り、その材料で成る金網が筒状に形成された構成となっている。例えば、伝熱体3の構成材料としては、前記熱可塑性フィラメントの構成材料及び補強繊維フィラメントの構成材料それぞれの熱伝導率に対して百倍以上、好ましくは千倍以上の高い熱伝導率を有する材料が採用されている。また、この伝熱体3は、前記第1ライナー基材21の外周側及び第2ライナー基材22の内周側の略全体を覆うように配設されている。つまり、この伝熱体3は、その軸線方向の長さ寸法が、各ライナー基材21,22,23における軸線方向の長さ寸法に略一致している。このように、伝熱体3は、金網が筒状に形成された構成となっていることにより、径方向への変形(拡径)が可能となっている(周知の拡径可能な金網構造となっている)。この伝熱体3の構成及び材料の具体例についても下記の各実施例において説明する。
【0044】
前記ライニング材1は、図1に示すように既設管5の補修対象箇所に挿入して用いる。更生作業に先立ち、既設管5に下水等の流下水がある場合には、この流下水を管路からいったん除去することが好ましい。既設管5の管路には、適当な間隔を設けてマンホールM1、M2が設けられており、近傍のマンホールの上流側に堰き止め部材7を設ける。堰き止めた流下水は、マンホールM1、M2を通して排水ポンプから汲み取り、地上に配設した図示しない排水ホース等を迂回路として下流側へ放出する。更に、既設管5内に存在する堆積物や木片等の異物を除去し、高圧水洗浄を行ってから管内の更生作業に入る。
【0045】
先ず、マンホールM1、M2を通してライニング材1を既設管5に挿入する(挿入工程)。
【0046】
ライニング材1は、例えば、発進側マンホールM1と到達側マンホールM2との間の長さに余裕長さを加えた長さで用意されている。また、到達側マンホールM2の地上側に牽引ワイヤ91を巻き取るウィンチ9等の機器を設置する。牽引ワイヤ91は、到達側マンホールM2から既設管5内に挿通されており、ライニング材1の内側に配備された加熱装置(加熱手段)6を、発進側マンホールM1から到達側マンホールM2方向に牽引する。
【0047】
挿入工程を経て既設管5に配置されたライニング材1には、内側に前記加熱装置6が設置される。この加熱装置6は、図1に例示するように、ライニング材1を内外両面から加熱するようになっている。
【0048】
この種の加熱装置6は、ライニング材1の内周面に沿う円筒状の外形を有するライニング用ピグ61と、ライニング材1に外装される筒状の補助用ピグ62とを備えている。ライニング用ピグ61は、ライニング材1を内周側から加熱エアー又は赤外線放射等により加熱して、ライニング材1に含まれる熱可塑性フィラメントを融解する。また、補助用ピグ62は、ライニング材1の外周面を加熱し、外周側から熱可塑性フィラメントの融解を補助する(加熱工程)。
【0049】
図1に示すように、加熱装置6のライニング用ピグ61は、後方部分が拡径したテーパー形状とされており、ライニング材1を加熱しつつ前進することで、ライニング材1が軟化されて徐々に拡径するように作用する。
【0050】
この加熱工程では、ライニング材1における熱可塑性フィラメントの融点以上の温度で加熱する。これにより、ライニング材1の熱可塑性フィラメントが溶融し、ライニング材1が補強繊維フィラメントを混合した繊維強化樹脂層を形成するものとなる。
【0051】
この加熱工程においてライニング材1を加熱する際、上述した如く前記第1ライナー基材21の外面と第2ライナー基材22の内面との間には伝熱体3が配設されているため、このライニング材1に与えられた熱は第1ライナー基材21を介して伝熱体3に伝達されることになる。そして、この伝熱体3は高い熱伝導率を有していると共に前記第1ライナー基材21の外周側及び第2ライナー基材22の内周側の略全体を覆うように配設されているため、この伝熱体3からライニング材1の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになる。このため、各ライナー基材21,22,23を構成している熱可塑性フィラメントの略全体が略均一に加熱されることになる。その結果、ライニング材1に対する加熱が均一化され、比較的短時間で、各ライナー基材21,22,23の熱可塑性フィラメントの全体を溶融させることが可能になり、熱可塑性材料(プラスチック材料)の中に補強繊維フィラメントを分散させた構成(前記繊維強化樹脂層)をライニング材1の全体に亘って得るための施工時間(加熱時間)の短縮化を図ることができる。また、ライニング材1に対する加熱の均一化により、熱可塑性フィラメントに溶け残りが生じることがなくなり、また、熱可塑性フィラメントの一部分が過剰加熱されて流動してしまうといったことも回避できる。
【0052】
更には、ライニング材1に対する加熱の均一化により、ライニング材1全体が均一に軟化されるため、ライニング材1が捩れ難くなり、皺の発生を抑制することができる。また、伝熱体3は金属材料であって比較的剛性が高いため、ライニング材1の強度の向上にも寄与している。
【0053】
また、この加熱工程において、前記第1ライナー基材21と伝熱体3とが接触している箇所(例えば図2における下側部分)では、第1ライナー基材21に与えられた熱が直接的に伝熱体3に熱伝導される。これに対し、前記第1ライナー基材21と伝熱体3とが接触していない箇所(例えば図2における上側部分)では、第1ライナー基材21に与えられた熱が輻射によって伝熱体3に伝達される。このように各所で第1ライナー基材21から伝熱体3への熱の伝わり方が異なっても、伝熱体3は高い熱伝導率を有しているため、この伝熱体3は、その全体が略均一に温度上昇することになり、この伝熱体3からライニング材1の広範囲に亘って熱が均等拡散されて、各ライナー基材21,22,23を構成している熱可塑性フィラメントの略全体が略均一に加熱されることになる。
【0054】
ライニング材1は、加熱工程を経た段階では未だ完全に拡径、硬化した状態ではなく、また既設管5の内面に密着した状態とはなっていない。図1に示すように、加熱装置6の後方には拡径手段が配備されている。
【0055】
加熱工程を経たライニング材1は拡径手段により内側から加圧されて既設管5の内周面に沿う管状に拡径される(拡径工程)。図1に例示する拡径手段では、反転機8が地上に設置され、先端側から反転させつつ導入された拡径用チューブ81を備えている。
【0056】
拡径用チューブ81は、内圧により十分に拡径することが可能であり、かつ拡張に際して十分な強度を有する拡張性及び耐熱性に優れたエラストマーなどを材料として形成されている。また、拡径用チューブ81は、拡径後にも拡径用チューブ81と第1ライナー基材21とが接着しない材質により形成されている。拡径用チューブ81の外径は、最大拡張時にライニング材1を内側から既設管5の内周面に押圧し得る大きさで確保されている。
【0057】
拡径用チューブ81は、発進側マンホールM1側の地上に設置された反転機8に接続され、拡張していない状態でライニング材1の内側に導入されている。そして、その後、拡径用チューブ81には、反転機8から加圧気体が供給されて、加熱装置6の後方部分に追従しながら内周面が外周側に反転しつつ拡張していく。これに伴って、ライニング材1は、加熱装置6を経て軟化した部分から順に、拡径用チューブ81によって内側から押圧されて拡径する。ライニング材1の拡径した部分は既設管5の内周面に密着する。加熱装置6が前進することにより、拡径用チューブ81の拡張範囲も前方へ広げられ、ライニング材1と既設管5との密着状態はそのまま維持されて、広範囲で均一な力を付与することができ、均一に成形される。
【0058】
既設管5の補修対象箇所の全域に亘ってライニング材1が拡径されたならば、冷却及び硬化させ(冷却工程)、これにより、既設管5の内周面がライニング材1により更生される。図3は、既設管5の内周面がライニング材1によりライニングされた状態を示している。尚、このライニング状態では、前記第2ライナー基材22と第3ライナー基材23とは前記加熱工程において共に溶融したことで一体化している(これらライナー基材22,23の境界部分を図中に破線で示している)。
【実施例1】
【0059】
次に、前記既設管の更生方法において用いるライニング材1の実施例について、図面を参照しつつ説明する。図2及び図3は本発明の実施例1に係るライニング材1を示し、図2はライニング材1による既設管5の更生途中の状態を示す断面図、図3は前記加熱工程及び拡径工程を経てライニング材1により既設管5をライニングした状態を示す断面図である。
【0060】
既設管5の内壁をライニングするライニング材1は、上述した如く複数のライナー基材21,22,23と、高熱伝動率材料で成る伝熱体3とを備えている。
【0061】
前記ライナー基材21,22,23は、上述した如く可撓性を有する筒状布帛であり、熱可塑性のフィラメント及び補強繊維のフィラメントから成る複合材料により形成されている。複合材料の母材である熱可塑性フィラメントの樹脂と、強化材である補強繊維フィラメントとの組合せは、多種多様である。代表的な熱可塑性フィラメントには、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、または、ポリブチルテレフタレート等が挙げられる。また、補強繊維フィラメントには、ガラス繊維、炭素繊維等が好ましい。
【0062】
ライナー基材21,22,23は、このような熱可塑性フィラメントを母材樹脂として繊維形態で補強繊維フィラメント束内に配置させた繊維束によって構成されており、編物または織物(織布)若しくは不織布が縫合等により筒状に形成されている。また、ライナー基材21,22,23は、かかる繊維強化複合材料により形成された布帛そのものの厚みで構成するだけでなく、複数枚の布帛を重ね合わせて、所定の厚みを確保することにより構成されてもよい。
【0063】
前記熱可塑性フィラメントの構成材料としてポリプロピレン(融点は160〜170℃程度)が採用された場合に、既設管5の更生過程で用いる加熱装置6の加熱温度は例えば180℃に設定される。また、熱可塑性フィラメントの構成材料として高密度または低密度ポリエチレン(融点は140℃)が採用された場合に、既設管5の更生過程で用いる加熱装置6の加熱温度は例えば150℃に設定される。
【0064】
また、前記伝熱体3は、上述した如く前記第1ライナー基材(内周側ライナー基材)21の外面と第2ライナー基材(外周側ライナー基材)22の内面との間に形成されている隙間に配設され、例えばアルミニウムが金網形状に形成されて成る高熱伝導率材料シートが積層された構成となっている。
【0065】
この伝熱体3の構成材料としては、アルミニウム(熱伝導率236W/(m・K))には限定されず、前記熱可塑性フィラメントの構成材料及び補強繊維フィラメントの構成材料の熱伝導率(熱可塑性プラスチックの熱伝導率0.15〜0.2W/(m・K)、ガラスの熱伝導率1W/(m・K))よりも高い熱伝導率を有するものであればよい。例えば、銅(熱伝導率398W/(m・K))、スチール(熱伝導率84W/(m・K))、ステンレス(熱伝導率15W/(m・K))、真鍮(熱伝導率106W/(m・K))などの金属材料が適用可能である。また、これ以外の材料を適用するようにしてもよい。尚、防錆及び汎用性を考慮し、本実施例ではアルミニウムを採用している。
【0066】
このように構成されたライニング材1により、上述した如く、加熱工程においては各ライナー基材21,22,23を構成している熱可塑性フィラメントの略全体が略均一に加熱されることになり、比較的短時間で、各ライナー基材21,22,23の熱可塑性フィラメントの全体を溶融させることが可能になり、熱可塑性材料(プラスチック材料)の中に補強繊維フィラメントを分散させた構成をライニング材1の全体に亘って得るための施工時間(加熱時間)の短縮化が図れることになる。
【実施例2】
【0067】
次に、本発明に係るライニング材の実施例2について説明する。図4は本発明の実施例2に係るライニング材1により既設管5をライニングした状態を示す断面図である。
【0068】
前記実施例1では、前記第1ライナー基材21の外面と第2ライナー基材22の内面との間に伝熱体3を配設していた。本実施例では、それに代えて前記第2ライナー基材(内周側ライナー基材)22の外面と第3ライナー基材(外周側ライナー基材)23の内面との間に伝熱体3を配設した構成としている。
【0069】
その他、各ライナー基材21,22,23及び伝熱体3の構成は前記実施例1のものと同様であるため、図4にあっては実施例1と同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0070】
このように第2ライナー基材22の外面と第3ライナー基材23の内面との間に伝熱体3を配設した場合、加熱工程では、ライニング材1に与えられた熱(前記補助用ピグ62から与えられた熱)は第3ライナー基材23を介して伝熱体3に伝達され、この伝熱体3からライニング材1の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになる。このため、各ライナー基材21,22,23を構成している熱可塑性フィラメントの略全体が略均一に加熱されることになる。その結果、ライニング材1に対する加熱の不均一化が解消され、比較的短時間で、各ライナー基材21,22,23の熱可塑性フィラメントの全体を溶融させることが可能になり、熱可塑性材料(プラスチック材料)の中に補強繊維フィラメントを分散させた構成をライニング材1の全体に亘って得るための施工時間(加熱時間)の短縮化を図ることができる。
【実施例3】
【0071】
次に、本発明に係るライニング材の実施例3について説明する。図5は本発明の実施例3に係るライニング材1により既設管5をライニングした状態を示す断面図である。
【0072】
前記実施例1では、前記第1ライナー基材21の外面と第2ライナー基材22の内面との間に伝熱体3を配設していた。また、前記実施例2では、前記第2ライナー基材22の外面と第3ライナー基材23の内面との間に伝熱体3を配設していた。本実施例では、各ライナー基材21,22,23それぞれの間に伝熱体31,32を配設した構成としている。
【0073】
その他、各ライナー基材21,22,23及び伝熱体31,32の構成は前記実施例1のものと同様であるため、図5にあっては実施例1と同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0074】
このように各ライナー基材21,22,23それぞれの間に伝熱体31,32を配設した場合、加熱工程では、ライニング材1の内側から与えられた熱(前記ライニング用ピグ61から与えられた熱)は第1ライナー基材21を介して内側の伝熱体31に伝達され、この伝熱体31からライニング材1の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになる。また、ライニング材1の外側から与えられた熱(前記補助用ピグ62から与えられた熱)は第3ライナー基材23を介して外側の伝熱体32に伝達され、この伝熱体32からライニング材1の広範囲に亘って熱が均等拡散されることになる。このため、各ライナー基材21,22,23を構成している熱可塑性フィラメントの略全体が、よりいっそう均一に加熱されることになる。その結果、ライニング材1に対する加熱の不均一化が解消され、比較的短時間で、各ライナー基材21,22,23の熱可塑性フィラメントの全体を溶融させることが可能になり、熱可塑性材料(プラスチック材料)の中に補強繊維フィラメントを分散させた構成をライニング材1の全体に亘って得るための施工時間(加熱時間)の短縮化を図ることができる。
【実施例4】
【0075】
次に、本発明に係るライニング材の実施例4について説明する。本実施例は前記伝熱体3の変形例である。上述した各実施例では、伝熱体3を、金網が筒状に形成された構成としていた。それに代えて以下に述べるような構成を採用することも可能である。
【0076】
・高熱伝導率材料(例えばアルミニウム)を、織布、不織布またはパンチングメタル形状に成形することによって伝熱体3を構成するもの。
【0077】
この場合、伝熱体3の適用箇所としては、上述した各実施例の何れにも適用可能である。
【0078】
・高熱伝導率材料を粉末状またはチョップ状に成形することで伝熱体3を構成し、この粉末状またはチョップ状の伝熱体3をライナー基材21,22,23の内部に混入した構成とするもの。
【0079】
この場合、各ライナー基材21,22,23同士の間(各ライナー基材21,22,23同士の間の空間)には伝熱体3は介在されない。また、この場合、ライナー基材を単層のもの(例えば前記第3ライナー基材23と同一形状、または、この第3ライナー基材23よりも肉厚のライナー基材の1つのみを設けるもの)としてもよい。
【0080】
・高熱伝導率材料を繊維状に形成することで伝熱体3を構成し、この繊維状伝熱体3をライナー基材21,22,23を構成している熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントの内部に配設するもの。
【0081】
この場合、この繊維状伝熱体3が熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントと共に編物または織物(織布)若しくは不織布が縫合等により筒状に形成されたライニング材1が構成されることになる。
【0082】
この場合にも、各ライナー基材21,22,23同士の間に伝熱体3は介在されない。また、この場合も、ライナー基材を単層のものとしてもよい。
【0083】
以上のような伝熱体3を採用した場合にも上述した各実施例と同様の効果を奏することができ、熱可塑性材料(プラスチック材料)の中に補強繊維フィラメントを分散させた構成をライニング材1の全体に亘って得るための施工時間(加熱時間)の短縮化を図ることができる。
【0084】
(他の実施形態)
本発明に係るライニング材1、及び既設管の更生方法は、前記の実施形態以外にも他の様々な形で実施することができる。例えば、ライニング材1の構成は前記実施形態に限定されるものではなく、二層であっても、四層以上の複層構造であってもよい。この四層以上の複数層構造とした場合、前記実施例1〜実施例3のようにライナー基材21,22,23同士の間に伝熱体3を介在させる構成にあっては、その介在箇所については特に限定されない。そのため、前記の実施例は例示であり、限定的なものではない。
【0085】
また、前記第1ライナー基材21の内側に熱可塑性樹脂フィルム等から成る内面被覆材層を形成するようにしてもよい。この場合、内面被覆材層は、第1ライナー基材21の内周面にあらかじめ内面被覆材を挿入し、配設された状態で加熱工程及び拡径工程を経ることによって、内面被覆材を第1ライナー基材21の内周面に融着して一体化する。内面被覆材層は、第1ライナー基材21の内周面を被覆して円滑に形成し、遮水性及び流水性を高める。また、拡径用チューブ81によりライナー基材21,22,23を拡径する際には、内面被覆材層により拡径用チューブ81を既設管5の内周面の突起物から保護することができる。
【0086】
また、この内面被覆材層を一体化する工程として、前記拡径用チューブ81に代えて、チューブ状に形成した内面被覆材を用い、拡径工程を兼ねた方法をとることも可能である。すなわち、適宜の内面被覆材をチューブ状に形成し、流体圧により内面被覆材の内周面が外周側となるように反転させつつ順に挿入し、拡径させることにより、同時に一体化する方法である。これにより、拡径工程を行うと同時に、第1ライナー基材21の内周面に内面被覆材層を形成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成るライニング材を用いた既設管の更生に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 ライニング材
21,22,23 ライナー基材
3,31,32 伝熱体
5 既設管
6 加熱装置
61 ライニング用ピグ
62 補助用ピグ
8 反転機
81 拡径用チューブ
9 ウィンチ
91 牽引ワイヤ
M1、M2 マンホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管の内壁をライニングするライニング材であって、
熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成る筒状のライナー基材と、
このライナー基材の内部に介在または混入され、前記熱可塑性フィラメントを構成している熱可塑性材料よりも熱伝導率の高い高熱伝導率材料で成る伝熱体とを有していることを特徴とするライニング材。
【請求項2】
請求項1記載のライニング材において、
前記ライナー基材は内周側ライナー基材及び外周側ライナー基材を含む複数のライナー基材から成っており、前記伝熱体は前記内周側ライナー基材と外周側ライナー基材との間に介在されていることを特徴とするライニング材。
【請求項3】
請求項2記載のライニング材において、
前記ライナー基材は、三層以上の複数のライナー基材で成っていると共にライナー基材の内部に挿入された加熱手段によって加熱されるようになっており、
前記伝熱体は、前記複数のライナー基材のうち最も内周側に位置する内周側ライナー基材と、その外側に配設されている外周側ライナー基材との間に介在されていることを特徴とするライニング材。
【請求項4】
請求項2記載のライニング材において、
前記ライナー基材は、三層以上の複数のライナー基材で成っていると共にライナー基材の外部に設けられた加熱手段によって加熱されるようになっており、
前記伝熱体は、前記複数のライナー基材のうち最も外周側に位置する外周側ライナー基材と、その内側に配設されている内周側ライナー基材との間に介在されていることを特徴とするライニング材。
【請求項5】
請求項2記載のライニング材において、
前記ライナー基材は、三層以上の複数のライナー基材で成っていると共にライナー基材の内部及び外部にそれぞれ設けられた加熱手段によって加熱されるようになっており、
前記伝熱体は、前記複数のライナー基材それぞれの間に介在されていることを特徴とするライニング材。
【請求項6】
請求項1〜5のうち何れか一つに記載のライニング材において、
前記ライナー基材は織布または不織布から成ることを特徴とするライニング材。
【請求項7】
請求項1〜6のうち何れか一つに記載のライニング材において、
前記伝熱体は、網形状の高熱伝導率材料が略筒型に成形されていることで拡径が可能な構成となっていることを特徴とするライニング材。
【請求項8】
請求項1〜6のうち何れか一つに記載のライニング材において、
前記伝熱体は、高熱伝導率材料が、織布、不織布またはパンチングメタル形状に成形された構成となっていることを特徴とするライニング材。
【請求項9】
請求項1〜6のうち何れか一つに記載のライニング材において、
前記伝熱体は、高熱伝導率材料が粉末状またはチョップ状とされてライナー基材の内部に混入されたものであることを特徴とするライニング材。
【請求項10】
請求項1〜6のうち何れか一つに記載のライニング材において、
前記伝熱体は、高熱伝導率材料が繊維状に形成され、ライナー基材を構成している熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントの内部に配設されたものであることを特徴とするライニング材。
【請求項11】
請求項1〜10のうち何れか一つに記載のライニング材において、
前記高熱伝導率材料は、アルミニウム、銅、スチール、ステンレス、真鍮、カーボンの中から選択されたものであることを特徴とするライニング材。
【請求項12】
既設管の内壁にライニング材によるライニング層を形成して更生する既設管の更生方法であって、
前記ライニング材は、熱可塑性フィラメント及び補強繊維フィラメントを含む複合材料から成るライナー基材と、このライナー基材の内部に介在または混入され、前記熱可塑性フィラメントを構成している熱可塑性材料よりも熱伝導率の高い高熱伝導率材料で成る伝熱体とを備えており、
このライニング材を既設管内に挿入して補修対象箇所に配置する挿入工程と、
ライニング材に沿って加熱手段を移動させつつ加熱してライナー基材を軟化させる加熱工程と、
軟化したライナー基材を拡径手段により内側から加圧して既設管の内周面に沿う管状に成形する拡径工程と、
拡径したライナー基材を冷却して硬化させる冷却工程とを有することを特徴とする既設管の更生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−37012(P2011−37012A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183403(P2009−183403)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】