説明

ライブラリ装置

【課題】 ライブラリ装置を構成する要素の一部に故障が生じた場合に、ライブラリ装置全体の動作を継続することが可能であるとともに、故障箇所を特定することが可能なライブラリ装置を提供する。
【解決手段】 ライブラリ装置1を、二重化されたライブラリコントローラLct1及びLct2、並びに二重化されたドライブコマンドパスP1及びP2を備えて構成し、かつライブラリコントローラLct1のライブラリコントローラ側ポートをポート14及び15により二重化して、それぞれを二重化されたドライブコマンドパスP1及びP2に接続し、ライブラリコントローラLct2のライブラリコントローラ側ポートをポート24及び25により二重化して、それぞれを二重化されたドライブコマンドパスP1及びP2に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープ、磁気ディスクや光磁気ディスクなどの記録媒体に記録されたデータの読み込みや書き込みを行うライブラリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データベースシステムや電子ファイリングシステムには、膨大な量のデータを保存しておくことが要求されるため、近年、これらのシステムには多数の電子データの記録媒体を収容して、これらに記録されたデータの読み込みや書き込みを行うライブラリ装置が設けられることが多くなっている。図12に、従来のライブラリ装置の基本構成図を示す。
ライブラリ装置1は、ホスト2からの制御命令に従ってライブラリ装置1全体を制御するライブラリコントローラLctと、ライブラリコントローラLctからの制御命令に従って配下の記憶媒体ドライブ装置D11、D12、D21、D22〜Dn1、Dn2を制御する複数のドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctnと、前記ライブラリコントローラLctと前記ドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctnとを接続するドライブコマンドパスPと、を備えて構成される。
そして、ライブラリコントローラLctには、ドライブコマンドパスPと接続されライブラリコントローラLctからドライブコントローラDct1〜Dctnへの制御命令の送信や、ドライブコントローラDct1〜Dctnからのステータス情報の受信を行うライブラリコントローラ側ポート14が設けられ、ドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctnには、ドライブコマンドパスPと接続されドライブコントローラからライブラリコントローラLctへのステータス情報の送信や、ライブラリコントローラLctからの制御命令の受信を行うドライブコントローラ側ポート31、41〜51がそれぞれ設けられる。
【0003】
ホスト2から、電子データの読み出し/書き込み命令を受信したライブラリコントローラLctは、電子データの読み出し/書き込み箇所を特定して、そのデータを読み出す/書き込むべきドライブ装置を、ドライブ装置D11〜Dn2のいずれかから決定する。そして決定されたドライブ装置を制御するドライブコントローラに対して、ドライブコマンドパスPを介して電子データの読み出し/書き込み命令を送信する。
電子データの読み出し/書き込み命令を受信したドライブコントローラは、ライブラリコントローラLctにより決定されたドライブ装置に対して、電子データの読み出し/書き込み制御を行う。
このとき、ドライブコマンドパスPを介して受信された命令が書き込み命令である場合には、書き込み対象となる電子データは、ホストと各ドライブ装置とを接続するドライブパス(図示せず)を介して当該ドライブ装置に送信されて書き込まれる。一方で、ドライブコマンドパスPを介して受信された命令が読み込み命令である場合には、ドライブ装置から読み出された電子データは、上記ドライブパス(図示せず)を介してホスト2に送信される。
【0004】
【特許文献1】特開平9−115229号公報
【特許文献2】特開平6−251475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のライブラリ装置1においては、図示するとおりライブラリコントローラLct、ドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctn、ドライブコマンドパスP、及び各ポート14、31、41〜51が冗長化されていなかった。このため、ライブラリコントローラLctとドライブ装置D11〜Dn2との通信ができなくなった場合に、その経路上に存在する機器のいずれが故障しているかを特定することができないという問題があった。
特に、ライブラリコントローラLct、ドライブコマンドパスP、及びライブラリコントローラ側ポート14は単一の機器で構成されているため、これらの箇所に故障が発生した場合には、故障箇所の特定ができないだけでなく、ライブラリ装置1全体の動作を継続することができなくなる、という問題があった。
【0006】
またこのように冗長化されていないライブラリ装置1では、故障箇所を特定できないため、早期復旧を行う際に非故障箇所も含めて交換する必要があり不経済であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みて考案されたものであり、ライブラリ装置を構成する要素の一部に故障が生じた場合に、ライブラリ装置全体の動作を継続することが可能なライブラリ装置を提供することを目的とする。
また本発明は、その一部に発生した故障箇所を特定することが可能なライブラリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によるライブラリ装置は、ライブラリコントローラ、ドライブコマンドパス、並びにドライブコマンドパスに接続されるライブラリコントローラ側ポートを二重化して構成する。
またこのとき、ドライブコマンドパスは、第1ドライブコマンドパス及び第2ドライブコマンドパスで構成されることにより二重化されてよく、ライブラリコントローラ側ポートは、二重化されたライブラリコントローラ毎に設けられたライブラリコントローラ側第1ポート及びライブラリコントローラ側第2ポートで構成されることにより二重化されてよく、ライブラリコントローラ側第1ポート及びライブラリコントローラ側第2ポートがそれぞれ第1ドライブコマンドパス及び第2ドライブコマンドパスに接続されることとしてよい。
【0009】
さらに、本発明によるライブラリ装置は、ライブラリコントローラ、ドライブコマンドパス、及びライブラリコントローラ側ポートのいずれかに発生した故障箇所を判断する故障箇所判断部を備えることとしてよい。
【0010】
さらにまた、本発明によるライブラリ装置は、ドライブコマンドパスに接続されるドライブコントローラ側ポートは、少なくとも1台のドライブコントローラ毎に設けられた、ドライブコントローラ側第1ポート及びライブラリコントローラ側第2ポートで構成されることにより二重化され、各ドライブコントローラのドライブコントローラ側第1ポートは第1ドライブコマンドパスに並列に接続され、ドライブコントローラ側第2ポートは第2ドライブコマンドパスに並列に接続される。
このとき、本発明によるライブラリ装置は、ライブラリコントローラ、ドライブコントローラ、ドライブコマンドパス、ライブラリコントローラ側ポート及びドライブコントローラ側ポートのいずれかに発生した故障箇所を判断する故障箇所判断部を備えることとしてよい。
【0011】
上記、本発明によるライブラリ装置において、ライブラリコントローラ及びドライブコントローラはドライブコマンドパスを介して相互に交信しあう通信部をそれぞれ備えることとしてよく、故障箇所判断部は、通信部による交信の異常が生じたとき、故障の発生を検出することとしてよい。
【0012】
以下、本発明によるライブラリ装置の基本構成を図1を参照して説明する。
ライブラリ装置1は、ホスト2からの制御命令に従ってライブラリ装置1全体を制御するライブラリコントローラLct1及びLct2と、ライブラリコントローラLct1及びLct2からの制御命令に従って配下の記憶媒体ドライブ装置D1及びD2を制御するドライブコントローラDctと、前記ライブラリコントローラLct1及びLct2と前記ドライブコントローラDctとを接続するドライブコマンドパスP1及びP2と、を備えて構成される。
【0013】
ライブラリコントローラLct1及びLct2は、冗長化のために同一の機能を有する第1ライブラリコントローラLct1と第2ライブラリコントローラLct2とが併設されて構成され、その一方が動作状態(アクティブ状態)にあるとき他方が待機状態(スタンバイ状態)にあるように二重化されて構成される。先に動作状態にある一方のコントローラに故障が発生した場合には、待機状態にある他方のコントローラが動作状態に移行し、故障した一方のコントローラが待機状態に移行することにより、ライブラリ装置1全体の動作を継続することが可能である。
【0014】
ドライブコマンドパスP1及びP2もまた、同じ信号回線等で実現される第1ドライブコマンドパスP1及び第2ドライブコマンドパスP2によって構成されることにより二重化されて、その一方が動作状態(アクティブ状態)にあるとき他方が待機状態(スタンバイ状態)となる。
さらに、第1及び第2ライブラリコントローラLct1及びLct2と、ドライブコマンドパスP1及びP2と、を接続するためにこれらコントローラにそれぞれ設けられたライブラリコントローラ側ポートもまた二重化されて構成され、第1ライブラリコントローラLct1には、ライブラリコントローラ側第1ポート14及びライブラリコントローラ側第2ポート15が設けられ、第2ライブラリコントローラLct2には、ライブラリコントローラ側第1ポート24及びライブラリコントローラ側第2ポート25が設けられる。
そして、ライブラリコントローラ側第1ポート14及び24は、第1ドライブコマンドパスP1に第1Lct間接続ドライブコマンドパスPL1によって並列に接続され、ライブラリコントローラ側第2ポート15及び25は、第2ドライブコマンドパスP2に第2Lct間接続ドライブコマンドパスPL2によって並列に接続される。
【0015】
またドライブコマンドパスP1及びP2と接続するためにドライブコントローラDLctに設けられたドライブコントローラ側ポートもドライブコントローラ側第1ポート31及びライブラリコントローラ側第2ポート32で構成されることにより二重化され、ドライブコントローラ側第1ポート31は第1ドライブコマンドパスP1に接続され、ドライブコントローラ側第2ポート32は第2ドライブコマンドパスP2に接続される。
【0016】
第1及び第2ライブラリコントローラLct1及びLct2のうち動作状態(アクティブ)状態にある方のライブラリコントローラは(以下、説明のため第1ライブラリコントローラLct1が動作状態にあるとする)、ドライブ装置D1及びD2との通信のレスポンスが所定時間内に戻ってこなかった場合に、第1ライブラリコントローラLct1からドライブ装置D1及びD2までの経路の途中のいずれかの箇所に故障が発生したことを検出することが可能である。
または、ライブラリコントローラLct1及びドライブコントローラDctに、ドライブコマンドパスP1又はP2を介して相互に交信しあう通信部をそれぞれ設け、これらの間の交信に異常が生じたとき、ライブラリコントローラLct1は、第1ライブラリコントローラLct1からドライブコントローラDctまでの経路の途中のいずれかの箇所に故障が発生したことを検出することとしてよい。
【0017】
そして、ライブラリコントローラLct1は、現在使用中のライブラリコントローラ側ポート(第1ポート14とする)を使用しても、ドライブ装置D1及びD2と交信できず(又はライブラリコントローラLct1及びドライブコントローラDctに設けられた通信部が互いに交信できず)、かつ同じライブラリコントローラLct1の待機中のドライブコントローラ側ポート(第2ポート14とする)、及び現在使用中のライブラリコントローラ側ポート14と同じドライブコマンドパス(第1ドライブコマンドパスP1)に接続され、待機中のライブラリコントローラLct2に設けられたライブラリコントローラ側ポート24のいずれを用いても、上記交信が可能である場合、現在使用中のライブラリコントローラ側ポート14を故障箇所と判断して、使用するドライブコマンドパスを第2ドライブコマンドパスP2に切り替えることで、ライブラリ装置1の動作を継続する。
【0018】
また、ライブラリコントローラLct1は、現在使用中のライブラリコントローラ側ポート14を使用しても、ドライブ装置D1及びD2と交信できず(又はライブラリコントローラLct1及びドライブコントローラDctに設けられた通信部が互いに交信できず)、かつ当該ライブラリコントローラ側ポート14と同じドライブコマンドパス(第1ドライブコマンドパスP1)に接続され、待機中のライブラリコントローラLct2に設けられたライブラリコントローラ側ポート24を使用しても、上記交信が不能である場合、現在使用中のドライブコマンドパスP1を故障箇所と判断して、使用するドライブコマンドパスを第2ドライブコマンドパスP2に切り替えることで、ライブラリ装置1の動作を継続する。
【0019】
さらに、ライブラリコントローラLct1は、自己の第1及び第2のライブラリコントローラ側ポート14及び15のいずれを使用しても、ドライブ装置D1及びD2と交信できない(又はライブラリコントローラLct1及びドライブコントローラDctに設けられた通信部が互いに交信できない)が、待機状態にあるライブラリコントローラLct2を使用すれば上記交信が可能となる場合には、ライブラリコントローラLct1自身が故障箇所であると判断して、使用するライブラリコントローラをライブラリコントローラLct2に切り替えることによりライブラリ装置1の動作を継続する。
【0020】
このように、ライブラリ装置1のライブラリコントローラ、ドライブコマンドパス、並びにドライブコマンドパスに接続されるライブラリコントローラ側ポートを二重化して構成することにより、ライブラリコントローラ〜ドライブコマンドパス間に発生した故障箇所を特定し、かつ故障が発生した場合にもライブラリ装置1の動作を継続することが可能となる。
【0021】
図2は、本発明によるライブラリ装置の異なる基本構成である。
図2に示すライブラリ装置は、記憶媒体ドライブ装置D11、D12、D21、D22〜Dn1、Dn2を制御するための複数のドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctnを備えている。
ここで、ドライブコントローラ及び記憶媒体ドライブ装置を、それぞれ複数のドライブコントローラDct1〜Dctn及び複数の記憶媒体ドライブ装置D11〜Dn2で多重化してもよく、あるいはドライブ装置D11〜Dn2に異なる記憶領域が割り当てて複数のドライブコントローラDct1〜Dctnと複数の記憶媒体ドライブ装置D11〜Dn2とを非冗長化構成としてもよい。
【0022】
ここで、ドライブコントローラDct1〜Dctnと記憶媒体ドライブ装置D11〜Dn2とを非冗長化構成として使用する場合であっても、これらは同種の複数の機器が並列に接続された構成を有するため、そのいずれか一部に故障が生じても(例えばDct1が故障したとする)、他の部分は(例えばDct2〜Dctn)は使用可能でありライブラリ装置1全体の動作を継続することが可能である、また使用可能な残りの部分を特定することにより故障箇所の特定も可能である。
なお、各ドライブコントローラDct1〜Dctnの、ドライブコントローラ側第1ポート31、41〜51は、第1Dct間接続ドライブコマンドパスPD1によって第1ドライブコマンドパスP1に並列に接続され、ドライブコントローラ側第2ポート32、42〜52は、第2Dct間接続ドライブコマンドパスPD2によって前記第2ドライブコマンドパスP2に並列に接続される。
【0023】
したがって、本発明によるライブラリ装置1では、従来のライブラリ装置において単一の機器で構成されていたライブラリコントローラ、ドライブコマンドパス、ライブラリコントローラ側ポート及びドライブコントローラ側ポートを二重系で構成する。
これによって、ライブラリ装置1に含まれる全ての構成要素(ライブラリコントローラ、ドライブコマンドパス、及びライブラリコントローラ側ポート、ドライブコントローラ、ドライブコントローラ側ポート、記憶媒体ドライブ装置)を、並列接続される複数の要素で構成することが可能となり、これら全ての構成要素のいずれかにおいて発生した故障箇所を特定することが可能となる。
【0024】
すなわち、ライブラリコントローラ〜ドライブコマンドパス間に故障が発生した場合には、上記図1を参照して説明した方法によって故障箇所を特定することが可能である。
例えば、ドライブコントローラDct1の動作状態にあるドライブコントローラ側ポート(例えばポート31とする)に故障が発生した場合には、ライブラリコントローラLct1は、現在使用しているドライブコマンドパスP1を使用して、他のDct2〜Dctnに制御されている記憶媒体ドライブ装置と交信でき(又は他のDct2〜Dctnと交信でき)、かつドライブコマンドパスをP2に切り替えることにより、ドライブコントローラDct1の配下にあるドライブ11及びドライブ12と交信可能(又はDct1と交信可能)となる場合には、ドライブコントローラ側ポート31の故障であると判断できる。この場合には、使用するドライブコマンドパスを第2ドライブコマンドパスP2に切り替えることで、ライブラリ装置1の動作を継続する。
【0025】
また、ドライブコントローラ(例えばDct1とする)に故障が発生した場合には、ライブラリコントローラLct1は、現在使用しているドライブコマンドパスP1を使用して、他のDct2〜Dctnに制御されている記憶媒体ドライブ装置と交信でき(又は他のDct2〜Dctnと交信でき)、かつドライブコマンドパスをP2に切り替えてもドライブコントローラDct1の配下にあるドライブ11及びドライブ12と交信できない場合(又はDct1と交信できない場合)には、ドライブコントローラDct1の故障であると判断する。
このときドライブコントローラを冗長化構成していない場合には、ライブラリコントローラLct1は、ドライブコントローラDct1の配下にある記憶媒体ドライブ装置11及び12へのアクセスを禁止する。
【0026】
さらにまた、記憶媒体ドライブ装置(例えばD11とする)に故障が発生した場合には、ライブラリコントローラLct1は、現在使用しているドライブコマンドパスP1を使用して、他のDct2〜Dctnに制御されている記憶媒体ドライブ装置と交信でき(又は他のDct2〜Dctnと交信でき)、かつ、同じドライブコントローラDct1の配下にある他方の記憶媒体ドライブ装置D12と交信できる場合には、記憶媒体ドライブ装置D11の故障であると判断する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるライブラリ装置によれば、ライブラリ装置を構成する要素の一部に故障が生じた場合に、ライブラリ装置全体の動作を継続することが可能となる。
また、その一部に発生した故障箇所を特定することが可能となる。これにより従来発生していた非故障箇所の部品交換を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面に従って本発明に係る工作機械の好ましい実施の形態について詳説する。図3は、本発明によるライブラリ装置の第1実施例の構成図である。
ライブラリ装置1は、ホスト2からの制御命令に従ってライブラリ装置1全体を制御する第1ライブラリコントローラLct1及び第2ライブラリコントローラLct2と、ライブラリコントローラLct1及びLct2からの制御命令に従って、配下の記憶媒体ドライブ装置D11及びD12、D21及びD22〜並びにDn1及びDn2をそれぞれ制御する複数のドライブコントローラDct1、Dct2〜並びにDctnと、前記ライブラリコントローラLct1及びLct2と前記ドライブコントローラDct1〜Dctnとを接続する第1ドライブコマンドパスP1及び第2ドライブコマンドパスP2と、を備えて構成される。
【0029】
第1ライブラリコントローラLct1は、ライブラリ装置1全体を制御するための種々の処理を実行するためのMPU10と、MPU10により実行される処理を定めた各プログラムや、このプログラムの実行のために必要な作業用データ等を記憶するための、メモリ装置等で実現される記憶部11と、MPU10のデータバス12に接続され、ライブラリコントローラLct1からドライブコントローラDct1〜Dctnへの制御命令の送信やドライブコントローラからのステータス情報の受信を行う第1及び第2ライブラリコントローラ側ポート14及び15を備えて構成される。
そして、記憶部11には、第1ライブラリコントローラLct1のMPU10が、後述するフローチャートにしたがって、ライブラリ装置1内の故障箇所を決定するための故障箇所判断ソフトウェア13が記憶されている。
【0030】
第2ライブラリコントローラLct2は、第1ライブラリコントローラLct1と同一の構成を備えており、これらLct1及びLct2は、その一方が動作状態(アクティブ状態)にあるとき他方が待機状態(スタンバイ状態)にあり、先に動作状態にある一方のコントローラに故障が発生した場合には、待機状態にある他方のコントローラが動作状態に移行し、故障した一方のコントローラが待機状態に移行することにより二重系を構成する。
第1ライブラリコントローラLct1と第2ライブラリコントローラLct2との間には、ライブラリコントローラ間通信回線3が設けられる。このライブラリコントローラ間通信回線3は、後述するとおり、これらライブラリコントローラLct1及びLct2の一方が、動作状態にあるか待機状態にあるかを他方のライブラリコントローラに通知するために使用されたり、一方のライブラリコントローラが記憶媒体ドライブ装置D11〜Dn2に対して命令の送受信可能であるか、あるいは一方のライブラリコントローラがドライブコントローラDct1〜Dctnと交信可能であるかを、他方のライブラリコントローラから照会するために使用される。
【0031】
ドライブコマンドパスP1及びP2もまた、同じ信号回線等で実現される第1ドライブコマンドパスP1及び第2ドライブコマンドパスP2によって構成されることにより二重化されている。さらに、第1ライブラリコントローラLct1に設けられたライブラリコントローラ側ポートもまた、同じ通信インタフェース回路で実現された第1及び第2ライブラリコントローラ側ポート14及び15により二重化され、同様に第2ライブラリコントローラLct2に設けられたライブラリコントローラ側ポートもまた、第1及び第2ライブラリコントローラ側ポート24及び25により二重化されている。
そして、ライブラリコントローラ側第1ポート14及び24は、第1ドライブコマンドパスP1に並列に接続され、ライブラリコントローラ側第2ポート15及び25は、第2ドライブコマンドパスP2に並列に接続される。このとき第2ライブラリコントローラのライブラリコントローラ側第1ポート24は、第1Lct間接続ドライブコマンドパスPL1を介して第1ドライブコマンドパスP1にライブラリコントローラ側第1ポート14と並列に接続され、第2ライブラリコントローラのライブラリコントローラ側第2ポート25は、第2Lct間接続ドライブコマンドパスPL2を介して第2ドライブコマンドパスP2にライブラリコントローラ側第2ポート15と並列に接続されている。
【0032】
ドライブコントローラDct1〜Dctnに設けられたドライブコントローラ側ポートも二重化されて構成される。
すなわち、ドライブコントローラDct1のポートは、ドライブコントローラ側第1ポート31及びライブラリコントローラ側第2ポート32で構成されることにより二重化され、ドライブコントローラDct2のポートは、ドライブコントローラ側第1ポート41及びライブラリコントローラ側第2ポート42で構成されることにより二重化され、ドライブコントローラDctnのポートは、ドライブコントローラ側第1ポート51及びライブラリコントローラ側第2ポート52で構成されることにより二重化される。
そして、ドライブコントローラ側第1ポート31〜51は第1ドライブコマンドパスP1に並列に接続され、ドライブコントローラ側第2ポート32〜52は第2ドライブコマンドパスP2に並列に接続される。
【0033】
このとき、ドライブコントローラDct2〜Dctnの第1ポート41〜51は、第1Dct間接続ドライブコマンドパスPD1を介して第1ドライブコマンドパスP1に接続され、ドライブコントローラDct2〜Dctnの第2ポート42〜52は、第2Dct間接続ドライブコマンドパスPD2を介して第2ドライブコマンドパスP2に接続されている。
【0034】
図4〜図6は、本発明によるライブラリ装置1による故障箇所検出動作のフローチャートである。この故障箇所検出動作は、第1ライブラリコントローラLct1内のMPU10(又は第2ライブラリコントローラLct2内のMPU20)が、記憶部11(21)に記憶された上記故障箇所判断ソフトウェア13(23)にしたがって動作することによって実行される。
なお、以下の説明において、二重系を有するライブラリコントローラ、ドライブコマンドパス、ライブラリコントローラ側ポート、ドライブコントローラ側ポートは、それぞれ第1ライブラリコントローラLct1、第1ドライブコマンドパスP1、ライブラリコントローラ側第1ポート14、ドライブコントローラ側第1ポート31が動作状態にあり、第2ライブラリコントローラLct2、第2ドライブコマンドパスP2、ライブラリコントローラ側第2ポート15、25、ライブラリコントローラ側第1ポート24、ドライブコントローラ側第2ポート32は待機状態にあるものとする。
【0035】
図4に示すステップS11において、ライブラリコントローラLct1は、特定の記憶媒体ドライブ(例えばD11とする)との間で所定の間隔(例えば1回/sec)で命令の送受信を行い、所定時間内にレスポンスがかえってこなかった場合に、ライブラリコントローラLct1〜記憶媒体ドライブD11間の故障の発生を検出する。
次に、ステップS12において、ライブラリコントローラLct1は、現在使用中のドライブコマンドパスである第1ドライブコマンドパスP1を経由して、他のドライブコントローラDct2〜Dctnのいずれかに属する記憶媒体ドライブD21〜Dn1との命令の送受信を試みる。
【0036】
この結果、これらドライブD21〜Dn1との命令の送受信が可能であれば、ライブラリコントローラLct1は、ドライブD11、ドライブコントローラDct1、又はドライブコントローラ側第1ポート31のいずれかに故障が発生したと判断して、処理を図5に示すルーチンS13に移行する。
反対にこれらドライブD21〜Dn1のいずれとも命令の送受信ができなければ、ライブラリコントローラLct1は、Lct1自身、ライブラリコントローラ側第1ポート14、第1ドライブコマンドパスP1のいずれかに故障が発生したと判断して、処理を図6に示すルーチンS14に移行する。
【0037】
ステップS12による判断の結果、図5に示すルーチンS13に処理が移ると、ステップS21においてライブラリコントローラLct1は、ドライブD11を制御するドライブコントローラDct1の他のドライブD12との命令の送受信を行う。このとき、他のドライブD12との命令の送受信が可能であれば、ライブラリコントローラLct1はステップS22において、故障箇所がドライブD11であると特定し、ステップS23において、以後交換保守が行われるまで当該ドライブD11の使用を禁止して処理を終了する。
一方で、他のドライブD12とも命令の送受信ができなければ、ライブラリコントローラLct1は、ステップS24において待機中の第2ドライブコマンドパスP2を介して、当該ドライブD11との命令の送受信を試みる。
【0038】
第2ドライブコマンドパスP2を介して当該ドライブD11との命令の送受信が可能であれば、ライブラリコントローラLct1は、ステップS25においてドライブコントローラ側第1ポート31が故障であると判断して、ステップS26において、第2ドライブコマンドパスP2を動作状態に、第1ドライブコマンドパスP1を待機状態に切り替えることによりライブラリ装置1の動作を継続する。
【0039】
第2ドライブコマンドパスP2を介しての当該ドライブD11との命令の送受信ができなければ、ライブラリコントローラLct1は、ステップS27において第1ドライブコントローラDct1が故障であると判断して、ステップS28において第1ドライブコントローラDct1の配下にあるドライブD11及びD12の使用を、第1ドライブコントローラDct1の交換保守が行われるまで以後禁止する。
【0040】
図4のステップS12による判断の結果、図6に示すルーチンS14に処理が移ると、ステップS31においてライブラリコントローラLct1は、ライブラリコントローラLct1側の現在待機状態にある第2ポート15について、既に故障状態にあることが記録され(ステップS37に後述する)ているか否かを判断する。
既に第2ポート15が故障状態にある場合には、第1ポート14及び第2ポート15のいずれを使用しても、ライブラリコントローラLct1ではドライブ装置D11〜Dn2にアクセスできないため、ライブラリコントローラLct1は、ステップS32において自身が故障であると判断し、ステップS33においてライブラリコントローラLct1を待機状態に、ライブラリコントローラLct2を動作状態に切り替えて、以後ライブラリコントローラLct2を使用してライブラリ装置1の動作を継続する。
【0041】
なお使用する系を、ライブラリコントローラLct1からライブラリコントローラLct2へ切り替える方法は、例えば、ステップS31において第1及び第2の両ポートが使用不能であると判断した第1ライブラリコントローラLct1が自発的に待機状態へ移行するとともに、ライブラリコントローラ間通信回線3を介して、第2ライブラリコントローラLct2に動作状態へ移行させる命令を送信するように構成することとしてよい。
または、ライブラリコントローラLct1及びLct2間で使用する系を切り替えるための使用Lct切り替え手段をライブラリ装置1内に設け(図示せず)、第1及び第2の両ポートが使用不能であると判断した第1ライブラリコントローラLct1が、その旨を使用Lct切り替え手段に通知し、この使用Lct切り替え手段が、ライブラリコントローラLct1からライブラリコントローラLct2へと使用する系を切り替えるように構成してもよい。
【0042】
ステップS31において第1ライブラリコントローラLct1の第2ポート15が故障でないと判断された場合には、第1ライブラリコントローラLct1は、ステップS34において他方の第2ライブラリコントローラLct2に対して、ドライブコマンドパスP1を介してドライブ装置D11〜Dn2のいずれかとの命令の送受信が可能であるか否かを、ライブラリコントローラ間通信回線3を介して照会する。
その結果、他方の第2ライブラリコントローラLct2によっても、ドライブ装置D11〜Dn2のいずれとも命令の送受信ができない場合には、ステップS35において第1ドライブコマンドパスP1の故障であると判断し、ステップS38において、使用するドライブコマンドパスを現在の第1ドライブコマンドパスP1から待機中の第2ドライブコマンドパスP2に切り替えて処理を終了する。
【0043】
このとき、例えばドライブコントローラDct1の配下のドライブD11又はD12との命令の送受信は可能であるが、ドライブコントローラDct2〜Dctnの配下のドライブD21〜Dn2との命令の送受信が行えない場合には、ドライブコントローラDct1とドライブコントローラDct2との間を接続するDct間接続ドライブコマンドパスPD1又はPD2が故障している可能性がある。この場合、ドライブコマンドパスを待機中のドライブコマンドパスに切り替えることによって、Dct2〜Dctnの配下のドライブD21〜Dn2との命令の送受信が行うことを確認することにより、Dct間接続ドライブコマンドパスPD1又はPD2の故障を検出することとしてもよい。
【0044】
一方で、ステップS34において、他方の第2ライブラリコントローラLct2によって、ドライブ装置D11〜Dn2のいずれかとの命令の送受信ができる場合には、ステップS36において、第1ライブラリコントローラLct1の第1ポート14の故障であると判断し、ステップS37において記憶部11に第1ポート14が故障である旨を記録した後、使用するドライブコマンドパスを現在の第1ドライブコマンドパスP1から待機中の第2ドライブコマンドパスP2に切り替えて処理を終了する。
【0045】
上記、図3に示すライブラリ装置1の構成によれば、ライブラリコントローラLct1は、記憶媒体ドライブD11〜Dn2との間で命令の送受信を行い、所定時間内にレスポンスがかえってこなかった場合に、ライブラリコントローラLct1〜記憶媒体ドライブD11間の故障の発生を検出する。
しかしながらこの方法によれば、上記故障箇所の判断フローの各所において(例えば図4のステップS12、図5のS21、S24、図6のS34において)ドライブD11〜Dn2と命令の送受信を行う度に、記憶媒体ドライブからのレスポンスの待ち時間が発生するために、ホスト2に対する許容レスポンス時間内に故障箇所の判断フローを終了できないおそれが生じる。
【0046】
そこで、以下に提案するライブラリ装置1の第2実施例では、ライブラリコントローラとドライブコントローラとに、相互に交信しあう通信部をそれぞれ設け、この通信部による交信の異常が生じたとき故障の発生を検出する。このような通信部は、記憶媒体ドライブからのレスポンスに比べて待ち時間を短く設定することが可能であるため、ライブラリコントローラ〜ドライブコントローラ間の故障箇所の有無を、上記通信部による交信異常の有無により検出することにより、故障箇所の判断フローを早期に終了することが可能となる。
【0047】
図7に、本発明によるライブラリ装置の第2実施例の構成図を示す。
図示するとおり、第1ライブラリコントローラLct1は、ドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctnにそれぞれ設けられたドライブコントローラ側通信部33、43〜53とそれぞれ交信可能なライブラリコントローラ側通信部16を備えている。
ライブラリコントローラ側通信部16とドライブコントローラ側通信部33との交信は、ライブラリコントローラ側第1ポート14、第1ドライブコマンドパスP1、及びドライブコントローラ側第1ポート31を介して、又はライブラリコントローラ側第2ポート15、第2ドライブコマンドパスP2、及びドライブコントローラ側第2ポート32を介して行われ、例えば、ドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctnのそれぞれの配下のドライブに関する接続や電源投入の有無などの情報の照会及び回答を、所定の時間間隔(例えば1回/11msec)毎に送受信する。
同様に第2ライブラリコントローラLct2は、ドライブコントローラDct1、Dct2〜Dctnにそれぞれ設けられたドライブコントローラ側通信部33、43〜53とそれぞれ交信可能なライブラリコントローラ側通信部26を備えている。
【0048】
図8〜図11は、図7に示すライブラリ装置1による故障箇所検出動作のフローチャートである。
図8のステップS41において、ライブラリコントローラLct1は、その通信部16と、特定の記憶媒体ドライブ(例えばD11とする)を制御しているドライブコントローラDct1の通信部33とが交信可能であるか否かを判断する。
その結果、通信部16と通信部33との交信ができない場合には、ライブラリコントローラLct1は、Lct1自身、ライブラリコントローラ側第1ポート14、第1ドライブコマンドパスP1、ドライブコントローラDct1、又はドライブコントローラ側第1ポート31のいずれかに故障が発生したと判断して、処理を図9に示すルーチンS42に移行する。
【0049】
一方で、ステップS41による判断の結果、通信部16と通信部33とが交信可能であれば、ステップS43において、ライブラリコントローラLct1は、ドライブD11との間で命令の送受信を行い、所定時間内にレスポンスがかえってきた場合には、ステップS44において異常がないと判断して処理を終了する。
反対にレスポンスが帰ってこなかった場合には、ステップS45において、ドライブD11に故障が発生したと判断し、ステップS46において、以後交換保守が行われるまで当該ドライブD11の使用を禁止して処理を終了する。
【0050】
ステップS41において、通信部16と通信部33との交信ができない場合には、図9に示すルーチンS42に処理が移行する。図9のステップS51において、ライブラリコントローラLct1は、その通信部16と、現在使用中のドライブコマンドパスである第1ドライブコマンドパスP1を経由して、他のドライブコントローラDct2〜Dctnのそれぞれの通信部43〜53のいずれかとの交信を試みる。
【0051】
この結果、通信部16と通信部43〜53との交信が可能であれば、ライブラリコントローラLct1は、ドライブコントローラDct1、又はドライブコントローラ側第1ポート31のいずれかに故障が発生したと判断して、処理を図10に示すルーチンS52に移行する。
反対に、通信部16が通信部43〜53のいずれとも交信できなければ、ライブラリコントローラLct1は、Lct1自身、ライブラリコントローラ側第1ポート14、第1ドライブコマンドパスP1のいずれかに故障が発生したと判断して、処理を図11に示すルーチンS53に移行する。
【0052】
ステップS51による判断の結果、処理が図10に示すルーチンS52に処理が移ると、ステップS61においてライブラリコントローラLct1は、待機中の第2ドライブコマンドパスP2を介して、その通信部16と、当該ドライブD11を制御しているドライブコントローラDct1の通信部33との交信を試みる。
第2ドライブコマンドパスP2を介して通信部16と通信部33との交信が可能であれば、ライブラリコントローラLct1は、ステップS62においてドライブコントローラ側第1ポート31が故障であると判断して、ステップS63において、第2ドライブコマンドパスP2を動作状態に、第1ドライブコマンドパスP1を待機状態に切り替えることによりライブラリ装置1の動作を継続する。
【0053】
第2ドライブコマンドパスP2を介して通信部16と通信部33との交信ができなければ、ライブラリコントローラLct1は、ステップS64において第1ドライブコントローラDct1が故障であると判断して、ステップS65において第1ドライブコントローラDct1の配下にあるドライブD11及びD12の使用を、第1ドライブコントローラDct1の交換保守が行われるまで以後禁止する。
【0054】
図9のステップS51による判断の結果、図11に示すルーチンS53に処理が移ると、ステップS71においてライブラリコントローラLct1は、ライブラリコントローラLct1側の現在待機状態にある第2ポート15について、既に故障状態にあることが記録されているか否かを判断する。
既に第2ポート15が故障状態にある場合には、ライブラリコントローラLct1は、ステップS72において自身が故障であると判断し、ステップS73においてライブラリコントローラLct1を待機状態に、ライブラリコントローラLct2を動作状態に切り替えて、以後ライブラリコントローラLct2を使用してライブラリ装置1の動作を継続する。なお使用する系を、ライブラリコントローラLct1からライブラリコントローラLct2へ切り替える方法は、図3に示したライブラリ装置1の第1実施例と同様としてよい。
【0055】
ステップS71において第1ライブラリコントローラLct1の第2ポート15が故障にないと判断された場合には、第1ライブラリコントローラLct1は、ステップS74において他方の第2ライブラリコントローラLct2に対して、その通信部26が第1ドライブコマンドパスP1を介して、ドライブコントローラDct1〜Dctnの通信部33〜53のいずれかとライブラリコントローラ間通信回線3を介して交信可能であるか否かを照会する。
その結果、他方の第2ライブラリコントローラLct2の通信部26によっても、ドライブコントローラDct1〜Dctnの通信部33〜53のいずれとも命令の送受信ができない場合には、ステップS75において第1ドライブコマンドパスP1の故障であると判断し、ステップS78において、使用するドライブコマンドパスを現在の第1ドライブコマンドパスP1から待機中の第2ドライブコマンドパスP2に切り替えて処理を終了する。
【0056】
このとき、例えばドライブコントローラDct1の通信部33との交信は可能であるが、ドライブコントローラDct2〜Dctnの通信部43〜53との交信が行えない場合には、ドライブコントローラDct1とドライブコントローラDct2との間を接続するDct間接続ドライブコマンドパスPD1やPD2が故障している可能性がある。この場合、ドライブコマンドパスを待機中のドライブコマンドパスに切り替えることによって、ドライブコントローラDct2〜Dctnの通信部43〜53との交信が回復することを確認することにより、Dct間接続ドライブコマンドパスPD1又はPD2の故障を検出することとしてもよい。
【0057】
一方で、ステップS74において、他方の第2ライブラリコントローラLct2の通信部26によって、ドライブコントローラDct2〜Dctnの通信部33〜35のいずれかとの命令の送受信ができる場合には、ステップS76において、第1ライブラリコントローラLct1の第1ポート14の故障であると判断し、ステップS77において記憶部11に第1ポート14が故障である旨を記録した後、使用するドライブコマンドパスを現在の第1ドライブコマンドパスP1から待機中の第2ドライブコマンドパスP2に切り替えて処理を終了する。
【0058】
以上、本発明を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明したが、本発明の容易な理解のために、本発明の具体的な形態を以下に付記する。
【0059】
(付記1)
ホストからの制御命令に従って全体を制御するライブラリコントローラと、前記ライブラリコントローラからの制御命令に従って配下の記憶媒体ドライブ装置を制御する少なくとも1台のドライブコントローラと、前記ライブラリコントローラと前記ドライブコントローラとを接続するドライブコマンドパスと、を有するライブラリ装置において、
前記ライブラリコントローラ、前記ドライブコマンドパス、並びに該ドライブコマンドパスに接続されるライブラリコントローラ側ポートを二重化して構成することを特徴とするライブラリ装置。(1)
【0060】
(付記2)
前記ドライブコマンドパスは、第1ドライブコマンドパス及び第2ドライブコマンドパスで構成されることにより二重化され、
前記ライブラリコントローラ側ポートは、二重化された前記ライブラリコントローラ毎に設けられた、ライブラリコントローラ側第1ポート及びライブラリコントローラ側第2ポートで構成されることにより二重化され、
前記ライブラリコントローラ側第1ポート及び前記ライブラリコントローラ側第2ポートが、それぞれ前記第1ドライブコマンドパス及び前記第2ドライブコマンドパスに接続されることを特徴とする付記1に記載のライブラリ装置。(2)
【0061】
(付記3)
少なくとも、前記ライブラリコントローラ、前記ドライブコマンドパス、及び前記ライブラリコントローラ側ポートのいずれかに発生した故障箇所を判断する故障箇所判断部を備えることを特徴とする付記2に記載のライブラリ装置。(3)
【0062】
(付記4)
前記ドライブコマンドパスに接続されるドライブコントローラ側ポートは、前記少なくとも1台のドライブコントローラ毎に設けられた、ドライブコントローラ側第1ポート及びライブラリコントローラ側第2ポートで構成されることにより二重化され、
各前記ドライブコントローラの、前記ドライブコントローラ側第1ポートは前記第1ドライブコマンドパスに並列に接続され、前記ドライブコントローラ側第2ポートは前記第2ドライブコマンドパスに並列に接続されることを特徴とする付記2に記載のライブラリ装置。(4)
【0063】
(付記5)
すくなくとも、前記ライブラリコントローラ、前記ドライブコントローラ、前記ドライブコマンドパス、前記ライブラリコントローラ側ポート及び前記ドライブコントローラ側ポートのいずれかに発生した故障箇所を判断する故障箇所判断部を備えることを特徴とする付記4に記載のライブラリ装置。
【0064】
(付記6)
前記ライブラリコントローラ及び前記ドライブコントローラは、前記ドライブコマンドパスを介して相互に交信しあう通信部をそれぞれ備え、
前記故障箇所判断部は、前記通信部による交信の異常が生じたとき、前記故障の発生を検出することを特徴とする付記3又は5に記載のライブラリ装置。(5)
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、磁気テープ、磁気ディスクや光磁気ディスクなどの記録媒体に記録されたデータの読み込みや書き込みを行うライブラリ装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明によるライブラリ装置の基本構成図(その1)である。
【図2】本発明によるライブラリ装置の基本構成図(その2)である。
【図3】本発明によるライブラリ装置の第1実施例の構成図である。
【図4】図3に示すライブラリ装置の全体動作フローチャートである。
【図5】図4に示すサブルーチンS13のフローチャートである。
【図6】図4に示すサブルーチンS14のフローチャートである。
【図7】本発明によるライブラリ装置の第2実施例の構成図である。
【図8】図7に示すライブラリ装置の全体動作フローチャートである。
【図9】図8に示すサブルーチンS42のフローチャートである。
【図10】図9に示すサブルーチンS52のフローチャートである。
【図11】図9に示すサブルーチンS53のフローチャートである。
【図12】従来のライブラリ装置の基本構成図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ライブラリ装置
Lct、Lct1、Lct2 ライブラリコントローラ
Dct、Dct1、Dct2、Dctn ドライブコントローラ
P、P1、P2 ドライブコマンドパス
PL1、PL2 Lct間接続ドライブコマンドパス
PD1、PD2 Dct間接続ドライブコマンドパス
14、15、24、25 ライブラリコントローラ側ポート
31、32、41、42、51、52 ドライブコントローラ側ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストからの制御命令に従って全体を制御するライブラリコントローラと、前記ライブラリコントローラからの制御命令に従って配下の記憶媒体ドライブ装置を制御する少なくとも1台のドライブコントローラと、前記ライブラリコントローラと前記ドライブコントローラとを接続するドライブコマンドパスと、を有するライブラリ装置において、
前記ライブラリコントローラ、前記ドライブコマンドパス、並びに該ドライブコマンドパスに接続されるライブラリコントローラ側ポートを二重化して構成することを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
前記ドライブコマンドパスは、第1ドライブコマンドパス及び第2ドライブコマンドパスで構成されることにより二重化され、
前記ライブラリコントローラ側ポートは、二重化された前記ライブラリコントローラ毎に設けられた、ライブラリコントローラ側第1ポート及びライブラリコントローラ側第2ポートで構成されることにより二重化され、
前記ライブラリコントローラ側第1ポート及び前記ライブラリコントローラ側第2ポートが、それぞれ前記第1ドライブコマンドパス及び前記第2ドライブコマンドパスに接続されることを特徴とする請求項1に記載のライブラリ装置。
【請求項3】
少なくとも、前記ライブラリコントローラ、前記ドライブコマンドパス、及び前記ライブラリコントローラ側ポートのいずれかに発生した故障箇所を判断する故障箇所判断部を備えることを特徴とする請求項2に記載のライブラリ装置。
【請求項4】
前記ドライブコマンドパスに接続されるドライブコントローラ側ポートは、前記少なくとも1台のドライブコントローラ毎に設けられた、ドライブコントローラ側第1ポート及びライブラリコントローラ側第2ポートで構成されることにより二重化され、
各前記ドライブコントローラの、前記ドライブコントローラ側第1ポートは前記第1ドライブコマンドパスに並列に接続され、前記ドライブコントローラ側第2ポートは前記第2ドライブコマンドパスに並列に接続されることを特徴とする請求項2に記載のライブラリ装置。
【請求項5】
前記ライブラリコントローラ及び前記ドライブコントローラは、前記ドライブコマンドパスを介して相互に交信しあう通信部をそれぞれ備え、
前記故障箇所判断部は、前記通信部による交信の異常が生じたとき、前記故障の発生を検出することを特徴とする請求項3又は5に記載のライブラリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−343822(P2006−343822A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166812(P2005−166812)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】