ラインヘッド、ラインヘッド用レンズアレイおよびその型の製造方法
【課題】切削等の機械加工で型を製造した場合、加工に時間を要し、工具も消耗して均一な加工が難しい。また、途中で工具を交換することも可能であるが、交換前後で工具の位置がずれるためレンズ面位置が変化し、レンズの位置精度の確保が難しい。
【解決手段】レンズを形成する凹型の面が第1の方向XXに複数配置されたレンズアレイの型の製造方法であって、第1の方向XXに凹型の面に対応する凹型の面が複数形成された第1の原盤310を機械加工により形成する工程と、第1の原盤310から射出成型により凸型の面が複数形成された第2の原盤320a,320b,320cを形成する工程と、第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに複数並べて第3の原盤330を形成する工程と、第3の原盤330から電鋳により型を形成する工程と、を含むレンズアレイの型の製造方法。
【解決手段】レンズを形成する凹型の面が第1の方向XXに複数配置されたレンズアレイの型の製造方法であって、第1の方向XXに凹型の面に対応する凹型の面が複数形成された第1の原盤310を機械加工により形成する工程と、第1の原盤310から射出成型により凸型の面が複数形成された第2の原盤320a,320b,320cを形成する工程と、第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに複数並べて第3の原盤330を形成する工程と、第3の原盤330から電鋳により型を形成する工程と、を含むレンズアレイの型の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体の被走査面に対して光を走査するラインヘッド、それに用いるレンズアレイおよびその型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体である感光体の被走査面に対して光を走査して潜像を形成するラインヘッドは、画像形成装置である電子写真式プリンタの光源として使用されている。
ラインヘッドとしての光プリンタヘッドは、複数の発光素子グループが載置されたヘッド基板と発光素子グループに対応したレンズを有するレンズアレイとを備えている。
【0003】
ラインヘッドであるLEDアレイ、ラインヘッドレンズアレイであるマイクロレンズアレイおよびその型の製造方法として、ガラスのレンズ基板上に樹脂レンズを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、フォトリソグラフィーと電鋳により型を形成し、光硬化性樹脂を用いてガラス基板上にレンズを形成する。
マイクロレンズアレイおよびその製造方法として、マイクロレンズを形成した樹脂膜をガラスまたは透光性樹脂からなる基板部に接合する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、切削により加工された現型から電鋳により金型を作り、光硬化性樹脂を用いてガラス基板上にレンズを形成する。
【0004】
【特許文献1】特開2005−276849号公報(7頁および8頁、図9〜図13)
【特許文献2】特開2002−122706号公報(6頁、図6および図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズアレイに形成されたレンズのレンズ口径は1mm程度で、レンズ高さは0.3mm程度である。レンズアレイに対応した型をフォトリソグラフィーで製造する場合、対応できるレンズ高さは0.1mm程度であり、これよりも高いレンズ面を形成した場合には、エッチングのムラが顕著となって、要求される面形状精度、表面粗さを達成するのが困難である。
切削等の機械加工で型を製造した場合、加工に時間を要し、工具も消耗して均一な加工が難しい。また、途中で工具を交換することも可能であるが、交換前後で工具の位置がずれるためレンズ面位置が変化し、レンズの位置精度の確保が難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]第1の方向に凹型の面が形成された第1の原盤を機械加工により形成する工程と、前記第1の原盤から射出成型により凸型の面が形成された樹脂原盤を形成する工程と、前記樹脂原盤の前記第1の方向の端部を切断して第2の原盤を形成する工程と、前記第2の原盤を前記第1の方向に配設して第3の原盤を形成する工程と、前記第3の原盤から電鋳により型を形成する工程と、を含むことを特徴とするレンズアレイの型の製造方法。
【0008】
この適用例によれば、樹脂原盤が射出成型により第1の原盤から形成されており、第1の原盤と同じ面形状精度、表面粗さを備えた樹脂原盤が得られる。樹脂原盤の第1の方向における端部を切り取った第2の原盤は、第1の原盤と同じ面形状精度、表面粗さを備えている。第3の原盤は、複数の第2の原盤を第1の方向に並べて形成されており、第2の原盤と同じ面形状精度、表面粗さを備えた第3の原盤が得られる。レンズアレイを形成するための型は、第3の原盤から電鋳により第1の方向に長い一体の型として得られ、第2の原盤の面形状精度、表面粗さが転写されている。したがって、第3の原盤から電鋳により得られる型の面形状精度、表面粗さが、第1の原盤と同等で一体としてのレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0009】
また、第1の原盤は第1の方向の長さに対して短いので、第1の原盤を形成する原盤も短くてすみ、機械加工に要する時間を短縮することができる。また、機械加工で工具等の交換回数が少なくなる。したがって、レンズの位置精度が確保されたレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0010】
[適用例2]前記第2の原盤は、アライメントマークが設けられるとともに、前記第3の原盤を形成する工程は、前記第2の原盤を前記アライメントマークにしたがって前記第2の原盤間に隙間を設けて配設して形成する上記記載のレンズアレイの型の製造方法。
【0011】
この適用例では、第2の原盤をアライメントマークにしたがって並べるので、それぞれの第2の原盤の凸型の面の位置合わせが行いやすい。また、第2の原盤間に隙間を空けることによって、位置合わせ時に遊びが生じ、より位置合わせが行いやすい。したがって、レンズの位置精度が確保されたレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0012】
[適用例3]前記隙間を樹脂で埋める上記記載のレンズアレイの型の製造方法。
この適用例では、第2の原盤間の隙間を樹脂で埋めることにより、第2の原盤が一体として形成される。
【0013】
[適用例4]前記第1の原盤の凹型の面は、2次元に配設されている上記記載のレンズアレイの型の製造方法。
この適用例では、第1の方向の複数列のレンズを備えたレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0014】
[適用例5]上記記載のレンズアレイの型の製造方法で製造されたレンズアレイの型を用いて形成したことを特徴とするレンズアレイ。
この適用例によれば、前述の効果を達成できるレンズアレイが得られる。
【0015】
[適用例6]上記記載のレンズアレイと、前記レンズアレイのレンズで結像される光を発光する2個以上の発光素子が設けられたヘッド基板と、を備えたことを特徴とするラインヘッド。
この適用例によれば、前述の効果を達成できるラインヘッドが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0017】
図1は画像形成装置1の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置1の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0018】
本実施形態にかかる画像形成装置1が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、ハウジング本体3に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0019】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンタ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され回転方向D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が副走査方向に搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0020】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0021】
ラインヘッド29は、感光体ドラム21の軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に配列された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光を照射して該表面に潜像を形成する。なお、本実施形態では、各色のラインヘッド29を制御するためにヘッドコントローラHCが設けられ、メインコントローラMCからのビデオデータVDと、エンジンコントローラECからの信号とに基づき各ラインヘッド29を制御している。すなわち、本実施形態では、画像形成指令に含まれる画像データがメインコントローラMCの画像処理部51に入力される。そして、該画像データに対して種々の画像処理が施されて各色のビデオデータVDが作成されるとともに、該ビデオデータVDがメイン側通信モジュール52を介してヘッドコントローラHCに与えられる。また、ヘッドコントローラHCでは、ビデオデータVDはヘッド側通信モジュール53を介してヘッド制御モジュール54に与えられる。このヘッド制御モジュール54には、上記したように潜像形成に関連するパラメータ値を示す信号と垂直同期信号VsyncがエンジンコントローラECから与えられている。そして、これらの信号およびビデオデータVDなどに基づきヘッドコントローラHCは各色のラインヘッド29に対して素子駆動を制御するための信号を作成し、各ラインヘッド29に出力する。こうすることで、各ラインヘッド29において発光素子の作動が適切に制御されて画像形成指令に対応する潜像が形成される。
【0022】
そして、本実施形態においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25および感光体クリーナ27を感光体カートリッジとしてユニット化している。また、各感光体カートリッジには、該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各感光体カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。
【0023】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0024】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0025】
また、本実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラム21の表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0026】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0027】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0028】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0029】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0030】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0031】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、2つのローラ1321,1322により張られた加圧ベルト1323を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0032】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルト81に残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。したがって、次に説明するようにブレード対向ローラ83が移動する場合は、ブレード対向ローラ83と一緒にクリーナブレード711及び廃トナーボックス713も移動することとなる。
【0033】
以下に、本実施形態におけるラインヘッド29を図に基づいて詳しく説明する。
図3は、本実施形態にかかるラインヘッド29の概略斜視図である。また、図4は、ラインヘッド29を副走査方向YYに切断した断面図である。
図3において、ラインヘッド29は、主走査方向XXに配列された発光素子グループ410を備えている。発光素子グループ410は、複数の発光素子411を備えている。これらの発光素子411から、図4に示したように、帯電部23(図1参照)により帯電された感光体2Yの被走査面である表面200に対して光が照射され、表面200に静電潜像が形成される。
【0034】
図3において、ラインヘッド29は、主走査方向XXを第1の方向とするケース420を備えるとともに、かかるケース420の両端には、位置決めピン421とねじ挿入孔422が設けられている。かかる位置決めピン421を、図示しない感光体カバーに穿設された位置決め孔に嵌め込むことで、ラインヘッド29が、図4に示した感光体2Yに対して位置決めされている。感光体カバーは、感光体2Yを覆うとともに感光体2Yに対して位置決めされている。また、ねじ挿入孔422を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体2Yに対して位置決め固定されている。
【0035】
図3および図4において、ケース420は、感光体2Yの表面200に対向する位置に、結像レンズが配列された2つのレンズアレイ430a,430bを重なるように保持するとともに、その内部に、レンズアレイ430a,430bに近い順番で、遮光部材440および基板としてのヘッド基板450を備えている。
ヘッド基板450は透明なガラス基板である。ヘッド基板450のうら面452(ヘッド基板450が有する2つの面のうち遮光部材440に対向するおもて面451とは逆側の面)には、複数の発光素子グループ410が設けられている。複数の発光素子グループ410は、ヘッド基板450のうら面452に、図3に示すように、主走査方向XXおよび副走査方向YYに互いに所定間隔だけ離れて2次元的に、並べて配置されている。ここで、発光素子グループ410は、図3中の円で囲んだ部分に示すように、複数の発光素子411を2次元的に配列することによって構成されている。
【0036】
本実施形態では、発光素子として有機ELを用いる。つまり、本実施形態では、ヘッド基板450のうら面452に有機ELを発光素子411として配置している。そして、複数の発光素子411のそれぞれから感光体2Yの方向に射出される光は、ヘッド基板450を介して遮光部材440へ向かう。
発光素子はLEDであってもよい。この場合、基板はガラス基板でなくてもよく、LEDは、おもて面451に設けることができる。
【0037】
図3および図4において、遮光部材440は、複数の発光素子グループ410に対して一対一で対応する複数の導光孔4410を備えている。
発光素子グループ410に属する発光素子411から射出された光は、発光素子グループ410に一対一で対応する導光孔4410によって、一対のレンズアレイ430a,430bに導かれる。そして、導光孔4410を通過した光は、二点鎖線で示すように、レンズアレイ430a,430bにより、感光体2Yの表面200にスポットとして結像されることとなる。
【0038】
図4に示すように、裏蓋470が、固定器具460によって、ヘッド基板450を介してケース420に押圧されている。固定器具460は、裏蓋470をケース420側に押圧する弾性力を有するとともに、かかる弾性力により裏蓋470を押圧することで、ケース420の内部から光が漏れないように、および、ケース420の外部から光が侵入しないように密閉している。なお、固定器具460は、図3に示すケース420の主走査方向XXに複数箇所設けられている。また、発光素子グループ410は、封止部材480により覆われている。
【0039】
図5に、レンズアレイ430aの斜視図を、図6に、レンズアレイ430aの主走査方向XXの部分断面図を示した。レンズアレイ430aの構成は、レンズアレイ430bの構成と同じである。
図6において、レンズアレイ430aは、ベース基板としてのレンズ基板431とレンズ部432とを備えている。
なお、図3におけるレンズアレイ430a,430bの固定は、レンズ基板431を固定することによって行われている。また、レンズアレイ430a,430bは、レンズ部432がヘッド基板450側に配置されている。したがって、レンズ部432の形成されている面に対向する平面が、感光体2Yに対向する位置に配置されている。
図6において、レンズ部432は、複数のレンズ433を備えている。これらのレンズ433は、以下のように配置されている。
【0040】
図4において、レンズアレイ430a,430bにそれぞれ設けられた図6のレンズ433は一対をなし、相互に図中一点鎖線で示した光軸を共通にする。また、これら一対のレンズ433は、図3に示した複数の発光素子グループ410に一対一で対向して配置されている。
各発光素子411から射出された光は、二点鎖線で示すようにレンズ433によって感光体2Yの表面200上に結像する。
【0041】
以下に、レンズアレイ430a,430bの製造方法について述べる。
図7に、レンズアレイ430a,430bの製造方法を表すフローチャート図を示した。レンズアレイ430a,430bは、レンズアレイ430a,430bを形成するための型(不図示)を用いて形成される。図7において、レンズアレイ430a,430bの製造工程は、第1の原盤を形成する工程であるステップ1(S1)と、樹脂原盤を形成する工程であるステップ2(S2)と、第2の原盤を形成する工程であるステップ3(S3)と、第3の原盤を形成する工程であるステップ4(S4)と、型を形成する工程であるステップ5(S5)とを含む。
【0042】
図8、図9には、レンズアレイ430a,430bの製造方法を表す断面図を示した。図8、図9の工程間を結ぶ矢印は、矢印の始点における原盤を矢印の終点においても同じ原盤を用いることを示す。図8(a)は、第1の原盤310を形成する工程であるステップ1(S1)を示す。(b)は、樹脂原盤320を形成する工程であるステップ2(S2)を示す。(c)は、第2の原盤320a,320b,320cを形成する工程であるステップ3(S3)を示す。(d)は、第3の原盤330を形成する工程であるステップ4(S4)を示す。図9(e)は、レンズアレイ430a,430bを形成するための型340を形成する工程であるステップ5(S5)を示す。(f)は、レンズアレイ430a,430bを形成する工程を示す。
【0043】
図8(a)において、基板300に凹型の面Q1を自由曲面加工機によって形成することによって第1の原盤310を得る。自由曲面加工機としては、5軸同時制御のものを用いることができる。
【0044】
第1の原盤310の第1の方向XXの長さは、レンズアレイ430a,430bの長さの1/3〜1/4の長さとするのが好ましい。例えば、レンズアレイ430a,430bの長さが300mmである場合、100mm程度の長さとする。
【0045】
基板300の材質としては、鉄、ステンレス、銅、ニッケル等を用いることができる。加工バイトにダイアモンドを用いる場合、基板300と炭素が反応しないものが好ましく、例えば、ニッケル、無酸素銅が好ましい。また、例えば鉄等の基材にニッケル、無酸素銅をコーティングしたものであってもよい。この場合、ニッケル等の部分を加工する。
【0046】
図10(a)〜(c)は、アライメントマークを形成する方法について説明する図である。図10(a)の第1の原盤310の凹型の面Q1の周辺における平面に、図に示すようなアライメントマークZ1を自由曲面加工機によって形成する。
【0047】
図8(b)において、第1の原盤310から射出成型により凸型の面T1を有する樹脂原盤320を形成する。この射出成型により、図10(b)の樹脂原盤320には、第1の原盤310のアライメントマークZ1が転写されてアライメントマークZ2が形成される。本実施形態では、3個の樹脂原盤320を射出成型により形成する。
【0048】
図8(c)において、3個の樹脂原盤320の破線に示す第1の方向XXの両端部分を切削加工によってそれぞれ切断する。図10(c)は、1個の樹脂原盤320の破線と実線で囲まれた第1の方向XXの両端部を切削加工によって切断して形成した1個の第2の原盤320aを示す。同様に、残りの2個の樹脂原盤320の両端部を切削加工によってそれぞれ切断して第2の原盤320b、第2の原盤320cを得る。第2の原盤320a,320b,320cは、凸型の面T1を有する。
【0049】
本実施形態では、第2の原盤320a,320b,320cの第1の方向XXの両端部を切断したが、第1の方向XXにおける片側の端部を切断してもよい。すなわち、図8(c)の第2の原盤320aは、第2の原盤320b側すなわち図面右側のみを切断し、第2の原盤320cは、第2の原盤320b側すなわち図面左側のみを切断してもよい。
【0050】
図8(d)において、基板600上で第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに並べる。基板600は、後述する電鋳による熱からの影響を少なくするため、線膨張係数が小さいステンレスが望ましい。第2の原盤320a,320b,320cの凸型の面T1が形成されている面と反対側が基板600と向き合うように並べる。並べる前に、予め、第2の原盤320a,320b,320cと基板600が接する面には、接着剤を塗布しておく。
【0051】
図8(d)において、次に、紫外線が照射されると硬化する樹脂としての紫外線硬化型樹脂を、隣接する二つの第2の原盤との隙間SK1に充填する。
【0052】
図11(a)は、図8(d)において、基板600上に並ぶ第2の原盤320a,320b,320cを示す図で、図8(d)の図面上側から見た図である。図11(a)に示すように、隣接する第2の原盤320a,320bおよび隣接する第2の原盤320b,320cとの隙間SK1をそれぞれ設けるようにして、基板600上に第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに並べる。
【0053】
基板600には、アライメントマークAMが形成されている。例えば、CCDカメラを用いて、アライメントマークAM付近を撮像し、第2の原盤320a,320b,320cのそれぞれに形成されたアライメントマークZ2の位置と、基板600に形成されたアライメントマークAMとの位置が一致するように、基板600上に第2の原盤320a,320b,320cを並べる。基板600上の第2の原盤320a,320b,320cの位置を合わせる工程は、基板600と第2の原盤320a,320b,320cとの間に塗布した接着剤が硬化しないうちに行う。
【0054】
次に、基板600とは反対側から紫外線を照射し、隙間SK1に充填した紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
【0055】
このようにして、基板600に固定され、隙間SK1に充填された紫外線硬化型樹脂により一体となった第2の原盤320a,320b,320cによって構成される図8(d)の第3の原盤330を形成する。
【0056】
図9(e)において、第3の原盤330から電鋳によりニッケルの層を形成し、凹型の面Q2を有する型340を形成する。
【0057】
図9(f)において、型340を用いて、レンズ433(図5、図6参照)を形成するレンズ433を有するレンズアレイ430a,430bを射出成型によって形成する。
【0058】
型340における凹型の面Q2は、第1の方向XXと、第1の方向XXと垂直方向に並んで2次元に配置されている。型340における凹型の面Q2が第1の方向XXに並ぶ間隔と、第1の方向XXと垂直方向に並ぶ間隔は、第1の原盤310における凹型の面Q1が第1の方向XXに並ぶ間隔と、第1の方向XXと垂直方向に並ぶ間隔と同じである。従って、第1の原盤310における複数の凹型の面Q1と、型340における複数の凹型の面Q2とは位置がそれぞれ対応している。
【0059】
図11(b)は、型340を示す図である。図の破線Lに示す範囲は、第3の原盤330が転写された範囲を示す。図8(d)の第3の原盤330の隙間SK1に充填された紫外線硬化型樹脂が収縮した場合には、図11(a)の第3の原盤330の隙間SK1に凹状の溝部が形成されるので、電鋳により、第3の原盤330から形成した型340には、断面が凸状の筋SJ1が形成される。
【0060】
図11(c)は、レンズアレイ430a(430b)を示す。型340に形成された凸状の筋SJ1が電鋳により転写されるので、レンズアレイ430a(430b)には、断面が凹状の筋SJ2が形成される。
【0061】
反対に、隙間SK1に紫外線硬化型樹脂を充填し、紫外線硬化型樹脂が隙間SK1より盛り上がった場合には、レンズアレイ430a(430b)には断面が凸状の筋SJ2が形成される。
【0062】
以上、本実施形態で説明したレンズアレイ430a,430bを形成するための型の製造方法は、第1の方向XXに凹型の面Q1が形成された第1の原盤310を機械加工により形成する工程と、第1の原盤310から射出成型により凸型の面T1が形成された樹脂原盤320を形成する工程と、樹脂原盤320の第1の方向XXの端部を切断して第2の原盤320a,320b,320cを形成する工程と、第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに配設して第3の原盤330を形成する工程と、第3の原盤330から電鋳により型340を形成する工程と、を含む(図8、図9参照)。
【0063】
本実施形態の製造方法によれば、樹脂原盤320が射出成型により第1の原盤310から形成されており、第1の原盤310と同じ面形状精度、表面粗さを備えた樹脂原盤320が得られる。樹脂原盤320の第1の方向XXにおける端部を切り取った第2の原盤320a,320b,320cは、第1の原盤310と同じ面形状精度、表面粗さを備えている。第3の原盤330は、3個の第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに並べて形成されており、第2の原盤320a,320b,320cと同じ面形状精度、表面粗さを備えている。レンズアレイ430a,430bを形成するための型340は、第3の原盤330から電鋳により得られる。これにより、型340は、第2の原盤320a,320b,320cの面形状精度、表面粗さが転写されている。したがって、本実施形態のレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法によれば、面形状精度、表面粗さが、第1の原盤310と同等である。
【0064】
また、第1の原盤310は第1の方向XXの長さに対して短いので、第1の原盤310を形成する基板300も短くてすみ、機械加工に要する時間を短縮することができる。また、機械加工で工具等の交換も必要も少なくなる。したがって、レンズの位置精度が確保されたレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法が得られる。
【0065】
また、本実施形態のレンズアレイ430a,430bの型340における凹型の面Q2は、2次元に配置するように製造する。
これにより、第1の方向XXの複数列のレンズ433を備えたレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法が得られる。
【0066】
また、上記レンズアレイ430a,430bの型の製造方法であって、第2の原盤320a,320b,320cには、レンズ433の位置に対応したアライメントマークZ2(図10(c)参照)が設けられ、図11(a)の第3の原盤330は、第2の原盤320a,320b,320cをアライメントマークZ2にしたがって隙間SK1を空けて並べて形成する。
【0067】
これにより、第2の原盤320a,320b,320cをアライメントマークZ2にしたがって並べるので、それぞれの第2の原盤320a,320b,320cの凸型の面T1の位置合わせが行いやすい。また、第2の原盤320a,320b,320c間に隙間SK1を空けることによって、位置合わせ時に遊びが生じ、より位置合わせが行いやすい。したがって、レンズ433の位置精度が確保されたレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法が得られる。
【0068】
また、図11(a)の隙間SK1を樹脂で埋める。
これにより、第2の原盤320a,320b,320c間の隙間SK1を樹脂で埋めることにより、第2の原盤320a,320b,320cが一体として形成される。
【0069】
また、本実施形態では、カラー画像形成装置に適用されているが、適用対象はこれに限定されるものではなく、いわゆる単色画像を形成するモノクロ画像形成装置に対しても適用することができる。
【0070】
さらに、乾式のトナーだけでなく、トナー粒子を不揮発性液体キャリアに分散させた液体トナーを用いた画像形成装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】ラインヘッドの概略斜視図。
【図4】ラインヘッドを副走査方向に切断した断面図。
【図5】レンズアレイの斜視図。
【図6】レンズアレイの主走査方向の部分断面図。
【図7】レンズアレイの製造方法を表すフローチャート図。
【図8】レンズアレイの製造方法を表す断面図。
【図9】レンズアレイの製造方法を表す断面図。
【図10】アライメントマークを形成する方法について説明する図。
【図11】(a)は、基板上に並ぶ第2の原盤を示す図、(b)は、型を示す図、(c)は、レンズアレイを示す図。
【符号の説明】
【0072】
29…ラインヘッド、310…第1の原盤、320…樹脂原盤、320a,320b,320c…第2の原盤、330…第3の原盤、340…型、410…発光素子グループ、433…レンズ、430a,430b…レンズアレイ、450…ヘッド基板、Z2…アライメントマーク、Q1,Q2…凹型の面、SK1…隙間、T1…凸型の面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体の被走査面に対して光を走査するラインヘッド、それに用いるレンズアレイおよびその型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体である感光体の被走査面に対して光を走査して潜像を形成するラインヘッドは、画像形成装置である電子写真式プリンタの光源として使用されている。
ラインヘッドとしての光プリンタヘッドは、複数の発光素子グループが載置されたヘッド基板と発光素子グループに対応したレンズを有するレンズアレイとを備えている。
【0003】
ラインヘッドであるLEDアレイ、ラインヘッドレンズアレイであるマイクロレンズアレイおよびその型の製造方法として、ガラスのレンズ基板上に樹脂レンズを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、フォトリソグラフィーと電鋳により型を形成し、光硬化性樹脂を用いてガラス基板上にレンズを形成する。
マイクロレンズアレイおよびその製造方法として、マイクロレンズを形成した樹脂膜をガラスまたは透光性樹脂からなる基板部に接合する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、切削により加工された現型から電鋳により金型を作り、光硬化性樹脂を用いてガラス基板上にレンズを形成する。
【0004】
【特許文献1】特開2005−276849号公報(7頁および8頁、図9〜図13)
【特許文献2】特開2002−122706号公報(6頁、図6および図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズアレイに形成されたレンズのレンズ口径は1mm程度で、レンズ高さは0.3mm程度である。レンズアレイに対応した型をフォトリソグラフィーで製造する場合、対応できるレンズ高さは0.1mm程度であり、これよりも高いレンズ面を形成した場合には、エッチングのムラが顕著となって、要求される面形状精度、表面粗さを達成するのが困難である。
切削等の機械加工で型を製造した場合、加工に時間を要し、工具も消耗して均一な加工が難しい。また、途中で工具を交換することも可能であるが、交換前後で工具の位置がずれるためレンズ面位置が変化し、レンズの位置精度の確保が難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]第1の方向に凹型の面が形成された第1の原盤を機械加工により形成する工程と、前記第1の原盤から射出成型により凸型の面が形成された樹脂原盤を形成する工程と、前記樹脂原盤の前記第1の方向の端部を切断して第2の原盤を形成する工程と、前記第2の原盤を前記第1の方向に配設して第3の原盤を形成する工程と、前記第3の原盤から電鋳により型を形成する工程と、を含むことを特徴とするレンズアレイの型の製造方法。
【0008】
この適用例によれば、樹脂原盤が射出成型により第1の原盤から形成されており、第1の原盤と同じ面形状精度、表面粗さを備えた樹脂原盤が得られる。樹脂原盤の第1の方向における端部を切り取った第2の原盤は、第1の原盤と同じ面形状精度、表面粗さを備えている。第3の原盤は、複数の第2の原盤を第1の方向に並べて形成されており、第2の原盤と同じ面形状精度、表面粗さを備えた第3の原盤が得られる。レンズアレイを形成するための型は、第3の原盤から電鋳により第1の方向に長い一体の型として得られ、第2の原盤の面形状精度、表面粗さが転写されている。したがって、第3の原盤から電鋳により得られる型の面形状精度、表面粗さが、第1の原盤と同等で一体としてのレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0009】
また、第1の原盤は第1の方向の長さに対して短いので、第1の原盤を形成する原盤も短くてすみ、機械加工に要する時間を短縮することができる。また、機械加工で工具等の交換回数が少なくなる。したがって、レンズの位置精度が確保されたレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0010】
[適用例2]前記第2の原盤は、アライメントマークが設けられるとともに、前記第3の原盤を形成する工程は、前記第2の原盤を前記アライメントマークにしたがって前記第2の原盤間に隙間を設けて配設して形成する上記記載のレンズアレイの型の製造方法。
【0011】
この適用例では、第2の原盤をアライメントマークにしたがって並べるので、それぞれの第2の原盤の凸型の面の位置合わせが行いやすい。また、第2の原盤間に隙間を空けることによって、位置合わせ時に遊びが生じ、より位置合わせが行いやすい。したがって、レンズの位置精度が確保されたレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0012】
[適用例3]前記隙間を樹脂で埋める上記記載のレンズアレイの型の製造方法。
この適用例では、第2の原盤間の隙間を樹脂で埋めることにより、第2の原盤が一体として形成される。
【0013】
[適用例4]前記第1の原盤の凹型の面は、2次元に配設されている上記記載のレンズアレイの型の製造方法。
この適用例では、第1の方向の複数列のレンズを備えたレンズアレイの型の製造方法が得られる。
【0014】
[適用例5]上記記載のレンズアレイの型の製造方法で製造されたレンズアレイの型を用いて形成したことを特徴とするレンズアレイ。
この適用例によれば、前述の効果を達成できるレンズアレイが得られる。
【0015】
[適用例6]上記記載のレンズアレイと、前記レンズアレイのレンズで結像される光を発光する2個以上の発光素子が設けられたヘッド基板と、を備えたことを特徴とするラインヘッド。
この適用例によれば、前述の効果を達成できるラインヘッドが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0017】
図1は画像形成装置1の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置1の電気的構成を示す図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCはエンジンコントローラECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラHCに与える。また、このヘッドコントローラHCは、メインコントローラMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部EGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0018】
本実施形態にかかる画像形成装置1が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、ハウジング本体3に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0019】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンタ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され回転方向D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が副走査方向に搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0020】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0021】
ラインヘッド29は、感光体ドラム21の軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に配列された複数の発光素子を備えるとともに、感光体ドラム21から離間配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に対して光を照射して該表面に潜像を形成する。なお、本実施形態では、各色のラインヘッド29を制御するためにヘッドコントローラHCが設けられ、メインコントローラMCからのビデオデータVDと、エンジンコントローラECからの信号とに基づき各ラインヘッド29を制御している。すなわち、本実施形態では、画像形成指令に含まれる画像データがメインコントローラMCの画像処理部51に入力される。そして、該画像データに対して種々の画像処理が施されて各色のビデオデータVDが作成されるとともに、該ビデオデータVDがメイン側通信モジュール52を介してヘッドコントローラHCに与えられる。また、ヘッドコントローラHCでは、ビデオデータVDはヘッド側通信モジュール53を介してヘッド制御モジュール54に与えられる。このヘッド制御モジュール54には、上記したように潜像形成に関連するパラメータ値を示す信号と垂直同期信号VsyncがエンジンコントローラECから与えられている。そして、これらの信号およびビデオデータVDなどに基づきヘッドコントローラHCは各色のラインヘッド29に対して素子駆動を制御するための信号を作成し、各ラインヘッド29に出力する。こうすることで、各ラインヘッド29において発光素子の作動が適切に制御されて画像形成指令に対応する潜像が形成される。
【0022】
そして、本実施形態においては、各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25および感光体クリーナ27を感光体カートリッジとしてユニット化している。また、各感光体カートリッジには、該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各感光体カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。
【0023】
現像部25は、その表面にトナーが担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0024】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0025】
また、本実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラム21の表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0026】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラ85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、後に詳述するように、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラ85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラ85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0027】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラ85のうち、カラー1次転写ローラ85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラ85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラ85Kに1次転写バイアスを印加することで、感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0028】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。また、この下流ガイドローラ86は、モノクロ1次転写ローラ85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラ85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0029】
駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラ121のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラ82と2次転写ローラ121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0030】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0031】
2次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、2つのローラ1321,1322により張られた加圧ベルト1323を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0032】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、2次転写後に転写ベルト81に残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。したがって、次に説明するようにブレード対向ローラ83が移動する場合は、ブレード対向ローラ83と一緒にクリーナブレード711及び廃トナーボックス713も移動することとなる。
【0033】
以下に、本実施形態におけるラインヘッド29を図に基づいて詳しく説明する。
図3は、本実施形態にかかるラインヘッド29の概略斜視図である。また、図4は、ラインヘッド29を副走査方向YYに切断した断面図である。
図3において、ラインヘッド29は、主走査方向XXに配列された発光素子グループ410を備えている。発光素子グループ410は、複数の発光素子411を備えている。これらの発光素子411から、図4に示したように、帯電部23(図1参照)により帯電された感光体2Yの被走査面である表面200に対して光が照射され、表面200に静電潜像が形成される。
【0034】
図3において、ラインヘッド29は、主走査方向XXを第1の方向とするケース420を備えるとともに、かかるケース420の両端には、位置決めピン421とねじ挿入孔422が設けられている。かかる位置決めピン421を、図示しない感光体カバーに穿設された位置決め孔に嵌め込むことで、ラインヘッド29が、図4に示した感光体2Yに対して位置決めされている。感光体カバーは、感光体2Yを覆うとともに感光体2Yに対して位置決めされている。また、ねじ挿入孔422を介して固定ねじを感光体カバーのねじ孔(図示省略)にねじ込んで固定することで、ラインヘッド29が感光体2Yに対して位置決め固定されている。
【0035】
図3および図4において、ケース420は、感光体2Yの表面200に対向する位置に、結像レンズが配列された2つのレンズアレイ430a,430bを重なるように保持するとともに、その内部に、レンズアレイ430a,430bに近い順番で、遮光部材440および基板としてのヘッド基板450を備えている。
ヘッド基板450は透明なガラス基板である。ヘッド基板450のうら面452(ヘッド基板450が有する2つの面のうち遮光部材440に対向するおもて面451とは逆側の面)には、複数の発光素子グループ410が設けられている。複数の発光素子グループ410は、ヘッド基板450のうら面452に、図3に示すように、主走査方向XXおよび副走査方向YYに互いに所定間隔だけ離れて2次元的に、並べて配置されている。ここで、発光素子グループ410は、図3中の円で囲んだ部分に示すように、複数の発光素子411を2次元的に配列することによって構成されている。
【0036】
本実施形態では、発光素子として有機ELを用いる。つまり、本実施形態では、ヘッド基板450のうら面452に有機ELを発光素子411として配置している。そして、複数の発光素子411のそれぞれから感光体2Yの方向に射出される光は、ヘッド基板450を介して遮光部材440へ向かう。
発光素子はLEDであってもよい。この場合、基板はガラス基板でなくてもよく、LEDは、おもて面451に設けることができる。
【0037】
図3および図4において、遮光部材440は、複数の発光素子グループ410に対して一対一で対応する複数の導光孔4410を備えている。
発光素子グループ410に属する発光素子411から射出された光は、発光素子グループ410に一対一で対応する導光孔4410によって、一対のレンズアレイ430a,430bに導かれる。そして、導光孔4410を通過した光は、二点鎖線で示すように、レンズアレイ430a,430bにより、感光体2Yの表面200にスポットとして結像されることとなる。
【0038】
図4に示すように、裏蓋470が、固定器具460によって、ヘッド基板450を介してケース420に押圧されている。固定器具460は、裏蓋470をケース420側に押圧する弾性力を有するとともに、かかる弾性力により裏蓋470を押圧することで、ケース420の内部から光が漏れないように、および、ケース420の外部から光が侵入しないように密閉している。なお、固定器具460は、図3に示すケース420の主走査方向XXに複数箇所設けられている。また、発光素子グループ410は、封止部材480により覆われている。
【0039】
図5に、レンズアレイ430aの斜視図を、図6に、レンズアレイ430aの主走査方向XXの部分断面図を示した。レンズアレイ430aの構成は、レンズアレイ430bの構成と同じである。
図6において、レンズアレイ430aは、ベース基板としてのレンズ基板431とレンズ部432とを備えている。
なお、図3におけるレンズアレイ430a,430bの固定は、レンズ基板431を固定することによって行われている。また、レンズアレイ430a,430bは、レンズ部432がヘッド基板450側に配置されている。したがって、レンズ部432の形成されている面に対向する平面が、感光体2Yに対向する位置に配置されている。
図6において、レンズ部432は、複数のレンズ433を備えている。これらのレンズ433は、以下のように配置されている。
【0040】
図4において、レンズアレイ430a,430bにそれぞれ設けられた図6のレンズ433は一対をなし、相互に図中一点鎖線で示した光軸を共通にする。また、これら一対のレンズ433は、図3に示した複数の発光素子グループ410に一対一で対向して配置されている。
各発光素子411から射出された光は、二点鎖線で示すようにレンズ433によって感光体2Yの表面200上に結像する。
【0041】
以下に、レンズアレイ430a,430bの製造方法について述べる。
図7に、レンズアレイ430a,430bの製造方法を表すフローチャート図を示した。レンズアレイ430a,430bは、レンズアレイ430a,430bを形成するための型(不図示)を用いて形成される。図7において、レンズアレイ430a,430bの製造工程は、第1の原盤を形成する工程であるステップ1(S1)と、樹脂原盤を形成する工程であるステップ2(S2)と、第2の原盤を形成する工程であるステップ3(S3)と、第3の原盤を形成する工程であるステップ4(S4)と、型を形成する工程であるステップ5(S5)とを含む。
【0042】
図8、図9には、レンズアレイ430a,430bの製造方法を表す断面図を示した。図8、図9の工程間を結ぶ矢印は、矢印の始点における原盤を矢印の終点においても同じ原盤を用いることを示す。図8(a)は、第1の原盤310を形成する工程であるステップ1(S1)を示す。(b)は、樹脂原盤320を形成する工程であるステップ2(S2)を示す。(c)は、第2の原盤320a,320b,320cを形成する工程であるステップ3(S3)を示す。(d)は、第3の原盤330を形成する工程であるステップ4(S4)を示す。図9(e)は、レンズアレイ430a,430bを形成するための型340を形成する工程であるステップ5(S5)を示す。(f)は、レンズアレイ430a,430bを形成する工程を示す。
【0043】
図8(a)において、基板300に凹型の面Q1を自由曲面加工機によって形成することによって第1の原盤310を得る。自由曲面加工機としては、5軸同時制御のものを用いることができる。
【0044】
第1の原盤310の第1の方向XXの長さは、レンズアレイ430a,430bの長さの1/3〜1/4の長さとするのが好ましい。例えば、レンズアレイ430a,430bの長さが300mmである場合、100mm程度の長さとする。
【0045】
基板300の材質としては、鉄、ステンレス、銅、ニッケル等を用いることができる。加工バイトにダイアモンドを用いる場合、基板300と炭素が反応しないものが好ましく、例えば、ニッケル、無酸素銅が好ましい。また、例えば鉄等の基材にニッケル、無酸素銅をコーティングしたものであってもよい。この場合、ニッケル等の部分を加工する。
【0046】
図10(a)〜(c)は、アライメントマークを形成する方法について説明する図である。図10(a)の第1の原盤310の凹型の面Q1の周辺における平面に、図に示すようなアライメントマークZ1を自由曲面加工機によって形成する。
【0047】
図8(b)において、第1の原盤310から射出成型により凸型の面T1を有する樹脂原盤320を形成する。この射出成型により、図10(b)の樹脂原盤320には、第1の原盤310のアライメントマークZ1が転写されてアライメントマークZ2が形成される。本実施形態では、3個の樹脂原盤320を射出成型により形成する。
【0048】
図8(c)において、3個の樹脂原盤320の破線に示す第1の方向XXの両端部分を切削加工によってそれぞれ切断する。図10(c)は、1個の樹脂原盤320の破線と実線で囲まれた第1の方向XXの両端部を切削加工によって切断して形成した1個の第2の原盤320aを示す。同様に、残りの2個の樹脂原盤320の両端部を切削加工によってそれぞれ切断して第2の原盤320b、第2の原盤320cを得る。第2の原盤320a,320b,320cは、凸型の面T1を有する。
【0049】
本実施形態では、第2の原盤320a,320b,320cの第1の方向XXの両端部を切断したが、第1の方向XXにおける片側の端部を切断してもよい。すなわち、図8(c)の第2の原盤320aは、第2の原盤320b側すなわち図面右側のみを切断し、第2の原盤320cは、第2の原盤320b側すなわち図面左側のみを切断してもよい。
【0050】
図8(d)において、基板600上で第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに並べる。基板600は、後述する電鋳による熱からの影響を少なくするため、線膨張係数が小さいステンレスが望ましい。第2の原盤320a,320b,320cの凸型の面T1が形成されている面と反対側が基板600と向き合うように並べる。並べる前に、予め、第2の原盤320a,320b,320cと基板600が接する面には、接着剤を塗布しておく。
【0051】
図8(d)において、次に、紫外線が照射されると硬化する樹脂としての紫外線硬化型樹脂を、隣接する二つの第2の原盤との隙間SK1に充填する。
【0052】
図11(a)は、図8(d)において、基板600上に並ぶ第2の原盤320a,320b,320cを示す図で、図8(d)の図面上側から見た図である。図11(a)に示すように、隣接する第2の原盤320a,320bおよび隣接する第2の原盤320b,320cとの隙間SK1をそれぞれ設けるようにして、基板600上に第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに並べる。
【0053】
基板600には、アライメントマークAMが形成されている。例えば、CCDカメラを用いて、アライメントマークAM付近を撮像し、第2の原盤320a,320b,320cのそれぞれに形成されたアライメントマークZ2の位置と、基板600に形成されたアライメントマークAMとの位置が一致するように、基板600上に第2の原盤320a,320b,320cを並べる。基板600上の第2の原盤320a,320b,320cの位置を合わせる工程は、基板600と第2の原盤320a,320b,320cとの間に塗布した接着剤が硬化しないうちに行う。
【0054】
次に、基板600とは反対側から紫外線を照射し、隙間SK1に充填した紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
【0055】
このようにして、基板600に固定され、隙間SK1に充填された紫外線硬化型樹脂により一体となった第2の原盤320a,320b,320cによって構成される図8(d)の第3の原盤330を形成する。
【0056】
図9(e)において、第3の原盤330から電鋳によりニッケルの層を形成し、凹型の面Q2を有する型340を形成する。
【0057】
図9(f)において、型340を用いて、レンズ433(図5、図6参照)を形成するレンズ433を有するレンズアレイ430a,430bを射出成型によって形成する。
【0058】
型340における凹型の面Q2は、第1の方向XXと、第1の方向XXと垂直方向に並んで2次元に配置されている。型340における凹型の面Q2が第1の方向XXに並ぶ間隔と、第1の方向XXと垂直方向に並ぶ間隔は、第1の原盤310における凹型の面Q1が第1の方向XXに並ぶ間隔と、第1の方向XXと垂直方向に並ぶ間隔と同じである。従って、第1の原盤310における複数の凹型の面Q1と、型340における複数の凹型の面Q2とは位置がそれぞれ対応している。
【0059】
図11(b)は、型340を示す図である。図の破線Lに示す範囲は、第3の原盤330が転写された範囲を示す。図8(d)の第3の原盤330の隙間SK1に充填された紫外線硬化型樹脂が収縮した場合には、図11(a)の第3の原盤330の隙間SK1に凹状の溝部が形成されるので、電鋳により、第3の原盤330から形成した型340には、断面が凸状の筋SJ1が形成される。
【0060】
図11(c)は、レンズアレイ430a(430b)を示す。型340に形成された凸状の筋SJ1が電鋳により転写されるので、レンズアレイ430a(430b)には、断面が凹状の筋SJ2が形成される。
【0061】
反対に、隙間SK1に紫外線硬化型樹脂を充填し、紫外線硬化型樹脂が隙間SK1より盛り上がった場合には、レンズアレイ430a(430b)には断面が凸状の筋SJ2が形成される。
【0062】
以上、本実施形態で説明したレンズアレイ430a,430bを形成するための型の製造方法は、第1の方向XXに凹型の面Q1が形成された第1の原盤310を機械加工により形成する工程と、第1の原盤310から射出成型により凸型の面T1が形成された樹脂原盤320を形成する工程と、樹脂原盤320の第1の方向XXの端部を切断して第2の原盤320a,320b,320cを形成する工程と、第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに配設して第3の原盤330を形成する工程と、第3の原盤330から電鋳により型340を形成する工程と、を含む(図8、図9参照)。
【0063】
本実施形態の製造方法によれば、樹脂原盤320が射出成型により第1の原盤310から形成されており、第1の原盤310と同じ面形状精度、表面粗さを備えた樹脂原盤320が得られる。樹脂原盤320の第1の方向XXにおける端部を切り取った第2の原盤320a,320b,320cは、第1の原盤310と同じ面形状精度、表面粗さを備えている。第3の原盤330は、3個の第2の原盤320a,320b,320cを第1の方向XXに並べて形成されており、第2の原盤320a,320b,320cと同じ面形状精度、表面粗さを備えている。レンズアレイ430a,430bを形成するための型340は、第3の原盤330から電鋳により得られる。これにより、型340は、第2の原盤320a,320b,320cの面形状精度、表面粗さが転写されている。したがって、本実施形態のレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法によれば、面形状精度、表面粗さが、第1の原盤310と同等である。
【0064】
また、第1の原盤310は第1の方向XXの長さに対して短いので、第1の原盤310を形成する基板300も短くてすみ、機械加工に要する時間を短縮することができる。また、機械加工で工具等の交換も必要も少なくなる。したがって、レンズの位置精度が確保されたレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法が得られる。
【0065】
また、本実施形態のレンズアレイ430a,430bの型340における凹型の面Q2は、2次元に配置するように製造する。
これにより、第1の方向XXの複数列のレンズ433を備えたレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法が得られる。
【0066】
また、上記レンズアレイ430a,430bの型の製造方法であって、第2の原盤320a,320b,320cには、レンズ433の位置に対応したアライメントマークZ2(図10(c)参照)が設けられ、図11(a)の第3の原盤330は、第2の原盤320a,320b,320cをアライメントマークZ2にしたがって隙間SK1を空けて並べて形成する。
【0067】
これにより、第2の原盤320a,320b,320cをアライメントマークZ2にしたがって並べるので、それぞれの第2の原盤320a,320b,320cの凸型の面T1の位置合わせが行いやすい。また、第2の原盤320a,320b,320c間に隙間SK1を空けることによって、位置合わせ時に遊びが生じ、より位置合わせが行いやすい。したがって、レンズ433の位置精度が確保されたレンズアレイ430a,430bの型340の製造方法が得られる。
【0068】
また、図11(a)の隙間SK1を樹脂で埋める。
これにより、第2の原盤320a,320b,320c間の隙間SK1を樹脂で埋めることにより、第2の原盤320a,320b,320cが一体として形成される。
【0069】
また、本実施形態では、カラー画像形成装置に適用されているが、適用対象はこれに限定されるものではなく、いわゆる単色画像を形成するモノクロ画像形成装置に対しても適用することができる。
【0070】
さらに、乾式のトナーだけでなく、トナー粒子を不揮発性液体キャリアに分散させた液体トナーを用いた画像形成装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】ラインヘッドの概略斜視図。
【図4】ラインヘッドを副走査方向に切断した断面図。
【図5】レンズアレイの斜視図。
【図6】レンズアレイの主走査方向の部分断面図。
【図7】レンズアレイの製造方法を表すフローチャート図。
【図8】レンズアレイの製造方法を表す断面図。
【図9】レンズアレイの製造方法を表す断面図。
【図10】アライメントマークを形成する方法について説明する図。
【図11】(a)は、基板上に並ぶ第2の原盤を示す図、(b)は、型を示す図、(c)は、レンズアレイを示す図。
【符号の説明】
【0072】
29…ラインヘッド、310…第1の原盤、320…樹脂原盤、320a,320b,320c…第2の原盤、330…第3の原盤、340…型、410…発光素子グループ、433…レンズ、430a,430b…レンズアレイ、450…ヘッド基板、Z2…アライメントマーク、Q1,Q2…凹型の面、SK1…隙間、T1…凸型の面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に凹型の面が形成された第1の原盤を機械加工により形成する工程と、
前記第1の原盤から射出成型により凸型の面が形成された樹脂原盤を形成する工程と、
前記樹脂原盤の前記第1の方向の端部を切断して第2の原盤を形成する工程と、
前記第2の原盤を前記第1の方向に配設して第3の原盤を形成する工程と、
前記第3の原盤から電鋳により型を形成する工程と、
を含むことを特徴とするレンズアレイの型の製造方法。
【請求項2】
前記第2の原盤は、アライメントマークが設けられるとともに、
前記第3の原盤を形成する工程は、前記第2の原盤を前記アライメントマークにしたがって前記第2の原盤間に隙間を設けて配設して形成する請求項1に記載のレンズアレイの型の製造方法。
【請求項3】
前記隙間を樹脂で埋める請求項2に記載のレンズアレイの型の製造方法。
【請求項4】
前記第1の原盤の凹型の面は、2次元に配設されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレンズアレイの型の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレンズアレイの型の製造方法で製造されたレンズアレイの型を用いて成形したことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項6】
請求項5に記載のレンズアレイと、
前記レンズアレイのレンズで結像される光を発光する2個以上の発光素子が設けられたヘッド基板と、を備えたことを特徴とするラインヘッド。
【請求項1】
第1の方向に凹型の面が形成された第1の原盤を機械加工により形成する工程と、
前記第1の原盤から射出成型により凸型の面が形成された樹脂原盤を形成する工程と、
前記樹脂原盤の前記第1の方向の端部を切断して第2の原盤を形成する工程と、
前記第2の原盤を前記第1の方向に配設して第3の原盤を形成する工程と、
前記第3の原盤から電鋳により型を形成する工程と、
を含むことを特徴とするレンズアレイの型の製造方法。
【請求項2】
前記第2の原盤は、アライメントマークが設けられるとともに、
前記第3の原盤を形成する工程は、前記第2の原盤を前記アライメントマークにしたがって前記第2の原盤間に隙間を設けて配設して形成する請求項1に記載のレンズアレイの型の製造方法。
【請求項3】
前記隙間を樹脂で埋める請求項2に記載のレンズアレイの型の製造方法。
【請求項4】
前記第1の原盤の凹型の面は、2次元に配設されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレンズアレイの型の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレンズアレイの型の製造方法で製造されたレンズアレイの型を用いて成形したことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項6】
請求項5に記載のレンズアレイと、
前記レンズアレイのレンズで結像される光を発光する2個以上の発光素子が設けられたヘッド基板と、を備えたことを特徴とするラインヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−42633(P2010−42633A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209521(P2008−209521)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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