説明

ラコサミドの合成のための方法

出発物質としてDL−セリンを用いるラコサミドの合成のための新規の方法を記載する。ここで、ヒドロキシルのメチル化は、NaOHのような安価な塩基と、p−トルエンスルホン酸メチルのような安価、無毒性、非発がん性のアルキル化剤を用いて実施される。アセトアミドの選択的加水分解、キラルな酸(HX*)によるラセミ混合物の塩への変換、好ましくはRエナンチオマーの沈殿によるジアステレオ異性体混合物の分割、および引き続く光学的に純粋な中間体のアセチル化によって、ラコサミドのラセミ混合物からRエナンチオマーを単離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記の構造式Iで表わされる(2R)−2−(アセチルアミノ)−N−ベンジル−3−メトキシプロパンアミドの調製のための新規な方法に関する。構造式Iの化合物は、ラコサミドの名称で知られ、神経病の治療に用いられる活性成分である。
【0002】
【化1】

【0003】
本発明の方法は、DL−セリンメチルエステル、すなわち下記の構造式IIを有する分子から出発して実施される。構造式IIの分子は、好ましくは塩酸塩の形態で用いられる
【0004】
【化2】

【0005】
あるいはまた、本発明の方法は、DL−セリンメチルエステルのアセトアミド、すなわち下記の構造式IIIを有する分子から出発して実施される。
【0006】
【化3】

【背景技術】
【0007】
ラコサミドは、疼痛の治療において、および神経系の種々の病気、中でもてんかんの治療に用いられる活性成分である。その作用機構は完全に明確ではないが、ラコサミドは、ニューロンのナトリウムチャネルに作用して、その活性を低下させると思われる。さらに、ラコサミドは、損傷したニューロンの修復に関与するものと考えられる。
【0008】
当該製品は、米国再発行特許第RE38511号の明細書および特許請求の範囲に記載されている(特許文献1参照)。当該文献には、D−セリンを出発物質として用い、ヨウ化メチルおよび酸化銀をOHのメチル化に用いる3種の異なる方法が記載されている。
【0009】
ラコサミドの合成のための代替法は、国際公開第2006/037574号パンフレットに記載されているものであり、N−Bocにより保護されたD−セリンから出発して、ブチルリチウムおよびアルキル化剤を用いてヒドロキシル基のメチル化反応を実施している(特許文献2参照)。
【0010】
さらなる代替合成法は、欧州特許出願公開第2067765号明細書に示されており、本方法では、ヒドロキシル基のメチル化の前に、アミノ基をトリチルのような嵩高い基で保護している(特許文献3参照)。
【0011】
上記の調製方法のすべては、D−セリンを出発物質として用い、生成物のラセミ化を最小限にする目的のために、酸化銀またはブチルリチウムまたは嵩高い保護基のような高価な試薬を用いている。
【0012】
その理由は、これまでにラコサミドのラセミ混合物の分割のための方法が開発されておらず、かつRエナンチオマーの精製が極度に困難であると記載されている事実にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国再発行特許第RE38511号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/037574号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第2067765号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、DL−セリンを出発物質として用いるラコサミドの新規合成法に関し、当該方法においては、ヒドロキシル基のメチル化は、NaOHのような安価な塩基およびp−トルエンスルホン酸メチルのような、安価、無毒性、および非発がん性のアルキル化剤を用いて実施され、Rエナンチオマーは、ラコサミドのラセミ混合物から、アセトアミドの選択的加水分解、有機溶媒中でのキラルな酸(HX*)によるラセミ混合物の塩への変換、ジアステレオ異性体混合物の分割(好ましくは、Rエナンチオマーの沈殿による)、および引き続く光学的に純粋な中間体のアセチル化を経て、単離される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】キラルな酸HX*が2−(S)−クロロマンデル酸である場合に関して、本発明の方法の完全なスキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、好ましくは塩酸塩の形態にある、式IIを有するDL−セリンメチルエステルを出発物質として用いるラコサミドの新規合成に関する。式IIを有するDL−セリンメチルエステルは、広範に記載された方法によってDL−セリンから容易に得ることができる。
【0017】
【化4】

【0018】
式IIの生成物は、以下のスキームに基づいて、最初にベンジルアミンを用い、引き続いて無水酢酸(またはアセチルハライド、好ましくは塩化アセチル、または混合酸無水物を用いる)を用いる反応により、式Vを有する生成物に変換される。
【0019】
第1の反応は、好ましくは、直接ベンジルアミン(2〜10当量)中または非プロトン性極性溶媒(たとえばTHFのようなもの)中で、0℃と還流温度との間、好ましくは30〜40℃の温度で実施される。第2の反応は、非プロトン性極性溶媒(たとえばTHFのようなもの)中、好ましくは10℃と40℃との間、好ましくは15℃と30℃との間、さらにより好ましくは20℃と25℃との間で、化合物IVを無水酢酸と反応させることにより実施される。
【0020】
あるいはまた、市場で入手可能な式IIIを有するDL−セリンメチルエステルのアセトアミドから、ベンジルアミンとの反応により化合物Vを調製することもできる。この場合にも同様に、反応は、直接ベンジルアミン(2〜10当量)中または適切な溶媒中、好ましくは非プロトン性極性溶媒(たとえばTHFのようなもの)中で、0℃と溶媒の還流温度との間、好ましくは約65℃の温度で実施される。
【0021】
化合物Vは、分子内に存在するヒドロキシル基をメチル化することによって、化合物VIへと変換される。
【0022】
メチル化反応は、適当な有機溶媒中に化合物Vを溶解させ、それを、有機塩基または無機塩基の存在下、20℃と40℃との間、好ましくは30℃と35℃との間の温度において、アルキル化剤と接触させることによって実施される。有機溶媒は、好ましくは非プロトン性極性溶媒(たとえばTHFのようなもの)である。アルキル化剤は、好ましくは、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、メチルメシレートおよびパラ−トルエンスルホン酸メチルの中から選択され、好ましくはパラ−トルエンスルホン酸メチルである。有機塩基は、好ましくはNR123の第3級アミン類から選択され、式中、同一または互いに異なるものであるR1、R2およびR3は、直鎖または分枝のC1−C4のアルキル鎖であり、好ましい第3級アミンはトリエチルアミンである。無機塩基は、好ましくは、KOHまたはNaOHのような、アルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物である。
【0023】
無機塩基は水溶液中で用いることができる。無機塩基を使用する場合、反応を加速するために相間移動触媒を併用することが好ましい。相間移動触媒は、好ましくは、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、塩素、臭素またはヨウ素を対イオンとして有するテトラブチルアンモニウムの塩である。
【0024】
ラセミ体のラコサミドである化合物VIは、無機鉱酸(好ましくはHCl)を含む好ましくは0と2との間のpHの水溶液中での加水分解によって、化合物VIIへと変換される。この加水分解反応は、好ましくは、還流温度において実施される。次に、化合物VIIは、酸の中和後に、有機溶媒、好ましくは非プロトン性非極性溶媒(たとえばCH2Cl2、CHCl3またはC24Cl2のようなもの)中に抽出される。
【0025】
【化5】

【0026】
次いで、化合物VIIは、キラルな酸(HX*)との塩VIIIとして沈殿される。キラルな酸は、好ましくはD(たとえば、ジベンゾイル酒石酸、酒石酸、カンファースルホン酸、マンデル酸、2−クロロマンデル酸、3−クロロマンデル酸、4−クロロマンデル酸のようなもの)である。本発明の目的において、キラルな酸は、好ましくは2−クロロマンデル酸であり、さらにより好ましくは2−(S)−クロロマンデル酸である。キラルな酸は、0.5当量と1.5当量との間の量で用いられる。好ましくは、沈殿は非プロトン性極性有機溶媒(たとえば酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルのようなもの、さらにより好ましくは酢酸イソプロピル)中で実施される。塩VIIIは、ジアステレオ異性体混合物として、この溶媒から定量的に沈殿する。次いで、塩VIIIは、一方のエナンチオマーのみ(好ましくは所望されるエナンチオマーIX単独)の選択的沈殿を可能にする適当な溶媒混合物中にさらに溶解される。そのような溶媒混合物は、非プロトン性有機溶媒とプロトン性溶媒とで構成される。非プロトン性有機溶媒は、好ましくは、THF、メチル−THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピルの中から選択される。しかしながら、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルのような非プロトン性極性有機溶媒が好ましい。一方、プロトン性溶媒は、好ましくはC1−C4アルコール(たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール)および水から選択される。好ましくは、酢酸エチルとエタノールとの混合物が用いられる。本発明のさらに好ましい態様によれば、プロトン性溶媒の1体積あたり10〜40体積の非プロトン性有機溶媒が用いられる。
【0027】
【化6】

【0028】
化合物IXを、アシル化剤の存在下、適当な有機溶媒(好ましくは非極性非プロトン性、さらにより好ましくはエーテル)中、化合物IXに対して0質量%と50質量%との間(好ましくは5質量%と20質量%との間)の量の水の存在下、アセチル化して、ラコサミドを得る。本発明の目的のために、C2〜C8エーテル類(たとえば、メチルtert-ブチルエーテルのようなもの)が好ましい。無水酢酸が好ましいアシル化剤であり、代替的にアセチルハライド(好ましくは塩化アセチル)を用いることができる。アシル化反応は、好ましくは0℃と40℃との間、好ましくは0℃と25℃との間で実施することができる。
【0029】
本発明のさらなる態様は、式VIIIおよびIXの塩によって表わされる。
【0030】
【化7】

【0031】
式中、HX*は前述の意味を有し、本発明の好ましい態様において、2−(S)−クロロマンデル酸である。
【0032】
本発明の方法の完全なスキームを、キラルな酸HX*が2−(S)−クロロマンデル酸である場合を示す図1に示す。
【実施例】
【0033】
(実施例1) IIIを出発物質とするVの合成

メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計を備え、窒素雰囲気下に配置された1リットルの反応容器中に、100gの化合物IIIおよび332gのベンジルアミンを充填する。混合物を65℃に加熱し、攪拌しながら、この温度を12時間にわたって維持する。減圧下で蒸留して、過剰のベンジルアミンを除去する。約55〜60℃に冷却し、50mLのTHFを添加する。次いで、20℃まで冷却し、得られた固形物を濾取し、減圧下、40℃で乾燥する。123.2gの化合物Vが得られる(84%モル収率)。
【0034】
(実施例2) VからVIの合成

メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計を備え、窒素雰囲気下に配置された3リットルの反応容器中に、148gの化合物V、7.4gのテトラブチルアンモニウムサルフェート、740mLのTHF、350gのパラトルエンスルホン酸メチル、440gの20%水酸化ナトリウムを充填する。得られた混合物を35℃に加熱し、攪拌しながら、この温度を4時間にわたって維持する。次に、20〜25℃に冷却し、165gの28%水酸化アンモニウムを添加する。5℃に冷却し、塩酸を用いてpHを7に調整する。
【0035】
減圧蒸留してTHFを除去し、1リットルの水を用いて希釈する。
【0036】
500mLのジクロロメタンを用いて4回にわたって抽出し、次いで有機相を合わせて、小体積になるまで蒸留する。ジクロロメタンを600mLの酢酸イソプロピルで置換する。得られた懸濁液を濾過し、得られる固形物を酢酸イソプロピルで洗浄し、減圧下40℃において乾燥する。115gの化合物VIが得られる(73%モル収率)。
【0037】
(実施例3) VIからVIIIの合成

メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計を備え、窒素により不活性化された2リットルの反応容器中に、63.5gの化合物VI、850mLの水および65gの37%HClを充填する。得られた混合物を加熱して還流させ、攪拌しながら、この温度を6時間にわたって維持し、次に20〜25℃に冷却する。30%水酸化ナトリウムを用いて、pHを11.5±0.5にする。得られる混合物を、300mLのジクロロメタンを用いて2回にわたって抽出する。合わせた有機相を小体積になるまで濃縮し、300mLの酢酸エチルおよび35gの2−(S)−クロロマンデル酸を添加する。溶媒の半分を留去し、攪拌しながら、沈殿が完了するまで室温で放置する。固形物を濾取し、減圧下40℃で乾燥する。84.3gのジアステレオ異性体混合物VIIIが得られる(84.1%モル収率)。
【0038】
(実施例4) IXを得るためのジアステレオ異性体混合物VIIIの分割
【0039】
【化8】

【0040】
メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計を備え、窒素雰囲気下に配置された5リットルの反応容器中に、120gのラセミのジアステレオ異性体混合物VIII、3.5リットルの酢酸エチル、および300mLのエタノールを充填する。完全に溶解するまで加熱し、20℃までゆっくりと冷却し、攪拌しながら5時間にわたってこの温度に維持する。得られる固形物を濾取および乾燥する。61gの化合物IXが得られる(ラセミ化合物に基づいて37%モル収率)。
【0041】
(実施例5) IXからIの合成
【0042】
メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計を備え、窒素で不活性化された1リットルの反応容器中に、35gの化合物VIII、700mLのメチルtert-ブチルエーテルおよび5mLの水を充填する。10〜15℃に冷却し、反応混合物中に10gの無水酢酸を滴下する。攪拌しながら2時間にわたって室温に維持し、得られる固体を濾取し、当該固体を減圧下40℃で乾燥する。19.5gのラコサミドが得られる(88%モル収率)
【0043】
(実施例6) IIからVの合成
【0044】
メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計を備え、窒素で不活性化された1リットルの反応容器中に、100gの化合物II、および330gのベンジルアミンを充填する。混合物を35℃に加熱し、攪拌しながら、この温度を22時間にわたって維持する。減圧下で蒸留してベンジルアミンを除去し、1.2リットルのTHFを添加する。清澄な溶液が得られるまで加熱し、ゆっくりと室温まで冷却する。固体を濾別し、得られる溶液に対して65gの無水酢酸をゆっくりと添加する。半分の体積まで濃縮し、ゆっくりと0〜5℃まで冷却する。得られる固体を濾取し、減圧下40℃で乾燥する。106gの化合物Vが得られる(70%モル収率)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程:
(a) 式Vの化合物
【化1】

のヒドロキシメチル化により、式VIの化合物
【化2】

を得る工程;
(b) 式VIの化合物の加水分解により、式VIIの化合物
【化3】

を得る工程;
(c) 有機溶媒中でのキラルな酸(HX*)による式VIIの化合物の塩への変換により、ジアステレオ異性体混合物VIII
【化4】

を得る工程;
(d) ジアステレオ異性体混合物VIIIの分割により、塩IX
【化5】

を得る工程:
(e) 塩IXからラコサミドへの変換
の1つまたは複数を含むことを特徴とするラコサミドの合成のための方法。
【請求項2】
ヒドロキシメチル化(a)を、塩基の存在下で式Vの化合物をアルキル化剤と反応させることによって実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルキル化剤が、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、メチルメシレート、パラトルエンスルホン酸メチルから選択され、好ましくはパラトルエンスルホン酸メチルであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基は、有機塩基および/または無機塩基であり、該有機塩基は、好ましくは式NR123(式中、R1、R2またはR3は、同一または異なり、直鎖または分枝のアルキル鎖である)、より好ましくはトリエチルアミンであり、該無機塩基は、好ましくはアルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物であり、より好ましくはKOHまたはNaOHであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ヒドロキシメチル化(a)を、20℃と40℃との間の温度、好ましくは30℃と35℃との間の温度で実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ヒドロキシメチル化(a)を、非プロトン性極性溶媒中、好ましくはTHF中で実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
加水分解(b)を、鉱酸、好ましくは塩酸の存在下で実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒が非プロトン性極性有機溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記キラルな酸(HX*)が、ジベンゾイル酒石酸、酒石酸、カンファースルホン酸、マンデル酸、2−クロロマンデル酸、3−クロロマンデル酸、4−クロロマンデル酸から選択され、好ましくは2−(S)−クロロマンデル酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記キラルな酸(HX*)は、0.5当量と1.5当量との間の量で用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記非プロトン性極性有機溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランから選択され、好ましくは酢酸イソプロピルであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ジアステレオ異性体混合物VIIIの分割(d)を、少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒と少なくとも1種のプロトン性溶媒との混合物からの沈殿によって実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の非プロトン性有機溶媒が、THF、メチルTHF、酢酸エチル、酢酸イソプロピルから選択され、より好ましくは酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルであり、および/または前記少なくとも1種のプロトン性溶媒が、水およびC1−C4アルコール類、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、およびs−ブタノールから選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物が酢酸エチルおよびエタノールからなることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
プロトン性溶媒1体積あたり10〜40体積の非プロトン性有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(e)を、少なくとも1種の有機溶媒中でアシル化剤の存在下で実施され、該有機溶媒は、好ましくは非極性非プロトン性溶媒であり、任意選択的に水と混合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記アシル化剤は、無水酢酸またはアセチルハライドであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(e)を、0℃と40℃との間の温度、好ましくは20℃と25℃との間の温度で実施することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種の有機溶媒はエーテルであり、好ましくはC2−C8エーテルであり、さらにより好ましくはメチルtert-ブチルエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記水は、化合物IXに対して0質量%と50質量%との間、好ましくは5質量%と20質量%との間の量で存在することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
化合物Vが、
(aa) ベンジルアミンによる式II
【化6】

の化合物のアミド化により、式IV
【化7】

の化合物を得る工程;
(bb) 得られる式IVの化合物のアシル化により、式V
【化8】

の化合物を得る工程;または
(cc) 式III
【化9】

の化合物のアミド化により、式V
【化10】

の化合物を得る工程、
により得られることを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
ベンジルアミンは2〜10当量の量であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程(aa)を、0℃と溶媒の還流温度との間、好ましくは30℃と40℃との間の温度で実施し;工程(bb)を、10℃と40℃との間、好ましくは15℃と30℃との間、より好ましくは20℃と25℃との間の温度で実施し;および/または工程(cc)を、0℃と溶媒の還流温度との間の温度、好ましくは65℃において実施することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
工程(aa)を、ベンジルアミン中、または非プロトン性極性溶媒中、好ましくはTHF中で実施し;工程(bb)を、非プロトン性極性溶媒、好ましくはTHF中で、無水酢酸、混合酸無水物、およびまたはアセチルハライド、好ましくは塩化アセチルの存在下で実施し;および/または工程(cc)を、ベンジルアミン中、または非プロトン性極性溶媒中、好ましくはTHF中で実施することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
式VIII
【化11】

(式中、HX*は、前述の通りの意味である)を有することを特徴とする塩。
【請求項26】
式XI
【化12】

(式中、HX*は、前述の通りの意味である)を有することを特徴とする塩。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518092(P2013−518092A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550525(P2012−550525)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/056014
【国際公開番号】WO2011/092559
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(511159934)ユーティカルズ ソシエタ ペル アチオニ (4)
【Fターム(参考)】