説明

ラジエータファンシュラウド構造

【課題】 ラジエータの冷却効果を上げることができるラジエータファンシュラウド構造を提供する。
【解決手段】 ラジエータ2の前面において、正面視矩形状の内部空間30を有するファンシュラウド3を設けるとともに、ファンシュラウド3の内部空間30の4つの隅部に案内板4〜7を配置する。内部空間30の各隅部においては、空気の流れ(気流)が各案内板4〜7に当たり、これにより、気流が各案内板4〜7により案内されて、内部空間30の隅部にまで導かれる。これにより、ラジエータ2全面に風を当てることができるようになり、ラジエータの冷却効果を上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータファンシュラウド構造に関し、詳細には、ラジエータの冷却効果を向上させるための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車やフォークリフト等の産業車両のエンジンには、ラジエータが設けられており、ラジエータには、ファンにより発生した気流をラジエータに導くことにより、ラジエータを冷却するための導風装置であるファンシュラウドが設けられている。
【0003】
ファンシュラウドは、例えば、特開2004−358996号公報の図1および図2に示すように、薄い箱形形状を有しており、その内部空間は、正面視矩形状の形状を有している。このため、ファンにより発生した気流は、ファンシュラウドの内部空間の隅部には届きにくくなっており、その結果、ラジエータに当たる風に偏りが生じている。したがって、従来のラジエータファンシュラウド構造では、ラジエータの冷却効果を上げるにも限界がある。
【特許文献1】特開2004−358996号公報(図1および図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ラジエータの冷却効果を上げることができるラジエータファンシュラウド構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に係るラジエータファンシュラウド構造は、ラジエータに対向配置され、正面視矩形状の内部空間を有するファンシュラウドを備えており、ファンシュラウドの内部空間の隅部には、当該隅部に空気の流れを案内して導くための案内板が配置されている。
【0006】
請求項1の発明によれば、ファンにより発生した気流は、ファンシュラウドの内部空間の隅部に配置された案内板に当たって当該案内板により案内されることで、内部空間の隅部にまで導かれる。これにより、ラジエータ全面に風を当てることができるようになり、ラジエータの冷却効果を上げることができる。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1において、案内板が、内部空間の一辺に沿う向きに配置されている。
【0008】
請求項3の発明では、請求項1において、案内板が、内部空間において対角線上に配置された2つの隅部に設けられている。
【0009】
請求項4の発明では、請求項1において、案内板が、内部空間の4つの隅部に設けられている。
【0010】
請求項5の発明では、請求項3または4において、対角線上に配置された2つの隅部における案内板の組合せが、同じ向きに配置されている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、正面視矩形状の内部空間を有するファンシュラウドをラジエータに設け、ファンシュラウドの内部空間の隅部に空気の流れを案内して導くための案内板を当該内部空間の隅部に配置するようにしたので、ファンにより発生した気流をファンシュラウドの内部空間の隅部の案内板に当てて当該案内板により内部空間の隅部にまで導くことができ、これにより、ラジエータ全面に風を当てることができるようになって、ラジエータの冷却効果を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明の一実施例によるラジエータファンシュラウド構造を説明するための図であって、図1はラジエータファンシュラウド構造体の全体斜視図、図2は図1の正面概略図であって、ファンによる気流の流れを併せて示す図である。
【0013】
図1および図2に示すように、ラジエータファンシュラウド構造体1は、車両の機台側部材(図示せず)に取り付けられるラジエータ2と、その前面側(各図紙面手前側)に配置されるファンシュラウド3とを有している。
【0014】
ファンシュラウド3は、薄い箱状の部材であって、正面視矩形状の内部空間30を有している。ファンシュラウド3は、前面パネル31を有しており、前面パネル31の中央には、円形状の開孔31aが形成されている。また、前面パネル31に対向してファン(図示せず)が設けられている。
【0015】
内部空間30内の4つの隅部には、各隅部に空気の流れを案内して導くための案内板4〜7が設けられている。これらの案内板4〜7は、ファンシュラウド3の前面パネル31の裏面(つまり内面)に溶接またはボルトにより固着されている。
【0016】
案内板4、5は、ファンシュラウド3の一辺(ここでは長辺)3A、3A’に沿う向きに配設されており、案内板6、7は、ファンシュラウド3の一辺(ここでは短辺)3B、3B’に沿う向きに配設されている。
【0017】
また、図1および図2中、参照符号20、21は、それぞれエンジン冷却水が導入/導出される配管である。
【0018】
上述のように構成されるラジエータファンシュラウド構造体1においては、ファンが回転すると、ファンシュラウド3の中央の開孔3a内において、図2矢印W方向に回転する空気の流れ(気流)が生じる。
【0019】
このとき、内部空間30の隅部においては、気流が各案内板4〜7に当たり、これにより、気流が各案内板4〜7により案内されて、内部空間30の隅部にまで導かれる。これにより、ラジエータ2全面に風を当てることができるようになり、ラジエータの冷却効果を上げることができる。
【0020】
なお、前記実施例では、案内板がファンシュラウドの内部空間の4つの隅部に設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図3および図4に示すように、案内板は、ファンシュラウドの内部空間において対角線上に配置された2つの隅部に設けるようにしてもよい。
【0021】
図3に示す例では、ファンシュラウド3の長辺3A、3A’に沿う案内板4、5のみが設けられており、図4に示す例では、ファンシュラウド3の短辺3B、3B’に沿う案内板6、7のみが設けられている。なお、各例においては、対角線上に配置された各案内板がいずれも同じ向きに配設されているが、互いに異なる向きに配設されていてもよい。
【0022】
本発明によるラジエータファンシュラウド構造は、フォークリフト等の産業車両のみならず、自動車にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例によるラジエータファンシュラウド構造体の全体斜視図である。
【図2】図1の正面概略図であって、ファンによる気流の流れを併せて示している。
【図3】本発明の他の実施例によるラジエータファンシュラウド構造体の正面概略図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例によるラジエータファンシュラウド構造体の正面概略図である。
【符号の説明】
【0024】
1: ラジエータファンシュラウド構造体

2: ラジエータ

3: ファンシュラウド
30: 内部空間
3A、3A’: 長辺
3B、3B’: 短辺

4〜7: 案内板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータファンシュラウド構造であって、
ラジエータに対向配置され、正面視矩形状の内部空間を有するファンシュラウドを備え、
前記ファンシュラウドの前記内部空間の隅部には、当該隅部に空気の流れを案内して導くための案内板が配置されている、
ことを特徴とするラジエータファンシュラウド構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記案内板が、前記内部空間の一辺に沿う向きに配置されている、
ことを特徴とするラジエータファンシュラウド構造。
【請求項3】
請求項1において、
前記案内板が、前記内部空間において対角線上に配置された2つの隅部に設けられている、
ことを特徴とするラジエータファンシュラウド構造。
【請求項4】
請求項1において、
前記案内板が、前記内部空間の4つの隅部に設けられている、
ことを特徴とするラジエータファンシュラウド構造。
【請求項5】
請求項3または4において、
対角線上に配置された2つの隅部における前記案内板の組合せが、同じ向きに配置されている、
ことを特徴とするラジエータファンシュラウド構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−933(P2010−933A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161914(P2008−161914)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】