説明

ラジエータ温風巻込防止構造

【課題】 本発明は、ラジエータを通過して温風となった空気がラジエータの前面に回り込むのを防止するためのラジエータ温風巻込防止構造に関し、ラジエータを通過して温風となった空気がラジエータの前面に回り込むのを従来より大幅に低減することを目的とする。
【解決手段】 エンジンファンの前方に配置されるラジエータの側面とキャブフロアパネルとの間の間隙部に、前記ラジエータを通過して温風となった空気が前記ラジエータの前面に回り込むのを防止する巻込防止部材を配置してなるラジエータ温風巻込防止構造において、前記エンジンファンの羽根部材が上方から下方に向けて通過する側の前記間隙部に、前記エンジンファンの前後方向に延在する前後方向巻込防止部材を配置してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータを通過して温風となった空気がラジエータの前面に回り込むのを防止するためのラジエータ温風巻込防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トラック等のキャブオーバ型車両では、チルト式キャブのキャブフロアパネルの下側に、ラジエータ、エンジンファン、エンジン等が配置されている。
図6は、キャブフロアパネル1の下側を示しており、ラジエータ2の前方には、インタークーラ3が配置されている。そして、ラジエータ2の後方には、エンジン4が配置されている。エンジン4とラジエータ2との間には、エンジン4により回転駆動されるエンジンファン5が配置されている。エンジンファン5の前側には、エンジンファン5を覆ってファンシュラウド6が配置されている。
【0003】
そして、ラジエータ2の側面とキャブフロアパネル1との間の間隙部には、ラジエータ2を通過して温風となった空気がラジエータ2の前面に回り込むのを防止する径方向巻込防止部材7が配置されている。この径方向巻込防止部材7は、ラジエータ2の側面とキャブフロアパネル1との間の間隙部を遮蔽するように、エンジンファン5の径方向に延在して配置されている。
【特許文献1】実開昭61−6622号公報
【特許文献2】実開平3−118223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の径方向巻込防止部材7では、ラジエータ2を通過して温風となった空気がラジエータ2の前面に回り込むのを確実に防止することが困難であるという問題があった。
本発明者は、かかる従来の問題を解決すべく鋭意研究した結果、図7に示すように、エンジンファン5の羽根部材8が上方から下方に向けて通過する側の間隙部からの回り込みが、反対側の間隙部からの回り込みに比較して大幅に大きいことを見出した。なお、図7では、エンジンファン5の羽根部材8が左回転しており、図の左側の間隙部からの回り込みが大きくなる。
【0005】
本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、ラジエータを通過して温風となった空気がラジエータの前面に回り込むのを従来より大幅に低減することができるラジエータ温風巻込防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のラジエータ温風巻込防止構造は、エンジンファンの前方に配置されるラジエータの側面とキャブフロアパネルとの間の間隙部に、前記ラジエータを通過して温風となった空気が前記ラジエータの前面に回り込むのを防止する巻込防止部材を配置してなるラジエータ温風巻込防止構造において、前記エンジンファンの羽根部材が上方から下方に向けて通過する側の前記間隙部に、前記エンジンファンの前後方向に延在する前後方向巻込防止部材を配置してなることを特徴とする。
【0007】
請求項2のラジエータ温風巻込防止構造は、請求項1記載のラジエータ温風巻込防止構造において、前記前後方向巻込防止部材を、前記ラジエータに固定してなることを特徴とする。
請求項3のラジエータ温風巻込防止構造は、請求項1または請求項2記載のラジエータ温風巻込防止構造において、前記間隙部に、前記エンジンファンの径方向に延在する径方向巻込防止部材を配置してなることを特徴とする。
【0008】
請求項4のラジエータ温風巻込防止構造は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のラジエータ温風巻込防止構造において、前記前後方向巻込防止部材を上下に2分割し、その間に、前記ラジエータの前方に配置されるインタークーラのホース部材を配置してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のラジエータ温風巻込防止構造では、エンジンファンの前方に配置されるラジエータの側面とキャブフロアパネルとの間の間隙部のエンジンファンの羽根部材が上方から下方に向けて通過する側の間隙部に、エンジンファンの前後方向に延在する前後方向巻込防止部材を配置したので、ラジエータを通過して温風となった空気がラジエータの前面に回り込むのを従来より大幅に低減することができる。
【0010】
請求項2のラジエータ温風巻込防止構造では、前後方向巻込防止部材を、ラジエータに固定したので、前後方向巻込防止部材をラジエータの側面とキャブフロアパネルとの間の間隙部に容易,確実に固定することができる。
請求項3のラジエータ温風巻込防止構造では、ラジエータの側面とキャブフロアパネルとの間の間隙部に、エンジンファンの径方向に延在する径方向巻込防止部材を配置したので、ラジエータを通過して温風となった空気がラジエータの前面に回り込むのをより確実に低減することができる。
【0011】
請求項4のラジエータ温風巻込防止構造では、前後方向巻込防止部材を上下に2分割し、その間に、ラジエータの前方に配置されるインタークーラのホース部材を配置したので、ホース部材の配置を容易にするとともに、ホース部材を前後方向巻込防止部材の一部として有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1ないし図3は、本発明のラジエータ温風巻込防止構造の一実施形態を示している。
この実施形態では、本発明がキャブオーバ型トラックに適用される。
図1および図2に示すように、キャブフロアパネル11の下側のフレーム12には、ラジエータ13が配置されている。ラジエータ13の前方には、インタークーラ15が配置されている。そして、ラジエータ13の後方には、エンジン17が配置されている。エンジン17とラジエータ13との間には、エンジン17により回転駆動されるエンジンファン19が配置されている。エンジンファン19の前側には、エンジンファン19を覆ってファンシュラウド21が配置されている。
【0013】
そして、ラジエータ13の側面とキャブフロアパネル11との間の間隙部には、ラジエータ13を通過して温風となった空気がラジエータ13の前面に回り込むのを防止する径方向巻込防止部材23が配置されている。この径方向巻込防止部材23は、ラジエータ13の側面とキャブフロアパネル11との間の間隙部を遮蔽するように、エンジンファン19の径方向に延在して配置されている。そして、ラジエータ13の両側面に固定されている。
【0014】
ラジエータ13の側面とキャブフロアパネル11との間の間隙部の一方には、エンジンファン19の前後方向に延在する前後方向巻込防止部材25が配置されている。この前後方向巻込防止部材25は、図3に示すように、エンジンファン19の羽根部材27が上方から下方に向けて通過する側の間隙部に配置されている。この実施形態では、エンジンファン19の羽根部材27が図3において左回転しており、図3の左側の間隙部に配置されている。そして、ラジエータ13の側部に固定されている。
【0015】
前後方向巻込防止部材25は、図2に示すように、上下に2分割されている。そして、上部部材29と下部部材31との間に、ラジエータ13の前方に配置されるインタークーラ15のホース部材33が配置されている。
上部部材29の下側には、図4に示すように、ラジエータ13の水位センサに接続されるハーネスを固定するクリップ35を、ファンシュラウド21の側面に設けた差し込み孔37に差し込み易くするための切欠部29aが形成されている。
【0016】
また。この切欠部29aの反対側には、図5に示すように、ヒーターホース39との干渉を防止するための切欠部29bが形成されている。
上述したラジエータ温風巻込防止構造では、エンジンファン19の前方に配置されるラジエータ13の側面とキャブフロアパネル11との間の間隙部のエンジンファン19の羽根部材27が上方から下方に向けて通過する側の間隙部に、エンジンファン19の前後方向に延在する前後方向巻込防止部材25を配置したので、ラジエータ13を通過して温風となった空気がラジエータ13の前面に回り込むのを従来より大幅に低減することができる。
【0017】
また、前後方向巻込防止部材25を、ラジエータ13に固定したので、前後方向巻込防止部材25をラジエータ13の側面とキャブフロアパネル11との間の間隙部に容易,確実に固定することができる。
さらに、ラジエータ13の側面とキャブフロアパネル11との間の間隙部に、エンジンファン19の径方向に延在する径方向巻込防止部材23を配置したので、ラジエータ13を通過して温風となった空気がラジエータ13の前面に回り込むのをより確実に低減することができる。
【0018】
そして、前後方向巻込防止部材25を上下に2分割し、その間に、ラジエータ13の前方に配置されるインタークーラ15のホース部材33を配置したので、ホース部材33の配置を容易にするとともに、ホース部材33を前後方向巻込防止部材25の一部として有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のラジエータ温風巻込防止構造の一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1のラジエータ温風巻込防止構造を示す側面図である。
【図3】図1のラジエータ温風巻込防止構造をエンジン側から見た状態を示す説明図である。
【図4】図2の左側の切欠部を示す説明図である。
【図5】図2の右側の切欠部を示す説明図である。
【図6】従来のラジエータ温風巻込防止構造を示す上面図である。
【図7】図6のラジエータ温風巻込防止構造をエンジン側から見た状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
11 キャブフロアパネル
13 ラジエータ
15 インタークーラ
17 エンジン
19 エンジンファン
23 径方向巻込防止部材
25 前後方向巻込防止部材
27 羽根部材
29 上部部材
31 下部部材
33 ホース部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンファンの前方に配置されるラジエータの側面とキャブフロアパネルとの間の間隙部に、前記ラジエータを通過して温風となった空気が前記ラジエータの前面に回り込むのを防止する巻込防止部材を配置してなるラジエータ温風巻込防止構造において、
前記エンジンファンの羽根部材が上方から下方に向けて通過する側の前記間隙部に、前記エンジンファンの前後方向に延在する前後方向巻込防止部材を配置してなることを特徴とするラジエータ温風巻込防止構造。
【請求項2】
請求項1記載のラジエータ温風巻込防止構造において、
前記前後方向巻込防止部材を、前記ラジエータに固定してなることを特徴とするラジエータ温風巻込防止構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のラジエータ温風巻込防止構造において、
前記間隙部に、前記エンジンファンの径方向に延在する径方向巻込防止部材を配置してなることを特徴とするラジエータ温風巻込防止構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のラジエータ温風巻込防止構造において、
前記前後方向巻込防止部材を上下に2分割し、その間に、前記ラジエータの前方に配置されるインタークーラのホース部材を配置してなることを特徴とするラジエータ温風巻込防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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