説明

ラック用台座及び二重床構造

【課題】ラックを安定して載置することができるとともに、ラックの配置換え等にも容易に対応することができるラック用台座を提供すること及びラック用台座を用いた二重床構造を提供することを目的とする。
【解決手段】ラックが載置される基板2と、基板2の周縁部に設けられた複数のリブ3と、角部を形成する一対のリブ3,3に亘って設けられたコーナープレート4と、を有し、複数の支柱に架設されるラック用台座1であって、基板2には、開口部11とラックを固定するための複数の貫通孔12とが形成されており、コーナープレート4には、前記支柱に臨む連通孔21が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラックを載置するためのラック用台座及びラック用台座を備えた二重床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、サーバーコンピュータを収納するサーバーラックは、サーバーラックの下部から配線、配管等を通すため二重床構造を備えた部屋に設置される。特許文献1には、従来の二重床構造として、床に複数の架台が設けられた第一従来例と、床に立設する複数の支柱に床パネルが設けられた第二従来例が記載されている。
【0003】
具体的には、第一従来例に係る二重床構造は、複数の架台が並設された架台列と、隣り合う架台列間に架設された架設パネルとで構成されている。この架台は、サーバーラックが載置される平板状の載置部と、載置部の四隅から垂下された脚部と、を有している。サーバーラックは比較的重量があり背の高いものが多いため、載置する部分の安定性、耐震性等は高いレベルが要求される。したがって、第一従来例に記載の二重床構造では、強度の高い架台(架台列)の上にサーバーラックが載置されている。
【0004】
一方、第二従来例に係る二重床構造は、床に立設された複数の支柱と、この支柱に架設された床パネルとで構成されている。床パネルの四隅は、四つの支柱の受け座に跨ってそれぞれ当接支持されている。床パネルを複数配設することで、一つの床面を構成しており、この床面にサーバーラックが載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案公報平5−43154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第一従来例の前記載置部及び第二従来例の前記床パネルは、共に板状部材であるため、通気性に劣るとともに、配管や配線を挿通させる際には別途孔を形成しなければならずこの作業が煩雑になっていた。
【0007】
また、第一従来例及び第二従来例では、載置部及び床パネルにラックを載置するだけであるため、安定性及び耐震性に劣るという問題があった。ここで、サーバーラックの下部を、例えばL型金具と締結具(ボルト)等を介して載置部及び床パネルに固定することが考えられるが、前記載置部及び床パネルに孔を形成しなければならないため、作業が煩雑になっていた。
【0008】
また、サーバーコンピュータは、増設又は減設することがあるため、これに伴ってサーバーラックの大きさ、配置等も変更することになる。前記載置部及び床パネルに孔を設けた上で、L型金具及びボルト等を介して固定すると、配置換え等の作業が煩雑になるため柔軟に対応できない。つまり、第一従来例及び第二従来例では、安定性、耐震性等の向上と、作業性の向上とを両立することは困難であった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、ラックを安定して載置することができるとともに、ラックの配置換え等にも容易に対応することができるラック用台座を提供すること及びラック用台座を用いた二重床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明に係るラック用台座は、ラックが載置される基板と、前記基板の周縁部に設けられたリブと、角部を形成する前記リブに設けられたコーナープレートと、を有し、複数の支柱に架設されるラック用台座であって、前記基板には、開口部と前記ラックを固定するための複数の貫通孔とが形成されており、前記コーナープレートには、前記支柱に臨む連通孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、基板に開口部を備えているため、通気性を高めることができるとともに、例えば、ラックにコンピュータを収容する場合には開口部に配線等を挿通させることができる。
また、基板に貫通孔を備えているため、締結具等でラックを固定することができる。これにより、ラックを安定して載置することができるとともに、ラックを固定する際に基板に新たに孔を形成する必要がないため、作業性を高めることができる。また、貫通孔を複数備えることで、ラックの配置換え等にも柔軟に対応することができる。
【0012】
また、基板の周縁部にリブを設けるとともに、角部を構成するリブにコーナープレートを設けることで、ラック用台座の強度を高めることができるため、より安定性を高めることができる。また、コーナープレートに連通孔を備えているため、この連通孔を介して締結具等でラック用台座を支柱に固定することができる。
【0013】
また、前記貫通孔は、長孔であることが好ましい。かかる構成によれば、ラックの大きさや、載置位置が変更してもより柔軟に対応することができる。
【0014】
また、前記基板には、補強リブが形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、ラック用台座の強度をより高めることができ、ラックをより安定して載置することができる。
【0015】
また、本発明に係る二重床構造は、複数の支柱と、複数の前記支柱に架設されたラック用台座と、を有する二重床構造であって、前記ラック用台座は、ラックが載置される基板と、前記基板の周縁部に設けられたリブと、角部を形成する前記リブに設けられたコーナープレートと、を有し、前記基板は、開口部と前記ラックを固定するための複数の貫通孔とを備え、前記コーナープレートは、前記支柱に臨む連通孔を備え、前記支柱と前記コーナープレートは、前記連通孔を介して締結具で固定されていることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、ラック用台座が支柱に固定されるため、ラック用台座がガタつくことを防ぐことができ、ラックを安定して載置することができる。
また、基板に開口部を備えているため、通気性を高めることができるとともに、例えば、ラックにコンピュータを収容する場合には開口部に配線等を挿通させることができる。
【0017】
また、基板に貫通孔を備えているため、締結具等でラックを固定することができる。これにより、ラックを安定して載置することができるとともに、ラックを固定する際に基板に新たに孔を形成する必要がないため、作業性を高めることができる。また、貫通孔を複数備えることで、ラックの配置換え等にも柔軟に対応することができる。
【0018】
また、基板の周縁部にリブを設けるとともに、角部を構成するリブにコーナープレートを設けることで、ラック用台座の強度を高めることができるため、より安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のラック用台座及び二重床構造によれば、ラックを安定して載置することができるとともに、ラックの配置換え等にも柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る二重床構造を示した斜視図である。
【図2】本実施形態に係る第一ラック用台座を示した斜視図であって、(a)は、斜め上方から見た図、(b)は、斜め下方から見た図である。
【図3】本実施形態に係る第二ラック用台座を示した斜視図であって、(a)は、斜め上方から見た図、(b)は、斜め下方から見た図である。
【図4】本実施形態に係る支柱を示した斜視図である。
【図5】本実施形態に係るラックを示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、底面図である。
【図6】本実施形態に係る支柱の配置状態を示した模式平面図である。
【図7】本実施形態に係る支柱に第一ラック用台座を載置した状態を示した模式平面図である。
【図8】図7のA−A断面図であって、(a)は、本実施形態に係る支柱に第一ラック用台座を載置した状態を示し、(b)は、本実施形態に係る支柱に第一ラック用台座を固定した状態を示す。
【図9】本実施形態に係るラック用台座にラックを載置した状態を示した模式平面図である。
【図10】図9のB−B断面図であって、ラック用台座とラックとの固定状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。説明における上下左右前後は、図1の矢印にしたがう。図1に示すように、本実施形態に係る二重床構造Nは、複数の支柱31と、4つの支柱31に架設されたラック用台座1と、で構成されている。複数のラック用台座1で構成された台座面Xの上に後記するラックが載置される。
【0022】
ラック用台座1は、本実施形態では、第一ラック用台座1A及び第二ラック用台座1Bの一対のラック用台座を用いている。まず、第一ラック用台座1Aについて説明する。
【0023】
<第一ラック用台座>
第一ラック用台座1Aは、図2の(a)及び(b)に示すように、ラックが載置される基板2と、基板2の周縁部に設けられたリブ3と、基板2の裏側の角部に設けられた複数のコーナープレート4と、基板2の裏面に設けられた補強リブ5とを有する。
【0024】
第一ラック用台座1Aは、例えばサーバーコンピュータを収容するサーバーラックを載置、固定するための部材である。第一ラック用台座1Aは、金属製であって、溶接加工、穴あけ加工等によって形成されている。第一ラック用台座1Aは、本実施形態ではサーバーラックを載置することを例示するが、載置するラックの種類は特に制限されるものではない。また、第一ラック用台座1Aの材料及び成形方法は特に制限されるものではない。
【0025】
基板2は、ラックが載置される部位である。基板2は、平面視矩形の幅広部2aと、平面視L字状を呈するL字部2bとを有する。幅広部2aとL字部2bとで大きな開口となる開口部11が構成されている。
【0026】
開口部11は、サーバーコンピュータの配線、配管等を挿通させるとともに、通気口となる部位である。開口部11は、基板2の右側において約半分の大きさで平面視矩形に形成されており、後側が後方に開放している。開口部11の形状、大きさは、特に制限されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0027】
幅広部2aの右端には貫通孔12が形成されている。貫通孔12は、後記するラックを固定するボルト(締結具)の軸部を挿通させる部位である。貫通孔12は、本実施形態では、長孔であって前後方向に亘って6つ形成されている。最も後側に位置する貫通孔12は、半長孔であって後方に開放している。貫通孔12の形状、大きさは特に制限されないが、ボルトの軸部を挿通でき、ボルトの頭部よりも小さい孔であればよい。
【0028】
幅広部2aの前方左端及び後方左端には、孔部13が形成されている。また、L字部2bの前方右端及び後方右端には、孔部13が形成されている。孔部13は、後記する支柱に第一ラック用台座1Aをボルトで固定する際に、工具等を挿通させるための逃げ孔である。第一ラック用台座1Aは、本実施形態では、四つの支柱に支持されるため、これに応じて孔部13も基板2の四隅に形成されている。
【0029】
リブ3は、基板2を補強する部材である。リブ3は、基板2の周縁部において下方に垂下している。前側に配設されたリブ3(前側リブ3a)は、左右方向に連続して設けられている。左側に配設されたリブ3(左側リブ3b)及び右側に配設されたリブ3(右側リブ3c)は、前後方向に連続して設けられている。後側に配設されたリブ3(後方リブ3d)は、後方左側リブ3dと、後方右側リブ3dとに分かれている。後方左側リブ3dと後方右側リブ3dとの間は、開放されている。
【0030】
リブ3は、隣り合う部位同士で角部を構成する。この角部が、支柱31に当接して載置される(図1参照)。リブ3は、ラックの形状及び重量等を考慮して、配設位置、厚み及び大きさを設定すればよい。
【0031】
前側リブ3aには、連結孔14が三箇所に形成されている。また、左側リブ3b及び右側リブ3cには、連結孔14がそれぞれ一箇所ずつ形成されている。連結孔14は、第一ラック用台座1A及び第二ラック用台座1Bを並設する際に、隣り合う第一ラック用台座1A及び第二ラック用台座1Bの連結孔14を連通させて、締結具等を介して連結するための孔である。連結孔14の位置や数は、ラック用台座1の形状や大きさに基づいて適宜設ければよい。
【0032】
補強リブ5は、基板2の周縁部以外の位置において基板2を補強する部材である。補強リブ5は、本実施形態では幅広部2aの中央右寄りから下方に垂下されている。また、補強リブ5は、左側リブ3bに対して平行に設けられている。本実施形態では、前側リブ3a、左側リブ3b、後方左側リブ3d、補強リブ5は平面視矩形に連結されており、これらのリブで囲まれた領域の幅広部2aには貫通孔及び開口部が空いていないため強度を高めることができる。補強リブ5は、ラックの形状及び重量等を考慮して、配設位置、厚み及び大きさ等を適宜設定すればよい。
【0033】
コーナープレート4(4a〜4d)は、支柱31の上端に対向する部位である。コーナープレート4は、平面視三角形を呈する板状部材であって、基板2の裏側の四隅に一つずつ設けられている。コーナープレート4は、基板2から所定の距離で離間して基板2に対して平行に設けられている。また、コーナープレート4には、厚さ方向に貫通する連通孔21がそれぞれ穿設されている。連通孔21は、第一ラック用台座1Aを後記する支柱に載置する際に、支柱の突部に臨む位置に形成されている。連通孔21は、本実施形態では長孔を呈するが形状は制限されるものではない。
【0034】
より具体的には、前方左側に設けられた第一コーナープレート4aは、リブ3の角部(前側リブ3aと左側リブ3bとで構成された角部)に亘って取り付けられている。前方右側に設けられた第二コーナープレート4bは、リブ3の角部(前側リブ3aと右側リブ3cとで構成された角部)に亘って取り付けられている。後方左側に設けられた第三コーナープレート4cは、リブ3の角部(左側リブ3bと後方左側リブ3dとで構成された角部)に亘って取り付けられている。後方右側に設けられた第四コーナープレート4dは、リブ3の角部(右側リブ3cと後方右側リブ3dとで構成された角部)に亘って取り付けられている。このように、コーナープレート4は、各リブ3で構成される角部に跨って形成されているため、第一ラック用台座1Aの強度を高めることができる。
【0035】
<第二ラック用台座>
第二ラック用台座1Bは、図3の(a)及び(b)に示すように、第一ラック用台座1Aと近似する構成を備えている。第二ラック用台座1Bについては、第一ラック用台座1Aと重複する部分については同等の符号を付して詳細な説明は省略し、相違する部分について説明する。
【0036】
第二ラック用台座1Bは、ラックが載置される基板2と、基板2の周縁部に設けられた複数のリブ3と、基板2の裏側の角部に設けられた複数のコーナープレート4と、基板2の裏面に設けられた補強リブ5とを有する。
【0037】
基板2に形成された開口部11は、基板の右側において約半分の大きさで平面視矩形に形成されており、前側が前方に向けて開放している。
【0038】
貫通孔12は、本実施形態では、長孔であって前後方向に亘って6つ形成されている。最も前側に位置する貫通孔12は、半長孔であって前方に開放している。
【0039】
リブ3(3a〜3d)は、基板2を補強する部位である。前側リブ3aは、前方左側リブ3aと、前方右側リブ3aとに分かれている。前方左側リブ3aと、前方右側リブ3aとの間は開放されている。後方リブ3dは、左右方向に連続して形成されている。
【0040】
<支柱>
次に、ラック用台座1の下方に配設される支柱31について説明する。
支柱31は、図4に示すように、基部32と、基部32に立設する支持脚33と、支持脚33の上部に取り付けられた受け部34と、受け部34に立設する四つの突部35とを有する。支柱31は、金属で形成されており、ラック用台座1を支持する部材である。
【0041】
基部32は、平面視矩形の板状部材であって、床Yに配置される部位である。支持脚33は、軸部材であって、基部32に対して垂直に立設されている。支持脚33は、基部32に立設する大径部33aと、大径部33aから上方に延設された小径部33bとを有する。小径部33bの外周面には、螺旋状の溝が形成されている。なお、基部32は、本実施形態では、床Yに配置されているが、例えば、床Yが免震構造を備えている場合等は、この免震構造を構成する部材の上に配置されてもよい。
【0042】
受け部34は、ラック用台座1を支持する部位である。受け部34は、受け面34aと、連結部34bと、ロック部34cとを有する。受け面34aは、円板状を呈し、支持脚33と同軸で形成されている。連結部34bは、受け面34aから同軸で垂下しており、支持脚33の小径部33bに螺合される。ロック部34cは、連結部34bの半径方向に貫通された孔に螺合するネジ部材である。ロック部34cを締めると小径部33bに当接するように形成されている。受け部34は、小径部33bに螺合されることで上下方向に調節可能になっている。また、ロック部34cを締めることで、支持脚33に対して受け部34をロックすることができる。
【0043】
突部35は、受け面34aに立設されており、ラック用台座1を固定するためのボルトが締結される部位である。突部35の内部には、ボルトが螺合されるネジ溝が形成されている。突部35は、受け面34aの中心で直交する直線上であって、かつ、受け面34aの中心から等距離となる位置にそれぞれ形成されている。本実施形態では、受け面34aに4つのラック用台座1が載置されるように形成されている。
【0044】
なお、支柱31は、本実施形態では前記したように形成したが、これに限定されるものではなく、ラック用台座1が載置可能であって、支柱31に対してラック用台座1が固定可能であれば他の形態であってもよい。また、本実施形態では、一の支柱31に対して4つのラック用台座1を載置するが、載置する数は適宜設定すればよい。
【0045】
<ラック>
次に、ラック用台座1の上に載置されるラック41について説明する。
ラック41は、図5の(a)に示すように、直方体を呈する筐体であって、内部に例えばサーバーコンピュータが収容される。ラック41は、前部に取り付けられたヒンジ式の開閉扉42と、筐体の底を構成する底部43と、を有する。
【0046】
図5の(b)は、ラック41の底面図である。底部43は、枠部材44と、枠部材44の角部に形成された四つの角部材45とを有する。枠部材44は、平面視矩形の枠状に形成されており、前枠部材44a、後枠部材44b、左枠部材44d、右枠部材44cとで構成されている。
【0047】
角部材45(45a〜45d)は、枠部材44の各角部に形成されている。角部材45の下面は、枠部材44の下面と面一に形成されている。角部材45(45a〜45d)には、ボルトが締結されるネジ溝46a〜46dがそれぞれ形成されている。ネジ溝46a〜46dは、ラック用台座1の裏面(下面)からボルト等の締結具で締結される。このように、ラック41は、筐体の四隅にネジ溝46a〜46dを設けているので、ラック41をバランスよく固定することができる。
【0048】
なお、ラック41は、本実施形態では、前記のように構成したがこれに限定されるものではなく、その構造や内部に収容する物等は適宜変更が可能である。
【0049】
<二重床構造の構築方法>
次に、図1及び図6〜図10を参照して本実施形態に係る二重床構造Nの構築方法及びラック41の取り付け構造について説明する。
【0050】
まず、図6に示すように、床Yに格子状に複数の支柱31を配設する。図6では、九個の支柱31(31a〜31i)を図示している。
【0051】
次に、図6に示すように、支柱31a、支柱31b、支柱31d及び支柱31eで構成された領域R1に第一ラック用台座1Aを載置する。図7に示すように、支柱31a、支柱31b、支柱31d及び支柱31eのうち、領域R1側の4つの突部35を含むように、第一ラック用台座1Aを載置する。これにより、平面視すると、第一ラック用台座1Aの各孔部13と、各支柱31の突部35が連通する。本実施形態では、第一ラック用台座1Aの開口部11が後方に開放する向きで載置する。
【0052】
同様に、図6に示す領域R4、領域R5に第一ラック用台座1Aを載置し、領域R2、領域R3及び領域R6に第二ラック用台座1Bを載置する。図1に示すように、前後方向に隣接する第一ラック用台座1A及び第二ラック用台座1Bの開口部11が連続するように、第一ラック用台座1A及び第二ラック用台座1Bを載置する。図1では、説明の便宜上、6枚のラック用台座1を配設しているが、ラック用台座1の枚数や支柱の本数は適宜設定すればよい。
【0053】
次に、図8に示すように、突部35にボルトを締結する。図8の(a)に示すように、支柱31の受け面34aに第一ラック用台座1Aが載置されており、突部35と、第一コーナープレート4aの連通孔21と、基板2の孔部13とが連通している。次に、図8の(b)に示すように、第一コーナープレート4aの連通孔21を介して突部35にボルト51を締結する。これにより、支柱31に対して第一ラック用台座1Aが固定される。同様に、第一ラック用台座1Aのコーナープレート4(4b,4c,4d)を、各支柱31(31d,31b,31e)に固定する。このように、第一ラック用台座1Aの四隅をボルトで締結するため、バランスよくかつ強固に固定することができる。
【0054】
図1に示すように、同様の手順で、複数の第一ラック用台座1A及び第二ラック用台座1Bをそれぞれ固定して二重床構造Nを構築する。複数の第一ラック用台座1A及び第二ラック用台座1Bによって、一の台座面Xが形成される。
【0055】
図9は、本実施形態に係るラック用台座にラックを載置した状態を示した模式平面図である。図10は、図9のB−B断面図であって、ラック用台座とラックとの固定状態を示す。
次に、図9及び図10に示すように、二重床構造Nの台座面Xに、ラック41を固定する。なお、説明の便宜上、図9のうち第一ラック用台座1Aを前側から後側に向けて第一ラック用台座1A〜1Aとする。一方、第二ラック用台座1Bを前側から後側に向けて第二ラック用台座1B〜1Bとする。
【0056】
まず、図9に示すように、ラック用台座1の貫通孔12と、ラック41の角部材45(45a〜45d)のネジ溝46a〜46dとが連通するように、ラック41を載置する。より具体的には、第二ラック用台座1Bの貫通孔12と、ネジ溝46a及びネジ溝46bとを連通させる。また、第一ラック用台座1Aの貫通孔12と、ネジ溝46d及びネジ溝46cとを連通させる。
【0057】
最後に、図10に示すように、ラック用台座1(1A,1B)の裏面からネジ溝46a〜46dに対してボルト61(締結具)を螺合して、ラック用台座1にラック41を固定する。ラック41を移動する際は、ボルト61を一旦解除して、ラック41を前後方向に移動させ、所望の位置でラック用台座1の貫通孔12とラック41のネジ溝46a〜46dを連通させてラック用台座1とラック41とを再度固定する。
【0058】
以上説明したラック用台座1及び二重床構造Nによれば、以下のような効果を奏する。
ラック用台座1によれば、基板2に開口部11を備えているため、通気性を高めることができる。また、隣り合うラック用台座1,1の開口部11を連続させることで大開口を設けることができる。大開口を設けることで、サーバーコンピュータの配線、配管作業の作業性を高めることができる。また、本実施形態のようにラック41にサーバーコンピュータを収容する場合は、ファンが大型になるためこのように大きな開口を備えていることが好ましい。
【0059】
また、基板2に貫通孔12を備えているため、基板2の裏面からボルト61(締結具)でラック41を固定することができる。これにより、ラック41を安定して載置することができるとともに、従来例のようにラック41を固定する際に新たに孔を形成する必要がないため、作業性を高めることができる。また、貫通孔12は、長孔であり複数個所に形成されることで、ラック41の配置換えや大きさの変更等にも柔軟に対応することができる。
【0060】
また、基板2の周縁部にリブ3及び補強リブ5を設けるとともに、角部を構成するリブ3に亘ってコーナープレート4を設けることで、ラック用台座1の強度を高めることができる。これにより、ラック41の重量が大きい場合であっても安定して載置することができる。
【0061】
また、コーナープレート4に連通孔21を備えているため、この連通孔21を介してボルト51でラック用台座1を支柱31に固定することができる。これにより、ラック用台座1がガタつかないため、ラック41を安定して載置することができる。また、コーナープレート4は、基板2から所定の間隔をあけて基板2の裏側に設けられているため、ボルト51が基板2の表面に露出することを防ぐことができる。また、基板2に逃げ孔としての孔部13を形成することで、支柱31にラック用台座1を固定する作業を容易に行うことができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では、四枚のラック用台座1に対して一のラック41を固定する形態としたが、四枚以外の枚数で台座面を構成してラック41を固定してもよいし、一枚のラック用台座1でラック41を固定してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、ラック41の四点で、ラック用台座1に固定したが、何点で固定してもよい。また、本実施形態では、ラック41の裏側からボルト61で締結したが、ラック41の表側から締結してもよい。また、本実施形態では、支柱31とラック用台座1との締結、及び、ラック用台座1とラック41との締結にボルトを用いたが、両部材を拘束するものであれば他の締結具を用いてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、第一ラック用台座1A、第二ラック用台座1Bと二種類のラック用台座を用いたが、一種類のみからなるラック用台座でもよい。また、貫通孔12は、本実施形態では、前後方向に並設したが、左右方向に設けてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、支柱31の受け面34aに突部35を形成したが、受け面34aは、平坦であってもよい。また、受け面34aとラック用台座1との間にゴムなどの緩衝部材を介設してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ラック用台座
1A 第一ラック用台座
1B 第二ラック用台座
2 基板
3 リブ
4 コーナープレート
5 補強リブ
11 開口部
12 貫通孔
13 孔部
14 連結孔
21 挿通孔
31 支柱
34 受け部
34a 受け面
35 突部
41 ラック
46 ネジ溝
51 ボルト(締結具)
61 ボルト(締結具)
N 二重床構造
X 台座面
Y 床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックが載置される基板と、
前記基板の周縁部に設けられたリブと、
角部を形成する前記リブに設けられたコーナープレートと、を有し、複数の支柱に架設されるラック用台座であって、
前記基板には、開口部と前記ラックを固定するための複数の貫通孔とが形成されており、
前記コーナープレートには、前記支柱に臨む連通孔が形成されていることを特徴とするラック用台座。
【請求項2】
前記貫通孔は、長孔であることを特徴とする請求項1に記載のラック用台座。
【請求項3】
前記基板には、補強リブが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラック用台座。
【請求項4】
複数の支柱と、複数の前記支柱に架設されたラック用台座と、を有する二重床構造であって、
前記ラック用台座は、
ラックが載置される基板と、前記基板の周縁部に設けられたリブと、角部を形成する前記リブに設けられたコーナープレートと、を有し、
前記基板は、開口部と前記ラックを固定するための複数の貫通孔とを備え、
前記コーナープレートは、前記支柱に臨む連通孔を備え、
前記支柱と前記コーナープレートは、前記連通孔を介して締結具で固定されていることを特徴とする二重床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−144592(P2011−144592A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7702(P2010−7702)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(393029804)株式会社ヒューマン (6)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】