説明

ラベル作成装置、ラベル作成システムおよびラベル作成方法

【課題】商品ラベルの種類にかかわらず、商品の生産者を容易に識別可能な商品ラベルを作成することのできるラベル作成装置、ラベル作成システム、およびラベル作成方法を提供すること。
【解決手段】生産者を識別するための識別情報を、複数の表示形態で登録する識別情報登録部(生産者データベース41)と、発行する商品ラベルLの種類を選択するラベル選択部32と、ラベル選択部32の選択結果に応じて、識別情報の表示形態を選択する表示形態選択部(識別情報選択部33)と、商品ラベルLのラベルデータに、選択した表示形態で示された識別情報を付加して印刷データを生成する印刷データ生成部35と、印刷データに基づいて商品ラベルLを発行するラベル発行部36と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品ラベルを発行するラベル作成装置、ラベル作成システムおよびラベル作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品を販売する店舗において、商品には商品名や価格等の商品に関する情報が印字された商品ラベルが貼り付けられている。特に、農作物の直売所などでは、販売されている農作物の生産者がわかるように、商品名や価格の他に、生産者の名前が印字された商品ラベルが貼り付けられている。特許文献1には、このような商品ラベルを発行するラベルプリンターが開示されている。当該ラベルプリンターは、農作物の商品名、生産地、生産者名、価格、これらの商品情報が含まれたコード画像を印字した商品ラベルを発行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−284955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、農作物の直売所では、売れ残った商品をその商品の生産者が自分で持ち帰るのが一般的である。よって、生産者は、商品ラベルに印字された生産者の名前を頼りに、自身の生産した商品を探して持ち帰る。しかし、同じ品種の農作物の中に、生産者の異なる商品が混在していることが多く、上記の商品ラベルのように生産者を識別する情報として生産者名を記載していても、誤って他の生産者の作物を持ち帰るということが起こっていた。そこで、生産者名の他に、生産者の似顔絵や顔写真を載せ、生産者の識別を容易にする工夫なども行われているが、商品ラベルの種類(ラベルサイズ)によっては、似顔絵や顔写真を載せるスペースがない場合も少なくない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、商品ラベルの種類にかかわらず、商品の生産者を容易に識別可能な商品ラベルを作成することのできるラベル作成装置、ラベル作成システム、およびラベル作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のラベル作成装置は、商品の生産者を識別するための識別情報を、複数の表示形態で登録する識別情報登録部と、発行する商品ラベルの種類を選択するラベル選択部と、ラベル選択部の選択結果に応じて、識別情報部に登録された識別情報の表示形態を選択する表示形態選択部と、商品ラベルのラベルデータに、選択した表示形態で示された識別情報を付加して印刷データを生成する印刷データ生成部と、印刷データに基づいて商品ラベルを発行するラベル発行部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のラベル作成方法は、商品の生産者を識別するための識別情報を、複数の表示形態で登録する識別情報登録ステップと、発行する商品ラベルの種類を選択するラベル選択ステップと、ラベル選択ステップの選択結果に応じて、識別情報登録ステップで登録された識別情報の表示形態を選択する表示形態選択ステップと、ラベルのラベルデータに、選択した表示形態で示された識別情報を付加して印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、印刷データに基づいてラベルを発行するラベル発行ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、発行する商品ラベルの種類に応じて印刷する識別情報の表示形態を選択するため、商品ラベルの種類にあった形で識別情報を印字することができる。よって、発行する商品ラベルの種類によらず、容易に生産者を識別可能な商品ラベルを発行することができる。なお、ラベル選択部は、セットされたラベル用紙によって発行する商品ラベルの種類を検出する構成でも良いし、利用者の操作によってラベルの種類を選択する構成でも良い。
なお、「識別情報」とは、例えば、商品ラベルの背景、枠、文字、画像等をさす。
【0009】
この場合、表示形態選択部は、複数の表示形態のうち、ラベル選択部により選択された商品ラベルに印刷可能な表示サイズとなる表示形態を選択することが好ましい。
【0010】
これらの構成によれば、印刷不可能な表示形態を選択することなく、商品ラベルに識別情報を確実に印刷することができる。
【0011】
この場合、表示形態選択部は、選択された商品ラベルに、複数の表示形態の識別情報を印刷可能な場合であって、それらの中に特定の表示形態が含まれる場合、当該特定の表示形態を選択することが好ましい。
【0012】
これらの構成によれば、印刷可能な表示形態のうち、特定の表示形態が優先して選択される。この場合、特定の表示形態を、生産者を識別容易な表示形態に設定しておけば、印刷可能な表示形態のうち、生産者を識別容易な表示形態で識別情報を印刷することができる。
【0013】
上記のラベル作成装置において、識別情報登録部は、識別情報を、生産者を識別するための顔画像、色およびマークの形のうち、少なくともいずれかの前記表示形態で登録していることが好ましい。
【0014】
これらの構成によれば、直感的に生産者を識別可能な識別情報を商品ラベルに印刷することができる。なお、「色」とは、例えば、商品ラベルの背景、枠、文字等の色をさす。また、例えば、「色」と「マークの形」を組み合わせて、「黄色の星型」というように、2種類の表示形態を組み合わせて識別情報を構成しても良い。
【0015】
上記のラベル作成装置において、ラベル選択部は、商品ラベルの種類として、商品ラベルのサイズを選択することが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、商品ラベルのサイズに応じた表示形態を選択することができる。
【0017】
上記のラベル作成装置において、生産者を特定するための生産者情報を取得する生産者情報取得部をさらに備え、印刷データ生成部は、ラベルデータに、生産者情報が特定する生産者の識別情報を付加することが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、取得した生産者情報が示す生産者に対して、商品ラベルの種類に応じた表示形態を選択することができる。
【0019】
上記のラベル作成装置において、商品に関する期限を記憶する期限記憶部と、期限を示す期限マークを登録する期限マーク登録部と、発行する商品ラベルの商品の期限に応じた期限マークを選択する期限マーク選択部と、をさらに備え、印刷データ生成部は、ラベルデータに、選択した期限マークをさらに付加することが好ましい。
【0020】
これらの構成によれば、直感的に期限を把握可能な商品ラベルを発行することができる。なお、「期限」とは、商品の消費期限、賞味期限、使用期限などのうちいずれかを示す。
【0021】
本発明のラベル作成システムは、識別情報登録部、ラベル選択部、表示形態選択部および印刷データ生成部を備えたコンピューターと、ラベル発行部を備えたプリンターと、で構成されることを特徴とする。
【0022】
これらの構成によれば、商品の生産者を容易に識別可能な商品ラベルを発行することのできるラベル作成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態にかかるラベル作成装置の外観図である。
【図2】ラベル作成装置の制御構成を示したブロック図である。
【図3】ラベル作成時におけるタッチパネルディスプレイの画面遷移図である。
【図4】ラベル作成装置の機能構成を示したブロック図である。
【図5】(a)は生産者データベースを示す図であり、(b)は識別情報の表示形態テーブルを示す図である。
【図6】(a)は商品期限データベースを示す図であり、(b)は期限マークの例を示す図である。
【図7】商品ラベルの印刷例を示す図である。
【図8】商品ラベルの作成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態にかかるラベル作成装置について説明する。本ラベル作成装置は、商品の生産者、商品の消費期限や賞味期限を、生産者に提示するための各情報が印刷された商品ラベルLを作成する。図1は、ラベル作成装置1の外観を模式的に示した図である。図示のように、ラベル作成装置1は、タッチパネルディスプレイ2、ラベル排出口3を備え、内部には、プリント機構5および制御装置6(いずれも図2参照)を備えている。タッチパネルディスプレイ2は、商品ラベルLを発行するための各種画面を表示する表示部として、また、各種操作を行うための操作部として、機能する(図3参照)。ラベル排出口3は、タッチパネルディスプレイ2の操作に応じて印刷された商品ラベルLを排出する。
【0025】
図2は、ラベル作成装置1の制御構成を示すブロック図である。図示のように、ラベル作成装置1は、プリント機構5、タッチパネルディスプレイ2および制御装置6を備えている。プリント機構5は、印刷ヘッド、用紙搬送機構、用紙カット機構など、用紙に印刷を行い商品ラベルLを発行するための各構成を備えている(いずれも図示省略)。制御装置6は、プリント機構5の各構成を駆動させるドライバー群11、商品ラベルLを印刷するための各種データを記憶する記憶部12、およびこれらを統括制御する制御部13を備えている。制御部13は、ドライバー群11を介したプリント機構5の駆動制御や、タッチパネルディスプレイ2の表示制御を行う。一方、記憶部12は、各商品ラベルLのラベルデータ、商品の生産者に関する情報をまとめた生産者データベース(生産者DB)41、生産者を識別するための識別情報の表示形態テーブル42、商品期限データベース(商品期限DB)43、上記の識別情報や商品期限を示す画像データ等を記憶している(後に詳述する)。
【0026】
ここで、図3を参照し、タッチパネルディスプレイ2に表示される各種画面について説明する。同図は、商品ラベルLの作成に伴うタッチパネルディスプレイ2の画面遷移図である。タッチパネルディスプレイ2には、ラベル作成装置1の利用に先立って、ログイン画面D1が表示される。ログイン画面D1には、利用者IDおよび暗証番号を入力するためのテキストボックスおよびテンキーと、ログインボタンと、が表示される。このように、本ラベル発行装置1は、予め登録された利用者のみが利用可となっている。利用者IDおよび暗証番号が入力され、ログインボタンが押下されると、画面は、メニュー画面D2に移行する。
【0027】
詳細は図示を省略するが、メニュー画面D2には、商品ラベルLの「印刷」、「編集」、「新規作成」、「削除」などを行うための各種メニューボタンが表示される。これらのメニューボタンのうち、「印刷」メニューが選択されると、画面は、ラベル選択画面D3に移行する。
【0028】
ラベル選択画面D3には、ラベル作成装置1に記憶されている各商品ラベルLのラベルデータが印刷候補21として表示される。図3に示すように、印刷候補21は、商品ラベルLのラベルデータに基づいたラベルイメージ22と、商品ラベルLのラベルサイズを示すサイズ表示23と、で構成されている。本実施形態のラベル作成装置1では、4種類のラベルサイズが印刷可能であり(図5(b)参照)、各商品ラベルLに対して1の所定のラベルサイズが設定されている。すなわち、利用者は、ラベル選択画面D3に表示される印刷候補21の中から所望の候補を選択することで、同時に、印刷する商品ラベルLのラベルサイズも選択することになる。なお、ラベル選択画面D3に表示される印刷候補21は、ログイン画面D1において入力された利用者IDに基づいて、当該利用者が過去に印刷または編集した商品ラベルLの印刷候補21であることが好ましい。これによれば、利用者が選択する可能性の低い印刷候補21の表示を省き、利用者が、容易に所望の印刷候補21を選択することができる。
【0029】
また、ラベル選択画面D3には、図3に示すように、上記の印刷候補21の表示順を選択するための表示順指定ボタン群が表示される。利用者は、印刷候補21の表示順を「最近印刷した順」および「印刷枚数順」のいずれかから選択することができる。さらに、記憶されているラベルデータが6つ以上である場合は、印刷候補21の下方にページ切り替えボタンが表示される。
表示された印刷候補21の中から任意の商品ラベルLが選択されると、画面は、ラベル印刷画面D4に移行する。
【0030】
ラベル印刷画面D4は、選択された商品ラベルLのラベルイメージ22およびサイズ表示23と、印刷枚数を入力するためのテキストボックス、テンキーおよびOKボタンと、が表示される。図3に示すように、本画面に表示されるラベルイメージ22には、商品の生産者を識別するための生産者識別表示24が挿入される。この生産者識別表示24は、商品の生産者を直感的に識別可能な画像およびマークで構成されている。同図においては、生産者識別表示24として生産者の似顔絵が挿入されている。このように、生産者名の他に、直感的に生産者を識別することのできる生産者識別表示24を商品ラベルLに印刷することによって、商品の生産者や消費者が、容易に生産者を識別することができる。
【0031】
なお、本発明のラベル作成装置1は、1の生産者に対して複数の表示形態による生産者識別表示24を記憶しており、選択された商品ラベルLのラベルサイズに応じて印刷する生産者識別表示24の表示形態を選択する。また、本実施形態においては、ログイン画面D1において入力された利用者IDによって、商品の生産者が特定され、商品ラベルLには、特定された生産者を示す生産者識別表示24が印刷される(いずれも、詳しくは後述する)。なお、ラベル選択画面D3において、予め生産者識別表示24を挿入したラベルイメージ22を表示してもよい。
テキストボックスに印刷枚数が入力され、OKボタンが押下されると、選択されたラベルデータに基づく商品ラベルLが、設定した枚数、印刷および発行される。
【0032】
図4は、ラベル作成装置1の機能構成を示したブロック図である。図示のように、ラベル作成装置1は、生産者情報取得部31、ラベル選択部32、識別情報選択部33、期限マーク選択部34、印刷データ生成部35およびラベル発行部36を備えている。また、ラベル作成装置1は、商品ラベルLを発行するための各種データとして、生産者データベース41、生産者識別表示24の表示形態テーブル42、および商品期限データベース43を備えている。
【0033】
生産者情報取得部31は、主に上記のログイン画面D1によって構成され、生産者を特定するための生産者情報を取得する。生産者情報とは、ログイン画面D1に入力される利用者IDである。つまり、本実施形態では、利用者IDが生産者を特定するための生産者IDとする。取得した生産者情報(生産者ID)により特定された生産者の生産者識別表示24が、印刷する商品ラベルLのラベルイメージ22に挿入される。
【0034】
ラベル選択部32は、主に上記のラベル選択画面D2によって構成され、印刷する商品ラベルLを選択する。このラベル選択部32の選択結果によって、印刷する商品ラベルLのラベルサイズが特定される。特定されたラベルサイズは、生産者識別表示24の表示形態を決定する際に用いられる。また、商品ラベルLのラベルデータには、商品ラベルLの商品を特定する商品IDが含まれており、ラベル選択部32の選択結果によって特定された商品IDは、後述する商品期限の算出に用いられる。
【0035】
識別情報選択部33は、主に制御部13および記憶部12により構成され、特定された生産者ID、およびラベル選択部32の選択結果に応じて、商品ラベルLのラベルイメージ22に挿入する生産者識別表示24を選択する。先ず、識別情報選択部33は、生産者データベース41を参照して、ログイン画面D1により入力された生産者ID(利用者ID)に対応する識別情報を選択する。そして、識別情報の表示形態テーブル42を参照し、ラベル選択部32により選択されたラベルサイズに応じて、表示する識別情報の表示形態を決定する(表示形態選択部)。
【0036】
期限マーク選択部34は、主に制御装置6により構成され、ラベル選択部32の選択結果に応じて、商品ラベルLのラベルイメージ22に挿入する期限マーク25を選択する。期限マーク選択部25は、商品期限データベース43を参照して、商品IDに対応する期限を算出し、算出した期限に対応する期限マーク25を選択する。
【0037】
印刷データ生成部35は、主に制御装置6により構成され、識別情報選択部33の選択した生産者識別表示24と、期限マーク選択部34の選択した期限マーク25と、をラベルデータに挿入して、商品ラベルLの印刷データを生成する。なお、生産者識別表示24および期限マーク25の挿入は、既存のラベルデータを構成するデータの縮小/拡大処理や、レイアウト変更処理を伴った画像処理を行ってもよいし、既存ラベルデータの余白に生産者識別表示24および期限マーク25を単純に付加する処理を行ってもよい。
【0038】
ラベル発行部36は、主にプリント機構5により構成され、印刷データ生成部35の生成した印刷データに基づいて、商品ラベルLを発行する。
【0039】
ここで、図5を参照し、生産者データベース41および識別情報の表示形態テーブル42について説明する。同図(a)に示すように、生産者データベース41には、生産者を特定する「生産者ID」、「生産者名」、「住所(市名)」、生産者を識別するための「識別情報」が登録されている(識別情報登録部)。識別情報は、各生産者に対して「似顔絵」、「マーク」、「色」の3種類の様式で登録されている。「似顔絵」は、生産者の顔をモチーフに作成された画像データである(図7(a)参照)。なお、生産者の顔写真の画像データを登録してもよい。「マーク」は、図示のように「星型」や「三角」などのマークの形(マーク形状)を示す。この「マーク」は、生産者の住所(生産地でもよい)を示すものであり、同一の市を住所とする生産者には、同じマークの形が登録されている。一方、「色」は、生産者個人を示すものであり、各生産者に対して個別に異なる色が登録されている。
【0040】
なお、「似顔絵(あるいは顔写真)」は、生産者の同意を得てから登録されているものであり、同意が得られなかった生産者については、登録「なし」となる。すなわち、「似顔絵」は、一部の生産者に対してのみ登録されている。一方、「マーク」および「色」は、すべての生産者に対して登録されている。
【0041】
図5(b)に示すように、識別情報の表示形態テーブル42は、商品ラベルLのラベルサイズに応じた識別情報の表示形態を示している。すなわち、表示形態テーブル42は、4種類のラベルサイズに対して、印刷可能な表示サイズとなる表示形態を示している。この表示形態とは、図示のように、「似顔絵」、「色×マーク」および「色のみ」の3つをさす。
【0042】
「似顔絵」は、生産者データベース41に登録されている似顔絵や顔写真である。本表示形態で表示される生産者識別表示24は、複雑な画像の内容(生産者の顔)が識別可能となるようなある程度の印刷面積(表示サイズ)を必要とするため、比較的面積の大きいラベルサイズである「100×130mm」および「80×100mm」に対して選択可能となっている。
【0043】
「色×マーク」は、生産者の住所(市)を示す形を成すマークが、生産者個人を示す色で塗りつぶされて構成されている。例えば、生産者データベース41に登録されている「マーク」が星型であって「色」が緑であれば、生産者識別表示24は、緑色の星型マークとなる(図7(b)参照)。本表示形態で表示される生産者識別表示24は、単純なマークであり、上記の「似顔絵」による生産者識別表示24に対して必要とする印刷面積(表示サイズ)が小さいため、「100×130mm」および「80×100mm」に加えて、面積の小さい「51×72mm」のラベルサイズに対しても選択可能となっている。なお、本表示形態で表示される生産者識別表示24は、テキストデータであることが好ましい。これによれば、商品ラベルLの印刷データのデータ量を抑えることができる。
【0044】
「色のみ」は、選択されたラベルデータの所定部分の背景の色を、登録されている「色」に変更する。本実施形態では、商品名、産地(市)名および生産者名を示すテキストデータの背景を登録されている「色」に変更する(図7(c)参照)。すなわち、本表示形態は、上記「似顔絵」や「マーク」のように、新たな印刷面積を必要とする生産者識別表示24をラベルデータに追加するのではなく、既存のラベルデータの印刷面積を変更せずに、生産者識別表示24をラベルデータに挿入することができる。よって、本表示形態は、そのほかの表示形態では選択できない最小のラベルサイズである「30×50mm」を含めたすべてのラベルサイズに対して選択可能となっている。
【0045】
なお、上記のように、識別情報選択部33は、選択されたラベルサイズに対して、表示形態テーブル42において「○」と表示されている表示形態の中から1の表示形態を選択するが、ラベルサイズが「100×130mm」および「80×100mm」のように「似顔絵」が印刷可能なラベルサイズにおいては、その他の「色×マーク」および「色のみ」ではなく、「似顔絵」を優先して選択する。但し、「似顔絵」が登録されていない生産者の場合は、「色×マーク」の表示形態を選択する。これによれば、印刷可能な限り、最も生産者の識別が容易な表示形態である「似顔絵」を優先して印刷することができる。なお、請求項における「特定の表示形態」とは、この「似顔絵」をさす。また、識別情報選択部33は、選択されたラベルサイズが「51×72mm」である場合には、「色×マーク」を優先して選択する。
【0046】
続いて、図6を参照し、商品期限データベース43および期限マーク25について説明する。同図(a)に示すように、商品期限データベース43には、「商品ID」、「商品名」、「期限の種類」、「期限」が登録されている(期限記憶部)。「商品ID」は、選択された商品ラベルLのラベルデータに含まれており、商品を特定するものである。「期限の種類」は、特定された商品に関する期限の種類を示す。本実施形態では、期限の種類として「消費期限」および「賞味期限」のいずれかが登録されている。「期限」は、ラベル作成日からの経過日数によって表現されている。なお、この商品期限は、主に、加工品である商品に対して登録されているものであり、すべての商品に対して登録されているものではない。
【0047】
図6(b)は、商品ラベルLに印刷する期限マーク25を示している。この期限マーク25は、記憶部12の所定の記憶領域に記憶(登録)されている(期限マーク登録部)。期限マーク25は、商品データベース43に登録されている「期限の種類」によって異なる様式で、算出される「期限」を示す。なお、期限マーク25は、ラベルサイズが「100×130mm」、「80×100mm」および「51×72mm」の商品ラベルLに対して印刷可能とする。
【0048】
図6(b)に示すように、期限の種類が「消費期限」の場合、期限マーク25は、1つの四角の形を成したマークで表される。各曜日に対して所定の色が定められており、このマークが塗りつぶされている色によって、期限日が何曜日であるかを示している。例えば、図示のように、算出した期限日が「月曜」の場合、赤色の四角で示されたマークが1つ印刷される。期限日が「火曜」の場合、黄色の四角で示されたマークが1つ印刷される。期限日が「水曜」の場合、緑色の四角で示されたマークが1つ印刷される。消費期限は、ラベル作成日から比較的短い期間で期限日を迎えるため、期限日が何曜日であるかを期限マーク25で示す構成となっている。
【0049】
一方、期限の種類が「賞味期限」の場合、期限マークは、4つの丸型を成したマークで表される。各月(1月〜12月)に対して所定の色が定められており、このマークが塗りつぶされている色によって、期限が何月であるかを示している。さらに、4つの丸型のマークは、左から順に各月の第1週から第4週を示しており、塗りつぶされている丸型マークの数によって、期限が第何週であるかを示している。例えば、図示のように、算出した期限が1月の第2週までであった場合、4つの丸型のマークのうち、期限の第2週を示す2つの丸型のマークが1月の色である赤色で塗りつぶされている。同様に、算出した期限が3月の第3週までであった場合、4つの丸型のマークのうち、期限の第3週を示す3つの丸型マークが3月の色である青色で塗りつぶされる。
【0050】
このように、商品期限(消費期限および賞味期限)を日付ではなく、マークと色で表すことによって、商品期限を直感的に認識することができる。例えば、同一品種の商品において、商品期限が異なる商品が混在していた場合、上記の期限マーク25によって、商品期限を直感的に把握することができるため、容易に回収する商品を識別することができる。
【0051】
続いて、図7を参照し、商品ラベルLの印刷例について説明する。同図(a)に示すのは、選択されたラベルサイズが「80×100mm」であって、生産者データベース41に「似顔絵」の登録がある場合の商品ラベルLの印刷例である。本商品ラベルLには、生産識別表示24として、登録されている似顔絵の画像データが印刷される。同図(b)は、ラベルサイズが「51×72mm」の商品ラベルLの印刷例である。本商品ラベルLには、生産者ID「001」の生産者を示す生産識別表示24が印刷されている。すなわち、生産者の住所を示す星型のマークが、生産者を特定する緑色で塗りつぶされて構成された生産者識別表示24が印刷されている。
【0052】
図7(c)は、ラベルサイズが「30×50mm」の商品ラベルLの印刷例である。本商品ラベルLには、生産識別表示24として、商品名、産地、生産者名を示すテキストデータの背景が、生産者ID「001」の生産者を特定する緑色に変換されて印刷されている。なお、本実施形態では、生産者識別表示24として、一部の背景の色を変更する構成としたが、生産識別表示24として、生産者を特定する色の枠画像(同図(c)−2参照)や、生産者を特定する色の背景画像(同図(c)−3参照)を印刷する構成としてもよい。
【0053】
図7(d)は、選択されたラベルサイズが「80×100mm」であって、商品期限データベース43に商品期限の登録がある場合の商品ラベルLの印刷例である。本商品ラベルLには、生産者識別表示24として、生産者を示す色(例えば青色)でぬりつぶされた星型のマークが印刷されている。さらに、商品期限を示す期限マークとして、期限日の水曜日を示す緑色で塗りつぶされた四角のマークが一つ印刷されている。すなわち、上記したように、本商品ラベルLの商品期限は、「消費期限」であり、期限日が水曜日を示している。なお、本商品ラベルLは、生産者が「製造者」として表示されている。
【0054】
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施形態のラベル作成方法について説明する。ラベル作成装置1(制御部13)は、生産者IDを取得すると(S01)、商品ラベルLの印刷候補をタッチパネルディスプレイ2に表示する(S02)。そして、印刷する商品ラベルLの選択操作信号を受信すると(S03)、選択した商品ラベルLのラベルサイズによって識別情報の表示形態を選択する(S04)。選択したラベルサイズが「30×50mm」であった場合(S04:「30×50mm」)、「色のみ」の表示形態を選択する(S05)。選択したラベルサイズが「51×72mm」であった場合(S04:「51×72mm」)、「色×マーク」の表示形態を選択する(S06)。選択したラベルサイズが「80×100mm」または「100×130mm」の場合であって(S04:「80×100mm」または「100×130mm」)、識別情報として「似顔絵」が登録されている場合(S07:Yse)、「似顔絵」の表示形態を選択する(S08)。一方、識別情報として「似顔絵」が登録されていない場合(S07:No)、「色×マーク」の表示形態を選択する(S09)。
【0055】
続いて、選択した商品ラベルLによって特定された商品について「商品期限」が登録されている場合(S10:Yes)、商品期限データベース43を参照して、期限を算出する(S11)。そして、算出した期限を示す期限マークを選択する(S12)。なお、S04においてラベルサイズが「30×50mm」であった場合には、商品期限の登録があっても、期限の算出および期限マークの選択(S11およびS12)は行わない。そして、選択した商品ラベルLのラベルデータに、選択した識別情報および商品期限を付加して、商品ラベルLの印刷データを生成する(S13)。そして、生成した印刷データに基づいて、商品ラベルLを発行する(S14)。
【0056】
上記のラベル作成装置1およびラベル作成方法によれば、文字による生産者名の表示の他に、似顔絵やマーク、背景によって生産者を識別するための生産者識別表示24を商品ラベルLに印刷するため、生産者および消費者は、直感的に商品の生産者を把握することができる。また、生産者識別表示24の表示形態を、印刷する商品ラベルLのラベルサイズに併せて選択するため、ラベルサイズによる印刷面積の制限のために生産者識別表示24が適切に印刷できないということがない。つまり、商品ラベルLのラベルサイズに併せて印刷可能な表示形態を選択し、生産者識別情報24を確実に印刷することができる。
【0057】
なお、上記の本実施形態では、商品ラベルLの印刷候補を選択することによって、商品ラベルLの印刷内容およびラベルサイズを同時に選択する構成としたが、同一の印刷内容について複数のラベルサイズを選択可能としてもよい。この場合、識別情報選択部33は、選択されたラベルサイズに応じて生産者識別情報24の表示形態を選択する。
【0058】
また、上記の実施形態では、印刷する商品ラベルLのラベルサイズに応じて、生産者識別情報24の表示形態を選択する構成としたが、商品ラベルLの種類(印刷内容)に応じて表示形態を選択する構成としてもよい。例えば、商品ラベルLが、成分表ラベルや価格ラベル、POPラベルによって、印刷する表示形態を予め設定しておき、印刷する商品ラベルLの種類によって、生産者識別情報24の表示形態を選択する構成としてもよい。この構成によれば、ラベルサイズにかかわらず、印刷内容による余白の有無や大きさに応じて、生産者識別表示24の表示形態を選択することができる。
【0059】
なお、上記のラベル発行部27(プリント機構5)を備えたプリンターと、制御装置およびタッチパネルディスプレイ2(生産者情報取得部31、ラベル選択部32、識別情報選択部33、期限マーク選択部34、印刷データ生成部35、生産者データベース41、生産者識別表示24の表示形態テーブル42、および商品期限データベース43)を備えたコンピューターと、が別体の装置で構成しても良い(ラベル作成システム)。
【符号の説明】
【0060】
1:ラベル作成装置 2:タッチパネルディスプレイ 6:制御装置 12:記憶部 13:制御部 24:生産者識別表示 25:期限マーク 31:生産者情報取得部 32:ラベル選択部 33:識別情報選択部 34:期限マーク選択部 35:印刷データ生成部 36:ラベル発行部 41:生産者データベース 42:表示形態テーブル 43:商品期限データベース 3:ラベル選択画面 L:商品ラベル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の生産者を識別するための識別情報を、複数の表示形態で登録する識別情報登録部と、
発行する商品ラベルの種類を選択するラベル選択部と、
前記ラベル選択部の選択結果に応じて、前記識別情報部に登録された前記識別情報の表示形態を選択する表示形態選択部と、
前記商品ラベルのラベルデータに、選択した表示形態で示された前記識別情報を付加して印刷データを生成する印刷データ生成部と、
前記印刷データに基づいて前記商品ラベルを発行するラベル発行部と、を備えたことを特徴とするラベル作成装置。
【請求項2】
前記表示形態選択部は、前記複数の表示形態のうち、前記ラベル選択部により選択された前記商品ラベルに印刷可能な表示サイズとなる表示形態を選択することを特徴とする請求項1に記載のラベル作成装置。
【請求項3】
前記表示形態選択部は、選択された前記商品ラベルに、複数の表示形態の識別情報を印刷可能な場合であって、それらの中に特定の表示形態が含まれる場合、当該特定の表示形態を選択することを特徴とする請求項2に記載のラベル作成装置。
【請求項4】
前記識別情報登録部は、前記識別情報を、前記生産者を識別するための顔画像、色およびマークの形のうち、少なくともいずれかの前記表示形態で登録していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のラベル作成装置。
【請求項5】
前記ラベル選択部は、前記商品ラベルの種類として、前記商品ラベルのサイズを選択することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のラベル作成装置。
【請求項6】
前記生産者を特定するための生産者情報を取得する生産者情報取得部をさらに備え、
前記印刷データ生成部は、前記ラベルデータに、前記生産者情報が特定する生産者の識別情報を付加することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のラベル作成装置。
【請求項7】
商品に関する期限を記憶する期限記憶部と、
前記期限を示す期限マークを登録する期限マーク登録部と、
発行する前記商品ラベルの商品の前記期限に応じた前記期限マークを選択する期限マーク選択部と、をさらに備え、
前記印刷データ生成部は、前記ラベルデータに、選択した前記期限マークをさらに付加することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のラベル作成装置。
【請求項8】
前記識別情報登録部、前記ラベル選択部、前記表示形態選択部および前記印刷データ生成部を備えたコンピューターと、
前記ラベル発行部を備えたプリンターと、で構成されることを特徴とするラベル作成システム。
【請求項9】
商品の生産者を識別するための識別情報を、複数の表示形態で登録する識別情報登録ステップと、
発行する商品ラベルの種類を選択するラベル選択ステップと、
前記ラベル選択ステップの選択結果に応じて、前記識別情報登録ステップで登録された前記識別情報の表示形態を選択する表示形態選択ステップと、
前記商品ラベルのラベルデータに、選択した表示形態で示された前記識別情報を付加して印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
前記印刷データに基づいて前記商品ラベルを発行するラベル発行ステップと、を備えたことを特徴とするラベル作成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111843(P2013−111843A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259912(P2011−259912)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】