説明

ラベル作成装置およびラベル作成方法

【課題】ラベルパターンカットを行うことなく、アプリケーションシート付きラベルを一連の工程で作成するラベル作成装置およびラベル作成方法を提供する。
【解決手段】剥離紙供給部から供給された紫外線硬化性の粘着剤54が塗布された剥離紙53の粘着剤塗布面側にラベル画像の形状に展開したラベル基材55’を転写し、転写されたラベル基材を剥離紙の粘着剤塗布面に加熱と加圧により定着させ、定着されたラベル基材の上に通常トナーによるラベル画像57’を転写後、転写されたラベル画像をラベル基材の上に再定着させ、そのラベル画像を転写・定着されたラベル基材の存在しない粘着剤領域に紫外線を照射して硬化させて剥離紙に固定させ、これらの上から剥離紙の全面をアプリケーションシート44で被覆する工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッティングプロッターによるラベルパターンカット処理を行うことなく、同処理を行ったと同様の状態のアプリケーションシート付きラベルを一連の工程で自動的に作成するラベル作成装置およびラベル作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、全面がフィルム基材と粘着剤付き剥離紙が重なったシートのフィルム基材に対しそれぞれ独立して任意の形に形成されているラベルパターンの輪郭に沿ってカッターを自動移動させて上記任意の形にカットしてラベルを作成する装置がある。
【0003】
この場合、一般的には、各ラベルパターンの連続する配置の間隔を一定に維持したままラベル全体を貼付け対象物に貼付けるために、ラベル表面側に離型性を持った粘着性の弱い透明シート(以下、アプリケーションシートという)を貼付けて、各ラベルパターンの配置を一時的に固定する。
【0004】
そして、その状態で裏面の剥離紙をはがし、粘着剤がフィルム基材側に粘着している状態で、貼付け対象物にアプリケーションシートごと貼付け、フィルム基材を貼付け対象物に固定後にアプリケーションシートを剥がす。
【0005】
これにより、各ラベルパターンの連続する配置の間隔が一定に維持された状態でラベルが貼付け対象物に貼付けられて、ラベルの貼り付けが完了する。
【0006】
ところで、上記の方式の場合、カッティングプロッターでラベルパターンをカットした後アプリケーションシートを貼る前に、ラベルパターン周辺の不要部分のフィルム基材を除去する必要がある。そして、この作業を自動的に行なう装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0007】
ところが、不要部分はラベルパターンの周辺部だけでなく、ラベルパターンの内側に島状に孤立した部分や複雑に入組んだ形状のものなどもある。そして、これらを自動的に剥ぎ取るためには極めて複雑なメカニズムや検知機構を具備した高価な装置が必要となる。
【0008】
この問題を解決すべく、粉体樹脂を電子写真方式で粘着剤付きの剥離紙に転写し、その粉体樹脂を熱溶融してラベル基材とし、その上に画像印刷することにより任意の形のラベルを作成するラベル作成装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−137195号公報
【特許文献2】特開2007−283745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献2の技術は、ラベルパターンの周辺部はもちろんのこと、ラベルパターンの内側に島状に孤立した部分の余白部分も、ラベル基材自体が形成されないため、トナー像の現像、転写、定着の完成時で、ラベルパターン全ての余白不要部分を除去した状態になっている。
【0011】
換言すれば、カッティングプロッターによるカッティング処理が不要な状態、つまり極めて複雑なメカニズムや検知機構を具備した高価な装置を用いることなく、カッティング処理を行った直後の状態と同じ状態を作り出すことができる。
【0012】
ところが、特許文献2の技術では、カッティング処理を行った直後の状態と同じ状態を作り出すことができるとはいうものの、その後に続くアプリケーションシートを貼付ける作業と連動するシステムが考慮されていない。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、粘着剤付き剥離紙、剥離紙の粘着剤層にトナーで形成されたラベル基材、ラベル基材の上にトナーで形成されたラベルパターン、及びこれらの上に貼り付けられたアプリケーションシートから成るラベルを一連の工程で、カッティングプロッターによるラベルパターンカット処理を行うことなく、同処理を行った直後の状態と同一の状態で自動的に作成するラベル作成装置およびラベル作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のラベル作成装置は、紫外線硬化性の粘着剤が塗布されている剥離紙を供給する剥離紙供給部と、該剥離紙供給部から供給される上記剥離紙の上記粘着剤の塗布面側に、熱可塑性樹脂から成り所望の形状に展開したラベル基材を転写するラベル基材転写部と、該ラベル基材転写部により転写されたラベル基材を上記剥離紙の上記粘着剤塗布面に定着させるラベル基材定着部と、上記剥離紙の上記粘着剤塗布面に定着されたラベル基材の上に通常トナーによるラベル画像を転写するラベル画像転写部と、該ラベル画像転写部により転写されたラベル画像を上記ラベル基材の上に定着させるラベル画像定着部と、上記ラベル画像を転写・定着された上記所望の形状の上記ラベル基材の存在しない上記粘着剤領域に紫外線を照射して硬化させ、硬化した上記粘着剤を上記剥離紙に固定させる紫外線照射固定部と、上記ラベル画像を転写・定着された上記ラベル基材と上記粘着剤の硬化部とを含む上記剥離紙の全面をアプリケーションシートにより被覆するアプリケーションシート被覆部と、を有して構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、カッティングプロッターによるラベルパターンカット処理を行うことなく、同処理を行ったと同様の状態のアプリケーションシート付きラベルを一連の工程で自動的に作成するラベル作成装置およびラベル作成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係るラベル作成装置の内部構成を示す断面図である。
【図2】(a),(b),(c)は実施例1に係るラベル作成装置で作成されるラベルの第1段階の作成工程を模式的に示す図である。
【図3】(a)は第2段階のラベル作成工程における印刷工程で形成される黒トナーでロゴ印刷されたラベルの平面図、(b),(c)は第2段階のラベル作成工程を図3(a)のA−A´断面矢視図で示す図である。
【図4】(a),(b),(c)は第3段階のラベル作成工程におけるアプリケーションシート部の処理動作を示す動作状態図、(d)は(a),(b)における露出粘着剤の固化工程で固化した固化粘着剤を示す図、(e)は(b)におけるアプリケーションシートの貼着と(c)における裁断により完成して機外に排出された完成ラベルの状態を示す図である。
【図5】(a),(b),(c)は参考のため実施例1に係るラベル作成装置により作成した完成ラベルを用いてラベルパターンをラベル貼着対象物に貼り付ける手作業の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明における以下の説明において、上述した剥離紙供給部は例えば給紙部2等であり、ラベル基材転写部は例えばラベル画像形成部3、ラベル基材部13等であり、ラベル基材定着部は例えば定着部5等であり、ラベル画像転写部は例えばラベル画像形成部3、印刷部14等であり、ラベル画像定着部は例えば定着部5等であり、紫外線照射固定部は例えばUV(ultraviolet)照射部40であり、アプリケーションシート被覆部は例えばアプリケーションシート部7等である。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係るラベル作成装置の内部構成を示す断面図である。同図に示すように、ラベル作成装置1は、給紙部2、ラベル画像形成部3、搬送部4、定着部5、送り戻し機構部6、アプリケーションシート部7、及び排出部8(8a、8b)を備えている。
【0019】
給紙部2は、ラベル作成装置1の側面から外部斜め上方に張り出して設けられた給紙トレー9、その給紙トレー9の給紙口に配設された給紙ローラ11、その給紙ローラ11の給紙方向に配置された待機ローラ対12を備えている。上記の給紙トレー9には、予め上面に紫外線硬化性の粘着剤が塗布されている剥離紙が一枚ごとに載置される。
【0020】
ラベル形成部3は、ラベル基材部13と印刷部14を備えている。ラベル基材部13と印刷部14は、粉体ホッパー15にラベル基材を収容しているか黒トナーを収容しているかの違いだけで、その他は同一の構成である。
【0021】
すなわち、ラベル基材部13と印刷部14は、それぞれ感光体ドラム16と、この感光体ドラム16を中心に、感光体ドラム16の周面を取り囲むようにして配置されたクリーナ17、初期化帯電器18、光書込ヘッド19、及び上述した粉体ホッパー15を備えている。
【0022】
更に、ラベル基材部13と印刷部14は、それぞれ粉体ホッパー15の下部開口部に回転可能に保持された現像ローラ21、搬送ベルト22の上部搬送面を介して感光体ドラム16の下面に対向して圧接する転写ローラ23を備えている。
【0023】
ラベル基材部13の粉体ホッパー15内には、塩化ビニリデン等の粉体状の熱可塑性樹脂粉体から成るラベル基材が収容されている。また、印刷部14の粉体ホッパー15内には、黒トナーが収容されている。
【0024】
これらの粉体ホッパー15内には、ラベル基材又は黒トナーに埋没するように粉体供給ローラ25が現像ローラ21に摺接して配置され、その上方でドクターブレード23が同じく現像ローラ21に摺接して配置されている。
【0025】
ラベル基材又は黒トナーに埋没するように粉体供給ローラ24が現像ローラ21に摺接して配置され、その上方でドクターブレード25が同じく現像ローラ21に摺接して配置されている。
【0026】
搬送部4は、上述した搬送ベルト22、この搬送ベルト22が掛け渡された駆動ローラ26と従動ローラ27、搬送ベルト22を張設するテンションローラ28、搬送ベルト22の用紙搬送方向上流側(図では右方)を、実線と破線で示すように、印刷部14の感光体ドラム16に離接させる不図示の回動機構などで構成されている。
【0027】
定着部5は、断熱性筐体29と、この断熱性筐体29に囲まれて対向配置された発熱ローラ31と押圧ローラ32、発熱ローラ31と押圧ローラ32の下流側(図では左方)に配置された搬出ローラ33とで構成されている。
【0028】
送り戻し機構部6は、定着部5の搬出ローラ33と給紙部2の待機ローラ対12との間にほぼ均等な距離で6箇所に配置された送り戻しローラ対34(34a〜34f)、及びこれらの送り戻しローラ対34の先々に配置された送り戻し案内路35(35a〜35f)を備えている。
【0029】
アプリケーションシート部7は、搬入ローラ対36、搬入案内路37、折返しローラ38、圧着ローラ39、第1搬出ローラ対41、カッター42、第2搬出ローラ対43が搬送路に沿って配置されている。また、搬入ローラ対36の上流側に形成されている搬入口の上方にはUV(ultraviolet)照射部40が配置されている。
【0030】
また、搬入案内路37の上方には、アプリケーションシート44が連続シートロール44aの状態で装着されたアプリケーションシート保持部45が配置されている。連続シートロール44aの状態から繰り出されるアプリケーションシート44は、折返しローラ38を介しアプリケーションシート保持部45と第1搬出ローラ対41との間に張設されている。
【0031】
排出部8bは、定着部5の搬出ローラ33の直後に配置された第1切替フラップ46、切替フラップ46より下流側上方に配置された第2切替フラップ47、この第2切替フラップ47より下流側上方に配置された搬送ローラ対48、排紙案内路49、及び排紙案内路49の終端に配置された排紙ローラ対51、この排紙ローラ対51の外部下方から斜め上方に傾斜してラベル作成装置1本体上面に形成された排紙トレー52とで構成されている。
【0032】
排出部8aは、後述する第3段階のラベル作成工程を通過し、アプリケーションシートを貼付けられてラベルとして完成した完成ラベルをラベル作成装置1より機外に排出する排出口を形成している。
【0033】
図2(a),(b),(c)は、上記構成のラベル作成装置1で作成されるラベルの第1段階の作成工程を模式的に示す図である。図1及び図2を用いて第1段階のラベル作成工程を以下に説明する。
【0034】
先ず、図2(a) は、ラベル作成装置1の給紙トレー9に載置される粘着剤付き剥離紙を示している。図2(a) に示すように、剥離紙53の上面には粘着剤54が予め塗布されている。
【0035】
この粘着剤付き剥離紙53(以下、単に剥離紙53ともいう)は、給紙ローラ11によって機内に搬入され、待機ローラ対12に向けて給送される。待機ローラ対12は回転を一時停止して、その挟持部に剥離紙53の先端を当接させて進行を制止し、搬送タイミングを待機する。
【0036】
ラベル画像形成部3の印刷部14では、現像ローラ21への現像バイアスの印加と転写ローラ23への転写バイアスの印加が停止されている(または逆電位のバイアスが印加されている)。これにより、印刷部14による黒トナーによる印刷機能は停止している。
【0037】
また、この印刷部14による印刷機能停止に伴って、不図示の回動機構により搬送ベルト22の用紙搬送方向上流側が図1の破線で示す退避位置に離隔している。これにより搬送ベルト22の上部搬送面はラベル基材部13の感光体ドラム16にのみ当接している。
【0038】
この状態で、ラベル基材部13においては、感光体ドラム16は時計回り方向に回転する。初期化帯電器18は、感光体ドラム16周面に一様な高マイナス電荷を付与する。光書込ヘッド19は、その感光体ドラム16周面に露光信号に応じて露光を行って低電位部を形成する。
【0039】
これにより、上記初期化による高マイナス電位部と、露光による低マイナス電位部からなるベタ印刷の静電潜像が所望のラベル画像に対応した状態で形成される。
【0040】
粉体供給ローラ24は、粉体状の熱可塑性樹脂粉体からなるラベル基材を現像ローラ21に擦り付けるようにして供給する。ドクターブレード25は、現像ローラ21表面のラベル基材の熱可塑性樹脂粉体を一定の層厚に規制する。これにより、ラベル基材の熱可塑性樹脂粉体は摩擦による弱いマイナス電位に帯電して現像ローラ21の表面に付着する。
【0041】
現像ローラ21は表面に一定の層厚で付着したラベル基材の熱可塑性樹脂粉体を回転しながら感光体ドラム16との対向部つまり現像部へと回転搬送する。
【0042】
現像ローラ21には、例えば「−250V」の現像バイアスが不図示のバイアス電源から印加されている。また、感光体ドラム16の静電潜像の低電位部は、露光によって電位が例えば「−70V」に低下している。
【0043】
これにより、現像部では、感光体ドラム16と現像ローラ21との間に「−180V」の電位差が形成される。即ち静電潜像の低電位部は現像ローラ21に対して相対的にプラス極性の電位を形成する。
【0044】
この電位差により上記マイナス極性に帯電しているラベル基材の熱可塑性樹脂粉体が感光体ドラム16の静電潜像のプラス極性のマイナス低電位部に転移して、ラベル基材の熱可塑性樹脂粉体による所望の形状のベタ印刷の画像が形成(反転現像)される。
【0045】
このラベル基材の熱可塑性樹脂粉体による所望の形状に現像されたベタ印刷画像は、感光体ドラム16の回転によって、感光体ドラム16と転写ローラ23とが対向する転写部に搬送される。
【0046】
感光体ドラム16周面上のラベル基材のベタ印刷画像の先端が転写ローラ23との対向部に回転搬送されてくるタイミングで、その対向部に剥離紙53が搬送される。
【0047】
転写ローラ23は、不図示の転写バイアス電源から出力される転写電流(又は転写電圧)を搬送ベルト22を介して剥離紙53に印加する。これにより、感光体ドラム16上のラベル基材のベタ印刷画像55(55a、55b、55c)が、図2(b)に示すように剥離紙53に転写される。
【0048】
ラベル基材の所望の形状のベタ印刷画像55を転写された剥離紙53は、定着部5に搬入され、発熱ローラ31による加熱と押圧ローラ32による加圧により、ラベル基材のベタ印刷画像55を粘着剤54の面に定着される。
【0049】
図2(c) は、そのようにラベル基材のベタ印刷画像55が剥離紙53の粘着剤54の面に定着ラベル基材55´(55a´、55b´、55c´)となって固着された状態を示している。
【0050】
このように、粘着剤54の面に定着ラベル基材55´を固着された剥離紙53は、第1切換フラップ46が斜め上向きの実線位置に回動していることにより、送り戻し機構部6に送り込まれる。
【0051】
送り戻し機構部6に送り込まれた剥離紙53は、6箇所の送り戻しローラ対34(34a〜34f)、及び送り戻し案内路35(35a〜35f)により、待機ローラ対12へと送り戻されて、第2段階のラベル作成工程に入る。
【0052】
図3(a)は、第2段階のラベル作成工程における印刷工程で形成されるモノクロトナー画像の例えば「いろと」とロゴ印刷されたラベル56の平面図であり、図3(b),(c)は、第2段階のラベル作成工程を、図3(a)のA−A´断面矢視図で示す図である。
【0053】
この第2段階のラベル作成工程では、ラベル基材部13の現像ローラ21への現像バイアスの印加と転写ローラ23への転写バイアスの印加が停止され(または逆電位のバイアスが印加され)、ラベル基材のベタ印刷画像の形成機能が停止される。
【0054】
代わって印刷部14では、現像ローラ21への現像バイアスの印加と転写ローラ23への転写バイアスの印加が開始され、黒トナーによる印刷機能が起動される。
【0055】
また、この印刷機能の起動に伴って、不図示の回動機構により搬送ベルト22の用紙搬送方向上流側が図の実線で示す印刷位置に回動し、搬送ベルト22の上部搬送面が印刷部14の感光体ドラム16に当接する。
【0056】
以下、上述したラベル基材部13のラベル基材のベタ印刷画像55の現像及び転写と同様にして、上記所望の形状の定着ラベル基材55´(55a´、55b´、55c´)の上に、図3(b)に示すように、印刷部14の黒トナーによる所望の印刷データの黒トナー画像57(57a、57b、57c)が転写される。
【0057】
黒トナーによる所望の印刷データの黒トナー画像57を定着ラベル基材55´上に転写された剥離紙53は、再び定着部5に搬入され、加熱と加圧により、図3(c)に示すように、定着ラベル基材55´上に、印刷データの黒トナー画像57を定着黒トナー画像57´(57a´、57b´、57c´)として定着され、ラベルパターン完成紙が出来上がる。
【0058】
剥離紙53が、上記の第2工程を終えてラベルパターン完成紙となった後、アプリケーションシート貼付け作業の必要が無いときは、排出部8bは、第1切替フラップ46を図1の破線位置に回動させ、第2切替フラップ47を図1の実線位置に回動させて、ラベルパターン完成紙を搬送ローラ対48方向に案内して排紙トレー52に排出する。
【0059】
一方、アプリケーションシートの貼付けが必要な場合は、定着黒トナー画像57´を定着されてラベルパターン完成紙となった剥離紙53は、第1切換フラップ46が破線位置、第2切換フラップ47も破線位置に回動していることにより、アプリケーションシート部7に向けて送出される。
【0060】
図4(a),(b),(c)は、第3段階のラベル作成工程におけるアプリケーションシート部7の処理動作を示す動作状態図であり、図4(d)は図4(a),(b)における露出粘着剤の固化工程で固化した固化粘着剤54´を示す図、図4(e)は図4(b)におけるアプリケーションシートの貼着と図4(c)における裁断により完成し、機外に排出された、完成ラベルの状態を示す図である。尚、図4(d),(e)はいずれも図3(a)のA−A´矢視断面を示している。
【0061】
この第3段階のラベル作成工程では、図4(a)の矢印aで示すように、アプリケーション部7に搬入される剥離紙53の表面にUV照射部40により紫外線58が照射される。この紫外線58の照射は、図4(b)に示すように、剥離紙53の後端部がアプリケーション部7の搬入口を通過するまで継続される。
【0062】
これにより、図4(d)に示すように、ラベルパターン完成紙において定着ラベル基材55´及び定着黒トナー画像57´の輪郭の外方に露出している粘着剤54が硬化し、硬化粘着剤54´となって剥離紙53に固着する。
【0063】
この状態で、剥離紙53の先端部が、折返しローラ38の位置に到達すると、それまで図4(a)に示すように下方の待機位置に待機していた圧着ローラ39が図4(b)に示すように上昇する。
【0064】
これにより、ラベルパターン完成紙としての剥離紙53はアプリケーションシート44と共に、折返しローラ38と圧着ローラ39により挟持され、アプリケーションシート44をラベルパターンの上に貼着されながら搬送される。
【0065】
そして、図4(c)に示すように、剥離紙53の後端が第1搬出ローラ対41を通過し、カッター42の位置をやや過ぎた位置にくると、それまで図4(a),(b)に示すように上方の退避位置に退避していたカッター42が降下して、アプリケーションシート44を切断する。
【0066】
アプリケーションシート44を貼着された剥離紙53は、そのまま第2搬出ローラ対43により、図4(e)に示す完成ラベル49として機外に排出される。
【0067】
図5(a),(b),(c)は、参考のため、上記の完成ラベル49を用いてラベルパターンを、ラベル貼着対象物に貼り付ける手作業の手順を示す図である。
【0068】
先ず、図5(a)に示すように、アプリケーションシート44を指で矢印bで示すように剥離紙53から引き離す。このとき、固化して剥離紙53側に固着した固化粘着剤54´は剥離紙53側に残された状態となる。
【0069】
そして、表面に印刷データの定着黒トナー画像57´が形成され裏面に粘着剤54を有する定着ラベル基材55´の部分、すなわちラベルパターンのみが、剥離紙53から剥離してアプリケーションシート44と共に取り出される。
【0070】
続いて、図5(b)に示すように、ラベル貼着対象物61の面に、アプリケーションシート44のラベルパターン保持面44´を当て、上から手の平で満遍なく押圧する。あるいはアイロン掛けをしてもよい。
【0071】
そして、図5(c)に示すように、アプリケーションシート44をラベル貼着対象物61の面から引き離すと、定着黒トナー画像57a´、57b´、57c´からなるラベルパターン(図3(a)参照)がラベル貼着対象物61に貼着され、アプリケーションシート44が剥離する。
【0072】
このように、本発明の実施例1に係るラベル作成装置1によれば、いかに複雑な図柄のラベルパターンであっても、高精度な検知機能とカッティング機能が要求されるカッティングプロッターを用いることなく、同処理を行ったと同様の状態のアプリケーションシート付きラベルを一連の工程で自動的に作成することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0074】
紫外線硬化性の粘着剤が塗布されている剥離紙を供給する剥離紙供給部と、
該剥離紙供給部から供給される前記剥離紙の前記粘着剤の塗布面側に、熱可塑性樹脂から成り所望の形状に展開したラベル基材を転写するラベル基材転写部と、
該ラベル基材転写部により転写されたラベル基材を前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着させるラベル基材定着部と、
前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着されたラベル基材の上に通常トナーによるラベル画像を転写するラベル画像転写部と、
該ラベル画像転写部により転写されたラベル画像を前記ラベル基材の上に定着させるラベル画像定着部と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記所望の形状の前記ラベル基材の存在しない前記粘着剤領域に紫外線を照射して硬化させ、硬化した前記粘着剤を前記剥離紙に固定させる紫外線照射固定部と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記ラベル基材と前記粘着剤の硬化部、とを含む前記剥離紙の全面をアプリケーションシートにより被覆するアプリケーションシート被覆部と、
を有することを特徴とするラベル作成装置。
[付記2]
【0075】
前記所望の形状は、ラベル画像である、ことを特徴とする付記1記載のラベル作成装置。
[付記3]
【0076】
紫外線硬化性の粘着剤が塗布されている剥離紙を供給する剥離紙供給工程と、
該剥離紙供給部から供給される前記剥離紙の前記粘着剤の塗布面側に、熱可塑性樹脂から成り所望の形状に展開したラベル基材を転写するラベル基材転写工程と、
該ラベル基材転写部により転写されたラベル基材を前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着させるラベル基材定着工程と、
前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着されたラベル基材の上に通常トナーによるラベル画像を転写するラベル画像転写工程と、
該ラベル画像転写部により転写されたラベル画像を前記ラベル基材の上に定着させるラベル画像定着工程と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記所望の形状の前記ラベル基材の存在しない前記粘着剤領域に紫外線を照射して硬化させ、硬化した前記粘着剤を前記剥離紙に固定させる紫外線照射固定工程と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記ラベル基材と前記粘着剤の硬化部、とを含む前記剥離紙の全面をアプリケーションシートにより被覆するアプリケーションシート被覆工程と、
を含むことを特徴とするラベル作成方法。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、カッティングプロッターによるラベルパターンカット処理を行うことなく、同処理を行ったと同様の状態のアプリケーションシート付きラベルを一連の工程で自動的に作成するラベル作成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ラベル作成装置
2 給紙部
3 ラベル画像形成部
4 搬送部
5 定着部
6 送り戻し機構部
7 アプリケーションシート部
8(8a、8b) 排出部
9 給紙トレー
11 給紙ローラ
12 待機ローラ対
13 ラベル基材部
14 印刷部
15 粉体ホッパー
16 感光体ドラム
17 クリーナ
18 初期化帯電器
19 光書込ヘッド
21 現像ローラ
22 搬送ベルト
23 転写ローラ
24 粉体供給ローラ
25 ドクターブレード
26 駆動ローラ
27 従動ローラ
28 テンションローラ
29 断熱性筐体
31 発熱ローラ
32 押圧ローラ
33 搬出ローラ
34(34a〜34f) 送り戻しローラ対
35(35a〜35f) 送り戻し案内路
36 搬入ローラ対
37 搬入案内路
38 折返しローラ
39 圧着ローラ
40 UV(ultraviolet:紫外線)照射部
41 第1搬出ローラ対
42 カッター
43 第2搬出ローラ対
44 アプリケーションシート
44a 連続シートロール
45 アプリケーションシート保持部
46 第1切替フラップ
47 第2切替フラップ
48 搬送ローラ対
49 排紙案内路
51 排紙ローラ対
52 排紙トレー
53 剥離紙
54 粘着剤
55(55a、55b、55c) ラベル基材のベタ印刷画像
55´(55a´、55b´、55c´) 定着ラベル基材
56 ラベル
57(57a、57b、57c) 黒トナー画像
57´(57a´、57b´、57c´) 定着黒トナー画像
58 紫外線
59 完成ラベル
61 ラベル貼着対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化性の粘着剤が塗布されている剥離紙を供給する剥離紙供給部と、
該剥離紙供給部から供給される前記剥離紙の前記粘着剤の塗布面側に、熱可塑性樹脂から成り所望の形状に展開したラベル基材を転写するラベル基材転写部と、
該ラベル基材転写部により転写されたラベル基材を前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着させるラベル基材定着部と、
前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着されたラベル基材の上に通常トナーによるラベル画像を転写するラベル画像転写部と、
該ラベル画像転写部により転写されたラベル画像を前記ラベル基材の上に定着させるラベル画像定着部と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記所望の形状の前記ラベル基材の存在しない前記粘着剤領域に紫外線を照射して硬化させ、硬化した前記粘着剤を前記剥離紙に固定させる紫外線照射固定部と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記ラベル基材と前記粘着剤の硬化部、とを含む前記剥離紙の全面をアプリケーションシートにより被覆するアプリケーションシート被覆部と、
を有することを特徴とするラベル作成装置。
【請求項2】
前記所望の形状は、ラベル画像である、ことを特徴とする請求項1記載のラベル作成装置。
【請求項3】
紫外線硬化性の粘着剤が塗布されている剥離紙を供給する剥離紙供給工程と、
該剥離紙供給部から供給される前記剥離紙の前記粘着剤の塗布面側に、熱可塑性樹脂から成り所望の形状に展開したラベル基材を転写するラベル基材転写工程と、
該ラベル基材転写部により転写されたラベル基材を前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着させるラベル基材定着工程と、
前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に定着されたラベル基材の上に通常トナーによるラベル画像を転写するラベル画像転写工程と、
該ラベル画像転写部により転写されたラベル画像を前記ラベル基材の上に定着させるラベル画像定着工程と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記所望の形状の前記ラベル基材の存在しない前記粘着剤領域に紫外線を照射して硬化させ、硬化した前記粘着剤を前記剥離紙に固定させる紫外線照射固定工程と、
前記ラベル画像を転写・定着された前記ラベル基材と前記粘着剤の硬化部、とを含む前記剥離紙の全面をアプリケーションシートにより被覆するアプリケーションシート被覆工程と、
を含むことを特徴とするラベル作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−75370(P2013−75370A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215236(P2011−215236)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】