説明

ラベル印字装置

【課題】ラベル印字する操作を予め定められた特定人のみに制限できるようにする。
【解決手段】ラベルプリンタ1に暗号キーを記憶する登録マスターと、暗号キーの照合手段と、暗号キーを記憶してこの暗号キーをRF送信するRFIDカード10と、RF送信された暗号キーを受信するリーダ/ライタ5とからなるラベル印刷装置において、ラベルプリンタ1のハウジング2にはRFIDとの離間距離を規制して通信するためのガイド溝7を設ける。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明はラベル印字装置、特にラベル印字する操作を予め定められた特定人のみに制限できるようにしたラベル印字装置に関する。
【従来の技術】従来のラベル印字装置において、その操作を特定人のみに制限したい場合、装置を構成するハードウエアの一部に機械的な錠を設け、施錠すると装置への操作が無効となるようにする一方、錠を解除する鍵を特定人が管理するようにしたものがある。また、他の公知技術として、特定のパスワードを設け、このパスワードを知る者のみが操作可能としたものもある。
【発明が解決しようとする課題】しかし、機械的な鍵はマスターキーやそのコピーである鍵から容易に複製が作れてしまうという欠点がある。また、パスワードは漏洩し易く、頻繁に変更する必要がある。いずれにせよ、従来の技術では管理が難しく、しばらくするとラベル印字装置を操作できる者が何人いるのか解らなくなりかねないという欠点がある。本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、その目的は操作が容易であり、かつ、不正に使用することを困難にしたラベル印字装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のラベル印字装置は、特定の暗号キーにのみ印字動作を許容する照合手段と、前記暗号キーを記憶する登録マスターと、前記暗号キーを記憶してこの暗号キーのRF送信を行うRFIDと、RF送信された暗号キーを受信する通信装置とからなるラベル印字装置において、前記通信装置はRFIDとの離間距離を規制して通信するためのRFIDガイドを設けたことを特徴とする構成を採用する。ここで、前記照合手段が暗号キーの不一致を検出した場合に、そのRFIDを無効にする無効化手段を備えることもできる。また、暗号キーを前記RFIDにRF送信して暗号キーの新規登録または更新することを可能にしてもよい。上記構成によれば、RFIDの通信可能な範囲は数十cmから数mまで区々であるが、磁気カード用リーダ/ライタ等で慣れ親しんだガイドにRFIDを差し込めば、RFIDとリーダ/ライタを通信可能な所定距離内で処理できる。また、無効化手段を設ければ不正なRFIDを発見した場合に即その場で抹消できる。そして、RFIDにRF送信して暗号キーの新規登録または更新できるようにすれば、必要に応じて操作可能なオペレーターを増減できる。
【発明の実施の形態】以下に、図1ないし図6を用いて本発明の好ましい実施の形態について詳述する。まず、図1中の1に示すのは本実施の形態のラベル印字装置の印字部を構成するラベルプリンタである。該ラベルプリンタ1は、合成樹脂等によって成形された箱形のハウジング2と、該ハウジング2の上面に一体形成された操作パネルに入力手段としてのキーボード3、表示装置としての液晶ディスプレイ装置(LCD)4と、後述するRFIDカード10とRF送信/受信を行うRFIDリーダ/ライタ5とを備えている。また、ハウジング2の前面には、印字されたラベルを排出する発行口6と、RFIDカード10を差し入れるためのガイド溝7とがそれぞれ形成されている。図2は図1中の矢示II-IIに沿ったハウジング2の断面図である。同図に示す如く、前記ガイド溝7はRFIDリーダ/ライタ5の下部にRFIDカード10を挿通可能とするように形成されている。プリンタ印字部8は、サーマルヘッドやプラテンローラなどを備えている。9はラベルプリンタ1の電気回路(プリント配線板等)やモータ等を収容する部位である。これら8.9は金属部品(部材)を含んで構成されるため、RFIDリーダ/ライタ5はハウジング2の上面方向およびガイド溝7方向に対して効果的に電磁波による通信ができるようになっている。10はRFIDカードであり、ここでRFIDとは、「Radio Frequency Identification」の略称である。このようなRFIDは、小型の記録媒体(データキャリア)とリーダライタとの組み合わせにより、電波を使って個体の識別やデータの送受信を行うシステムである。本実施の形態のラベル印字装置では、ラベルプリンタ1とそれらのオペレータとの間でRFIDによる個体の識別及びデータの送受信を行う。RFIDは、例えば特開平10−273208号公報等にも紹介されているような周知の技術であるので、その説明は省略する。図3はラベルプリンタ1とRFIDカード10の要部を示すブロック図である。プリンタ1の制御部を構成するCPU11は、データバス12を介してROM13、RAM14と接続されている。ROM13には後述するフロー図(図 )に示す処理を行う制御プログラム等が記憶され、RAM14には各種メモリのエリアが形成されている。CPU11は、サーマルヘッド制御回路15にも接続されており、この15によってサーマルヘッド16を制御する。また、CPU11は、データバス12を介してラベル搬送制御回路17に接続され、この17によってラベル搬送機構18を制御し、パルスモータを駆動させてラベル用紙Lを搬送する。19はラベル用紙Lに予め印刷された位置検出マーク(アイマーク)を基に印字位置を検出するための光反射センサ、20は該光反射センサ19を前記データバス12に接続するように設けられたアイマーク検出回路であり、光反射センサ19がラベルLを検出したタイミングに基づいてモータを駆動する。21はラベル用紙L等の印字媒体(メディア)の有無や残量の少なくなった時期を検出するためのメディア検出センサであり、マイクロスイッチやロータリエンコーダなどが好適に用いられる。22は該メディア検出センサ21を前記データバス12に接続するように設けられたラベル切れ検出回路であり、メディア検出センサ21がラベルLの無くなったのを検出すると操作パネルの表示装置やブザー等で警告するようになっている。23はホストコンピュータ24と印字データや発行履歴のデータを送受信するための送受信制御回路(通信I/F)であり、前記データバス12に接続されている。25は操作パネル制御回路で、該操作パネル制御回路25は操作パネル26に設けられたテンキー、操作キー、液晶画面及び、隠し蓋などに納められたディップスイッチなどを前記データバス12に接続している。27はフラッシュROMで、その内部のマスターキー収納部に登録マスター28を格納している。該登録マスター28にはプリンタ1を操作するための暗号キーが登録されている。そして、前記フラッシュROM27はプリンタ1の通電時に書込を行うと、プリンタ1の電源を切った後もその記録が保持される。また、前述のRFIDリーダ/ライタ5もデータバス12を介してCPU11に接続され、このRFIDリーダ/ライタ5からRFIDカード10に信号を送受信する。一方、RFIDカード10は、マイクロプロセッサ(MPU)29を有しており、このMPU29が、前記プリンタ1とほぼ同様にデータバス30を介して、データROM31、プログラムROM32、フラッシュROM33,RAM34、通信手段35に接続されている。そして、前記通信手段35を介してプリンタ1のリーダ/ライタ5に無線信号を送受信する。次にラベルプリンタ1が行う動作について図4、図5に基づき説明する。通常の、ラベルに印字する処理を行う場合、図示しない電源スイッチの投入によりスタートし、メモリやCPU等のイニシャライズ(初期化)を行い(S1)、ラベル用紙位置やカッターをホームポジションまで移動する。また、ROM13内の制御プログラムをRAM14に読み込んで実行可能にする(S2)。次いで、液晶表示装置4にRFIDカード10の提示を求める表示をして、RFIDカード10をリーダ/ライタ5で読みとる(S3)。 次のステップS4で、CPU11はRFIDカード10と通信できたか否かを判定する。RFIDカード10を検出した場合はS5に進み、検出できない場合はS3に戻る。ここで、RFIDカード10の通信可能な範囲は数十cmから数mまで色々ある。リーダ/ライタ5の上に翳すだけで足りる場合もあるが、通信可能な距離がごく短い場合(繰り返しRFIDカード10が認識されない場合)は、プリンタ1のガイド溝7にRFIDカード10を差し込むとよい。ガイド溝7は磁気カードのリーダ/ライタと似ているが、この中に磁気ヘッドなどは設けておらず、リーダ/ライタ5に所定距離まで近づける目安として用いられる。S4でRFIDカード10が検出されると、S5でRFIDカード10のフラッシュROM33に記録された暗号キーを読み出す(S5)。そして、プリンタ1のフラッシュROM27の登録マスター28に登録されている(ラベルプリンタ1の操作を許可されている)かどうかの照合が行われる(S6)。S7で照合結果が一致すれば、ラベルプリンタ1が使用可能になる(S8)。一方、S7で照合結果が一致しない場合、RFIDカード10が不正である可能性があるので、RFIDカード10のフラシュROM33を初期化して、新たに登録し直す(新規登録あるいは更新)かどうかの選択(警告)をLCD4に表示する(S9)。次に、図5は新しいRFIDカードを登録マスター28に登録する操作を示すフロー図である。RFIDカード10の登録は通常処理と異なる操作で、一般操作では使わない特定キーを操作することによりこの処理がスタートする(例えば、フィードボタン(図示せず)を押しながら電源スイッチを入れる等)。処理を開始して、S10でメモリやCPU等のイニシャライズ(初期化)を行う。次いで、液晶表示装置4に登録するRFIDカード10を提示させるよう要求する表示をして、RFIDカード10をリーダ/ライタ5で読みとる(S11)。次のステップS12で、CPU11はRFIDカード10と通信できたか否かを判定する。RFIDカード10を検出した場合はS13に進み、検出できない場合はS11に戻る。ここで、RFIDカード10の登録をするには、キーボード操作などを行う必要があるので、RFIDカード10はプリンタ1の操作パネル26のリーダ/ライタ5の上部に置くか、ガイド溝7に挿入したままにして操作を行うことができる。S12でRFIDカード10が検出されると、次にRFIDカード10のフラッシュROM33とプリンタ1の登録マスター28に新たに記録する暗号キー等をを入力する。S13では氏名を入力する。S14では社員番号を入力する。S15では暗証番号を入力する。S16ではパスワードを入力する。S17ではS13〜S17で入力した内容の確認を行う。以上の操作は、操作パネル26上のキーボード3と液晶表示装置4を使って行う。登録内容が確定すると、図示しないエンターキーの押下などにより、プリンタ1のフラッシュROM内の登録マスター28とRFIDカード10のフラッシュROM33内に同一内容が書き込まれる。そして、以降、前述した図4の操作を行うことにより暗号キーを内蔵したRFIDカードとして使用できるようになる。尚、登録処理において、ガイド溝7にRFIDカード10を挿入しても認識されない場合は、距離以外の要素、カードが不良である可能性が高いので別のカードと交換する。以上のように、本実施の形態によると、RFIDの通信可能な範囲は区々であるが、磁気カード用リーダ/ライタ等で慣れ親しんだガイド溝7にRFIDカード10を差し込めば、RFIDカード10とリーダ/ライタ5を確実に通信可能な所定距離内で処理できる。そして、暗号キーによる照合とRFIDカード(ICカード)自体の照合を組み合わせて行うので、従来の機械式の鍵と異なり、複製や偽造を作ることが困難となり、機密安全性を高めることができる。また、RFIDカード10の無効化手段を設けたので、不正なRFIDを発見次第に抹消でき、セキュリティが確保できる。また、RFIDカード10にRF送信して暗号キーの新規登録または更新できるようにしたので、必要に応じて操作可能なオペレーターを増減できる。また、RFIDカードはキャッシュカード様の形状なので、財布に入れて持ち歩くこともでき、万一落としても暗証番号により守られているため、第三者に拾われても安心である。また、RFIDは非接触で読みとるため、摩耗による接触不良などがなくRFIDカード10及びリーダ/ライタの損傷がなく信頼性の高いシステムが構築できる。また、RFIDカード10は電磁誘導によりリーダ/ライタ5の電波から電源供給されるので、電池を搭載する必要が無く、長寿命とすることができる。さらに、RFIDカード10側に書込防止処理を行ったり、プリンタ1側の登録マスター28にコピーガードをかけることにより、複製を一層困難にすることができ、セキュリティの高いシステムとすることができる。なお、上述した実施の形態では、ホストコンピュータ24とラベルプリンタ1が別体となった構成を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、一体構成としてもよい。また、暗号キーを記憶する登録マスターをラベルプリンタ1内のフラッシュROM27に記録する場合を例示したが、これに代えて、ホストコンピュータのディスク装置に記録してもよい。また、ガイド溝7の形状を、図1に例示の場合に限らず、例えば図6のようにしてもよい。
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によると、RFIDをガイドに差し込めば、RFIDとリーダ/ライタの間の距離が確実に通信可能な範囲内で処理できる。また、RFIDを無効化する手段を設ければ不正なRFIDを発見した場合に即その場で抹消できる。そして、RFIDにRF送信して暗号キーの新規登録または更新できるようにすれば、必要に応じて操作可能なオペレーターを増減できる等、種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベルプリンタの外観斜視図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向断面図である。
【図3】ラベルプリンタ1とRFIDカード10の要部を示すブロック図である。
【図4】暗号キーを照会して印字処理する場合のフロー図である。
【図5】新規にRFIDに暗号キーを登録する場合のフロー図である。
【図6】図1の変形例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1…ラベルプリンタ(印字部)、5…RFIDリーダ/ライタ(通信装置)、7…ガイド溝(ガイド)、10…RFIDカード(RFID)、28…登録マスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】 印字命令に応じて印字動作を実行する印字部と、特定の暗号キーに対してのみ前記印字部に印字動作を許容する照合手段と、前記暗号キーを記憶する登録マスターと、前記暗号キーを記憶してこの暗号キーをRF送信するRFIDと、RF送信された暗号キーを受信する通信装置とからなるラベル印刷装置において、前記通信装置にはRFIDとの離間距離を規制して通信するためのガイドを設けたことを特徴とするラベル印字装置。
【請求項2】 さらに、前記照合手段が暗号キーの不一致を検出した場合に、そのRFIDを無効にする無効化手段を備えてなる請求項1に記載のラベル印字装置。
【請求項3】 さらに、暗号キーを前記RFIDにRF送信して暗号キーの新規登録または更新することを可能にした請求項1または請求項2に記載のラベル印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−39772(P2003−39772A)
【公開日】平成15年2月13日(2003.2.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−231080(P2001−231080)
【出願日】平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】