説明

ラベル搬送装置、及びラベルシートの繋ぎ目特定方法

【課題】ラベルプリンターにおいて、ラベルシートの各シートの繋ぎ目を、より精度よく自動で特定する。
【解決手段】ラベルプリンターは、センサー出力値の最頻値に応じて決定したラベル間のシート部分を検出するための第一の閾値と、前記第一の閾値よりも大きい値であって前記ラベルシートの孔を検出するための第二の閾値とを用いて、センサー出力値が各閾値と等しいシート位置を特定する。第二の閾値と等しいシート位置が特定された場合、そのシート位置間の中央を繋ぎ目位置として特定する。第二の閾値と等しいシート位置が特定されずに第一の閾値と等しいシート位置が特定された場合、そのシート位置間の中央を繋ぎ目位置として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル搬送装置、及びラベルシートの繋ぎ目特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品や荷物などに貼り付けるラベルに印刷を行うラベルプリンターが知れられている。荷物(例えば、航空機の客の手荷物や預け荷物)に貼られたり、荷物の取っ手などに巻きつけられたりして使用されるラベルは、バゲージタグなどとも呼ばれる。
【0003】
このようなラベルは、例えば、剥離紙である台紙(以下、「シート」ともいう)に、一列に所定の間隔(以下、「ラベル間」ともいう)を空けて貼られた状態で提供される(以下、ラベルが貼られた状態のシートを「ラベルシート」ともいう)。ラベルは、使用の際には、シートから剥されて、商品や荷物に貼られる。ラベルシートは、例えば、ロール紙やファンフォールド紙(連続用紙)であり、ラベルごとにシートを切り離しできるように、ラベル間のシートにミシン目が開けられている。すなわち、このミシン目が、ラベルごとのシートの繋ぎ目となっている。この繋ぎ目は、ユーザーが手でカットしてもよいし、ラベルプリンターが自動でカットしてもよい。
【0004】
ラベルプリンターは、ラベルシートを所定方向に搬送し、各ラベルに印刷を行う。また、印刷が終了したラベルごとにシートを切り離すカッターを備えるものもある。そのため、ラベルプリンターは、一般的に、ラベルの端やラベル間の位置を検出するためのセンサーを備える。
【0005】
センサーとしては、例えば、ラベルシートの表裏面側にそれぞれ対向する位置に設けられた発光素子と受光素子により、搬送されるラベルシートを介して透過した光量を検出する透過センサーがある。ラベルプリンターは、透過光量の変化により、ラベルの端やラベル間のシート部分を検出する。また、センサーとしては、例えば、用紙の一面側に設けられた発光素子と受光素子により、搬送されるラベルシートに反射した光量を検出する反射センサーがある。ラベルプリンターは、反射光量の変化により、ラベルの端やラベル間のシート部分を検出する。
【0006】
特許文献1には、透過センサーを備えるラベルプリンターが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−139329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、同じ目的や用途で使用されるラベルシートであっても、複数の仕様のものが存在することがある。例えば、航空機の荷物に使用されるバゲージタグは、航空会社やバゲージタグの製造元などによって仕様が異なる。仕様としては、例えば、ラベル間のシートの繋ぎ目に孔が開いているもの、孔が開いていないもの、ラベルに、ラベルをシートから剥がし易くするためにスリットがあるもの、スリットがないもの、ラベルに、RFID(Radio Frequency IDentification)に使用される半導体素子やアンテナが埋め込まれたもの、埋め込まれていないもの、などがある。また、これらのラベルシートは、ラベルやシートの材質によって光の透過率や反射率が異なったり、温度変化や経年劣化によりラベル間やスリットの幅が変化したりすることがある。
【0009】
そのため、従来のラベルプリンターでは、ラベルシートが異なる仕様のものに変更された場合(例えば、ロールが交換された場合)や、ラベルシートの品質がばらついている場合などには、例えば、ラベルの端やラベル間の繋ぎ目を正しく認識することができず、ラベルシートのカットに失敗することがある。また、ラベルプリンターを正しく動作させるためには、例えば、ユーザーがラベルごとのシートの長さを手入力する必要があり、使い勝手が悪い。
【0010】
そこで、本発明は、ラベルプリンターにおいて、ラベルシートの各シートの繋ぎ目を、より精度よく自動で特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、シート上に複数のラベルが間隔を空けて配列されたラベルシートを搬送するラベル搬送装置であって、前記ラベルシートを読み取ってセンサー出力値を出力するセンサーと、センサー出力値の最頻値を特定する最頻値特定手段と、前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記最頻値に応じて決定したラベル間のシート部分を検出するための第一の閾値を超えた第一のシート位置と、前記第一の閾値よりも大きい値であって前記ラベルシートの孔を検出するための第二の閾値を超えた第二のシート位置と、前記第二の閾値を下回った第三のシート位置と、前記第一の閾値を下回った第四のシート位置と、を特定するシート位置特定手段と、前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一のシート位置から前記第四のシート位置までの第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定し、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されている場合、前記第二のシート位置から前記第三のシート位置までの第二区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定する繋ぎ目位置特定手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記第一の閾値は、前記最頻値に所定値を加えた値である、ことを特徴としてもよい。
【0013】
また、前記ラベル搬送装置は、前記センサー出力値の最大値を特定する最大値特定手段を備え、前記第一の閾値は、前記最頻値と前記最大値の差分に応じて決定した値である、ことを特徴としてもよい。この場合、前記ラベル搬送装置は、前記最頻値と前記最大値の差分の所定割合の値を前記最頻値に加えた値を前記第一の閾値として決定する閾値決定手段を有する、ことを特徴としてもよい。
【0014】
また、前記繋ぎ目位置特定手段は、前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一区間の距離が所定距離を超えているか否かを判定し、前記第一区間の距離が前記所定距離を超えている場合に、前記第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定する、ことを特徴としてもよい。
【0015】
また、前記繋ぎ目位置特定手段は、前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一区間の距離が所定距離を超えているか否かを判定し、前記第一区間の距離が前記所定距離を超えていない場合に、ラベル間のシートの繋ぎ目位置を特定せずに、少なくとも特定された前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置をリセットする、ことを特徴としてもよい。
【0016】
また、前記最頻値特定手段は、前記ラベルシートの搬送の開始後、第一の所定区間のセンサー出力値を用いて前記最頻値を特定し、前記シート位置特定手段は、前記所定区間よりも搬送方向後方の区間のセンサー出力値を用いて前記各シート位置を特定する、ことを特徴としてもよい。
【0017】
また、前記最頻値特定手段は、前記ラベルシートの搬送の開始後、継続的に前記センサー出力値を用いて随時前記最頻値を特定して更新する、ことを特徴としてもよい。
【0018】
また、前記ラベルには、識別情報を記憶するチップ及び当該識別情報を送受信するアンテナが第二の所定区間に設けられており、前記最頻値特定手段は、前記第二の所定区間のセンサー出力値を前記最頻値の特定に使用しない、ことを特徴としてもよい。
【0019】
また、前記位置特定手段は、前記第一区間の中央がラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定された以降、さらに搬送された区間のセンサー出力値を用いて、前記第二のシート位置と、前記第三のシート位置とを特定し、前記繋ぎ目位置特定手段は、前記第二シート位置及び前記第三シート位置が特定されなかった場合に、前記第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定し、前記第二シート位置及び前記第三シート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置から前記第三のシート位置までの第二区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定する、ことを特徴としてもよい。
【0020】
また、前記センサーは、前記ラベルシートを挟んで対向配置された、発光素子及び受光素子、又は超音波発信素子及び超音波受信素子である、ことを特徴としてもよい。
【0021】
また、前記センサーは、前記ラベルシートの搬送方向と直交する方向に並ぶ複数の位置において前記ラベルシートを読み取り、前記複数の位置毎にセンサー出力値を出力可能とする、ことを特徴としてもよい。
【0022】
ここで、前記最頻値特定手段、前記シート位置特定手段、及び繋ぎ目位置特定手段は、前記複数の位置に対応したセンサー出力値毎に機能可能であり、前記複数の位置に対応したセンサーのうち、最初に前記第一のシート位置を特定するセンサー出力値を出力したセンサーを、以降の前記各シート位置を特定するためのセンサーとして用いる、ことを特徴としてもよい。
【0023】
また、前記最頻値特定手段、前記シート位置特定手段、及び繋ぎ目位置特定手段は、前記複数の位置に対応したセンサー出力値毎に機能可能であり、前記複数の位置に対応したセンサーのうち、最初に前記繋ぎ目位置を特定するセンサー出力値を出力したセンサーを、以降の前記各シート位置を特定するためのセンサーとして用いる、ことを特徴としてもよい。
【0024】
また、前記最頻値特定手段、前記シート位置特定手段、及び繋ぎ目位置特定手段は、前記複数の位置に対応したセンサー出力値毎に機能可能であり、前記センサー出力値毎に特定される前記各シート位置に基づき、前記ラベル間のシート部分の形状を判別する判別手段を有する、ことを特徴としてもよい。
【0025】
上記の課題を解決するための本発明の他の態様は、シート上に複数のラベルが間隔を空けて配列されたラベルシートを搬送し、前記ラベルシートを読み取ってセンサー出力値を出力するセンサーを備えるラベル搬送装置における、前記シートの繋ぎ目特定方法であって、センサー出力値の最頻値を特定するステップと、前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記最頻値に応じて決定したラベル間のシート部分を検出するための第一の閾値を超えた第一のシート位置を特定するステップと、前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記第一の閾値よりも大きい値であって前記ラベルシートの孔を検出するための第二の閾値を超えた第二のシート位置を特定するステップと、前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記第二の閾値を下回った第三のシート位置を特定するステップと、前記ラベルシートの搬送方向において、前記第一の閾値を下回った第四のシート位置を特定するステップと、前記第四のシート位置が特定された際に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一のシート位置から前記第四のシート位置までの第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定するステップと、前記第四のシート位置が特定された際に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されている場合、前記第二のシート位置から前記第三のシート位置までの第二区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定するステップと、を含む、ことを特徴とする。
【0026】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベルプリンターの概略構成の一例を示す図。
【図2】ラベル検出ユニット(受光素子)の構成の一例を説明する図。
【図3】ラベルプリンターの外観の一例を示す図。
【図4】ラベルシートの仕様例を示す図。
【図5】繋ぎ目に孔があるラベルシートの走査位置とセンサー出力値の関係を説明する図。
【図6】繋ぎ目に孔がないラベルシートの走査位置とセンサー出力値の関係を説明する図。
【図7】ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第一の部分)の一例を示す図。
【図8】ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第二の部分)の一例を示す図。
【図9】ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第三の部分)の一例を示す図。
【図10】透過率が異なるラベルシートの走査位置とセンサー出力値の関係を説明する図。
【図11】透過率が異なるラベルシートの走査位置とセンサー出力値の関係を説明する図。
【図12】透過率が異なるラベルシートに応じた閾値の設定方法を説明する図。
【図13】変形例に係るラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第二の部分)を示す図。
【図14】RFID領域を有するラベルシートの一例を示す図。
【図15】変形例に係るラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第一の部分)を示す図。
【図16】特殊スリットを有するラベルシートの一例を示す図。
【図17】他の変形例に係るラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第二の部分)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態では、ラベル搬送装置としてラベルプリンターを例に挙げて説明する。
【0030】
本実施形態のラベルプリンターは、ラベルシートを搬送するとともに、透過センサーによりラベルシートを走査し、取得したセンサー出力値に基づいてラベル間のシートの繋ぎ目の位置を特定する。
【0031】
本実施形態のラベルプリンターは、例えば、ラベルシートのロールを交換するたびに、まず、ロールの先頭(ラベル間のシートの繋ぎ目が正しく切断された状態のラベルシートの始端)から、少なくともラベル一枚分のシートを含む所定距離を搬送することで、次のシートの繋ぎ目を特定し、ラベル一枚分のラベルシートの長さ(繋ぎ目から次の繋ぎ目までの長さ)を特定する。ラベル一枚分のラベルシートの長さを算出した後は、そのロールが交換されるまで、算出した長さの搬送を行うごとにラベルシートをカットする。もちろん、ラベルごとにシートの繋ぎ目位置を特定してカットするようにしてもよい。
【0032】
なお、ラベルプリンターは、例えば、紙送りモーターのステップ数などに基づいてラベルシートの搬送距離を検出できるため、シートの繋ぎ目位置が特定できれば、ラベル一枚分のラベルシートの長さを特定できる。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係るラベルプリンターの概略構成の一例を示す図である。
【0034】
ラベルプリンター1は、コントローラー10と、操作パネル20と、印刷ユニット30と、ラベル検出ユニット40とを備える。ラベルプリンター1では、その給紙口側から排紙口側に向かって、ラベル検出ユニット40、印刷ヘッド32及びプラテンローラー33、カッター34の順に配置されている。
【0035】
コントローラー10は、ラベルプリンター1を統合的に制御するユニットである。
【0036】
コントローラー10は、CPU11と、RAM12と、ROM13とを備える。CPU11は、例えば、ROM13からRAM12に所定のプログラムを読み出して実行することにより、他の各種ユニットを制御し、ラベルプリンター1の機能を実現する。
【0037】
もちろん、コントローラー10は、操作パネル20、印刷ユニット30、及びラベル検出ユニット40のそれぞれを制御するためのインターフェイス回路や駆動回路などを備えていてもよい。これらの回路は、コントローラー10の外側に設けられていてもよい。
【0038】
コントローラー10は、例えば、印刷ユニット30の各種装置(紙送りモーター31、印刷ヘッド32、カッター34)の動作を制御することにより、ラベルシートの搬送、ラベルに対する印刷、ラベルシートのカットを行う。また、コントローラー10は、例えば、ラベルシートの搬送とともに、ラベル検出ユニット40から出力されるセンサー出力値を取得し、ラベル間のシートの繋ぎ目の位置を特定する。なお、コントローラー10は、例えば、紙送りモーター31のステップ数に基づく走査位置とその位置のセンサー出力値とを対応付けてRAM12などに記憶する。
【0039】
操作パネル20は、ラベルプリンター1とユーザーの入出力インターフェイスである。操作パネル20は、例えば、ディスプレイと入力装置とを備える。操作パネル20は、例えば、コントローラー10の指示に従って、各種画面をディスプレイに表示する。また、操作パネル20は、入力装置の操作内容をコントローラー10に通知する。
【0040】
印刷ユニット30は、ラベルに印刷を行うユニットである。印刷ユニット30は、例えば、紙送りモーター31と、印刷ヘッド32と、プラテンローラー33と、カッター34とを備える。
【0041】
紙送りモーター31は、例えば、ステッピングモーターであり、コントローラー10の制御により所定角度ずつ(1ステップずつ)回転し、ギアなどを介してプラテンローラー33やその他の紙送りローラー(不図示)を回転させる。ラベルシートは、プラテンローラー33やその他の紙送りローラーの回転により所定の搬送方向に搬送される。
【0042】
印刷ヘッド32は、例えば、感熱ヘッドであり、プラテンローラー33により圧接されたラベルシートのラベルに印刷を行う。印刷ヘッド32は、コントローラー10から送られた制御データに基づいて印字を行う。
【0043】
カッター34は、ラベルシートを切断するユニットである。カッター34は、例えば、ラベルシートを挟むように上刃34aと、下刃34bとを備え、いずれか一方又は双方を上下動させることでラベルシートの切断を行う。カッター34は、コントローラー10の制御によりラベルシートの切断を行う。
【0044】
ラベル検出ユニット40は、透過センサーである。ラベル検出ユニット40は、例えば、受光素子40aと、発光素子40bとを備える。受光素子40a及び発光素子40bは、搬送されるラベルシートの表裏面側にそれぞれ対向する位置に設けられる。ラベル検出ユニット40は、例えば、所定の搬送距離ごと(1又は2以上のステップごと)に、受光素子40aによりラベルシートを介して透過した光量を検出し、電圧値などのデジタルデータに変換してセンサー出力値としてコントローラー10に出力する。
【0045】
なお、本実施形態では、センサー出力値が高いほど透過率が高いものとする。
【0046】
本実施形態の受光素子40aは、例えば、図2に示すように、ラベルシートの搬送方向と直交する方向に一列に配列された、1〜nの複数の受光素子で構成することができる。ラベル検出ユニット40は、各受光素子で検出された光量を、センサー出力値としてコントローラー10に出力する。コントローラー10は、素子ごとに、そのセンサー出力値を取得し、シートの繋ぎ目位置を特定することができる。
【0047】
なお、発光素子40bは、例えば、受光素子40aの受光素子それぞれに対応するLEDなどの発光素子で構成することができる。もちろん、発光素子40bの構成はこれに限られない。
【0048】
もちろん、ラベル検出ユニット40の構成は、上記に限られず、例えば、ラベルシートの表裏面側に対向する位置に設けられる、超音波受信素子及び超音波発信素子であってもよい。また、透過センサーではなく、反射センサーで構成されてもよい。
【0049】
図1に戻って、ラベルシートは、例えば、剥離紙であるシートと、当該シートの片面に一列に所定の間隔(ラベル間X)を空けて貼られたラベルとからなる。ラベルシートは、例えば、ロール紙やファンフォールド紙(連続用紙)であり、ラベルごとにシートを切り離しできるように、ラベル間Xの中央に繋ぎ目であるミシン目が開けられている。なお、ラベルシートの各種仕様については図4を参照して後述する。
【0050】
ラベルプリンター1の外観は、例えば、図3に示すように、背面にラベルシートを給紙する給紙口を備える。また、正面にラベルシートを排紙する排紙口を備える。ラベルシートは、給紙口に挿入され、不図示のラベルプリンター1内の搬送路に沿って、排紙口に向かって搬送される。ラベルシートのロール紙やファンフォールド紙は、例えば、ラベルプリンター1とは別の装置(不図示)に装填され、ラベルプリンター1によりラベルシートが引っ張られることにより、当該別の装置から順に繰り出される。
【0051】
図4は、ラベルシートの仕様例を示す図である。本図では、三つのラベルシート(A)〜(C)が例示されている。本図では、繋ぎ目から繋ぎ目までのラベル一枚分のラベルシート(ラベル(n)を含むラベルシート)と、その前後のラベルシート(ラベル(n−1)を含むラベルシートとラベル(n+1)を含むラベルシート)の一部が表されている。
【0052】
ラベルシート(A)は、ラベル間の中央に、搬送方向と直交する方向に、繋ぎ目であるミシン目が設けられており、さらに、ミシン目に沿って、シート孔が二つ設けられている。シート孔は、繋ぎ目の位置をセンサーにより検出し易いように設けられた部材である。
【0053】
ラベルシート(B)は、ラベルシート(A)と異なり、シート孔が設けられていない。
【0054】
ラベルシート(C)は、ラベルシート(A)と異なり、ラベルに、二つのスリットが設けられている。スリットは、ラベルをシートから剥がし易いように、また、ラベルを複数の部分に分離し易いように設けられている部材である。
【0055】
もちろん、上記のラベルシートの仕様は、例示であり、シート孔やスリットの大きさ、数、位置などは、上記に限られない。ラベルや、ラベル一枚分のラベルシートの長さも上記に限られない。また、繋ぎ目は、ミシン目以外の形態であってもよく、ミシン目自体が開けられていなくてもよい。
【0056】
以上が、ラベルプリンター1及びラベルシートの概略構成の一例である。もちろん、この構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的なラベルプリンターやラベルシートが備える構成を排除するものではない。
【0057】
次に、上記のラベルプリンター1において行われる、ラベルシートの繋ぎ目の特定方法について説明する。
【0058】
以下では、コントローラー10は、受光素子40aが受光素子を複数備える場合、予め選択したいずれか一つの受光素子の出力を使用するものとする。例えば、シート孔を有さないラベルシートのみが使用されるのであればどの位置の受光素子を使用してもよいが、シート孔を有するラベルシートが搬送される場合を考慮して、当該シート孔を通過する位置の受光素子が使用されるように設定しておけばよい。発光素子40bが複数の受光素子で構成される場合、選択された受光素子に対応する発光素子を使用すればよい。
【0059】
なお、コントローラー10は、複数の受光素子のセンサー出力値を使用するようにしてもよい。複数の受光素子それぞれからセンサー出力値が出力される度に、それらの値の最大値を採用すればよい。このようにすれば、シート孔の検出を行うことができる。
【0060】
上述したように、ラベルシートには、様々な仕様のものがある。また、これらのラベルシートは、ラベルやシートの材質によって光の透過率が異なったり、温度変化や経年劣化によりラベル間の幅やスリットの幅が変化したりすることがある。そのため、ラベルプリンター1は、このような様々なラベルシートの繋ぎ目をより精度よく特定するための構成を有する。
【0061】
本実施形態では、例えば、ロールを交換する場合、まず、ユーザーの手により、ラベルシートの先端がラベルプリンター1の給紙口から挿入され、搬送路に沿って所定位置まで挿入される。所定位置は、例えば、ラベル検出ユニット40よりも給紙口側又は排紙口側の搬送ローラー(不図示)の位置である。コントローラー10は、センサーなどによりラベルシートの先端が所定位置に挿入されことを検出すると、搬送ローラーを所定ステップ分回転させ、所定の開始位置に固定する。なお、この処理を、以下では、「ローディング処理」と呼ぶ。
【0062】
コントローラー10は、ラベルシートのローディング処理後、ラベルシートの搬送を開始する。
【0063】
ここで、ラベル一枚分のラベルシートの長さを特定するためには、少なくとも一枚分のラベルシートがラベル検出ユニット40を通過する必要がある。上述のとおり、ラベルシートには様々な仕様のものが存在するため、本実施形態では、コントローラー10は、例えば、少なくとも、ラベルシートの先端から、各仕様のラベル一枚分のラベルシートのうち最大の長さに対応する距離が、ラベル検出ユニット40を通過するようにする。
【0064】
コントローラー10は、ラベルシートのローディング処理後、ラベルシートの搬送を開始すると、ラベルのセンサー出力値の最頻値Jを算出するため、ラベルシートの先頭から所定距離の間、ラベル検出ユニット40からセンサー出力値を取得する。
【0065】
最頻値Jを算出するための所定距離は、少なくともラベルの一部の区間を含む距離であれば、長さや開始位置は特に決まりはない。だだし、ラベルのセンサー出力値の最頻値を特定できる程度の長さであり、また、繋ぎ目に到る前に最頻値Jを特定する必要がある観点から、例えば、様々な仕様のラベルのうち最も短いラベルの長さよりも短いのが好ましい。この距離は、例えば、試験結果に基づいて統計的に決定した最適な値を設定すればよい。
【0066】
コントローラー10は、最頻値Jを算出するための所定距離の間、同じセンサー出力値ごとにその出現回数をカウントし、センサー出力値のヒストグラムを生成する。前記所定距離の搬送後、生成したヒストグラムからセンサー出力値の最頻値Jを特定する。例えば、ラベルの下地の色が白色であれば、白色に対応する値が最頻値となる。
【0067】
なお、最頻値Jの算出方法は、上記のように所定距離の間のセンサー出力値に基づく方法に限られない。例えば、コントローラー10は、繋ぎ目位置が特定されるまで継続的にセンサー出力値を取得してヒストグラムを随時更新し、最頻値Jを随時特定するようにしてもよい。この場合、コントローラー10は、最頻値Jとともに後述する閾値Aも随時算出する。
【0068】
それから、コントローラー10は、特定した最頻値Jに、所定の値αを加算した閾値Aを設定する。所定の値αは、最頻値Jを基準に上下に発生するセンサー出力値のばらつきを考慮した値であり、ばらついた値のうち最大値が閾値Aを超えないような値である。この値は、様々な仕様のラベルシートにおいて、最頻値を算出する所定距離範囲内のセンサー出力値を実験的に計測し、統計的に決定した最適な値を設定しておけばよい。
【0069】
また、コントローラー10は、シート孔を検出するための閾値Hを設定する。閾値Hは、ラベルシートを介さない場合の光量に対応するセンサー出力値を判定できる値であり、予め決定しておけばよい。
【0070】
コントローラー10は、閾値A及び閾値Hを設定した後、継続してラベルシートを搬送する。そして、センサー出力値が、上昇する過程で閾値Aと等しくなる走査位置P1A、上昇する過程で閾値Hと等しくなる走査位置P2H、下降する過程で閾値Hと等しくなる走査位置P3H、下降する過程で閾値Aと等しくなる走査位置P4Aの特定を試みる。
【0071】
ラベル間の繋ぎ目にシート孔が設けられている場合(例えば、図4(A)、(C))の繋ぎ目位置の特定方法を説明する。図5は、繋ぎ目に孔があるラベルシートの走査位置とセンサー出力値の関係を説明する図である。本図は、ラベル間とラベル間前後の部分に対応するセンサー出力値を表している。
【0072】
本図に示すように、センサー出力値は、走査位置がラベル間のシート部分に差し掛かると上昇し始め、シート孔部分に差し掛かるとさらに大きな傾きで上昇する。それから、センサー出力値は、シート孔の中央付近で最大値となり、シート孔の終端に向けて大きな傾きで下降し、ラベル間のシート部分の終端に向けて小さな傾きで下降していく。
【0073】
コントローラー10は、走査位置P1A及びP4Aが特定でき、かつ、走査位置P2H及びP3Hを特定できた場合、ラベル間にシート孔が存在すると判定する。そして、コントローラー10は、走査位置P2HとP3Hの間の距離(区間)Lを2等分した中央位置Tを、シート孔の中央位置、すなわち、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。
【0074】
なお、上記では、走査位置P1A、P4A、P2H、及びP3Hの全てを特定できた場合に、ラベル間のシート孔が存在すると判定している。このようにしているのは、ラベル間以外の位置に、ラベル及びシートの両方を貫通する孔(以下、「ラベルシート孔」ともいう)が開けられている仕様のラベルシートを考慮して、ラベルシート孔とラベル間のシート孔とを区別するためである。従って、ラベルシート孔を有する仕様のラベルシートが存在しないのであれば、コントローラー10は、走査位置P1A及びP4Aの両方又は一方が特定できていなくても、走査位置P2H及びP3Hを特定できた場合には、ラベル間のシート孔が存在すると判定するようにしてもよい。
【0075】
ラベル間の繋ぎ目にシート孔が設けられていない場合(例えば、図4(B))の繋ぎ目位置の特定方法を説明する。図6は、繋ぎ目に孔がないラベルシートの走査位置とセンサー出力値の関係を説明する図である。本図は、ラベル間とラベル間前後の部分に対応するセンサー出力値を表している。
【0076】
本図に示すように、センサー出力値は、走査位置がラベル間のシート部分に差し掛かると上昇し始める。それから、センサー出力値は、ラベル間のシート部分の中央付近で最大値となり、ラベル間のシート部分の終端に向けて下降していく。
【0077】
コントローラー10は、走査位置P1A及びP4Aが特定でき、かつ、走査位置P2H及びP3Hを特定できなかった場合、ラベル間にシート孔が存在しないと判定する。コントローラー10は、ラベル間が存在することは判定できるが、さらに、このラベル間がラベル間よりも幅が狭いスリットではないかどうかを判定する。スリットにおいても、走査位置P1A及びP4Aが特定される可能性があるからである。
【0078】
コントローラー10は、走査位置P1AとP4Aの間の距離(区間)Lが、所定距離D以上であるか否かを判定する。所定距離Dは、ラベル間をスリットと区別するための値である。この値は、例えば、様々な仕様のラベルシートのラベル間を走査した場合に検出される、走査位置P1A及びP4Aの距離を実験的に計測し、最小の値を採用すればよい。
【0079】
コントローラー10は、走査位置P1AとP4Aの間の距離Lが所定距離D以上である場合、ラベル間がスリットではないと判定する。そして、コントローラー10は、走査位置P1AとP4Aの間の距離Lを2等分した中央位置Tを、ラベル間の中央位置、すなわち、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。
【0080】
コントローラー10は、上記のようにして、繋ぎ目位置を特定すると、ラベルシートの先端から当該繋ぎ目位置までを、ラベル一枚分のラベルシート長として特定する。コントローラー10は、その後、このラベルシート長に基づいて、ラベル一枚分のラベルシートごとにカッター34により切断を行う。
【0081】
次に、上記のラベルシートの繋ぎ目の特定方法について、図7〜9のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
図7は、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第一の部分)の一例を示す図である。図8は、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第二の部分)の一例を示す図である。図9は、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第三の部分)の一例を示す図である。
【0083】
なお、繋ぎ目を特定する処理においては、印刷ヘッド32による印字、カッター34による切断は、実行されないものとする。
【0084】
S10では、コントローラー10は、ラベルシートのローディングを行う。具体的には、コントローラー10は、ユーザーにより挿入されたラベルシートの始端(繋ぎ目が正しく切断された状態の始端)を、紙送りモーター31を回転させて所定の開始位置に固定し、一旦停止する。そして、S20に処理を進める。
【0085】
S20では、コントローラー10は、紙送りを開始する。具体的には、コントローラー10は、紙送りモーター31を回転させて、ラベルシートの搬送を開始する。そして、処理をS30に進める。
【0086】
S30では、コントローラー10は、センサー出力値を取得する。具体的には、コントローラー10は、最頻値Jを算出するための所定距離の間、ラベル検出ユニット40からセンサー出力値を取得し、センサー出力値のヒストグラムを生成する。そして、前記所定距離の搬送後、S40に処理を進める。
【0087】
S40では、コントローラー10は、最頻値を算出する。具体的には、S30で生成したヒストグラムから、センサー出力値の最頻値Jを特定する。そして、処理をS50(図8)に進める。
【0088】
S50では、コントローラー10は、ラベル間検出用の閾値Aとラベル間のシート孔検出用の閾値Hを設定する。具体的には、コントローラー10は、S40で算出した最頻値Jに所定の値αを加算し、ラベル間検出用の閾値Aとして設定する。また、予め定めた値をシート孔検出用の閾値Hとして設定する。そして、処理をS60に進める。
【0089】
S60では、コントローラー10は、センサー出力値を取得する。具体的には、コントローラー10は、ラベル検出ユニット40からセンサー出力値を得る。そして、処理をS70に進める。なお、S60では、所定の搬送距離ごとの値を得るものとする。
【0090】
S70では、コントローラー10は、ラベル間を検出したか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、センサー出力値が、上昇する過程で閾値Aと等しくなる走査位置P1A、上昇する過程で閾値Hと等しくなる走査位置P2H、下降する過程で閾値Hと等しくなる走査位置P3H、下降する過程で閾値Aと等しくなる走査位置P4Aを順に特定できたか否かを判定する。4つの走査位置の全てを特定できた場合、又は、P1A及びP4Aのみを特定できた場合、ラベル間を検出したものと判定し(S70:YES)、処理をS80に進める。その他の場合、ラベル間を検出していないと判定し(S70:NO)、処理をS60に戻す。なお、4つの走査位置の全てが特定できていなくても、P2H及びP3Hを特定できた場合に、ラベル間を検出したものと判定してもよい。
【0091】
S80では、コントローラー10は、シート孔を検出したか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、S70でP2H及びP3Hを特定したか否かを判定する。P2H及びP3Hを特定した場合、シート孔を検出したものと判定し(S80:YES)、処理をS100に進める。P2H及びP3Hを特定していない場合、シート孔を検出していないものと判定し(S80:NO)、処理をS90に進める。
【0092】
S90では、コントローラー10は、ラベル間の長さが所定距離D以上であるか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、S70で特定したP1AとP4Aの間の距離Lが所定距離D以上であるか否かを判定する。なお、距離Lは、例えば、P1AからP4Aまでのセンサー出力値の数に基づいて特定できる。距離Lが所定距離D以上である場合、ラベル間がスリットではないと判定し(S90:YES)、処理をS100に進める。距離Lが所定距離より小さい場合、ラベル間がスリットであると判定し(S90:NO)、処理をS60に戻す。なお、この場合、コントローラー10は、S70で特定した少なくとも走査位置P1A及びP4Aをリセットし、S60で再びセンサー出力値を取得し始める。
【0093】
S100では、コントローラー10は、紙送りを停止する。具体的には、コントローラー10は、紙送りモーター31の回転を停止させる。そして、処理をS110(図9)に進める。
【0094】
S110では、コントローラー10は、シート孔を検出したか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、S80でYESと判定した場合(S110:YES)、処理をS120に進める。S80でNOと判定した場合(S110:NO)、処理をS130に進める。
【0095】
S120では、コントローラー10は、シート孔の中央位置を特定する。具体的には、コントローラー10は、S70で特定したP2HとP3Hの間の距離Lを2等分した中央位置Tを、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。そして、本フローを終了する。
【0096】
S130では、コントローラー10は、ラベル間の中央位置を特定する。具体的には、コントローラー10は、S70で特定したP1AとP4Aと間の距離Lを2等分した中央位置Tを、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。そして、本フローを終了する。
【0097】
以上のようにして、ラベルシートの繋ぎ目の位置を精度よく特定することができる。なお、コントローラーは、ラベルシートの始端(繋ぎ目が正しく切断された状態の始端)から、特定した繋ぎ目位置(ラベルシートの終端)までを、ラベル一枚分のラベルシート長として特定する。そして、このラベルシート長に基づいて、ラベル一枚分のラベルシートごとにカッター34により切断を行うことができる。
【0098】
上述のフローの各処理単位は、ラベルプリンター1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。ラベルプリンター1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0099】
以上、本発明の一実施形態の一例について説明した。本実施形態によれば、ラベルプリンターにおいて、ラベルシートの各シートの繋ぎ目を、より精度よく自動で特定することができる。
【0100】
例えば、本実施形態では、最頻値を基準とする閾値であって、ラベル間のセンサー出力値が高い部分から十分に離れた低い値である閾値Aが使用される。これにより、ラベル間のセンサー出力値の高い部分で値にばらつきが生じても、位置P1A及び位置P4Aの位置に影響しないため、精度よく繋ぎ目を特定できる。
【0101】
また、例えば、本実施形態では、走査位置P1AとP4Aとの間の距離Lと、所定距離Dとの比較が行われる。これにより、スリットをラベル間と誤認識することをできる限り防き、精度よく繋ぎ目を特定できる。
【0102】
<変形例1>
上記の実施形態では、閾値Aは、最頻値Jに所定の値αを加算した値であるため、ラベルシートのセンサー出力値の最頻値と最大値の差が小さくなると、ラベル間を検出できなくなるおそれがある。これに対処するための上記の実施形態の変形例1について、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0103】
図10は、透過率が異なるラベルシートの走査位置とセンサー出力値の関係を説明する図である。本図は、透過率が異なるラベルシート1及び2について、ラベル間とラベル間前後の部分に対応するセンサー出力値を表している。
【0104】
ラベルシート2は、例えば、ラベルやシートの材質や厚さなどの要因により、ラベルシート1と比べて透過率が小さいものとする。すると、図示するように、ラベルシート2は、センサー出力値の最頻値と最大値の差分が、ラベルシート1のそれと比べて小さくなる。
【0105】
ここで、ラベルシート2においても、閾値Aを算出するために所定の値αが使用されると、P1AとP4Aとの間の距離Lは、ラベルシート1のそれと比べて短くなる。最頻値と最大値の差分が小さくなるほど、距離Lは、短くなる傾向にある。
【0106】
その結果、距離Lが、固定値である距離Dを下回る場合が発生し、この場合、ラベル間がスリットとして判定され、繋ぎ目位置Tが特定されない。
【0107】
そこで、変形例1では、図11に示すように、閾値Aとは別に、ラベルシートの透過率の特性に応じた閾値Bを使用する。
【0108】
具体的には、コントローラー10は、閾値A及び閾値Hを設定した後、継続してラベルシートを搬送する。そして、センサー出力値が、上昇する過程で閾値Aと等しくなる位置P1A、上昇する過程で閾値Hと等しくなる位置P2H、下降する過程で閾値Hと等しくなる位置P3H、下降する過程で閾値Aと等しくなる位置P4Aの特定を試みる。
【0109】
ここで、P1A及びP4Aのみを特定できた場合、これらの間のセンサー出力値の最大値Kを特定する。また、式:(最大値K−最頻値J)×所定割合Rによりβを算出し、このβを最頻値Jに加算することで、閾値Bを算出する。このようにして、ラベルシートの特性に応じた閾値Bが算出される。
【0110】
閾値Bを設定すると、コントローラー10は、センサー出力値が、上昇する過程で閾値Bと等しくなる位置P1B、下降する過程で閾値Bと等しくなる位置P4Bの特定をする。また、コントローラー10は、ラベル間とスリットの違いを判定するため、走査位置P1BとP4Bとの間の距離Lが、所定距離D以上であるか否かを判定する。
【0111】
ここで、上記の所定割合Rは、透過率の異なるいずれのラベルシートの距離Lであっても、ラベルシート間で共通に使用される所定距離D以上となるような値である。また、所定距離Dは、透過率の異なるいずれのラベルシートの距離Lも、ラベル間と判定できる値である。
【0112】
例えば、図12に示すように、透過率が異なるラベルシート1〜3のラベル間の距離が同じであり、センサー出力値の変化を最大値を頂点とする直線で近似できるものとする。この場合、所定割合R=0.5とすると、式:(最大値K−最頻値J)×所定割合Rにより、いずれのラベルシートの距離Lも等しくなる。従って、距離Dを、距離L以下で、かつ、スリットの場合の距離Lよりも大きい値とすれば、透過率が異なるいずれのラベルシートでもラベル間とスリットを判別できる。なお、各種値は、実験的に計測し、統計的に決定した最適値を設定すればよい。
【0113】
また、上記の所定割合Rとして、ラベルシートのセンサー出力値の最頻値(低い側)を基準として発生するばらつきと、ラベル間のセンサー出力値(高い側)の値のばらつきとに影響されにくい値とするのが好ましい。すると、最頻値と最大値の中間である0.5が一応の目安となる。もちろん、この値に限られず、実験を行い、統計的に決定した最適値を採用すればよい。
【0114】
コントローラー10は、走査位置P1BとP4Bとの間の距離Lが所定距離D以上である場合、ラベル間であると判定する。そして、コントローラー10は、走査位置P1BとP4Bとの間の距離Lを2等分した中央位置Tを、ラベル間の中央位置、すなわち、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。
【0115】
次に、上記のラベルシートの繋ぎ目の特定方法について、図13のフローチャートを参照して説明する。なお、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第一の部分)は、図7と同様である。また、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第三の部分)は、図9と同様である。
【0116】
図13は、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第二の部分)の変形例を示す図である。
【0117】
S50〜S80、S90、S100は、図8と基本的に同様なので説明を省略する。なお、S80では、コントローラー10は、シート孔を検出していない場合(S80:NO)、処理をS85に進める。
【0118】
S85では、コントローラー10は、ラベル間検出用の閾値Bを設定する。具体的には、コントローラー10は、位置P1AからP4Aの間のセンサー出力値の最大値Kを特定する。また、最大値KとS40で算出した最頻値Jとの差分に、所定割合Rを掛けることによりβを算出し、このβを最頻値Jに加算した値を算出し、ラベル間検出用の閾値Bとして設定する。そして、処理をS90に進める。
【0119】
S90では、コントローラー10は、ラベル間の長さが所定距離D以上であるか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、P1AからP4Aまでの間のセンサー出力値と、S85で設定した閾値Bとに基づいて、走査位置P1B及びP4Bを特定する。それから、走査位置P1BとP4Bとの間の距離Lをラベル間の長さとして算出し、当該距離Lが所定距離D以上であるか否かを判定する。距離Lが所定距離D以上である場合、ラベル間がスリットではないと判定し(S90:YES)、処理をS100に進める。距離Lが所定距離より小さい場合、ラベル間がスリットであると判定し(S90:NO)、処理をS60に戻す。なお、この場合、コントローラー10は、特定した少なくとも走査位置P1A及びP4A、P1B及びP4Bをリセットし、S60で再びセンサー出力値を取得し始める。
【0120】
なお、S130では、コントローラー10は、S90で特定した走査位置P1BとP4Bとの間の距離Lを2等分した中央位置Tを、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。
【0121】
以上のようにして、透過率が異なるラベルシートであっても、ラベルシートの各シートの繋ぎ目を、より精度よく自動で特定することができる。例えば、本変形例では、ラベルシートの透過率の特性に応じた閾値Bが使用される。これにより、透過率が異なるラベルシートであっても、精度よく繋ぎ目を特定できる。
【0122】
また、例えば、本変形例では、透過率が低い側のセンサー出力値のばらつきと、透過率が高い側のセンサー出力値のばらつきの影響を受けにくい高さに閾値Bが設定される。これにより、透過率にばらつきがあるラベルシートであっても、精度よく繋ぎ目を特定できる。
【0123】
<変形例2>
ところで、ラベルシートとして、RFIDに使用される領域を有するものが想定される。この領域には、例えば、識別情報を記憶する半導体素子や、前記識別情報を外部と送受信するアンテナなどが設けられている。従って、この領域をセンサー出力値の最頻値を決定するのに使用するのは適当でない。そこで、変形例2に係るラベルプリンター1は、RFID領域のセンサー出力値を使用しないように動作する。上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0124】
図14は、RFID領域を有するラベルシートの例を示す図である。
【0125】
本図に示すように、ラベルシート(D)は、ラベルの中央より前側(搬送方向側)にRFID領域を備える。図示していないが、RFID領域には、半導体素子やアンテナが配置されている。ここで、RFID領域の大きさやラベル上の配置は、規格上予め決められているものとする。もちろん、上記のラベルシートの仕様は、例示であり、RFID領域の形状、位置、大きさ等は上記に限られない。
【0126】
コントローラー10は、紙送りを開始した後、RFID領域を含む所定距離の間、センサー出力値の取得を行わない。そして、前記所定距離以外の位置で取得したセンサー出力値を使用する。
【0127】
次に、上記のラベルシートの繋ぎ目の特定方法について、図15のフローチャートを参照して説明する。なお、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第二の部分)は、図8と同様である。また、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第三の部分)は、図9と同様である。
【0128】
図15は、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第一の部分)の変形例を示す図である。
【0129】
S10、S20、S30、S40は、図7と基本的に同様なので説明を省略する。なお、S20では、コントローラー10は、紙送りを開始して、処理をS25に進める。
【0130】
S25では、コントローラー10は、RFID領域の通過を待つ。具体的には、コントローラー10は、RFID領域を含む所定距離の間、ラベル検出ユニット40からのセンサー出力値を読み捨てる。前記所定距離の通過後、処理をS30に進める。なお、前記所定距離の間、コントローラー10は、ラベル検出ユニット40の読み取り動作を停止するようにしてもよい。
【0131】
以上のようにして、RFID領域を備えるラベルシートであっても、繋ぎ目の位置を精度よく特定することができる。もちろん、変形例2は、変形例1と組み合わせてもよい。
【0132】
<変形例3>
ラベルシートとして、ラベル間と同程度の幅の特殊なスリットを有するものも想定される。この場合、所定距離Dを用いた判定を行っても、スリットを誤ってラベル間と認識するおそれがある。そこで、変形例3に係るラベルプリンター1は、ラベルシートを搬送中に一度ラベル間を検出した後も、判定を継続する。上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0133】
図16は、特殊スリットを有するラベルシートの例を示す図である。
【0134】
本図に示すように、ラベルシート(E)は、ラベルの中央より後側(搬送方向と反対側)に特殊スリットを備える。特殊スリットは、ラベル間のように矩形状の領域ではなく、曲線状の領域となっている。そして、その幅は、ラベル間の幅に近い。ここで、規格上、特殊スリットを有するラベルシートのラベル間には、シート孔が設けられているものとする。また、規格上、特殊スリットの位置は、ラベル間から所定距離以内と定められているものとする。もちろん、上記のラベルシートの仕様は、例示であり、特殊スリットの形状、位置、大きさ等は上記に限られない。
【0135】
コントローラー10は、ラベル間を一度検出した後も紙送りを継続し、シート孔を検出したか否かを判定する。シート孔が検出された場合は、該シート孔の中央を繋ぎ目位置として特定する。一方、ラベル間を一度検出した後、シート孔が検出されず、かつ、所定距離の紙送りが終了した場合は、一度目に検出されたラベル間の中央を繋ぎ目位置として特定する。ここで、前記所定距離は、例えば、特殊スリットを有する各種仕様のラベルシートのうち、特殊スリットからラベル間を含む位置までの最大の距離とすることができる。
【0136】
次に、上記のラベルシートの繋ぎ目の特定方法について、図17のフローチャートを参照して説明する。なお、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第一の部分)は、図7と同様である。また、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第三の部分)は、図9と同様である。
【0137】
図17は、ラベルシートの繋ぎ目を特定する処理(第二の部分)の他の変形例を示す図である。
【0138】
S50〜S90、S100は、図8と基本的に同様なので説明を省略する。なお、S90では、コントローラー10は、距離Lが所定距離D以上である場合(S90:YES)、処理をS92に進める。
【0139】
S92では、コントローラー10は、所定距離の紙送りが終了したか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、S90でYESと判定されてからの搬送距離が、特殊スリットからラベル間を含む位置までの所定距離を超えたか否かを判定する。所定距離の紙送りが終了していない場合(S92:NO)、処理をS94に進める。所定距離の紙送りが終了した場合(S92:YES)、処理をS100に進める。
【0140】
S94では、コントローラー10は、センサー出力値を取得する。具体的には、コントローラー10は、ラベル検出ユニット40からセンサー出力値を得る。そして、処理をS96に進める。なお、S96では、所定の搬送距離ごとの値を得るものとする。
【0141】
S96では、コントローラー10は、ラベル間を検出したか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、センサー出力値が、上昇する過程で閾値Aと等しくなる走査位置P1A、上昇する過程で閾値Hと等しくなる走査位置P2H、下降する過程で閾値Hと等しくなる走査位置P3H、下降する過程で閾値Aと等しくなる走査位置P4Aを順に特定できたか否かを判定する。4つの走査位置の全てを特定できた場合、又は、P1A及びP4Aのみを特定できた場合、ラベル間を検出したものと判定し(S96:YES)、処理をS98に進める。その他の場合、ラベル間を検出していないと判定し(S96:NO)、処理をS92に戻す。
【0142】
S98では、コントローラー10は、シート孔を検出したか否かを判定する。具体的には、コントローラー10は、S96でP2H及びP3Hを特定したか否かを判定する。P2H及びP3Hを特定した場合、シート孔を検出したものと判定し(S98:YES)、処理をS100に進める。P2H及びP3Hを特定していない場合、シート孔を検出していないものと判定し(S98:NO)、処理をS92に戻す。
【0143】
なお、S110では、コントローラー10は、S80又はS98でYESと判定した場合(S110:YES)、処理をS120に進める。S92でYESと判定した場合(S110:NO)、処理をS130に進める。そして、S120では、コントローラー10は、S70又はS96で特定したP2HとP3Hとの間の距離Lを2等分した中央位置Tを、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。一方、S130では、コントローラー10は、S70で特定した走査位置P1AとP4Aとの間の距離Lを2等分した中央位置Tを、ラベルシート間の繋ぎ目位置として特定する。
【0144】
以上のようにして、特殊スリットを備えるラベルシートであっても、ラベルシートの各シートの繋ぎ目を、より精度よく自動で特定することができる。もちろん、変形例3は、変形例1や変形例2と組み合わせてもよい。
【0145】
<変形例4>
以上の実施形態及び変形例では、コントローラー10は、受光素子40aが受光素子を複数備える場合、予め選択したいずれか一つの受光素子の出力を使用しているが、条件に応じて使用する受光素子を選択してもよい。
【0146】
例えば、コントローラー10は、複数の受光素子それぞれについて、S30〜70(図7〜9参照)の処理を実行し、最初に(すなわち、最も早い時間に)走査位置P1に該当するセンサー出力値を得られた受光素子を、その後の処理に使用する受光素子として選択する。そして、選択していない受光素子については、コントローラーは、例えば、出力値を読み捨てたり、当該受光素子の動作を停止したりすればよい。また、選択していない受光素子に対応する発光素子の発光を停止するようにしてもよい。
【0147】
また、例えば、コントローラー10は、複数の受光素子それぞれについて、S30〜70(図7〜9参照)の処理を実行し、最初に、4つの走査位置の全て、又はP1A及びP4A、又はP2H及びP3Hに該当するセンサー出力値を得られた受光素子を、その後の処理に使用する受光素子として選択する。また、最初に、S80でYESと判定することができた受光素子、又はS90でYESと判定することができた受光素子を、その後の処理に使用する受光素子として選択してもよい。そして、選択していない受光素子については、コントローラーは、例えば、出力値を読み捨てたり、当該受光素子の動作を停止したりすればよい。また、選択していない受光素子に対応する発光素子の発光を停止するようにしてもよい。
【0148】
<変形例5>
複数の受光素子のセンサー出力値を用いて、ラベル間の形状を特定するようにしてもよい。
【0149】
例えば、コントローラー10は、受光素子ごとに、走査位置P1及びP4を特定する。そして、各素子における走査位置P1及びP4の位置や距離Lの長さなどの関係に基づいて、ラベル間の形状を特定する。例えば、ラベル間の形状が搬送方向と直交する矩形なのか否かを判定する。そして、矩形でなければ、スリットであると判定することができる。
【0150】
また、例えば、コントローラー10は、受光素子ごとに、走査位置P2及びP3を特定し、各素子における走査位置P2及びP3の位置や距離Lの長さなどの関係に基づいて、シート孔の位置、シート孔の形状、シート孔の数などを特定するようにしてもよい。
【0151】
上記の本発明の実施形態及び変形例は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。上記の実施形態及び変形例は、一以上を組み合わせてもよい。
【0152】
なお、本発明は、透過センサーに限らず、反射センサーなどの他のセンサーであっても適用できる。
【0153】
また、本実施形態のラベルプリンターは、ラベル一枚分のラベルシートの長さを算出した後は、そのロールが交換されるまで、算出した長さの搬送を行うごとにラベルシートをカットする。又は、第一のシート位置若しくは第二のシート位置からシートの繋ぎ目位置までの距離を記憶しておき、第一のシート位置若しくは第二のシート位置が特定された後、前記繋ぎ目位置までの距離を搬送してラベルシートをカットするようにしてもよい。もちろん、ラベルごとにシートの繋ぎ目位置を特定してカットするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0154】
1:ラベルプリンター、10:コントローラー、20:操作パネル、30:印刷ユニット、31:紙送りモーター、32:印刷ヘッド、33:プラテンローラー、34:カッター、34a:上刃、34b:下刃、40:ラベル検出ユニット、40a:受光素子、40b:発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上に複数のラベルが間隔を空けて配列されたラベルシートを搬送するラベル搬送装置であって、
前記ラベルシートを読み取ってセンサー出力値を出力するセンサーと、
センサー出力値の最頻値を特定する最頻値特定手段と、
前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記最頻値に応じて決定したラベル間のシート部分を検出するための第一の閾値を超えた第一のシート位置と、前記第一の閾値よりも大きい値であって前記ラベルシートの孔を検出するための第二の閾値を超えた第二のシート位置と、前記第二の閾値を下回った第三のシート位置と、前記第一の閾値を下回った第四のシート位置と、を特定するシート位置特定手段と、
前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一のシート位置から前記第四のシート位置までの第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定し、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されている場合、前記第二のシート位置から前記第三のシート位置までの第二区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定する繋ぎ目位置特定手段と、を有する、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のラベル搬送装置であって、
前記第一の閾値は、前記最頻値に所定値を加えた値である、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のラベル搬送装置であって、
前記センサー出力値の最大値を特定する最大値特定手段を備え、
前記第一の閾値は、前記最頻値と前記最大値の差分に応じて決定した値である、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のラベル搬送装置であって、
前記最頻値と前記最大値の差分の所定割合の値を前記最頻値に加えた値を前記第一の閾値として決定する閾値決定手段を有する、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記繋ぎ目位置特定手段は、前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一区間の距離が所定距離を超えているか否かを判定し、前記第一区間の距離が前記所定距離を超えている場合に、前記第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定する、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜4いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記繋ぎ目位置特定手段は、前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一区間の距離が所定距離を超えているか否かを判定し、前記第一区間の距離が前記所定距離を超えていない場合に、ラベル間のシートの繋ぎ目位置を特定せずに、少なくとも特定された前記第一のシート位置及び前記第四のシート位置をリセットする、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記最頻値特定手段は、前記ラベルシートの搬送の開始後、第一の所定区間のセンサー出力値を用いて前記最頻値を特定し、
前記シート位置特定手段は、前記所定区間よりも搬送方向後方の区間のセンサー出力値を用いて前記各シート位置を特定する、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項8】
請求項1〜6いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記最頻値特定手段は、前記ラベルシートの搬送の開始後、継続的に前記センサー出力値を用いて随時前記最頻値を特定して更新する、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記ラベルには、識別情報を記憶するチップ及び当該識別情報を送受信するアンテナが第二の所定区間に設けられており、
前記最頻値特定手段は、前記第二の所定区間のセンサー出力値を前記最頻値の特定に使用しない、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記位置特定手段は、前記第一区間の中央がラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定された以降、さらに搬送された区間のセンサー出力値を用いて、前記第二のシート位置と、前記第三のシート位置とを特定し、
前記繋ぎ目位置特定手段は、前記第二シート位置及び前記第三シート位置が特定されなかった場合に、前記第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定し、前記第二シート位置及び前記第三シート位置が特定された場合に、前記第二のシート位置から前記第三のシート位置までの第二区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定する、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項11】
請求項1〜10いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記センサーは、前記ラベルシートを挟んで対向配置された、発光素子及び受光素子、又は超音波発信素子及び超音波受信素子である、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項12】
請求項1〜11いずれか一項に記載のラベル搬送装置であって、
前記センサーは、前記ラベルシートの搬送方向と直交する方向に並ぶ複数の位置において前記ラベルシートを読み取り、前記複数の位置毎にセンサー出力値を出力可能とする、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項13】
請求項12に記載のラベル搬送装置であって、
前記最頻値特定手段、前記シート位置特定手段、及び繋ぎ目位置特定手段は、前記複数の位置に対応したセンサー出力値毎に機能可能であり、
前記複数の位置に対応したセンサーのうち、最初に前記第一のシート位置を特定するセンサー出力値を出力したセンサーを、以降の前記各シート位置を特定するためのセンサーとして用いる、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項14】
請求項12に記載のラベル搬送装置であって、
前記最頻値特定手段、前記シート位置特定手段、及び繋ぎ目位置特定手段は、前記複数の位置に対応したセンサー出力値毎に機能可能であり、
前記複数の位置に対応したセンサーのうち、最初に前記繋ぎ目位置を特定するセンサー出力値を出力したセンサーを、以降の前記各シート位置を特定するためのセンサーとして用いる、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項15】
請求項12に記載のラベル搬送装置であって、
前記最頻値特定手段、前記シート位置特定手段、及び繋ぎ目位置特定手段は、前記複数の位置に対応したセンサー出力値毎に機能可能であり、
前記センサー出力値毎に特定される前記各シート位置に基づき、前記ラベル間のシート部分の形状を判別する判別手段を有する、
ことを特徴とするラベル搬送装置。
【請求項16】
シート上に複数のラベルが間隔を空けて配列されたラベルシートを搬送し、前記ラベルシートを読み取ってセンサー出力値を出力するセンサーを備えるラベル搬送装置における、前記シートの繋ぎ目特定方法であって、
センサー出力値の最頻値を特定するステップと、
前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記最頻値に応じて決定したラベル間のシート部分を検出するための第一の閾値を超えた第一のシート位置を特定するステップと、
前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記第一の閾値よりも大きい値であって前記ラベルシートの孔を検出するための第二の閾値を超えた第二のシート位置を特定するステップと、
前記ラベルシートの搬送方向において、前記センサー出力値が、前記第二の閾値を下回った第三のシート位置を特定するステップと、
前記ラベルシートの搬送方向において、前記第一の閾値を下回った第四のシート位置を特定するステップと、
前記第四のシート位置が特定された際に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されていない場合、前記第一のシート位置から前記第四のシート位置までの第一区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定するステップと、
前記第四のシート位置が特定された際に、前記第二のシート位置及び前記第三のシート位置が特定されている場合、前記第二のシート位置から前記第三のシート位置までの第二区間の中央をラベル間のシートの繋ぎ目位置として特定するステップと、を含む、
ことを特徴とする繋ぎ目特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−22861(P2013−22861A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160722(P2011−160722)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】