説明

ラベル製造方法およびラベル製造システム

【課題】感熱性粘着シートからなるラベルを製造する際に、不要な加熱パターンを記憶させる必要がなく、使用者が自由に加熱パターンの設定、変更、微調整を行うことができ、所望の形状および大きさの粘着部分を精度良く形成できるようにする。
【解決手段】感熱性粘着シートを1つの画像領域とみなして画像データを作成し、画像編集処理を行うことにより画像領域を少なくとも2種類の部分(例えば黒部分と白部分)に分けて、その一方を加熱部分R1、他方を非加熱部分R2として設定し、画像編集処理の結果として得られた編集画像を加熱パターンとして入力し、入力された加熱パターンに基づいてサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動して、感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせてサーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に作動させることにより、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常時には非粘着性を示し、加熱されることにより粘着性を発現する感熱性粘着剤層がシート状基材の片面に形成された感熱性粘着シートからなるラベルを製造するためのラベル製造方法およびラベル製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱されることによって粘着性を発現する感熱性粘着剤層を有する感熱性粘着シートが実用化されている。このような感熱性粘着シートは、加熱前のシートは粘着性を持たないため取り扱いが容易であることや、剥離紙を必要としないため産業廃棄物が生じないことなどの利点を有している。そして、この感熱性粘着シートからなるラベルは、食品などの商品のPOS(販売時点情報管理)用のバーコードなどの表示や、物流および配送用の荷札や、ホテルまたは乗物等におけるバゲッジタグや、瓶、缶、薬包などの内容表示などのために、様々な物品に貼り付けられて幅広い分野で使用されている。
【0003】
このラベルは、用途によっては、粘着部分と並べて非粘着部分が形成され、粘着部分と非粘着部分とを1つの組にして用いられることがある。例えば、粘着部分と非粘着部分に同一内容の表示を形成しておき、粘着部分を物品に貼り付け、その粘着部分と対応する非粘着部分のみを切り取って物品から取り外し、控えとして保管しておくことができる。このような場合には、1枚のラベル内に、加熱により粘着性が発現した粘着部分と、加熱されずに粘着性が発現していない非粘着部分とが混在する。
【0004】
なお、感熱性粘着シートの感熱性粘着剤層の加熱には、一般にサーマルプリンタの記録ヘッドとして用いられているサーマルヘッドが用いられることが多い(特許文献1,2参照)。その場合、感熱性粘着シートの感熱性粘着剤層をサーマルヘッドに押し付けつつ感熱性粘着シートを搬送して、感熱性粘着剤層の全面または一部を熱活性化させて粘着力を発現させる。サーマルヘッドを用いることにより、感熱性粘着剤層中に加熱部分と非加熱部分とを混在させることが比較的容易にできる。通常、感熱性粘着シートの感熱性粘着剤層の加熱時には、サーマルヘッドは予め決められたパターンに基づいて加熱を行う。例えば、特許文献2では、複数の制御データのうちのいずれかを選択してサーマルヘッドを駆動している。各制御データには加熱パターン(サーマルヘッドの各発熱素子への通電パターン)が含まれているので、サーマルヘッドが、選択された制御データの加熱パターンに従って作動して、感熱性粘着シート内に粘着部分(感熱性粘着剤層が熱活性化された部分)と非粘着部分(感熱性粘着剤層が熱活性化されていない部分)とを生じさせる。
【特許文献1】特開2004−243606号公報
【特許文献2】特開2004−136972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の装置によると、複数の制御データ(複数の加熱パターン)のいずれかに従って、感熱性粘着シート内に粘着部分と非粘着部分とを混在させることができる。この方法によると、予め記憶されている制御データの加熱パターンの種類と同数だけ、ラベル製造のバリエーションがある。しかし、他品種かつ少量のラベルを製造したい場合には、より多くの様々な加熱パターンを設定することが望まれる。そのような場合には、予め記憶される制御データの数を増やすことが好ましいが、その分だけ記憶手段の容量を大きくする必要がある。予め記憶される制御データの数をやみくもに増やすと、実際には使用されることのない制御データが多数記憶されることになる可能性があり、無意味に記憶手段の容量の増大を要することになる可能性がある。
【0006】
そして、例えば製造すべきラベルの大きさや形状が変更になった場合に、使用者が臨機応変に加熱パターンを変更することはできない。予め記憶された複数の制御データに含まれる加熱パターンのどれからも逸脱した大きさまたは形状の粘着部分を形成することは決してできない。また、例えばラベル製造装置の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シートの搬送誤差など)が生じた場合に、使用者がそれを補正するために加熱パターンの微調整を行うことができない。すなわち、ラベル製造装置の動作の機械的な誤差によって、所望の形状および大きさの粘着部分を形成できなくなる可能性があり、それを補正することはできない。
【0007】
そこで本発明の目的は、不要な加熱パターンを記憶させておく必要がなく、使用者が自由に加熱パターンの設定、変更、および微調整を行うことができ、所望の形状および大きさの粘着部分を精度良く形成できるラベル製造方法およびラベル製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートをサーマルヘッドの発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを用い、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造方法において、感熱性粘着シートを1つの画像領域とみなして画像データを作成し、画像編集処理を行うことにより画像領域を少なくとも2種類の部分に分けて、2種類の部分のうちの一方を加熱部分、他方を非加熱部分として設定し、画像編集処理の結果として得られた編集画像を加熱パターンとして入力し、入力された加熱パターンに基づいてサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動して、搬送手段による感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせてサーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に作動させることにより、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させることを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施態様では、画像領域を、着色部分と非着色部分とを含む2値画像として表示手段に表示し、画像編集処理によって着色部分と非着色部分の形状、大きさ、および位置を任意に調整し、着色部分と非着色部分のうちの一方を加熱部分、他方を非加熱部分として設定してもよい。また、感熱性粘着シートを、1つの発熱素子の大きさと実質的に同じ大きさのドットごとに分割したマトリックス状の画像領域とみなして画像データを作成し、画像編集処理にて、ドットごとに独立して加熱部分と非加熱部分のいずれかに設定可能であってもよい。
【0010】
これらの方法によると、サーマルプリンタにおける画像形成のための処理を応用して、所望の粘着部分を有するラベルを容易に製造することができる。
【0011】
なお、本発明では、入力された加熱パターンに基づいてサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動するが、これは、入力された加熱パターンにそのまま従ってサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動する場合と、入力された加熱パターンを補正した上で補正後の加熱パターンに従ってサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動する場合とを含む。後者の場合には、入力された加熱パターンを補正して、補正後の加熱パターンに従ってサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動して、搬送手段による感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせてサーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に作動させることにより、感熱性粘着シートのうち、補正後の加熱パターン内で加熱部分として設定されている部分に対応する部分のみを加熱して粘着性を発現させる。補正後の加熱パターンは、少なくとも1つの方向に関して、入力された加熱パターンの外周部を外側に所定距離だけ拡張するように補正したものであってもよい。特に、補正後の加熱パターンは、感熱性粘着シートの搬送方向の先端部と、搬送方向に直交する幅方向の両端部とに関して、入力された加熱パターンの外周部を外側に所定距離だけ拡張するように補正したものであってもよい。それによると、仮に何らかの機械的誤差等により所望の加熱パターンからずれた加熱部分が形成されたとしても、ラベルの外周部に意図しない非粘着部分(非加熱部分)が生じる危険性を小さくできる。
【0012】
また、補正後の加熱パターンは、入力された加熱パターンの加熱部分と非加熱部分の境界において加熱部分の縁部を所定距離だけ後退させたものであってもよい。それによると、例えば、入力された加熱パターンの加熱部分と非加熱部分の境界にあたる位置にミシン目が形成されている場合に、仮に何らかの機械的誤差等によりミシン目が加熱部分と非加熱部分の境界からずれたとしても、ミシン目の両側に粘着部分(加熱部分)が存在することによりミシン目に沿って切り取ることが困難になることが抑えられる。
【0013】
本発明のラベル製造システムは、複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートをサーマルヘッドの発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを有する、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造装置と、感熱性粘着シートを1つの画像領域とみなして表示する表示手段と、表示手段に表示された画像領域を少なくとも2種類の部分に分けて、2種類の部分のうちの一方を加熱部分、他方を非加熱部分として設定するための画像編集処理を行い、画像編集処理の結果として得られた編集画像を加熱パターンとして記憶手段に入力するための入力手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、サーマルヘッドによる感熱性粘着シートの加熱パターンを予め記憶させておく必要がなく、製造すべきラベルの形態に合わせてその都度所望の加熱パターンを入力することができる。従って、予め記憶されたいくつかの加熱パターンの中から選択する場合に比べて、非常に自由に加熱パターンを設定することができ、複雑な加熱パターンであってもきめ細かく精緻に設定することができる。ひいては、ニーズに応じた適切なラベルをその都度容易に製造することができる。さらに、一旦作成した加熱パターンの変更や微調整を行うことも容易にできる。
【0015】
また、所望の加熱パターンを入力した後にそれを補正することにより、機械的誤差等が生じた場合の不具合を最小限に抑えることができる。特に、少なくとも1つの方向に関して、入力された加熱パターンの外周部を外側に所定距離だけ拡張するように補正した場合には、ラベルの外周部に意図しない非粘着部分が生じるおそれを小さくでき、剥がれ易いラベルの製造を未然に防ぐことができる。さらに、入力された加熱パターンを、その加熱部分と非加熱部分の境界において加熱部分の縁部を所定距離だけ後退させるように補正すると、例えば、入力された加熱パターンの加熱部分と非加熱部分の境界にあたる位置にミシン目が形成されている場合に、ミシン目の両側に粘着部分(加熱部分)が存在することによりミシン目に沿って切り取ることが困難になることが抑えられ、ミシン目に沿って切り取る際にラベルを破いてしまう危険性を小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
まず、本発明において用いられるラベル製造装置1の基本構成について、図1を参照して説明する。このラベル製造装置1は、感熱性粘着シート2をラベル製造装置1の内部に導入するための1対の挿入ローラ3と、感熱性粘着シート2の感熱性粘着剤層を加熱して熱活性化するためのサーマルヘッド4と、サーマルヘッド4との間に感熱性粘着シート2を挟み込むプラテンローラ5と、サーマルヘッド4の下流側に位置する1対の排出ローラ6と、センサ7,8,9とを有している。これらの各部材について、搬送方向の上流側から順に説明する。
【0018】
ラベル製造装置1の導入口10の近傍に、シート挿入検知センサ7が設けられている。シート挿入検知センサ7は、検知部が感熱性粘着シート2の搬送経路11を向くように配置されており、導入口10から挿入ローラ3の近傍へ挿入された感熱性粘着シート2の有無を検知する。
【0019】
シート挿入検知センサ7の下流側に1対の挿入ローラ3が配置され、両ローラ3の接点が搬送経路11の一部になっている。挿入ローラ3のうちの一方が駆動ローラであって、他方は従動ローラであってよい。挿入ローラ3の下流側にはシート検知センサ8が設けられている。シート検知センサ8は、検知部が搬送経路11を向くように配置されており、挿入ローラ3からサーマルヘッド4およびプラテンローラ5の近傍に搬送された感熱性粘着シート2の端部を検知する。
【0020】
挿入ローラ3によって感熱性粘着シート2が導かれる位置に、サーマルヘッド4とプラテンローラ5が設けられている。サーマルヘッド4は、一般的なサーマルプリンタに用いられている記録用のヘッドと同様な構成であってよく、例えば、小さな抵抗体からなる複数の発熱素子が幅方向(図1に垂直な方向)に並べて配設された発熱部4aを有している。このサーマルヘッド4と対向するようにプラテンローラ5が配置されており、サーマルヘッド4とプラテンローラ5によって、搬送経路11の感熱性粘着シート2を挟みつけるようになっている。プラテンローラ5は、感熱性粘着シート2をサーマルヘッド4の発熱部4aに圧接させて良好な熱活性化を行うための押圧手段として機能するとともに、回転することによって感熱性粘着シート2を搬送する。
【0021】
サーマルヘッド4の下流側には、感熱性粘着シート2を排出口12から外部に排出するための1対の排出ローラ6が配置されている。さらに、排出ローラ6の近傍にはシート取り去り検知センサ9が設けられている。シート取り去り検知センサ9は、検知部が感熱性粘着シート2の搬送経路11を向くように配置されており、排出口12から外部へ取り去られる前の感熱性粘着シート2の有無を検知する。
【0022】
図2には、このラベル製造装置1のブロック図が示されている。ラベル製造装置1内のCPU(制御手段)13が、記憶手段であるROM(リード・オンリー・メモリ)14に格納された様々なデータを参照し、かつもう1つの記憶手段であるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)15のデ−タの読み書きを行いながら、ラベル製造装置1の全体の動作を制御する。ラベル製造装置1には、さらに、入力手段16および表示手段17が設けられている。この入力手段16と表示手段17が一体化された液晶表示パネル等からなるタッチパネル等が用いられる場合もある。このCPU13、ROM14、RAM15、入力手段16、および表示手段17は、IF(インタフェース)18を介して、モータ駆動回路19とヘッド駆動回路20とセンサ回路21に接続されている。そして、モータ駆動回路19にはステッピングモータである搬送モータ22が、ヘッド駆動回路20にはサーマルヘッド4が、センサ回路21には3つのセンサ7,8,9がそれぞれ接続されている。本実施形態の搬送モータ22には、駆動伝達手段23,24,25を介して、搬送手段である挿入ローラ3、プラテンローラ5、および排出ローラ6がそれぞれ接続されている。本実施形態では、図2に示すように全ての構成要素がラベル製造装置1内に配置されて、このラベル製造装置1単体でラベル製造システムが構成されている。しかし、ラベル製造装置1にホストコンピュータ(図示せず)を接続してラベル製造システムを構成してもよい。その場合、図2に示す構成のうちの入力手段16と表示手段17を、ラベル製造装置1ではなくホストコンピュータに設けてもよい。
【0023】
以上説明したラベル製造システムによってラベルを製造する方法の基本工程について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
まず、シート挿入検知センサ7によって、導入口10から感熱性粘着シート2が挿入されていることを確認すると(ステップS1)、CPU13がIF18およびモータ駆動回路19を介して搬送モータ22を作動させて、駆動伝達手段23〜25を介して各ローラ(搬送手段)3,5,6を回転させる。それによって、感熱性粘着シート2を搬送経路11に沿って、サーマルヘッド4とプラテンローラ5の間へ向けて1行分だけ搬送する(ステップS2)。
【0025】
シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部を検知すると(ステップS3)、適宜のタイミングでCPU13がIF18およびヘッド駆動回路20を介してサーマルヘッド4を駆動する。これによって、サーマルヘッド4の発熱部4aが発熱する。具体的には後述するが、サーマルヘッド4の発熱部4aの発熱による感熱性粘着シート2の加熱と、挿入ローラ3、プラテンローラ5、および排出ローラ6による1行ごとの感熱性粘着シート2の搬送とを交互に繰り返して、感熱性粘着シート2の感熱性粘着剤層の熱活性化を行う(ステップS4)。
【0026】
その後、感熱性粘着シート2は、排出ローラ6の回転によって排出口12から外部に順次送り出される(ステップS5)。なお、一般的には、所望のラベルの大きさに切断された感熱性粘着シート2がラベル製造装置1に供給されるが、長尺の連続紙状の感熱性粘着シート2がラベル製造装置1に供給される場合もある。後者の場合には、サーマルヘッド4の上流側または下流側に配置されているカッター手段(図示せず)によって、感熱性粘着シート2を所望のラベルの大きさに適宜切断する。以上が本実施形態のラベル製造方法の基本工程である。
【0027】
本実施形態は、以上説明したラベルの製造方法において、感熱性粘着シート2の粘着部分のパターン、すなわち、サーマルヘッド4による加熱部分のパターンの設定および制御に主な特徴を有するものである。その点について、以下に詳細に説明する。
【0028】
従来のラベル製造装置、例えば特許文献2の装置は、予め記憶されている制御データの加熱パターンに従って感熱性粘着シート2の加熱を行うものであり、予め記憶されている複数の加熱パターンの中から1つを選択して設定することしかできず、加熱パターンを微調整することもできなかった。
【0029】
これに対し、本実施形態では、使用者が加熱パターンを自由に設定することができるようにした。具体的には、本実施形態では、感熱性粘着シート2においてサーマルヘッド4により感熱性粘着シート2を加熱するパターンを、1つの画像領域とみなして画像データを作成し、いわゆるビットマップイメージと同様に処理できるようになっている。すなわち、表示手段17に画像編集画面(2値画像)を表示し、その画像編集画面を見ながら使用者が入力手段16を操作することによって、画像編集することができ、その画像編集の結果をサーマルヘッド4による加熱パターンとして入力することができる。例えば、画像編集によって黒に設定された部分(着色部分)はサーマルヘッド4を作動させて感熱性粘着シート2を加熱する部分とし、白に設定された部分(非着色部分)はサーマルヘッド4を作動させず感熱性粘着剤層を熱活性化しない非加熱部分とするように、画像編集結果に基づいてサーマルヘッド4の各発熱素子を駆動することができる。
【0030】
そもそもサーマルヘッド4は、サーマルプリンタにおいて所望の画像を形成するために、すなわち、感熱紙において加熱により発色させた部分によって図や文字などを描くために用いられるものであった。このように、サーマルプリンタにおいて感熱紙に図や文字などを描くために、感熱紙の1行ごとの搬送にタイミングを合わせて、サーマルヘッド4の発熱素子の各々を適宜に作動させたり作動停止したりすることにより、加熱部分(発色部分)と非加熱部分(非発色部分)とを任意に配置することが一般に行われていた。その際には、1つの発熱素子の大きさを1つのドットとして、そのドットの集合(マトリックス)を画像領域(ビットマップイメージ領域)とみなし、その画像領域内の各ドットについて、加熱するか加熱しないかをそれぞれ個々に独立して決定している。本発明では、図や文字などを描く訳ではないが、それと同様な処理を行うことにより、使用者が加熱部分(粘着部分)のパターンを自由に設定、変更、および微調整できるようにしている。
【0031】
このように、本発明でサーマルプリンタにおける画像形成技術を応用することによって初めて、感熱性粘着シート2の粘着部分と非粘着部分の形状および大きさを任意に設定することが可能になり、さらに、1つの発熱素子の大きさを単位として、粘着部分と非粘着部分の形状および大きさを微調整することが可能になった。具体的には、表示手段17に画像領域(ビットマップイメージ領域)を模式的に映し出し、使用者が表示手段17に映し出された画像領域を見ながら入力手段16を操作することによって、個々のドットごとに加熱または非加熱を選択でき、最終的に粘着部分と非粘着部分の形状および大きさを決定することができる。また、一旦、粘着部分と非粘着部分の形状および大きさを決定した後でも、再び、表示手段17に画像領域を映し出してそれを見ながら入力手段16を操作することによって、各ドットの加熱または非加熱の選択を変更することにより、粘着部分と非粘着部分の形状および大きさの変更および微調整を行うこともできる。
【0032】
通常のラベルはさほど複雑な形状ではないため、従来は、予め記憶されていた制御データの加熱パターンのうちのいずれかを選択することによって、粘着部分のパターンを決定していたが、本発明では、前記したように、画像領域内の個々のドットごとに加熱または非加熱を選択できるようにした。これは、形状の複雑さよりも、むしろ、使用者が自由に設定、変更、および微調整できるという自由度に着目したからである。その結果、様々な加熱パターンを予め記憶させておく必要がなく、所望の形状および大きさの粘着部分を形成できる。また、以下に記載するような加熱パターンの制御が可能になり、それに伴う数々の利点が得られるようになった。ここで、画像形成技術を応用して粘着部分および非粘着部分の形状および大きさを任意に設定することが可能になったことによって初めて実現した効果的な制御方法について説明する。
【0033】
一般に粘着ラベルを物品に貼り付けて剥がれにくくするためには、特に粘着ラベルの外周部を強固に貼り付けることが重要である。粘着ラベルの外周部に非粘着部分が存在すると、その非粘着部分を起点として、粘着ラベルを剥がそうとする力が加わり易くなる。粘着部分と非粘着部分が混在するラベルにおいても、粘着部分は長期間にわたって物品に安定して保持されることが望ましいため、通常、粘着部分はラベルの外周部に至るまで延びるように設けられる。しかしながら、ラベル製造装置の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シートの搬送誤差など)が生じると、粘着部分がラベルの外周部よりも内側までしか形成されないことがあり得る。その場合、ラベルの外周部に意図しない非粘着部分が生じてしまい、その非粘着部分を起点としてラベルが剥がれ易くなる。
【0034】
そこで、本実施形態では、加熱部分が感熱性粘着シートの外周部から外にはみ出すように広い範囲に加熱するように、加熱パターンを補正する。感熱性粘着シートの外側に至るまで加熱することにより、加熱位置に多少の誤差が生じたとしてもラベルの外周部に意図しない非粘着部分が生じることが抑えられ、ラベルが剥がれ易くなる可能性を小さくすることができる。
【0035】
また、一般に、粘着部分とそれに並べて形成された非粘着部分とを対にして有するラベルを形成する場合には、ある物品に粘着部分を貼り付けた後に、非粘着部分のみを切り取って物品から取り外して控えにするような使い方が考えられる。そのような場合には、非粘着部分を切り取り易くするために、粘着部分と非粘着部分の境界にミシン目を形成することが考えられる。ミシン目は、製造技術上、少なくとも感熱性粘着シート2を加熱して粘着性を発現させる前に形成することが好ましい。従って、ミシン目を中心(境界)にして一方を加熱して粘着部分にし、他方を加熱せずに非粘着部分にすることになる。
【0036】
しかしながら、ラベル製造装置の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シートの搬送誤差など)によって、ミシン目と、粘着部分と非粘着部分の境界線とがずれてしまうことがあり得る。その場合、非粘着部分がミシン目を跨いで形成された場合には、ミシン目に沿って切り離すことはさほど困難ではない。しかし、粘着部分がミシン目を跨いで形成されてしまった場合には、ミシン目に沿ってラベルを切り離すためには、物品に貼り付いている粘着部分の一部を引き剥がして切り取らなければならず、困難であり、ミシン目以外のところでラベルを破いてしまう危険性が大きい。
【0037】
そこで、本実施形態では、粘着部分と非粘着部分の境界部分では、粘着部分(加熱部分)の縁部が所定の位置よりも後退した位置になるように制御する。すなわち、粘着部分と非粘着部分の境界線を、製造すべきラベルの形状および大きさに合わせて決定される正確な位置よりも、粘着部分側に少し(数mm程度)シフトさせる。従って、ミシン目が設けられている場合には、ミシン目よりも粘着部分側にずらした位置に、粘着部分と非粘着部分の境界線が位置することになる。こうすることによって、仮にラベル製造装置の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シートの搬送誤差)等によって粘着部分と非粘着部分の境界線の位置ずれが生じたとしても、粘着部分が所定の境界線の位置を越えて形成されてしまう可能性を非常に小さくすることができる。このことは、感熱性粘着シートにミシン目が形成されている場合に特に有効であり、粘着部分がミシン目を跨いで形成されてしまう可能性を低減し、従って、ミシン目に沿っての切り離しが困難になりラベルを破いてしまうおそれを小さくすることができる。
【0038】
以上説明した2つの制御は、所望のラベルを製造するための計算上(理論上)の所望の加熱パターンを厳密に正確に実現しようとするのではなく、所望の加熱パターンを意図的に補正して、仮にラベル製造装置の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シート2の搬送誤差など)が生じた場合であっても不具合を最小限に抑えるというものであり、すなわち安全性を確保するためのものである。この2つの制御を同時に実施した例を、図4に示している。図4(a)は補正前の加熱データであり、図4(b)は補正後の加熱データである。なお、図4における一部の寸法の縮尺が不正確になっているが、これは図面を見易くするためである。
【0039】
図4(a)に示す補正前の加熱データは、加熱部分R1(斜線にて図示)と非加熱部分R2(斜線なし)との境界線がミシン目Pに一致しており、また、外周部においては、感熱性粘着シート2の端縁と加熱部分R1の端縁とが一致している。これが、所望のラベルを製造するための計算上(理論上)の所望の加熱パターンである。そして、本実施形態では、この加熱パターンを、ビットマップイメージによる画像編集と同様な方法で補正している。その補正は、第1に、外周部における加熱パターンをそれぞれ外方に向かって拡張することである。具体的には、感熱性粘着パターンの搬送方向の最初の行に関しては、その最初の行と同じ加熱パターンを数mm(例えば2mm)だけ拡張する(図4(b)のA部分参照)。
【0040】
また、感熱性粘着シート2の両側方(搬送方向に直交する方向の両端部)においては、各行の加熱パターンの最外端部と同じ加熱パターンをその最外端部よりも数mm(例えば2mm)だけ外側に拡張する。すなわち、感熱性粘着シート2よりも4mmだけ幅が広い画像領域を設定する。そして、所望の加熱パターンにおいて幅方向の最外端部を加熱するように設定されている行では、画像領域の最外部の2mmの領域も同様に加熱するように設定し、所望の加熱パターンにおいて幅方向の最外端部を加熱しないように設定されている行では、画像領域の最外部の2mmの領域も同様に加熱しないように設定する。このような設定を、全行において、幅方向の両端部に関してそれぞれ行う。こうして、図4(b)のB部分およびC部分に示すように、所望の加熱パターンを、搬送方向に直交する幅方向の両端部において拡張させることができる。
【0041】
さらに、感熱性粘着パターンの搬送方向の最後の行に関しては、その最後の行と同じ加熱パターンを数mm(例えば2mm)だけ拡張する(図4(b)のD部分参照)。
【0042】
一方、所望の加熱パターンにおいて加熱部分R1と非加熱部分R2とが隣接している領域では、図4(b)のE部分に示すように、加熱部分R1の端縁を数mm(例えば2mm)後退させ、その分だけ非加熱部分R2を広げるようにする。
【0043】
本実施形態の加熱パターンの補正は、以上説明したような制御を行うためのものである。なお、図4(b)は、前記のように補正された加熱パターンに従って加熱が行われ、結果的にラベル製造装置1の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シート2の搬送誤差など)が生じなかった場合の感熱性粘着シート2の粘着部分R1と非粘着部分R2に対応している。仮に何らかの誤差が生じた場合には、図4(b)に示す状態から、感熱性粘着シート2の位置がいずれかの方向にずれることがある。しかし、この誤差の最大値はある程度予測でき、本実施形態では、その最大誤差を見越してその誤差による不具合を抑えるように加熱パターンを予め補正している。例えば、一般的な機構では最大誤差が2mm程度と考えられるので、本実施形態では、加熱パターンの外周部分を各方向に2mmずつ拡張し、粘着部分R1と非粘着部分R2の境界線を粘着部分R1側に2mmだけずらしている。従って、加熱パターンに対して感熱性粘着シート2がいかなる方向に2mm程度位置ずれしたとしても、ラベルの外周部分に意図しない非粘着部分が生じることや、粘着部分R1が切り取り線(ミシン目Pが形成されている場合もある)を跨いで形成されることが防げる。それによって、ラベルが剥がれ易くなることを抑え、かつ、非粘着部分R2の切り取りを容易にしてラベルが破れるおそれを小さくすることができる。
【実施例】
【0044】
前記した本発明の2つの制御を含む、ラベル製造方法のより詳細な具体例について説明する。
【0045】
図5に示すように、ラベル製造装置1の作動開始時点で、加熱パターンの初期化が行われる(ステップS11)。これは、過去のラベル製造時の加熱パターン等のデータがRAM15に残っている場合に、それを消去して、初期データの加熱パターン(デフォルトの加熱パターン)を一旦、RAM15に登録することである。なお、初期データの加熱パターンは、全面加熱であってよい。その状態で、加熱パターンが新たに入力されるのを待機する。そして、使用者が表示手段17および入力手段16を用いて、所望の加熱パターンを入力したことが検知されると(ステップS12)、その加熱パターンの補正を行ってRAM15に登録する(ステップS13)。
【0046】
ここで、使用者による所望の加熱パターンの入力の具体例を、図6,7を参照して説明する。この例では液晶タッチパネルが用いられており、これは入力手段16と表示手段17を兼ねたものであると言える。しかし、以下の説明では、便宜上、入力手段16と表示手段17とを別部品として記載している。これは、入力と表示という異なる機能を明確にするためである。
【0047】
まず、表示手段17に初期メニュー画面(図6(a)参照)が表示されている状態で、入力手段16によって編集パターン選択を指定する(ステップS21)。すると、図6(b)に示す選択画面が表示手段17に表示される。この段階では、新規の加熱パターンの作成と、既存の加熱パターンの変更のいずれかを選択することができ、前者の場合には入力手段16により「新規」を選択し、後者の場合には変更したい加熱パターン(既に記憶されている加熱パターン)の番号を入力手段16により入力する(ステップS22)。ここで「新規」が選択された場合には、図6(c)に示す入力画面にて、製造するラベルのサイズを入力手段16から入力する(ステップS23)。これに基づいて、画像編集画面17aの大きさおよび形状が決まる。そして、図6(d)に示すように表示手段17に画像編集画面(2値画像)17aが表示されるとともに、次の処理の選択肢として「加熱部分の追加・修正」、「加熱部分の削除」、「ラベルサイズの変更」、「加熱パターンの登録」が提示される。そこで、「加熱部分の追加・修正」と「加熱部分の削除」とを適宜に選択し、画像編集画面17a内で黒く表示されている部分(加熱部分R1)を任意に移動させたり、変形させたり、拡大または縮小させたりして、加熱部分R1の所望の配置を決定する(ステップS24)。なお、このように画像編集画面17a内での移動や変形や拡大または縮小の処理を行ってもよいが、図6(e)に示すように粘着部分の座標やサイズを直接入力することによって、加熱部分R1の所望の配置を決定してもよい。加熱部分R1の追加・修正や削除は、発熱素子の位置および大きさに対応した1ドット単位で細かく設定することができる。そして、画像編集画面17a、すなわち感熱性粘着シート2のサイズを変更したい場合には、図6(d)に示す画面で「ラベルサイズの変更」を選択すると、図6(c)に示す入力画面に戻るので、所望のラベルのサイズを入力し直せばよい。このようにして、加熱部分R1の所望の配置を決定したら、「加熱パターンの登録」を選択して、その編集画像を加熱パターンとしてRAM15に記憶させる(ステップS25)。こうして所望の加熱パターンの入力が完了する。なお、本実施例では、所望の加熱パターンは、図4(a)に示すように、1行目からN0行目に至る合計N0行と、サーマルヘッド4の発熱素子の数(ここでは合計M0桁とする)とに分割された、M0×N0のマトリックス状の2値画像で表される画像データである。
【0048】
なお、既存の加熱パターンの変更を行う場合には、ステップS22において、変更したい加熱パターンの番号を入力する。そうすると、製造するラベルのサイズの入力(ステップS23)を省略して、図6(d)に示すように表示手段17に画像編集画面(2値画像)17aが表示される。そこで、前記したのと同様に、加熱部分R1の所望の配置を決定し(ステップS24)、それを所望の加熱パターンとして登録する(ステップS25)。この場合、図示しないが、変更した画像を所望の加熱パターンとして登録する際に、上書き登録するか、または別データとして新規登録するかを選択できるようにしてもよい。
【0049】
以上説明したステップS21〜S25によって使用者から入力された加熱パターンは、例えば図4(a)に示すように、所望のラベルを製造するための計算上(理論上)の所望の加熱パターンである。本実施形態では、この入力された所望の加熱パターンを補正する(ステップS13)。その補正内容は、前記したように外周部における加熱パターンをそれぞれ外方に向かって数mm(例えば2mm)拡張することと、加熱部分(粘着部分)R1と非加熱部分(非粘着部分)R2の境界部分において加熱部分R1の縁部を所定の位置よりも数mm(例えば2mm)後退した位置になるように変更することである。補正後の加熱パターンは、図4(b)に示すように、(N0行+4mm)×(M0桁+4mm)のサイズのマトリクス状の画像データである。なお、本実施例では1行および1桁がそれぞれ1/8mmに設定されているので、(N0+32)行×(M0+32)桁となる。もちろん、1行および1桁の大きさが1/8mm以外の場合には行数および桁数が変わる。
【0050】
このように加熱パターンの補正を行う以外に、感熱性粘着シート2を加熱する上での、その他の制御方法を設定することもできる。例えば、感熱性粘着シート2の後端部がサーマルヘッド4との対向位置を実際に通り過ぎるタイミングまで、最終行の加熱パターンを延々と繰り返すことや、感熱性粘着シート2の後端部がサーマルヘッド4との対向位置の数mm(例えば2mm、本実施例では16行)手前に位置したタイミングから、全ての加熱を停止することなどが考えられる。これらの制御方法も、ステップS13において、またはそれよりも以前に予めROM14またはRAM15に設定しておくことができる。
【0051】
以上のようにして設定した補正後の加熱パターンを図4(b)に示している。この補正後の加熱パターンはN行×M桁(ここでN=N0+32、M=M0+32である)のマトリクス状である。以下に述べる熱活性化の制御は、この補正後の加熱パターンに従って進行する。
【0052】
前記したように、加熱パターンの補正を行うとともにその制御方法を設定したら、実際のラベル製造開始の指令を待機する。この指令とは、使用者がラベル製造装置1の特定のスイッチ(図示せず)を操作することによって出される信号であってもよいし、使用者が導入口10からラベル製造装置1の内部に感熱性粘着シート2を挿入して、シート挿入検知センサ7がそれを検知して送出する信号であってもよい(その場合、図3のステップS1に相当する工程になる)。このようなラベル製造開始の指令を受信すると(ステップS14)、図3に示すステップS2〜S5によってラベルの製造を行う。ステップS4では、ステップS13にて補正された補正後の加熱パターンに従って、かつステップS13にて設定された制御方法に則って加熱を行う。この補正後の加熱パターンと設定された制御方法とに従って行われる加熱方法を、図8を参照して具体的に述べる。
【0053】
まず、ステップS3にてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部を検知した時点から、ステッピングモータである搬送モータ22によってローラ3,5,6を駆動して計算上で感熱性粘着シート2の先端部がサーマルヘッド4の発熱部4aとの当接位置の数mm(例えば2mm)手前に到達するまでの行数を、予め求めておく。これは、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔(例えば10mm)と、感熱性粘着シート2の1行あたりの搬送距離(例えば1/8mm)とに基づいて求めることができる。例えば、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔が10mmで、1行あたりの搬送距離が1/8mmであるとすると、(10mm−2mm)/(1/8mm)=64行である。
【0054】
そこで、ステップS3にてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部を検知すると、そこから、予め求めておいた行数(前記した例では64行)だけ感熱性粘着シート2を搬送する(ステップS4a)。この搬送が完了した地点が、補正後の加熱パターン(図4(b)参照)の先頭位置(1行目)である。そこで、加熱パターンの行番号を示す変数nをn=1と設定する(ステップS4b)。なお、この位置を、図4(a)に示す補正前の加熱パターン(入力された所望の加熱パターン)において表すとしたら、先頭位置から−2mm=−16行目ということになる。
【0055】
前記したように計算上で感熱性粘着シート2の先端部がサーマルヘッド4の発熱部4aとの当接位置の2mm手前に到達したら、CPU13がRAM15からサーマルヘッド4に送信した補正後の加熱パターンの先頭位置(1行目)の加熱パターンを示すデータに従って、サーマルヘッド4が加熱を行う(ステップS4c)。それから、ローラ3,5,6によって感熱性粘着シート2を1行分だけ搬送する(ステップS4d)。そして、行番号を示す変数nが最終行の行番号Nに一致していないことを確認すると(ステップS4e)、変数nを1つ繰り上げ、n=n+1と設定し直す(ステップS4f)。そして、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知していないことを確認する(ステップS4g)。
【0056】
その後、感熱性粘着シート2の1行ごとに、加熱(ステップS4c)と、搬送(ステップS4d)と、変数nと最終の行番号Nとの比較(ステップS4e)と、変数nの繰り上げ(ステップS4f)と、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知していないことの確認(ステップS4g)とを繰り返す。
【0057】
なお、補正後の加熱パターンの各行のデータが随時CPU13によってRAM15からサーマルヘッド4に送信されて、ステップS4cでは、サーマルヘッドはその都度送信されたデータに従って加熱を行う。すなわち、その送信されたデータに従って、各発熱素子1つずつの加熱または非加熱の制御が行われる。データの送信は、加熱(ステップS4c)の前の適当なタイミングで、例えば搬送(ステップS4d)中や前の行の加熱(ステップS4c)中などに行われる。
【0058】
ここで、補正後の1行目から16行目までの加熱パターンは全て同じ加熱パターンであり、それは、ステップS12で入力された所望の加熱パターン(補正前の加熱パターン)の1行目の加熱パターンを幅方向両側に2mm(16桁)ずつ拡張したものである。この加熱パターンでは、1桁目から16桁目までは全て17桁目(これが補正前の加熱パターンの1桁目に相当する)と同じ加熱パターンであり、(M−16)桁目からM桁目までは全て(M−17)桁目(これが補正前の加熱パターンのM0桁目に相当する)と同じ加熱パターンである。従って、同一行内で、1桁目から17桁目までは全て加熱または全て非加熱であり、(M−17)桁目からM桁目までは全て加熱または全て非加熱である。このように、加熱パターンの幅方向の拡張の結果、同一行内で、1桁目から17桁目までは全て加熱または全て非加熱であり、(M−17)桁目からM桁目までは全て加熱または全て非加熱であることは、補正後の加熱パターンの全ての行において同様である。
【0059】
17行目から(N−17)行目までは、補正前の加熱パターンにおける1行目から最終行(N0行目)までの加熱パターンを、幅方向両側に2mm(16桁)ずつ拡張したものである。すなわち、補正後の加熱パターン内の(17行目〜(N−17)行目)×(17桁目〜(M−17)桁目)のマトリクスは、補正前の加熱パターンの(1行目〜N0行目)×(1桁目〜M0桁目)のマトリクスと全く同じである。そして、補正後の加熱パターンの1行目〜16行目と、(N−16)行目〜N行目と、1桁目〜16桁目と、(M−16)桁目〜M桁目がそれぞれ、入力された加熱パターンを補正して四方に拡張した部分である。
【0060】
このようにして、ステップS4c〜S4gによって、感熱性粘着シート2の各行の熱活性化を順次行っていき、行番号を示す変数nが最終行の行番号Nに到達したら(ステップS4e)、変数nの繰り上げ(ステップS4f)を行わずに、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知していないことの確認(ステップS4g)を行う。その後は、変数n=Nに固定したまま(すなわち、ステップS4eでn=Nを確認し、ステップS4fを省略して)、N行目の加熱パターンによる加熱(ステップS4c)と、搬送(ステップS4d)と、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知していないことの確認(ステップS4g)とを繰り返す。
【0061】
そして、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知したら(ステップS4g)、その時点から、感熱性粘着シート2の後端部の2mm手前の部分がサーマルヘッド4の発熱部4aと対向する位置に到達するまでの行数をカウント開始する。なお、ステップS4gにてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知した時点から、ステッピングモータである搬送モータ22によってローラ3,5,6を駆動して、計算上で感熱性粘着シート2の後端部の2mm手前の部分がサーマルヘッド4の発熱部4aと対向する位置に到達するまでの行数は、予め求めておく。これは、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔(例えば10mm)と1行あたりの搬送長さ(例えば1/8mm)とに基づいて求めることができる。例えば、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔が10mmで、1行あたりの搬送長さが1/8mmであるとすると、(10mm−2mm)/(1/8mm)=64行である。
【0062】
そこで、ステップS4gにおいてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知した時点から、64行分だけ加熱(ステップS4c)と搬送(ステップS4d)を繰り返す。この時、前に行われたステップS4eにて既にn=Nと確認されている場合には変数nの繰り上げ(ステップS4f)は行わずに、N行目の加熱パターンに基づく加熱を繰り返すことになる。
【0063】
一方、前に行われたステップS4eにてn=Nと確認されていないままで、ステップS4gにおいてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部が検知された場合には、前記したように64行分だけ加熱(ステップS4c)と搬送を繰り返し始めた時点で、まだn=Nになっていない。その場合には、加熱(ステップS4c)および搬送(ステップS4d)を行う度に、変数nの繰り上げ(ステップS4f)を行う。そして、n=Nと確認されると(ステップS4e)、その時点から変数nの繰り上げ(ステップS4f)は行わずにN行目の加熱パターンに基づく加熱を繰り返す。
【0064】
なお、図8に示すフローチャートによると、前記したように64行分だけ加熱(ステップS4c)と搬送を繰り返す最中に、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知したかどうかを確認するステップS4gをその都度再通過する。しかし、既に、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知したことが確認されている(ステップS4g)ので、その後にステップS4gを通過する際には、検知済み(Yes)と判断されるようにする。または、ステップS4gでは何の判断も行わないようにする。いずれにしても、その時点で既にカウント中の行数をリセットすることはなくカウントを続行する。
【0065】
そして、前記したいずれの場合であっても、ステップS4gにおいてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知した時点から、64行分だけ感熱性粘着シート2が搬送されたら(ステップS4h)、加熱を行わずに、排出ローラ6によって感熱性粘着シート2を搬送して排出口12から外部に排出する(図3のステップS5に相当)。これが、前記した、感熱性粘着シート2の後端部がサーマルヘッド4との対向位置の数mm(例えば2mm)手前に位置したタイミングから全ての加熱を停止する制御方法である。
【0066】
また、図8に示すフローチャートにおいて、ステップS4eにてn=Nと確認され、その後に、N行目の加熱パターンによる加熱(ステップS4c)と、搬送(ステップS4d)と、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部を検知していないことの確認(ステップS4g)とを延々と繰り返しても、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部をなかなか検知しないこともあり得る。そのような場合には、ステップS4cおよびステップS4dによって、N行目の加熱パターンによる加熱と1行分の搬送の繰り返しを延々と続ける。これが、前記した、感熱性粘着シート2の後端部がサーマルヘッド4との対向位置を実際に通り過ぎるタイミングまで、最終行の加熱パターンを延々と繰り返すことを主眼とした制御方法である。ただし、実際には、もう1つの制御方法との兼ね合いで、感熱性粘着シート2の後端部の2mm手前の部分がサーマルヘッド4との対向位置を実際に通り過ぎるタイミングまで、最終行の加熱パターンを延々と繰り返す制御方法であると言える。
【0067】
なお、図8に基づく説明では言及しなかったが、本実施例によると、感熱性粘着シート2の粘着部分と非粘着部分の境界線に当たる位置において、補正前の加熱パターンよりも粘着部分、すなわち加熱部分の縁部が所定距離(例えば2mm)だけ後退している。これは、ステップS13において補正前の加熱パターンを外側に所定距離ずつ拡張する補正とともに行われた、補正前の加熱パターンの加熱部分と非加熱部分の境界において加熱部分の縁部を所定距離だけ後退させる補正によるものである。特に、感熱性粘着シート2の粘着部分と非粘着部分の境界線に当たる位置の少なくとも一部にミシン目が設けられている場合には、加熱部分R1の縁部が、ミシン目P(補正前の所望の加熱パターンの境界線)よりも加熱部分R1側に2mm程度ずれた位置に来るように、加熱部分R1が狭く形成されている(図4(b)参照)。これらの修正は、ステップS4cにおいて用いられる、ステップS13で補正された補正後の加熱パターンにおいて既に補正済みである。従って、サーマルヘッド4がその補正後の加熱パターンに従って作動すれば、自ずと前記した加熱制御が行われる。サーマルヘッド4が加熱を行うステップS4cごとにその都度加熱パターンの修正を行うわけではない。
【0068】
以上詳細に説明したとおり、本実施例では、第1に、ステップS13において、所望の加熱パターンの外周部を外側に向かってそれぞれ拡張するとともに、加熱部分R1(粘着部分)と非加熱部分R2(非粘着部分)の境界線を加熱部分R1側に移動させる(加熱部分R1の縁部を後退させる)ような補正を行い、その補正後のパターンに基づいて感熱性粘着シート2の加熱を行っている。ただし、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部に関しては、その補正に加えて、感熱性粘着シート2の後端部がサーマルヘッド4との対向位置の2mm手前に位置したタイミングから全ての加熱を停止するように加熱を制御することと、何らかの理由で感熱性粘着シート2の後端部の進行が遅く、所望の加熱パターンの最終行(N行目)の後にも感熱性粘着シート2の加熱を行う必要がある場合には、最終行の加熱パターンを延々と繰り返すように加熱を制御することが実施されている。そのため、この後端部に関しては、必ずしも、補正された加熱パターン通りの加熱が実行されるとは限らない。従って、ステップS13において、必ずしも、所望の加熱パターンの外周部を全方向に関して外側に向かってそれぞれ拡張する必要はなく、特定の方向(例えば後端部以外の方向)に関してのみ外側に向かって拡張するようにしてもよい。
【0069】
この実施例によると、所望の加熱パターンを補正することによって、ラベルの外周部に意図しない非粘着部分が生じることが防げ、ラベルが剥がれ易くなる可能性を小さくすることができるとともに、粘着部分R1が切り取り線を跨いで形成されることが防げ、非粘着部分R2の切り取りを容易にしてラベルが破れるおそれを小さくすることができる。このように加熱部分の縁部を後退させることは、切り取り線としてミシン目Pが形成されている場合に特に効果的である。
【0070】
さらに、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部に関しては、後端部の少し手前から全ての加熱を停止するように制御することにより、感熱性粘着シート2から剥離した感熱性粘着剤がサーマルヘッド4に付着して残留することを防いでいる。また、所望の加熱パターンの最終行の後に感熱性粘着シート2の加熱を行う必要がある場合には最終行の加熱パターンを延々と繰り返すように制御することにより、比較的大きな誤差が生じた場合であっても、ラベルの外周部に意図しない非粘着部分が生じることが防げ、しかも、行全体を粘着部分にしてしまうのではないため必要以上に粘着部分を設けてしまうこともない。
【0071】
以上の説明では、加熱パターンの補正と加熱制御は、ラベル製造装置1自体に内蔵されたCPU13が行う処理としている。ただし、このラベル製造装置1にホストコンピュータ(図示せず)を接続してラベル製造システムを構成するようにしてもよい。その場合、ラベル製造装置1自体に内蔵されているCPU13が加熱や搬送の制御を行うが、加熱パターンの設定や補正(ステップS11〜S13)は、ホストコンピュータにて行う。すなわち、ホストコンピュータは、CPUと、ROMと、RAMと、マウスやキーボード等の入力手段16と、液晶ディスプレイや陰極線管等の表示手段17を有している。ラベル製造装置1は、搬送モータ22やサーマルヘッド4や各センサ7,8,9の動作を制御するために、CPU(制御手段)13、ROM(記憶手段)14、RAM(記憶手段)15を有しているが、これらは加熱パターンの設定や補正の機能は持たない。そして、ホストコンピュータにおいて加熱パターンの設定や補正が行われ、補正後の加熱データがホストコンピュータからラベル製造装置1に送信され、ラベル製造装置1のCPU13は、その送信された加熱パターンに従って搬送モータ22やサーマルヘッド4や各センサ7,8,9の動作を制御する。なお、この場合、ホストコンピュータのCPU13、ROM14、RAM15に、前記したような加熱パターンの設定および補正を行うための設定を行っていてもよいが、ホストコンピュータにインストールされるアプリケーションソフトウェアに、加熱パターンの設定や補正を実施するためのプログラムが含まれていて、そのソフトウェアをインストールした状態でCPU13が加熱パターンの設定や補正を実行できるようになっていてもよい。
【0072】
さらに他の例としては、加熱パターンの設定や補正(ステップS11〜S13)はラベル製造装置1自体のCPU13によって行うが、入力手段16および表示手段17のみを別部品としてラベル製造装置1に接続した構成にすることもできる。
【0073】
最後に、粘着部分と非粘着部分が混在するラベルの用途の一例について説明する。図9に示すラベルLは4つの部分L1〜L4からなり、第3部分L3のみが粘着部分(斜線にて図示)であり、それ以外の部分L1,L2,L4は全て非粘着部分である。このラベルLは荷物の配送用の伝票であり、4つの部分L1〜L4には、ほぼ同様な内容、すなわち発送元および発送先の住所と氏名または名称と電話番号と、配達に必要な情報(希望配達日時や料金や内容物の種類等)がそれぞれ記載されている。このラベルLの各部分の境界には切り取り線としてミシン目Pが設けられている。
【0074】
このラベルLの使用方法の一例について説明する。まず、発送依頼者から配送依頼を受けた配送業者が、前記した製造方法に従って、図9に示すラベルを製造する。そして、発送依頼者または配送業者がラベルLの各部分L1〜L4に必要事項を記入し、非粘着部分である第1部分L1を切り取って発送元控として発送依頼者に保管させる。一方、粘着部分である第3部分L3を荷物に貼り付けて第2〜4部分L2〜L4を荷物に保持させた状態で、配送業者がその荷物を運搬する。配送業者は、必要に応じて適宜のタイミングで、非粘着部分である第2部分L2を切り取って集配控として保管する。こうして第3部分L3と第4部分L4を保持している荷物を運搬して発送先に届けたら、発送先は、非粘着部分である第4部分L4を切り取って受領控として保管する。最終的に粘着部分である第3部分L3のみが荷物に保持されたままである。
【0075】
このようなラベルLにおいて、前記した製造方法を採用することによって、加熱部分R1(斜線にて図示)は、第3部分L3において幅方向(左右方向)端部e3,e4からラベル外まではみ出すとともに、ミシン目Pより第3部分L3の内側までの範囲になる。従って、仮に多少の機械的誤差等により、加熱部分が幅方向(左右)にずれたとしても、第3部分L3のほぼ全体が熱活性化されて粘着性が発現する。ただし、第3部分L3内であっても、ミシン目Pの近傍は非活性で非粘着状態になっている。このことは、多少の機械的誤差等が存在していても、第2部分L2や第4部分L4の切り取り時に荷物に貼り付いている部分を引き剥がす必要がなく、切り取りが容易であるとともに、誤ってミシン目以外の部分でラベルを破ってしまうことが防げる。なお、図9に示すラベルLの例では、ラベルLの前端部e1と後端部e2には粘着部分が存在しないため、それらの端部e1,e2において加熱パターンを拡張する補正は特に意味がなく、省略しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明のラベル製造方法に用いられるラベル製造装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明のラベル製造システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明のラベル製造方法の一実施形態の基本工程を示すフローチャートである。
【図4】(a)は所望の加熱パターンの画像を示す模式図、(b)は補正後の加熱パターンの画像を示す模式図である。
【図5】本発明のラベル製造方法の一実施形態の、図3に示す基本工程の前の工程を示すフローチャートである。
【図6】(a)〜(e)は図5に示すラベル製造方法の一実施形態の、所望の加熱パターンの入力用の画面を示す模式図である。
【図7】図5に示すラベル製造方法の一実施形態の、所望の加熱パターンの入力工程を詳細に示すフローチャートである。
【図8】図3,5に示すラベル製造方法の一実施形態の熱活性化工程を詳細に示すフローチャートである。
【図9】粘着部分と非粘着部分が混在するラベルの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ラベル製造装置
2 感熱性粘着シート
3 挿入ローラ
4 サーマルヘッド
4a 発熱部
5 プラテンローラ
6 排出ローラ
7 シート挿入検知センサ
8 シート検知センサ
9 シート取り去り検知センサ
10 導入口
11 搬送経路
12 排出口
13 CPU(制御手段)
14 ROM(記憶手段)
15 RAM(記憶手段)
16 入力手段
17 表示手段
17a 画像編集画面(2値画像)
18 IF(インタフェース)
19 モータ駆動回路
20 ヘッド駆動回路
21 センサ回路
22 搬送モータ
23,24,25 駆動伝達手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートを前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを用い、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造方法において、
前記感熱性粘着シートを画像領域とみなして画像データを作成し、画像編集処理を行うことにより該画像領域を少なくとも2種類の部分に分けて、該2種類の部分のうちの一方を加熱部分、他方を非加熱部分として設定し、
前記画像編集処理の結果として得られた編集画像を加熱パターンとして入力し、
前記入力された加熱パターンに基づいて前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を駆動して、前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせて前記サーマルヘッドの複数の前記発熱素子を選択的に作動させることにより、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させることを特徴とする、ラベル製造方法。
【請求項2】
前記画像領域を、着色部分と非着色部分とを含む2値画像として表示手段に表示し、前記画像編集処理によって前記着色部分と前記非着色部分の形状、大きさ、および位置を任意に調整し、前記着色部分と前記非着色部分のうちの一方を前記加熱部分、他方を前記非加熱部分として設定する、請求項1に記載のラベル製造方法。
【請求項3】
前記感熱性粘着シートを、1つの前記発熱素子の大きさと実質的に同じ大きさのドットごとに分割したマトリックス状の画像領域とみなして画像データを作成し、前記画像編集処理にて、前記ドットごとに独立して前記加熱部分と前記非加熱部分のいずれかに設定可能である、請求項1または2に記載のラベル製造方法。
【請求項4】
前記入力された加熱パターンを補正して、補正後の加熱パターンに従って前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を駆動して、前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせて前記サーマルヘッドの複数の前記発熱素子を選択的に作動させることにより、前記感熱性粘着シートのうち、前記補正後の加熱パターン内で前記加熱部分として設定されている部分に対応する部分のみを加熱して粘着性を発現させる、請求項1から3のいずれか1項に記載のラベル製造方法。
【請求項5】
前記補正後の加熱パターンは、少なくとも1つの方向に関して、前記入力された加熱パターンの外周部を外側に所定距離だけ拡張するように補正したものである、請求項4に記載のラベル製造方法。
【請求項6】
前記補正後の加熱パターンは、前記感熱性粘着シートの搬送方向の先端部と、前記搬送方向に直交する幅方向の両端部とに関して、前記入力された加熱パターンの外周部を外側に所定距離だけ拡張するように補正したものである、請求項5に記載のラベル製造方法。
【請求項7】
前記補正後の加熱パターンは、前記入力された加熱パターンの前記加熱部分と前記非加熱部分の境界において該加熱部分の縁部を所定距離だけ後退させたものである、請求項4から6のいずれか1項に記載のラベル製造方法。
【請求項8】
複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートを前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを有する、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造装置と、
前記感熱性粘着シートを1つの画像領域とみなして表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記画像領域を少なくとも2種類の部分に分けて、該2種類の部分のうちの一方を加熱部分、他方を非加熱部分として設定するための画像編集処理を行い、該画像編集処理の結果として得られた編集画像を加熱パターンとして記憶手段に入力するための入力手段と、
を有することを特徴とする、ラベル製造システム。
【請求項9】
前記表示手段は、前記感熱性粘着シートを、1つの前記発熱素子の大きさと実質的に同じ大きさのドットごとに分割したマトリックス状の画像領域とみなして画像データを作成し、該画像領域を、着色部分と非着色部分とを含む2値画像として表示するものであり、
前記入力手段は、前記画像編集処理により前記ドットごとに独立して前記着色部分と前記非着色部分のいずれかに設定することによって、前記着色部分と前記非着色部分の形状、大きさ、および位置を任意に調整し、前記着色部分と前記非着色部分のうちの一方を前記加熱部分、他方を前記非加熱部分として設定するものである、請求項8に記載のラベル製造システム。
【請求項10】
前記入力された加熱パターンを補正して、補正後の加熱パターンに従って前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を駆動して、前記感熱性粘着シートのうち、前記補正後の加熱パターン内で前記加熱部分として設定されている部分に対応する部分のみを加熱するように、前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせて前記サーマルヘッドの複数の前記発熱素子を選択的に作動させる制御手段を有する、請求項8または9に記載のラベル製造システム。
【請求項11】
前記制御手段は、少なくとも1つの方向に関して、前記入力された加熱パターンの外周部を外側に所定距離だけ拡張するように、前記入力された加熱パターンを補正するものである、請求項10に記載のラベル製造システム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記感熱性粘着シートの搬送方向の先端部と、前記搬送方向に直交する幅方向の両端部とに関して、前記入力された加熱パターンの外周部を外側に所定距離だけ拡張するように、前記入力された加熱パターンを補正するものである、請求項11に記載のラベル製造システム。
【請求項13】
前記制御手段は、前記入力された加熱パターンの前記加熱部分と前記非加熱部分の境界において該加熱部分の縁部を所定距離だけ後退させるように、前記入力された加熱パターンを補正するものである、請求項10から12のいずれか1項に記載のラベル製造システム。
【請求項14】
前記制御手段は前記ラベル製造装置内に設けられており、前記入力手段と前記表示手段は前記ラベル製造装置内に設けられているか、または前記ラベル製造装置に接続されている、請求項8から13のいずれか1項に記載のラベル製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−202898(P2009−202898A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46071(P2008−46071)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】