説明

ラミネート材とそれらから形成される皮膚接触製品

皮膚接触製品形成での使用に適しているラミネート材を開示している。該ラミネート材は繊維層、フィルム層およびその間の接着層の3つの独立層を含む。該接着層は実質的に連続してフィルム層に繊維層を接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して新規なラミネート材および、特に、一例として体着用可能回収デバイスを包含する皮膚接触製品形成の使用に適しているラミネート材に関する。
【背景技術】
【0002】
体着用可能回収デバイスのような皮膚接触製品は、ある既知の特性を有する材料で形成される。もし該回収デバイスが老廃物回収袋を含む場合、これらの特性には一定期間、オストミー(造孔術)、(尿、排泄物等の)随意調節および創傷部のケアを経験しているタイプの、ヒトの老廃物を受け入れ、保持する能力、一方、一般に十分なガスおよび臭気バリアー性を満たすことも包含する。さらに、低ノイズ特性を有し、使用中比較的認識できないような材料の皮膚接触製品を形成するのが望ましい。
【0003】
この目的のために、多くの面で非常に効果的である市販のフィルムがある。これらのフィルムは一般的にヒトの体内老廃物を受け入れ、保持すること、そして必要に応じて必須のガスおよび臭気バリアー特性を提供することも可能であるデバイスに有用である。しかしながら、市販フィルムは、ある別の重要な特性に関し、なおも望ましい状態ではない。
【0004】
特に、現在利用可能であるフィルムは、時々「手触り」または「感触」に関して受け入れ難い。それらは、暑いまたは多湿の状態および/またはシャワー後、体に張りつく傾向にあり、これは皮膚接触製品のユーザーにとって不快感を引き起こすことが一般的に知られている。さらに、市販のフィルムは、動いている間に不快なカサカサとなる音を生じる傾向がある。
【0005】
これらの問題を解消するために、従来、フィルムの表面に熱的に固定した不織布またはその他の繊維層でフィルムを覆うことが提案されてきた。この被覆処理は、よりよい「手触り」または「感触」と同様に防音も実現するであろうことが示唆されている。しかし、フィルムに不織布またはその他の繊維層を熱的に固定することによって、不織布またはその他の繊維層の繊維がフィルムに組み込まれるようになることが分かる。
【0006】
おそらくより正確な説明では、熱接着処理の結果として、不織布またはその他の繊維層の隙間が融解し凝固したフィルム材で満たされる。
【0007】
あいにく、フィルム内の熱的に組み込んだ繊維は著しいノイズの減少はない結果に終わった。ユーザーの標準的な体の動きが、まだ不快なカサカサとなる音を引き起こしていることがわかる。加えて、不織布またはその他の繊維層が快適さをユーザーに加えたが、時々衣類上にほつれが出来た。
【0008】
場合によっては、不織布またはその他の繊維層は、体着用可能回収デバイスのような皮膚接触製品の端に局所的に取り付けられている。これも、ユーザーにより快適さを提供するのに役立つが、ユーザーが動いている間のノイズの減少にはあまり役立たない。さらに、これらの問題を打開する前記試みは、前記皮膚接触製品をユーザーにとって全く望ましくなくする他の欠点を打開するのにも失敗している。
【0009】
特に、体着用可能回収デバイスに関し、シャワー後に付く水の程度をかなり制限することが重要である。フィルムに不織布またはその他の繊維層を熱的に接着する前の試みではこの特殊な特性を満足させるのに失敗している。加えて、体着用可能回収デバイスは商業的に望ましい材料およびプロセスで製造されるべきである。
【0010】
一例として、従来、オストミー用の基本的特質を備えたオストミーグレードのバリアーフィルムは高価であるので、ユーザーにとってオストミーパウチの値段が高い。他の商用フィルムが多くの他産業で広く使われている一方、それらは典型的にオストミーにとって不可欠な特性を示すことが出来ないものとみなされている。
【0011】
オストミーの他に、ノイズの減少、快適さおよび/または制限された水の付着が重要な基準である、送出液(deliver liquid)または流動性物質に提供されているその他のタイプの皮膚接触製品と同様、尿、糞便、浸出液およびその他の液体または流動性物質を受け入れるための体着用可能回収デバイスのような、多くの異なるタイプの皮膚接触製品で似たような問題に直面することが理解できるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の理由で、前述の望ましい特性を示す一方、多くの異なる市販のフィルムから有利に製造され得る、完全に満足のいくラミネート材を提供することが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本開示は皮膚接触製品形成に適しているラミネート材である。このラミネート材は3つの独立した材料の層を含み、これらの層は一体的に接着されている。この3つの独立した材層は繊維層、接着層および薄いフィルム層を包含する。
【0014】
前記ラミネート材は、薄い、市販のフィルム層の使用を可能にする適度に厚い接着層を使用する。該接着層は中間にあって、フィルム層と繊維層の面している面と実質的に同一の広がりを有する。適度に厚く、同一の広がりを持つ接着層が、薄いフィルム層に嵩(bulk)を加え、そして繊維層の繊維に浸透する。
【0015】
より具体的には、前記ラミネート材は、厚さにおいて、薄い、市販されているフィルム層および適度に厚い接着層で利用する。重ねあわされたフィルムと接着剤の厚さは典型的なオストミーグレードのバリアーフィルムの厚さに近い。一部の接着剤は繊維層に浸透し、3つの独立した材料層の優れた接着を実現する。そのように形成されたラミネート材はオストミーグレードのバリアーフィルムの必須の特性の全てを有する。それは低ノイズ特性、優れた「手触り」または「感触」、および水の付着を著しく減少させる特性も有している。さらに、オストミー利用に不適当であると以前は信じられていた、薄い、市販のフィルムの使用が可能となる。
【0016】
前記繊維層はメリヤス生地、織布、または不織布を含み得る。該繊維層用の材料は好ましくはナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、またはポリエチレン、またはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物から選択される。該繊維層はポリプロピレン、ポリエステル、およびナイロンのいずれか1以上から形成される芯を有するポリオレフィンの鞘(sheath)も含み得る。あるいは、繊維層用の材質はコットン、シルク、セルロースの薄い織物等の天然材料であり得る。必要に応じて、該繊維は撥水剤で処理され、またはその中に水ウィッキング性繊維を有し得る。
【0017】
ある実施形態において、前記繊維は少なくともその一表面で、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛されたものである。
【0018】
前記接着層としては、好ましくはホットメルト接着剤を含み、該接着剤は繊維層とフィルム層の間に実質的に連続した層を形成する。それは低ノイズ特性を実現し、水分保持特性を減じ、そしてフィルム層に嵩を加える。前記層を形成する接着剤は化学架橋剤、高周波、超音波、電子線、熱、紫外線、または室温の技術を用いることによって活性化または硬化されてもよい。
【0019】
前記フィルム層に関して、好ましくは少なくとも臭気バリアー副層および密封副層を有する多層構造のフィルムとして形成される。該臭気バリアー副層は、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、またはポリビニリデンクロライド材を有利に含む。好ましくは、該フィルム層はポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物を含むフィルム層の密封副層で形成される。
【0020】
別の構造として、前記フィルム層はモノリスチックフィルム、すなわち臭気バリアーおよび密封特性の両方を持つ単層を有するフィルムを含み得る。別の代替構造において、ラミネート材の望ましい特性が許容するならば、該フィルム層は臭気バリアー副層または臭気バリアー特性を有する必要はない。
【0021】
本開示の他の対象、利点および特徴は、添付されている図面とともに以下の明細書の考察から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1および図2の具体的な説明を伴う、所与の図解において、体着用可能回収デバイスのような皮膚接触製品形成での使用に適しているラミネート材10が開示されている。該回収デバイスは、一例として、一定時間、オストミー(造孔術)、(尿、糞便等の)随意調節および創傷部のケアを経験しているタイプの、ヒトの老廃物を受け入れ、保持する能力を有し、その一方で、満足のいくガスおよび臭気バリアーも満たすような体内老廃物回収袋を含み得る。説明用の図1に示された回収デバイスはオストミーパウチ12を含む。該オストミーパウチ12は、側壁12aおよび12bの対の袋(パウチ)を有利に包含し、側壁12aおよび12bの各々の袋(パウチ)のラミネート材10は3つの独立した材料層、すなわち、繊維層14、大まかに図案化されたフィルム層16、およびその間に配置された接着層18を含む。この配置で、該接着層18はフィルム層16に繊維層14を実質的に連続して接着するような方法で提供される接着剤を含んでもよい。
【0023】
好ましくは、前記繊維層14はメリヤス生地、織布または不織布のいずれかを含む。該繊維層14は、必要に応じて、撥水剤で処理されてもよく、水ウィッキング性繊維をその中に有してもよい。加えて、該繊維層14は、少なくともその一表面上、すなわち14a上で、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛されてもよい。
【0024】
前記接着層18に関して、好ましくは、繊維層14およびフィルム層16の間に配置された実質的に連続した層を形成するような方法で適用されるホットメルト接着剤を含む。一例として、該接着層18は、細かい霧のように噴霧することによって、または押出しコーティングすることによって、または他の従来から知られているコーティング技術によって、繊維層14の表面および/またはフィルム層16の表面に塗布されてもよい。さらに、皮膚接触製品の着用者にとって快適であるほど十分に柔らかいラミネート材10を生産する一方、望ましいノイズ減少特性を維持し、該接着層は柔軟性を損なわない厚さであるべきである。言い換えれば、固すぎてこれらの目的を達成できないので、選択される接着剤は、例えば硬くて脆いエポキシであるべきではない。接着層18は、化学架橋剤、高周波、超音波、電子線、熱、紫外線、または室温の技術を用いることによって活性化または硬化されてもよい。
【0025】
前記接着層に関しては、用いられる接着剤に依存した方法で接着剤の量が制御されるべきである。多すぎる接着剤は、ラミネート材10が周囲に粘着性をもたらし得る。例えば、オストミーパウチ12のような皮膚接触製品の側壁12aと12bの端は粘着性であってもよい。少なすぎる粘着剤はラミネート材10に接着の減少を起こし得る。粘着性が不十分であれば、使用中の皮膚接触製品の自然な屈曲が、不快なノイズの増加を作り出し得る。
【0026】
多様な実質的に連続した層を形成するのに十分な量を試すこと、および屈曲状態で望ましい低ノイズレベルを維持する適切な接着を伴う境界周辺で、粘着性のなさを試験することによって各々の接着剤ごとに、接着剤の望ましい量が決定され得る。
【0027】
前記フィルム層16は、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、またはポリビニリデンクロライドの材料から構成される少なくともひとつの臭気バリアー副層20、および少なくともひとつの密封副層22を有する多層構造のフィルムである。臭気バリアー副層20がポリビニリデンクロライドから構成されている場合、それは典型的に可塑剤のような添加剤と共に使われ、そして密封副層22はポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物のような材料から構成されてもよい。必要に応じて、該フィルム層16は、フィルム層16の外側密封副層16aを形成する少なくとも1つの密封層22と、20のような多重臭気バリアー層を有する多層構造フィルムを含んでもよい。
【0028】
ある別の構造において、前記フィルム層はモノリシック(monolithic)構造のフィルム、すなわち、臭気バリアーおよび密封特性の両方を持つ単層を有するフィルムを含み得る。他の代替構造において、ラミネート材の望ましい特性が許容するならば、該フィルム層は臭気バリアー副層または臭気バリアー特性を有する必要はない。
【0029】
つまり、ラミネート材10は、3つの独立層、すなわち、繊維層14、フィルム層16、およびその間の接着層18を有する材料を含む。ラミネート材10は適度に厚い接着層18を利用する。例えば、接着層18は市販のフィルム層の厚さ約1ミル(mil)で、フィルム層16に接着して市販のフィルム層を薄く使用できることを可能にし得る。
【0030】
ラミネート材10の使用によって、接着層18の正確な厚さは多少変化してもよいが、材料の基本的な特性を保つのに十分な厚さを提供するであろう。
【0031】
一例として、オストミーパウチ12で使うラミネート材10での利用に関し、厚さにおいて約1ミルの接着層18は、薄い、市販のフィルム層16(すなわち、厚さ約21/2ミルで、ガスおよび臭気バリアー特性を同時に十分に満たす一方、必要とされる、漏れに確実に対抗することを提供する)と共に接着する。
【0032】
前記接着層18は、2層(接着層とフィルム層)の全部の厚さが約31/2ミルになるように、薄い市販のフィルム層16に嵩を提供する。これは、市販のオストミーグレードのバリアーフィルム用の典型的な厚さ3〜4ミルに匹敵する。図2から分かるように、接着層は中間にあって、フィルム層16の外側の密封副層16aおよび繊維層14の内側に面した面14bと同一の広がりを有する。
【0033】
繊維層14は繊維質の繊維を表現するクロスハッチング(平行模様線)で図2に図式的に示される。前記接着層18は、フィルム層16の外側の密封副層16aに接着するだけでなく、3つの独立した材層14、16、および18の優れた接着を実現する繊維層14の繊維に浸透するほど十分に厚い。その上、ラミネート材10は多くの特別な特性を示す複合材料を含む。
【0034】
ラミネート材10と共に、その結果得られた複合材料はオストミーグレードのバリアーフィルムの基本的特性の全てを有する。その上、それは低ノイズ特性を示し、優れた「手触り」または「感触」、および水が付着する特性を著しく減少させる特性を示している。さらに、薄い、オストミー利用に適していることを知られていなかった、または信じられていなかった、既定のタイプの市販フィルムの使用を可能にする。
【0035】
現在、その結果物が、繊維層14および薄い、市販のフィルム層16の間の適度な厚さの接着層18を利用することから得られると考えられる。接着層18は、一般的に「騒々しい」、オストミー用途には不適切なフィルム製品として見られていたものに対し安定した表面同士の接着を実現し、繊維層14の繊維内への浸透も実現した。繊維層14に対する接着剤の安定した浸透接着と同様、フィルム16に対する接着層18の安定した表面同士の浸透接着は、低ノイズ特性を供すると考えられている。接着層18および繊維層14の間の浸透した接着剤は、その境界周辺のフィルムに対して熱的に接着させられる繊維質との関係で、水の付着を約50%減少するとも考えられている。接着層18の厚さが繊維層14の外側の表面14aに達するには接着剤が不十分であるため、ラミネート材10は優れた「手触り」または「感触」も示す。
【0036】
テストにおいて、ラミネート材10が、Hollister Incorporatedによる「First Choice」の商標下で販売されている製品に使われる市販のオストミー材のデシベルレベルより約50%少ないデシベルレベルを示し、そしてラミネート材10がオストミー対照材料より約50%少ない水の付着を示すことが分かっている。
【実施例】
【0037】
4インチ×4インチのサンプルをシリンダーに形成し、そして片端を固定したシリンダーをテスト機上に置き、そして他方の端をシリンダーの軸について15°の角度、1分間当たり70サイクルで回転させることでラミネート材10の静かさについてテストした。該フィルムの屈曲によって生じるノイズの放出を騒音計で分析した。比較のために、パウチの周囲だけ密封したオストミーパウチをシミュレートするため、同様の試験を片側密封製品Hollister Incorporatedの「First Choice」を用いたオストミー材を含む対照材料で実施した。
【0038】
特に、紡糸接着された40gms/mのポリエチレンを含む不織布繊維層、ホットメルト熱可塑性接着剤を含む接着層、およびポリエチレン膜およびナイロンの芯を有する多層構造フィルムを含むフィルム層を用いて、ラミネート材が試験された。
その結果は次の通りであった:
【0039】
【表1】

【0040】
この表において、dBAは全周波数帯域に渡ってヒトのノイズ感知力を考慮に入れた加重平均である。8および16kHzのオクターブ帯域のdBの値は、より高い周波数帯域でのノイズを示し、ノイズのキンキンさを表す。dBAおよびdBの値は、それ故ラミネート材10が対照材料よりかなり静かであることを表す。
【0041】
水の付着に関して、ラミネート材10は、フィルムに端を密封された不織布を含む対照材料と比較して水分保持のテストもされた。これは、円形のラミネート材10および対照材料を複数の4 3/8インチに切断すること、および1/8インチの密封幅を用いて4インチの内部直径の密封機で各々のサンプルを供給することによって行われた。ラミネート材10と対照サンプルから切断された円形サンプルはその後個別に量られ、そして4インチのシリンダーの下に1つずつ固定された。各々の円形のサンプルが定位置に固定された後、100ml量の1%の石鹸水溶液が注がれた。2分後に該石鹸水溶液を注ぎ出し、各々の円形サンプルおよびサンプル類を各々同数の使い捨てタオルの層の間に置いた。使い捨てタオル層の間に配置後、各表面の水を吸い取るために各円形サンプルは挟まれ、その後保持した水を量るために再計量した。
【0042】
対照材料の複数の円形サンプルにおいて、0.023グラムの石鹸水が平均して保持された一方、ラミネート材10の複数の円形サンプルにおいて、0.010グラムの石鹸水が平均して保持された。
【0043】
この手順は「Cobb Test」としても知られている修正TAPPIテスト法T441−OM−98である。
【0044】
オストミー用途に関係する一例として具体的に記載しているが、記載された結果に達すると同時に、以前ここで述べられたタイプの任意の皮膚接触製品にラミネート材10を使用し得ることが認識され得るだろう。
【0045】
それ故、ラミネート材10は、いずれかの皮膚接触製品を製造するのに利用されてもよい材料である。ラミネート材10は、多様な天然または合成繊維および/または繊維処理から構成され、そして、それ故、繊維層14は両面において同様の繊維および/または繊維処理、または皮膚接触製品の正確な性質および目的によってユーザーの衣服に面する側からユーザーの肌に面する側において異なる繊維および/または繊維処理を含んでもよい。しかし、ラミネート材10は3つの独立層、すなわち繊維層14、フィルム層16および接着層18から構成される。
【0046】
前記繊維層14はメリヤス繊維、織物繊維または不織布繊維から構成され得る。繊維層14の材料は、好ましくはナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、またはポリエチレン、またはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物から選択される。繊維層14はポリプロピレン、ポリエステルおよびナイロンのいずれか1以上から形成された芯を有するポリオレフィンの鞘からも構成され得る。あるいは、繊維層14の材料はコットン、シルク、セルロースの薄い織物等の天然材料であり得る。加えて、必要に応じて、該繊維は撥水剤で処理されるか、または水ウィッキング性繊維をその中に有し得る。
【0047】
上記見解において、前記繊維層14は撥水剤で処理されるか、または水ウィッキング性繊維を有するだけでなく、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛されており、そしてこれらの特性の任意の組み合わせは、ラミネート材10の望ましい特性によって、片面か、両面に使われてもよく、またはそのどちらの面にも使われなくてよい。
【0048】
さらに加えて、繊維層14は典型的には、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛された側がその繊維層の外側に面している側14aを構成しているような方法でフィルム層16に積層させ得る。この外側の表面14aはユーザーの皮膚へ面してもよく、そのケースでは、快適なパネルと考えられてもよく、および/または、ユーザーの衣服に面してもよい;いずれにしても、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛される繊維の処理は任意である。さらに、繊維層14が、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛された面が、繊維層14の内側に面する面14bを構成するような方法で、フィルム層16にラミネート加工されることも可能である。
【0049】
繊維層14の、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛された面が内側に面した面14bを構成するとき、それは接着層18に結合して、浸透する側であり、その接着層が繊維層を構成している布の繊維に浸透および結合が起こる際に有益であり得る。
【0050】
実際にどのオプションが選択されるかは、オストミーパウチ12のような皮膚接触製品のエンドユーザーによって要求される物性による。繊維層14は、体から汗または湿気を引き離すためにユーザーの体に面するような製品面側に水ウィッキング性繊維を組み込んでもよい。繊維層14はユーザーがシャワーを浴びた後、早急に乾くことを提供するためにユーザーの体の反対側を撥水剤で処理してもよい。繊維層14の布中の繊維と接着層18の浸透接着の効果と一体になって撥水剤は水の付着への耐性を増強する。さらに、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛された繊維層14の配置と使用は、要求される摩擦率および/または外側に面した14b面の「手触り」または「感触」に基づいて決定され得る。
【0051】
接着剤を用いて形成され得る第3の独立した接着層18で、フィルム層16に繊維層14の実質的に連続した接着を供することによって、ユーザーの動きが大きい間、オストミーで用いられているようなフィルムに特有である不快なカサカサとなる音が、完全ではないかもしれないが、排除される。
【0052】
必要に応じて、フィルム層16は約8層まで有している多層構造フィルムを含み得、それは20のような複数の臭気バリアー層に供することを可能としている。加えて、フィルム層16は要求されるフィルム特性によって、片面22または両面22および24で密封副層を有する。あるいはフィルム層16はモノリシックフィルム、すなわち臭気バリアー特性を有しているかまたは有していない単層を包含するフィルムを含み得る。
【0053】
当然のことながら、ラミネート材10は、体内老廃物回収袋のような体着用可能回収デバイスを限定なく包含する任意の皮膚接触製品によく適している。後者の製品は、一般的に、オストミー(造孔術)、(尿、便等の)随意調節および創傷部のケアを経験しているタイプの体内老廃物を受け入れ、保持する能力を包含するものである。そのような製品に対して、他の皮膚接触製品と同様、使用している間比較的識別できない低ノイズ特性を有している材料の形成が望ましい。
【0054】
前述の好ましい実施態様の開示が記載されている一方、ここで規定されている詳細は添付の請求項の精神と範囲から離れることなしに、当業者によって変更されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は本開示のラミネート材から形成される皮膚接触製品の斜視図である。
【図2】図2は本開示のラミネート材の構造を説明する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚接触製品形成での使用に適しているラミネート材で、該ラミネート材は繊維層、フィルム層およびその間の接着層(該接着層は実質的に連続してフィルム層に繊維層を接着する)を包含する3つの独立層を含むラミネート材。
【請求項2】
前記繊維層が天然または合成繊維から構成される、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項3】
前記繊維層がコットン、シルク、またはセルロースの薄い織物から構成される、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項4】
前記繊維層が、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンまたは他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物、または芯を有するポリオレフィンの鞘(sheath)から構成される、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項5】
前記芯が、ポリプロピレン、ポリエステルおよびナイロンのいずれか1以上から構成される、請求項4に記載のラミネート材。
【請求項6】
前記繊維層が撥水剤で処理されるか、またはその中に水ウィッキング性繊維を有する、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項7】
前記繊維層が少なくともその一表面上で、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛されている、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項8】
前記接着剤がホットメルト接着剤である、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項9】
前記接着層が化学架橋剤、高周波、超音波、電子線、熱、紫外線または室温を用いることによって、活性化または硬化される、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項10】
前記フィルム層が臭気バリアーおよび密封特性の両方を有するモノリシックフィルムである、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項11】
前記フィルム層が少なくとも臭気バリアー副層および密封副層を有する多層構造フィルムである、請求項1に記載のラミネート材。
【請求項12】
前記臭気バリアー副層がポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、またはポリビニリデンクロライドから構成される、請求項11に記載のラミネート材。
【請求項13】
前記密封副層がポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物から構成される、請求項11に記載のラミネート材。
【請求項14】
ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物、または芯を有するポリオレフィンの鞘(sheath)から構成される繊維層、少なくとも臭気バリアー副層および密封副層を有する多層構造フィルムを含むフィルム層、およびその間の接着層(実質的に連続してフィルム層に繊維層を接着する)を包含する3つの独立層を含む、体内老廃物回収デバイス形成の使用に適したラミネート材。
【請求項15】
前記芯がポリプロピレン、ポリエステルおよびナイロンの何れか1以上を含む、請求項14に記載のラミネート材。
【請求項16】
前記繊維層が撥水剤で処理されるか、またはその中に水ウィッキング性繊維を有する、請求項14に記載のラミネート材
【請求項17】
メリヤス生地が、少なくともその一表面上で、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛されている、請求項14に記載のラミネート材。
【請求項18】
前記接着剤がホットメルト接着剤である、請求項14に記載のラミネート材。
【請求項19】
前記接着層が化学架橋剤、高周波、超音波、電子線、熱、紫外線、または室温を用いることによって活性化または硬化される、請求項14に記載のラミネート材。
【請求項20】
前記臭気バリアー副層がポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、またはポリビニリデンクロライドから構成される、請求項14に記載のラミネート材。
【請求項21】
前記密封副層がポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物から構成される、請求項14に記載のラミネート材。
【請求項22】
オストミーパウチ形成での使用に適しているラミネート材で、
繊維層、フィルム層、およびその間の接着層(該接着層はフィルム層に繊維層を接着する)を包含する3つの独立層を含み、
該繊維層が、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物、または中に配置された芯を有するポリオレフィンの鞘(sheath)から構成される繊維層であり、
該フィルム層が、少なくとも1つの臭気バリアー副層および少なくとも1つの密封副層を有する多層構造であるフィルム層であり、該臭気バリアー副層がポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、またはポリビニリデンクロライドから構成され、そして該密封副層がポリエチレンもしくはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物から構成される臭気バリアー副層であり、そして
該接着層が、実質的に連続して該フィルム層に該繊維層を一体的に接着する接着剤を含む接着層である、オストミーパウチ形成の使用に適したラミネート材。
【請求項23】
前記接着剤がホットメルト接着剤から構成され、かつ該接着剤が、化学架橋剤、高周波、超音波、電子線、熱、紫外線、または室温の技術を用いることによって活性化または硬化される、請求項22に記載のラミネート材。
【請求項24】
前記フィルム層が多重の臭気バリアー副層およびフィルム層の密封面を形成する少なくとも1つの密封副層を有する多層構造フィルムである、請求項23に記載のラミネート材。
【請求項25】
側壁を有する皮膚接触製品において、
該側壁が、繊維層、フィルム層およびその間の接着層(該接着層は実質的に連続してフィルム層に繊維層を接着している)を包含する3つの独立層を有するラミネート材を含む、改良された皮膚接触製品。
【請求項26】
前記繊維層がナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物、または芯を有するポリオレフィンの鞘(sheath)から構成される、請求項25に記載の皮膚接触製品。
【請求項27】
前記芯がポリプロピレン、ポリエステルおよびナイロンのいずれか1以上から構成される、請求項26に記載の皮膚接触製品。
【請求項28】
前記繊維層が撥水剤で処理されるか、またはその中に水ウィッキング性繊維を有する、請求項25に記載の皮膚接触製品。
【請求項29】
前記繊維層が少なくともその一表面上で、けばがあるか、スエード調であるか、または剪毛されている、請求項25に記載の皮膚接触製品。
【請求項30】
前記接着剤がホットメルト接着剤である、請求項25に記載の皮膚接触製品。
【請求項31】
前記接着層が化学架橋剤、高周波、超音波、電子線、熱、紫外線、または室温の技術を用いることによって、活性化または硬化される、請求項25に記載の皮膚接触製品。
【請求項32】
前記フィルム層が少なくとも一つの臭気バリアー副層および密封副層を有する多層構造フィルムである、請求項25に記載の皮膚接触製品。
【請求項33】
前記臭気バリアー副層がポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、またはポリビニリデンクロライドから構成される、請求項32に記載の皮膚接触製品。
【請求項34】
前記密封副層がポリエチレンまたはその他のポリオレフィン、またはコポリマー、またはこれらの混合物である、請求項32に記載の皮膚接触製品。
【請求項35】
体内老廃物回収袋を特徴づける前記側壁が形成される、請求項25に記載の皮膚接触製品。
【請求項36】
オストミーパウチを特徴付ける前記側壁が形成される、請求項25に記載の皮膚接触製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−501554(P2008−501554A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515594(P2007−515594)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/019496
【国際公開番号】WO2005/120827
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(591000414)ホリスター・インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
【Fターム(参考)】