説明

ラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜およびその作成方法

【課題】絶縁特性に優れたラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜を提供すること。
【解決手段】基板10の上に付着した複数のナノシート20のそれぞれの表面にカチオン性両親媒性分子が吸着した複合膜40が形成され、この複合膜40が複数積層している。第1層の複合膜40aに内包されるナノシート間の粒界25と第2層の複合膜40bに内包されるナノシート間の粒界25との間には、何の相関も存在しない状態で積層されるから、第1層の複合膜40a中のナノシート粒界と第2層の複合膜40b中のナノシート粒界とが連結される確率は極めて低い。また、ある領域において第1層の複合膜40a中のナノシート粒界と第2層の複合膜40b中のナノシート粒界とが空間的に近くにあったとしても、更に第3層の複合膜40cを積めば上記領域に第3層の複合膜中のナノシート粒界が位置してピンホールとして連結されるという確率は無視できるほどに低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)によって成膜された絶縁薄膜およびその作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラングミュア・ブロジェット法(LB法)は、単分子層単位での種々の分子の積層を可能とする薄膜作成法であり、LB法により長鎖脂肪酸やその二価金属塩の単分子膜を固体基板上に任意の層数で付着させることができることはよく知られている。
【0003】
1970年代には既に、LB法により作成された長鎖脂肪酸二価金属塩の積層薄膜の絶縁特性及び誘電特性が詳細に報告されており、その報告によれば、電極材料としてアルミニウムを選択した場合、長鎖脂肪酸二価金属塩のLB膜は良好な絶縁特性を示すとされている(非特許文献1:Michio SUGI, “STRUCTURE-DEPENDENT CARRIER TRANSPORT IN LANGMUIR MULTILAYER ASSEMBLY FILM”電子技術総合研究所研究報告第794号(October, 1978))。
【0004】
しかしながら、上記の報告で電極材料として用いられているアルミニウムの表面には、極めて容易に自然酸化膜が形成される。そのため、アルミニウム電極上で観測された長鎖脂肪酸二価金属塩LB膜の良好な絶縁特性は、実際には、アルミニウム電極表面に形成された自然酸化膜とLB膜の複合的な物性であると理解すべきである。事実、表面に自然酸化膜が形成されない金などを電極材料としてLB膜を作成した場合には、膜中に存在するピンホールに起因すると考えられる電流漏れが観測される。
【0005】
このような理由を背景として、自然酸化膜が形成されない電極材料を用いた場合でも良好な絶縁特性を有するLB膜を得ることを目的として、金属酸化物膜とLB膜がこの順序で積層されてなる絶縁超薄膜が考案された(特許文献1:特公平6−96116号公報)。
【0006】
また、長鎖脂肪酸二価金属塩などの古典的なLB膜中にピンホールが生じる原因は分子間の相互作用がファンデルワールス力のみであるために膜面内方向の連結が弱いためであると理解する立場から、重合性官能基を有する有機分子を用いたLB膜を成膜した後に紫外線照射や熱処理を行って重合させるという手法も開発されている(特許文献2:特公平8−4057号公報、特許文献3:特許第2987787号明細書)。
【0007】
一方、DCNQI誘導体などの半導体性を有する有機分子やメロシアニン誘導体などの光電変換機能を有する有機分子も、LB法により固体基板上へ超薄膜として堆積することができる(非特許文献2: T.P. Majumder and K. Ikegami, “Ultraviolet-visible and infrared spectroscopic study of Langmuir-Blogett films of a charge transfer complex based on 2-dodecyl-7,7,8,8-tetracyanoquinodimethane and copper” J. Chem. Phys., vol. 116 (2002) 10428-10434、非特許文献3: K. Ikegami, “Spectroscopic study of J aggregates of amphiphilic merocyanine dyes formed in their pure Langmuir films” J. Chem. Phys., vol. 121 (2004) 2337-2347)。
【0008】
また、金属的な高導電性を有し電極として十分に使用可能なLB膜も、BOなどの電荷移動錯体分子を用いることで実現されている(特許文献4:特許第2952346号明細書)。
【0009】
このようなLB膜の機能性層や電極層に加え、絶縁層もLB膜で実現することができれば、MIM素子やセンサー素子などをLB法だけで作製することが可能となり、大幅な生産性向上が期待できる。
【0010】
ところで、有機分子を用いて電子素子を作製する際には、電極に付着させた機能性有機分子を極薄の絶縁膜で覆う必要のある場合がある。このとき、機能性有機分子が熱や紫外線に対して耐性が低いものである場合には、絶縁薄膜の堆積は機能性有機分子に損傷等を与えることがないように温和な条件で行うことが必要となる。この点、LB法は常温大気圧下で分子レベルの薄膜を積層することが可能であるため、上述のような温和な条件での絶縁薄膜の堆積に好適な手法である。
【0011】
しかし、長年に亘って研究対象とされてきた長鎖脂肪酸やその金属塩を用いて成膜されたLB膜においても、その絶縁性能は有機分子を用いた電子素子の作製という観点からは不十分なものでしかない。
【0012】
また、上述の特公平6−96116号公報(特許文献1)に開示されている方法によれば良好な絶縁特性の極薄のLB膜を得ることはできるが、このLB膜の堆積に先立って金属酸化物薄膜を真空蒸着等の手法で成膜しておく必要があるため、成膜プロセス全体としてみるとその条件を温和なものとすることはできない。
【0013】
さらに、特公平8−4057号公報(特許文献2)や特許第2987787号明細書(特許文献3)で開示されているような重合性官能基を有する有機分子を用いても良好な絶縁性能のLB膜が得られるが、その重合に必要なエネルギーは熱や紫外線の形で供給する必要があるため、成膜プロセス全体としてみるとその条件は温和とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特公平6−96116号公報
【特許文献2】特公平8−4057号公報
【特許文献3】特許第2987787号明細書
【特許文献4】特許第2952346号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Michio SUGI, “STRUCTURE-DEPENDENT CARRIER TRANSPORT IN LANGMUIR MULTILAYER ASSEMBLY FILM”電子技術総合研究所研究報告第794号(October, 1978).
【非特許文献2】T.P. Majumder and K. Ikegami, “Ultraviolet-visible and infrared spectroscopic study of Langmuir-Blogett films of a charge transfer complex based on 2-dodecyl-7,7,8,8-tetracyanoquinodimethane and copper” J. Chem. Phys., vol. 116 (2002) 10428-10434.
【非特許文献3】K. Ikegami, “Spectroscopic study of J aggregates of amphiphilic merocyanine dyes formed in their pure Langmuir films” J. Chem. Phys., vol. 121 (2004) 2337-2347.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このように、有機分子を用いた電子素子の作製の分野においては、予め基板上に堆積されている機能性分子に与える影響を極力抑えて絶縁性薄膜を堆積させる技術の確立が望まれており、特に、機能性分子の機能性層や電極層をLB法で作成する場合には、その上に堆積する絶縁薄膜もLB法で作成可能なものであることが強く望まれている。
【0017】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、絶縁特性に優れたラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜は、アニオン性金属酸化物のナノシートの表面にカチオン性両親媒性分子が吸着した複合膜が複数積層されていることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記絶縁薄膜の抵抗率は、−1×10〜+1×10V/cmの電界強度範囲において、1.6×1011Ωcm以上である。
【0020】
また、好ましくは、前記複合膜の積層数は3以上である。
【0021】
さらに、好ましくは、前記ナノシートの主面の平均面積は10nm以上である。
【0022】
本発明のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の作成方法は、アニオン性金属酸化物のナノシートを懸濁させた溶液面の中央部にカチオン性両親媒性分子溶液を滴下し、前記懸濁溶液面上において前記中央部から周辺部へと向かう分子の流れを形成せしめて前記カチオン性両親媒性分子を展開させ、前記アニオン性金属酸化物のナノシートの表面に前記カチオン性両親媒性分子が吸着した複合膜を形成することを特徴とする。
【0023】
上記工程を繰り返して前記複合膜を複数積層するようにしてもよい。
【0024】
前記カチオン性両親媒性分子は、例えば、ジオクタデシルジメチルアンモニウム([N(C18H37)2(CH3)2]+)である。
【0025】
また、前記アニオン性金属酸化物は、例えば、(Ca2Nb5O10)-である。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、アニオン性金属酸化物のナノシートとカチオン性両親媒性分子とをバランス良くハイブリッド化した複合膜を積層させて膜の一方主面から他方主面に貫通するピンホールの発生を抑えることとしたので、絶縁特性に優れたラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の積層状態を概念的に説明するための図である。
【図2】実施例1の金属/絶縁体/金属構造の電流測定結果を示す図である。
【図3】比較例1のLB膜の電流測定結果を示す図である。
【図4】実施例2のLB膜の成膜後の試料の光学顕微鏡写真である。
【図5】比較例2のLB膜の成膜後の試料の光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して本発明のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜について説明する。
【0029】
本発明者らは、ナノメーターオーダーの厚さに単層剥離された層状金属酸化物のアニオン性の二次元結晶(アニオン性金属酸化物のナノシート)とカチオン性両親媒性分子とをハイブリッド化した複合膜を複数積層させることで、LB膜の絶縁特性を不十分なものとしている要因と考えられているピンホールを低減させることを着想し、本発明を成すに至った。なお、本明細書において用いられる両親媒性分子なる用語は、ひとつの分子内に「親水基」と「疎水基」をもつ分子を意味し、代表的には界面活性剤がこれにあたる。
【0030】
具体的には、下記のようなメカニズムにより絶縁性が発揮されると考えている。アニオン性金属酸化物のナノシートの厚さは僅かに1nm程度に過ぎないが、その表面積は極めて広い。複合膜の作製に際して準備するナノシートの個々のサイズを均一にするための何らかの処理をしたとしてもナノシートの表面積を完全に揃えることはできないが、個々のナノシートの主面(片面)の平均表面積は概ね10nm〜10nmにも及ぶ。一方、アルキル鎖1本がLB膜上で占める面積は僅かに0.2nm程度に過ぎない。従って、ナノシートと両親媒性分子とをバランス良くハイブリッド化した複合膜では、ひとつのナノシート上に10〜10個程度以上の両親媒性分子が乗ることになる。この値は、通常の方法で得られる櫛形重合体の重合度よりもはるかに大きい。この高い重合度のため、重合性官能基を有する有機分子を用いて成膜後に重合させる場合と比べても遜色のない絶縁特性を生じさせ得ると考えられる。
【0031】
また、高い絶縁特性のLB膜とするためには、膜の一方主面から他方主面に貫通するピンホールの発生を抑えることが必要と考えられるが、このためには、LB膜を多層化し、第n層中のナノシート粒界とその上に重なる第(n+1)層中のナノシート粒界との重なりを抑えてやればよい。LB膜で上記複合膜を複数層形成するプロセスにおいて、例えば第1層に内包されるナノシート間の粒界と第2層に内包されるナノシート間の粒界との間には、何の相関も存在しない。つまり、第1層中のナノシート粒界と第2層中のナノシート粒界とが連結される確率は極めて低い。仮に、ある領域において第1層中のナノシート粒界と第2層中のナノシート粒界とが空間的に近くにあったとしても、更に第3層を積めば上記領域に第3層中のナノシート粒界が位置してピンホールとして連結されるという確率は無視できるほどに低いものでしかない。10層も積層させた場合には、ピンホールの発生率を実質的にゼロとすることができると考えられる。
【0032】
そこで、本発明においては、アニオン性金属酸化物のナノシートの表面にカチオン性両親媒性分子が吸着したLB複合膜を複数積層することとし、好ましくはその複合膜の積層数を3以上としている。また、ナノシート上に多くの両親媒性分子を乗せて高い重合度を得ることが重要である点は上述のとおりであるから、用いるナノシートはその主面の平均面積が10nm以上であることが好ましい。
【0033】
図1は、本発明のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の積層状態を概念的に説明するための図で、この図中、符号10は例えば金プレート(電極)などの基板、符号20はアニオン性金属酸化物のナノシート、符号30はナノシート20の表面に吸着しているカチオン性両親媒性分子である。基板10の上に付着した複数のナノシート20のそれぞれの表面にカチオン性両親媒性分子が吸着した複合膜40が形成され、この複合膜40が複数積層している。なお、この図は複合膜の重なり状態を例示したものに過ぎず、本発明のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の積層状態がこれに限定されるものではない。
【0034】
上述したように、第1層の複合膜40aに内包されるナノシート間の粒界25と第2層の複合膜40bに内包されるナノシート間の粒界25との間には、何の相関も存在しない状態で積層されるから、第1層の複合膜40a中のナノシート粒界と第2層の複合膜40b中のナノシート粒界とが連結される確率は極めて低い。また、ある領域において第1層の複合膜40a中のナノシート粒界と第2層の複合膜40b中のナノシート粒界とが空間的に近くにあったとしても、更に第3層の複合膜40cを積めば上記領域に第3層の複合膜中のナノシート粒界が位置してピンホールとして連結されるという確率は無視できるほどに低い。
【0035】
なお、上述のアニオン性金属酸化物としては(Ca2Nb5O10)-を例示することができ、カチオン性両親媒性分子としてはジオクタデシルジメチルアンモニウム([N(C18H37)2(CH3)2]+)を例示することができる。
【0036】
以下に、実施例により、本発明のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の作成プロセスを説明する。
【実施例1】
【0037】
層状酸化物KCa2Nb5O10の層間イオンであるK+をテトラブチルアンモニウムに置換することにより、Ca2Nb5O10-(CNO)ナノシートの懸濁液を作成した。この懸濁液を水で1mg/Lの濃度に希釈し、その表面にカチオン性両親媒性分子の一種であるジオクタデシルジメチルアンモニウム(DOA)の臭素塩をクロロフォルムに溶解した溶液を展開した。このとき、当該溶液は水面中央部及びその周辺にのみ滴下した。
【0038】
アニオン性金属酸化物のナノシートを懸濁させた溶液面の中央部(及びその周辺)にカチオン性両親媒性分子を滴下するのは、懸濁溶液面上において中央部から周辺部へと向かう分子の流れを形成せしめてカチオン性両親媒性分子を展開させるためである。つまり、溶液滴下中における水面上でのカチオン性両親媒性分子の流れを、水面中央部及びその周辺から周辺部への放射状とし、カチオン性両親媒性分子の水面上単分子膜形成過程における物質移動の方向性を一定として分子同士の衝突を回避させている。
【0039】
DOAの展開後速やかに水面の面積を狭めて表面圧を8mN/mまで高め、その状態でCNOのDOAへの吸着を待った。次いで、生成したDOA-CNOハイブリッド膜を表面圧40mN/mまで圧縮し、LB法により金電極上に11枚積層した。
【0040】
その上に、BOを用いた導電性LB膜を作成して上部電極とした。この金属/絶縁体/金属構造に電圧を印加して電流測定した。
【0041】
図2は、上記金属/絶縁体/金属構造の電流測定結果を示す図で、上記LB膜が印加電圧が−0.35V〜+0.35Vの範囲で良好な絶縁特性を示すことが確認できる。
【0042】
なお、X線回折による解析結果からすると、上記DOA-CNOの1層当たりの膜厚は約3.1nmであるので、上記電圧範囲は−1×10〜+1×10V/cmの電界強度範囲に相当し、この電界強度範囲における上記LB膜の抵抗率は概ね1.6×1011Ωcmとなる。
【0043】
[比較例1]
比較のため、長鎖脂肪酸の一種であるエイコサン酸のカルシウム塩を用いてLB膜を作成した。
【0044】
図3は、このLB膜の電流測定結果を示す図で、測定条件は実施例1と同じである。この結果によれば、印加電圧の低い領域において電流密度は実施例1のものよりも数百倍大きく、絶縁特性が大きく劣っていることが確認できる。
【実施例2】
【0045】
実施例1と全く同じ条件で、電極形成されていないガラス基板上にDOA-CNO膜を13枚積層させた。
【0046】
図4は上記成膜後の試料の光学顕微鏡写真で、LB膜中には可視光を散乱するような乱れは確認されず、一様な透明膜として形成されていることが確認できる。この事実は、本発明のLB膜は、機能性素子作成のために導電性LB膜などの堆積を継続していく上で支障のないことを意味する。
【0047】
[比較例2]
実施例2と同様に、電極形成されていないガラス基板上にDOA-CNO膜を13枚積層した。但し、DOA溶液は、水面中央部及びその周辺のみではなく、水面上の様々な場所に1滴ずつ滴下した。これは、水面上の様々な場所に自然吸着しているCNOを効率良くDOAに吸着させることを狙ったものである。
【0048】
図5はこの試料の光学顕微鏡写真であるが、可視光を散乱する乱れた構造となっていることが確認できる。このような光の波長程度のスケールの膜乱れは、導電性LB膜などの堆積を継続していく上では非常に大きな障害となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明したとおり、本発明によれば、絶縁特性に優れたラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜が提供される。
【符号の説明】
【0050】
10 基板
20 アニオン性金属酸化物のナノシート
25 ナノシート間の粒界
30 カチオン性両親媒性分子
40 ナノシートの表面にカチオン性両親媒性分子が吸着した複合膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性金属酸化物のナノシートの表面にカチオン性両親媒性分子が吸着した複合膜が複数積層されていることを特徴とするラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜。
【請求項2】
前記絶縁薄膜の抵抗率は、−1×10〜+1×10V/cmの電界強度範囲において、1.6×1011Ωcm以上である請求項1に記載のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜。
【請求項3】
前記複合膜の積層数は3以上である請求項1又は2に記載のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜。
【請求項4】
前記ナノシートの主面の平均面積は10nm以上である請求項1乃至3の何れか1項に記載のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜。
【請求項5】
前記カチオン性両親媒性分子はジオクタデシルジメチルアンモニウム([N(C18H37)2(CH3)2]+)である請求項1乃至4の何れか1項に記載のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜。
【請求項6】
前記アニオン性金属酸化物は(Ca2Nb5O10)-である請求項1乃至5の何れか1項に記載のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜。
【請求項7】
ラングミュア・ブロジェット法による絶縁薄膜の作成方法であって、アニオン性金属酸化物のナノシートを懸濁させた溶液面の中央部にカチオン性両親媒性分子溶液を滴下し、前記懸濁溶液面上において前記中央部から周辺部へと向かう分子の流れを形成せしめて前記カチオン性両親媒性分子を展開させ、前記アニオン性金属酸化物のナノシートの表面に前記カチオン性両親媒性分子が吸着した複合膜を形成することを特徴とするラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の作成方法。
【請求項8】
請求項7に記載の工程を繰り返して前記複合膜を複数積層することを特徴とするラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の作成方法。
【請求項9】
前記カチオン性両親媒性分子はジオクタデシルジメチルアンモニウム([N(C18H37)2(CH3)2]+)である請求項7又は8に記載のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の作成方法。
【請求項10】
前記アニオン性金属酸化物は(Ca2Nb5O10)-である請求項7乃至9の何れか1項に記載のラングミュア・ブロジェット絶縁薄膜の作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−181480(P2011−181480A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47499(P2010−47499)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(504196300)国立大学法人東京海洋大学 (83)
【Fターム(参考)】