ランセットおよび穿刺装置
本発明は、穿刺要素(20a)を有するランセット本体(20)と、ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部(22)と、を備えたランセット(2)に関する。このランセット(2)は、収容部(22)に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、収容部(22)にランセット本体(20)が固定され、収容部(22)に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、ランセット本体(20)が収容部(22)に対して相対動可能となるように構成されている。本発明はさらに、ランセット(2)を装着して使用する穿刺装置にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚などの穿刺対象部位から血液を採取するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚から血液を採取方法としては、使い捨てとして構成されたランセットを穿刺装置に装着し、ランセットの穿刺針を穿刺装置の駆動機構により皮膚に突き刺す方法がある(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
本願の図43および図44に示したように、特許文献1に記載されたランセット8は、穿刺針80および円柱部81を有するランセット本体82と、穿刺針80の先端部を覆うキャップ部83を備えたものである。ランセット本体82とキャップ部83の間には、ノッチ84が形成されており、図45から分かるように、ランセット8は、ノッチ84の部分において、ランセット本体82とキャップ部83を分離できるように構成されている。図44によく表れているように、キャップ部83は、2つの凹部85,86を有しており、これらの凹部85,86の間が貫通孔87を介して連通した形態を有している。凹部85の径は、ランセット本体82の円柱部81の径に対応している。一方、凹部86の径は、図46を参照すれば分かるように、後述する穿刺装置9におけるカバー91の先端部の径に対応している。
【0004】
このランセット8は、図45および図46に示したように穿刺装置9に装着して使用するものである。図示した穿刺装置9は、ランセット本体82を保持可能であり、かつ図のN1,N2方向に往復移動可能なランセットホルダ90と、ランセットホルダ90の先端部を覆うカバー91と、を備えたものである。
【0005】
このような穿刺装置9に対するランセット8の装着は、ランセット本体82の円柱部81をランセットホルダ90の凹部92に挿入した後に、キャップ部83を捻ってランセット本体82からキャップ部83を分離することにより行われる。一方、穿刺装置9からランセット8(ランセット本体82)の取り外しは、先に分離したキャップ部83を利用して行われる。具体的には、まず、図46に示したように、キャップ部83を凹部86においてカバー91の先端部に装着した後に、キャップ部83とともに、穿刺装置9からカバー91を取り外す。次いで、図47Aおよび図47Bに示したように、キャップ部83を凹部85においてランセット本体82に装着した後に、キャップ部83とともに、ランセットホルダ90の凹部92からランセット本体82を抜き取る。
【0006】
このようなランセット本体82の取り外し方法では、キャップ部83にランセット本体82の穿刺針80が収容された状態とされる。そのため、ランセット8を廃棄するときに、使用後の穿刺針80に触れてしまう可能性が低減するため、衛生面において利点がある。しかしながら、図45に示したようにランセット本体82とキャップ部83とを分離したときに穿刺針80が露出し、ランセット本体82をランセットホルダ90から取り外すためにカバー91を取り外したときに穿刺針80が露出する。そのため、ランセット8では、ランセット本体82をランセットホルダ90に装着するとき、およびランセット本体82をランセットホルダ90から取り外すときの双方において、穿刺針80が露出するために危険である。また、キャップ部83を利用してランセット本体82を取り外す作業は煩雑であり、とくに高齢者や視力の衰えた人にとっては困難な作業を強いられることとなる。
【0007】
【特許文献1】日本国特開平5−285127号公報
【発明の開示】
【0008】
本発明は、簡易な操作によりランセットの装着および取り外しを安全に行うことができ、しかもランセットの破棄を衛生的に行えるようにすることを課題としている。
【0009】
本発明の第1の側面においては、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されている、ランセットが提供される。
【0010】
特定方向は、たとえば上記空間が貫通する貫通方向に交差する方向であり、典型的には貫通方向に直交する方向である。
【0011】
収容部は、たとえば上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに断面形状が変化するように構成される。この場合、ランセットは、収容部の断面形状が変化したときに、ランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となるように構成される。
【0012】
収容部は、たとえば当該収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記ランセット本体に接触する接触部を有するものとして構成される。この場合、ランセットは、収容部の断面形状が変化したときに、接触部とランセット本体との間に隙間が形成されるように構成される。接触部は、たとえば凸部として形成される。接触部は、凹部として構成することもでき、この場合には、ランセット本体に対して凹部に係合させるための凸部が設けられる。収容部は、接触部が形成された部分の外径寸法に比べて、接触部が形成されていない部分の外径寸法のほうが大きく形成してもよい。
【0013】
収容部には、この収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部を設けるのが好ましい。収容部には、上記特定方向に外力が作用したときに、収容部の断面形状の変化を許容するための孔部を設けてもよい。孔部は、たとえば切欠またはスリットとして形成される。
【0014】
収容部は、この収容部の断面形状が変化させられた後において、収容部に対して上記特定方向の外力が作用しなくなったときに、収容部の断面形状が元の形状に復帰するように形成するのが好ましい。
【0015】
本発明のランセットは、たとえば収容部の上部開口を開放した状態と、上記上部開口を閉じた状態とを選択可能とする蓋をさらに有するものとして構成することもできる。蓋は、たとえば収容部に付属させられる。蓋は、収容部と分離したものとして形成することもできる。
【0016】
ランセットが蓋を有する場合には、収容部は、たとえば蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記特定方向に所定以上の外力が作用して収容部の断面形状が変化するように構成される。この場合、ランセットは、たとえば収容部の断面形状が変化したときに、ランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となるように構成される。また、収容部が上記特定方向に外力が作用したときに収容部の断面形状の変化を許容するための孔部を有する場合においては、蓋は、上記上部開口を閉塞したときに、孔部に係合して収容部に対して上記特定方向に外力を作用させるための作用部を有するものとして構成することもできる。収容部は、たとえばランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、収容部の下部開口を介して上記ランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有するものとして構成するのが好ましい。蓋を有するランセットにおいては、蓋によって上記上部開口を閉じたときに、収容部に対して蓋を固定するための固定手段をさらに備えたものとして構成するのが好ましい。固定手段は、たとえば蓋および収容部のうちの一方に設けられた凸部と、それらのうちの他方に設けられ、かつ上記凸部に係合させるためのフックと、を有するものとして構成される。
【0017】
収容部には、穿刺対象部位から採取した体液に含まれる特定成分を分析するために利用される分析用具を保持させてもよい。ランセットが蓋を有する場合においては、分析用具を蓋に設けてもよい。分析用具は、たとえば毛細管力により血液を移動させるためのキャピラリと、穿刺要素の移動を許容するための貫通部と、貫通部において開放し、かつキャピラリに血液を導入するための導入口と、を有するものとして構成される。
【0018】
本発明の第2の側面においては、ランセットを装着して使用する穿刺装置であって、上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されているものを用いる場合において、上記ランセットを装着したときに、上記収容部に対して外力を作用させ、上記収容部に対して上記ランセット本体を相対動可能な状態とするように構成されている、穿刺装置が提供される。
【0019】
上記穿刺装置は、たとえば収容部に干渉することにより、収容部に対して外力を作用させるための作用部を有するものとして構成される。
【0020】
ランセットとして、収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部が収容部に設けられているものを用いる場合においては、作用部は、たとえばランセットが装着されたときに上記凸部に干渉し、収容部に対して外力を作用させるように構成される。
【0021】
ランセットとして、上記特定方向に外力が作用したときに、収容部の断面形状の変化を許容するための孔部が収容部に設けられているものを用いる場合においては、作用部は、たとえばランセットが装着されたときに孔部に係合し、収容部の断面形状を変化させるように構成される。
【0022】
本発明の第3の側面においては、装置本体にランセットを装着して使用する穿刺装置であって、上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、上記収容部の上部開口を閉じるための蓋と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用して上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されているものを用いる場合において、上記ランセットの装着した状態において、上記蓋によって上記上部開口を閉じるために上記蓋に外力を作用させるための外力付与手段をさらに備えている、穿刺装置が提供される。
【0023】
本発明の穿刺装置は、たとえばランセットが収容される収容空間を備えたものとされる。この場合、外力付与手段は、たとえば収容空間にランセットを収容した状態において、上記空間が貫通する方向と交差する交差方向(典型的には直交方向)に往復移動可能なスライダを含んだものとされる。スライダは、蓋に干渉させるための干渉部を有するものとされる。
【0024】
干渉部は、たとえば上記収容空間の直上位置である第1位置と、上記収容空間の直上位置を避けた位置である第2位置と、の間を往復移動可能とされ、かつ上記第2位置から上記第1位置に移動するときに蓋に干渉させて蓋に外力を作用させて蓋によって収容部の上部開口を閉鎖するように構成される。
【0025】
ランセットとして ランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、収容部の下部開口を介してランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有しているものを用いる場合においては、上記穿刺装置は、ランセット本体を保持するためのランセットホルダを備えたものとされる。ランセットホルダは、たとえばランセットを装着した状態において、ストッパ部に干渉することなく移動可能に構成される。この場合、ランセットホルダは、たとえばストッパ部との干渉を避けるための凹部を有するものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る穿刺装置を示す正面図である。
【図2】図1に示した穿刺装置の断面図である。
【図3】図1に示した穿刺装置における穿刺機構を説明するための要部を拡大した断面図である。
【図4】図1に示した穿刺装置における送液機構を説明するための要部を拡大した断面図である。
【図5】図1に示した穿刺装置における蓋を、この蓋の本体部を透視して示した斜視図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図1に示した穿刺装置において使用される本発明に係るランセットの全体斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図8のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図8〜図10に示したランセットにおいて、キャップを取り外した状態を示す断面図である。
【図12】図8のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】ランセットの内部構成を説明するための一部を切り欠いて示した要部斜視図である。
【図14】図13に示した状態のランセットの平面図である。
【図15】ランセットの動作を説明するための断面図である。
【図16】ランセットの動作を説明するための断面図である。
【図17】ランセットに組み込まれたバイオセンサの全体斜視図である。
【図18】図17に示したバイオセンサの分解斜視図である。
【図19】図17のXIX−XIX線に沿う断面図である。
【図20】図17のXX−XX線に沿う断面図である。
【図21】図1に示した穿刺装置の使用方法を説明するための要部を示す断面図である。
【図22】穿刺機構の動作を説明するための要部を示す断面図である。
【図23】バイオセンサにおける血液の導入過程を説明するための要部を示す断面図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係るランセットを示す全体斜視図である。
【図25】図24に示したランセットの平面図である。
【図26】図24に示したランセットをハウジングに装着した状態でのXXVI−XXVI線に沿う断面に相当する断面図である。
【図27】図27Aは図24に示したランセットの動作を説明するための平面図であり、図27Bは図24に示したランセットの動作を説明するための図26に相当する断面図である。である。
【図28】ランセットの他の例を示す断面図である。
【図29】ランセットのさらに他の例を示す断面図である。
【図30】図29に示したランセットの動作を説明するためのものであり、ランセットをハウジングに装着した状態でのXXX−XXX線に沿う断面に相当する断面図である。
【図31】ランセットのさらに他の例を示す断面図である。
【図32】本発明の第3の実施の形態に係る穿刺装置を説明するための正面図である。
【図33】図32に示した穿刺装置の断面図である。
【図34】図32に示した穿刺装置の要部を示す斜視図である。
【図35】図32に示した穿刺装置におけるランセットホルダの全体斜視図である。
【図36】図36Aは図32に示した穿刺装置において使用される本発明に係るランセットの全体斜視図であり、図36Bは上記ランセットにおける収容部の平面図である。
【図37】図36に示したランセットの断面図である。
【図38】図36に示したランセットの動作を説明するための断面図である。
【図39】図39Aは図36に示したランセットの動作を説明するための正面図であり、図39Aはその断面図である。
【図40】図32に示した穿刺装置の動作を説明するための断面図である。
【図41】図32に示した穿刺装置の動作を説明するための断面図である。
【図42】図32に示した穿刺装置の動作を説明するために要部を拡大して示した断面図である。
【図43】従来のランセットの一例を示す正面図である。
【図44】図43に示したランセットの断面図である。
【図45】図43および図44に示したランセットを、穿刺装置に装着する動作を説明するための一部を断面で示した正面図である。
【図46】穿刺装置からのラセットの取り外し動作を説明するための断面図である。
【図47】穿刺装置からのラセットの取り外し動作を説明するための断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下においては、本発明の第1ないし第3の実施の形態について説明する。
【0028】
まず、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図23を参照しつつ説明する。
【0029】
図1ないし図3に示した穿刺装置1は、ランセット2を装着して使用するものであり、装置本体3と、この装置本体3との間に指先10を挿入するための収容空間11(図4参照)を形成するための蓋4と、を備えている。
【0030】
装置本体3は、穿刺機構5および送液機構6を備えている。
【0031】
図2および図3に示したように、穿刺機構5は、収容空間11に保持された指先10(図4参照)を穿刺するためのものであり、ハウジング50、ランセットホルダ51および作用部52を有している。
【0032】
ハウジング50は、ランセット2およびランセットホルダ51を収容するためのものである。このハウジング50は、開口部53、貫通孔54、および一対の段部55を有している。
【0033】
開口部53は、ランセット2を挿入する際に利用されるものであり、切欠53aを有している。この切欠53aは、後述するランセット2の凸部22Cを係合させるためのものである。開口部53の上方には、密着部材56が配置されている。この密着部材56は、収容空間11に指先を挿入した状態において、指先10に密着させるためのものである(図4参照)。密着部材56には、貫通孔56aが形成されている。この貫通孔56aは、ハウジング50の開口部53よりも径が大きくされている。このような密着部材56は、指先10との密着性を大きく確保するために、たとえばゴムや発泡体などの弾性体により形成されている。
【0034】
貫通孔54は、後述するランセットホルダ51の係合部51aの移動を許容し、その周辺部54aにおいて係合部51aを係止させるための部分である。
【0035】
一対の段部55は、後述するランセット2の収容部22に押圧力を作用させるためのものであり、ハウジング50の内方に向けて突出している。一対の段部55は、図2および図3における上方側(N1方向側)の部分がテーパ状に形成されている。
【0036】
ランセットホルダ51は、ランセット2を保持するためのものである。ランセットホルダ51には、係合部51aおよびフランジ部51bが設けられている。係合部51aは、ハウジング50の貫通孔54の周辺部54aに係合可能なフック状に形成されている。フランジ部51bと貫通孔54の周辺部54aとの間には、コイルバネ57が配置されている。コイルバネ57は、係合部51aを貫通孔54の周辺部54aに係合させた状態では、圧縮状態となるようになっている。したがって、係合部51aが貫通孔54の周辺部54aに係合した状態を解除すれば、コイルバネ57の弾発力がフランジ部51bに作用し、ランセットホルダ51が矢印N1方向に移動させられる。フランジ部51bと段部55との間には、コイルバネ58が配置されている。コイルバネ58は、ランセットホルダ51を矢印N1方向に移動させたときに圧縮されるものであり、そのときの弾発力をフランジ部51bに作用させてランセットホルダ51を矢印N2方向に移動させるためのものである。ただし、コイルバネ58は省略してもよい。
【0037】
作用部52は、ランセットホルダ51の係合部51aが貫通孔54の周辺部54aに係合した状態を解除するためのものであり、矢印N3,N4方向に移動可能とされている。すなわち、作用部52は、矢印N3方向に移動させられたときに係合部51aに干渉して係合部51aに押圧力を作用させ、係合部51aが貫通孔54の周辺部54aに係合した状態を解除することができる。この作用部52は、図外の制御手段により矢印N3,N4方向への移動が制御されている。制御手段は、たとえば蓋4の開閉動作に連動させてアクチュエータ59によって作用部52を矢印N3方向に移動させ、係合部51aの係合状態を解除するように構成されている。もちろん、手動により作用部52を移動させるように構成することもできる。
【0038】
図2および図4に示したように、送液機構6は、指先10における穿刺対象部位10aよりも根元側の部分から穿刺対象部位10aに向けて血液を送るためのものである。この送液機構6は、歯車として構成された回転体60を有している。この回転体60は、矢印N5方向に回転可能とされており、シート材61を介して収容空間11に収容された指先10に接触するように配置されている。
【0039】
図4および図5に示したように、蓋4は、本体部40に対して一対の圧迫部41および拘束部42を支持した構成を有している。
【0040】
本体部40は、装置本体3との間に指先を挿入するための収容空間11を形成するためのものであり、装置本体3における密着部材56の貫通孔56aを覆う状態と覆わない状態とを選択できるように構成されている(図1参照)。この本体部40は、装置本体3を覆い得るように下方に開放しているとともに、収容空間11に指先を挿入できるように側方に開放している。本体部40には、図1および図2に示したように、端部に軸部40aが設けられている。この軸部40aは、装置本体3の貫通孔30(図2参照)に嵌合させるためのものであり、本体部40は軸部40aを支点として装置本体3に対して回転可能に支持されている。本体部40にはさらに、凹部40bが設けられている。この凹部40bは、蓋4によって装置本体3を覆ったときに装置本体3の凸部31に係合し、蓋4が閉じた状態を維持するためのものである。この状態では、図4に示したように、収容空間11が側方に開放する。
【0041】
図4および図6に示したように、一対の圧迫部41は、収容空間11に指先10を挿入した状態において、指先10における穿刺対象部位10aを装置本体3における密着部材56の貫通孔56aに押し付けるためのものである。各圧迫部41は、本体部40により装置本体3を覆った状態において、密着部材56の直上に位置するように、本体部40の内面に支持されている。この状態では、2つの圧迫部41の表面は、指先10の表面形状に倣ったものとなっている。
【0042】
図4および図7に示したように、拘束部42は、指における穿刺対象部位10aよりも根元部分を拘束し、指先10を鬱血させるためのものである。この拘束部42は、板バネ43を介して本体部40に支持されており、本体部40に対して揺動可能とされている。この拘束部42は、収容空間11に指先10を挿入した状態では、送液機構6の回転体60に向かい合うように配置されている。そのため、収容空間11に挿入された指の根元部分には、板バネ43のバネ力が拘束部42を介して作用し、指の根元部分が回転体60に向けて押し付けられる。これにより、拘束部42によって指先10が鬱血させられる。
【0043】
図3に示したように、ランセット2は、指先を穿刺するための要素を含んでおり、装置本体3におけるハウジング50に挿入して使用するものである。このランセット2は、図8〜図10に示したように、ランセット本体20、キャップ部21、収容部22、およびバイオセンサ23を備えている。
【0044】
ランセット本体20は、穿刺針20a、穿刺針20aの針先側の端部を覆う保護部20b、および穿刺針20aにおける針先とは反対側の端部を埋設した保持部20cを有している。保護部20bと保持部20cとの間には、切り込み20dが形成されており、この切り込み20dにおいて保護部20bと保持部20cとを分離できるように構成されている。保護部20bには、凹部20eが形成されている。この凹部20eは、後述するキャップ部21の係合支持部21aを嵌合させるためのものである。
【0045】
図9〜図11に示したように、キャップ部21は、収容部22に対して着脱自在に保持されているとともに、係合支持部21aを介して、ランセット本体20を保護部20bにおいて支持している。そのため、収容部22からキャップ部21を分離させるときには、ランセット本体20において保護部20bを分離させて穿刺針20aを露出させることができる。
【0046】
図8〜図10に示したように、収容部22は、ランセット本体20およびバイオセンサ23を保持するためのものであり、全体として円筒状に形成されている。この収容部22は、3組の一対の凸部22Aa, 22Ab,22B,22Cを有している。
【0047】
図10および図12に示したように、一対の凸部22Aa,22Abは、ランセット本体20を保持部20cにおいて密着させるためのものであり、収容部22の内面22aから、第1直径軸D1に沿った方向に突出して設けられている。凸部22Aaからは、図10および図13に良く表れているように、バイオセンサ23を支持するための支持部22Eが延出している。この支持部22Eは、板バネとして機能するバネ部22Ea、およびバイオセンサ23が載置される載置部22Ebを有している。載置部22Ebには、切欠22Ecが設けられている。図14に仮想線で示したように、切欠22Ecの内面22Edは、載置部22Ebが自然状態よりも若干外方側に位置させた状態で、ランセット本体20の保護部20cに当接している。また、切欠22Ecの内面22Edは、ランセット本体20において保護部20bを分離させて穿刺針20aを露出させた状態では、自然状態に位置する。このとき、切欠22Ecの内面22Edと穿刺針20aとの間には、隙間が設けられる。
【0048】
図3および図9に示したように、一対の凸部22Bは、装置本体3におけるハウジング50の段部55に干渉させるためのものであり、収容部22の外面22bの下部位置において、図12に示したように第1直径軸D1に直交する第2直径軸D2に沿った位置に設けられている。
【0049】
図12および図16に示したように、一対の凸部22Cは、収容部22の外面22bの上部位置において、第1の直径軸D1上に設けられている。この凸部22Cは、装置本体3のハウジング50にランセット2を挿入するときに、開口部53における切欠53aに係合させるためのものある。すなわち、凸部22Cは、ハウジング50にランセット2を挿入するときに位置決めするのに利用されるものである。
【0050】
このような収容部22は、たとえば樹脂成形により全体が弾性変形可能なように形成されている。このため、図15および図16に示したように、一対の凸部22Bに対して、第2直径軸D2に沿って内方側に向けた力を作用させた場合には、少なくとも一対の凸部22Bが設けられた部分において収容部22が変形する。これにより、一対の凸部22Bの距離が小さくなる一方で、一対の凸部22Aの距離が大きくなり一対の凸部22Aとランセット本体20との間に隙間が形成される。その結果、ランセット本体20は、収容部22に対して、矢印N1,N2方向に相対動することができるようになる。
【0051】
図17〜図20に示したバイオセンサ23は、毛細管力により血液を移動させるとともに、血液中の特定成分(たとえばグルコース)の濃度を、電極法により測定できるように構成されたものである。より具体的には、バイオセンサ23は、基板23a、一対のスペーサ23bおよびカバー23cによって構成されているとともに、これらの要素23a〜23cによって規定されるキャピラリ23dを備えている。
【0052】
基板23aの表面には、対極23e、作用極23fおよび試薬部23gが設けられている。対極23eおよび作用極23fは、図17を参酌すれば分かるように、装置本体3における分析回路(図示略)に、端子35を介して導通させるための部分である。試薬部23gは、作用極23eおよび対極23fを繋ぐように形成されており、たとえば酸化還元酵素および電子伝達物質を含んでいる。
【0053】
一対のスペーサ23bは、キャピラリ23dの幅寸法および高さ寸法を規定するためのものであり、基板23aの表面において、試薬部23gを挟み込むように間隔を隔てて配置されている。これらのスペーサ23bは、たとえば両面テープにより構成される。
【0054】
バイオセンサ23には、図13および図20に良く表れているように、半円状の切欠23hが設けられている。この切欠23hは、ランセット本体20を矢印N1方向に移動させたときに穿刺針20aの移動を許容するためのものであり、この切欠23hにおいて、キャピラリ23dに血液を導入するための開口23jが開放している。バイオセンサ23は、その切欠23hが載置部22Ebにおける切欠22Ecに対応する位置において、載置部22Ebに固定されている。したがって、載置部22Ebが自然状態にある場合には、切欠23hと穿刺針20aとの間には、隙間が設けられている。
【0055】
図2および図3に示したように、穿刺装置1を用いての穿刺作業に当たっては、まず蓋4を開けた状態として、密着部材56の貫通孔56aを介して、ハウジング50にランセット2を挿入する。図21Aおよび図21Bに示したように、ランセット2の挿入は、ハウジング50の切欠53aに対して、ランセット2の凸部22Cを位置合わせしつつ(図16参照)、ハウジング50にランセット2を押し込むことにより行うことができる。
【0056】
ハウジング50にランセット2を押し込んだ場合には、ランセット本体20の保持部20cがランセットホルダ51に嵌めこまれる一方で、収容部22の凸部22Bがハウジング50の段部55に干渉する。これにより、図15および図16に示したように、収容部22が変形し、ランセット本体20が収容部22に対して相対動可能な状態とされる。このとき、ランセット本体20の保持部20cがランセットホルダ51に嵌めこまれることから、ランセット本体20は、ランセットホルダ51とともに移動することができる。また、ハウジング50にランセット2を挿入するときに、ランセットホルダ51を矢印N2方向に移動させ、ランセットホルダ51の係合部51aをハウジング50における貫通孔54の周辺部54aに係合させることができる。これにより、コイルバネ57が圧縮させられ、コイルバネ57に弾発力が蓄えられる。もちろん、ランセットホルダ51の係合部51aは、ランセット2を保持させる動作とは別に、貫通孔54の周辺部54aに係合させてもよい。つまり、ランセットホルダ51にランセット2を保持させる前に、係合部51aを貫通孔54の周辺部54aに係合させておいてもよい。
【0057】
次いで、図11、図21Bおよび図21Cに示したように、ランセット2において、キャップ部21を取り外す。このとき、図11に良く表れているように、キャップ部21の係合支持部21aがランセット本体20における保護部20bの凹部20eに嵌合しているために、キャップ部21を取り外すときに、ランセット2において保護部20bが引き抜かれる。これにより、穿刺針20aの針先が露出した状態とされる。このとき、図14に示したように、バイオセンサ23は、その切欠23h、すなわち開口23jと穿刺針20aの針先との間に若干の間隔を隔てた位置に変位し、また図17を参照すれば分かるように、バイオセンサ23の作用極23eおよび対極23fは、装置本体3に設けられた端子35に接触する。この状態では、作用極23eと対極23fとの間に電圧を印加することができ、また作用極23eに供給された電子の量を電流値として測定することができる。
【0058】
次いで、図4に示したように、密着部材56の貫通孔56aの塞ぐようにして装置本体3の上部に指先10を置き、蓋4を閉める。蓋4を閉めた状態は、蓋4の凹部40bを装置本体3の凸部31に係合させることにより維持される(図2参照)。この状態では、蓋4と装置本体3との間に収容空間11が形成され、この収容空間11に指先10が保持される。図4および図6に示したように、収容空間11においては、圧迫部材41が指先10における穿刺対象部位10aの周囲を密着部材56に押し付ける。この状態では、密着部材56の貫通孔56aから穿刺対象部位10aが突出した状態となり、ランセット2の収容部22に内部に入り込む。これにより、穿刺対象部位10aが鬱血させられ、穿刺対象部位10aに血液が集められ、図22Aに示したように収容部22において穿刺対象部位10aがバイオセンサ23に接触する。また、収容空間11においてはさらに、図4および図7に示したように、拘束部材42が指の根元部分を回転体60に押し付ける。この状態では、指先10が鬱血し、指先10に血液が滞留した状態が維持される。
【0059】
次いで、図22A〜図22Cに示したように、ランセット本体20を矢印N1方向に移動させて、穿刺針20aを指先10における穿刺対象部位10aに突き刺す。ランセット本体20の移動は、作用部52を移動させて係合部51aに作用部52を干渉させ、ランセットホルダ51がハウジング50に係合した状態を解除することにより行われる。ランセットホルダ51の係合状態を解除した場合には、コイルバネ57の弾発力によってランセットホルダ51がランセット本体20とともに矢印N1方向に移動し、ランセット本体20の穿刺針20aは穿刺対象部位10aに突き刺さる。
【0060】
図22Cに示したように、穿刺針20aが穿刺対象部位10aに突き刺さった場合には、指先10における穿刺対象部位10aが切開され、血液が出液する。このとき、穿刺針20aとバイオセンサ23の開口23jとの間に若干の隙間が設けられているため、バイオセンサ23によって、血液の出液が阻害されることはない。指先10ひいては穿刺対象部位10aには、圧迫部材41、拘束部材42(図4、図6および図7参照)および密着部材56の作用により血液が集められている。そのため、穿刺対象部位10aからは、適切に血液を出液させることができる。
【0061】
図22Cおよび図22Dに示したように、穿刺針20aを穿刺対象部位10aに突き刺した後には、コイルバネ57,58の弾発力によってランセットホルダ51が後退し、穿刺針20aは指先10から即座に引き抜かれる。これと同時的に、図4に示した回転体60が矢印N5方向に回転させられる。これにより、指の根元部分にはシート材61を介して指の根元部分が指先10に向けて擦られ、血液が指先10に集められる。このような回転体60の作用によっても、穿刺対象部位10aからは、より適切に血液を出液させることができるようになる。なお、回転体60を回転させるタイミングは、穿刺針20aを穿刺対象部位10aに突き刺した後に限らず、穿刺針20aを突き刺す前に行ってもよく、また穿刺針20aを突き刺す前後において連続的に行ってもよい。
【0062】
図23Aに示したように、穿刺対象部位10aから出液した血液Bは、バイオセンサ23の開口23jに到達する。穿刺針20aとバイオセンサ23の開口23jとの間に若干の隙間が設けられているため、皮膚から出液した血液は、穿刺針20aに阻害されることなく、開口23jに対して適切に導入される。バイオセンサ23では、図23A〜図23Cに示したように、キャピラリ23dにおいて生じる毛細管力により、血液Bがキャピラリ23dの内部を移動する。このとき、血液Bによって試薬部23gが溶解させられ、キャピラリ23dの内部に液相反応系が構築される。液相反応系においては、血液中の特定成分、たとえばグルコースから電子が取り出され、その電子が作用極23eに供給される。装置本体3においては、端子35(図17参照)を介して作用極23eと対極23fとの間に電圧を印加し、作用極23eに対する電子の移動量が電流値として端子35(図17参照)によって測定される。装置本体3ではさらに、測定された電流値に基づいて、特定成分の分析、たとえばグルコース濃度の演算が行われる。
【0063】
特定成分の分析後においては、使用済みのランセット2が取り外される。このとき、ランセット2の凸部22Bと穿刺機構5の段部55とが係合する状態が解除されてランセット2の収容部22に作用する押圧力が解除される。そのため、収容部22が元の形状に復帰し、ランセット本体20が収容部22の凸部22Aa,22Abと再び接触し、収容部22に対してランセット本体20が固定される。その結果、ランセット2を取り外す際には、収容部22とランセット本体20とが一体化されるため、収容部22から穿刺針が突出した状態となることもなく安全である。このような効果は、ランセット2において、再びキャップ部21を装着することなく得ることができるため、使用者がキャップ部21を装着する手間が省かれ、またキャップ部21を装着し忘れることを懸念する必要もなくなる。しかも、収容部22とランセット本体20とを個別に取り外す必要がなく、収容部22を取り外そうとした場合にランセット本体20を同時に取り外すことができるため、ランセット2の取り外し作業が簡易なものとなる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図24〜図27を参照しつつ説明する。
【0065】
図24〜図26に示したランセット2Aは、先に説明したランセット2(図9〜図11など参照)と同様に、ランセット本体20Aおよび収容部22Aを有している。ただし、図面上においては、先に説明したランセット2におけるキャップ部21およびバイオセンサ23に相当するものが描かれていないが、ランセット2Aにおいても、キャップ部およびバイオセンサを設けてもよい。
【0066】
収容部22Aには、スリット27Aおよび接触部としての凹部28Aが設けられている。スリット27Aは、ハウジング50Aに設けられた凸部50Aaを移動させるためのものである。このスリット27Aは、円弧状切欠部27Aaおよび直線部27Abを有しており、全体として略T字状に形成されている。すなわち、収容部22Aにおける円弧状切欠部27Aaおよび直線部27Abの両サイドに位置する領域は、板バネとして機能し、直線部27Abは、ハウジング50Aの凸部50Aaの径よりも幅寸法が小さくなされており、その幅寸法をハウジング50Aの凸部50Aaによって拡げることが可能なように構成されている。収容部22Aの凹部28Aは、スリット27Aの直線部27Abの幅寸法が拡げられていない状態においてランセット本体20Aに設けられた凸部29Aを係合させるためのものである。
【0067】
このランセット2Aでは、ハウジング50Aの凸部50Aaがスリット27Aの直線部27Abに位置しない状態では、スリット27Aの直線部27Abの幅寸法が拡げられていないため、ランセット本体20Aの凸部29Aが収容部22Aの凹部28Aに係合された状態とされ、ランセット本体20Aが収容部22Aに保持される。一方、図27Aおよび図27Bに良く表れているように、ハウジング50Aの凸部50Aaがスリット27Aの直線部27Abに位置する状態では、スリット27Aの直線部27Abの幅が広げられるため、収容部22Aの凹部28Aに対するランセット本体20Aの凸部29Aの係合状態が解除される。この状態では、ランセット本体20Aが収容部22Aに対して相対動することができる。
【0068】
本実施の形態においては、凹部29Aとして構成されていた接触部は、第1の実施の形態において説明したのと同様に、凸部として構成してもよく、逆に、第1の実施の形態においては、接触部を本実施の形態のような凹部として構成してもよい。
【0069】
また、ランセットは、図28、図29および図30、あるいは図31A〜図31Cに示したような構成とすることもできる。
【0070】
図28に示したランセットの収容部22Bは、スリット27Bを収容部22Bにおける矢印N1側の縁に至るまで延びるように形成したものである。
【0071】
図29および図30に示したランセット2Cは、収容部22Cに対してN2側の端部に向かうほど拡開する一対の切欠27Cを設けたものである。ランセット2Cにおいては、ハウジング50Cの凸部50Caが切欠27Cの内部に位置しない状態ではランセット本体20Cが収容部22Cに保持される。一方、凸部50Caが切欠27Cの内部に位置する状態では、切欠27Cの幅が広げられるため、ランセット本体20Cを収容部22Cに対して相対動させることができる。
【0072】
図31Cに示したランセット2Dは、収容部22Dの断面形状が楕円状に形成されたものである。より具体的には、収容部22Dは、凸部22ADが形成された部分の外径D3に比べて、凸部22ADが形成されていない部分の外径D4のほうが大きく設定されており、外径D3の小さい部分においてランセット本体20Dに押圧力を作用させ、ランセット本体20Dを保持している。図31Bに示したように、ランセット2Dは、収容部22Dの凸部22ADを、ハウジング50Dの凸部50Daに位置合わせしてハウジング50Dに装着される。この状態では、収容部22Dの断面形状は変化せずに自然状態と同様なものとされ、収容部22Dによってランセット本体20Dが保持された状態が維持される。一方、図31Cに示したように、ハウジング50Dに対して収容部22Dを90度回転させた場合には、収容部22Dにおける外径D4が大きい部分(凸部22ADが形成されていない部分)にハウジング50Dの凸部50Daが接触し、凸部22ADが形成されていない部分の外径が小さくなる一方で、凸部22ADが形成されている部分の外径が大きくなる。これにより、収容部22Dの凸部22ADがランセット本体20Dの表面から離反し、収容部22Dに対してランセット本体20Dが相対移動可能となる。
【0073】
ここで、ハウジング50Dに対して収容部22Dの回転は、たとえば収容部22Dに操作部(たとえば凸部)を設け、使用者が操作部を操作してハウジング50Dに対して収容部22Dを相対回転させることにより行うことができる。また、穿刺装置において、収容部22Dを回転させるための機構を設けて収容部22Dを回転させるようにし、あるいは収容部22Dをハウジング50Dに挿入するときに、収容部22Dが回転するように構成してもよい。
【0074】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図32〜図42を参照しつつ説明する。ただし、これらの図においては、先に説明した本発明の第1の実施の形態において説明した要素と同様なものについて同一の符号を付してあり、以下における重複説明は省略する。
【0075】
図32および図33に示した穿刺装置1′は、先に説明した本発明の第1の実施の形態において説明した穿刺装置1(図1〜図3参照)と同様に、ランセット2Eを装着して使用するものである(図40および図41参照)。この穿刺装置1′は、穿刺機構5′および閉蓋機構7を備えている。
【0076】
図2に示したように、穿刺機構5′は、その動作原理が上記穿刺装置1(図1〜図3参照)の穿刺機構5(図2および図22参照)と同様であるが、ハウジング50′およびランセットホルダ51′の形態が異なっている。
【0077】
図33および図34Bに示したように、ハウジング50′は、ランセット2Eを挿入するための開口部53′を有している。この開口部53′は、切欠53a′,53b′を有している。図41に示したように、切欠53a′は、後述するランセット2Eのフック21Ecおよび突起22Eaを収容するためのものである。一方、切欠53b′は、後述するランセット2Eの連結部21Eaを収容するためのものである。
【0078】
図35および図42に示したように、ランセットホルダ51′は、ランセット2Eを保持するためのものである。このランセットホルダ51′には、孔部51c′および収容部51d′が設けられている。孔部51c′は、ランセットホルダ51′をN1,N2方向に移動させたときに、後述するランセット2Eのストッパ部22Edとの干渉を回避するためのものである。収容部51d′は、ランセット2Eにおけるランセット本体20Eを保持するためのものであり、ランセット本体20Eにおける保持部20Ecの一部を埋設させるための空間51e′と、一対のバネ部51f′と、を有している。一対のバネ部51f′は、ランセット本体20Eに押圧力を作用させ、収容部51d′におけるランセット本体20Eの保持を確実ならしめるためのものである。一対のバネ部51f′は、それらの先端が隙間51g′を介して対峙している。この隙間51g′は、一対のバネ部51f′にバネ性を持たせるとともに、ランセット2Eのストッパ部22Edとの干渉を回避するためのものである。
【0079】
図40および図41に示したように、閉蓋機構7は、ハウジング50′にランセット2Eを収容した状態において、ランセット2Eの蓋21Eを閉じるためのものである。この閉蓋機構7は、スライダ70を含んでいる。
【0080】
図34Aおよび図34Bに示したように、スライダ70は、装置本体3に対してN3,N4方向に相対動可能に構成されており、ハウジング50′の開口部53′の上方に位置する状態と、開口部53′の上方を避けた位置に位置する状態とを選択できるように構成されている。このスライダ70は、干渉部71およびガイド部72を有している。
【0081】
干渉部71は、ランセット2Eの蓋21Eを閉じるためにスライド70をN3方向に移動させたときに、蓋21Eに干渉させるためのものであり、装置本体3の上面から一定距離離間している(図40および図41参照)。この干渉部71には、貫通孔71aが設けられている。この貫通孔71aは、バイオセンサ23Eの一部を露出させて指先10がバイオセンサ23Eに接触するのを許容し(図33参照)、あるいは後述するランセット2Eの穿刺針20Eaの移動を許容するためのものである。干渉部71にはさらに、密着部材73が取り付けられている。この密着部材73は、先に説明した第1の実施の形態の密着部材56と同様に、収容空間11に指先10を挿入した状態において、指先10に密着させるためのものである(図4参照)。密着部材73には、スライダ70の貫通孔71aと同一形状の貫通孔73aが形成されている。このような密着部材73は、指先10(図4参照)との密着性を大きく確保するために、たとえばゴムや発泡体などの弾性体により形成されている。
【0082】
ガイド部72は、干渉部71(スライダ70)の移動経路を規定するものためのものであり、N3,N4方向に延びる溝部72aを有している。この溝部72aは、装置本体3に設けられたN3,N4方向に延びる凸部39に係合させるためのものである。すなわち、スライダ70は、溝部72aが凸部39に係合した状態となっていることにより、スライダ70に対してN3,N4方向に沿って移動可能とされている。
【0083】
図36A、図37Aおよび図37Bに示したように、ランセット2Eは、装置本体3におけるハウジング50′に挿入して使用するものであり(図40および図41参照)、ランセット本体20E、蓋21E、収容部22E、およびバイオセンサ23Eを備えている。このランセット2Eは、収容部22Eに外力が作用しない状態では収容部22Eにランセット本体20Eが保持される一方で、収容部22Eに目的とする外力が作用したときに収容部22Eに対してランセット本体20Eが相対動可能とされるように構成されている。
【0084】
図37Aおよび図37Bに示したように、ランセット本体20Eは、穿刺針20Ea、保護部20Eb、保持部20Ecおよび切り込み20Edを有している。保護部20Ebは、穿刺針20Eaの針先側の端部を覆うものであり、図38に示したように、穿刺針20Eaの針先を露出させるために、穿刺前に使用者によって取り外される部分である。図35に示したように、保持部20Ecは、ランセットホルダ51′に保持させるための部分であり、図37Bに示したように、穿刺針20Eaにおける針先とは反対側の端部が埋設された部分である。この保持部20Ecには、図37A、図37Bおよび図38に示したように環状の凹部20Efが形成されている。この凹部20Efは、後述する収容部22Eにおける一対の係合凸部22Ebを嵌合させるためのものである。すなわち、ランセット本体20Eは、収容部22Eに外力が作用しない状態では収容部22Eに対してランセット本体20Eが保持されている。切り込み20Edは、保護部20Ebと保持部20Ecとを分離しやすくするためのものであり、保護部20Ebと保持部20Ecとの間に設けられている。
【0085】
図36A、図39Aおよび図39Bに示したように、蓋21Eは、収容部22Eの上部開口22Efを閉じるためのものであると同時に、収容部22Eに外力を作用させてランセット本体20Eを収容部22Eに対して相対動可能とするためのものである。この蓋21Eは、連結部21Eaを介して収容部22Eに付属させられおり、貫通孔21Eb、フック21Ecおよび一対の作用部21Edを有している。
【0086】
貫通孔21Ebは、バイオセンサ23Eの一部を露出させるためのものであると同時に、穿刺時において、バイオセンサ23Eに指先10を接触させるためものである(図33参照)。フック21Ecは、後述する収容部22Eの突起22Eaに係合させ、収容部22Eの上部開口22Efが蓋21Eによって閉じられた状態を維持するためのものである。一対の作用部21Edは、後述する収容部22Eの一対のスリット22Ecに係合させてスリット22Ecの幅(隙間22Eg)を拡げるためのものである。この作用部21Edは、蓋21Eの一面21Eeから蓋21Eの厚み方向に突出した挿入片21Efにおいて、蓋21Eの周縁に向けて突出して設けられている。作用部21Edは、端部が2つの傾斜面21Egを有するテーパ状に形成されている。これにより、作用部21Edは、収容部22Eのスリット22Ecに対して容易かつ確実に差し込むことができる。
【0087】
図36A、図36Bおよび図37Aに示したように、収容部22Eは、ランセット本体20Eを保持するためのものであり、全体として円筒状に形成されている。この収容部22は、突起22Ea、一対の係合凸部22Eb、一対のスリット22Ecおよびストッパ部22Edを有している。
【0088】
図39Aおよび図39Bに示したように、突起22Eaは、蓋21Eのフック21Ecを係合させるためのものである。
【0089】
図36B、図37Aおよび図37Bに示したように、一対の係合凸部22Ebは、ランセット本体20Eを保持部20Ecの凹部20Efにおいて係合させるためのものである。これらの係合凸部22Ebは、第1直径軸D1上において、収容部22Eの内面22Ehから突出して互いに対向して設けられている。
【0090】
図36A、図36B、図39Aおよび図39Bに示したように、一対のスリット22Ecは、収容部22Eの断面形状の変化を許容するためのものである。これらのスリット22Ecは、上下方向に延びており、かつ第2直径軸D2上における互いに対向した位置に設けられている。
【0091】
図36Bおよび図39Bに示したように、ストッパ部22Edは、収容部22Eからランセット本体20Eが離脱するのを防止するためのものである。このストッパ部22Edは、収容部22Eの第1直径軸D1上において、中心に向かって延びている。
【0092】
図36Aに示したバイオセンサ23Eは、毛細管力により血液を移動させるとともに、血液中の特定成分(たとえばグルコース)の濃度を電極法により測定できるように構成されたものである。このバイオセンサ23Eは、蓋21Eの一面21Eeに貼り付けられており、蓋21Eの貫通孔21Ebを介してバイオセンサ23Eの一部が蓋21Eにおける一面21Eeとは反対側の面から露出している。換言すれば、蓋21Eの貫通孔21Ebは、その一部がバイオセンサ23Eによって塞がれており、蓋21Eの貫通孔21Ebからランセット本体20Eが抜け出すのに十分なスペースは設けられていない。なお、図面上に表れていないが、バイオセンサ23Eは、本発明の第1の実施の形態において説明したバイオセンサ23(図17〜図20)と同様な構成とされている。
【0093】
次に、穿刺装置1′の使用方法および動作について説明する。ただし、穿刺装置1′における穿刺動作および演算(分析)動作については、先に説明した第1の実施の形態における穿刺装置1(図1〜図3参照)と同様であるため、以下においては、穿刺動作および演算(分析)動作における詳細な説明を省略する。
【0094】
穿刺装置1′を用いての穿刺作業に当たっては、まず図32および図33に示したように蓋4を開けた状態としておいた上で、図34Bに示したように装置本体3の開口部53′が露出した状態としておく。開口部53′は、使用者がスライダ70をN4方向に移動させることにより露出させることができる。
【0095】
次いで、図40に示したように、切欠53a′,53b′にランセット2Eの突起22Eaおよび連絡部21Eaを位置合わせした状態において、蓋21Eを開けた状態のランセット2Eを、開口部53′を介してハウジング50′に収容させる。このとき、ランセット2Eにおいては、図37Aおよび図37Bに示したように、収容部22Eの係合凸部22Ebがランセット本体20Eの凹部20Efに係合しているので、収容部22Eに対してランセット本体20Eが保持された状態となっている。
【0096】
続いて、図38に示したように、ランセット本体20Eにおいて保護部20Ebを取り外した上で、図34Aに示したようにスライダ70をN3方向に移動させる。これにより、図39Aおよび図39B、ならびに図40〜図42に示したように、ランセット2Eにおいて、蓋21Eが閉じられる。すなわち、スライダ70をN3方向に移動させた場合には、スライダ70の干渉部71が蓋21Eに干渉し、蓋21Eに対してN3方向に向けた力が作用する。これにより、蓋21Eが収容部22Eの上部開口22Efを塞ぐ方向に移動する。スライダ70をさらにN3方向に移動させた場合には、開口部53′の直上に干渉部71が位置することとなる一方で、蓋21Eが干渉部71の下方に潜り込まされる。
【0097】
図41および図42に示したように、蓋21Eが干渉部71の下方に潜り込まされる過程においては、ランセット2Eの全体に下方に向けた力が作用する。そのため、ランセット本体20Eの保持部20Ecがランセットホルダ51′の収容部51d′に嵌めこまれ、ランセット本体20Eがランセットホルダ51′とともに移動することができるようになる。また、ハウジング50′にランセット2Eを挿入するときに、ランセットホルダ51′を矢印N2方向に移動させ、ランセットホルダ51′の係合部51aをハウジング50′における貫通孔54の周辺部54aに係合させることができる。これにより、コイルバネ57が圧縮させられ、コイルバネ57に弾発力が蓄えられる。
【0098】
もちろん、ランセット2Eをハウジング50′に収容するときにランセットホルダ51′の収容部51d′にランセット本体20Eの保持部20Ecを嵌め込んでもよい。ランセットホルダ51′の係合部51aは、ランセット2Eを保持させる動作とは別に、貫通孔54の周辺部54aに係合させてもよい。すなわち、ランセットホルダ51′にランセット2Eを保持させる前に、係合部51aを貫通孔54の周辺部54aに係合させておいてもよい。
【0099】
蓋21Eが干渉部71の下方に潜り込まされる過程においてはさらに、蓋21Eの挿入片21Efがランセット2Eの収容部22Eの内部に収容される一方で、スリット22Ecに作用部21Edが入り込んで行く。その結果、スリット22Ecは、その隙間22Egが拡げられて係合凸部22Ebがランセット本体20Eの凹部20Efに係合した状態が解除される。これにより、ランセット本体20Eは、収容部22Eに対して相対移動可能な状態とされる。最終的には、蓋21Eのフック21Ecが収容部22Eの突起22Eaに係合し、蓋21Eによって収容部22Eの上部開口22Efが塞がれた状態が維持される。
【0100】
このように穿刺装置1′では、ハウジング50′にランセット2Eを収容させた上で、スライダ70をN3方向に移動させるだけで、穿刺前の準備を終了させることができる。そのため、穿刺装置1′においては、極めて簡易な操作によって穿刺前の準備を行うことができる。
【0101】
次いで、密着部材73の貫通孔73aの塞ぐようにして装置本体3の上部に指先10を置き(図33参照)、蓋4を閉めた上で穿刺動作を実行する。この穿刺動作は、上述した穿刺装置1′と同様に(図1〜図3参照)、ランセットホルダ51′とともにランセット本体20EをN1方向に移動させ、穿刺針20aが指先10に突き刺さすことにより行われる(図22A〜図22C参照)。ランセットホルダ51′の移動は、作用部52を移動させて係合部51aに作用部52を干渉させることにより行われる。
【0102】
一方、穿刺装置1′においては、指先10から出液した血液がバイオセンサ23Eに供給され(図23A〜図23C参照)、バイオセンサ23Eを利用して、特定成分の分析(たとえばグルコース)の濃度演算が行われる。
【0103】
特定成分の分析後においては、使用済みのランセット2Eが取り外される。ランセット2Eの取り外しは、スライダ70をN4方向に移動させて開口部53′を開放した上で行われる。ここで、ランセット2Eは、収容部22Eにランセット本体20Eが収容部22Eから離脱するのを防止するためのストッパ部が設けられている。その一方で、収容部22Eの上部開口22Efは、蓋21Eによって閉じられており、上述したように、蓋21Eの貫通孔21Ebからはランセット本体20Eが抜け出すスペースはない。その結果、使用後のランセット2Eにおいては、収容部22Eからランセット本体20Eが抜け出すことはなく、使用済みのランセット2Eをハウジング50′から取り出す操作ならびに取り出したランセット2Eを廃棄する操作を安全かつ衛生的に行うことができる。
【0104】
本発明の第3の実施の形態においては、ランセットが蓋を備えたものとして構成されていたが、ランセットの蓋に相当するものを、穿刺装置の装置本体に設けてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚などの穿刺対象部位から血液を採取するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚から血液を採取方法としては、使い捨てとして構成されたランセットを穿刺装置に装着し、ランセットの穿刺針を穿刺装置の駆動機構により皮膚に突き刺す方法がある(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
本願の図43および図44に示したように、特許文献1に記載されたランセット8は、穿刺針80および円柱部81を有するランセット本体82と、穿刺針80の先端部を覆うキャップ部83を備えたものである。ランセット本体82とキャップ部83の間には、ノッチ84が形成されており、図45から分かるように、ランセット8は、ノッチ84の部分において、ランセット本体82とキャップ部83を分離できるように構成されている。図44によく表れているように、キャップ部83は、2つの凹部85,86を有しており、これらの凹部85,86の間が貫通孔87を介して連通した形態を有している。凹部85の径は、ランセット本体82の円柱部81の径に対応している。一方、凹部86の径は、図46を参照すれば分かるように、後述する穿刺装置9におけるカバー91の先端部の径に対応している。
【0004】
このランセット8は、図45および図46に示したように穿刺装置9に装着して使用するものである。図示した穿刺装置9は、ランセット本体82を保持可能であり、かつ図のN1,N2方向に往復移動可能なランセットホルダ90と、ランセットホルダ90の先端部を覆うカバー91と、を備えたものである。
【0005】
このような穿刺装置9に対するランセット8の装着は、ランセット本体82の円柱部81をランセットホルダ90の凹部92に挿入した後に、キャップ部83を捻ってランセット本体82からキャップ部83を分離することにより行われる。一方、穿刺装置9からランセット8(ランセット本体82)の取り外しは、先に分離したキャップ部83を利用して行われる。具体的には、まず、図46に示したように、キャップ部83を凹部86においてカバー91の先端部に装着した後に、キャップ部83とともに、穿刺装置9からカバー91を取り外す。次いで、図47Aおよび図47Bに示したように、キャップ部83を凹部85においてランセット本体82に装着した後に、キャップ部83とともに、ランセットホルダ90の凹部92からランセット本体82を抜き取る。
【0006】
このようなランセット本体82の取り外し方法では、キャップ部83にランセット本体82の穿刺針80が収容された状態とされる。そのため、ランセット8を廃棄するときに、使用後の穿刺針80に触れてしまう可能性が低減するため、衛生面において利点がある。しかしながら、図45に示したようにランセット本体82とキャップ部83とを分離したときに穿刺針80が露出し、ランセット本体82をランセットホルダ90から取り外すためにカバー91を取り外したときに穿刺針80が露出する。そのため、ランセット8では、ランセット本体82をランセットホルダ90に装着するとき、およびランセット本体82をランセットホルダ90から取り外すときの双方において、穿刺針80が露出するために危険である。また、キャップ部83を利用してランセット本体82を取り外す作業は煩雑であり、とくに高齢者や視力の衰えた人にとっては困難な作業を強いられることとなる。
【0007】
【特許文献1】日本国特開平5−285127号公報
【発明の開示】
【0008】
本発明は、簡易な操作によりランセットの装着および取り外しを安全に行うことができ、しかもランセットの破棄を衛生的に行えるようにすることを課題としている。
【0009】
本発明の第1の側面においては、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されている、ランセットが提供される。
【0010】
特定方向は、たとえば上記空間が貫通する貫通方向に交差する方向であり、典型的には貫通方向に直交する方向である。
【0011】
収容部は、たとえば上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに断面形状が変化するように構成される。この場合、ランセットは、収容部の断面形状が変化したときに、ランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となるように構成される。
【0012】
収容部は、たとえば当該収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記ランセット本体に接触する接触部を有するものとして構成される。この場合、ランセットは、収容部の断面形状が変化したときに、接触部とランセット本体との間に隙間が形成されるように構成される。接触部は、たとえば凸部として形成される。接触部は、凹部として構成することもでき、この場合には、ランセット本体に対して凹部に係合させるための凸部が設けられる。収容部は、接触部が形成された部分の外径寸法に比べて、接触部が形成されていない部分の外径寸法のほうが大きく形成してもよい。
【0013】
収容部には、この収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部を設けるのが好ましい。収容部には、上記特定方向に外力が作用したときに、収容部の断面形状の変化を許容するための孔部を設けてもよい。孔部は、たとえば切欠またはスリットとして形成される。
【0014】
収容部は、この収容部の断面形状が変化させられた後において、収容部に対して上記特定方向の外力が作用しなくなったときに、収容部の断面形状が元の形状に復帰するように形成するのが好ましい。
【0015】
本発明のランセットは、たとえば収容部の上部開口を開放した状態と、上記上部開口を閉じた状態とを選択可能とする蓋をさらに有するものとして構成することもできる。蓋は、たとえば収容部に付属させられる。蓋は、収容部と分離したものとして形成することもできる。
【0016】
ランセットが蓋を有する場合には、収容部は、たとえば蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記特定方向に所定以上の外力が作用して収容部の断面形状が変化するように構成される。この場合、ランセットは、たとえば収容部の断面形状が変化したときに、ランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となるように構成される。また、収容部が上記特定方向に外力が作用したときに収容部の断面形状の変化を許容するための孔部を有する場合においては、蓋は、上記上部開口を閉塞したときに、孔部に係合して収容部に対して上記特定方向に外力を作用させるための作用部を有するものとして構成することもできる。収容部は、たとえばランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、収容部の下部開口を介して上記ランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有するものとして構成するのが好ましい。蓋を有するランセットにおいては、蓋によって上記上部開口を閉じたときに、収容部に対して蓋を固定するための固定手段をさらに備えたものとして構成するのが好ましい。固定手段は、たとえば蓋および収容部のうちの一方に設けられた凸部と、それらのうちの他方に設けられ、かつ上記凸部に係合させるためのフックと、を有するものとして構成される。
【0017】
収容部には、穿刺対象部位から採取した体液に含まれる特定成分を分析するために利用される分析用具を保持させてもよい。ランセットが蓋を有する場合においては、分析用具を蓋に設けてもよい。分析用具は、たとえば毛細管力により血液を移動させるためのキャピラリと、穿刺要素の移動を許容するための貫通部と、貫通部において開放し、かつキャピラリに血液を導入するための導入口と、を有するものとして構成される。
【0018】
本発明の第2の側面においては、ランセットを装着して使用する穿刺装置であって、上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されているものを用いる場合において、上記ランセットを装着したときに、上記収容部に対して外力を作用させ、上記収容部に対して上記ランセット本体を相対動可能な状態とするように構成されている、穿刺装置が提供される。
【0019】
上記穿刺装置は、たとえば収容部に干渉することにより、収容部に対して外力を作用させるための作用部を有するものとして構成される。
【0020】
ランセットとして、収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部が収容部に設けられているものを用いる場合においては、作用部は、たとえばランセットが装着されたときに上記凸部に干渉し、収容部に対して外力を作用させるように構成される。
【0021】
ランセットとして、上記特定方向に外力が作用したときに、収容部の断面形状の変化を許容するための孔部が収容部に設けられているものを用いる場合においては、作用部は、たとえばランセットが装着されたときに孔部に係合し、収容部の断面形状を変化させるように構成される。
【0022】
本発明の第3の側面においては、装置本体にランセットを装着して使用する穿刺装置であって、上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、上記収容部の上部開口を閉じるための蓋と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用して上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されているものを用いる場合において、上記ランセットの装着した状態において、上記蓋によって上記上部開口を閉じるために上記蓋に外力を作用させるための外力付与手段をさらに備えている、穿刺装置が提供される。
【0023】
本発明の穿刺装置は、たとえばランセットが収容される収容空間を備えたものとされる。この場合、外力付与手段は、たとえば収容空間にランセットを収容した状態において、上記空間が貫通する方向と交差する交差方向(典型的には直交方向)に往復移動可能なスライダを含んだものとされる。スライダは、蓋に干渉させるための干渉部を有するものとされる。
【0024】
干渉部は、たとえば上記収容空間の直上位置である第1位置と、上記収容空間の直上位置を避けた位置である第2位置と、の間を往復移動可能とされ、かつ上記第2位置から上記第1位置に移動するときに蓋に干渉させて蓋に外力を作用させて蓋によって収容部の上部開口を閉鎖するように構成される。
【0025】
ランセットとして ランセット本体が収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、収容部の下部開口を介してランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有しているものを用いる場合においては、上記穿刺装置は、ランセット本体を保持するためのランセットホルダを備えたものとされる。ランセットホルダは、たとえばランセットを装着した状態において、ストッパ部に干渉することなく移動可能に構成される。この場合、ランセットホルダは、たとえばストッパ部との干渉を避けるための凹部を有するものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る穿刺装置を示す正面図である。
【図2】図1に示した穿刺装置の断面図である。
【図3】図1に示した穿刺装置における穿刺機構を説明するための要部を拡大した断面図である。
【図4】図1に示した穿刺装置における送液機構を説明するための要部を拡大した断面図である。
【図5】図1に示した穿刺装置における蓋を、この蓋の本体部を透視して示した斜視図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図1に示した穿刺装置において使用される本発明に係るランセットの全体斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図8のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図8〜図10に示したランセットにおいて、キャップを取り外した状態を示す断面図である。
【図12】図8のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】ランセットの内部構成を説明するための一部を切り欠いて示した要部斜視図である。
【図14】図13に示した状態のランセットの平面図である。
【図15】ランセットの動作を説明するための断面図である。
【図16】ランセットの動作を説明するための断面図である。
【図17】ランセットに組み込まれたバイオセンサの全体斜視図である。
【図18】図17に示したバイオセンサの分解斜視図である。
【図19】図17のXIX−XIX線に沿う断面図である。
【図20】図17のXX−XX線に沿う断面図である。
【図21】図1に示した穿刺装置の使用方法を説明するための要部を示す断面図である。
【図22】穿刺機構の動作を説明するための要部を示す断面図である。
【図23】バイオセンサにおける血液の導入過程を説明するための要部を示す断面図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係るランセットを示す全体斜視図である。
【図25】図24に示したランセットの平面図である。
【図26】図24に示したランセットをハウジングに装着した状態でのXXVI−XXVI線に沿う断面に相当する断面図である。
【図27】図27Aは図24に示したランセットの動作を説明するための平面図であり、図27Bは図24に示したランセットの動作を説明するための図26に相当する断面図である。である。
【図28】ランセットの他の例を示す断面図である。
【図29】ランセットのさらに他の例を示す断面図である。
【図30】図29に示したランセットの動作を説明するためのものであり、ランセットをハウジングに装着した状態でのXXX−XXX線に沿う断面に相当する断面図である。
【図31】ランセットのさらに他の例を示す断面図である。
【図32】本発明の第3の実施の形態に係る穿刺装置を説明するための正面図である。
【図33】図32に示した穿刺装置の断面図である。
【図34】図32に示した穿刺装置の要部を示す斜視図である。
【図35】図32に示した穿刺装置におけるランセットホルダの全体斜視図である。
【図36】図36Aは図32に示した穿刺装置において使用される本発明に係るランセットの全体斜視図であり、図36Bは上記ランセットにおける収容部の平面図である。
【図37】図36に示したランセットの断面図である。
【図38】図36に示したランセットの動作を説明するための断面図である。
【図39】図39Aは図36に示したランセットの動作を説明するための正面図であり、図39Aはその断面図である。
【図40】図32に示した穿刺装置の動作を説明するための断面図である。
【図41】図32に示した穿刺装置の動作を説明するための断面図である。
【図42】図32に示した穿刺装置の動作を説明するために要部を拡大して示した断面図である。
【図43】従来のランセットの一例を示す正面図である。
【図44】図43に示したランセットの断面図である。
【図45】図43および図44に示したランセットを、穿刺装置に装着する動作を説明するための一部を断面で示した正面図である。
【図46】穿刺装置からのラセットの取り外し動作を説明するための断面図である。
【図47】穿刺装置からのラセットの取り外し動作を説明するための断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下においては、本発明の第1ないし第3の実施の形態について説明する。
【0028】
まず、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図23を参照しつつ説明する。
【0029】
図1ないし図3に示した穿刺装置1は、ランセット2を装着して使用するものであり、装置本体3と、この装置本体3との間に指先10を挿入するための収容空間11(図4参照)を形成するための蓋4と、を備えている。
【0030】
装置本体3は、穿刺機構5および送液機構6を備えている。
【0031】
図2および図3に示したように、穿刺機構5は、収容空間11に保持された指先10(図4参照)を穿刺するためのものであり、ハウジング50、ランセットホルダ51および作用部52を有している。
【0032】
ハウジング50は、ランセット2およびランセットホルダ51を収容するためのものである。このハウジング50は、開口部53、貫通孔54、および一対の段部55を有している。
【0033】
開口部53は、ランセット2を挿入する際に利用されるものであり、切欠53aを有している。この切欠53aは、後述するランセット2の凸部22Cを係合させるためのものである。開口部53の上方には、密着部材56が配置されている。この密着部材56は、収容空間11に指先を挿入した状態において、指先10に密着させるためのものである(図4参照)。密着部材56には、貫通孔56aが形成されている。この貫通孔56aは、ハウジング50の開口部53よりも径が大きくされている。このような密着部材56は、指先10との密着性を大きく確保するために、たとえばゴムや発泡体などの弾性体により形成されている。
【0034】
貫通孔54は、後述するランセットホルダ51の係合部51aの移動を許容し、その周辺部54aにおいて係合部51aを係止させるための部分である。
【0035】
一対の段部55は、後述するランセット2の収容部22に押圧力を作用させるためのものであり、ハウジング50の内方に向けて突出している。一対の段部55は、図2および図3における上方側(N1方向側)の部分がテーパ状に形成されている。
【0036】
ランセットホルダ51は、ランセット2を保持するためのものである。ランセットホルダ51には、係合部51aおよびフランジ部51bが設けられている。係合部51aは、ハウジング50の貫通孔54の周辺部54aに係合可能なフック状に形成されている。フランジ部51bと貫通孔54の周辺部54aとの間には、コイルバネ57が配置されている。コイルバネ57は、係合部51aを貫通孔54の周辺部54aに係合させた状態では、圧縮状態となるようになっている。したがって、係合部51aが貫通孔54の周辺部54aに係合した状態を解除すれば、コイルバネ57の弾発力がフランジ部51bに作用し、ランセットホルダ51が矢印N1方向に移動させられる。フランジ部51bと段部55との間には、コイルバネ58が配置されている。コイルバネ58は、ランセットホルダ51を矢印N1方向に移動させたときに圧縮されるものであり、そのときの弾発力をフランジ部51bに作用させてランセットホルダ51を矢印N2方向に移動させるためのものである。ただし、コイルバネ58は省略してもよい。
【0037】
作用部52は、ランセットホルダ51の係合部51aが貫通孔54の周辺部54aに係合した状態を解除するためのものであり、矢印N3,N4方向に移動可能とされている。すなわち、作用部52は、矢印N3方向に移動させられたときに係合部51aに干渉して係合部51aに押圧力を作用させ、係合部51aが貫通孔54の周辺部54aに係合した状態を解除することができる。この作用部52は、図外の制御手段により矢印N3,N4方向への移動が制御されている。制御手段は、たとえば蓋4の開閉動作に連動させてアクチュエータ59によって作用部52を矢印N3方向に移動させ、係合部51aの係合状態を解除するように構成されている。もちろん、手動により作用部52を移動させるように構成することもできる。
【0038】
図2および図4に示したように、送液機構6は、指先10における穿刺対象部位10aよりも根元側の部分から穿刺対象部位10aに向けて血液を送るためのものである。この送液機構6は、歯車として構成された回転体60を有している。この回転体60は、矢印N5方向に回転可能とされており、シート材61を介して収容空間11に収容された指先10に接触するように配置されている。
【0039】
図4および図5に示したように、蓋4は、本体部40に対して一対の圧迫部41および拘束部42を支持した構成を有している。
【0040】
本体部40は、装置本体3との間に指先を挿入するための収容空間11を形成するためのものであり、装置本体3における密着部材56の貫通孔56aを覆う状態と覆わない状態とを選択できるように構成されている(図1参照)。この本体部40は、装置本体3を覆い得るように下方に開放しているとともに、収容空間11に指先を挿入できるように側方に開放している。本体部40には、図1および図2に示したように、端部に軸部40aが設けられている。この軸部40aは、装置本体3の貫通孔30(図2参照)に嵌合させるためのものであり、本体部40は軸部40aを支点として装置本体3に対して回転可能に支持されている。本体部40にはさらに、凹部40bが設けられている。この凹部40bは、蓋4によって装置本体3を覆ったときに装置本体3の凸部31に係合し、蓋4が閉じた状態を維持するためのものである。この状態では、図4に示したように、収容空間11が側方に開放する。
【0041】
図4および図6に示したように、一対の圧迫部41は、収容空間11に指先10を挿入した状態において、指先10における穿刺対象部位10aを装置本体3における密着部材56の貫通孔56aに押し付けるためのものである。各圧迫部41は、本体部40により装置本体3を覆った状態において、密着部材56の直上に位置するように、本体部40の内面に支持されている。この状態では、2つの圧迫部41の表面は、指先10の表面形状に倣ったものとなっている。
【0042】
図4および図7に示したように、拘束部42は、指における穿刺対象部位10aよりも根元部分を拘束し、指先10を鬱血させるためのものである。この拘束部42は、板バネ43を介して本体部40に支持されており、本体部40に対して揺動可能とされている。この拘束部42は、収容空間11に指先10を挿入した状態では、送液機構6の回転体60に向かい合うように配置されている。そのため、収容空間11に挿入された指の根元部分には、板バネ43のバネ力が拘束部42を介して作用し、指の根元部分が回転体60に向けて押し付けられる。これにより、拘束部42によって指先10が鬱血させられる。
【0043】
図3に示したように、ランセット2は、指先を穿刺するための要素を含んでおり、装置本体3におけるハウジング50に挿入して使用するものである。このランセット2は、図8〜図10に示したように、ランセット本体20、キャップ部21、収容部22、およびバイオセンサ23を備えている。
【0044】
ランセット本体20は、穿刺針20a、穿刺針20aの針先側の端部を覆う保護部20b、および穿刺針20aにおける針先とは反対側の端部を埋設した保持部20cを有している。保護部20bと保持部20cとの間には、切り込み20dが形成されており、この切り込み20dにおいて保護部20bと保持部20cとを分離できるように構成されている。保護部20bには、凹部20eが形成されている。この凹部20eは、後述するキャップ部21の係合支持部21aを嵌合させるためのものである。
【0045】
図9〜図11に示したように、キャップ部21は、収容部22に対して着脱自在に保持されているとともに、係合支持部21aを介して、ランセット本体20を保護部20bにおいて支持している。そのため、収容部22からキャップ部21を分離させるときには、ランセット本体20において保護部20bを分離させて穿刺針20aを露出させることができる。
【0046】
図8〜図10に示したように、収容部22は、ランセット本体20およびバイオセンサ23を保持するためのものであり、全体として円筒状に形成されている。この収容部22は、3組の一対の凸部22Aa, 22Ab,22B,22Cを有している。
【0047】
図10および図12に示したように、一対の凸部22Aa,22Abは、ランセット本体20を保持部20cにおいて密着させるためのものであり、収容部22の内面22aから、第1直径軸D1に沿った方向に突出して設けられている。凸部22Aaからは、図10および図13に良く表れているように、バイオセンサ23を支持するための支持部22Eが延出している。この支持部22Eは、板バネとして機能するバネ部22Ea、およびバイオセンサ23が載置される載置部22Ebを有している。載置部22Ebには、切欠22Ecが設けられている。図14に仮想線で示したように、切欠22Ecの内面22Edは、載置部22Ebが自然状態よりも若干外方側に位置させた状態で、ランセット本体20の保護部20cに当接している。また、切欠22Ecの内面22Edは、ランセット本体20において保護部20bを分離させて穿刺針20aを露出させた状態では、自然状態に位置する。このとき、切欠22Ecの内面22Edと穿刺針20aとの間には、隙間が設けられる。
【0048】
図3および図9に示したように、一対の凸部22Bは、装置本体3におけるハウジング50の段部55に干渉させるためのものであり、収容部22の外面22bの下部位置において、図12に示したように第1直径軸D1に直交する第2直径軸D2に沿った位置に設けられている。
【0049】
図12および図16に示したように、一対の凸部22Cは、収容部22の外面22bの上部位置において、第1の直径軸D1上に設けられている。この凸部22Cは、装置本体3のハウジング50にランセット2を挿入するときに、開口部53における切欠53aに係合させるためのものある。すなわち、凸部22Cは、ハウジング50にランセット2を挿入するときに位置決めするのに利用されるものである。
【0050】
このような収容部22は、たとえば樹脂成形により全体が弾性変形可能なように形成されている。このため、図15および図16に示したように、一対の凸部22Bに対して、第2直径軸D2に沿って内方側に向けた力を作用させた場合には、少なくとも一対の凸部22Bが設けられた部分において収容部22が変形する。これにより、一対の凸部22Bの距離が小さくなる一方で、一対の凸部22Aの距離が大きくなり一対の凸部22Aとランセット本体20との間に隙間が形成される。その結果、ランセット本体20は、収容部22に対して、矢印N1,N2方向に相対動することができるようになる。
【0051】
図17〜図20に示したバイオセンサ23は、毛細管力により血液を移動させるとともに、血液中の特定成分(たとえばグルコース)の濃度を、電極法により測定できるように構成されたものである。より具体的には、バイオセンサ23は、基板23a、一対のスペーサ23bおよびカバー23cによって構成されているとともに、これらの要素23a〜23cによって規定されるキャピラリ23dを備えている。
【0052】
基板23aの表面には、対極23e、作用極23fおよび試薬部23gが設けられている。対極23eおよび作用極23fは、図17を参酌すれば分かるように、装置本体3における分析回路(図示略)に、端子35を介して導通させるための部分である。試薬部23gは、作用極23eおよび対極23fを繋ぐように形成されており、たとえば酸化還元酵素および電子伝達物質を含んでいる。
【0053】
一対のスペーサ23bは、キャピラリ23dの幅寸法および高さ寸法を規定するためのものであり、基板23aの表面において、試薬部23gを挟み込むように間隔を隔てて配置されている。これらのスペーサ23bは、たとえば両面テープにより構成される。
【0054】
バイオセンサ23には、図13および図20に良く表れているように、半円状の切欠23hが設けられている。この切欠23hは、ランセット本体20を矢印N1方向に移動させたときに穿刺針20aの移動を許容するためのものであり、この切欠23hにおいて、キャピラリ23dに血液を導入するための開口23jが開放している。バイオセンサ23は、その切欠23hが載置部22Ebにおける切欠22Ecに対応する位置において、載置部22Ebに固定されている。したがって、載置部22Ebが自然状態にある場合には、切欠23hと穿刺針20aとの間には、隙間が設けられている。
【0055】
図2および図3に示したように、穿刺装置1を用いての穿刺作業に当たっては、まず蓋4を開けた状態として、密着部材56の貫通孔56aを介して、ハウジング50にランセット2を挿入する。図21Aおよび図21Bに示したように、ランセット2の挿入は、ハウジング50の切欠53aに対して、ランセット2の凸部22Cを位置合わせしつつ(図16参照)、ハウジング50にランセット2を押し込むことにより行うことができる。
【0056】
ハウジング50にランセット2を押し込んだ場合には、ランセット本体20の保持部20cがランセットホルダ51に嵌めこまれる一方で、収容部22の凸部22Bがハウジング50の段部55に干渉する。これにより、図15および図16に示したように、収容部22が変形し、ランセット本体20が収容部22に対して相対動可能な状態とされる。このとき、ランセット本体20の保持部20cがランセットホルダ51に嵌めこまれることから、ランセット本体20は、ランセットホルダ51とともに移動することができる。また、ハウジング50にランセット2を挿入するときに、ランセットホルダ51を矢印N2方向に移動させ、ランセットホルダ51の係合部51aをハウジング50における貫通孔54の周辺部54aに係合させることができる。これにより、コイルバネ57が圧縮させられ、コイルバネ57に弾発力が蓄えられる。もちろん、ランセットホルダ51の係合部51aは、ランセット2を保持させる動作とは別に、貫通孔54の周辺部54aに係合させてもよい。つまり、ランセットホルダ51にランセット2を保持させる前に、係合部51aを貫通孔54の周辺部54aに係合させておいてもよい。
【0057】
次いで、図11、図21Bおよび図21Cに示したように、ランセット2において、キャップ部21を取り外す。このとき、図11に良く表れているように、キャップ部21の係合支持部21aがランセット本体20における保護部20bの凹部20eに嵌合しているために、キャップ部21を取り外すときに、ランセット2において保護部20bが引き抜かれる。これにより、穿刺針20aの針先が露出した状態とされる。このとき、図14に示したように、バイオセンサ23は、その切欠23h、すなわち開口23jと穿刺針20aの針先との間に若干の間隔を隔てた位置に変位し、また図17を参照すれば分かるように、バイオセンサ23の作用極23eおよび対極23fは、装置本体3に設けられた端子35に接触する。この状態では、作用極23eと対極23fとの間に電圧を印加することができ、また作用極23eに供給された電子の量を電流値として測定することができる。
【0058】
次いで、図4に示したように、密着部材56の貫通孔56aの塞ぐようにして装置本体3の上部に指先10を置き、蓋4を閉める。蓋4を閉めた状態は、蓋4の凹部40bを装置本体3の凸部31に係合させることにより維持される(図2参照)。この状態では、蓋4と装置本体3との間に収容空間11が形成され、この収容空間11に指先10が保持される。図4および図6に示したように、収容空間11においては、圧迫部材41が指先10における穿刺対象部位10aの周囲を密着部材56に押し付ける。この状態では、密着部材56の貫通孔56aから穿刺対象部位10aが突出した状態となり、ランセット2の収容部22に内部に入り込む。これにより、穿刺対象部位10aが鬱血させられ、穿刺対象部位10aに血液が集められ、図22Aに示したように収容部22において穿刺対象部位10aがバイオセンサ23に接触する。また、収容空間11においてはさらに、図4および図7に示したように、拘束部材42が指の根元部分を回転体60に押し付ける。この状態では、指先10が鬱血し、指先10に血液が滞留した状態が維持される。
【0059】
次いで、図22A〜図22Cに示したように、ランセット本体20を矢印N1方向に移動させて、穿刺針20aを指先10における穿刺対象部位10aに突き刺す。ランセット本体20の移動は、作用部52を移動させて係合部51aに作用部52を干渉させ、ランセットホルダ51がハウジング50に係合した状態を解除することにより行われる。ランセットホルダ51の係合状態を解除した場合には、コイルバネ57の弾発力によってランセットホルダ51がランセット本体20とともに矢印N1方向に移動し、ランセット本体20の穿刺針20aは穿刺対象部位10aに突き刺さる。
【0060】
図22Cに示したように、穿刺針20aが穿刺対象部位10aに突き刺さった場合には、指先10における穿刺対象部位10aが切開され、血液が出液する。このとき、穿刺針20aとバイオセンサ23の開口23jとの間に若干の隙間が設けられているため、バイオセンサ23によって、血液の出液が阻害されることはない。指先10ひいては穿刺対象部位10aには、圧迫部材41、拘束部材42(図4、図6および図7参照)および密着部材56の作用により血液が集められている。そのため、穿刺対象部位10aからは、適切に血液を出液させることができる。
【0061】
図22Cおよび図22Dに示したように、穿刺針20aを穿刺対象部位10aに突き刺した後には、コイルバネ57,58の弾発力によってランセットホルダ51が後退し、穿刺針20aは指先10から即座に引き抜かれる。これと同時的に、図4に示した回転体60が矢印N5方向に回転させられる。これにより、指の根元部分にはシート材61を介して指の根元部分が指先10に向けて擦られ、血液が指先10に集められる。このような回転体60の作用によっても、穿刺対象部位10aからは、より適切に血液を出液させることができるようになる。なお、回転体60を回転させるタイミングは、穿刺針20aを穿刺対象部位10aに突き刺した後に限らず、穿刺針20aを突き刺す前に行ってもよく、また穿刺針20aを突き刺す前後において連続的に行ってもよい。
【0062】
図23Aに示したように、穿刺対象部位10aから出液した血液Bは、バイオセンサ23の開口23jに到達する。穿刺針20aとバイオセンサ23の開口23jとの間に若干の隙間が設けられているため、皮膚から出液した血液は、穿刺針20aに阻害されることなく、開口23jに対して適切に導入される。バイオセンサ23では、図23A〜図23Cに示したように、キャピラリ23dにおいて生じる毛細管力により、血液Bがキャピラリ23dの内部を移動する。このとき、血液Bによって試薬部23gが溶解させられ、キャピラリ23dの内部に液相反応系が構築される。液相反応系においては、血液中の特定成分、たとえばグルコースから電子が取り出され、その電子が作用極23eに供給される。装置本体3においては、端子35(図17参照)を介して作用極23eと対極23fとの間に電圧を印加し、作用極23eに対する電子の移動量が電流値として端子35(図17参照)によって測定される。装置本体3ではさらに、測定された電流値に基づいて、特定成分の分析、たとえばグルコース濃度の演算が行われる。
【0063】
特定成分の分析後においては、使用済みのランセット2が取り外される。このとき、ランセット2の凸部22Bと穿刺機構5の段部55とが係合する状態が解除されてランセット2の収容部22に作用する押圧力が解除される。そのため、収容部22が元の形状に復帰し、ランセット本体20が収容部22の凸部22Aa,22Abと再び接触し、収容部22に対してランセット本体20が固定される。その結果、ランセット2を取り外す際には、収容部22とランセット本体20とが一体化されるため、収容部22から穿刺針が突出した状態となることもなく安全である。このような効果は、ランセット2において、再びキャップ部21を装着することなく得ることができるため、使用者がキャップ部21を装着する手間が省かれ、またキャップ部21を装着し忘れることを懸念する必要もなくなる。しかも、収容部22とランセット本体20とを個別に取り外す必要がなく、収容部22を取り外そうとした場合にランセット本体20を同時に取り外すことができるため、ランセット2の取り外し作業が簡易なものとなる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図24〜図27を参照しつつ説明する。
【0065】
図24〜図26に示したランセット2Aは、先に説明したランセット2(図9〜図11など参照)と同様に、ランセット本体20Aおよび収容部22Aを有している。ただし、図面上においては、先に説明したランセット2におけるキャップ部21およびバイオセンサ23に相当するものが描かれていないが、ランセット2Aにおいても、キャップ部およびバイオセンサを設けてもよい。
【0066】
収容部22Aには、スリット27Aおよび接触部としての凹部28Aが設けられている。スリット27Aは、ハウジング50Aに設けられた凸部50Aaを移動させるためのものである。このスリット27Aは、円弧状切欠部27Aaおよび直線部27Abを有しており、全体として略T字状に形成されている。すなわち、収容部22Aにおける円弧状切欠部27Aaおよび直線部27Abの両サイドに位置する領域は、板バネとして機能し、直線部27Abは、ハウジング50Aの凸部50Aaの径よりも幅寸法が小さくなされており、その幅寸法をハウジング50Aの凸部50Aaによって拡げることが可能なように構成されている。収容部22Aの凹部28Aは、スリット27Aの直線部27Abの幅寸法が拡げられていない状態においてランセット本体20Aに設けられた凸部29Aを係合させるためのものである。
【0067】
このランセット2Aでは、ハウジング50Aの凸部50Aaがスリット27Aの直線部27Abに位置しない状態では、スリット27Aの直線部27Abの幅寸法が拡げられていないため、ランセット本体20Aの凸部29Aが収容部22Aの凹部28Aに係合された状態とされ、ランセット本体20Aが収容部22Aに保持される。一方、図27Aおよび図27Bに良く表れているように、ハウジング50Aの凸部50Aaがスリット27Aの直線部27Abに位置する状態では、スリット27Aの直線部27Abの幅が広げられるため、収容部22Aの凹部28Aに対するランセット本体20Aの凸部29Aの係合状態が解除される。この状態では、ランセット本体20Aが収容部22Aに対して相対動することができる。
【0068】
本実施の形態においては、凹部29Aとして構成されていた接触部は、第1の実施の形態において説明したのと同様に、凸部として構成してもよく、逆に、第1の実施の形態においては、接触部を本実施の形態のような凹部として構成してもよい。
【0069】
また、ランセットは、図28、図29および図30、あるいは図31A〜図31Cに示したような構成とすることもできる。
【0070】
図28に示したランセットの収容部22Bは、スリット27Bを収容部22Bにおける矢印N1側の縁に至るまで延びるように形成したものである。
【0071】
図29および図30に示したランセット2Cは、収容部22Cに対してN2側の端部に向かうほど拡開する一対の切欠27Cを設けたものである。ランセット2Cにおいては、ハウジング50Cの凸部50Caが切欠27Cの内部に位置しない状態ではランセット本体20Cが収容部22Cに保持される。一方、凸部50Caが切欠27Cの内部に位置する状態では、切欠27Cの幅が広げられるため、ランセット本体20Cを収容部22Cに対して相対動させることができる。
【0072】
図31Cに示したランセット2Dは、収容部22Dの断面形状が楕円状に形成されたものである。より具体的には、収容部22Dは、凸部22ADが形成された部分の外径D3に比べて、凸部22ADが形成されていない部分の外径D4のほうが大きく設定されており、外径D3の小さい部分においてランセット本体20Dに押圧力を作用させ、ランセット本体20Dを保持している。図31Bに示したように、ランセット2Dは、収容部22Dの凸部22ADを、ハウジング50Dの凸部50Daに位置合わせしてハウジング50Dに装着される。この状態では、収容部22Dの断面形状は変化せずに自然状態と同様なものとされ、収容部22Dによってランセット本体20Dが保持された状態が維持される。一方、図31Cに示したように、ハウジング50Dに対して収容部22Dを90度回転させた場合には、収容部22Dにおける外径D4が大きい部分(凸部22ADが形成されていない部分)にハウジング50Dの凸部50Daが接触し、凸部22ADが形成されていない部分の外径が小さくなる一方で、凸部22ADが形成されている部分の外径が大きくなる。これにより、収容部22Dの凸部22ADがランセット本体20Dの表面から離反し、収容部22Dに対してランセット本体20Dが相対移動可能となる。
【0073】
ここで、ハウジング50Dに対して収容部22Dの回転は、たとえば収容部22Dに操作部(たとえば凸部)を設け、使用者が操作部を操作してハウジング50Dに対して収容部22Dを相対回転させることにより行うことができる。また、穿刺装置において、収容部22Dを回転させるための機構を設けて収容部22Dを回転させるようにし、あるいは収容部22Dをハウジング50Dに挿入するときに、収容部22Dが回転するように構成してもよい。
【0074】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図32〜図42を参照しつつ説明する。ただし、これらの図においては、先に説明した本発明の第1の実施の形態において説明した要素と同様なものについて同一の符号を付してあり、以下における重複説明は省略する。
【0075】
図32および図33に示した穿刺装置1′は、先に説明した本発明の第1の実施の形態において説明した穿刺装置1(図1〜図3参照)と同様に、ランセット2Eを装着して使用するものである(図40および図41参照)。この穿刺装置1′は、穿刺機構5′および閉蓋機構7を備えている。
【0076】
図2に示したように、穿刺機構5′は、その動作原理が上記穿刺装置1(図1〜図3参照)の穿刺機構5(図2および図22参照)と同様であるが、ハウジング50′およびランセットホルダ51′の形態が異なっている。
【0077】
図33および図34Bに示したように、ハウジング50′は、ランセット2Eを挿入するための開口部53′を有している。この開口部53′は、切欠53a′,53b′を有している。図41に示したように、切欠53a′は、後述するランセット2Eのフック21Ecおよび突起22Eaを収容するためのものである。一方、切欠53b′は、後述するランセット2Eの連結部21Eaを収容するためのものである。
【0078】
図35および図42に示したように、ランセットホルダ51′は、ランセット2Eを保持するためのものである。このランセットホルダ51′には、孔部51c′および収容部51d′が設けられている。孔部51c′は、ランセットホルダ51′をN1,N2方向に移動させたときに、後述するランセット2Eのストッパ部22Edとの干渉を回避するためのものである。収容部51d′は、ランセット2Eにおけるランセット本体20Eを保持するためのものであり、ランセット本体20Eにおける保持部20Ecの一部を埋設させるための空間51e′と、一対のバネ部51f′と、を有している。一対のバネ部51f′は、ランセット本体20Eに押圧力を作用させ、収容部51d′におけるランセット本体20Eの保持を確実ならしめるためのものである。一対のバネ部51f′は、それらの先端が隙間51g′を介して対峙している。この隙間51g′は、一対のバネ部51f′にバネ性を持たせるとともに、ランセット2Eのストッパ部22Edとの干渉を回避するためのものである。
【0079】
図40および図41に示したように、閉蓋機構7は、ハウジング50′にランセット2Eを収容した状態において、ランセット2Eの蓋21Eを閉じるためのものである。この閉蓋機構7は、スライダ70を含んでいる。
【0080】
図34Aおよび図34Bに示したように、スライダ70は、装置本体3に対してN3,N4方向に相対動可能に構成されており、ハウジング50′の開口部53′の上方に位置する状態と、開口部53′の上方を避けた位置に位置する状態とを選択できるように構成されている。このスライダ70は、干渉部71およびガイド部72を有している。
【0081】
干渉部71は、ランセット2Eの蓋21Eを閉じるためにスライド70をN3方向に移動させたときに、蓋21Eに干渉させるためのものであり、装置本体3の上面から一定距離離間している(図40および図41参照)。この干渉部71には、貫通孔71aが設けられている。この貫通孔71aは、バイオセンサ23Eの一部を露出させて指先10がバイオセンサ23Eに接触するのを許容し(図33参照)、あるいは後述するランセット2Eの穿刺針20Eaの移動を許容するためのものである。干渉部71にはさらに、密着部材73が取り付けられている。この密着部材73は、先に説明した第1の実施の形態の密着部材56と同様に、収容空間11に指先10を挿入した状態において、指先10に密着させるためのものである(図4参照)。密着部材73には、スライダ70の貫通孔71aと同一形状の貫通孔73aが形成されている。このような密着部材73は、指先10(図4参照)との密着性を大きく確保するために、たとえばゴムや発泡体などの弾性体により形成されている。
【0082】
ガイド部72は、干渉部71(スライダ70)の移動経路を規定するものためのものであり、N3,N4方向に延びる溝部72aを有している。この溝部72aは、装置本体3に設けられたN3,N4方向に延びる凸部39に係合させるためのものである。すなわち、スライダ70は、溝部72aが凸部39に係合した状態となっていることにより、スライダ70に対してN3,N4方向に沿って移動可能とされている。
【0083】
図36A、図37Aおよび図37Bに示したように、ランセット2Eは、装置本体3におけるハウジング50′に挿入して使用するものであり(図40および図41参照)、ランセット本体20E、蓋21E、収容部22E、およびバイオセンサ23Eを備えている。このランセット2Eは、収容部22Eに外力が作用しない状態では収容部22Eにランセット本体20Eが保持される一方で、収容部22Eに目的とする外力が作用したときに収容部22Eに対してランセット本体20Eが相対動可能とされるように構成されている。
【0084】
図37Aおよび図37Bに示したように、ランセット本体20Eは、穿刺針20Ea、保護部20Eb、保持部20Ecおよび切り込み20Edを有している。保護部20Ebは、穿刺針20Eaの針先側の端部を覆うものであり、図38に示したように、穿刺針20Eaの針先を露出させるために、穿刺前に使用者によって取り外される部分である。図35に示したように、保持部20Ecは、ランセットホルダ51′に保持させるための部分であり、図37Bに示したように、穿刺針20Eaにおける針先とは反対側の端部が埋設された部分である。この保持部20Ecには、図37A、図37Bおよび図38に示したように環状の凹部20Efが形成されている。この凹部20Efは、後述する収容部22Eにおける一対の係合凸部22Ebを嵌合させるためのものである。すなわち、ランセット本体20Eは、収容部22Eに外力が作用しない状態では収容部22Eに対してランセット本体20Eが保持されている。切り込み20Edは、保護部20Ebと保持部20Ecとを分離しやすくするためのものであり、保護部20Ebと保持部20Ecとの間に設けられている。
【0085】
図36A、図39Aおよび図39Bに示したように、蓋21Eは、収容部22Eの上部開口22Efを閉じるためのものであると同時に、収容部22Eに外力を作用させてランセット本体20Eを収容部22Eに対して相対動可能とするためのものである。この蓋21Eは、連結部21Eaを介して収容部22Eに付属させられおり、貫通孔21Eb、フック21Ecおよび一対の作用部21Edを有している。
【0086】
貫通孔21Ebは、バイオセンサ23Eの一部を露出させるためのものであると同時に、穿刺時において、バイオセンサ23Eに指先10を接触させるためものである(図33参照)。フック21Ecは、後述する収容部22Eの突起22Eaに係合させ、収容部22Eの上部開口22Efが蓋21Eによって閉じられた状態を維持するためのものである。一対の作用部21Edは、後述する収容部22Eの一対のスリット22Ecに係合させてスリット22Ecの幅(隙間22Eg)を拡げるためのものである。この作用部21Edは、蓋21Eの一面21Eeから蓋21Eの厚み方向に突出した挿入片21Efにおいて、蓋21Eの周縁に向けて突出して設けられている。作用部21Edは、端部が2つの傾斜面21Egを有するテーパ状に形成されている。これにより、作用部21Edは、収容部22Eのスリット22Ecに対して容易かつ確実に差し込むことができる。
【0087】
図36A、図36Bおよび図37Aに示したように、収容部22Eは、ランセット本体20Eを保持するためのものであり、全体として円筒状に形成されている。この収容部22は、突起22Ea、一対の係合凸部22Eb、一対のスリット22Ecおよびストッパ部22Edを有している。
【0088】
図39Aおよび図39Bに示したように、突起22Eaは、蓋21Eのフック21Ecを係合させるためのものである。
【0089】
図36B、図37Aおよび図37Bに示したように、一対の係合凸部22Ebは、ランセット本体20Eを保持部20Ecの凹部20Efにおいて係合させるためのものである。これらの係合凸部22Ebは、第1直径軸D1上において、収容部22Eの内面22Ehから突出して互いに対向して設けられている。
【0090】
図36A、図36B、図39Aおよび図39Bに示したように、一対のスリット22Ecは、収容部22Eの断面形状の変化を許容するためのものである。これらのスリット22Ecは、上下方向に延びており、かつ第2直径軸D2上における互いに対向した位置に設けられている。
【0091】
図36Bおよび図39Bに示したように、ストッパ部22Edは、収容部22Eからランセット本体20Eが離脱するのを防止するためのものである。このストッパ部22Edは、収容部22Eの第1直径軸D1上において、中心に向かって延びている。
【0092】
図36Aに示したバイオセンサ23Eは、毛細管力により血液を移動させるとともに、血液中の特定成分(たとえばグルコース)の濃度を電極法により測定できるように構成されたものである。このバイオセンサ23Eは、蓋21Eの一面21Eeに貼り付けられており、蓋21Eの貫通孔21Ebを介してバイオセンサ23Eの一部が蓋21Eにおける一面21Eeとは反対側の面から露出している。換言すれば、蓋21Eの貫通孔21Ebは、その一部がバイオセンサ23Eによって塞がれており、蓋21Eの貫通孔21Ebからランセット本体20Eが抜け出すのに十分なスペースは設けられていない。なお、図面上に表れていないが、バイオセンサ23Eは、本発明の第1の実施の形態において説明したバイオセンサ23(図17〜図20)と同様な構成とされている。
【0093】
次に、穿刺装置1′の使用方法および動作について説明する。ただし、穿刺装置1′における穿刺動作および演算(分析)動作については、先に説明した第1の実施の形態における穿刺装置1(図1〜図3参照)と同様であるため、以下においては、穿刺動作および演算(分析)動作における詳細な説明を省略する。
【0094】
穿刺装置1′を用いての穿刺作業に当たっては、まず図32および図33に示したように蓋4を開けた状態としておいた上で、図34Bに示したように装置本体3の開口部53′が露出した状態としておく。開口部53′は、使用者がスライダ70をN4方向に移動させることにより露出させることができる。
【0095】
次いで、図40に示したように、切欠53a′,53b′にランセット2Eの突起22Eaおよび連絡部21Eaを位置合わせした状態において、蓋21Eを開けた状態のランセット2Eを、開口部53′を介してハウジング50′に収容させる。このとき、ランセット2Eにおいては、図37Aおよび図37Bに示したように、収容部22Eの係合凸部22Ebがランセット本体20Eの凹部20Efに係合しているので、収容部22Eに対してランセット本体20Eが保持された状態となっている。
【0096】
続いて、図38に示したように、ランセット本体20Eにおいて保護部20Ebを取り外した上で、図34Aに示したようにスライダ70をN3方向に移動させる。これにより、図39Aおよび図39B、ならびに図40〜図42に示したように、ランセット2Eにおいて、蓋21Eが閉じられる。すなわち、スライダ70をN3方向に移動させた場合には、スライダ70の干渉部71が蓋21Eに干渉し、蓋21Eに対してN3方向に向けた力が作用する。これにより、蓋21Eが収容部22Eの上部開口22Efを塞ぐ方向に移動する。スライダ70をさらにN3方向に移動させた場合には、開口部53′の直上に干渉部71が位置することとなる一方で、蓋21Eが干渉部71の下方に潜り込まされる。
【0097】
図41および図42に示したように、蓋21Eが干渉部71の下方に潜り込まされる過程においては、ランセット2Eの全体に下方に向けた力が作用する。そのため、ランセット本体20Eの保持部20Ecがランセットホルダ51′の収容部51d′に嵌めこまれ、ランセット本体20Eがランセットホルダ51′とともに移動することができるようになる。また、ハウジング50′にランセット2Eを挿入するときに、ランセットホルダ51′を矢印N2方向に移動させ、ランセットホルダ51′の係合部51aをハウジング50′における貫通孔54の周辺部54aに係合させることができる。これにより、コイルバネ57が圧縮させられ、コイルバネ57に弾発力が蓄えられる。
【0098】
もちろん、ランセット2Eをハウジング50′に収容するときにランセットホルダ51′の収容部51d′にランセット本体20Eの保持部20Ecを嵌め込んでもよい。ランセットホルダ51′の係合部51aは、ランセット2Eを保持させる動作とは別に、貫通孔54の周辺部54aに係合させてもよい。すなわち、ランセットホルダ51′にランセット2Eを保持させる前に、係合部51aを貫通孔54の周辺部54aに係合させておいてもよい。
【0099】
蓋21Eが干渉部71の下方に潜り込まされる過程においてはさらに、蓋21Eの挿入片21Efがランセット2Eの収容部22Eの内部に収容される一方で、スリット22Ecに作用部21Edが入り込んで行く。その結果、スリット22Ecは、その隙間22Egが拡げられて係合凸部22Ebがランセット本体20Eの凹部20Efに係合した状態が解除される。これにより、ランセット本体20Eは、収容部22Eに対して相対移動可能な状態とされる。最終的には、蓋21Eのフック21Ecが収容部22Eの突起22Eaに係合し、蓋21Eによって収容部22Eの上部開口22Efが塞がれた状態が維持される。
【0100】
このように穿刺装置1′では、ハウジング50′にランセット2Eを収容させた上で、スライダ70をN3方向に移動させるだけで、穿刺前の準備を終了させることができる。そのため、穿刺装置1′においては、極めて簡易な操作によって穿刺前の準備を行うことができる。
【0101】
次いで、密着部材73の貫通孔73aの塞ぐようにして装置本体3の上部に指先10を置き(図33参照)、蓋4を閉めた上で穿刺動作を実行する。この穿刺動作は、上述した穿刺装置1′と同様に(図1〜図3参照)、ランセットホルダ51′とともにランセット本体20EをN1方向に移動させ、穿刺針20aが指先10に突き刺さすことにより行われる(図22A〜図22C参照)。ランセットホルダ51′の移動は、作用部52を移動させて係合部51aに作用部52を干渉させることにより行われる。
【0102】
一方、穿刺装置1′においては、指先10から出液した血液がバイオセンサ23Eに供給され(図23A〜図23C参照)、バイオセンサ23Eを利用して、特定成分の分析(たとえばグルコース)の濃度演算が行われる。
【0103】
特定成分の分析後においては、使用済みのランセット2Eが取り外される。ランセット2Eの取り外しは、スライダ70をN4方向に移動させて開口部53′を開放した上で行われる。ここで、ランセット2Eは、収容部22Eにランセット本体20Eが収容部22Eから離脱するのを防止するためのストッパ部が設けられている。その一方で、収容部22Eの上部開口22Efは、蓋21Eによって閉じられており、上述したように、蓋21Eの貫通孔21Ebからはランセット本体20Eが抜け出すスペースはない。その結果、使用後のランセット2Eにおいては、収容部22Eからランセット本体20Eが抜け出すことはなく、使用済みのランセット2Eをハウジング50′から取り出す操作ならびに取り出したランセット2Eを廃棄する操作を安全かつ衛生的に行うことができる。
【0104】
本発明の第3の実施の形態においては、ランセットが蓋を備えたものとして構成されていたが、ランセットの蓋に相当するものを、穿刺装置の装置本体に設けてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、
上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されている、ランセット。
【請求項2】
上記特定方向は、上記空間が貫通する方向に交差する方向である、請求項1に記載のランセット。
【請求項3】
上記収容部は、上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに断面形状が変化するように構成されており、
上記収容部の断面形状が変化したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されている、請求項1に記載のランセット。
【請求項4】
上記収容部は、この収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記ランセット本体に接触する接触部を有しており、
上記収容部の断面形状が変化したときに、上記接触部と上記ランセット本体との間に隙間が形成されるように構成されている、請求項3に記載のランセット。
【請求項5】
上記接触部は、凸部として形成されている、請求項4に記載のランセット。
【請求項6】
上記接触部は、凹部であり、
上記ランセット本体には、上記凹部に係合させるための凸部が設けられている、請求項4に記載のランセット。
【請求項7】
上記収容部は、上記接触部が形成された部分の外径寸法に比べて、上記接触部が形成されていない部分の外径寸法のほうが大きく形成されている、請求項4に記載のランセット。
【請求項8】
上記収容部には、この収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部が設けられている、請求項1に記載のランセット。
【請求項9】
上記収容部には、上記特定方向に外力が作用したときに、上記収容部の断面形状の変化を許容するための孔部が設けられている、請求項3に記載のランセット。
【請求項10】
上記孔部は、切欠またはスリットである、請求項9に記載のランセット。
【請求項11】
上記収容部は、この収容部の断面形状が変化させられた後において、上記収容部に対して上記特定方向の外力が作用しなくなったときに、断面形状が元の形状に復帰するように構成されている、請求項3に記載のランセット。
【請求項12】
上記収容部の上部開口を開放した状態と、上記上部開口を閉じた状態とを選択可能とする蓋をさらに有している、請求項1に記載のランセット。
【請求項13】
上記蓋は、上記収容部に付属させられている、請求項12に記載のランセット。
【請求項14】
上記収容部は、上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記特定方向に所定以上の外力が作用して上記収容部の断面形状が変化するように構成されており、
上記収容部の断面形状が変化したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されている、請求項12に記載のランセット。
【請求項15】
上記収容部は、上記特定方向に外力が作用したときに、上記収容部の断面形状の変化を許容するための孔部を有しており、
上記蓋は、上記上部開口を閉塞したときに、上記孔部に係合して上記収容部に対して上記特定方向に外力を作用させるための作用部を有している、請求項14に記載のランセット。
【請求項16】
上記収容部は、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、上記収容部の下部開口を介して上記ランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有している、請求項14に記載のランセット。
【請求項17】
上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに、上記収容部に対して上記蓋を固定するための固定手段をさらに備えている、請求項13に記載のランセット。
【請求項18】
上記固定手段は、上記蓋および上記収容部のうちの一方に設けられた凸部と、それらのうちの他方に設けられ、かつ上記凸部に係合させるためのフックと、を有している、請求項17に記載のランセット。
【請求項19】
上記収容部には、穿刺対象部位から採取した体液に含まれる特定成分を分析するために利用される分析用具が保持されている、請求項1に記載のランセット。
【請求項20】
上記分析用具は、毛細管力により血液を移動させるためのキャピラリと、上記穿刺要素の移動を許容するための貫通部と、上記貫通部において開放し、かつ上記キャピラリに血液を導入するための導入口と、を有している、請求項19に記載のランセット。
【請求項21】
上記蓋には、穿刺対象部位から採取した体液に含まれる特定成分を分析するために利用される分析用具が保持されている、請求項14に記載のランセット。
【請求項22】
上記分析用具は、毛細管力により血液を移動させるためのキャピラリと、上記穿刺要素の移動を許容するための貫通部と、上記貫通部において開放し、かつ上記キャピラリに血液を導入するための導入口と、を有している、請求項21に記載のランセット。
【請求項23】
ランセットを装着して使用する穿刺装置であって、
上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されているものを用いる場合において、
上記ランセットを装着したときに、上記収容部に対して外力を作用させ、上記収容部に対して上記ランセット本体を相対動可能な状態とするように構成されている、穿刺装置。
【請求項24】
上記収容部に干渉することにより、上記収容部に対して外力を作用させるための作用部を有している、請求項23に記載の穿刺装置。
【請求項25】
上記ランセットとして、上記収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部が上記収容部に設けられているものを用いる場合において、
上記作用部は、上記ランセットが装着されたときに上記凸部に干渉し、上記収容部に対して外力を作用させるように構成されている、請求項24に記載の穿刺装置。
【請求項26】
上記ランセットとして、上記特定方向に外力が作用したときに、上記収容部の断面形状の変化を許容するための孔部が上記収容部に設けられているものを用いる場合において、
上記作用部は、上記ランセットが装着されたときに上記孔部に係合し、上記収容部の断面形状を変化させるように構成されている、請求項24に記載の穿刺装置。
【請求項27】
装置本体にランセットを装着して使用する穿刺装置であって、
上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、上記収容部の上部開口を閉じるための蓋と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用して上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されているものを用いる場合において、
上記ランセットの装着した状態において、上記蓋によって上記上部開口を閉じるために上記蓋に外力を作用させるための外力付与手段をさらに備えている、穿刺装置。
【請求項28】
上記ランセットが収容される収容空間を備えており、
上記外力付与手段は、上記収容空間に上記ランセットを収容した状態において、上記空間が貫通する方向と交差する交差方向に往復移動可能なスライダを含んでおり、
上記スライダは、上記蓋に干渉させるための干渉部を有している、請求項27に記載の穿刺装置。
【請求項29】
上記干渉部は、上記収容空間の直上位置である第1位置と、上記収容空間の直上位置を避けた位置である第2位置と、の間を往復移動可能であり、かつ上記第2位置から上記第1位置に移動するときに上記蓋と干渉して上記蓋に外力を作用させて、上記蓋によって上記収容部の上部開口を閉じるように構成されている、請求項28に記載の穿刺装置。
【請求項30】
上記ランセットとして、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、上記収容部の下部開口を介して上記ランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有しているものを用いる場合において、
上記ランセット本体を保持するためのランセットホルダを備えており、
上記ランセットホルダは、上記ランセットを装着した状態において、上記ストッパ部に干渉することなく移動可能に構成されている、請求項27に記載の穿刺装置。
【請求項31】
上記ランセットホルダには、上記ストッパ部との干渉を避けるための凹部が設けられている、請求項30に記載の穿刺装置。
【請求項1】
穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、
上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されている、ランセット。
【請求項2】
上記特定方向は、上記空間が貫通する方向に交差する方向である、請求項1に記載のランセット。
【請求項3】
上記収容部は、上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに断面形状が変化するように構成されており、
上記収容部の断面形状が変化したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されている、請求項1に記載のランセット。
【請求項4】
上記収容部は、この収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記ランセット本体に接触する接触部を有しており、
上記収容部の断面形状が変化したときに、上記接触部と上記ランセット本体との間に隙間が形成されるように構成されている、請求項3に記載のランセット。
【請求項5】
上記接触部は、凸部として形成されている、請求項4に記載のランセット。
【請求項6】
上記接触部は、凹部であり、
上記ランセット本体には、上記凹部に係合させるための凸部が設けられている、請求項4に記載のランセット。
【請求項7】
上記収容部は、上記接触部が形成された部分の外径寸法に比べて、上記接触部が形成されていない部分の外径寸法のほうが大きく形成されている、請求項4に記載のランセット。
【請求項8】
上記収容部には、この収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部が設けられている、請求項1に記載のランセット。
【請求項9】
上記収容部には、上記特定方向に外力が作用したときに、上記収容部の断面形状の変化を許容するための孔部が設けられている、請求項3に記載のランセット。
【請求項10】
上記孔部は、切欠またはスリットである、請求項9に記載のランセット。
【請求項11】
上記収容部は、この収容部の断面形状が変化させられた後において、上記収容部に対して上記特定方向の外力が作用しなくなったときに、断面形状が元の形状に復帰するように構成されている、請求項3に記載のランセット。
【請求項12】
上記収容部の上部開口を開放した状態と、上記上部開口を閉じた状態とを選択可能とする蓋をさらに有している、請求項1に記載のランセット。
【請求項13】
上記蓋は、上記収容部に付属させられている、請求項12に記載のランセット。
【請求項14】
上記収容部は、上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記特定方向に所定以上の外力が作用して上記収容部の断面形状が変化するように構成されており、
上記収容部の断面形状が変化したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されている、請求項12に記載のランセット。
【請求項15】
上記収容部は、上記特定方向に外力が作用したときに、上記収容部の断面形状の変化を許容するための孔部を有しており、
上記蓋は、上記上部開口を閉塞したときに、上記孔部に係合して上記収容部に対して上記特定方向に外力を作用させるための作用部を有している、請求項14に記載のランセット。
【請求項16】
上記収容部は、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、上記収容部の下部開口を介して上記ランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有している、請求項14に記載のランセット。
【請求項17】
上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに、上記収容部に対して上記蓋を固定するための固定手段をさらに備えている、請求項13に記載のランセット。
【請求項18】
上記固定手段は、上記蓋および上記収容部のうちの一方に設けられた凸部と、それらのうちの他方に設けられ、かつ上記凸部に係合させるためのフックと、を有している、請求項17に記載のランセット。
【請求項19】
上記収容部には、穿刺対象部位から採取した体液に含まれる特定成分を分析するために利用される分析用具が保持されている、請求項1に記載のランセット。
【請求項20】
上記分析用具は、毛細管力により血液を移動させるためのキャピラリと、上記穿刺要素の移動を許容するための貫通部と、上記貫通部において開放し、かつ上記キャピラリに血液を導入するための導入口と、を有している、請求項19に記載のランセット。
【請求項21】
上記蓋には、穿刺対象部位から採取した体液に含まれる特定成分を分析するために利用される分析用具が保持されている、請求項14に記載のランセット。
【請求項22】
上記分析用具は、毛細管力により血液を移動させるためのキャピラリと、上記穿刺要素の移動を許容するための貫通部と、上記貫通部において開放し、かつ上記キャピラリに血液を導入するための導入口と、を有している、請求項21に記載のランセット。
【請求項23】
ランセットを装着して使用する穿刺装置であって、
上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用したときに、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能となるように構成されているものを用いる場合において、
上記ランセットを装着したときに、上記収容部に対して外力を作用させ、上記収容部に対して上記ランセット本体を相対動可能な状態とするように構成されている、穿刺装置。
【請求項24】
上記収容部に干渉することにより、上記収容部に対して外力を作用させるための作用部を有している、請求項23に記載の穿刺装置。
【請求項25】
上記ランセットとして、上記収容部に対して上記特定方向に外力を積極的に作用させるための凸部が上記収容部に設けられているものを用いる場合において、
上記作用部は、上記ランセットが装着されたときに上記凸部に干渉し、上記収容部に対して外力を作用させるように構成されている、請求項24に記載の穿刺装置。
【請求項26】
上記ランセットとして、上記特定方向に外力が作用したときに、上記収容部の断面形状の変化を許容するための孔部が上記収容部に設けられているものを用いる場合において、
上記作用部は、上記ランセットが装着されたときに上記孔部に係合し、上記収容部の断面形状を変化させるように構成されている、請求項24に記載の穿刺装置。
【請求項27】
装置本体にランセットを装着して使用する穿刺装置であって、
上記ランセットとして、穿刺要素を有するランセット本体と、上記ランセット本体を内部に保持するための貫通した空間を有する収容部と、上記収容部の上部開口を閉じるための蓋と、を備え、かつ上記収容部に対して特定方向に所定以上の外力が作用していないときに、上記収容部に上記ランセット本体が固定され、上記蓋によって上記上部開口を閉じたときに上記収容部に対して上記特定方向に所定以上の外力が作用して上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となるように構成されているものを用いる場合において、
上記ランセットの装着した状態において、上記蓋によって上記上部開口を閉じるために上記蓋に外力を作用させるための外力付与手段をさらに備えている、穿刺装置。
【請求項28】
上記ランセットが収容される収容空間を備えており、
上記外力付与手段は、上記収容空間に上記ランセットを収容した状態において、上記空間が貫通する方向と交差する交差方向に往復移動可能なスライダを含んでおり、
上記スライダは、上記蓋に干渉させるための干渉部を有している、請求項27に記載の穿刺装置。
【請求項29】
上記干渉部は、上記収容空間の直上位置である第1位置と、上記収容空間の直上位置を避けた位置である第2位置と、の間を往復移動可能であり、かつ上記第2位置から上記第1位置に移動するときに上記蓋と干渉して上記蓋に外力を作用させて、上記蓋によって上記収容部の上部開口を閉じるように構成されている、請求項28に記載の穿刺装置。
【請求項30】
上記ランセットとして、上記ランセット本体が上記収容部に対して相対動可能な状態となっているときに、上記収容部の下部開口を介して上記ランセット本体が離脱するのを抑制するためのストッパ部を有しているものを用いる場合において、
上記ランセット本体を保持するためのランセットホルダを備えており、
上記ランセットホルダは、上記ランセットを装着した状態において、上記ストッパ部に干渉することなく移動可能に構成されている、請求項27に記載の穿刺装置。
【請求項31】
上記ランセットホルダには、上記ストッパ部との干渉を避けるための凹部が設けられている、請求項30に記載の穿刺装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【国際公開番号】WO2005/039413
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515050(P2005−515050)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016143
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/016143
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】
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