説明

ランソプラゾールの精製方法

【課題】本発明は約0.2%(wt/wt)未満のスルホン/スルフィド誘導体を含む不純物しか含まない実質的に純粋なランソプラゾールの調製方法を供する。本発明はまた約0.1%未満(wt/wt)の水しか含まないランソプラゾールを得るためのランソプラゾールの再結晶化方法を供する。
【解決手段】上記課題はアミン化合物の存在下で有機溶媒または有機溶媒と水の混合物から選択された溶媒におけるランソプラゾール溶液を準備し、その準備した溶液と酸を混合し、精製したランソプラゾールを単離することにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスルホンおよびスルフィド誘導体を含まない、実質的に純粋な、2−(2-ピリジルメチル)スルフィニル-1H-ベンズイミダゾール(ランソプラゾール)の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な置換2−(2-ピリジルメチル)スルフィニル-1H-ベンズイミダゾール誘導体は胃のプロトンポンプ阻害剤として知られている。これらのベンズイミダゾール誘導体はランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾールおよびラベプラゾールを含む。この種類のベンズイミダゾール誘導体は一般に、以下の化学式Aによって代表される。
【化1】

【0003】
米国特許NO.4,628,098号は一般的なランソプラゾール化合物について説明する。ランソプラゾールは化学名(2-[[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロ-エトキシ)-2-ピリジニル]メチル]スルフィニル]-1H-ベンズイミダゾール)を有する。すなわち、R1がメチル、R2がトリフルオロ-エトキシ、R3が水素およびR4が水素の場合である。
【0004】
他のベンズイミダゾール誘導体(例えばオメプラゾールおよびパントプラゾール)と共有する特性により、ランソプラゾールは胃酸の分泌を阻害することが可能であり、これにより一般に抗潰瘍剤として使用される。
【0005】
いくつかのランソプラゾールの調製方法が知られている。これらの方法の主なものは、チオエーテル基を含むランソプラゾール前駆体の使用を包含する。チオエーテル基はランソプラゾールを形成するための調製の最終工程において、酸化させる。
【0006】
米国特許NO.4,628,098号および5,578,732号('732特許)には酸化剤としてm-クロロ−過安息香酸を使用した、チオエーテル基の酸化について記述されている。しかしながら、m-クロロ−過安息香酸の使用はしばしば、非選択的なチオエーテルの酸化に帰着する。’732特許はさらに、特にバナジウム触媒存在下における過酸化水素(H2O2)による酸化方法を説明する。ES2105953、WO0121617、ES2063705、米国特許NO.6,313,303、WO9947514、WO0168594のような他の特許は他の酸化剤および/または他の触媒の使用を説明する。これらの酸化方法のいずれも選択的なチオエーテル基の酸化に帰着しない。
【0007】
付け加えると、従来法によるランソプラゾールの調製は常に、不純物としての少量の対応のスルホン誘導体の形成を伴う。例えば、米国特許NO.6,180,652号('652特許)はスルホン誘導体の存在を説明する。スルホン誘導体の形成は所望したスルホキシドが低収率となる欠点をもたらす。
【0008】
ランソプラゾールからスルホン誘導体を分離する試みがされてきたにもかかわらず、それらのとても近似した構造および物理化学的な特性のため、それは単純な仕事ではない。この目的のため、’652特許はスルホン誘導体からランソプラゾールの分離を行う6+方法を記述する。ランソプラゾール塩のアセトン複合体はこの方法において精製される。
【0009】
ランソプラゾールおよび他の2−(2-ピリジルメチル)スルフィニル-ベンズイミダゾール誘導体はそれらの結晶構造において微量な溶媒、特に水によって汚染されると、安定性を失い、分解する傾向にある。ベンズイミダゾール結晶は無溶媒であることが望ましい(すなわち、残留溶媒は最小まで減らすべきである)。
【0010】
’732特許はエタノール:水溶媒系(エタノール:水の容量:容量が9:1である)を使用したランソプラゾールの結晶化について記述する。米国特許No.6,002,011号(’011特許)は少量のアンモニア(0.03モルNH4OH:1モルランソプラゾール)を含む同じエタノール:水系からのランゾプラゾールの結晶化について説明する。’011特許は水における再懸濁法について開示する。それはより安定な‘無溶媒‘ランソプラゾールを獲得することを許容する。’011特許はランソプラゾールの純度のレベルを開示していない。付け加えると、エタノールと水は除去することが難しい。たとえ、徹底的に乾燥させても、ランソプラゾールは依然として溶媒を含み、そしてその貯蔵下において不安定である。
【0011】
スルホンおよびスルフィド誘導体を含む汚染物を含まない2−(2-ピリジルメチル)スルフィニル-1H-ベンズイミダゾール類(例えばランソプラゾール)を得ることが必要とされ続けている。また、含水量が削減された(<0.1% wt/wt 水)2−(2-ピリジルメチル)スルフィニル-1H-ベンズイミダゾール類(例えばランソプラゾール)の調製方法の必要性も待ち望まれている。
【0012】
我々は異なる溶媒からの結晶化により‘無溶媒 ‘ランソプラゾールを得ることができることを発見した。本結晶化方法により得られたランソプラゾールはUSP フォーラムによって所望されたように、<0.1%の水まで乾燥させることができる。
【発明の概要】
【0013】
ある観点によれば、本発明は、特に不純物が0.2%またはそれ未満の、ランソプラゾールの精製方法を供する。その方法は、特にランソプラゾールと等モル比(またはそれ以上)におけるアミン化合物、特にアンモニア、水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、またはメチルアミンの存在下での有機溶媒、特にアルコール(特にエタノール)、アセトン、2-ブタノン、ジメチル-ホルムアミドおよびテトラヒドロフラン、または有機溶媒と水の混合物から選択された溶媒におけるランソプラゾール溶液の準備、その準備した溶液と酸、特に酢酸、ギ酸または塩酸との混合、およびその精製したランソプラゾールを単離する工程を含む。その溶媒が有機溶媒と水との混合物である場合は、水に対する有機溶媒の割合は、特におよそ0.2:1からおよそ3:1であり、ランソプラゾールに対するこれらの溶媒の容量-重量比はおよそ17:1からおよそ5:1、特には11:1である。
【0014】
他の観点によれば、本発明は約0.1%(wt/wt)未満の水しか含まないランソプラゾール(すなわち脱溶媒ランソプラゾール)の調製方法に関する。その方法は特に50℃またはそれ未満において、ランソプラゾールに対するモル比がおよそ0.05:1のアミン化合物の任意的な存在下での、有機溶媒、特にアセトン、2-ブタノン、メタノール、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルまたは有機溶媒と水の混合物における溶液からのランソプラゾール(湿っていても乾燥していてもよい)の結晶化、および約0.1%(wt/wt)未満の水しか含まないランソプラゾールの単離の工程を含んで成る。結晶化は溶液の温度を下げること、溶液に水(約20% vol/vol以下)を混ぜること、またはその両方により行うことができる。
【0015】
更なる観点としては、本発明は約0.1%wt/wt未満の水しか有さないランソプラゾールを得るためのランソプラゾールの精製方法に関する。その方法はアミン化合物の存在下における有機溶媒、特にエタノール、または有機溶媒と水との混合物から選択された溶媒におけるランソプラゾール溶液の準備(そこでアミン化合物はランソプラゾールに対するモル:モル比がおよそ1:1である);その準備した溶液と酸、特に酢酸、ギ酸、または塩酸との混合;そのランソプラゾールの分離;その分離したランソプラゾールの任意的なアミノ化合物存在下でのアセトン、2-ブタノン、メタノール、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチル(特にアセトン)からなる群から選択された有機溶媒への溶解;および約0.1%wt/wt未満の水しか有さない精製したランソプラゾールの単離の工程を含んで成る。
【0016】
さらに他の観点としては、本発明は、特に含水率が0.1%wtまたはそれ未満である場合、0.20wt-%未満の不純物しか有さないランソプラゾールに関する。
【0017】
更なる観点としては、本発明は、特に含水率が0.1%wtまたはそれ未満である場合、0.20wt-%未満の混合したスルフィドおよびスルホン誘導体しか有さないランソプラゾールに関する。
【0018】
いっそう更なる観点としては、本発明は、特に0.1wt-%またはそれ未満の含水率との組み合わせにおいて、のスルホンまたはスルフィド誘導体をいずれも0.10wt-%未満しか有さないランソプラゾールに関する。
【0019】
発明の詳細な説明
本明細書において使われる‘LNPS‘はランソプラゾールの調製のための開始化合物を含むスルフィドを意味する。LNPSの化学名は2-[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-ピリジニル]チオ]-1Hベンズイミダゾールである。‘LNP‘は化学名2-[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-ピリジニル]メチル]スルフィニル-1Hベンズイミダゾールを有するランソプラゾールを意味する。本発明は’実質的に純粋‘なランソプラゾールを供する。実質的に純粋なランソプラゾールは約0.10%(wt/wt)未満のスルホン誘導体および約0.10%未満のスルフィド誘導体しか含まない。
【0020】
水は本質的に不純物だとは考えられていない、しかしランソプラゾールにおいて、その存在は望ましくない。本発明は約0.1%(wt/wt)未満の水しか含まないランソプラゾール(’無溶媒’(すなわち脱溶媒された)ランソプラゾールを意味する)も供する。
【0021】
別に定めない限り、%および%(wt/wt)は重量パーセントを意味する。
【0022】
本明細書において数量に関連して使われる‘<‘は未満を意味する。
【0023】
本発明に従い、2-[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-ピリジニル]チオ]-1Hベンズイミダゾール(LNPS)は2-[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-ピリジニル]メチル]スルフィニル-1Hベンズイミダゾールの調製のための出発材料として使用され、有機溶媒または有機溶媒と水の混合物に溶かす。最終生成物において残留するいかなるLNPS残留物も不純物であり、除去することは困難である。
【0024】
本発明の実施における使用に適した典型的な有機溶媒はアルコール、例えばエタノール、メタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、ケトン、例えばアセトンおよび2-ブタノン、ジメチル-ホルムアミド、テトラヒドロフラン等である。好ましくは、その有機溶媒はエタノールである。
【0025】
特定の具体例において、水を含んだ有機溶媒の混合物を使うことができる。有機溶媒と水の混合物を使用する場合、有機溶媒と水の異なる容量比(vol/vol)を使用することができる。その有機溶媒/水比はおよそ0.2:1から3:1の間で変えることができる。好ましくは、その溶媒/水比はおよそ1.5:1である。溶媒/水比がより大きいと、少ない結晶化収量に帰着しうる。
【0026】
有機溶媒と水の混合物を使用する場合、ランソプラゾール比に対する容量毎重量に基づく溶媒/水の全体(すなわち有機溶媒+水)比はおよそ17:1からおよそ5:1(vol:wt)の間で変えることができる。好ましくは、ランソプラゾールに対する溶媒/水の割合はおよそ11:1である(vol/wt)。
【0027】
本発明の実施において、アミン化合物を使用する。モルに基づくランソプラゾールに対するアミン化合物の全体比(mol/mol)はおよそ17:1からおよそ1:1の間で変えることができる。好ましくは、アミン化合物:ランソプラゾール(mol/mol)比はおよそ7:1である。本発明の実施において有用な典型的なアミン化合物はアンモニア、水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルアミン等を含む。好ましくはそのアミン化合物は水酸化アンモニウムである。
【0028】
好ましくは、水酸化アンモニウムはランソプラゾールに対するmol/mol比がおよそ1:1からおよそ7:1において存在する。このような条件下におけるランソプラゾールの結晶化は不純物、特にスルホンおよび/またはスルフィド誘導体からのランソプラゾールの良好な分離を許容する。
【0029】
ある態様において、本発明はランソプラゾールの精製のための結晶化精製法を供する。本発明の結晶化精製法による、アミン化合物存在下での有機溶媒または有機溶媒と水の混合物における溶液からのランソプラゾールの結晶化は実質的に純粋なランソプラゾールに帰着する。
【0030】
本発明において、結晶化によるランソプラゾールの精製は有機溶媒または有機溶媒と水の混合物におけるランソプラゾール溶液の酸性化(すなわち酸の混合)により達成する。混ぜた酸はランソプラゾールの結晶化のあいだ、アミン化合物を中和することができる。
【0031】
ランソプラゾールを結晶化するために混ぜる典型的な酸は酢酸、ギ酸、塩酸(HCl)等を含む。好ましくは、その酸は酢酸である。
【0032】
上述した結晶化精製方法によって得た精製したランソプラゾールは実質的に純粋であり、有利と成りうるが、必ずしも、USPフォーラムで容認されたような、<0.1%の水を含む必要がない。前述したように、水はランソプラゾールの長い期間の安定性において悪い影響を与えうる(米国特許NO.6,002,001号)。
【0033】
そこで、本発明の他の態様において、ランソプラゾールの水を少なくする(すなわち脱溶媒)方法を供する。本態様において、そのランソプラゾール(特に実質的に純粋なランソプラゾール)の含水量を、有機溶媒からの結晶化により<0.1%に減少することができる。
【0034】
<1%wt/wtの水しか有さないランソプラゾールを得るための結晶化有機溶媒はメタノール、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、アセトン、2-ブタノン等を含む。好ましくは、そのような結晶化有機溶媒はメタノール、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルである。もっとも好ましくは、そのような結晶化有機溶媒はアセトンである。
【0035】
<0.1%の水しか有さないランソプラゾールを得るためのランソプラゾールの結晶化は可能ならば、そして好ましくは、アミン化合物存在下において実施する。典型的なアミン化合物はアンモニア、水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミン等を含む。好ましくは、そのアミン化合物は水酸化アンモニウムである。
【0036】
好ましくは、この具体例において、ランソプラゾールに対するアミン化合物のモル比(mol/molまたはmol/mol)はおよそ0.05:1である。
【0037】
好ましくは、脱溶媒すべきランソプラゾールは、結晶化の前に完全にその溶媒に溶かす。ランソプラゾールの溶解は少量の水の存在により促進することができる。その少量の水の存在は前述した精製工程からの湿ったランソプラゾールの使用、または溶媒に対して<20%(vol/vol)の水を加えることにより保証することができる。
【0038】
脱溶媒のためのランソプラゾールの溶解は、結晶化溶媒の還流温度で行うことができる。好ましい溶解温度は還流温度よりも低く、その理由はより高い温度ではランソプラゾールの報告されている不安定性にある。好ましくは、その溶解温度は50℃を超えない。
【0039】
結晶化のランソプラゾールの収率は冷却または結晶化系からの溶媒若しくは水の除去によって向上させることができる。当業者は有機溶媒と水の混合物からの水の除去のために使用される技術として、例えば共沸蒸留を思いつくだろう。
【0040】
本発明は以下の制限されない実施例により示すことができる。
【0041】
実施例1
粗ランソプラゾールの調製
フラスコに1Lのエタノールを入れ、撹拌しながら、5℃まで冷やした。混ぜながら、200グラムの2-[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-ピリジニル]チオ]-1Hベンズイミダゾール(LNPS)および3グラムのバナジウムアセチルアセトネートを加えた。110グラムのテルト-ブチル-ヒドロペルオキシド溶液をゆっくりとその懸濁液に滴下した。その懸濁液を4時間のあいだ混ぜ続けた。400mlの水に溶かした40グラムのNa2SO3 を加えた。真空ろ過により固体層を分離して、乾燥させた。165グラムの粗LNPを得た(収率79%)。
【表1】

このクロマトグラフィー分析はLNP中の0.1%以下の不純物の検出感度を有する。
【0042】
実施例1A
粗ランソプラゾールの調製
フラスコに1Lのエタノール(95%)を入れ、撹拌しながら、5℃に冷やした。混ぜながら、200グラムの2-[[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2-ピリジニル]チオ]-1Hベンズイミダゾール(LNPS)および3グラムのバナジウムアセチルアセトネートを加えた。110グラムのテルト-ブチル-ヒドロペルオキシド溶液をゆっくりとその懸濁液に滴下した。その懸濁液を6時間のあいだ混ぜ続けた。400mlの水に溶かした40グラムのNa2SO3 を加えた。
【0043】
1Lの水(pHは約8-8.5;そのpHはNH4OHを加えることにより調節した)をその懸濁液に加え、その懸濁液を25℃でさらに17時間混ぜた。その懸濁液を5℃に冷やし、そして固体層を真空ろ過により分離し、それから乾燥させた。178グラムの粗LNPを得た(収率85%)スルホンは0.15%だった。
【0044】
実施例2
ランソプラゾールの精製
0.25Lフラスコに67.5mLの95%エタノール、15mLの24%水酸化アンモニウム(NH4OH)および45mLを入れ、そして撹拌しながら5℃に冷却した。10グラムの粗ランソプラゾールを加え、溶解するために52℃に熱した。1グラムの活性炭を静かに濁った溶液に加え、そして短い時間49℃に保った。その炭素はろ紙で分離し、そしてそのケーキは14mLのエタノールと12mLの水の混合物で洗浄した。その溶液を冷やし、3.75mLの酢酸を加えてランソプラゾールを沈殿させた。その懸濁液を10℃に冷やし、そしてろ過した。その生成物を水とエタノールで洗浄して、乾燥させた。8.7グラムの純粋なランソプラゾールを得た(収率89%)。スルホンは0.05%、LNPSは検知限界以下であった。
【0045】
上記の手順はその溶媒および/またはアミンが異なる他の実施例において適用した。以下の表はそれらの例を示す。
【表2】

【0046】
実施例9
<0.1%(wt/wt)の水しか含まないランソプラゾールの調製
0.25Lフラスコに29.8グラムの湿ったLNP結晶および30mLのアセトンを入れた。その懸濁液を52℃に熱し、そして150mLのアセトンを透明な溶液が得られるまで滴下した。その溶液を10℃に冷やし、そして反応物の重量が48.5グラムまで濃縮した。その固体はろ過により分離し、そして20mLの冷アセトンで洗浄した。乾燥後、18.58グラムの生成物を得た(収率91%)。Karl Fischer 試験による含水率は0.05%であった。
【0047】
実施例3と同様に、以下の他の実施例を示す。
【表3】

水の検査のための1Karl Fischer法はUSPフォーラムVol.26(5)[Sep.-Oct.2000]に書かれたように、USP法である。
【0048】
実施例13
<0.1%(wt/wt)の水しか含まないランソプラゾールの調製
0.1Lフラスコに4グラムの乾燥LNP結晶および15%の水を含んだ60mLのアセトンを入れた。その溶液を混ぜながら、25℃で17時間保った。その溶液を15グラムまで濃縮し、ろ過した。乾燥後、3.4グラムの生成物を得た(収率84.7%)。Karl Fischer 試験による含水率は0.06%であった。
【0049】
実施例14
<0.1%(wt/wt)の水しか含まないランソプラゾールの調製
50mLフラスコに11.6mLのアセトン、3.1mLの水および0.05mLのNH4OHを入れた。その溶液を45℃に熱し、そして混ぜながら5.8グラムのLNP結晶を入れた。その溶液を61℃に熱し、そしてすぐに5-10℃に冷やした。ろ過および乾燥後、5.0グラムの生成物を得た(収率87%)。Karl Fischer 試験による含水率は0.03%であった。
【0050】
実施例15
ランソプラゾール(5.0グラム)を、15容量%の水を含む30mLのアセトンに溶かし、還流加熱した。水(30ml)をその透明な溶液に1滴ずつ5分間滴下した。室温まで冷却した後、その懸濁液をろ過し、乾燥後4.5グラムの生成物を得た(収率90%)。Karl Fischer 試験による含水率は0.08%であった。
【0051】
実施例16
ランソプラゾール(5.0グラム)を15容量%の水を含む30mLのアセトンに溶かし、還流加熱した。水(60ml)をその透明な溶液に1滴ずつ5分間滴下した。室温まで冷却した後、その懸濁液をろ過し、乾燥後4.6グラムの生成物を得た(収率92%)。Karl Fischer 試験による含水率は0.08%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランソプラゾールの精製方法であって、
a)アミン化合物の存在下で有機溶媒または有機溶媒と水の混合物から選択された溶媒におけるランソプラゾール溶液の準備、
b)その準備した溶液と酸の混合、および
c)精製したランソプラゾールの単離
の工程を含んで成る方法。
【請求項2】
上記アミン化合物が上記ランソプラゾールに対して、モル:モルで1:1の比において存在する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記溶液がアルコール、アセトン、2-ブタノン、ジメチル-ホルムアミドおよびテトラヒドロフランからなる群から選択された有機溶媒中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記有機溶媒がアルコールエタノールである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記アミン化合物がアンモニア、水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミンおよびメチルアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記アミン化合物が水酸化アンモニウムである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記水酸化アンモニウムがランソプラゾールに対して1よりも大きなmol/mol比で存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記混合した酸が酢酸、ギ酸および塩酸からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記酸が酢酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
約0.1%(wt/wt)未満の水しか含まないランソプラゾールの調製方法であって、
a)有機溶媒または有機溶媒と水との混合物である溶媒における溶液からのランソプラゾールの結晶化、および
b)その約0.1%(wt/wt)未満の水しか含まないランソプラゾールの単離
の工程を含んで成る方法。
【請求項11】
工程a)のランソプラゾールが結晶である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程a)のランソプラゾールが乾燥している、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程a)のランソプラゾールが湿っている、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
上記有機溶媒がアセトン、2-ブタノン、メタノール、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
上記有機溶媒がアセトンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記結晶化が水を上記溶液に加えることで行う、請求項10または15に記載の方法。
【請求項17】
上記結晶化の工程を約50℃またはそれ以下の温度で行う、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
上記結晶化の工程の次に、さらに冷却の工程を含んで成る、請求項10の方法。
【請求項19】
水酸化アンモニウムを上記結晶化の工程の前またはその工程中で加える、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
約0.1%(wt/wt)未満の水しか含まないランソプラゾールを得るための精製方法であって、
a)アミン化合物存在下における有機溶媒または有機溶媒と水の混合物から選択される溶媒におけるランソプラゾール溶液の準備、
b)上記準備した溶液と酸の混合、
c)上記ランソプラゾールの単離、
d)上記単離したランソプラゾールをアセトン、2-ブタノン、メタノール、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルからなる群から選択される有機溶媒への溶解、および
e)約0.1%、wt/wt、未満の水しか含まない精製したランソプラゾールの単離、
の工程を含んで成る方法。
【請求項21】
請求項1、10および20のいずれかの方法により、生成したランソプラゾール。
【請求項22】
0.20%(wt/wt)未満の不純物しか含まないランソプラゾール。
【請求項23】
0.1%、wt/wt、未満の水しか含まない、請求項22のランソプラゾール。
【請求項24】
0.20%、wt/wt、未満の混合したスルフィドおよびスルホン誘導体しか含まない、ランソプラゾール。
【請求項25】
0.1%、wt/wt、未満の水しか含まない請求項24のランソプラゾール。
【請求項26】
0.10%、wt/wt、未満のスルフィド誘導体しか含まない、ランソプラゾール。
【請求項27】
0.1%、wt/wt、未満の水しか含まない請求項26のランソプラゾール。
【請求項28】
0.10%、wt/wt、未満のスルホン誘導体しか含まない、ランソプラゾール。
【請求項29】
0.1%、wt/wt、未満の水しか含まない請求項28のランソプラゾール。

【公開番号】特開2010−83897(P2010−83897A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297316(P2009−297316)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2004−531171(P2004−531171)の分割
【原出願日】平成15年8月21日(2003.8.21)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】