説明

ランプの取付構造

【課題】位置決め固定構造が簡単であるとともに、組み付けを容易に行うことができるランプの取付構造を提供する。
【解決手段】フロントバンパ11に形成された取付孔12にフォグランプ13を取り付けるとともに、そのフォグランプ13の外周に加飾リング14を設ける。フォグランプ13のケース21及び加飾リング14には、係合突起24,19をそれぞれ形成する。フロントバンパ11には1つの位置決め孔16を形成する。両係合突起24,19を位置決め孔16に嵌入することにより、フォグランプ13のケース21及び加飾リング14をフロントバンパ11に対して位置決めする。その位置決め位置と反対側の位置において、フォグランプ13のケース21をフロントバンパ11にネジ止めすることにより、加飾リング14をフロントバンパ11とフォグランプ13との間で挟持固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車におけるフロントバンパやリヤバンパに対して、フォグランプ等のランプを取り付けるためのランプの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のランプの取付構造としては、例えば特許文献1に開示されるような構造が提案されている。
この従来構造においては、フロントバンパに形成された取付孔に、フォグランプが加飾リングを介して位置決め固定されている。すなわち、フロントバンパの取付孔には加飾リング(特許文献1の実施形態においては枠体41)が、フロントバンパの裏面側から嵌め込まれ、爪と孔との係合により位置決め係止されるとともに、スクリューの螺合により固定されている。加飾リングにはフォグランプが、フロントバンパの裏面側から嵌め込まれ、フォグランプにあらかじめ取り付けられたブラケットを介して加飾リングにスクリューを螺合することによって位置決め固定されている。
【特許文献1】特開2007−83974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のように、この特許文献1に示された従来のランプの取付構造においては、フロントバンパの取付孔に、加飾リングとフォグランプとが順に組み付けられるものであるが、フォグランプは加飾リングを介して前記取付孔に間接的に位置決め固定される。このため、フロントバンパと加飾リングとの間、及び加飾リングとフォグランプとの間に位置決め固定部をそれぞれ設ける必要がある。また、フォグランプは、フロントバンパの取付孔に対して、前記のように加飾リングを間に挟んで間接的に位置決めされることになり、組み付けが面倒で時間がかかるばかりでなく、組み付け精度の確保が困難であるという問題があった。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、位置決め固定構造が簡単であるとともに、組み付け精度を容易に確保できて組み付けを簡単に行うことができるランプの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、この発明は、バンパに形成された取付孔にランプを取り付けるとともに、そのランプの外周に加飾リングを設けたランプの取付構造において、前記ランプのケース及び前記加飾リングをバンパに対してそれぞれ位置決めしたことを特徴としている。
【0006】
従って、この発明のランプの取付構造においては、加飾リング及びランプがそれぞれバンパに対して位置決めされる。従って、バンパと加飾リングとの間、及び加飾リングとランプとの間に位置決め固定部をそれぞれ設ける必要がなく、位置決め固定構造を簡略化することができる。しかも、バンパの取付孔に対して、加飾リング及びランプを順に位置決めして組み付ける必要がなく、このため、組み付け精度を容易に確保して組み付けを簡単に行うことができる。
【0007】
前記の構成において、前記ランプのケース及び加飾リングにそれぞれ突起を形成し、それらの突起を重ね合わせた状態でバンパに形成された位置決め孔に嵌入させて位置決めするとよい。このように構成した場合には、位置決め固定構造が簡単であるとともに、バンパに対する加飾リング及びランプの位置決めを一箇所において同時に行うことが可能となる。
【0008】
前記の構成において、前記ケースに形成された押圧部と加飾リングに形成された突起とを重ね合わせた状態で、取付孔の前面の装飾板にバンパの一部を介して固定するとよい。このようにすれば、ランプのケース、加飾リング及び装飾板をバンパに対してネジ等により一体に固定できる。
【0009】
さらに、前記の構成において、前記ランプのケース及び加飾リングの突起のうちの少なくとも一方の突起の弾力性を利用して、両突起を位置決め孔の内側縁に圧接させるとよい。このようにすれば、前記突起の弾力性を利用してランプのケース及び加飾リングを位置決め状態で固定できる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、この発明によれば、位置決め固定構造が簡単であるとともに、組み付けを容易に行うことができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、この発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、この実施形態では、車両におけるフロントバンパ11の左右両端部に、それぞれフォグランプ取付孔(以下、単に取付孔という)12が透設されている。各取付孔12にはフォグランプ13が嵌め込まれた状態で取り付けられ、そのフォグランプ13にはその外周の加飾リング14により装飾が施されている。フォグランプ13に対して車幅方向の内側に位置するように、各取付孔12の前面には装飾板15が嵌め込まれた状態で取り付けられている。
【0012】
前記取付孔12、フォグランプ13、加飾リング14及び装飾板15等の形状や構成、あるいはそれらの取付構造は、左右対称な構造となっている。よって、図面には一方の構成のみを示して、その図面に従って構成の詳細を説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、前記フロントバンパ11の取付孔12の一側(端部側)に形成した内側フランジ12aには、1つの位置決め孔16が形成されている。取付孔12の他側に形成した架設部12bには、1つの縦溝状の係止孔17及び一対のネジ挿通孔18が形成されている。
【0014】
前記加飾リング14の一側外周には、前記位置決め孔16に嵌入される突起19が形成されている。図2に示すように、この突起19はバネ性を有するように、屈曲状または湾曲状に形成され、付け根部において前記位置決め孔16の前縁に圧接される。加飾リング14の他側外周には、前記係止孔17にその裏面側から挿入されて、前記架設部12bの裏面に係合した突部20が形成されている。
【0015】
前記フォグランプ13は、ケース21と、そのケース21の前面に装着された透明カバー22と、ケース21内に配設された光源23とを備えている。フォグランプ13のケース21の一側外周には、前記位置決め孔16内に嵌入される突起24が形成されている。この突起24の後面には、位置決め孔16の後縁に圧接される圧接部24aが形成されている。また、突起24の前面には前記加飾リング14の突起19が弾性変形をともないながら圧接される。従って、突起19及び突起24は、突起19の弾性力に抗して重ね合わされた状態で位置決め孔16内に嵌入されている。
【0016】
図1及び図3に示すように、ケース21の他側外周には一対の固定座部25が突設され、それらの固定座部25にはそれぞれ前記ネジ挿通孔18に対応するネジ挿通孔26が形成されている。前記装飾板15の裏面には一対のボス27が突設され、それらのボス27には前記ネジ挿通孔18,26に対応するネジ孔28が形成されている。そして、ネジ挿通孔18,26をその後部側から通るネジ29がこのネジ孔28に螺入される。なお、このネジ孔28は、ネジ29によって形成されるタップ孔でもよい。また、ネジ29の代わりにクリップが用いられてもよい。図2に示すように、前記ケース21には、加飾リング14の突部20をその後面側から押圧する押圧部21aが形成されている。
【0017】
次に、前記フロントバンパ11の取付孔12に対してフォグランプ13、加飾リング14及び装飾板15を取り付ける場合の方法について説明する。
さて、これらの部材の取付時には、まず車体(図示しない)に組み付けられる前のフロントバンパ11の裏面側から、フロントバンパ11の取付孔12に加飾リング14を嵌め込む。そして、加飾リング14の外周の突起19及び突部20を、位置決め孔16及び係止孔17にそれぞれ嵌入させる。また、フロントバンパ11の裏面側から、加飾リング14の内側にフォグランプ13を嵌め込む。そして、フォグランプ13のケース21上の突起24を、加飾リング14の突起19に後ろ側に重ね合わせて、前記位置決め孔16に嵌入させる。そして、この状態では、加飾リング14の突起19が位置決め孔16の前縁に圧接されて、その突起19の弾力性により突起24の圧接部24aが位置決め孔16の後縁に圧接されている。このため、加飾リング14及びフォグランプ13がフロントバンパ11の取付孔12に対して、その一側周縁で所定位置に位置決めされる。また、加飾リング14の突部20がケース21に押圧部21aにより押圧されて、その押圧部21aと架設部12bとの間に挟持されて、位置決めされる。そして、この状態では、加飾リング14及びフォグランプ13の一側がフロントバンパ11に対して固定される。
【0018】
その後、フロントバンパ11の前面側から、フォグランプ13に隣接して、フロントバンパ11の取付孔12に装飾板15を配置する。この状態で、フロントバンパ11の裏面側から、取付孔12の周縁のネジ挿通孔18、フォグランプ13のケース21のネジ挿通孔26を介して、装飾板15上のボス27のネジ孔28に一対のネジ29を螺合する。このネジ29の取り付けにより、そのフォグランプ13の他側がフロントバンパ11に位置決め状態で固定されるとともに、加飾リング14がフロントバンパ11とフォグランプ13との間において位置決め状態で挟持固定される。
【0019】
以上のようにして、加飾リング14及びフォグランプ13がフロントバンパ11に対して位置決め状態で固定される。
従って、この実施形態においては、以下の効果がある。
【0020】
(1) フォグランプ13のケース21及び加飾リング14に形成された突起24,19が、フロントバンパ11に形成された1つの位置決め孔16に嵌入されることにより、フォグランプ13のケース21及び加飾リング14がフロントバンパ11に対してそれぞれ単独で位置決めされる。このため、従来構造とは異なって、フロントバンパ11と加飾リング14との間、及び加飾リング14とフォグランプ13のケース21との間に位置決め固定部をそれぞれ設ける必要がなく、位置決め固定構造を簡略化することができる。
【0021】
(2) フロントバンパ11の取付孔12対して、加飾リング14及びフォグランプ13を順に位置決めして組み付ける必要がなく、組み付けを容易に行うことができる。
(3) フォグランプ13は、フロントバンパ11に対して直接位置決めされるため、フォグランプ13の組み付け精度を容易に確保できる。
【0022】
(4) 加飾リング14の突起19の弾力性を利用して、その突起19及びフォグランプ13のケース21の突起24が位置決め孔16の内側縁に圧接される。従って、フォグランプ13及び加飾リング14の固定やがたつき防止のためのバネ手段が不要となり、構成を簡素化できる。
【0023】
なお、この発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
・ この発明をフォグランプ以外の他のランプ、例えば、ヘッドランプ、リヤランプの取付構造において具体化すること。
【0024】
・ 加飾リング14の突起19及びフォグランプ13のケース21の突起24を位置決め孔16の内側縁に圧接させるための弾力性を両突起19,24、あるいはケース21側の突起24にのみ与えること。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施形態のランプの取付構造を示す要部分解斜視図。
【図2】図1の2−2線における組付け状態の要部拡大断面図。
【図3】図1の3−3線における組付け状態の部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0026】
11…フロントバンパ、12…取付孔、13…フォグランプ、14…加飾リング、15…装飾板、16…位置決め孔、18…ネジ挿通孔、19…突起、21…ケース、21a…押圧部、24…突起、26…ネジ挿通孔、29…ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパに形成された取付孔にランプを取り付けるとともに、そのランプの外周に加飾リングを設けたランプの取付構造において、
前記ランプのケース及び前記加飾リングをバンパに対してそれぞれ位置決めしたことを特徴とするランプの取付構造。
【請求項2】
前記ランプのケース及び加飾リングにそれぞれ突起を形成し、それらの突起を重ね合わせた状態でバンパに形成された位置決め孔に嵌入させて位置決めしたことを特徴とする請求項1に記載のランプの取付構造。
【請求項3】
前記ケースに形成された押圧部と加飾リングに形成された突起とを重ね合わせた状態で、取付孔の前面の装飾板にバンパの一部を介して固定したことを特徴とする請求項2に記載のランプの取付構造。
【請求項4】
前記ランプのケース及び加飾リングの突起のうちの少なくとも一方の突起の弾力性を利用して、両突起を位置決め孔の内側縁に圧接させたことを特徴とする請求項3に記載のランプの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−248589(P2009−248589A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95163(P2008−95163)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】