説明

リアクター補修に先立つ触媒リアクターシステムの処理法

触媒リアクターシステムの補修法であって、内部に含有される触媒活性を温存しながら、少なくとも1個の有害物質を触媒リアクターシステムから削減することを含む補修法。触媒リアクターシステムの補修法であって、約350°F〜約500°Fの温度で触媒リアクターシステムを酸化し、触媒リアクターシステムから少なくとも1個の有害物質を削減し、触媒リアクターシステムの完全再生酸化に要する時間を約50%短縮することを含む補修法。触媒リアクターシステムの補修法であって、前記触媒リアクターシステムから少なくとも1個の有害物質を削減し、それによって、内部に含有される触媒の汚れ率が補修前後で実質的に同一になることを含む補修法。触媒リアクターシステム中の酸化処理を制御する方法であって、約350°F〜約500°Fの温度で触媒リアクターシステムを酸化し、触媒リアクターシステム内の少なくとも1個の有害物質の削減を監視し、監視に対応して酸化を制御し、その結果、システム内部に含有される触媒の活性を温存し、少なくとも1個の有害物質を安全な曝露レベルまで酸化することを含む制御法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
適用不可
【0002】
連邦出資研究開発に関する声明
適用不可
【0003】
マイクロフィッシュ付録への言及
適用不可
【0004】
(発明の分野)
本発明は、一般に、接触改質などの触媒反応および接触改質に関連する処理設備に関する。さらに具体的には、本発明は、触媒リアクターシステムの補修に先行した、当該システム内に含有される触媒の活性を温存しながらの、触媒リアクターシステムからの少なくとも1個の有害物質の削減に関する。
【背景技術】
【0005】
(発明の背景)
触媒化反応および関連触媒リアクターシステムは、様々な産業で広く使用されている。触媒は、典型的には、有限の性能寿命を有し、これは、再生サイクルによって分離される1回よりも多い触媒活性サイクルを含むことができる。例えば、触媒プロセスが時間と共に連続するにつれ、触媒活性は、一般に減少する。触媒活性が、もはや当該プロセスを効率的に触媒しない時点に達すると、当該触媒は、寿命が尽き、あるいは、触媒活性サイクルのいずれかが終了する可能性がある。触媒に、1回以上の触媒活性サイクルが残っている場合、当該触媒を再生し、新たな触媒活性サイクルを開始できる。追加サイクルを利用できない場合、触媒寿命は尽き、使い切った触媒は、典型的には、新鮮な触媒と取り替えることが必要になる。
【0006】
図1は、活性サイクル4回および再生サイクル4回を有する触媒の一般的触媒寿命サイクルを表す仮定上のグラフである。初回の活性サイクルは、時間0に始まり、何ヶ月間も持続し、このサイクル中、リアクター入口温度の増加で明らかなように、触媒活性は減少する(本明細書でさらに詳細に説明するとおり)。直線の傾きは、触媒の汚れ率、即ち、一定の補修時間の活性の変化を示す。リアクター入口温度は、最大値(例、図2の1000°F以上)に達するまで、上昇し続け、その時点で、触媒を高温酸化(例、600°F以上)に供し、コーキングなど、炭素付着層を除去することによって、再生することができる。このプロセス中、触媒リアクターシステム、および、そこに含有される触媒からコークを除去できる。触媒リアクターシステムの再生は、当該触媒に新たな活性を提供するが、当該グラフの垂直降下または減少段階で示す低温入口温度で明らかなとおりである。しかし、新しいサイクルが開始される場合、開始リアクター入口温度は、典型的には、前サイクルの温度よりも高く(各新規サイクル開始時でのリアクター入口温度の漸増で示すように)、総触媒活性の未回復の損失を表す。各サイクル後、触媒活性は、完全には回復しないので、触媒寿命は、例えば、図1に示す4回など、最大再生サイクル回数によって制限される。さらに、再生サイクル毎に、触媒の汚れ率(傾き)が増加すると思われる。よって、触媒リアクターシステムの再生も、触媒の汚れ率を増加させる場合があり、これが、触媒の総寿命をさらに減少させると思われる。
【0007】
触媒リアクターシステムは、触媒のライフサイクル全体の様々な時点で起こり得る様々な理由で、補修を必要とすると考えられる。補修の準備段階で、補修のためにリアクターシステムを開けることができるように、リアクターシステム内に存在する有害物質を安全曝露レベルまで削減することが必要である。典型的には、触媒リアクターシステムの再生処理を実施し、有害物質を安全曝露レベルまで削減した後、補修後、新しい触媒活性サイクルを開始する。触媒の寿命が尽きる前、もしくは、当該触媒のサイクルが終了する前の時点で、運転停止が必要な場合、再生中に利用可能な触媒活性が失われる。そのため、触媒リアクターシステムの補修のために有害物質を安全な曝露レベルまで削減する方法で、それが触媒活性を温存し、それによって、プラントの総合的な経済性を高めることのできる方法が求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本明細書に開示されているのは、触媒リアクターシステムの補修法であって、内部に含有される触媒の活性を温存しながら、当該触媒リアクターから少なくとも1個の有害物質を削減することを含む方法である。
【0009】
同じく、本明細書に開示されているのは、触媒リアクターシステムの補修法であって、約350°F〜約500°Fの温度で触媒リアクターシステムを酸化し、触媒リアクターシステムから少なくとも1個の有害物質を削減し、触媒リアクターシステムの完全再生酸化に要する時間を約50%短縮することを含む方法である。
【0010】
同じく、本明細書に開示されているのは、触媒リアクターシステムの補修法であって、触媒リアクターシステムから少なくとも1個の有害物質を削減し、それによって、内部に含有される触媒の汚れ率が補修前後で実質的に同一になる方法である。
【0011】
同じく、本明細書に開示されているのは、触媒リアクターシステム内での酸化処理を制御する方法であって、約350°F〜約500°Fの温度で触媒リアクターシステムを酸化し、触媒リアクターシステム内の少なくとも1個の有害物質の削減を監視し、監視に対応して酸化を制御し、その結果、システム内部に含有される触媒の活性を温存し、少なくとも1個の有害物質を安全な曝露レベルまで酸化することを含む方法である。
【0012】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本開示は、触媒リアクターシステムを補修する方法であって、当該システム内部に含有される触媒の活性を温存しながら、少なくとも1個の有害物質を削減する方法を含む。本開示の方法は、どの適切な触媒リアクターシステムにも有用であることができる。しかし、以下の詳細な説明は、主に、触媒改質プロセスを実施する実施態様に絞られており、当然ながら、本開示は、さらに幅広い用途を有し、改質プロセスに制約されるものでない。
【0013】
各種実施態様において、触媒リアクターシステムは、固定床(固定層)システム、移動層システム、流動層システムまたはそれらの組み合わせを含むことができる。当該リアクターシステムは、バッチであること、または、連続していることができる。ある実施態様では、触媒リアクターシステムは、1個以上の固定層リアクターを含む固定層システムである。固定層システムでは、供給物をファーネス管で前加熱し、触媒固定層を含有する少なくとも1個のリアクターに通すことができる。供給物流は、当該リアクターから上昇、下降する、放射状になることができる。本明細書で使用される場合の「触媒リアクター」および「リアクター」は、ほぼ同じ意味で、リアクター容器、リアクター内部構造物、および関連処理設備を指し、当該処理設備は、触媒、不活性包装材、スカロップ、フローディストリビューター、センターパイプ、リアクターポート、触媒運搬および分配システム、ファーネス手段、熱伝達手段およびパイプ類を含むが、それらに制約されない。
【0014】
ある実施態様では、触媒リアクターシステムは、少なくとも1個の改質リアクターおよびその対応する処理設備を含む改質リアクターシステムである。ある実施態様では、改質リアクターシステムは、連続した複数の改質リアクターを含む。各リアクター内の反応は吸熱性であるので、大幅な温度降下が起こると思われる。そのため、連続した各リアクターは、成分を再加熱して所望の温度まで戻し、所望の反応速度を維持する対応ファーネス(炉)を含むことができる。別法として、さしつかえない場合、1個以上のリアクターが1個のファーネスを共有することができる。
【0015】
図2は、以後触媒リアクターシステム100を指す改質リアクターシステムの実施態様を示す。触媒リアクターシステム100は、いずれかの適切な数の改質リアクターを含むことができる。図2に示す実施態様では、触媒リアクター100は、3個の連続する改質リアクター10、20および30を含む。別の実施態様では、触媒リアクターシステムは、1個、連続する2、4、5、6個またはそれ以上のリアクターを含む。図2では、供給物は、供給ライン40を経て触媒リアクター100に入ることができ、当該供給ラインは、供給物を前加熱し、前加熱された供給物をライン61を経て、第1リアクターファーネス11に送るために熱交換器12に連結している。ファーネス11は、所望の温度まで供給物を加熱するために提供される。ファーネス11は、ライン62によって第1リアクター10に連結され、供給物は、入口70からリアクター10に導入される。リアクター10内で、供給物は、当該供給物中の1個以上の成分を改質し、その中の芳香族化合物含量を増加させるために、適切な反応条件(例、温度および圧力)下で触媒と接触する。
【0016】
触媒リアクターシステム100は、さらに、ライン63によってリアクター10の出口71に連結されたファーネス21を含み、供給物(リアクター10からの反応生成物および未反応成分を含む)を所望の温度まで再加熱する。ファーネス21は、ライン64で第2リアクター20に連結され、供給物は、入口72からリアクター20に導入される。リアクター20内で、供給物は、適切な反応条件(例、温度および圧力)下で触媒と接触し、当該供給物中の1個以上の未反応成分を改質し、その芳香族化合物含量をさらに増加させる。
【0017】
触媒リアクターシステム100は、さらに、ライン65によってリアクター20の出口73に連結されたファーネス31を含み、供給物(リアクター10および20からの反応生成物および未反応成分を含む)を所望の温度まで再加熱する。ファーネス31は、ライン66で第3リアクター30に連結され、供給物は、入口74から導入される。リアクター30内で、供給物は、当該供給物中の1個以上の未反応成分を改質する適切な反応条件(例、温度および圧力)下で改質触媒と接触し、その芳香族化合物含量を増加させる。当該リアクターシステムの流出液流55は、最終リアクター30の出口75を熱交換器12に連結する。熱交換器12は、流出液を冷却し(また、供給物を前加熱する)、これが、ライン60から生成物流、ライン90から流出ガス流、ならびに、リサイクルライン50からリサイクル流を分離、排出するために分離器13に運搬される。ライン50は、戻ってライン40に連結し、リサイクルされた成分を触媒リアクターシステム100に通し、リサイクルされた成分をさらに処理することができる。
【0018】
「改質」は、本明細書で使用される場合、芳香族化合物に富んだ生成物(即ち、芳香族化合物含量が供給物中よりも高い生成物)を提供する炭化水素の処理を指す。典型的には、供給物の1個以上の成分は、1回以上の改質反応を受け、芳香族化合物を生成する。改質作業中に起こる一部の炭化水素反応は、シクロヘキサンの芳香族化合物への脱水素、アルキルシクロペンタンの芳香族化合物へのデヒドロイソメリゼーション、および、非環式炭化水素の芳香族化合物へのデヒドロサイクリゼーションを含む。多数の他の反応も起こり、アルキルベンゼンの脱アルキル化、パラフィンの異性化、および、例えばメタン、エタン、プロパンおよびブタンなどの軽質ガス炭化水素を生成するハイドロクラッキング(水素化分解)反応を含む。
【0019】
ある実施態様では、ナフサが改質され、芳香族化合物を形成する。ナフサ供給物は、沸点範囲が約70°F〜約450°Fの軽質炭化水素であることができる。ナフサ供給物は、脂肪族またはパラフィン炭化水素を含有できる。これらの脂肪族化合物は、改質リアクターシステム中で、少なくとも一部が、芳香族化合物に転換される。ある実施態様では、供給物は、イオウ、窒素、金属、および、他の既知の触媒毒を実質的に含まない。これらの触媒毒は、最初に普通のハイドロファイニング技術を使って、次に、収着剤を使って残りのイオウ化合物を除去することができる。触媒改質は、典型的には、ナフサの転換を指すが、他の供給原料も処理して、富芳香族生成物を提供することができる。そのため、ナフサの転換は、1つの実施態様であるが、本開示は、様々な供給原料、例えばパラフィン炭化水素、オレフィン炭化水素、アセチレン炭化水素、環式パラフィン炭化水素、環式オレフィン炭化水素、および、それらの混合物など、特に飽和炭化水素、の転換または芳香族化のためのリアクターシステムの補修に有用であることができる。
【0020】
典型的な改質プロセスの運転範囲は、リアクター入口温度700°F〜1050°F;システム圧0〜400psig;改質リアクターゾーンへの供給に水素対炭化水素モル比とするのに十分なリサイクル水素率0.1〜20;改質触媒上での炭化水素供給の液空間速度0.1〜10を含む。適切な改質温度は、600°〜1800°Fの範囲になることができる高温までファーネス管を加熱することによって達成される。
【0021】
本開示は、触媒リアクターシステムの補修に有用であることができる。特に、本開示は、改質触媒リアクターシステムの補修に有用であることができ、多様な各種改質触媒を使用できる。改質触媒は、どの改質触媒であることでき、例えば、耐熱無機酸化物上の第VIII群貴金属(アルミナ上白金およびアルミナ上Pt/Snおよびアルミナ上Pt/Reなど);L−ゼオライト、ZSM−5、シリカライトおよびベータなどのゼオライト上Pt、Pt/SnおよびPt/Reなどのゼオライト上の第VIII群貴金属;およびアルカリおよびアルカリ土類金属交換L−ゼオライト上の第VIII群貴金属である。少なくとも1個の第VIII群金属を負荷した大型孔径ゼオライトであることができる。ある実施態様では、第VIII群金属は、白金であることができ、これは、他の第VIII群金属よりも、デヒドロサイクリゼーションに対して選択性が高く、改質反応条件下で安定であることができる。ある実施態様では、当該触媒は、触媒重量の0.1%〜5%の白金を含有できる。
【0022】
用語「大型孔径ゼオライト」は、6〜15オングストロームの有効孔径を有するゼオライトと定義される。大型孔径ゼオライトの例は、L型ゼオライト、マザイト(Mazzite)、モーデナイト(Mordenite)、ゼオライトXおよびゼオライトYである。L型ゼオライトは、米国特許第3,216,789号に記述されている。ゼオライトXは、米国特許第2,882,244号に記述されている。マザイトは、米国特許第4,503,023号および第4,021,447号に記述されている。モーデナイトは、米国特許第4,503,023号に記述されている。ゼオライトYは、米国特許第3,130,007号に記述されている。米国特許第3,216,789号、第2,882,244号、第4,503,023号、第4,021,447号および第3,130,007号に記述されており、参照することによって本明細書に組み入れられており、改質プロセスに有用なゼオライトを示している。ある実施態様では、ゼオライトは、L型ゼオライトである。
【0023】
触媒リアクターシステム100などの触媒リアクターシステムでは、多くの事象によって、当該システムの停止および補修が必要になる場合がある。触媒リアクターシステム、例えば改質リアクターシステム、の補修は、様々な理由で必要になる可能性があり、触媒のライフサイクル全体の各種時点で起こり得る。例えば、触媒リアクターシステムにおいて、容器を点検し、作業上の問題を診断し、あるいは、各種問題を修復する上で、補修が必要と思われる。別法として、触媒リアクターシステム100内の一部の箇所で圧力上昇が起こるために、補修が必要であると思われる。コーキングが炭化水素処理に共通の問題であるように、触媒リアクターシステム100がコーキングによって詰まる可能性がある。コーキング発生時に問題が解決されないと、流れが制限され、圧力が高まり、生産が制限され、最終的に設備の機械的限界を越える可能性がある。よって、圧力増加を引き起こす可能性のあるコークや他の材料を廃棄するために、コーキングには1個以上のリアクター内のクリーニングおよび/または触媒の投棄および検査を必要であると思われる。触媒リアクターシステム100全体の様々な場所で他の事象が数多く発生し、触媒リアクターシステム100の停止および補修を必要とする可能性がある。運転停止が必要になるどの事象に対しても、また、触媒リアクターシステムの補修に対して、完全な触媒再生が望ましい場合を除いて、本開示の補修処理を使用することができる。ある実施態様では、補修は、触媒の投棄および検査を含む。ある実施態様では、補修は、補修後の触媒の再充填およびその後の触媒リアクターシステムの始動を含む。
【0024】
ある実施態様では、補修は、触媒リアクターシステムの運転停止および補修を含めた使い切った触媒の取替えを含む。触媒活性が経済的に使用可能な量までもはや再生できない時点で、当該触媒をリアクターシステムから取り出し、新鮮な触媒に取り替えることができる。使い切った触媒は、簡単に取り出され、当該触媒からの金属の再利用が可能であり、もはや触媒リアクターシステム100では使用されないので、活性および汚れ率は、ほとんど、または、まったく心配がないと思われるが、触媒リアクターシステム補修に関する本開示の方法を使用することによって、エネルギーコスト、補修時間およびリアクターシステムの停止時間を削減することもできる。
【0025】
ある実施態様では、図2の触媒リアクターシステム100を停止し、安全に補修できるように、1個より多い有害物質が当該システムから削減される。ある実施態様では、一定期間運転していた触媒リアクターシステム100は、例えば、触媒リアクターシステム100の第1リアクター中に発生する持続的昇圧のために、補修する必要があると思われる。当該実施態様では、何ヶ月間もの残りの触媒活性が、現行サイクルに残るように、当該リアクター100中の触媒、例えば白金触媒、を、少し前に再生しておくことができる。第1リアクター10の触媒を廃棄、検査するために触媒リアクターシステム100の補修に運転停止を予定することができる。
【0026】
ある実施態様では、リアクターシステムを停止し、触媒リアクターシステム100の補修前に1個よりも多い有害物質の低温酸化を実施する。最初にリアクター入口温度を低下させ、その後、触媒リアクターシステム100への炭化水素供給を停止することによって、改質反応を停止する。次に、水素ストリッピングによって触媒リアクターシステム100から炭化水素を除去した後、リアクター入口温度をさらに低下させる。触媒リアクターシステム100に窒素でパージすることができる。リアクターシステム100中に存在する有害物質は、低温酸化によって削減できる。有害物質レベルを監視し、それに対応して当該酸化を制御できる。さらに、酸化中に、当該リアクター全体の発熱を制御できる。低温酸化は、触媒リアクターシステム100内部の有害物質の所望(例、安全な)レベルが得られるまで、継続する。その後、酸化を停止し、触媒リアクターシステム100を冷却し、開けて補修する。任意に、触媒リアクターシステムから触媒を取り出す。補修を完了し、取り出す場合には再充填した際に、触媒リアクターシステム100を閉鎖し、触媒リアクターシステム100を始動させる。
【0027】
図2に関して、触媒リアクターシステム100中の改質反応を停止するには、最初に、リアクター入口70、72および74で、リアクター入口温度を約925〜950°F から約600〜700°Fまで低下させる。ファーネス11、21および31への熱源(図示せず)を制御し、例えば、必要に応じて、それぞれのファーネス11、21および31のバーナーを停止することによって当該温度を低下させる。いったんリアクター入口70、72および74の温度が約700°Fになると、触媒リアクターシステム100への液体炭化水素の供給を中断できる。
【0028】
供給中断後、改質リアクターシステムからの残留水素を、ライン50からリサイクルし、触媒リアクターシステム100を通して流し、酸化開始に先行して触媒リアクターシステムから炭化水素の少なくとも一部のストリッピングを可能にする。別法として、炭化水素のストリッピングに窒素を使用できる。水素ストリッピング中、リアクター入口70、72および74のリアクター入口温度を約700°Fに、また、750°F以下に維持し続けることができる。触媒リアクターシステム100は、約80%水素リサイクル量を維持しながら、徐々に約15psigまで圧抜きすることができる。水素ストリッピングは、少なくとも約4時間、あるいは、液滴の蓄積速度が約5ガロン/時以下に降下するまで、継続できる。その後、必要に応じて、それぞれのファーネス11、21および31のバーナーを停止することによって、触媒リアクターシステム100を約350°F〜約500°F、別に約400°F〜約425°Fのリアクター入口温度まで、約100°F/時の割合で、冷却することができる。水素ストリッピングは、蓄積速度が1ガロン/時よりも低い速度になるまで継続することができ、その時点で、炭化水素を適切にストリップしておくことができる。
【0029】
その後、触媒リアクターシステム100は、窒素を使って約15psigまで当該システムを加圧することによって、炭化水素液パージを行うことができる。ライン50で得たリサイクルガスサンプル(図2にはサンプル場所未掲載)の気体分析で測定して、触媒リアクターシステム100中の98%窒素雰囲気が達成されるまで、窒素パージを継続できる。次に、触媒リアクターシステム100を、さらに、いずれかの有効圧、別に約150psigよりも低圧、別に約100psigよりも低圧、別に約60psigよりも低圧、別に約1〜60psigの低圧、まで加圧することができる。加圧中、リアクター入口温度を監視し、約400°F〜約450°Fの温度限界を越えないようにする。
【0030】
この時点で、サンプリング管または他のサンプリング手段でのサンプル採取による有害物質レベルの監視と同時に有害物質酸化による有害物質の削減を開始できる。これについて、さらに詳細に下記する。酸化には、酸化温度を制御するのに十分に低い速度だが、触媒リアクターシステム100中に存在する有害物質、ならびに、他の炭化水素の酸化を開始するのに十分な酸素を提供する速度で、触媒リアクターシステム100にライン52から空気を注入することができる。ある実施態様では、空気を、約300〜500°Fの温度、および、リアクターシステム内の酸素濃度が以下のモル%範囲内で維持されるような速度で注入することができる;即ち、約0.005〜約5モル%酸素、約0.01〜約2モル%酸素、約0.1〜約1モル%酸素、約0.25〜約0.5モル%酸素である。有害物質を含む炭化水素は、第1リアクター10全体で酸化されるので、これらは、そのリアクターにおいて高い発熱が起こる可能性がある。リアクター10、20および30全部で、発熱量を監視し、約125°Fよりも低温に維持し、空気注入を減少させ、過剰の発熱を制御/防止することによって、ファーネス温度を低下させることによって、窒素を注入することによって、あるいは、それらの組み合わせによって、触媒の白金焼結を回避する。有害物質を含めた炭化水素の大半を第1リアクター10中で酸化できる。そのため、リアクター10からの酸素の漏出を、入口70と出口71でオンライン酸素モニターによって監視できる。いったん酸素漏出が起こると、有害物質がほぼ削減され、さらに頻繁な有害物質の監視を開始できる。定期的に有害物質レベルを監視し続けながら、約0.005〜約5モル%、約0.01〜約2モル%、約0.1〜約1モル%、約0.25〜約0.5モル%酸素のいずれかのモル%酸素範囲内で触媒リアクターシステムの酸素濃度を維持するような割合の当該触媒リアクターシステムへの空気注入によって、酸化を継続する。触媒リアクターシステム100の酸化は、この方法で続き、当該酸化は、有害物質レベルの監視に対応して制御できる。
【0031】
図2では、触媒リアクターシステム100の有害物質レベルは、酸化プロセス中に、当該システム内の様々な場所でサンプルを入手することによって監視できる。サンプルは、触媒リアクターシステム100中の簡便な配管またはチューブを経由し、例えば当該システム内のリアクターの入口または出口、改質リアクターシステム中に形成される水を除去するためのリサイクル乾燥器54の入口56または出口57で、あるいは、必要に応じて、システム全体のサンプルポイントで抜き出すことができる。ある実施態様では、有害物質は、第1リアクター10の入口70および出口71で、また、最終リアクター30の出口75でサンプルを収集することによって監視される。連続する全リアクター10、20および30全体の有害物質レベルは、リアクターシステムの出口(例えば、最終リアクター30の出口75)でサンプルを分析することによって、監視できる。プロセスループの残り部分全体の有害物質レベルは、リアクターシステムの入口(例、第1リアクター10の入口70)でサンプルを分析することによって、監視できる。各サンプルは、ガスアナライザーで分析できる。例えばGastec(登録商標)または


によって入手可能な市販のガス検知器チューブまたはチップ測定システムを使用できる。
【0032】
有害物質の酸化は、当該有害物質が安全曝露レベルに削減するまで進行する。本明細書で使用する場合、有害物質を削減することは、米国労働安全健康局(United States Occupational Safety & Health Administration OSHA)または米国産業衛生専門家会議(American Conference of Governmental Industrial Hygienists ACGIH(登録商標))が報告したとおりの安全曝露レベルまたはそれよりも低い濃度まで実質的に全ての有害物質を除去することを意味する。ある実施態様では、有害物質の削減は、低温で当該有害物質を酸化することによることができる。ある実施態様では、有害物質(例、ベンゼン)は、当該有害物質の分解温度と等しいかそれも高い温度、および、触媒の再生温度よりも低い温度、例えば約350°F〜約500°F、別に約400°F〜約450°Fで当該有害物質を酸化することによって触媒リアクターシステムから削減することができる。ある実施態様では、有害物質はベンゼンを含む。この実施態様では、リアクターシステムの入口および出口位置で得られるサンプルについて測定した場合、ベンゼンが、約1.0ppmvよりも低い安全曝露レベル、即ちOSHAベンゼン許容曝露限度(PEL)、 まで削減される。有害物質の安全曝露レベルが達成されると、システム圧を徐々に約15psigまで低下させ、システム内のポケットに存在すると思われる残りの有害物質が発生する可能性がある。よって、発生するどの追加有害物質も、酸化できる。有害物質を安全曝露レベルまで削減した時点で、酸化を停止できる。ここで、そのようにして削減された有害物質が不活性状態に遷移し、曝露に対して安全となることができる。
【0033】
ある実施態様では、有害物質を確実に削減するため、任意に、追加測定または補足的監視を実施し、触媒リアクターシステム開放直後に有害物質レベルを検査することができる。当然、当該補足的監視は、受容できないレベルが検出される場合に職員を有害物質に曝露しないような方法(例えば、内蔵型呼吸器の使用によって)で実施することが必要である。
【0034】
ここで、リアクター10からの触媒は、検査に必要ならば、安全に取り出すことができる。必要ならば、この時点で、リアクターシステムの他種の補修を実施することができる。ある実施態様では、補修手順は、触媒リアクターシステム100からの使い終わった触媒の取り出しに関する。この実施態様では、その後、新鮮な触媒を触媒リアクターシステムに充填することができる。別の実施態様では、当該リアクターシステム、ファーネスチューブ、熱交換器およびすべての付随パイプに機械修理および補修作業を実施できる。
【0035】
触媒リアクターシステム100の始動は、既知の触媒活性化法による触媒活性化を含むことができる。
【0036】
触媒活性は、等価加重平均入口温度(Equivalent Weighted Average Inlet Temperature,WAIT)、即ちT−eqに換算して定量することができる。リアクターシステムの実際のWAITは、本明細書で使用する場合、触媒リアクターシステム100を含む個々のリアクターの全実測入口温度の総触媒重量に基づいた加重平均である。例えば、リアクター10、20および30の入口温度が960°F、969°Fおよび973°Fであり、各リアクターが等量の触媒を含有する場合、実際のWAITは、(960+969+973)/3=967.3°Fである。T−eqは、本明細書で使用する場合、炭化水素供給速度、リサイクル水素対炭化水素モル比、平均リアクター圧および供給転換可能成分の濃度などの、標準的なリアクター運転諸条件で特定の転換まで触媒改質を進行させるのに必要と思われる等価リアクター加重平均入口温度(WAIT)である。T−eqは、標準条件で進行させることによって、あるいは、リアクター変数の測定値に基づいてT−eqを推定するのに適した相関性を使用することによって、確定することができる。ある実施態様では、触媒は、1回以上の触媒サイクルを有することができる。本明細書で使用する場合の「サイクル終了T−eq」は、触媒活性サイクル終了時の等価温度と定義される。触媒は、各サイクル後、完全に再生することができないので(図1に示す通り)、その寿命は、経済的に有用な最大サイクル数によって制限される。触媒の寿命終了は、最終サイクル時に、それがサイクル終了T−eqに達する時点であり、本明細書では、寿命終了T−eqとも称する。
【0037】
ある実施態様では、サイクル終了間際でない触媒活性サイクル中のある時点、で起こる補修事象に対して本開示の運転手順は最も経済的に使用できる。その、ある時点とは、例えば、T−eqで測定した場合に、削減前の触媒活性が、サイクル終了T−eqよりも低い少なくとも約30°F、別に、サイクル終了T−eqよりも低い少なくとも約20°Fとなる時点である。別法として、補修事象が活性サイクル終了近く(最終活性サイクルではない)、例えば、現活性サイクル終了前2ヶ月間以内に起こる場合、および/または、T−eqで測定した触媒活性が、サイクル終了T−eqよりも低い少なくとも約30°Fでない場合、別に、T−eqで測定した触媒活性が、サイクル終了T−eqよりも低い少なくとも約20°Fでない場合には、本明細書に記述されているような削減処理を実施するよりも、触媒を再生するのが経済的に有利であると思われる。さらに、補修事象が触媒寿命の終了(即ち、最終活性サイクル)近く、例えば、寿命終了前2ヶ月間以内に起こる場合、および/または、T−eqで測定した触媒活性が、寿命終了T−eqよりも低い少なくとも約15〜20°Fでない場合には、最終サイクルがより完全に完了し、その時点で、低温削減プロセスを実施し、使い切った触媒を安全に取り出すことができるまで、可能な限り、削減を延期する方が望ましいことがある。
【0038】
ある実施態様では、触媒活性は、本明細書に記述の削減前後で実質的に同一である。ある実施態様では、触媒活性は、削減後約1ヶ月間、一時的に増加することができる(削減後のT−eqの減少で明らかなとおり)。しかし、この一時的な増加後、T−eqで測定された触媒活性は、削減前の活性の約20°F以内に、別に、削減前の活性の約15°F以内に、別に、削減前の活性の約10°F以内に復帰することができる。
【0039】
本明細書で使用する場合の汚れ率は、触媒改質プロセス中で1週間当りのT−eqの変化として定義され、触媒活性変化の測定に使用できる。本明細書に開示される方法を利用し、触媒リアクターシステムを補修することによって、補修前後で実質的に同じ汚れ率を維持しながら、有害物質を触媒リアクターシステムから削減できる。ある実施態様では、汚れ率は、削減後約30%以下(たかが30%)、別に削減後約25%以下(たかが25%)、別に削減後約20%以下(たかが20%)増加することができる。
【0040】
開示された触媒リアクターシステム補修法は、触媒リアクターシステムから発する有害物質削減のための当該触媒リアクターシステムの酸化を含み、補修時間を、当該触媒リアクターシステムの完全再生酸化に要する時間の約50%、別に約60%、別に約75%短縮できる。先に完了した再生酸化は、酸素導入から冷却まで約43時間かかった。これは、完全に炭素を除去するための24時間の保持を含んだ。この保持を除くと、時間は、約19時間、例えば削減プロセスのための9時間の約2倍になる。これは、いったんベンゼンの安全曝露レベルが得られると、酸化を停止するが、酸化に対して必要な時間が、触媒リアクターシステムを完全再生酸化するよりも短いためであると考えられる。さらに、酸化は、典型的には、触媒リアクターシステムの完全再生酸化よりも低温であり、そのため、酸化温度まで加熱する時間の節約になり、当該リアクターシステムの冷却時間も、触媒リアクターシステムの完全再生酸化に要する冷却時間よりも短い。
【実施例】
【0041】
一般に記述されている有害物質の酸化による触媒リアクターシステムの補修法について、本開示の方法の特定の実施態様として以下の実施例を示し、その実施および長所を明らかにする。当然ながら、本実施例は、例示にすぎず、本明細書または下記の特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。
【0042】
有害物質の安全曝露レベルまでの削減のために、第1リアクター10の触媒を廃棄、検査し、数個の主要交換器を清浄化する、図2に示すものなどの触媒リアクターシステムの補修を、上記の方法に従って実施した。本開示で述べる手順に従って、最大約425°Fでの低温酸化を実施し、触媒リアクターシステムから残留有害物質を除去し、触媒リアクターシステム補修後に使用するため、残りのサイクルの触媒活性を温存した。本実施例では、有害物質はベンゼンを含み、触媒リアクターシステムは、容易に入手可能な、ナフテンから芳香族への改質に有用な白金触媒を用いる。
【0043】
ベンゼンについての触媒リアクターシステムの定期的サンプリングを実施し、ベンゼン削減が完璧であると見なし得る時点を決定した。触媒リアクターシステムのサンプル採取場所は、第1リアクター入口および出口、ならびに、最終リアクター出口の各サンプルポイントを含んだ。酸化の進行に伴うベンゼン濃度の変化を監視するために、これらのサンプルポイントを、乾燥器の入口および出口サンプルポイントとともに使用した。
【0044】
ベンゼン測定値の入手に、2個のベンゼンモニターを使用した。一方は、121型ベンゼン検出器チューブ付きGastec(登録商標)ポンプであった。他方のモニターは、5ppmvよりも低い測定値に使用される電子


装置であった。ベンゼン監視サンプリングデータを以下の表1に示す。
【表1】

【0045】
表1から分かるように、酸化開始前の第1リアクター出口の初期サンプルは、60ppmvであった。空気導入から約30分後、これが、下降し始めた。2.5時間後には約7ppmvであった。いったん、酸素がリアクターから漏出(breakthrough)し、炭化水素酸化燃焼部で減少の合図になると、レベルは、約1ppmvよりも低いレベルまで下降し、そこで維持された。最終リアクター出口の初期サンプルは、約60ppmvであったが、炭化水素酸化中、増加した。いったん酸素が第1リアクターから漏出すると、レベルが下降し、最終的に、1ppmvよりも低いレベルに達した。第1リアクター入口の初期サンプルは、8ppmvで始まり、その後、80ppmvまで増加し、最終的に、1ppmvよりも低レベルに下降した。
【0046】
初めに、触媒リアクターシステムは、通常の水素ストリッピング後でさえ、低レベルのベンゼンを含有する。いったん空気が注入されると、ベンゼンを含む炭化水素は、第1リアクター全体で酸化し始める。酸素は限られているので、炭化水素の少なくとも一部は酸化しない。下流リアクターのベンゼンは、酸素が第1リアクターから漏出するまで、減少しない。最終リアクター出口での測定ベンゼンの若干の増加は、上流リアクターから起こる一時的な反応であった。酸素注入開始から酸素漏出までの時間は、約2時間であった。第1リアクター入口が約1ppmvよりも低いレベルのベンゼンレベルを得るには、さらに約4時間かかった。
【0047】
第1リアクターの廃棄中、電子


モニターをリアクター内に下ろすことによって、2回の追加ベンゼン測定値を得た。第1の測定値は、リアクター最上部付近で得た。ベンゼンレベルは、0.2ppmvよりも低レベルであった。第2の測定値は、触媒の約2/3を廃棄した後、また、パイプレートを取り出した後の、触媒の真上で得た。測定値は、低温酸化が、OSHA基準の1ppmvよりも低いレベルまでの触媒リアクターシステムのベンゼン汚染からの清浄化に成功したことを示していた。
【0048】
低温酸化の前後に、触媒活性を測定し、当該触媒活性が有意に変化したか否かを決定した。この決定を下すため、等価加重平均入口温度(WAIT)、即ち、T−eq、を使って、活性の目安を定めた。T−eqは、具体的な全速度(full−rate)、全転換条件で運転するのに必要な触媒リアクター入口温度を推定するため、実測流速、圧力および実測リアクター入口温度を使って算出した。
【0049】
結果を図3に示し、等価正規化データ(T−eq)を、実測データとともに示す。等価正規化データの分散の範囲内で、触媒活性は、低温酸化後、有意に変化しなかったことが分かる。また、触媒汚れ率は、データの傾きから明らかなように、有意に変化せず、低温酸化前とほぼ同じである。
【0050】
本実施例は、触媒リアクターシステムの低温酸化が、当該触媒リアクターシステム中の残留ベンゼンの除去に成功し、触媒活性を有意に変化させなかったことを実証している。
【0051】
上記の説明において、同様の部分は、明細書および図全体で、それぞれ、同じ参照番号が付されている。図は、必ずしも原寸大ではない。本発明のいくつかの特徴は、寸法が誇張されているか、あるいは、幾分略図になっており、一部の普通の要素の詳細は、明瞭かつ簡潔にするために示されていない。本開示は、各種形態の実施態様に対応できる。図が示されており、本開示の詳細な、具体的実施態様で記述されており、当然ながら、本開示は、本発明の原理の例示であり、本発明を本明細書で図解および記述されているものに制限しようとするものではない。具体的には、触媒リアクターシステムの運転法に関する本開示は、記述されている各種実施態様のいずれにも制約されない。本明細書に記述されている方法は、触媒リアクターシステムの補修に関するものであり、リアクターシステムが触媒リアクターシステムであるような適切なリアクターシステムならばいずれにも有用であると思われる。ある実施態様では、本開示の方法は、ナフサ転換用触媒改質システムに対するものであり、上記の詳細な説明は、この実施態様に焦点を絞ることができるが、当然ながら、本発明は、さらに広い用途を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、触媒リアクターシステムのための典型的触媒ライフサイクルの仮定上のグラフである。
【図2】図2は、本発明での使用のための適切な触媒リアクターシステムの図である。
【図3】図3は、本開示に従って触媒リアクターシステムから有害物質を削減する前後に重み付け平均入口温度(WAIT)として測定した触媒活性を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒リアクターシステムの補修法であって、内部に含有される触媒活性を温存しながら、少なくとも1個の有害物質を触媒リアクターシステムから削減することを含む補修法。
【請求項2】
前記削減が少なくとも1個の有害物質の酸化を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1個の有害物質の酸化が、約350°F〜約500°Fの温度で起こることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の少なくとも1個の有害物質が安全曝露レベルまで削減されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記の少なくとも1個の有害物質がベンゼンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、少なくとも1個の有害物質の量を監視し、それに対応して少なくとも1個の有害物質の酸化を制御することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記の少なくとも1個の有害物質の監視が、さらに、前記の触媒リアクターシステムの入口および出口でのサンプルの入手を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記の少なくとも1個の有害物質が安全曝露レベルまで削減されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記の少なくとも1個の有害物質がベンゼンを含み、ベンゼンが約1ppmvよりも低い量まで削減されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒活性が補修前後で実質的に同一であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒活性が、補修後にT−eqで測定した場合に、補修前の触媒活性の約20°F以内であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒活性が、補修前にT−eqで測定した場合に、サイクル終了T−eqよりも低い約30°Fであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
汚れ率が、1週間当りのT−eqの変化で測定した場合に、補修後、約30%以下増加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒リアクターシステムが固定床リアクターシステムであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒リアクターシステムが改質リアクターシステムであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒リアクターシステムが複数のリアクターを含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒が改質触媒であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒が白金触媒であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒が1回よりも多い触媒活性サイクルを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記補修が触媒の廃棄および検査を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記補修が使い切った触媒の取替えを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
さらに、使い切った触媒からの金属の再利用を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
さらに、前記触媒リアクターシステムの補修後の触媒の再充填およびその後の始動を含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
触媒リアクターシステムの補修法であって、約350°F〜約500°Fの温度で触媒リアクターシステムを酸化して触媒リアクターシステムから少なくとも1種類の有害物質を削減し、触媒リアクターシステムの完全再生酸化に要する時間を約50%短縮することを含む補修法。
【請求項25】
少なくとも1個の有害物質が安全曝露レベルまで削減されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
触媒リアクターシステムの補修法であって、前記触媒リアクターシステムから少なくとも1個の有害物質を削減し、それによって、内部に含有される触媒の汚れ率が補修前後で実質的に同一になることを含む補修法。
【請求項27】
触媒リアクターシステム中の酸化処理を制御する方法であって、
a)約350°F〜約500°Fの温度で触媒リアクターシステムを酸化し、
b)触媒リアクターシステム内の少なくとも1個の有害物質の削減を監視し、
c)監視に対応して酸化を制御し、その結果、システム内部に含有される触媒の活性を温存し、少なくとも1個の有害物質を安全な曝露レベルまで酸化すること
を含む制御法。
【請求項28】
触媒寿命を温存するために、触媒の再生前に酸化を停止することを特徴とする、請求項27に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−528786(P2007−528786A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503027(P2007−503027)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/008028
【国際公開番号】WO2005/089923
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502303175)シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー (42)
【Fターム(参考)】