説明

リジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法

【課題】内層フレキシブル配線板の中心の支持基板を貫くスキップビアあるいはスルーホールを、絶縁性を高く、かつ、接続信頼性を高く形成する。
【解決手段】フレキシブル配線板の支持フィルムに、レーザ穴あけにより下穴を形成し、前記下穴を、銅箔付きカバーレイフィルムの接着層の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板を製造し、前記樹脂で充填された下穴の位置に、レーザ穴あけにより、前記下穴の径より小さい径で、前記支持フィルムを貫くスキップビア用穴あるいはスルーホール用孔を形成し、前記スキップビア用穴あるいはスルーホール用孔をデスミアし、前記スキップビア用穴あるいはスルーホール用孔を銅めっきで充填してスキップビアあるいはスルーホールを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線板とリジッド配線板とからなるリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、折りたたみ式の携帯電話等の携帯用電子機器には、リジッドフレキシブルプリント配線板が使用されている。このようなプリント配線板として例えば特許文献1の技術が知られている。特許文献1では、柔軟性のない硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結するとともに、リジッド部においては、フレキシブル配線板の配線パターンとリジッド配線板の配線パターンを、ビアフィルめっきによる金属柱を介して電気的に接続してリジッドフレキシブルプリント配線板を製造する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1では、ポリイミドシートを中心の支持基板に用いた内層フレキシブル配線板に配線パターンを形成した。そして、その内層フレキシブル配線板の両側に厚さが同じリジッド部のコア基板を並置した上で、そのコア基板の全面と、内層フレキシブル配線板の一部に、その上下面に絶縁層を積層してリジッドフレキシブルプリント配線板を製造していた。その製造過程で、内層フレキシブル配線板の両面にビルドアップ層を積層した後に、穴あけ用レーザ光を、ビルドアップ層の表面から内層フレキシブル配線板内の金属層に達するまで照射して、ビルドアップ層と内層フレキシブル配線板の層との複数の絶縁層を貫く2階高バイアホール(スキップビア)を形成した。しかし、内層フレキシブル配線板の中心の支持基板を貫くスキップビアあるいはスルーホールは形成していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2008/050399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術で、仮に、内層フレキシブル配線板の中心の支持基板を貫くスキップビアあるいはスルーホールを形成すれば、その支持基板にポリイミドシート、あるいは、LCP基板(液晶ポリマー)のシートを用いた場合は、以下の問題が生じた。すなわち、内層フレキシブル配線板の中心の支持基板にポリイミドシートや液晶ポリマーのシートを用いる場合は、それらの材料が過マンガン酸を用いたデスミアに対する耐性が強く、材料の表面が容易に粗化されないので、一般的デスミア処理ではその材料への無電解めっきの密着性が悪く、ひどい場合には無電解めっきが析出しない問題があった。
【0006】
そのため、これらの材料の密着性を改善するために、プラズマ処理などでの強力なデスミア処理を行えば良いとも考えられるが、プラズマ処理によるデスミア処理を行う場合は、処理能力が高い過マンガン酸を用いたウエットラインによるデスミア処理よりもデスミアのコストが高くなる問題があった。
【0007】
また、リジッドフレキシブルプリント配線板において、フレキシブル配線板を貫くスキップビアあるいはスルーホールを設けた場合、フレキ部のフレキシブル配線板が屈曲させられる際に、フレキシブル配線板を貫くスキップビアあるいはスルーホールにストレスが加わりスキップビアあるいはスルーホールのめっき接続部分が破損し易いので、そのスキップビアあるいはスルーホールの接続信頼性が低い問題があった。
【0008】
特に、リジッドフレキシブルプリント配線板の内層フレキシブル配線板に、耐デスミア性が異なる異なる複数の絶縁層にまたがるスキップビアあるいはスルーホールを形成する場合は、以下のように、絶縁性と接続信頼性のバランスを取った最適なデスミアを行うのが難しい問題があった。つまり、絶縁層とスキップビアあるいはスルーホールの接続信頼性を高くするために、それが形成される穴壁の絶縁樹脂との密着力を強くするようにデスミアを強くすると、その強いデスミアによって、耐デスミア性が低い絶縁層の粗化が進んで絶縁信頼性が悪くなる問題がおきる等、絶縁性と接続信頼性のバランスを取るのが難しい問題があった。
【0009】
本発明の課題は、上記の問題を解決して、内層フレキシブル配線板の中心の支持基板を貫くスキップビアあるいはスルーホールを、絶縁性を高く、かつ、接続信頼性を高くしたリジッドフレキシブルプリント配線を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結したリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
フレキシブル配線板の支持フィルムに、レーザ穴あけにより下孔を形成する工程と、
前記下孔を、銅箔付きカバーレイフィルムの接着層の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板を製造する工程と、
前記樹脂で充填された下穴の位置に、レーザ穴あけにより、前記下穴の径より小さい径で、前記支持フィルムを貫くスキップビア用穴あるいはスルーホール用孔を形成する工程と、
前記スキップビア用穴あるいはスルーホール用孔をデスミアする工程と、
前記スキップビア用穴あるいはスルーホール用孔を銅めっきで充填してスキップビアあるいはスルーホールを形成する工程と、
前記内層フレキシブル配線板の表面の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、上記のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
金属柱中間ランドの金属層を有するフレキシブル配線板の支持フィルムに、レーザ穴あけにより、前記金属柱中間ランドに達するスキップビア下穴を形成する工程と、
前記スキップビア下穴を、銅箔付きカバーレイフィルムの接着層の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板を製造する工程と、
前記樹脂で充填されたスキップビア下穴の位置に、レーザ穴あけにより、前記スキップビア下穴の径より小さい径で、前記支持フィルムを貫き前記金属柱中間ランドに達するスキップビア用穴を形成する工程と、
前記スキップビア用穴をデスミアする工程と、
前記スキップビア用穴を銅めっきで充填してスキップビアを形成する工程と、
前記内層フレキシブル配線板の表面の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、上記のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
フレキシブル配線板の支持フィルムに上下面からのレーザ穴あけにより、前記支持フィルムを貫通する貫通下孔を形成する工程と、
前記貫通下孔を、銅箔付きカバーレイフィルムの接着層の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板を製造する工程と、
前記樹脂で充填された貫通下孔の位置に、上下面からのレーザ穴あけにより、前記貫通下孔の径より小さい径で、内層フレキシブル配線板を貫通するスルーホール用孔を形成する工程と、
前記スルーホール用孔をデスミアする工程と、
前記スルーホール用孔を銅めっきで充填してスルーホールを形成する工程と、
前記内層フレキシブル配線板の表面の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、フレキシブル配線板1aの支持フィルム1にレーザ穴あけにより、金属柱中間ランド3及び4に達するスキップビア下穴3a、4aを形成して、そのスキップビア下穴3a、4aを、銅箔付きカバーレイフィルム20の接着層22の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板30を製造する。次に、その樹脂で充填されたスキップビア下穴3a、4aの位置に、レーザ穴あけにより、スキップビア下穴3a、4aの径より小さい径で、金属柱中間ランド3及び4に達するスキップビア用穴3b、4bを形成する。
【0014】
そうすると、そのスキップビア用穴3b、4bに露出する樹脂は接着層22の樹脂であり、支持フィルム1の樹脂は露出しないので、そのスキップビア用穴3b、4bに露出する樹脂が良好にデスミアでき、銅めっきでその穴を充填してスキップビア3c及び4cを形成する。ここで、デスミア性が劣る支持フィルム1の樹脂は接着層22の樹脂で保護されて露出しないので、安定したデスミアが行え、デスミア条件の最適化が行える。それにより、デスミアされるスキップビア3c及び4cの樹脂のデスミアによる絶縁劣化を軽減でき、樹脂部分の絶縁信頼性が優れたスキップビア3c及び4cを形成できる効果がある。
【0015】
また、スキップビア用穴3b及び4bの底に露出する金属柱中間ランド3及び4の表面は、スキップビア下穴3a、4aを形成する際のレーザ穴あけと、スキップビア用穴3b、4bを形成する際のレーザー穴あけとの2度のレーザー穴あけによって表面の樹脂をレーザーで除去するので、スキップビア用穴3b及び4bの底に露出する金属柱中間ランド3及び4の表面の樹脂が良好に除去されるため、金属柱中間ランド3及び4の表面にスキップビア3c及び4cの充填めっきが強固に結合して形成され、高い接続信頼性を有するスキップビア3c及び4cが形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の平面図である。(b)は、図1(a)の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図5】(f)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。(g)は、図5(f)の平面図である。
【図6】(h)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。(i)は、図6(h)の平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図8】(n)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する平面図である。(o)は、図8(n)の断面図である。
【図9】(p)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する平面図である。(q)は、図9(p)の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図13】(a)本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の平面図である。(b)は図13(a)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1(a)に、本発明の第1の実施形態の、リジッド部101とフレキ部102を併せ持つ10層のリジッドフレキシブルプリント配線板10の平面図を示し、図1(b)に、その側面の断面図を示す。図2〜図9は、第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を説明する断面図及び平面図である。
【0018】
図1(b)に示すように、第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10は、ポリイミド樹脂フィルムや液晶ポリマーフィルムなどの有機樹脂の、厚さが10μm以上で100μm以下で可撓性のあるフィルム状の支持フィルム1を中心に持つ。支持フィルム1の表裏面には銅箔2aをエッチングして配線パターン2が形成されている。
【0019】
また、ポリイミド樹脂フィルムや液晶ポリマーフィルムから成るフレキシブル配線板1aには、図2(c)のように、上面と下面から穴あけ用レーザ光Lを照射して穴あけすることで、上側の面から下の金属柱中間ランド3に至るスキップビア下穴3aを形成し、下側の面から上の金属柱中間ランド4に至るスキップビア下穴4aを形成する。
【0020】
図3(d)のように、支持フィルム1を貫くスキップビア下穴3aと4aが形成されたフレキシブル配線板1aの両面を銅箔付きカバーレイフィルム20で覆う。銅箔付きカバーレイフィルム20は、全体の厚さが20μm〜70μmのフィルムであり、片面に厚さ12μm程度の銅箔20aが張り合わされ、その銅箔20aの下層に厚さ8μm〜60μmのエポキシ系接着層を有する。そのエポキシ系接着層は、下層側の厚さ20〜40μm程度のエポキシ系接着層22と上層のポリイミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21の層との2層構成で形成されていても良い。この銅箔付きカバーレイフィルム20を支持フィルム1の両面に接着することで、図3(e)のように、支持フィルム1のスキップビア下穴3aと4aがエポキシ系接着層22の樹脂で封入された内層フレキシブル配線板30を製造する。
【0021】
次に、図4(f)のように、内層フレキシブル配線板30の上面と下面から穴あけ用レーザ光Lを照射して穴あけすることで、樹脂で封入されたスキップビア下穴3a及び4aの中に、そのスキップビア下穴3a、4aの穴径より小さい穴径で、金属柱中間ランド3及び4に達するスキップビア用穴3b及び4bを形成する。また、内層フレキシブル配線板30の下面と上面から、穴あけ用レーザ光Lを照射して、スキップビア用穴3bと4bが形成された金属柱中間ランド3と4のスキップビア用穴3bと4bと反対側の面に、金属柱中間ランド3と4に達する金属柱バイアホール用穴23aを形成する。更に、内層フレキシブル配線板30の上面と下面から、穴あけ用レーザ光Lを照射して、外層近くのランド2bに達するブラインドバイアホール用の穴24aを形成する。
【0022】
穴あけ用レーザ光Lによりスキップビア用穴3b、4bと金属柱バイアホール用穴23aとブラインドバイアホール用の穴24aを形成した場合は、それらの穴の底の金属面に薄い樹脂膜が残る場合がある。それらの穴底の残渣を除去するためと、穴の壁面を粗化して金属めっきと壁面との密着力を強くするためにデスミア処理を行う。このデスミア処理は、強アルカリにより樹脂を膨潤させ、その後、クロム酸、過マンガン酸塩水溶液などの酸化剤を使用して樹脂を分解除去する。
【0023】
次に、図4(g)のように、その内層フレキシブル配線板30の全面に無電解銅めっきに続いて電解銅めっき処理を行う。それにより、スキップビア用穴3b、4bと、金属柱バイアホール用穴23aとブラインドバイアホール用の穴24aに銅めっきの層で埋め込んで、2階高バイアホール(スキップビア)3c、4cと、ブラインドバイアホール23及び24を形成する。これにより、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、スキップビア3c、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23を接続した第1の金属めっき柱を形成し、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、スキップビア4c、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23を接続した第2の金属めっき柱を形成する。
【0024】
そして、図5(h)のように、内層フレキシブル配線板30の表面の金属めっき層をエッチングして表面に金属めっきパターンを形成した後に、図1(b)のように、その内層フレキシブル配線板30の一部の、第1の金属めっき柱又は第2の金属めっき柱を含む領域のリジッド部101の表側の面及び裏側の面にビルドアップ層40d、50d、60dを積層し、リジッド部101以外の内層フレキシブル配線板30の部分をフレキ部102として露出させたリジッドフレキシブルプリント配線板10を製造する。
【0025】
このリジッドフレキシブルプリント配線板10は、図1(b)のように、内層フレキシブル配線板30に形成したスキップビア3cを含む第1の金属めっき柱と、スキップビア4cを含む第2の金属めっき柱の上層及び下層に銅めっきが充填されたブラインドバイアホール41、51、61接続されて強固な多層金属めっき柱が形成されている。
【0026】
その多層金属めっき柱はリジッド部101に食い込んで強固に保持されるとともに、スキップビア3cの上下に形成された金属柱用ランド3dと金属柱中間ランド3とが、内層フレキシブル配線板30の上層のカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層とを上下から挟んで保持する。また、スキップビア4cの上下に形成された金属柱中間ランド4と金属柱用ランド4dとが、内層フレキシブル配線板30の上層の支持フィルム1の層とカバーレイフィルム20の層とを上下から挟んで保持する。それにより、カバーレイフィルム20が支持フィルム1の樹脂層に強固に結合され、カバーレイフィルム20と支持フィルム1との接合の信頼性を向上させる効果がある。
【0027】
(製造方法)
以下で、図2から図9を参照して、本発明の実施形態の、10層のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を説明する。
(内層フレキシブル配線板の製造方法)
先ず、リジッドフレキシブルプリント配線板10を構成する内層フレキシブル配線板30の製造方法を説明する。
【0028】
(工程1)
図2(a)のように、フレキ部102を形成する素材として、ポリイミド樹脂フィルム又は液晶ポリマーフィルムを支持フィルム1とし、両面に厚さが12μmから35μmの銅箔2aを有するフレキシブル配線板1aを準備する。そのフレキシブル配線板1aの支持フィルム1は可撓性のあるポリイミド樹脂フィルム又は液晶ポリマーフィルムである。
ここで用いるフレキシブル配線板1aは、それを構成する銅箔2aと支持フィルム1の間には、屈曲性・折り曲げ性を高めるために、接着剤層は存在しない方が好ましいが、その間に接着剤層が存在するフレキシブル配線板1aを用いることも可能である。
【0029】
(工程2)
次に、図2(b)のように、フレキシブル配線板1aの銅箔2aをエッチングすることで、フレキシブル配線板1aの両面に配線パターン2を形成し、下面に金属柱中間ランド3を形成し、上面に金属柱中間ランド4を形成し、また、後に形成するブラインドバイアホール24の位置にランド2bを形成する。
【0030】
(工程3)
図2(c)のように、ポリイミド樹脂フィルム又は液晶ポリマーフィルムから成るフレキシブル配線板1aの上側の面から、炭酸ガスレーザやYAGレーザなどのレーザ穴あけ装置を用いて、穴あけ用のレーザ光Lを照射することで、フレキシブル配線板1aの下面の厚さが12μmから35μmの金属柱中間ランド3に至る、直径が約80〜200μm程度のスキップビア下穴3aを形成する。同様にして、フレキシブル配線板1aの下側の面から上面の金属柱中間ランド4に至るスキップビア下穴4aを形成する。
【0031】
(変形例1)
変形例1として、上記の工程2から工程3までの工程を、以下の工程2Aから工程3で行うこともできる。
【0032】
(工程2A)
先ず、図2(a)の、フレキシブル配線板1aの両面の銅箔2aをエッチングして、スキップビア下穴3aの位置の上層の銅箔2aの部分に、スキップビア下穴3a形成用の窓をあけ、スキップビア下穴4aの位置の下層の銅箔2aの部分に、スキップビア下穴4a形成用の窓をあけて、下地の支持フィルム1を露出させる。
【0033】
(工程2B)
次に、レーザ穴あけ装置を用いて、フレキシブル配線板1aの表裏に露出した下地の絶縁樹脂フィルム21の面に穴あけ加工用レーザ光Lを照射することで、上側から金属柱中間ランド3に至るスキップビア下穴3aを形成し、下側から金属柱中間ランド4に至るスキップビア下穴4aを形成する。スキップビア下穴3aと4aとしては、直径が80〜200μm程度の穴をあける。
【0034】
(工程3)
次に、フレキシブル配線板1aのスキップビア下穴3aと4a形成用の窓以外の銅箔2aの部分をエッチングすることで、フレキシブル配線板1aの両面に配線パターン2を形成し、下面に金属柱中間ランド3を形成し、上面に金属柱中間ランド4を形成し、また、後に形成するブラインドバイアホール24の位置にランド2bを形成する。これにより、図2(c)のフレキシブル配線板1aが得られる。
【0035】
(工程4)
次に、図3(d)のように、支持フィルム1を貫くスキップビア下穴3aと4aが形成されたフレキシブル配線板1aの両面に、外層側の銅箔20aと、ポリイミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21と、内層側の熱硬化性のエポキシ系接着層22とから成る銅箔付きカバーレイフィルム20を積層する。
【0036】
銅箔付きカバーレイフィルム20は、全体の厚さが20μm〜70μmのフィルムであり、片面に厚さ12μm程度の銅箔20aが張り合わされ、その銅箔20aの下層にポリ
イミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21と、その下層に厚さ20μm〜40μm程度のエポキシ系接着層を有する。
【0037】
この銅箔付きカバーレイフィルム20を支持フィルム1の両面に接着することで、図3(e)のように、支持フィルム1のスキップビア下穴3aと4aを銅箔付きカバーレイフィルム20の絶縁樹脂フィルム21のエポキシ系接着層22の樹脂で封入した内層フレキシブル配線板30を製造する。
【0038】
(工程5)
次に、その内層フレキシブル配線板30の銅箔付きカバーレイフィルム20の銅箔20aを、内層の金属柱中間ランド3と4の表側と裏側の部分と、ランド2bの外層側の部分をエッチングして除去して、下地の絶縁樹脂フィルム21を露出させる。
【0039】
(工程6)
そして、図4(f)のように、炭酸ガスレーザやYAGレーザなどのレーザ穴あけ装置を用いて、基板の表裏に露出した下地の絶縁樹脂フィルム21の面に穴あけ加工用レーザ光Lを照射することで、樹脂で封入されたスキップビア下穴3a及び4aの中に、そのスキップビア下穴3a、4aの穴径より小さい、直径が50μmから100μmの穴で、金属柱中間ランド3及び4に達するスキップビア用穴3b及び4bを形成する。
【0040】
また、スキップビア用穴3bが上側に形成された金属柱中間ランド3の下側に、内層フレキシブル配線板30の下面から、穴あけ用レーザ光Lを照射して、下面から金属柱中間ランド3に達する金属柱バイアホール用穴23aを形成する。スキップビア用穴4bが下側に形成された金属柱中間ランド4の上側に、内層フレキシブル配線板30の上面から、穴あけ用レーザ光Lを照射して、上面から金属柱中間ランド4に達する金属柱バイアホール用穴23aを形成する。更に、内層フレキシブル配線板30の上面と下面から、穴あけ用レーザ光Lを照射して、外層近くのランド2bに達するブラインドバイアホール用の穴24aを形成する。
【0041】
(工程7)
次に、その基板を、強アルカリに浸漬して、スキップビア用穴3b、4bと金属柱バイアホール用穴23aとブラインドバイアホール用の穴24aの底に残留している樹脂を膨潤させ、その後、クロム酸、過マンガン酸塩水溶液などの酸化剤を使用して樹脂を分解除去するデスミア処理を行う。
【0042】
このデスミア処理では、スキップビア用穴3b及び4bの穴の底の金属面に残る薄い樹脂膜は、スキップビア下穴3a及び4aに封入された樹脂であり、支持フィルム1のポリイミド樹脂フィルムや液晶ポリマーフィルム等のデスミア性が劣る樹脂はスキップビア用穴3b及び4bの穴の底の金属面に残っていないので、スキップビア用穴3b及び4bの穴の底の樹脂残渣と穴の壁面の樹脂とを良好にデスミアできる。
【0043】
それにより、その穴に形成するスキップビア3c及び4cのめっき金属の穴底の金属層との接続信頼性を高くできる効果がある。また、そのめっき金属の樹脂との密着力も強いので、スキップビア3c及び4cと、スキップビア下穴3a及び4aに封入されていた樹脂とスキップビア3c及び4cのめっき金属との界面が剥離することが無く、スキップビア3c及び4cの近傍の樹脂の絶縁信頼性を高くできる効果がある。
【0044】
(工程8)
次に、無電解銅めっき液に基板を浸漬することで、そのスキップビア用穴3bと4b、金属柱バイアホール用穴23a、及び、ブラインドバイアホール用の穴24aの壁面に無
電解銅めっき皮膜を形成する。
【0045】
(工程9)
次に、その基板の下地の銅箔20aに電解銅めっき装置の陰極を接続して、基板を、平滑剤を添加した電解銅めっき浴に浸漬し、めっき浴をよく攪拌して、内層フレキシブル配線板30の両面における銅めっき浴の流動速度を速くして、基板の全面に電解銅めっきするパネルめっき処理を行う。
【0046】
それにより、平滑剤は、内層フレキシブル配線板30の両面への銅めっき層の成長を抑制する一方、スキップビア用穴3bと4b、金属柱バイアホール用穴23a、及び、ブラインドバイアホール用の穴24aを埋める電解銅めっきの層の成長が抑制されない。そのため、スキップビア用穴3bと4b、金属柱バイアホール用穴23a、及び、ブラインドバイアホール用の穴24aを電解銅めっきで充填したスキップビア3cと4c、及び、ブラインドバイアホー23と24が形成される一方、内層フレキシブル配線板30の両面に形成される銅めっき層の厚さを、スキップビア3cと4cの半径よりも薄く形成することができる。
【0047】
こうして、図4(g)のように、そのスキップビア用穴3b、4bと、金属柱バイアホール用穴23aに電解銅めっきの層を埋め込んで、スキップビア3c、4cと、ブラインドバイアホール23を形成することで、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、スキップビア3c、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23を接続した第1の金属めっき柱を形成する。同様に、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、スキップビア4c、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23を接続した第2の金属めっき柱を形成する。また、ブラインドバイアホール用の穴24aを銅めっきで充填してブラインドバイアホール24を形成する。
【0048】
(工程10)
次に、エッチングレジストパターンで基板の表面の銅めっき層を保護してエッチングして銅の金属導体パターンを形成した後にエッチングレジストを剥離して図5(h)の断面図と図5(i)の平面図で示すような、表面に銅の金属導体パターンを形成した基板を製造する。
【0049】
すなわち、図5(h)の断面図と図5(i)の平面図のように、
(1)リジッド部101に、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、金属柱用ランド3d、スキップビア3c、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23、ランド23bを接続した第1の金属めっき柱を形成する。
(2)更に、リジッド部101に、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、金属柱用ランド4d、スキップビア4c、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23、ランド23cを接続した第2の金属めっき柱を形成する。
(3)また、リジッド部101の絶縁樹脂フィルム21の表面に、ブラインドバイアホール24に接続するランド24bを形成する。
【0050】
(4)そして、リジッド部101とフレキ部102を合わせた全領域中の所定位置に、位置合せマーク26のパターンとその他の配線パターンを形成し、また、リジッド部101とフレキ部102の境界部分に重なる枠状の補強用金属パターン25を形成する。
【0051】
ここで、カバーレイの絶縁樹脂フィルム21上に形成する位置合せマーク26の位置は、図5(i)のようなリジッド部101内に限定されず、フレキ部102内に位置合せマーク26を形成することもできる。
【0052】
フレキ部102内に位置合せマーク26を形成すると、完成したリジッドフレキシブルプリント配線板10では、位置合せマーク26がフレキ部102に露出して、その位置の観察が容易になるので、位置合せマーク26に位置を合わせて形成されたリジッドフレキシブルプリント配線板10各部との位置ずれの測定が容易になる効果がある。例えば、枠状の補強用金属パターン25上にレーザ加工溝27によって垂直に形成されたビルドアップ層40d、50d、60dの端部の側面の位置と位置合せマーク26との相対位置のずれ量の測定が容易になる効果がある。
【0053】
スキップビア3cの上下に形成された金属柱用ランド3dと金属柱中間ランド3とが、内層フレキシブル配線板30の上層のカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層とを上下から挟んで保持する。また、スキップビア4cの上下に形成された金属柱中間ランド4と金属柱用ランド4dとが、内層フレキシブル配線板30の上層の支持フィルム1の層とカバーレイフィルム20の層とを上下から挟んで保持する。それにより、カバーレイフィルム20が支持フィルム1の樹脂層に強固に結合され、カバーレイフィルム20と支持フィルム1との接合の信頼性を向上させる効果がある。
【0054】
また、ブラインドバイアホール24に内層側で接続するランド2b、ブラインドバイアホール23に内層側で接続する金属柱中間ランド3又は4と、ブラインドバイアホール23と24に外層側で連結するランド23bと24bとが、上下から、その間の絶縁樹脂フィルム21とエポキシ系接着層22を挟み込んで保持し、絶縁樹脂フィルム21とエポキシ系接着層22とを直接に強固に保持することができる効果がある。
【0055】
特に、カバーレイの絶縁樹脂フィルム21に接する層の銅箔20aから金属柱用ランド3d、4d、ランド23b、24bを形成したので、ランド23b、24bの層とその内層の金属柱中間ランド3又は4又はランド2bの層との上下の間隔を小さくすることができる。それにより、それらの層のランドの間に挟み込む絶縁樹脂フィルム21とエポキシ系接着層22とを上下のランドで挟み込んで強く保持することができる効果がある。
【0056】
また、図5(h)の左右の個々のリジッド部101内に第1の金属めっき柱と第2の金属めっき柱とを混在させることが望ましい。そのように、第1の金属めっき柱と第2の金属めっき柱を1つのリジッド部内に混在させると、リジッド部に加わる機械的ストレスが上下のブラインドバイアホール23をつなぐ金属柱中間ランド3又は4に集中する際に、そのストレスが、支持フィルム1の下面に形成された金属柱中間ランド3と、上面の金属柱中間ランド4とに、支持フィルム1の下面と上面とに分散される。それにより、リジッド部に加わる機械的ストレスが支持フィルム1の下面側と上面側に分散され、リジッド部を機械的ストレスに対して強くできる効果があり、リジッドフレキシブルプリント配線板10の信頼性を高くできる効果がある。
【0057】
(工程11)
次に、図6(j)の側面図と図6(k)の平面図のように、枠状の補強用金属パターン25で囲まれる内層フレキシブル配線板30の絶縁樹脂フィルム21の表面を矩形の薄剥離フィルム31で覆い、矩形の薄剥離フィルム31の端部は、枠状の補強用金属パターン25に接着する。
【0058】
(工程12 ビルドアップ層の形成)
次に、図7(l)のように、この内層フレキシブル配線板30の上下にビルドアップ層40d、50d、60dを順次に積層し、第1の金属めっき柱及び第2の金属めっき柱の上側と下側に、ブラインドバイアホール41、51、61の柱状の金属めっきを連結することで、強固な多層金属めっき柱を形成したリジッドフレキシブルプリント配線板10を製造する。
(工程13)
次に、図7(m)のように、リジッド部101にソルダーレジスト70を印刷する。
【0059】
(工程14)
次に、図8(n)の平面図と図8(o)の断面図のように、炭酸ガスレーザやYAGレーザなどの加工用レーザ光Lを、表層のビルドアップ層60dから、薄剥離フィルム31の層を貫いて枠状の補強用金属パターン25に達するまで照射することで、フレキ部102とリジッド部101との境界部分に重なる枠状の補強用金属パターン25の上にレーザ加工溝27を形成する。
【0060】
この工程において、加工用レーザ光Lは、位置合せマーク26を基準にして、薄剥離フィルム31の枠状の補強用金属パターン25との接着部分に、プラスマイナス20μmの精度で正確に位置を合わせて照射することで、レーザ加工溝27を正確な位置に形成する。枠状の補強用金属パターン25は、加工用レーザ光Lを反射させて、その高さで穴の形成を停止させるストッパ層となる。
【0061】
レーザ加工溝27により、薄剥離フィルム31と枠状の補強用金属パターン25の接着部分を正確に除去でき、薄剥離フィルム31を内層フレキシブル配線板30から切り離すことができる。レーザ加工溝27で囲まれる領域の内側がフレキ部102になり、外側の領域がリジッド部101になる。
【0062】
(工程15)
機械的な外形ルーター加工により、図9(p)の平面図のように、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102の上面及び下面の樹脂層を引き剥がす以前の基板から、個々のリジッドフレキシブルプリント配線板10を切り出す外形加工を行い、リジッドフレキシブルプリント配線板10の外形を作成する。
【0063】
この外形加工は、フレキ部102の条件及び下面の樹脂層が未だフレキ部102から剥離されない状態の基板に対して行う。その基板は、フレキ部102もリジッド部101と同じ厚さであり、全体が硬いリジッドな状態であるので、フレキ部102の外形をルータで加工しても、フレキ部102の外形加工によるバリが発生しない効果がある。そのため、ルーター加工により、フレキ部102の外形を高い品質で形成できる効果がある。
【0064】
そのために、先の工程14においては、フレキ部102とリジッド部101との境界部分に重ならない部分の枠状の補強用金属パターン25の上の薄剥離フィルム31の層には、レーザ加工溝27を形成しないでおくことが望ましい。そうすることで、その、レーザ加工溝27を形成しない部分の枠状の補強用金属パターン25の上で、フレキ部102の上のビルドアップ層40d、50d、60dとリジッド101の上のビルドアップ層が連結して、フレキ部102の上のビルドアップ層40d、50d、60dの樹脂層が基板に強固に保持される。そのため、外形ルータによる加工でストレスが加わる際にも、フレキ部102の上のビルドアップ層が基板に支えられて剥がれることがない効果がある。
【0065】
(工程16:フレキ部露出工程)
そして、図9(q)の断面図のように、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102の上面及び下面の、薄剥離フィルム31と、その上のビルドアップ層40d、50d、60dを引き剥がす。すなわち、基板の上面及び下面から、薄剥離フィルム31、及び、ビルドアップ層40d、50d、60dと薄剥離フィルム31を引き剥がしてフレキ部102の内層フレキシブル配線板30を露出させてリジッドフレキシブルプリント配線板10を仕上げる。
【0066】
ここで、薄剥離フィルム31がビルドアップ層40d、50d、60dと一緒に、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102から剥離されて除去され、薄剥離フィルム31が残留しないので、フレキ部の表面の電気特性が薄剥離フィルム31の材質に影響されない効果がある。
【0067】
また、加工用レーザ光Lで形成したレーザ加工溝27に露出したビルドアップ層40d、50d、60dの断面がリジッド部101の端部を成す。本実施形態で製造したリジッドフレキシブルプリント配線板10は、そのリジッド部101の端部の位置を、位置合せマーク26の位置と比較する検査を行うことで、リジッド部101の端部の位置のズレ量を完成品で検査できる効果がある。
【0068】
本実施形態では、デスミア処理の際に、スキップビア用穴3b及び4bの穴の底の金属面に残る薄い樹脂膜は、スキップビア下穴3a及び4aに封入された樹脂のみであり、支持フィルム1の材料であるポリイミド樹脂フィルムや液晶ポリマーフィルム等のデスミア性が劣る樹脂は穴に露出しないので、その穴に露出する樹脂が良好にデスミアでき、その穴にめっきしてスキップビア3c及び4cを充填する金属と金属柱中間ランド3及び4とが強固に接続でき、高い接続信頼性を有するスキップビア3c及び4cが形成できる効果がある。
【0069】
また、そのスキップビア下穴3a及び4aに封入された樹脂とスキップビア3c及び4cのめっき金属との密着力も強く、スキップビア3c及び4cの近傍の樹脂の絶縁信頼性を高くできる効果がある。
【0070】
<第2の実施形態>
図10〜図13は、本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を説明する断面図である。図13(b)に、第2の実施形態の、リジッドフレキシブルプリント配線板10の断面図を示す。
【0071】
第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、内層フレキシブル配線板30の支持フィルム1に、その支持フィルム1を貫通する貫通下孔28bを形成し、その貫通下孔28bを銅箔付きカベーレイフィルム20のエポキシ系接着層21の樹脂で充填した内層フレキシブル配線板30を形成することである。また、内層フレキシブル配線板30の表裏から穴あけ用レーザ光Lを照射して穴あけすることで、その樹脂で充填された貫通下孔28bの位置に、その貫通下孔28bの径より小さな穴径で内層フレキシブル配線板30を貫通するスルーホール用孔28dを形成し、そのスルーホール用孔28dを充填する内層金属めっき柱(スルーホール)28を形成することである。
【0072】
(製造方法)
第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を以下で説明する。
(工程1)
工程1では、図10(a)のように、第1の実施形態の工程1と同じ、ポリイミド樹脂フィルム又は液晶ポリマーフィルムを支持フィルム1とし、両面に厚さが12μmから35μmの銅箔2aを有するフレキシブル配線板1aを用いる。
【0073】
(工程2)
図10(b)のように、フレキシブル配線板1aの両面の銅箔2aをエッチングして、貫通下孔28bの位置の上層の銅箔2aの部分に、直径が80〜200μm程度の、貫通下孔形成用の窓28aをあけて、下地の支持フィルム1を露出させる。
【0074】
(工程3)
次に、図10(c)のように、レーザ穴あけ装置を用いて穴あけ加工用レーザ光Lを上面側と下面側から照射することで、フレキシブル配線板1aの上面と下面の貫通下孔形成用の窓28aから、その窓に露出した支持フィルム1にレーザ穴あけ加工をすることで、支持フィルム1の上面側の穴と下面側との穴を連結させて貫通させた貫通下孔28bを形成する。これにより、直径が80〜200μm程度の貫通下孔28bが形成される。
【0075】
(工程4)
次に、図10(d)のように、フレキシブル配線板1aの銅箔2aを更にエッチングすることで、フレキシブル配線板1aの両面に配線パターン2を形成し、また、後に形成するブラインドバイアホール24の位置にランド2bを形成する。
【0076】
(工程5)
図10(e)のように、銅箔20aとポリイミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21と熱硬化性のエポキシ系接着層22とから成る銅箔付きカバーレイフィルム20を、フレキシブル配線板1aの両面に積層し、図11(f)のような、貫通下孔28bをエポキシ系接着層22の樹脂で封入した内層フレキシブル配線板30を製造する。
【0077】
(工程6)
次に、図11(g)のように、内層フレキシブル配線板30の両面の銅箔付きカバーレイフィルム20の銅箔20aをエッチングして、樹脂で封入した貫通下孔28bの中心位置の銅箔20aの部分に、貫通下孔28bより直径が小さいスルーホール用孔形成用の窓28cを、直径が50〜150μm程度に形成して、下地の絶縁樹脂フィルム21を露出させる。また、銅箔20aに、ブラインドバイアホール用の窓24cを形成する。
【0078】
(工程7)
図11(h)のように、炭酸ガスレーザやYAGレーザなどのレーザ穴あけ装置を用いて、穴あけ用レーザ光Lを内層フレキシブル配線板30の上面側と下面側から照射することで、樹脂で封入した貫通下孔28bの中心位置にスルーホール用孔28dを穿孔する。
【0079】
これで形成したスルーホール用孔28dの中央部分は、上下の開口部分より直径が小さい直径が約50μmの砂時計状のスルーホール用孔28dが形成される。また、穴あけ用レーザ光Lを、内層フレキシブル配線板30の上面側と下面側からブラインドバイアホール用の窓24cに照射して、外層近くのランド2bに達するブラインドバイアホール用の穴24aを形成する。
【0080】
(工程8)
次に、その基板をデスミア液に浸漬することで、スルーホール用孔28d及びブラインドバイアホール用の穴24aのデスミア処理を行った上で、無電解銅めっき液に基板を浸漬することで、そのスルーホール用孔28d及びブラインドバイアホール用の穴24aの壁面に無電解銅めっき皮膜を形成する。
【0081】
(工程9)
次に、内層フレキシブル配線板30の全面に触媒核を付与し、更に、無電解銅めっき浴に浸漬することで、厚さ0.1μmから数μmの無電解銅めっき皮膜を形成する。次に、図12(i)のように、平滑剤を添加した電解銅めっき液を用い、めっき浴をよく攪拌して、内層フレキシブル配線板30の両面における銅めっき浴の流動速度を速くして電解銅めっきする。
【0082】
それにより、平滑剤は、内層フレキシブル配線板30の両面への銅めっき層の成長を抑
制する一方、スルーホール用孔28d及びブラインドバイアホール用の穴24aを埋める電解銅めっきの層の成長が抑制されない。それにより、スルーホール用孔28dを電解銅めっきで充填して内層金属めっき柱(スルーホール)28を形成し、また、ブラインドバイアホール用の穴24aを電解銅めっきの層で充填してブラインドバイアホール24を形成する。
【0083】
(工程10)
次に、エッチングレジストパターンで基板の表面の銅めっき層を保護して、内層フレキシブル配線板30の銅箔20aをエッチングし、エッチング後にエッチングレジストを剥離する。
【0084】
これにより、図12(j)の断面図のように、内層フレキシブル配線板30の上面と下面に、
(1)内層金属めっき柱28の上側と下側のランド28eを形成する。
(2)また、第1の実施形態と同様に、ブラインドバイアホール24に接続するランド24bを形成する。
【0085】
(3)そして、位置合せマーク26のパターンとその他の配線パターンを形成する。
(4)そして、特に、リジッド部101とフレキ部102の境界部分に重なる枠状の補強用金属パターン25を形成する。
【0086】
これ以降の製造方法は、第1の実施形態の工程11以降の製造方法を実施することで、図13のように、内層フレキシブル配線板30のリジッド部101の上下にビルドアップ層40d、50d、60dを順次に積層し、内層金属めっき柱28の上側と下側に、銅めっきが充填されたブラインドバイアホール41、51、61を接続することで、強固な多層金属めっき柱を形成する。そして、ソルダーレジスト70を印刷し、外形加工を行ってリジッドフレキシブルプリント配線板10を製造する。
【0087】
本実施形態では、図10(c)のように、フレキシブル配線板1aの支持フィルム1に上下面からのレーザ穴あけにより、支持フィルム1を貫通する貫通下孔28bを形成して、図11(f)のように、その貫通下孔28bを、銅箔付きカバーレイフィルム20の接着層22の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板30を製造する。次に、図11(h)のように、その樹脂で充填された貫通下孔28bの位置に、上下面からのレーザ穴あけにより、樹脂を充填した貫通下孔28bの位置にその径より小さい径で、内層フレキシブル配線板30を貫通するスルーホール用孔28dを形成する。
【0088】
そうすると、そのスルーホール用孔28dに露出する樹脂は接着層22の樹脂であり、支持フィルム1の樹脂は露出しないので、そのスルーホール用孔28dに露出する樹脂が良好にデスミアでき、図12(i)のように、銅めっきにより穴を充填して内層金属めっき柱28を形成する。ここで、デスミア性が劣る支持フィルム1の樹脂は露出しないので、安定したデスミアが行え、デスミア条件の最適化が行えるので、デスミアされる内層金属めっき柱28の樹脂のデスミアによる絶縁劣化を軽減でき、樹脂部分の絶縁信頼性が優れた内層金属めっき柱28を形成できる効果がある。
【0089】
また、支持基板1を貫通している貫通下孔28bの中に、上下面からのレーザ穴あけにより形成したスルーホール用孔28dを銅めっきで充填するので、銅めっきで一体に形成された強固な内層金属めっき柱(スルーホール)28が形成され、その内層金属めっき柱(スルーホール)28に高い接続信頼性を持たせることができる効果がある。
【0090】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、内層フレキシブル配線板30の上に、
ローフロー樹脂のシートを積層することでリジッド部101のビルドアップ層を形成してリジッドフレキシブルプリント配線板を製造することもできる。その場合も、高い接続信頼性を有するスキップビア3c、4c、及び内層金属めっき柱(スルーホール)28を形成することができる効果がある。
【符号の説明】
【0091】
1・・・・・支持フィルム
1a・・・・フレキシブル配線板
2・・・・・配線パターン
2a・・・・銅箔
2b、23b、24b・・・ランド
3、4・・・金属柱中間ランド
3a、4a・・・スキップビア下穴
3b、4b・・・スキップビア用穴
3c、4c・・・2階高バイアホール(スキップビア)
3d、4d・・・金属柱用ランド
10・・・・リジッドフレキシブルプリント配線板
20・・・・銅箔付きカバーレイフィルム
20a・・・銅箔
21・・・・絶縁樹脂フィルム
22・・・・接着層
23、24、41、42、51、61・・・・ブラインドバイアホール
23a・・・金属柱バイアホール用穴
24a・・・ブラインドバイアホール用の穴
24c・・・ブラインドバイアホール用の窓
25・・・・枠状の補強用金属パターン
26・・・・位置合せマーク
27・・・・レーザ加工溝
28・・・・内層金属めっき柱(スルーホール)
28a・・・貫通下孔形成用の窓
28b・・・貫通下孔
28c・・・スルーホール用孔形成用の窓
28d・・・スルーホール用孔
28e・・・ランド
30・・・・内層フレキシブル配線板
31・・・・薄剥離フィルム
32・・・・枠状の第1の溝
40a・・・プリプレグ
40b・・・薄銅箔
40d、50d、60d・・・ビルドアップ層
70・・・ソルダーレジスト
101・・・リジッド部
102・・・フレキ部
L・・・・・レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結したリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
フレキシブル配線板の支持フィルムに、レーザ穴あけにより下孔を形成する工程と、
前記下孔を、銅箔付きカバーレイフィルムの接着層の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板を製造する工程と、
前記樹脂で充填された下穴の位置に、レーザ穴あけにより、前記下穴の径より小さい径で、前記支持フィルムを貫くスキップビア用穴あるいはスルーホール用孔を形成する工程と、
前記スキップビア用穴あるいはスルーホール用孔をデスミアする工程と、
前記スキップビア用穴あるいはスルーホール用孔を銅めっきで充填してスキップビアあるいはスルーホールを形成する工程と、
前記内層フレキシブル配線板の表面の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
金属柱中間ランドの金属層を有するフレキシブル配線板の支持フィルムに、レーザ穴あけにより、前記金属柱中間ランドに達するスキップビア下穴を形成する工程と、
前記スキップビア下穴を、銅箔付きカバーレイフィルムの接着層の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板を製造する工程と、
前記樹脂で充填されたスキップビア下穴の位置に、レーザ穴あけにより、前記スキップビア下穴の径より小さい径で、前記支持フィルムを貫き前記金属柱中間ランドに達するスキップビア用穴を形成する工程と、
前記スキップビア用穴をデスミアする工程と、
前記スキップビア用穴を銅めっきで充填してスキップビアを形成する工程と、
前記内層フレキシブル配線板の表面の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
フレキシブル配線板の支持フィルムに上下面からのレーザ穴あけにより、前記支持フィルムを貫通する貫通下孔を形成する工程と、
前記貫通下孔を、銅箔付きカバーレイフィルムの接着層の樹脂で充填して内層フレキシブル配線板を製造する工程と、
前記樹脂で充填された貫通下孔の位置に、上下面からのレーザ穴あけにより、前記貫通下孔の径より小さい径で、内層フレキシブル配線板を貫通するスルーホール用孔を形成する工程と、
前記スルーホール用孔をデスミアする工程と、
前記スルーホール用孔を銅めっきで充填してスルーホールを形成する工程と、
前記内層フレキシブル配線板の表面の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−74270(P2013−74270A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214595(P2011−214595)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000236931)株式会社トッパンNECサーキットソリューションズ (54)
【Fターム(参考)】