説明

リソグラフィ装置及びデバイス製造方法

【課題】例えば、1つ又は複数の放射ビームの波長の公称値からのずれによってもたらされる1つ又は複数の問題を緩和し又は最小化することができるリソグラフィシステムを提供する。
【解決手段】リソグラフィ装置は、複数の放射ビームを基板に投影する投影系を有しており、複数の放射ビームは、第1波長範囲内の放射から形成される第1の1つ又は複数の放射ビームのグループと、第1波長範囲と異なる第2波長範囲内の放射から形成される第2の1つ又は複数の放射ビームのグループと、を備える。また、本装置は、第1のグループの1つ又は複数の放射ビームが第2のグループの1つ又は複数の放射ビームと異なる角度で分散素子に入射し、かつ分散素子から出力される第1及び第2のグループの1つ又は複数の放射ビームが実質的に平行であるように構成されている分散素子を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ装置、及び、デバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、または基板の部分に与える機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)、フラットパネルディスプレイ、微細形状を備えるその他のデバイス又は構造の製造に用いられる。従来のリソグラフィ装置においては、マスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、ICやフラットパネルディスプレイ、その他のデバイスの個々の層に対応する回路パターンを生成するために使用されることがある。このパターンは例えば、(例えばシリコンウェーハまたはガラスプレート等の)基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層への結像により、基板(の部分)へと転写される。
【0003】
パターニングデバイスを使用して、回路パターンではなく例えばカラーフィルタのパターンやドットのマトリックス状配列などの他のパターンを生成する場合もある。従来のマスクに代えて、パターニングデバイスは、回路パターンまたはその他の適用可能なパターンを生成する個別に制御可能な素子の配列を備えるパターニングアレイを備えてもよい。このような「マスクレス」方式では従来のマスクを使用する方式に比べて迅速かつ低コストにパターンを準備したり変更したりできるという利点がある。
【0004】
故に、マスクレスシステムはプログラマブルパターニングデバイス(例えば、空間光変調器、コントラストデバイスなど)を含む。プログラマブルパターニングデバイスは、個別制御可能素子のアレイを使用して所望のパターンが与えられたビームを形成するよう(例えば電子的に、または光学的に)プログラムされている。プログラマブルパターニングデバイスの種類には、マイクロミラーアレイ、液晶ディスプレイ(LCD)アレイ、グレーティングライトバルブアレイ、自己放射可能なコントラストデバイスなどがある。プログラマブルパターニングデバイスは電気光学偏光器からも形成され得るものであり、これは例えば、基板上に投影される放射のスポットを移動させるように、または、間欠的に放射ビームを基板から例えば放射ビーム吸収体へと逸らせるように、構成される。このような構成においては、放射ビームは連続的であり得る。
【発明の概要】
【0005】
リソグラフィプロセスにおいては、複数の放射ビームが生成されパターン付けられて基板に投影されうる。一実施例においては、それら放射ビームを生成するために、自己放射コントラストデバイスのアレイが上述のように使用されてもよい。しかし、自己放射コントラストデバイスの各々は公称波長で放射ビームを与えるよう設計されているにもかかわらず、自己放射コントラストデバイスの各々によって与えられる放射ビームの波長にはいくらかの変動がある場合がある。この原因は例えば、自己放射コントラストデバイスの使用時の性能に影響する製造上の公差及び/または環境上の要因があり得る。自己放射コントラストデバイスは例えばレーザダイオードであってもよい。現在入手できる公称波長405nmのレーザダイオードの場合、レーザダイオードにより与えられる放射ビームの波長は典型的には400nmから410nmの範囲にある。
【0006】
基板に投影される放射ビームの波長の変動は望ましくない。とりわけ、基板に放射ビームを投影するのに使用される投影系の内部で種々の光学素子を各放射ビームが通過すると、各放射ビームの応答がその具体的な波長に依存しうる。その結果、複数の放射ビームに由来して基板上に投影される放射のスポットの公称上の格子からずれが生じうる。これにより、形成されるパターンに誤差が生じるかもしれず、それは望ましくない。
【0007】
したがって、望まれることは、例えば、1つ又は複数の放射ビームの波長の公称値からのずれによってもたらされる1つ又は複数の問題を緩和し又は最小化することができるリソグラフィシステムを提供することである。
【0008】
本発明のある実施の形態によると、リソグラフィ装置であって、
複数の放射ビームを基板に投影するよう構成されている投影系を備えており、該複数の放射ビームは、第1波長範囲内の放射から形成される第1の1つ又は複数の放射ビームのグループと、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲内の放射から形成される第2の1つ又は複数の放射ビームのグループと、を備え、
分散素子であって、第1のグループの1つ又は複数の放射ビームが第2のグループの1つ又は複数の放射ビームと異なる角度で前記分散素子に入射し、かつ前記分散素子から出力される第1及び第2のグループの前記1つ又は複数の放射ビームが実質的に平行であるように構成されている分散素子を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0009】
本発明のある実施の形態によると、デバイス製造方法であって、
複数の放射ビームを基板に投影する投影系を使用することを備え、該複数の放射ビームは、第1波長範囲内の放射から形成される第1の1つ又は複数の放射ビームのグループと、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲内の放射から形成される第2の1つ又は複数の放射ビームのグループと、を備え、
第1のグループの1つ又は複数の放射ビームが第2のグループの1つ又は複数の放射ビームと異なる角度で分散素子に入射し、かつ前記分散素子から出力される第1及び第2のグループの前記1つ又は複数の放射ビームが実質的に平行であるように、放射ビームに前記分散素子を通過させることを備えるデバイス製造方法が提供される。
【0010】
本発明のいくつかの実施の形態が付属の概略的な図面を参照して以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。対応する参照符号は各図面において対応する部分を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の部分を示す図である。
【0012】
【図2】本発明のある実施の形態に係る図1のリソグラフィ装置の部分の上面図である。
【0013】
【図3】本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置の部分を高度に概略的に示す斜視図である。
【0014】
【図4】本発明のある実施の形態に係り、基板上への図3に係るリソグラフィ装置による投影を示す概略上面図である。
【0015】
【図5】プリズムの断面図であり、異なる波長の放射の分散を示す。
【0016】
【図6】本発明のある実施の形態に係る部分の断面図である。
【0017】
【図7】本発明のある実施の形態に係る部分の平面図である。
【0018】
【図8】本発明のある実施の形態に係る部分の平面図である。
【0019】
【図9】本発明のある実施の形態に係る部分の断面図である。
【0020】
【図10】本発明のある実施の形態に係る部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のある実施の形態は、リソグラフィ装置に関連し、これはプログラマブルパターニングデバイスを含んでもよく、当該デバイスは例えば自己放射コントラストデバイスのアレイからなることがある。こうしたリソグラフィ装置に関する更なる記述は国際公開第2010/032224号及び米国特許出願公開第2011/0188016号明細書にあり、これらの全体が本明細書に援用される。しかし、本発明のある実施の形態は、いかなる形式のプログラマブルパターニングデバイスを使用してもよく、当該デバイスには例えば既に説明したものが含まれる。
【0022】
図1は、リソグラフィ装置の部分の概略側断面図である。この実施形態においては、リソグラフィ装置は、後述するようにXY面で実質的に静止した個別制御可能素子を有するが、そうである必要はない。リソグラフィ装置1は、基板を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、を備える。基板は、レジストで被覆された基板であってもよい。ある実施の形態においては、基板はウェーハである。ある実施の形態においては、基板は多角形(例えば矩形)の基板である。ある実施の形態においては、基板はガラスプレートである。ある実施の形態においては、基板はプラスチック基板である。ある実施の形態においては、基板は箔である。ある実施の形態においては、リソグラフィ装置は、ロールトゥロール製造に適する。
【0023】
リソグラフィ装置1は、複数のビームを発するよう構成されている複数の個別に制御可能な自己放射可能なコントラストデバイス4を備える。ある実施の形態においては、自己放射コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード(例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、高分子LED(PLED))、または、レーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)である。ある実施の形態においては、個別制御可能素子4の各々は青紫レーザダイオード(例えば、三洋の型式番号DL-3146-151)である。こうしたダイオードは、三洋、日亜、オスラム、ナイトライド等の企業により供給される。ある実施の形態においては、ダイオードは、例えば約365nmまたは約405nmの波長を有するUV放射を発する。ある実施の形態においては、ダイオードは、0.5mWないし200mWの範囲から選択される出力パワーを提供することができる。ある実施の形態においては、レーザダイオードの(むき出しのダイの)サイズは、100μmないし800μmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、0.5μmないし5μmの範囲から選択される発光領域を有する。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、5度ないし44度の範囲から選択される発散角を有する。ある実施の形態においては、それらのダイオードは、合計の明るさを約6.4×10W/(m・sr)以上にするための構成(例えば、発光領域、発散角、出力パワーなど)を有する。
【0024】
自己放射コントラストデバイス4は、フレーム5に配設されており、Y方向に沿って及び/またはX方向に沿って延在してもよい。1つのフレーム5が図示されているが、リソグラフィ装置は、図2に示すように複数のフレーム5を有してもよい。フレーム5には更に、レンズ12が配設されている。フレーム5、従って、自己放射コントラストデバイス4及びレンズ12はXY面内で実質的に静止している。フレーム5、自己放射コントラストデバイス4、及びレンズ12は、アクチュエータ7によってZ方向に移動されてもよい。それに代えて又はそれとともに、レンズ12はこの特定のレンズに関連するアクチュエータによってZ方向に移動されてもよい。任意選択として、各レンズ12にアクチュエータが設けられていてもよい。
【0025】
自己放射コントラストデバイス4はビームを発するよう構成されていてもよく、投影系12、14、18はそのビームを基板の目標部分に投影するよう構成されていてもよい。自己放射コントラストデバイス4及び投影系が光学コラムを形成する。リソグラフィ装置1は、光学コラム又はその一部を基板に対して移動させるためのアクチュエータ(例えばモータ11)を備えてもよい。フレーム8には視野レンズ14及び結像レンズ18が配設されており、そのアクチュエータを用いてフレーム8は回転可能であってもよい。視野レンズ14と結像レンズ18との結合が可動光学系9を形成する。使用時においては、フレーム8は自身の軸10まわりを、例えば図2に矢印で示す方向に、回転する。フレーム8は、アクチュエータ(例えばモータ11)を使用して軸10まわりに回転させられる。また、フレーム8はモータ7によってZ方向に移動されてもよく、それによって可動光学系9が基板テーブル2に対し変位させられてもよい。
【0026】
内側にアパーチャを有するアパーチャ構造13がレンズ12の上方でレンズ12と自己放射コントラストデバイス4との間に配置されてもよい。アパーチャ構造13は、レンズ12、関連する自己放射コントラストデバイス4、及び/または、隣接するレンズ12/自己放射コントラストデバイス4の回折効果を限定することができる。
【0027】
図示される装置は、フレーム8を回転させると同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、使用されてもよい。自己放射コントラストデバイス4は、レンズ12、14、18が互いに実質的に整列されたときこれらのレンズを通じてビームを放つことができる。レンズ14、18を移動させることによって、基板上でのビームの像が基板の一部分を走査する。同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、自己放射コントラストデバイス4の像にさらされる基板の当該部分も移動する。光学コラム又はその一部の回転を制御し、自己放射コントラストデバイス4の強度を制御し、且つ基板速度を制御するコントローラにより自己放射コントラストデバイス4の「オン」と「オフ」とを高速に切り換える制御をすることによって(例えば、「オフ」であるとき出力がないか、しきい値を下回る出力を有し、「オン」であるときしきい値を上回る出力を有する)、所望のパターンを基板上のレジスト層に結像することができる。
【0028】
図2は、自己放射コントラストデバイス4を有する図1のリソグラフィ装置の概略上面図である。図1に示すリソグラフィ装置1と同様に、リソグラフィ装置1は、基板17を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、自己放射コントラストデバイス4と基板17とのアライメントを決定し、自己放射コントラストデバイス4の投影に対して基板17が水平か否かを決定するためのアライメント/レベルセンサ19と、を備える。図示されるように基板17は矩形形状を有するが、追加的に又は代替的に円形の基板が処理されてもよい。
【0029】
自己放射コントラストデバイス4はフレーム15に配設されている。自己放射コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード、例えばレーザダイオード、例えば青紫レーザダイオードであってもよい。図2に示されるように、自己放射コントラストデバイス4はXY面内に延在するアレイ21に配列されていてもよい。
【0030】
アレイ21は細長い線であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自己放射コントラストデバイス4の一次元配列であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自己放射コントラストデバイス4の二次元配列であってもよい。
【0031】
回転フレーム8が設けられていてもよく、これは、矢印で図示される方向に回転してもよい。回転フレームには、各自己放射コントラストデバイス4の像を与えるためのレンズ14、18(図1参照)が設けられていてもよい。本装置には、フレーム8及びレンズ14、18を備える光学コラムを基板に対して回転させるためのアクチュエータが設けられていてもよい。
【0032】
図3は、周辺部にレンズ14、18が設けられている回転フレーム8を高度に概略的に示す斜視図である。複数のビーム、本実施例では10本のビームが、それらレンズの一方へと入射し、基板テーブル2により保持された基板17のある目標部分に投影されている。ある実施の形態においては、複数のビームは直線に配列されている。回転可能フレームは、アクチュエータ(図示せず)によって軸10まわりに回転可能である。回転可能フレーム8の回転の結果として、それらビームは、一連のレンズ14、18(視野レンズ14及び結像レンズ18)に入射する。一連のレンズの各々に入射してビームは偏向され、それによりビームは基板17の表面の一部分に沿って動く。詳しくは図4を参照して後述する。ある実施の形態においては、各ビームが対応する源によって、すなわち自己放射コントラストデバイス、例えばレーザダイオードによって、生成される(図3には図示せず)。図3に示される構成においては、ビームどうしの距離を小さくするために、それらビームはともに、あるセグメントミラー30によって偏向されかつ運ばれる。それによって、後述するように、より多数のビームを同一のレンズを通じて投影し、要求解像度を実現することができる。
【0033】
回転可能フレームが回転すると、ビームが連続する複数のレンズへと入射する。このときあるレンズがビームに照射されるたびに、レンズ表面上でビームが入射する場所が移動する。レンズ上のビーム入射場所に依存してビームが異なって(例えば、異なる偏向をもって)基板に投影されるので、(基板に到達する)ビームは後続のレンズが通過するたびに走査移動をすることになる。この原理について図4を参照して更に説明する。図4は、回転可能フレーム8の一部を高度に概略的に示す上面図である。第1ビームセットをB1と表記し、第2ビームセットをB2と表記し、第3ビームセットをB3と表記する。ビームセットのそれぞれが、回転可能フレーム8の対応するレンズセット14、18を通じて投影される。回転可能フレーム8が回転すると、複数ビームB1が基板17に投影され、走査移動によって領域A14を走査する。同様に、ビームB2は領域A24を走査し、ビームB3は領域A34を走査する。回転可能フレーム8の回転と同時に、対応するアクチュエータによって基板17及び基板テーブルが(図2に示すX軸に沿う方向であってもよい)方向Dに移動され、そうして領域A14、A24、A34におけるビームの走査方向に実質的に垂直に移動される。方向Dの第2のアクチュエータによる移動(例えば、対応する基板テーブルモータによる基板テーブルの移動)の結果、回転可能フレーム8の一連のレンズによって投影されるとき連続する複数回のビーム走査が互いに実質的に隣接するよう投影されて、実質的に隣接する領域A11、A12、A13、A14がビームB1の走査のたびに生じ(図4に示すように、領域A11、A12、A13は以前に走査され、領域A14は今回走査されている)、実質的に隣接する領域A21、A22、A23、A24がビームB2の走査のたびに生じ(図4に示すように、領域A21、A22、A23は以前に走査され、領域A24は今回走査されている)、実質的に隣接する領域A31、A32、A33、A34がビームB3の走査のたびに生じる(図4に示すように、領域A31、A32、A33は以前に走査され、領域A34は今回走査されている)。このようにして、基板表面の領域A1、A2、A3が、回転可能フレーム8を回転させる間に基板を方向Dに移動させることにより、覆われてもよい。多数のビームを同一のレンズを通じて投影することにより、(回転可能フレーム8をある同一の回転速度とすると)より短い時間で基板全体を処理することができる。レンズ通過のたびに各レンズにより基板を複数のビームが走査するので、連続する複数回の走査に際して方向Dの変位量を大きくすることができるからである。見方を変えると、多数のビームを同一のレンズを通じて基板に投影するとき、ある所与の処理時間における回転可能フレームの回転速度を小さくしてもよいということである。こうして、回転可能フレームの変形、摩耗、振動、乱流などといった高回転速度による影響を軽減してもよい。ある実施の形態においては、図4に示すように、複数のビームは、レンズ14、18の回転の接線に対してある角度をなして配列されている。ある実施の形態においては、複数のビームは、各ビームが重なるか、又は各ビームが隣接ビームの走査経路に隣接するように配列されている。
【0034】
多数のビームを一度に同一レンズにより投影する態様の更なる効果は、公差の緩和に見ることができる。レンズの公差(位置決め、光学投影など)があるために、連続する領域A11、A12、A13、A14(及び/または領域A21、A22、A23、A24及び/またはA31、A32、A33、A34)の位置には、互いの位置決めにいくらかの不正確さが現れ得る。したがって、連続する領域A11、A12、A13、A14間にいくらかの重なりが必要とされるかもしれない。1本のビームの例えば10%を重なりとする場合、同一レンズに一度にビームが一つであると、同様に10%の係数で処理速度が遅くなるであろう。一方、同一レンズを通じて一度に5本又はそれより多数のビームが投影される状況においては、(上記同様1本のビームについて)同じ10%の重なりが5本又はそれより多数の投影線ごとにあるとすると、重なりの総計は概ね5(又はそれより多数)分の1である2%(又はそれ未満)へと小さくなるであろう。これは、全体的な処理速度を顕著に小さくする効果をもつ。同様に、少なくとも10本のビームを投影することにより、重なりの総計をおよそ10分の1に小さくしうる。したがって、多数のビームを同時に同一レンズにより投影するという特徴によって、基板の処理時間に生じる公差の影響を小さくしうる。それに加えて又はそれに代えて、より大きな重なり(従って、より大きな公差幅)が許容されてもよい。一度に同一レンズにより多数のビームを投影するのであれば、重なりが処理に与える影響が小さいからである。
【0035】
多数のビームを同一レンズを通じて同時に投影することに代えて又はそれとともに、インタレース技術を使用することができるかもしれない。しかしながらそのためには、より厳格にレンズどうしを整合させることが必要になるかもしれない。従って、それらレンズのうちある同一レンズを通じて一度に基板に投影される少なくとも2つのビームは相互間隔を有し、リソグラフィ装置は、その間隔の中に後続のビーム投影が投影されるように光学コラムに対して基板を移動させるよう第2アクチュエータを動作させるよう構成されていてもよい。
【0036】
1つのグループにおいて連続するビームどうしの方向Dにおける距離を小さくするために(それによって、例えば方向Dに解像度を高くするために)、それらビームは方向Dに対して、互いに斜めに配列されていてもよい。そうした間隔は、各セグメントが複数ビームのうち対応する1つのビームを反射するセグメントミラー30を光路に設けることによって更に縮小されてもよい。それらセグメントは、それらミラーに入射するビームどうしの間隔よりもミラーで反射されたビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。そうした効果は、複数の光ファイバによっても実現しうる。この場合、ビームのそれぞれが複数ファイバのうち対応する1つのファイバに入射し、それらファイバが、光路に沿って光ファイバ上流側でのビームどうしの間隔よりも光ファイバ下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。
【0037】
また、そうした効果は、複数ビームのうち対応する1つのビームを各々が受光する複数の入力を有する集積光学導波路回路を使用して実現されてもよい。この集積光学導波路回路は、光路に沿って集積光学導波路回路の上流側でのビームどうしの間隔よりも集積光学導波路回路の下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう構成されている。
【0038】
基板に投影される像のフォーカスを制御するためのシステムが提供されてもよい。上述のある構成において、ある光学コラムの部分又は全体により投影される像のフォーカスを調整するための構成が提供されてもよい。
【0039】
ある実施の形態においては、投影系は、少なくとも1つの放射ビームを、デバイスが形成されるべき基板17の上方にある物質層で形成された基板へと、その層からレーザ誘起物質移動により物質の滴の局所的な堆積を生じさせるように、投影する。
【0040】
図10を参照するに、レーザ誘起物質移動の物理的なメカニズムが示されている。ある実施の形態においては、放射ビーム200は、実質的に透明な材料202(例えばガラス)を通じて材料202のプラズマ着火に満たない強度で合焦されている。表面熱吸収が、材料202を覆うドナー材料層204(例えば金属フィルム)から形成される基板に生じる。この熱吸収によってドナー材料204が溶ける。また、加熱によって、誘起圧力勾配が前進方向に生じ、これはドナー材料層204からの、従ってドナー構造(例えばプレート)208からのドナー材料滴206の前進加速をもたらす。故に、ドナー材料滴206はドナー材料層204から解放され、デバイスが形成されるべき基板17に向けて当該基板上に(重力の支援の有無によらず)移動される。ビーム200をドナープレート208上の適切な位置に当てることにより、ドナー材料パターンを基板17上に成膜することができる。ある実施の形態においては、ビームはドナー材料層204に合焦される。
【0041】
ある実施の形態においては、1つ又は複数の短いパルスを使用してドナー材料の輸送が行われる。ある実施の形態においては、これらのパルスは、準一次元の前進加熱及び溶融材料の質量移動を得るための数ピコ秒又は数フェムト秒の長さであってもよい。このような短パルスは材料層204における横方向の熱流れをほとんど又はまったく促進しないので、ドナー構造208にほとんど又はまったく熱負荷は生じない。この短パルスは、材料の急速溶融及び前進加速を可能とする(例えば、金属のような材料が気化された場合、スパッタ成膜をもたらす前進方向性は失われるであろう)。短パルスは、その加熱温度より僅かに高く気化温度より低い材料加熱を可能とする。例えばアルミニウムの場合、およそ摂氏900ないし1000度の温度が望ましい。
【0042】
ある実施の形態においては、レーザパルスの使用によって、ある量の材料(例えば金属)がドナー構造208から基板17へと100nmないし1000nmの滴の形式で転写される。ある実施の形態においては、ドナー材料は、金属を備え、または実質的に金属からなる。ある実施の形態においては、金属は、アルミニウムである。ある実施の形態においては、材料層204はフィルムの形式をとる。ある実施の形態においては、フィルムは他の本体または層に付着されている。上述のように、本体または層はガラスであってもよい。
【0043】
上記に特定した複数放射ビームの波長に小さい変動があることによる困難について図5を参照して更に説明する。図5は、プリズム50の断面を示し、プリズム50には2本の一致する放射ビーム51、52が入力面50aに入射する。2本の放射ビーム51、52はわずかに異なる波長を有する。そのため、放射ビーム51、52がプリズムを通過すると、それらの経路が発散する。よって、2本の放射ビーム51、52はプリズムの出力面50b上でわずかに異なる場所から出力され、一方が他方に対してある小さい角度をなす。
【0044】
この作用は分散として知られており、プリズムの材料の屈折率がそのプリズム50を通過する放射の波長により異なることによって生じる。類似の作用がリソグラフィ装置において複数の放射ビームが投影系の光学素子を通過するときにも起こるので、それら複数の放射ビームのうち1つ又は複数のビームの位置及び角度にずれが生じる。このようなずれは公称波長からの放射ビーム波長の変動に依存する。こうした誤差を低減又は最小化するために、例えば、それら1つ又は複数の放射ビームの波長変動を低減又は最小化してもよい。複数の自己放射コントラストデバイスを使用する場合には、これを実現するために、ある狭い波長範囲内にある自己放射コントラストデバイスのみを選択してもよい。しかし、これにより、製造コストが顕著に高まる結果となるかもしれない。追加的な又は代替的な方法は、放射ビームが投影系を通過するときに生じるずれを補償するために、自己放射コントラストデバイスの各々の放射ビーム指向性を調整することである。しかし、これは比較的高価であるかもしれない。
【0045】
ところが、分散作用の低減又は最小化を試みること、または分散作用の補償を試みることに加えて又はそれに代えて、分散作用を利用してもよい。
【0046】
上述のような複数の放射ビームを基板に投影するリソグラフィ装置にとっての更なる問題は、比較的小さいパターンフィーチャをもつパターンを形成することを可能とするために、放射ビームの各々をできるだけ近づけることが望まれるということである。それと同時に、各放射ビームを制御するために使用されるパターニングデバイスの素子をどの程度近づけうるかについては実用上の制限がある。例えば、自己放射コントラストデバイスを使用する場合には、それらデバイスは有限のサイズを必ず持つから、放射ビームは生成時点である最小の間隔をもつことになる。それら複数の放射ビームは縮小光学系を用いて接近させられるかもしれない。しかし、縮小倍率が大きいほど、放射ビームポインティング誤差に対しシステムがより敏感になっていく。したがって、大きな縮小倍率は望ましくない。
【0047】
図6は、波長が少し異なる放射ビームを一緒にするためにどのように分散を使用しうるかを示す断面図である。効率上、本システムは図5に示すものと同一であるが、反転されている。よって、わずかに異なる放射波長を有する2本の放射ビーム51、52が、プリズム50の入力面50a上においてわずかに離れた場所で一方が他方に対し小さい角度をなすように、向けられている。放射ビーム51、52がプリズム50に入射する場所とそれらの間の角度とを適切に選択することによって、放射ビーム51、52は、互いに平行に、望まれる場合には互いに一致して、出力されるよう配列されてもよい。
【0048】
リソグラフィ装置のある実施の形態においては、上述の原理を使用して、基板に投影されるべき放射ビームを近づけてもよい。とりわけ、放射ビームを2以上のグループに分割してもよい。各グループは、ある比較的狭い範囲内の波長を有する1つ又は複数の放射ビームを含んでもよい。各グループの1つ又は複数の放射ビームは分散素子に向けられてもよく、それによって、入力側では各グループの放射ビーム間に角度の違いがあるが分散素子から出力される放射ビームは実質的に平行であるようにしてもよい。
【0049】
ある実施の形態においては、図5及び図6に示す上述のようなプリズム50が、分散素子として使用されてもよい。図7は、放射ビームのグループの構成を平面図で示す。図示されるように、放射ビームがプリズム50の入力面50aに投影されてもよい。図示されるように、1つ又は複数の放射ビームが第1範囲内の波長の放射を有する第1グループ61と第2範囲内の波長の放射を有する第2グループ62とに分けられてもよい。これら波長範囲は異なっていてもよい。ある実施の形態においては、これら波長範囲は重なり合わなくてもよい。
【0050】
図7に示されるように、グループ61、62のそれぞれが均等に隔てられた平行な放射ビームの列として配列されている。そのため、2つのグループが組み合わされて放射ビームの出力グループ63を形成するとき、もとのグループ61、62からの放射ビームは規則的に交互に配置されている。しかし、他の構成においては、異なる放射ビーム間隔が使用されてもよい。
【0051】
いずれの場合においても、グループ61、62の放射ビームにプリズム50を通過させることによって、出力面50bから出力される放射ビームは、放射ビームの単一出力列63を提供する。また、図6に示すのと同じようにして入力放射ビームが第1及び第2のグループ61、62間で入射角度に小さい相違があるように配列されているので、すべての出力放射ビーム63が実質的に平行である。
【0052】
したがって、図7に示すように、プリズム50に入力される放射ビームの2つのグループ61、62は第1のピッチを、すなわち隣接する放射ビームどうしの間隔を有してもよく、その一方、それらグループが組み合わされたときの出力放射ビームのピッチは、より小さくなってもよい。
【0053】
例えば、入力放射ビームは、プリズム50の入力面50aに入射するとき0.5mmの直径及び1mmのピッチを有してもよい。この場合、出力放射ビームグループ63は、出力面50bに実質的に同一のスポットサイズを有しうるが、ピッチは半分に小さくされ例えば0.5mmであってもよい。
【0054】
図8は、図7に示す実施の形態の変形例を示す平面図である。図示されるように、この場合、放射ビームの3つのグループ61、62、65がプリズム50に入力され、単一の出力放射ビームグループ63を形成するよう組み合わされる。グループ63の出力放射ビームは、一列に配列され、互いに実質的に平行に配列されている。こうした実施の形態においては、グループ61、62、65のそれぞれは、各々が区別され分離され得る異なる複数の波長範囲にある放射から形成されている。また、入力放射ビームは、各グループ61、62、65内で放射ビーム63が実質的に平行であり一列に配列されているが放射ビームのグループ61、62、65のそれぞれは他に対して角度を有してプリズム50に入力されるように、配列されている。図8に示されるように、こうした構成により、放射ビームグループのピッチは、当初与えられたグループから出力グループへと3分の1に減少してもよい。
【0055】
システムの要求に依存して、任意の数の放射ビームグループが、放射ビームのピッチの所望の減少率を提供するために使用されてもよい。
【0056】
2つの放射ビームグループを使用するある実施の形態においては、2つの放射ビームグループの放射の公称波長は、400nmと410nmであってもよい。3つの放射ビームグループを使用するある実施の形態においては、放射ビームグループの公称波長は、400nm、405nm、及び410nmであってもよい。いずれの場合においても、ある実施の形態においては、各グループの波長範囲の大きさは1nm又はそれ未満であってもよく、任意選択として、当該グループの公称波長をその範囲の中心としてもよい。ある実施の形態においては、波長範囲の大きさは、あるグループの公称波長とそれに最も近い他のグループとの波長の差異の10%又はそれ未満であってもよく、任意選択として、当該グループの公称波長をその範囲の中心としてもよい。
【0057】
ある実施の形態においては、プリズム50は溶融石英から形成されていてもよい。この材料は比較的高い分散の性質とリソグラフィ装置の動作条件下での適切な寿命とを有する点で有利でありうる。溶融石英は、波長400nmの放射の屈折率が1.4746であり、波長410nmの放射の屈折率が1.4693である。図6に示す構成において溶融石英プリズムを使用する場合に出力放射ビーム51、52を実質的に平行にするためには、波長410nm、400nmの入力放射ビーム51、52は、0.098056°の角度差を持たなければならない。この角度差は、2つの放射ビーム51、52のソース間に所望の間隔を与えるのに充分でありうる。例えば、この角度差で250μmの間隔を与えるには、ソースはプリズム50からおよそ146mmの距離にある必要があるであろう。
【0058】
代替的な構成のプリズムが使用されてもよい。また、異なる材料がプリズム50を形成するために使用されてもよい。そうした材料は例えば、使用される放射波長において屈折率に適切な差異を与えかつリソグラフィ装置において使用される構成部品に適切な寿命を与えるように選択されてもよい。溶融石英に代えて、いわゆるフリントガラスが選択されてもよく、これは比較的高い分散値を有する。こうした材料の例としては、ショット製のF2及びN−SF11と定められているものがある。
【0059】
本発明のある実施の形態は、分散素子を形成するためにプリズム50の使用に言及することにより上記に説明されているが、他の構成が使用されてもよく、使用される放射の波長に依存して変化する応答を与える他の素子が使用されてもよい。
【0060】
ある実施の形態においては、図9に示されるように、分散素子は格子70から形成されていてもよい。格子70の場合、ゼロ次放射以外のある特定次の放射の反射角度がその放射の波長に依存する。よって、図9に示されるように、異なる波長を有する2本の入力放射ビーム51、52は、それぞれの選択された次数の放射が格子70の表面に対し実質的に同一の角度で反射するように、格子70に入射するよう構成されていてもよい。こうした構成により、出力放射ビーム51、52は実質的に一致する。
【0061】
図6及び図9の比較において、プリズム50の使用と格子70の使用との間の相違点は、格子70の使用に関して入力放射ビーム51、52が格子70上の実質的に同一の点71に入射することである。他の点に関しては、リソグラフィ装置における分散素子の構成は同様であってよい。
【0062】
説明したように、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置においては、複数の放射ビームがいくつかの別個のグループに分割され、各グループに放射波長の特定の範囲が関連付けられている。それら異なる波長に対する分散素子の異なる応答がこれら複数の放射ビームを近づけるために使用される。しかし、各グループに関連付けられた1つ又は複数の放射ビームは、投影系内部の1つ又は複数の他の光学素子を通過するときに、異なる応答を互いに示してもよい。よって、ある実施の形態においては、投影系は、少なくとも1つの色補正素子を含んでもよく、これは、放射ビームグループ間の波長の違いによる投影系の分散素子以外の1つ又は複数の光学素子の応答における相違を少なくとも部分的に補償するよう構成されている。
【0063】
例えば、色補正がない場合には、各グループの放射ビーム間にはフォーカス誤差があり得る。色補正素子は従って、この誤差を補償するために、使用される放射波長の各々について屈折率に変化を有するよう適切に選択された材料片であってもよい。
【0064】
代替的に又は追加的に、こうしたフォーカス誤差は上記グループの放射波長間での変動により生じるが、フォーカス誤差は、各グループの放射源と分散素子との間の光路長を調整することによって、低減又は最小化されてもよい。
【0065】
分散素子、及び、使用される場合には色補正素子は、リソグラフィ装置の内部で任意の数の異なる場所に配設されてもよい。少なくとも静止部分と移動部分とをもつ投影系を有するある実施の形態においては、静止部分が分散素子を備えてもよい。ある実施の形態においては、分散素子は、投影系内の最初の光学素子、または投影系内の最初のいくつかの素子の1つであるよう配設されていてもよい。分散素子をこのように配設することにより、投影系内の後続の1つ又は複数の光学素子の構築にあたり、複数の放射ビームの間隔が小さくなっているという点で有利であり得る。
【0066】
本発明のある実施の形態は、投影系の部分としての分散素子に言及して上記に説明されているが、これは単なる例示的な構成であり、分散素子はリソグラフィ装置内で1つ又は複数の他の場所に設けられていてもよい。ある実施の形態においては、分散素子は、複数の放射ビームを提供するよう構成されている複数の放射源と、それら複数の放射ビームにパターンを与えるよう構成されている1つ又は複数のパターニングデバイスとの間に設けられていてもよい。
【0067】
ある実施の形態においては、使用される場合には色補正素子は、投影系内の最終光学素子、または最終素子の1つであってもよい。
【0068】
あるデバイス製造方法によると、パターンが投影された基板から、ディスプレイ、集積回路、又はその他の任意の品目等のデバイスが製造されうる。
【0069】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、本明細書に説明したリソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味し得る。
【0070】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学部品、回折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品を含む各種の光学部品のうちいずれか1つ、またはこれらの組み合わせを指し示してもよい。
【0071】
上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、以下に述べる請求項の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、当業者には明らかなことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
複数の放射ビームを基板に投影するよう構成されている投影系を備えており、該複数の放射ビームは、第1波長範囲内の放射から形成される第1の1つ又は複数の放射ビームのグループと、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲内の放射から形成される第2の1つ又は複数の放射ビームのグループと、を備え、
分散素子であって、第1のグループの1つ又は複数の放射ビームが第2のグループの1つ又は複数の放射ビームと異なる角度で前記分散素子に入射し、かつ前記分散素子から出力される第1及び第2のグループの前記1つ又は複数の放射ビームが実質的に平行であるように構成されている分散素子を備えるリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記分散素子は、通過する放射の波長により変わる屈折率を有する材料で形成されているプリズムを備える、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記複数の放射ビームは、他のグループの波長範囲と異なる第3波長範囲内の放射から形成される第3の1つ又は複数の放射ビームのグループを備え、
前記分散素子は、各グループの1つ又は複数の放射ビームが他のグループと異なる角度で前記分散素子に入射し、かつ前記分散素子から出力される各グループの前記放射ビームが実質的に平行であるように構成されている、請求項1又は2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
各グループ内の放射ビームは前記分散素子に入射するとき各グループに関連付けられた個々の列に配列され、それらグループのすべての放射ビームが前記分散素子から出力されるとき1つの列に配列されている、請求項1から3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
各グループからの放射ビームが出力放射ビーム列において規則的に交互に配列されている、請求項4に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
各グループの波長範囲は1nm以下である、請求項1から5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記複数の放射ビームを提供するよう構成されているプログラマブルパターニングデバイスと前記分散素子との間の放射ビーム経路長は、放射ビームの各グループにつき異なっており、その相違は、異なる放射波長に対し前記投影系の応答が異なることによって導入される基板に投影されるときの放射ビームの最良焦点位置の違いを低減するよう選択されている、請求項1から6のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記投影系は、前記分散素子と基板との間に配設されている色補正素子を備え、該色補正素子は、異なる放射波長に対し前記投影系の他の素子の応答が異なることによって導入される基板に投影されるときの放射ビームの最良焦点位置の違いを低減するよう構成されている、請求項1から7のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記複数の放射ビームを提供するよう構成されているプログラマブルパターニングデバイスを備える、請求項1から8のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記プログラマブルパターニングデバイスは、前記複数の放射ビームを選択的に提供する制御可能素子を備える、請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記プログラマブルパターニングデバイスは、複数の自己放射コントラストデバイスを備える、請求項9又は10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記投影系は静止部分と移動部分とを備える、請求項1から11のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記移動部分は、前記静止部分に対し回転するよう構成されている、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記静止部分は、前記分散素子を備える、請求項12又は13に記載のリソグラフィ装置。
【請求項15】
デバイス製造方法であって、
複数の放射ビームを基板に投影する投影系を使用することを備え、該複数の放射ビームは、第1波長範囲内の放射から形成される第1の1つ又は複数の放射ビームのグループと、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲内の放射から形成される第2の1つ又は複数の放射ビームのグループと、を備え、
第1のグループの1つ又は複数の放射ビームが第2のグループの1つ又は複数の放射ビームと異なる角度で分散素子に入射し、かつ前記分散素子から出力される第1及び第2のグループの前記1つ又は複数の放射ビームが実質的に平行であるように、放射ビームに前記分散素子を通過させることを備えるデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−98565(P2013−98565A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−238555(P2012−238555)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】