説明

リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池

【課題】プロピレンカーボネートを主体とする電解液を使用して、エチレンカーボネートを用いる電解液を使用した場合と同等以上の充放電サイクル特性を有するとともに、低温特性を向上し、低コスト化を図る。
【解決手段】リチウムイオン二次電池の負極は、負極活物質として表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散系バインダとを混練して作製した水性スラリーを負極集電体に塗布して作製され、非水電解液は、プロピレンカーボネートを5〜50体積%と、ジメチルカーボネートと、分子内に不飽和結合を有し、還元重合可能、かつ、リチウムと溶媒和可能な有機物と、を混合した混合液体を95〜5体積%と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非水電解液二次電池としてのリチウムイオン二次電池は、電子機器、特に携帯電話やノートパソコンなどにおいて、充電可能な電源として普及し、小型化、軽量化の傾向がめざましい。また、軽量でエネルギー密度が高いことから研究、工業化が進んでいるが、リチウムイオン二次電池の適用分野の拡大に伴い電池特性の改善も要望されている。
このようなリチウムイオン二次電池の非水電解液は、非水溶媒と電解質とから構成されている。
【0003】
ここで、非水溶媒としては、一般に高誘電率の有機溶媒であるエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン、スルホラン、あるいは低粘度の有機溶媒であるジメチルカーボネート(DMC)、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどが用いられている。
また、電解質としては、LiBF、LiPF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiSiFなどが用いられている。
【0004】
更に負極として黒鉛を用いたリチウムイオン二次電池が提案されている。
非特許文献1においては、この電池系の負極と電解液の界面において、カーボネート系電解液の分解により形成されるリチウムイオン導電性の被膜が、電解液のさらなる分解を抑制し、スムーズなリチウムイオンの移動に重要な役割を果たしていると報告されている。
一般に、黒鉛化度の大きい炭素材料は高容量化を実現することができるが、電解質との反応性が大きいという問題がある。したがって、電解質を適切に選択しなければならない。
【0005】
ここで、黒鉛化炭素に対して優れる充放電性能が得られる電解質としては,環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、鎖状カーボネートとしてはジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート、或いはジエチルカーボネートが提案されている。特に、エチレンカーボネートの含量が多いほど優れるサイクル特性を得ることができることが知られているが、エチレンカーボネートの融点は、39℃と高く、常温で固体の物質であり、エチレンカーボネートの含量が増加すると電解質の凝固温度が上昇するという問題点があった。またエチレンカーボネートは高価である問題もある。
【0006】
上記問題点を解決するために、エチレンカーボネートの一部または全部をプロピレンカーボネートで置換する方法が提案されている。しかし、この場合、初回充電時にリチウムイオンと溶媒和したプロピレンカーボネートが黒鉛層間への挿入面で脱溶媒和せず、いわゆる共挿入現象が起こり、その際に黒鉛層の剥離が起きて黒鉛が崩壊し、初充電できないばかりか負極を破壊してしまう問題が生じていた。
【0007】
黒鉛系負極活物質による電解液中の環状カーボネート類の分解および炭素材料の剥離を抑える方法として、種々の添加剤が提案されている。例えば非特許文献2には、プロピレンカーボネーとエチレンカーボネートをベースとする電解液にクラウンエーテル(12−クラウン−4)を添加することによって電解液の分解が抑制されることが提案されている。
しかしながら、この場合には高価なクラウンエーテルをかなり多量に加えなければ分解抑制効果が小さく、電池特性も未だ十分ではなく実用上は問題であった。
また、特許文献1には、ビニレンカーボネートを添加することによって、プロピレンカーボネートまたはエチレンカーボネートをベースとした電解液の分解が抑えられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−45545号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.,142,2882(1995)
【非特許文献2】J.Electrochem.Soc.,Vol.140,No.6,L101(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1記載の方法によると、添加剤が充電時に負極で還元されて、グラファイト表面に不動態皮膜を形成し、これによってプロピレンカーボネートやエチレンカーボネートなどの他の溶媒の還元が抑制されると考えられている。しかしながら、これらの方法では初回の充放電効率は必ずしも高くないうえに、充放電を繰り返すことによって電気容量は次第に低下し、満足なサイクル特性や保存安定性が得られないという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、黒鉛負極を用いたリチウムイオン二次電池において、プロピレンカーボネートを主体とする電解液を使用して、従来のエチレンカーボネートを用いる電解液を使用した場合と同等以上の充放電サイクル特性を有するとともに、低コスト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、正極、負極及び電解液を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法において、負極活物質として表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散系バインダとを混練し、前記黒鉛粉末に前記水溶性増粘剤と前記水溶性バインダとを被覆した水性スラリーを作製する工程と、前記水性スラリーを負極集電体に塗布し負極を作製する工程と、前記正極と負極とをセパレータを介して捲回あるいは積層し極板群を作製する工程と、前記極板群を容器に収容し、プロピレンカーボネートを5〜50体積%と、ジメチルカーボネートと、分子内に不飽和結合を有し、還元重合可能、かつ、リチウムと溶媒和可能な有機物と、を混合した混合液体を95〜5体積%と、を含む非水電解液を注液して封止する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、リチウムイオン二次電池を製造するに際し、負極活物質として表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散系バインダとを混練し、前記黒鉛粉末に前記水溶性増粘剤と前記水溶性バインダとを被覆した水性スラリーを作製する。
次に得られた水性スラリーを負極集電体に塗布し負極を作製する。
そして、正極と負極とをセパレータを介して捲回あるいは積層し極板群を作製し、作製した極板群を容器に収容し、プロピレンカーボネートを5〜50体積%と、ジメチルカーボネートと、分子内に不飽和結合を有し、還元重合可能、かつ、リチウムと溶媒和可能な有機物と、を混合した混合液体を95〜5体積%と、を含む非水電解液を注液して封止する。
【0014】
これらの結果、得られるリチウムイオン二次電池によれば、従来のエチレンカーボネートを用いる電解液を使用した場合と同等以上の充放電サイクル特性を実現し、低コスト化が図れる。
この場合において、前記有機物として、1〜7wt%のビニレンカーボネートを添加するようにしてもよい。
上記構成によれば、負極を保護する保護被膜の形成(修復)、維持が図れ、充放電サイクル特性を長期に亘って維持することが可能となる。
【0015】
また、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な正極及び負極、電解質、非水電解液を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記負極は、表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散系バインダとを混練し、前記黒鉛粉末に前記水溶性増粘剤と前記水溶性バインダと、これらを保持する負極集電体と、で構成され、前記非水電解液は、プロピレンカーボネートを5〜50体積%と、ジメチルカーボネートと、分子内に不飽和結合を有し、還元重合可能、かつ、リチウムと溶媒和可能な有機物と、を混合した混合液体を95〜5体積%と、を含有する、ことを特徴としている。
上記構成によれば、従来のエチレンカーボネートを用いる電解液を使用した場合と同等以上の充放電サイクル特性を実現し、低コスト化が図れる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来のエチレンカーボネートを用いる電解液を使用した場合と同等以上の充放電サイクル特性を実現しつつ、低コスト化が図れるという効果を奏する。
さらには、電解液にビニレンカーボネート(VC)を所定量添加することで充放電特性を改善するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[1]本発明の原理
本発明者らは、プロピレンカーボネートを主体とする電解液を使用して、従来のエチレンカーボネートを用いる電解液を使用した場合と同等以上のサイクル特性を有するとともに、低温特性を向上し、低コスト化を図るために、鋭意検討した結果、初充電時に黒鉛負極表面へ電気泳動により移動するリチウム−プロピレンカーボネート溶媒和カチオンを負極の黒鉛表面において、円滑に脱溶媒和させることができれば、正常な充放電が可能となるものと仮定した。
そして、円滑に脱溶媒和させるためには、黒鉛表面にリチウムイオンに対してプロピレンカーボネートと同等以上に配位結合可能な物質を隙間無く配置する必要があることが分かった。
【0018】
この配位結合をさせるために、先ずカーボネートと同じ機構で酸素原子(カルボニル基)の非共有電子対を利用することを考えた。このため、黒鉛表面に非共有電子対を有する酸素や窒素等の原子を持つ有機物を配置する方法があるが、黒鉛は本来強い撥水性を待つので、極性の強いこれらの官能基を持つ化合物またはこの水溶液を弾いてしまい、良好な被覆は望めない。
そこで、表面を親水性加工した黒鉛(以下、親水化黒鉛という)を用いることとした。
【0019】
親水化黒鉛は、表面に親水性官能基を修飾したものであり、ある程度は上述した効果が得られたが、その効果は不十分なものであった。
これを改善するために、水性プロセスによる増粘剤やバインダ等中の酸素や窒素原子を新たに付与することにより、プロピレンカーボネートの脱溶媒和作用を十分に有するようになった。
このような方法を採用することにより、電池の作動期間やフロート充電等の有無により、プロピレンカーボネートの脱溶媒和作用の効果を調整する場合には、水性スラリー中の増粘剤やバインダ量の増減で容易に調整できることとなっている。
【0020】
このような操作により、エチレンカーボネートに代えてプロピレンカーボネートを主体とする電解液をリチウムイオン二次電池で使用した場合、正常な初充電が可能となる。
しかしこの方法では、充放電サイクルを繰返した場合、早期に容量が低下することがわかった。
これは、充電時にリチウム−プロピレンカーボネート溶媒和カチオンが脱溶媒和する際に、一部の完全に脱溶媒和していないリチウムイオンが無理に層間へ入ろうとして、形成した皮膜の一部を破壊することや、放電時にリチウムイオンが黒鉛層間から出る際に被膜の一部を剥がすことが考えられた。
【0021】
このために、直接黒鉛に接触して電解重合(還元重合)可能な不飽和結合を有し、かつ、リチウムイオンと電解液中で行動を共にできる溶媒和可能な有機物を電解液に添加しておき、被膜の一部が破壊された時に速やかに黒鉛表面で保護被膜を形成できるようにした。
これら一連のリチウムイオン二次電池の製造方法により、環状カーボネートとしてエチレンカーボネートを用いなくても、プロピレンカーボネートを主体とする電解液を使用することが可能となる。
さらに、鎖状カーボネートとして、ジメチルカーボネート(DMC)を加えることにより、低温特性の向上が可能となる。
黒鉛負極の作製では、黒鉛表面の親水化法は特に制限されない。
導電剤としては、カーボンブラックや金属粉等を用いることができる。
【0022】
水溶性高分子増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースNa塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸塩類、デンプン、ポリアミン、デキストリン等の、親水性官能基として水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基等の非共有電子対を有する酸素や窒素原子等を持つ化合物の水溶液を用いることができる。
水分散系バインダ(水性バインダ)としては、スチレンスタジエンゴムやアクリル酸系の水性ディスパージョンを用いることができる。
不飽和結合を有し、かつ、リチウムイオンと溶媒和可能な有機物としては、ビニレンカーボネート(VC)等のカーボネートの他、不飽和のカルボン酸エステル類、リン酸エステル類、ホウ酸エステル類、およびアルコール類を用いることができる。
【0023】
電解液高誘電率溶媒としては、プロピレンカーボネートのほかに、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2一メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類を併用して用いることができる。
電解液低粘度溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)のほかにエチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、1,2−ジメチキシエタン等の鎖状エーテル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類を併用して用いることができる。
【0024】
本実施形態では、環状カーボネートとして、プロピレンカーボネートを用いており、プロピレンカーボネートの電解液に対する含有割合は、5体積%〜50体積%であり、好ましくは10体積%〜40体積%であり、より好ましくは20体積%〜30体積%である。
ここで、プロピレンカーボネートの添加量が多すぎると(50体積%超)、粘度の上昇により低温特性が低下する問題があり、少なすぎると(5体積%未満)、低温特性向上が見られなくなる。
【0025】
また、本実施形態では、鎖状カーボネートとして、ジメチルカーボネート(DMC)を用いており、ジメチルカーボネートの電解液に対する含有割合は、10体積%〜70体積%であり、好ましくは20体積%〜70体積%であり、より好ましくは30体積%〜70体積%である。
ここで、ジメチルカーボネートの含有量(添加量)が多すぎると(70体積%超)、誘電率の低下によりレート特性(放電レート特性)が低下する問題があり、少なすぎると(10体積パーセント未満)、粘度の上昇により低温特性向上が見られなくなるからである。
【0026】
さらに、本実施形態では、不飽和結合を有し、かつ、リチウムイオンと溶媒和可能な有機物として、ビニレンカーボネート(VC)を用いており、ビニレンカーボネートの電解液に対する含有割合は、0.5wt%〜10wt%であり、好ましくは1〜7wt%であり、より好ましくは2wt%〜5wt%である。
ここで、ビニレンカーボネートの含有量(添加量)が多すぎると(10wt%超)、保護皮膜(SEI)が厚くなりすぎ抵抗値が増大する問題があり、少なすぎると(0.5wt%未満)、保護被膜の形成、維持が十分に行えなくなり、補修機能が見られなくなるからである。
【0027】
以上の説明のように、本発明によれば、親水化された黒鉛のリチウムイオン挿入面に極性が大きくリチウムイオンと配位結合が可能な被膜(SEI)を隙間無く形成してプロピレンカーボネート(PC)の脱溶媒和を促進し、被膜(SEI)を修復する有機物を添加することにより長期の充放電サイクルを維持し、さらに鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)により低温特性を向上させることにより、非水電解質にエチレンカーもネートを用いずに、プロピレンカーボネート主体の電解液を用いて、実用的な充放電サイクル特性および低温特性を有するリチウムイオン二次電池を構成でき、しかも安価に提供できる。
【実施例】
【0028】
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[1]負極作製
本実施例においては、負極として、負極TA〜負極TDの4種の負極を作製した。
[1.1]負極TA:実施例
まず、負極TAを構成する黒鉛の親水化について説明する。
黒鉛の親水化を図るため、ポリウロニド類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA)およびアルギン酸ナトリウム(Arg−Na)、アルギン酸カリウム(Arg−K)を用い、これらを100重量部の純水に溶解した。
【0029】
次いで天然リン状および天然リン片状の黒鉛から構成される塊状の黒鉛粒子を投入して撹拌し、放置した。
黒鉛粒子が沈降した後、上澄みを除去して黒鉛スラリーを乾燥、解砕してポリウロニド(類)が表面に吸着あるいは被覆された黒鉛、すなわち、表面に親水化処理が施された親水化黒鉛を得た。
次に、この親水化黒鉛の粉末100gに対し、水溶性高分子増粘剤としての2%CMC水溶液83.3gおよび水分散系バインダとしてのSBR系水性バインダ7.5gを加え、十分に混練して水性スラリーを得た。
【0030】
そして、得られた水性スラリーを、厚さ10μmの銅箔製の集電体に塗布し、70℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極TAとした。
ここで、黒鉛粉末は、水溶性高分子増粘剤であるCMC水溶液と水分散系バインダであるSBR系水性バインダによって被覆されていることを走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認した。
【0031】
[1.2]負極TB:第1比較例
負極TAの作製に用いた親水化黒鉛の粉末100gに対し、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを10gにN−メチルピロリドンを加えて油性(有機系)スラリーを得た。油性スラリーを厚さ10μmの銅箔製の集電体に塗布し、120℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極TBとした。
【0032】
[1.3]負極TC:第2比較例
表面に非晶質カーボンが被覆された一般的なリチウムイオン二次電池用の黒鉛粉末を用い、この黒鉛粉末100gに対し、水溶性高分子増粘剤としての2%CMC水溶液83.3g、水分散系バインダとしてのSBR系水性バインダ7.5gを十分に混練して水性スラリーを得た。水性スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体に塗布し、70℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極TCとした。
【0033】
[1.4]負極TD:第3比較例
負極TCの作製に用いた黒鉛粉末100gに対し、バインダとしてポリビニリデンフルオライドを10gにN−メチルピロリドンを加えて油性(有機系)スラリーを得た。油性スラリーを厚さ10μmの銅箔製の集電体に塗布し、70℃で10分間乾燥した。その後、ロールプレスで圧延加工して塗膜密度を1.6g/ccとし、負極TDとした。
【0034】
[1.5]負極の評価
次に上述した4種類の負極TA〜TDの評価を行う。
[1.5.1]電解液調整
まず、電解液を構成する電解液組成について説明する。
[1.5.1.1]電極評価用電解液
4種類の負極TA〜TDの評価に用いた電極評価用の電解液は、同一のものであり、非水電解質として、プロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:7の体積比で混合した混合溶媒に対し、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させた電解液を調製した。
【0035】
[1.5.1.2]プロピレンカーボネート含有量評価用電解液
次にプロピレンカーボネート含有量評価用の非水電解質として、以下の表1に示すプロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比でそれぞれ混合した混合溶媒L1〜L8のそれぞれに対し、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させた8種類の電解液を調製した。
【0036】
【表1】

【0037】
[1.5.1.2]ジメチルカーボネート含有量評価用電解液
続いてジメチルカーボネート(DMC)含有量評価用の非水電解質として、以下の表2に示すプロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジメチルカーボネート(DMC)の体積比でそれぞれ混合した混合溶媒L11〜L18のそれぞれに対し、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させた8種類の電解液を調製した。
【0038】
【表2】

【0039】
[1.5.1.3]ビニレンカーボネート含有量評価用電解液
続いて、ビニレンカーボネート含有量評価用の非水電解質として、以下の表3に示す体積比で、プロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジメチルカーボネート(DMC)を混合した混合溶媒L21〜L28のそれぞれに対し、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させた8種類の電解液を調製し、それぞれに所定の重量パーセント(wt%)のビニレンカーボネート(VC)を混合した。
【0040】
【表3】

【0041】
[1.5.2]電気化学特性評価セルの作製
続いて、リチウムイオン二次電池用負極としての特性を評価するために、以下の方法で電気化学特性評価セルを作製した。
上述した各電極TA〜TDを作用極とし、対極と参照極には、リチウム金属を用いた。
電解液には、上記方法で調整したものをそれぞれ用いた。
セパレータには、ポリオレフィン製の微孔膜、外装体にはポリプロピレンブロックを加工した樹脂製容器を用い、作用極、対極及び参照極に設けた端子の開放端部が外部露出するように電極群を収納封口した。
【0042】
[1.5.3]電気化学特性評価セルの評価
続いて、プロピレンカーボネート(PC)電解液中における充放電性能を評価(
電気化学特性評価)するために試験を行った。
電極TA〜TDを作用極とし、電解液には、プロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比で3:7で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/lの濃度で溶解させた非水電解質液を使用した。
【0043】
まず、初期活性化のため、評価セルを5サイクルの活性化充放電に供した。活性化充放電の条件としては、初回充放電は、0.1CAで、充電は、0.0Vに到達するまでは定電流で行い、続いて0.0Vで電流が0.05CAに到達するまで定電位で行った。
放電は、1.5Vまで定電流で行った。
2サイクル目〜5サイクル目までは、電位条件は同じで、電流を0.2CAで行った。温度は25℃とした。このとき、初回放電容量(mAh/g)については、各電極の黒鉛の単位質量(g)あたりの容量(mAh)とし、表4に初回放電時の放電容量の結果を示す。
【0044】
【表4】

【0045】
表4に示すように、セルC1,C2では、活物質の親水化処理により、電解液にプロピレンカーボネート(PC)を用いても、充放電が可能となった。
さらにスラリー製法を水性製法にすることにより、増粘剤やバインダなどに含まれる酸素原子や、窒素原子を新たに付与され、十分なプロピレンカーボネート(PC)の脱溶媒和作用を有するため、初回放電容量の増加が見られ、プロピレンカーボネート(PC)の共挿入現象を十分に抑制することが判明した。
【0046】
一方、親水化処理を施さなかったセルC3,C4では、初回充放電ができなかった。これは、従来から言われていたプロピレンカーボネート(PC)とリチウムイオンの溶媒和イオンが脱溶媒和させる機能がほとんど無く、充電時に溶媒和しているリチウムイオンが無理に層間に入ろうとして、黒鉛層間の破壊が起こるためであると考えられる。
【0047】
[1.5.4]EC比較評価、低温評価
次にプロピレンカーボネート(PC)電解液中での充放電性能、低温性能をエチレンカーボネート(EC)電解液と比較し、評価するために試験を行った。
電極TA、TBを作用極として、プロピレンカーボネート(PC)電解液には、プロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:7の体積比で混合した混合溶媒に対し、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させたものを用いた。
【0048】
また、電極TA、TBを作用極として、エチレンカーボネート(EC)電解液には、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:7の体積比で混合した混合溶媒に対し、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させたものを用いた。
まず、初期活性化のため、評価セルを5サイクルの活性化充放電に供した。活性化充放電の条件としては、初回充放電は、0.1CAで、充電は、0.0Vに到達するまでは定電流で行い、続いて0.0Vで電流が0.05CAに到達するまで定電位で行った。
【0049】
放電は、1.5Vまで定電流で行った。
2サイクル目〜5サイクル目までは、電位条件は同じで、電流を0.2CAで行った。温度は25℃とした。このとき、初回放電容量(mAh/g)については、各電極の黒鉛の単位質量(g)あたりの容量(mAh)とし、表5に初回放電時の放電容量および低温(−30℃)時の放電容量の結果を示す。
【0050】
【表5】

【0051】
表5に示すように、セルC1では、電荷液にプロピレンカーボネート(PC)が用いられても、従来品のエチレンカーボネート(EC)を用いたセルC5と同等の性能が得られていることが分かる。さらに低温での放電容量結果からは、従来品のエチレンカーボネート(EC)をに比べ、低温特性の向上が見られた。
これは、エチレンカーボネート(EC)に比べ、プロピレンカーボネート(PC)野融点が低く、固まりにくいため、低温特性の改善につながったと思われる。
スラリー製法が油性のセルC2、C6でも同じようなことが言える。
しかし、水性スラリー製法と異なり、黒鉛表面の撥水性により黒鉛表面の挿入面への十分な被覆(SEI)が行えないため、容量低下が起きたと推定される。
【0052】
[1.5.5]PC含有量評価
次に電解液中のプロピレンカーボネート(PC)の含有最適量を検討するための試験を行った。
電極TA、TBを作用極とし、電解液には、表1に示した非水電解質を用いた電解液を使用した。
まず、初期活性化のため、評価セルを5サイクルの活性化充放電に供した。活性化充放電の条件としては、初回充放電は、0.1CAで、充電は、0.0Vに到達するまでは定電流で行い、続いて0.0Vで電流が0.05CAに到達するまで定電位で行った。
【0053】
放電は、1.5Vまで定電流で行った。
2サイクル目〜5サイクル目までは、電位条件は同じで、電流を0.2CAで行った。温度は25℃とした。
続いて、低温評価用の6サイクル目では、2サイクル目〜5サイクル目までと電位条件は同じで、電流を0.2CAで行い、充電温度は、25℃とし、放電温度は、−30℃とした。
【0054】
表6に、プロピレンカーボネート(PC)の含有量が異なる非水電解質における、初回充放電時と、低温時(−30℃時)の放電容量の結果を示す。なお、放電容量(mAh/g)については、各電極の黒鉛の単位質量(g)あたりの容量(mAh)としている。
【0055】
【表6】

【0056】
表6に示すように、初回放電容量を見ると、プロピレンカーボネート(PC)の含有量が5体積%以上、50体積%以下のセルC1、C8〜C12、C15〜C20においては、初回充放電が可能であったが、プロピレンカーボネート(PC)の含有量が40体積%以上となると初回放電容量の低下が見られた。これは、プロピレンカーボネート(PC)脱溶媒和が完全に行われず、一部で保護被膜(SEI皮膜)の破壊が起こっているためと考えられる。
【0057】
さらにプロピレンカーボネート(PC)の含有量が60体積%以上のセルC13、C21は、初回充放電が行えなかった。
これは、プロピレンカーボネート(PC)とリチウムとが溶媒和した状態で黒鉛表面に共挿入し、親水化処理および水性プロセスによって形成された保護被膜(SEI皮膜)を破壊してしまうためと考えられる。
【0058】
一方、低温放電容量を見ると、プロピレンカーボネート(PC)の含有量が0.5体積%以上から低温特性の向上の効果がみられた。
したがって、プロピレンカーボネートの電解液に対する含有割合は、5体積%〜50体積%とする。これは、プロピレンカーボネートの添加量が多すぎると(50体積%超)、粘度の上昇により低温特性が低下する問題があり、少なすぎると(5体積%未満)、低温特性向上が見られなくなるからである。
さらに放電容量を考慮すれば、好ましくは10体積%〜40体積%であった。
今回の範囲において、特に効果が得られたのは、20体積%〜30体積%であり、特に30体積%の場合であった。これにより最適なプロピレンカーボネート(PC)の含有量は、30体積%前後であると考えられ、以下の説明においては、プロピレンカーボネート(PC)の含有量が30体積%の非水電解質を用いて評価を行うものとする。
【0059】
[1.5.6]DMC含有量評価
電解液中のジメチルカーボネート(DMC)含有量の最適量を検討するために試験を行った。
電極A、Bを作用極とし、電解液には、上述した表2に示した非水電解質を用いた電解液を使用した。
【0060】
【表7】

【0061】
表7に示すように、電解液にジメチルカーボネート(DMC)を使用したセルC22〜C28、セルC30〜C36は、全てジメチルカーボネート(DMC)を使用していないセルC1、C29よりも良好な低温充放電特性を示しており、ジメチルカーボネート(DMC)の使用が低温特性の向上に寄与することが分かった。
ここで、低温特性を考慮した有効なジメチルカーボネート(DMC)の電解液に対する含有割合は、10体積%〜70体積%である。これは、ジメチルカーボネートの含有量(添加量)が多すぎると(70体積%超)、誘電率の低下によりレート特性(放電レート特性)が低下する問題があり、少なすぎると(10体積パーセント未満)、粘度の上昇により低温特性向上が見られなくなるからである。
さらに、好ましくは20体積%〜70体積%であり、この範囲であれば、通常温度での使用であれば、十分に高性能を発揮し、30体積%〜70体積%の範囲であれば、通常温度での使用に限らず、低温環境下においても高性能の放電容量を有するリチウムイオン二次電池として使用することが可能となる。
【0062】
また、黒鉛表面親水化及び水性スラリー製法により、ジメチルカーボネート(DMC)を30wt%以上使用したセルC24〜C28においては、低温放電容量が300mAh/g以上という高性能をみせた。これは、ジメチルカーボネート(DMC)が左右対称の構造を持っているので、左右非対称のエチルメチルカーボネート(EMC)と比較して、安定してリチウムと溶媒和を形成することができるため、黒鉛層間へのスムーズなリチウムの挿入、離脱が起きたと推定される。これは、ジメチルカーボネート(DMC)の含有割合を減少させていく毎に低温放電容量が低下していることからもわかる。
この結果により、電解液にDMCを30wt%以上使用することで、低温特性が向上することが判明した。
【0063】
[1.5.7]VC含有量評価
次に表7に示したDMC含有量評価において、最も性能が高かったセルC28を用いて充放電サイクルを繰り返し行った。
しかしながら、セルC28においては、早期に放電容量が低下した。これは、充電時にプロピレンカーボネート(PC)が脱溶媒和する際に一部の完全に脱溶媒和していないリチウムイオンが無理に層間に入り込もうとして、形成した保護被膜(SEI)の一部を破壊したり、放電時にリチウムイオンが黒鉛層からでる際に保護被膜(SEI)の一部を剥がすことなどが考えられる。
【0064】
このため、直接黒鉛に接触して電解重合(還元重合)可能な不飽和結合を有し、活、リチウムイオンと電解液中で溶媒和可能な有機物を電解液に添加しておき、保護被膜(SEI)の一部が破壊されたとき速やかに黒鉛表面で保護被膜(SEI)を形成できるように、最適な有機物の量を検討するために試験を行った。
ここで、直接黒鉛に接触して電解重合(還元重合)可能な不飽和結合を有し、かつ、リチウムイオンと電解液中で溶媒和可能な有機物としては、ビニレンカーボネート(VC)等のカーボネートの他、不飽和のカルボン酸エステル類、リン酸エステル類、ホウ酸エステル類、およびアルコール類を用いることができる。
【0065】
以下の説明においては、上述した有機物としてビニレンカーボネート(VC)を用いた場合について説明する。
まず、電極TA、TBを作用極とし、電解液には、プロピレンカーボネート(PC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:7の体積比で混合した混合溶媒に対し、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させたものを用い、ビニレンカーボネートを0〜11wt%の範囲で添加した表8に示す組成を有する電解液とした。
【0066】
【表8】

【0067】
まず、初期活性化のため、評価セルを5サイクルの活性化充放電に供した。活性化充放電の条件としては、初回充放電は、0.1CAで、充電は、0.0Vに到達するまでは定電流で行い、続いて0.0Vで電流が0.05CAに到達するまで定電位で行った。
放電は、1.5Vまで定電流で行った。
2サイクル目〜5サイクル目までは、電位条件は同じで、電流を0.2CAで行った。温度は25℃とした。
続いて、低温評価用の6サイクル目〜30サイクル目までは、2サイクル目〜5サイクル目までと電位条件は同じで、電流を0.5CAで行い、充電温度は、25℃とした。
【0068】
このとき、放電容量(mAh/g)については、各電極の黒鉛の単位質量(g)あたりの容量(mAh)とし、30サイクル目の放電容量について検討した。
表8に示すように、低温特性が良好だったビニレンカーボネート(VC)を無添加(VC 0wt%)のセルC28,C36では、充電サイクルを繰り返した場合、早期に容量が低下し、30サイクル目では充放電が不能となった。
この理由は、充電時、プロピレンカーボネートが脱溶媒和する際に一部の完全に脱溶媒和していないリチウムイオンが無理に層間へ入ろうとして形成したSEIの一部を破壊したり、放電時にリチウムイオンが黒鉛層間から出る際にSEIの一部を剥がすことが考えられる。
【0069】
これらに対して、ビニレンカーボネート(VC)の添加量0.5〜10wt%のセルC37〜C42、セルC44〜C49は、良好なサイクル寿命特性を示した。
これは、充放電の繰り返しにおいて、プロピレンカーボネート(PC)を脱溶媒和させるSEIの一部が破壊されてもすぐに補修ができるために黒鉛層間の破壊が完全に抑制されたためと推定される。
また、ビニレンカーボネート(VC)の添加量が11wt%のセルC43及びセルC50において、放電容量の低下が見られるのは、ビニレンカーボネート(VC)の皮膜補修機能が働きすぎてSEIが厚くなりすぎて、抵抗が増加するためであると推定される。
【0070】
表8の結果から、放電容量がより高いセルC39に相当するビニレンカーボネート(VC)の添加量である3wt%前後がビニレンカーボネート(VC)の添加量として好ましいと考えられる。
より詳細には、ビニレンカーボネートの電解液に対する含有割合は、0.5wt%〜10wt%であればよい。これは、ビニレンカーボネートの含有量(添加量)が多すぎると(10wt%超)、保護皮膜(SEI)が厚くなりすぎ抵抗値が増大する問題があり、少なすぎると(0.5wt%未満)、保護被膜の形成、維持が十分に行えなくなり、補修機能が見られなくなるからである。
様々な温度環境などを考慮すると、好ましくは1〜7wt%であり、さらにリチウムイオン二次電池の長期的な充放電サイクルを考慮した場合には、より好ましくは2wt%〜5wt%(特に3wt%前後)がよい。
以上の説明のように、親水化された黒鉛のリチウムイオン挿入面に極性が大きくリチウムイオンと配位結合が可能な被膜を隙間無く形成でき、プロピレンカーボネートの脱溶媒和を促進するとともに、被膜を修復可能な有機物を添加して長期の充放電サイクルを維持しつつ、低温特性も向上できるとともに、電解液に安価な材料を用いることができ、ひいては、リチウムイオン二次電池の製造コストの削減が図れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極及び電解液を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法において、
負極活物質として表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散系バインダとを混練し、前記黒鉛粉末に前記水溶性増粘剤と前記水溶性バインダとを被覆した水性スラリーを作製する工程と、
前記水性スラリーを負極集電体に塗布し負極を作製する工程と、
前記正極と負極とをセパレータを介して捲回あるいは積層し極板群を作製する工程と、
前記極板群を容器に収容し、プロピレンカーボネートを5〜50体積%と、ジメチルカーボネートと、分子内に不飽和結合を有し、還元重合可能、かつ、リチウムと溶媒和可能な有機物と、を混合した混合液体を95〜5体積%と、を含む非水電解液を注液して封止する工程と、
を備えていることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のリチウムイオン二次電池の製造方法において、
前記有機物として、1〜7wt%のビニレンカーボネートを添加したことを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項3】
リチウムイオンを吸蔵、放出可能な正極及び負極、電解質、非水電解液を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記負極は、表面を親水化した黒鉛粉末と水溶性増粘剤と水分散系バインダとを混練し、前記黒鉛粉末に前記水溶性増粘剤と前記水溶性バインダと、これらを保持する負極集電体と、で構成され、
前記非水電解液は、プロピレンカーボネートを5〜50体積%と、ジメチルカーボネートと、分子内に不飽和結合を有し、還元重合可能、かつ、リチウムと溶媒和可能な有機物と、を混合した混合液体を95〜5体積%と、を含有する、
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池。

【公開番号】特開2011−181204(P2011−181204A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41639(P2010−41639)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】