説明

リチウムイオン二次電池システム、車両、および電池搭載機器

【課題】 使用により低下したリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができるリチウムイオン二次電池システム、そのリチウムイオン二次電池システムを用いる車両、および電池搭載機器を提供する。
【解決手段】 リチウムイオン二次電池システム10は、電極部材を有するリチウムイオン二次電池15と、リチウムイオン二次電池の充放電を制御する制御手段12と、を備え、リチウムイオン二次電池を所定の放電電流I1で放電させる放電手段13、を備え、制御手段12は、リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることが可能な、リチウムイオン二次電池の電圧Vbが再増大時電圧Vcになるまで、放電手段により、所定の放電電流でリチウムイオン二次電池を放電させる第1出力回復手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池システム、リチウムイオン二次電池システムを用いる車両、およびリチウムイオン二次電池システムを用いる電池搭載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、使用に伴って充放電を繰り返すと、出力特性が低下する。この要因の1つは、電極(活物質)に不動態被膜が生成されるためであると考えられる。このため、電池寿命末期まで所定の出力特性を保つべく、出力特性の低下分を見込んで、出力の大きな二次電池を用いることがある。この場合には、電池の材料コストの上昇や電池体積の増大等の問題を生じる。
そこで下記の特許文献では、二次電池を組み立てた後、予備放電することにより、負極表面上に形成された不動態被膜を破壊することを提案している。
【0003】
【特許文献1】特開平11−297362公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献で提案された技術は、二次電池の組み立て後にのみ予備放電を行っているので、電池の使用に伴って電極(活物質)上に発生し、充放電を妨害する被膜を低減することができない。従ってこの二次電池は、使用に伴い出力特性が低下していく虞がある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、使用により低下したリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができるリチウムイオン二次電池システム、このリチウムイオン二次電池システムを用いる車両、および電池搭載機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、その解決手段は、電極部材を有するリチウムイオン二次電池と、上記リチウムイオン二次電池の充放電を制御する制御手段と、を備えるリチウムイオン二次電池システムであって、上記リチウムイオン二次電池を放電させる放電手段、を備え、上記制御手段は、上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第1出力回復手段であって、上記リチウムイオン二次電池が出力特性の低下した特性低下電池であるとした場合において、上記特性低下電池を0.2Cの放電電流で放電させ、上記特性低下電池の電圧のうち、単位時間当たりの電圧低下率が一旦低下した後に再び増大し始めた時点の電圧を、再増大時電圧としたとき、上記リチウムイオン二次電池の電圧が上記再増大時電圧になるまで、上記放電手段により、所定の放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる第1出力回復手段を含むリチウムイオン二次電池システムである。
【0007】
使用により出力特性が低下したリチウムイオン二次電池(特性低下電池)を、0.2Cの比較的小さな電流で放電させると、電池の電圧は徐々に低下していく。しかし、この電池電圧の単位時間当たりの電圧低下率について見ると、過放電の領域で、この電圧低下率の値が一旦減少した後に、再び増大する挙動を示す場合がある。つまり、一旦、電圧の低下速度が遅くなった後、再び電圧の低下速度が速くなる挙動を示す場合がある。これは、この電圧低下率が減少してから、再び増大する再増大時電圧になるまでの電圧域で、電極上の被膜を溶かす反応が進行しているためであると推定される。
本発明のリチウムイオン二次電池システムは、制御手段に、リチウムイオン二次電池の電圧が再増大時電圧になるまで、この電池を放電させる第1出力回復手段を含んでいる。この第1出力回復手段により再増大時電圧になるまでリチウムイオン二次電池を放電させることで、この電池の出力特性を回復させることができる。
【0008】
ここで、0.2Cの電流の具体的な大きさ(電流値)は、本来は上述のリチウムイオン二次電池の仕様(初期放電容量)により決められる。そして、この0.2Cに相当する電流値を用いて上述の再増大時電圧を得る。但し、すでに使用された電池において、測定される現状の電池容量に基づいて与えられる0.2Cに相当する放電電流を用いて、再増大時電圧を得ても良い。
【0009】
なお、リチウムイオン二次電池としては、例えば、正極活物質を担持した正電極板、負極活物質を担持した負電極板、これらの間に介在するセパレータ、および電解液を備えるリチウムイオン二次電池が挙げられる。従って例えば、帯状の正電極板と帯状の負電極板を帯状のセパレータを介して捲回した捲回形や、複数の正電極板と複数の負電極板とを、セパレータを介して交互に積層した積層形が挙げられる。
【0010】
また、正極活物質としては、電気化学的に自由にリチウムイオンの授受が可能なリチウム化合物であればよく、例えばLiNi0.5Co0.52、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFeO2、Li2MnO3、LiFePO4、これらの混合物等が挙げられる。負極活物質もまた、電気化学的に自由に金属リチウムの授受が可能な導電性物質であればよく、例えば、金属リチウムを内部にドープ可能な導電性炭素材が挙げられる。
さらに、電解液としては、例えば、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの有機溶媒、あるいはこれらの混合有機溶媒に、例えば、LiCF3SO3、LiAsF6、LiClO4、LiBF4、LiPF6等の電解質を溶解させた非水電解液が挙げられる。電解質体に電解液を用いた場合には、例えば、高分子繊維からなるセパレータに保持させて、正極活物質および負極活物質に接触させると良い。
【0011】
また、放電手段は、リチウムイオン二次電池に所定の放電電流を放電させることができるものであればよく、例えば、定電流を流しうる定電流回路や所定の放電電流に見合う抵抗を備える抵抗回路等が挙げられる。
また、制御手段としては、リチウムイオン二次電池の充放電の制御が可能であればよく、CPU、ROM、およびRAM等の電子部品およびその周辺回路を備える制御装置等が挙げられる。
【0012】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムであって、前記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、前記制御手段は、前記第1出力回復手段による放電と、上記充電手段による充電と、を交互に繰り返す反復第1出力回復手段を含むリチウムイオン二次電池システムとすると良い。
【0013】
本発明のリチウムイオン二次電池システムは、制御手段に反復第1出力回復手段を含んでいる。このため、第1出力回復手段による放電を繰り返すことで、第1出力回復手段を1回のみ行う場合よりも、確実に電極に生じた被膜を溶かすことができる。従って、確実かつより大きくリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができる。
【0014】
なお、充電手段としては、リチウムイオン二次電池を適宜の充電電流で充電できるものであればよく、充電電流の大きさ、充電パターン等は特に制限されない。
【0015】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムであって、前記所定の放電電流を、前記リチウムイオン二次電池の0.2C以下の電流としてなるリチウムイオン二次電池システムとすると良い。
【0016】
本発明のリチウムイオン二次電池システムでは、第1出力回復手段における放電電流をリチウムイオン二次電池の0.2C以下という比較的小さな放電電流としている。従って、電極に生成された被膜を溶かす反応を比較的長い時間をかけて進行させることができるので、確実に電極上の被膜を溶かすことができる。従って、電池の出力特性をより確実に回復させることができる。
【0017】
さらに、他の解決手段は、リチウムイオン二次電池と、上記リチウムイオン二次電池の充放電を制御する制御手段と、を備えるリチウムイオン二次電池システムであって、上記リチウムイオン二次電池を放電させる放電手段、を備え、上記制御手段は、上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第2出力回復手段であって、上記リチウムイオン二次電池に用いている正極活物質が示す酸化電位のうち、上記正極活物質が含みうる最大量のリチウムを含ませた正極活物質が示す酸化電位を第1酸化電位としたとき、上記リチウムイオン二次電池の電圧が、上記第1酸化電位の60%の大きさである60%値になるまで、上記放電手段により、10C以上の所定の放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる第2出力回復手段を含むリチウムイオン二次電池システムである。
【0018】
リチウムイオン二次電池に用いている正極活物質は、充放電によりリチウム含有率が変化する。具体的には、充電を行うとリチウム含有率が低下し、放電によりリチウム含有率が上昇する。一方、正極活物質は、一般にリチウム含有率に応じて異なる結晶系をとるため、リチウム含有率が変化すると結晶変態(相変態)が起こる。そこで、大きな放電電流で電池を放電させると、正極活物質中のリチウム含有率が急増して、急激に結晶変態が生じ、寸法変化も生じるため、正電極(正極活物質)上の被膜に亀裂を生じさせ、正極活物質を露出させることができると考えられる。あるいは、大きな放電電流を流す際に生じる電流の集中等により、正電極あるいは負電極に生じていた被膜が穿孔されたり、亀裂を生じたりすることも考えられる。なお正極活物質は、リチウム含有率に応じて、その酸化電位が変動する。具体的には、リチウム含有率が大きいほど、酸化電位が低くなる。
【0019】
そこでまず、正極活物質が含みうる最大量のリチウムを含ませた正極活物質が示す酸化電位を第1酸化電位とする。そして、第2出力回復手段を制御手段に含む本発明のリチウムイオン二次電池システムによれば、リチウムイオン二次電池を、10C以上の比較的大さな電流で、この電池の電圧が第1酸化電位の60%の大きさである60%値になるまで放電させる。これにより、電池の出力特性を回復させることができる。
【0020】
ここで、10Cの電流の具体的な大きさ(電流値)は、本来は上述のリチウムイオン二次電池の仕様(初期放電容量)により決められる。そして、この10Cに相当する電流値を用いて上述の第1酸化電位の60%値になるまで放電させる。但し、すでに使用された電池において、測定される現状の電池容量に基づいて与えられる10Cに相当する放電電流を用いて、第1酸化電位の60%値まで放電させても良い。
【0021】
また、放電手段は、リチウムイオン二次電池を10C以上の所定の放電電流で放電させることができるものであれば良い。
【0022】
なお、正極活物質としては、電気化学的に自由にリチウムイオンの授受が可能なリチウム化合物のうち、リチウムイオンの含有量の変化によって、その結晶の変態が起こるものであればよく、例えば、LiNi0.5Co0.52、LiCoO2、LiNiO2、LiFeO2等が挙げられる。リチウム化合物の第1酸化電位は、例えば、LiNi0.5Co0.52(3.2V vs Li+/Li)、LiCoO2(3.2V vs Li+/Li)、LiNiO2(3.2V vs Li+/Li)、LiFeO2(1.5V vs Li+/Li)である。ただし、リチウム化合物の後に記す括弧内の数値は、それぞれのリチウム化合物の第1酸化電位である。
【0023】
また、リチウム化合物の第1酸化電位の測定手法としては、例えば、電池の電極材料の評価手法の1つである、三極式セルを用いたサイクリックボルタンメトリー評価が挙げられる。ここで三極とは、対極、参照極、および作用極であり、対極および参照極には金属リチウムを、作用極には評価するリチウム化合物を担持した担持箔を用いて評価を行う。
【0024】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムであって、前記リチウムイオン二次電池を満充電まで充電する満充電手段、を備え、前記制御手段は、前記第2出力回復手段に先立ち、上記リチウムイオン二次電池を上記満充電手段により満充電とする第2回復前満充電手段を含むリチウムイオン二次電池システムとすると良い。
【0025】
リチウムイオン二次電池を満充電にすることで、その正極活物質のリチウムイオン含有率を大きく低下させることができる。従って、満充電手段によりリチウムイオン二次電池を満充電まで充電した後に、10C以上の電流で放電させることで、確実に正極活物質の結晶の変態を発生させ、正極活物質上の被膜に亀裂を生じさせて、正極活物質を露出させることができる。従って、確実にリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができる。
【0026】
また、満充電手段は、リチウムイオン二次電池を満充電にさせることができるものであればよく、例えば、定電流・定電圧充電が可能な充電装置等が挙げられる。
【0027】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムであって、前記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、前記制御手段は、前記第2出力回復手段による放電と、上記充電手段による充電と、を交互に繰り返す反復第2出力回復手段を含むリチウムイオン二次電池システムとすると良い。
【0028】
本発明のリチウムイオン二次電池システムは、制御手段に反復第2出力回復手段を含んでいる。このため、第2出力回復手段による放電を繰り返すことで、第2出力回復手段を1回のみ放電する場合よりも、確実により大きくリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができる。
【0029】
さらに、他の解決手段は、リチウムイオン二次電池と、上記リチウムイオン二次電池の充放電を制御する制御手段と、を備えるリチウムイオン二次電池システムであって、上記リチウムイオン二次電池を放電させる放電手段、を備え、上記制御手段は、上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第3出力回復手段であって、上記リチウムイオン二次電池に用いている正極活物質が示す酸化電位のうち、この正極活物質が含みうる最大量のリチウムを含ませた正極活物質が示す酸化電位を第1酸化電位とし、所定の放電開始時充電状態にある上記リチウムイオン二次電池を、10C以上の第1放電電流で放電させた場合に、放電開始から、上記リチウムイオン二次電池の電圧が、上記第1酸化電位の60%の大きさである60%値になるまでの時間を、60%低下時間としたとき、上記所定の放電開始時充電状態にある上記リチウムイオン二次電池を、上記60%低下時間以上、上記放電手段により、上記10C以上の上記第1放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる第3出力回復手段を含むリチウムイオン二次電池システムである。
【0030】
前述したように、リチウムイオン二次電池をその大きな放電電流で放電させると、正極活物質中のリチウム含有率が急変して、その結晶変態が急速に起こるため、正極活物質上の被膜に亀裂を生じさせるなどにより出力特性を回復できる。制御手段に第3出力回復手段を含む本発明のリチウムイオン二次電池システムによれば、リチウムイオン二次電池を、第3出力回復手段により放電開始時充電状態から第1放電電流で60%低下時間にわたり放電させる。これにより、リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができる。
【0031】
ここで、10Cの電流の具体的な大きさ(電流値)は、本来は上述のリチウムイオン二次電池の仕様(初期放電容量)により決められる。そして、この10Cに相当する電流値を用いて上述の第1酸化電位の60%値になるまで放電させる。但し、すでに使用された電池において、測定される現状の電池容量に基づいて与えられる10Cに相当する放電電流を用いて、第1酸化電位の60%値まで放電させても良い。
【0032】
また、放電手段は、リチウムイオン二次電池に10C以上の所定の放電電流を放電させることができるものであれば良い。
【0033】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムであって、前記リチウムイオン二次電池を満充電まで充電する満充電手段、を備え、前記制御手段は、前記第3出力回復手段に先立ち、上記リチウムイオン二次電池を上記満充電手段により満充電とする第3回復前満充電手段を含むリチウムイオン二次電池システムとすると良い。
【0034】
リチウムイオン二次電池を満充電にすることで、その正極活物質のリチウム含有率を大きく低下させることができる。従って、満充電手段によりリチウムイオン二次電池を満充電まで充電した後に、10C以上の電流で放電させることで、確実にリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができる。
【0035】
なお、満充電手段は、リチウムイオン二次電池を満充電させることができるものであれば良い。
【0036】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムであって、前記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、前記制御手段は、前記第3出力回復手段による放電と、上記充電手段による充電とを、交互に繰り返す反復第3出力回復手段を含むリチウムイオン二次電池システムとすると良い。
【0037】
本発明のリチウムイオン二次電池システムは、制御手段に反復第3出力回復手段を含んでいる。このため、第3出力回復手段による放電を繰り返すことで、第3出力回復手段を1回のみ放電する場合よりも、確実、かつ大きくリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができる。
【0038】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムであって、上記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、前記制御手段は、上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第1出力回復手段であって、上記リチウムイオン二次電池が出力特性の低下した特性低下電池であるとした場合において、上記特性低下電池を0.2Cの放電電流で放電させ、上記特性低下電池の電圧のうち、単位時間当たりの電圧低下率が一旦低下した後に再び増大し始めた時点の電圧を、再増大時電圧としたとき、上記リチウムイオン二次電池の電圧が上記再増大時電圧になるまで、上記放電手段により、所定の放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる第1出力回復手段を有し、放電と上記充電手段による充電とを、交互に繰り返して、上記放電を複数回行う、混合反復出力回復手段であって、上記複数回の放電には、上記第1出力回復手段による放電、および、上記第2出力回復手段または上記第3出力回復手段のいずれかによる放電を、それぞれ1回以上含む混合反復出力回復手段を有するリチウムイオン二次電池システムとすると良い。
【0039】
制御手段に混合反復出力回復手段を含む本発明のリチウムイオン二次電池システムによれば、リチウムイオン二次電池について、第1出力回復手段による放電、および、第2出力回復手段または第3出力回復手段のいずれかによる放電をそれぞれ1回以上施すことができる。これにより、同一のリチウムイオン二次電池について、二種類の手法を施すことができるから、この電池の出力特性をより確実に回復させることができる。
【0040】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムを用いた車両である。
【0041】
本発明の車両では、上述のリチウムイオン二次電池システムを用いているので、使用に伴うリチウムイオン二次電池の出力特性を適宜回復させることができる車両とすることができる。
【0042】
なお、リチウムイオン二次電池システムを用いた車両としては、その動力源の全部あるいは一部に電池による電気エネルギーを使用している車両であれば良く、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータ、鉄道車両が挙げられる。
【0043】
さらに、上述のリチウムイオン二次電池システムを用いた電池搭載機器である。
【0044】
本発明の電池搭載機器では、上述のリチウムイオン二次電池システムを用いているので、使用に伴うリチウムイオン二次電池の出力特性を回復させることができる電池搭載機器とすることができる。
【0045】
なお、リチウムイオン二次電池システムを用いた電池搭載機器としては、電池を搭載しこれをエネルギー源の少なくとも1つとして利用する機器であれば良く、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電池駆動の電動工具など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器、が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。
まず図1は、実施形態1にかかる、リチウムイオン二次電池システム(バッテリパック)10を公知の手法で搭載した車両1を示す図である。
車両1は、エンジン80、フロントモータ20およびリアモータ30を併用して駆動するハイブリッド電気自動車である。この車両1は、車体90、エンジン80、これに取り付けられたフロントモータ20、リアモータ30、高電圧ケーブル50、インバータ60、補機電池40、ケーブル70、およびバッテリパック10を有している。バッテリパック10は、車両1の車体90に取り付けられている。
【0047】
次いで、図2に実施形態1にかかるリチウムイオン二次電池システムをなすバッテリパック10を示す。
バッテリパック10は、複数のリチウムイオン二次電池(以下、単電池ともいう)15を直列に接続してなる組電池11、バッテリコントローラ12、放電装置13、充電装置14、およびスイッチ19を備える。
【0048】
組電池11を構成する各々の単電池15は、図示しないが正極活物質としてLiNi0.5Co0.52、所定の導電剤、および結着剤をペースト化しアルミニウム箔に塗工した正極板と、負極活物質として天然黒鉛および所定量の結着剤をペースト化し銅箔に塗工した負極板を、セパレータを介して捲回した捲回形リチウムイオン二次電池である。また、この電池には、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、およびエチレンカーボネートを、3:3:4の混合比で混合した有機溶媒に、LiPF6からなる電解質を1.25M/Lになるよう溶解させた電解液を用いる。
【0049】
実施形態1にかかるバッテリパック10のうち、バッテリコントローラ12は、CPU16、ROM17、およびRAM18を有し、ROM17およびRAM18に保持されたプログラムおよびデータ等を用いて、放電装置13、充電装置14、およびスイッチ19等に対し所定の制御を行う。このバッテリコントローラ12は、車両1の通常使用時も、組電池11(単電池15)の充放電制御を担っている。
このうち、CPU16は、バッテリパック10の制御を司っており、ROM17には、各種記憶エリアが設けられ、後述の回復後積算走行距離、単電池15の0.2Cに相当する電流値I1、および再増大時電圧Vc等が記憶エリアに記憶されている。また、RAM18にも、各種記憶エリアが設けられ、実行時には、一時的に所定の記憶エリアに記憶される。
【0050】
また放電装置13は、単電池15(組電池11)の定電流放電が可能な定電流放電回路を有するものであり、単電池15の0.2Cに相当する例えば2A以下の比較的小さな放電電流I1による放電に用いる。
充電装置14は、エンジン80の駆動で発電するオルタネータ81によって、高い充電状態を維持している補機電池40を用いて、適宜の電流値で単電池15(組電池11)を定電流・定電圧充電が可能なものである。
さらに、スイッチ19は、単電池15(組電池11)の出力回復を実施する際に、通常接続しているフロントモータ20、リアモータ30等を組電池11(単電池15)から切り離すスイッチである。
また、補機電池40は、ケーブル70を通じて、バッテリコントローラ12の外部電源としての役割を担う。
【0051】
ところで、組電池11で用いている単電池15は、長期間使用し充放電を繰り返すと、出力特性が低下してくる。このような単電池15において、0.2Cの放電電流で放電させたときの電圧Vbの経時変化のグラフを図3に示す。縦軸は単電池15の電圧Vb(V)、横軸は放電時間(h)である。
放電により電圧Vbは低下し続けるのであるが、単位時間当たりの電圧低下率(電圧低下の傾き)に着目すると、放電を開始してしばらくは、この値が徐々に増大し続ける(A部)。しかし電圧Vbが3V以下の、通常過放電とされる範囲において、その後、電圧低下率が一時的に低下する領域が生じる(B部)。そして、その後、再び電圧低下率が増大し始める。そのときの電圧を再増大時電圧Vcとする。電圧低下率がこのように変化するのは、B部で電極上の被膜の酸化還元反応が生じ、その被膜の溶解が進行しているためであると考えられる。
【0052】
次に、車両1に搭載したバッテリパック10を用いて、これに用いている単電池15(組電池11)を出力回復させる手法について、図4〜6に示したフローチャートを参照しながら説明する。
まず、図4のバッテリコントローラ12のメインルーチンを示すフローチャートを説明する。
車両1をキーオン(起動)すると、それに伴いバッテリコントローラ12が起動し、ステップS1において初期設定を行う。
次に、ステップS2に進み、ROM17内にある、前回の回復処理以降の車両1の走行距離を積算した回復後積算走行距離が、1000kmを越えているか否かを判別する。ここで、NO、すなわち回復後積算走行距離が1000kmを越えていない場合、ステップS5に進む。一方、YES、すなわち回復後積算走行距離が1000kmを越えていた場合には、ステップS3に進み、回復フラグを0から1にする。その後、ステップS4で、回復後積算走行距離を0kmにしてROM17内に記憶し、ステップS5に進む。
【0053】
次に、ステップS5において、キーオフしたかどうかを判断し、車両1をキーオフにするまで、つまり運転者が車両1の使用を終了するまで待機する。これは、後述するように単電池15(組電池11)の出力回復には、この単電池15(組電池11)を充放電させる必要があるので、運転中を避けるためである。
【0054】
車両1がキーオフになったら(ステップS5でYES)、ステップS6に進み、回復フラグが1であるか否かを判定する。ここで、NO、すなわち回復フラグが0である場合、ステップS10に進み、エンジンをストップする。一方、YES、すなわち回復フラグが1である場合は、車両1のエンジン80の駆動を維持したままステップS7に進み、スイッチ19をオフとし、フロントモータ20およびリアモータ30を、組電池11(単電池15)から切り離す。
次いで、ステップS8aに進み、後述する出力回復ルーチンを実行する。その後、ステップS9でスイッチ19をオンとして、フロントモータ20、リアモータ30を組電池11(単電池15)と接続し、ステップS10でエンジン80をストップして、終了する。
【0055】
次いで、ステップS8aの出力回復ルーチンについて図5のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS11では、実行回数mを1とおく。ステップS12では、後述する第1出力回復ルーチンを実行し、その後、ステップS13では、実行回数mに1を加える。
【0056】
その後、充電装置14を用いて単電池15(組電池11)を定電流・定電圧充電し(ステップS14)、ステップS15で、単電池15(組電池11)の充電状態がDOD40%と判定されるまで充電を続ける。なおDOD40%となったか否かの判定は、単電池15(組電池11)の電圧VbがDOD40%に対応する所定電圧に達し、充電電流が所定電流(本実施形態1では1A)に達したか否かで行うと良い。
充電終了後(ステップS16)、ステップS17で実行回数mが4より大であるか比較する。ここで、NO、すなわち実行回数mが4以下である場合は、ステップS12に戻り、ステップS12〜S17を繰り返す。かくして、ステップS12の第1出力回復ルーチンを5回繰り返したら(m=5)、メインルーチン(図3参照)に戻り、ステップS9に進む。
【0057】
次いで、ステップS12の第1出力回復ルーチンについて、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、ステップS21において、放電装置13を用いて、単電池15(組電池11)を大きさ0.2Cの放電電流I1で放電させる。
すると、単電池15の電圧Vbが徐々に下がるので、ステップS22でこの電圧Vbが再増大時電圧Vcに到達するまで待ち、ステップS23で放電を終了した後に、出力回復ルーチン(ステップS12)に戻る。
【0058】
なお、上述の第1出力回復ルーチン(ステップS12)では、放電電流I1として0.2Cという比較的小さな電流で単電池15(組電池11)を放電させる。これにより、前述した図3におけるB部内にとどまる時間、つまり単電池15の電極に生成された被膜を溶かす反応が生じている時間を、比較的長く確保できるので、確実に電極上の被膜を溶かすことができる。従って、単電池15(組電池11)の出力特性をより確実に回復させることができる。
【0059】
次いで、単電池15をなすリチウムイオン二次電池に、上述の第1出力回復ルーチン(ステップS12)を複数回実行した場合の出力回復結果を図7に示す。縦軸は、出力回復前のリチウムイオン二次電池の出力を100%とした場合の、電池の出力の変化(%)、横軸は第1出力回復ルーチンの実行回数m(回)である。
第1出力回復ルーチンの実行回数m=1のとき(第1出力回復ルーチンを1回実行したとき)、電池出力は約109%に増大した。さらに、実行回数m=2以上のとき(複数回、第1出力回復ルーチンを実行したとき)、この電池出力は、実行回数mが増えるにつれてさらに増大している。
【0060】
第1出力回復ルーチン(ステップS12)を繰り返す出力回復ルーチン(ステップS8a)を設けることで、第1出力回復ルーチンを1回のみ実行する場合よりも、確実に、かつ大きく単電池15、さらには組電池11の出力特性を回復させることができることが判る。
但し、実相回数mが大きくなるほど電池出力の変化(増加分)が少なくなることが判る。このグラフから、実行回数mを大きくするごとに、リチウムイオン二次電池の出力の変化が小さくなることから、実行回数m=5以内程度とすれば足りることが判る。そこで本実施形態1では前述したように、実行回数mを5回としている。
一方、本実施形態1では、出力低下したリチウムイオン二次電池15(組電池11)に対して、第1出力回復ルーチン(ステップS12)を5回繰り返して実行したが、1回のみ行っても良いこと、および2回以上の任意の回数行っても良いことは明らかである。
【0061】
なお、本実施形態1における第1出力回復ルーチン(ステップS12)は第1出力回復手段に、出力回復ルーチン(ステップS8a)は反復第1出力回復手段にそれぞれ相当する。
【0062】
(実施形態2)
次に、本実施形態2について、図面を参照しつつ説明する。
実施形態2にかかる、リチウムイオン二次電池システム(バッテリパック110)を公知の手法で搭載した車両101は、前述のバッテリパック10に代えてバッテリパック110を備える点以外は、実施形態1と同様のハイブリッド電気自動車である(図1参照)。
【0063】
また上述のバッテリパック110の構成は、前述の実施形態1と比べて、別仕様の放電装置23を備えている点、および、ROM17内に、単電池15の10Cに相当する電流値I2および第1酸化電位Vs1の60%値V60等が記憶エリアに記憶されている点で異なり、それ以外は同様である(図2参照)。
そこで、異なる点を中心として説明すると共に、同様の部分の説明は省略または簡略化するが、同様の部分については同様の作用効果を生じる。
【0064】
放電装置23は、単電池15(組電池11)の定電流放電が可能な定電流回路を有するものであり、単電池15の10Cに相当する、例えば、100A程度の比較的大きな放電電流I2による放電に用いる。
【0065】
ところで、10C以上の放電電流I2で、出力特性が低下した単電池15を放電させると、急激に単電池15の正極活物質の結晶変態(相変態)が発生し、正極活物質上の被膜に亀裂を生じたり、電流の集中により被膜に穿孔が生じたりして、正極活物質を露出させることができると考えられる。
なお、正極活物質はリチウム含有率に応じて、その酸化電位は変動し、そのリチウム含有率が大きいほど、酸化電位は低くなる。また、上述の通り正極活物質が含みうる最大量のリチウムを含ませた正極活物質が示す酸化電位が第1酸化電位Vs1である。そこで、単電池15の電圧Vbが、その第1酸化電位Vs1よりもさらに低電位である60%値V60まで、放電電流I2で単電池15を放電させることで、確実に結晶変態を発生させ、この単電池15の出力特性を回復させることができる。
【0066】
次に、車両101に搭載したバッテリパック110における単電池15(組電池11)の出力回復手法について、図4、図8、図9、および図10に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、本実施形態2における、メインルーチン(図4参照)は、出力回復ルーチン(ステップS8b)が、実施形態1と異なるのみで、他は同様である。
【0067】
そこで、本実施形態2における、ステップS8bの出力回復ルーチンについて、図8のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS31では、実行回数nを1とおく。ステップS32では、後述する回復前満充電ルーチンを実行する。その後、ステップS33に進み、後述する第2出力回復ルーチンを実行する。そして、ステップS34では、実行回数nに1を加える。
【0068】
その後、ステップS35で実行回数nが2より大であるか比較する。ここで、NO、すなわち実行回数nが2以下である場合は、ステップS32に戻り、ステップS32〜S35を繰り返す。かくして、ステップS32の第2出力回復ルーチンを3回繰り返したら(実行回数n=3)、メインルーチン(図4参照)に戻り、ステップS9に進む。
【0069】
次いで、ステップS32の回復前満充電ルーチンについて、図9のフローチャートを参照して説明する。
まずステップS41で単電池15(組電池11)が満充電であるかどうかを判別する。ここで、NO、すなわち単電池15(組電池11)が満充電でない場合には、ステップS42に進み、定電流・定電圧充電を開始し、単電池15(組電池11)が満充電になったところで充電を終了し(ステップS44)、出力回復ルーチン(ステップS32)に戻る。一方、ステップS41でYES、すなわち単電池15(組電池11)が満充電である場合、そのまま出力回復ルーチン(ステップS32)に戻る。
【0070】
次いで、ステップS33の第2出力回復ルーチンについて、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、ステップS51において、放電装置23を用いて、単電池15(組電池11)を大きさ10Cの放電電流I2で放電させる。
すると、単電池15(組電池11)の電圧が下がるので単電池15の電圧Vb、第1酸化電位Vs1の60%値V60に到達したところで、放電を終了し、出力回復ルーチン(ステップS33)に戻る。
【0071】
上述の第2出力回復ルーチンでは、10Cという比較的大さな放電電流I2で放電する。従って、単電池15(組電池11)の出力特性を回復させることができる。
さらに、放電に先立って、単電池15(組電池11)を満充電にすることで、単電池15の正極活物質のリチウムイオン含有率を大きく低下させ、正極活物質を確実に低リチウム側の結晶状態としておくことができる。このため、満充電後に10Cの電流で放電させ、正極活物質を高リチウム側の結晶状態にして、この正極活物質に確実に結晶変態を生じさせることで、確実に単電池15(組電池11)の出力特性を回復させることができると考えられる。
【0072】
次いで、単電池15をなすリチウムイオン二次電池に、上述の第2出力回復ルーチン(ステップS33)を複数回実行した場合の出力回復結果を、図11に示す。縦軸は、出力回復前のリチウムイオン二次電池の出力を100%とした場合の、電池出力の変化(%)、横軸は第2出力回復ルーチンの実行回数n(回)である。
第2出力回復ルーチンの実行回数n=1のとき(第2出力回復ルーチンを1回実行したとき)、電池出力は約108%に増大した。さらに、実行回数n=2以上のとき(複数回、第2出力回復ルーチンを実行したとき)、この電池出力は、実行回数nが増えるにつれてさらに増大している。
このことから、第2出力回復ルーチン(ステップS33)を繰り返すことで、第2出力回復ルーチンを1回のみ実行する場合よりも、確実に、かつ大きく単電池15、さらには組電池11の出力特性を回復させることができることがわかる。
【0073】
但し、実行回数nが大きくなるほど、電池出力の変化(増加分)が少なくなることが判る。この図11のグラフから、実行回数n=3程度行えば、これ以上実行回数nを大きくしても、単電池15の出力特性の回復があまり見込めないことから、実行回数n=3以内程度とすれば足りることが判る。そこで、本実施形態2では、前述したように、実行回数nを3回としている。
一方、本実施形態2では、出力低下した単電池15(組電池11)に対して、第2出力回復ルーチン(ステップS33)を3回繰り返して実行したが、1回のみ行っても良いこと、および2回以上の任意の回数行っても良いことは明らかである。
【0074】
なお、本実施形態2における第2出力回復ルーチン(ステップS33)は第2出力回復手段に、出力回復ルーチン(ステップS8b)は反復第2出力回復手段に、回復前満充電ルーチン(ステップS32)は第2回復前満充電手段にそれぞれ相当する。
【0075】
(変形形態)
次に、実施形態2の変形形態について、図12および図13を参照して説明する。
なお、実施形態2では、放電電流I2の放電を終了させる条件が、第1酸化電位Vs1の60%値V60に達したか否か(ステップS52)であった。これに対し、本変形形態では、単電池15(組電池11)を満充電の状態から10Cの電流I2で放電させたとき、単電池15の電圧Vbが60%値V60になるまでの時間である、60%低下時間t60が経過したか否かである点でのみ異なる。
そこで、異なる点を中心として説明すると共に、同様の部分の説明は省略または簡略化するが、同様の部分については同様の作用効果を生じる。
【0076】
具体的には、本変形形態における、メインルーチン(図4参照)は実施形態2と同様である。また、ステップS8cの出力回復ルーチン(図12参照)では、第2出力回復ルーチン(ステップS33)に代えて、後述する第3出力回復ルーチン(ステップS63)を用いることを除き、実施形態2と同様である。
【0077】
そこで、ステップS63の第3出力回復ルーチンについて、図13のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、ステップS51において、放電装置23を用いて、単電池15(組電池11)を大きさ10Cの放電電流I2で放電させる。ステップS72では、放電時間tdが60%低下時間t60に達したか否かを判定し、60%低下時間t60の経過を待つ。60%低下時間t60経過したところで(ステップS72でYES)、放電を終了し、出力回復ルーチン(ステップS8c)に戻る。
この出力回復ルーチン(ステップS8c)では、実施形態2と同様(図8参照)、第3出力回復ルーチンを3回繰り返す。
【0078】
かくして、第3出力回復ルーチンを1回のみ実行する場合よりも、確実に、かつ大きく単電池15(組電池11)の出力特性を回復させることができる。また、本変形形態では、放電を終了させるタイミング(ステップS53)を放電時間tdで制御するので、実施形態2よりも制御が簡単にできる。
【0079】
なお、本変形形態における第3出力回復ルーチン(ステップS63)は第3出力回復手段に、出力回復ルーチン(ステップS8c)は反復第3出力回復手段に、回復前満充電ルーチン(ステップS32)は第3回復前満充電手段にそれぞれ相当する。
【0080】
(実施形態3)
次に、本実施形態3について、図14を参照しつつ説明する。
実施形態3にかかる、リチウムイオン二次電池システム(バッテリパック)210を公知の手法で搭載した車両201は、バッテリパック210を備える点以外は、実施形態1と同様のハイブリッド電気自動車である(図1参照)。
【0081】
また上述のバッテリパック210の構成は、前述の実施形態1と比べて、別仕様の放電装置33を備えている点、およびROM17内に、単電池15の0.2Cに相当する電流値I1、10Cに相当する電流値I2、再増大時電圧Vc、および第1酸化電位Vs1の60%値V60等が記憶エリアに記憶されている点で異なり、それ以外は同様である(図2参照)。
そこで、異なる点を中心として説明すると共に、同様の部分の説明は省略または簡略化するが、同様の部分については同様の作用効果を生じる。
【0082】
放電装置33は、単電池15(組電池11)の定電流放電が可能な定電流回路を有するものであり、単電池15の0.2Cに相当する比較的小さな放電電流I1による放電、および、10Cに相当する比較的大きな放電電流I2による放電に、切り替えて用いることが可能である。
【0083】
次に、車両201に搭載したバッテリパック210における単電池15(組電池11)の出力回復手法について、図4、図6、図9、図10、および図14に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態3は、メインルーチン(図4参照)の出力回復ルーチン(ステップS8d)が、実施形態1等と異なるのみで、他は同様である。
【0084】
そこで、ステップS8dの出力回復ルーチンについて、図14のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS81では、実行回数m,nをそれぞれ1とおく。ステップS82では、実施形態2において説明したのと同様の回復前満充電ルーチンを実行する(図9参照)。その後、ステップS83では、実施形態2において説明したのと同様の第2出力回復ルーチンを実行する(図10参照)。そして、ステップS84で、実行回数nに1を加える。
さらにステップS85に進み、実施形態1において説明したのと同様の第1出力回復ルーチンを実行し(図6参照)、その後、ステップS86で、実行回数mに1を加える。
【0085】
その後、ステップS87で実行回数nが2より大であるか比較する。ここで、NO、すなわち実行回数nが2以下である場合は、ステップS82に戻り、ステップS82〜S87を繰り返す。一方、YESの場合には、ステップS88に進み、実行回数mが4より大であるか比較する。ここで、NO、すなわち実行回数mが4以下である場合は、ステップS85に戻り、ステップS85〜S88を繰り返す。かくして、ステップS83の第2出力回復ルーチンを3回(実行回数n=3)、およびステップS85の第1出力回復ルーチンを5回繰り返したら(実行回数m=5)、メインルーチン(図4参照)に戻り、ステップS9に進む。
【0086】
上述の出力回復ルーチンS8dでは、単電池15(組電池11)は、第1出力回復ルーチンによる放電、および、第2出力回復ルーチンによる放電をそれぞれ1回以上施すことができる。これにより、同一の単電池15(組電池11)について、二種類の手法を施すことができるから、単電池15(組電池11)の出力特性をより確実に回復させることができる。
一方、本実施形態3では、出力低下した単電池15(組電池11)に対して、第1出力回復ルーチン(ステップS12)を5回、および第2出力回復ルーチン(ステップS12)を3回繰り返して実行したが、1回ずつのみ行っても良いこと、および2回以上の任意の回数行っても良いことは明らかである。
【0087】
なお、本実施形態3における出力回復ルーチン(ステップS8d)は、混合反復出力回復手段、反復第1出力回復手段、および反復第2出力回復手段に相当する。
【0088】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4について、図15〜17を参照しつつ説明する。
まず図15は、本実施形態4にかかる、リチウムイオン二次電池システム(バッテリパック)310を公知の手法で搭載したノート型パーソナルコンピュータ(以下ノートPCという)301を示す図である。
本実施形態4のノートPC301は、リチウムイオン二次電池システムを含むバッテリパック310を、公知の手法で搭載したものであり、図15に示すように、バッテリパック310、本体320、およびAC電源アダプタ330を有する電池搭載機器である。バッテリパック310はノートPC301の本体320に収容されている。
【0089】
次いで、図16に実施形態4にかかるリチウムイオン二次電池システムをなすバッテリパック310を示す。
バッテリパック310は、複数のリチウムイオン二次電池(単電池)315を直列に接続してなる組電池311、バッテリコントローラ312、放電装置43、充電装置14、およびスイッチ319を備える。
単電池315は、捲回形リチウムイオン二次電池である。また、バッテリコントローラ312は、実施形態1と同様に、CPU316、ROM317、およびRAM318を有する。
【0090】
CPU316は、バッテリパック310の制御を司っており、ROM317には、各種記憶エリアが設けられ、後述の回復後積算充電回数、単電池315の0.2Cに相当する電流値I1、単電池315の10Cに相当する電流値I2、再増大時電圧Vc等のほか、正極活物質の第1酸化電位Vs1の60%値V60、あるいは60%低下時間t60が記憶エリアに記憶されている。
また放電装置43は、単電池315から定電流の放電が可能な定電流放電回路を有するものであり、単電池315の0.2Cに相当する比較的小さな放電電流I1による放電、および、10Cに相当する比較的大きな放電電流I2による放電に、切り替えて用いることが可能である。
充電装置14は、AC電源アダプタを通じて供給される電力を、単電池315(組電池311)に適宜の電流値で定電流・定電圧充電が可能なものである。
さらに、スイッチ319は、単電池315の出力回復を実施する際に、通常接続している本体320を組電池311(単電池315)と切り離すスイッチである。
また、AC電源アダプタ130は、それを介して、商用電源から、組電池311のほかバッテリコントローラ312にも電力を供給する役割を担う。
【0091】
次に、ノートPC301に搭載したバッテリパック310を用いて単電池315(組電池311)の出力回復させる手法について、図17に示したフローチャートを参照にしつつ説明する。
まず、ノートPC301を電源をオンにすると、それに伴いバッテリコントローラ312が起動し、ステップS91において初期設定を行う。
次に、ステップS92に進み、ROM317内にある、前回の回復処理以降の組電池311の充電回数を積算した回復後積算充電回数が、100回を越えているか否かを判別する。ここで、NO、すなわち回復後積算充電回数が100回を越えていない場合、ステップS95に進む。一方、YES、すなわち回復後積算充電回数が100回を越えていた場合には、ステップS93に進み、回復フラグを0から1にする。その後、ステップS94で、回復後積算充電回数を0回にしてROM317内に記憶し、ステップS95に進む。
【0092】
次に、ステップS95において、AC電源アダプタ330を通じた電力供給がされているか否かを判断する。これは、本実施形態4では単電池315(組電池311)の出力回復にあたり充電を行うため、ノートPC301の外部から電力を供給させる必要があるためである。ここで、YES、つまり電力が供給されている場合、ステップS98に進む。一方、NO、つまり電力が供給されていない場合には、ステップS96で、ノートPC301の画面上にAC電源アダプタの接続を促すコメントを表示させる。
【0093】
その後、ステップS97で、再度AC電源アダプタ330を通じて電力供給があるか否かを判断し、YES、つまり電力が供給されている場合、ステップS98に進む。一方、NO、つまり電力が供給されない場合には、ステップS96に戻る。
【0094】
ステップS98で、回復フラグが1であるか否かを判定する。ここで、YES、すなわち回復フラグが1である場合は、ステップS99に進み、スイッチ319をオフとし、本体320を組電池311(単電池315)から切り離す。
次いで、ステップS100に進み、出力回復ルーチンを実行する。その後、ステップS101でスイッチ319をオンとして、本体320を組電池311(単電池315)と接続し、終了する。
【0095】
ステップS100の出力回復ルーチンは、実施形態1〜3および変形形態において、説明した出力回復ルーチン(ステップS8a,S8b,S8c,S8d)のいずれかと同様とすることが可能である。従って、ノートPC301に搭載の単電池315(組電池311)を、確実に出力回復することが可能である。
【0096】
以上において、本発明を実施形態1〜4、および変形形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上述の実施形態等では、捲回形の発電要素を持つリチウムイオン二次電池に適用した例を示した。しかし、複数の正電極板および負電極板を積層した、積層形のリチウムイオン二次電池においても適用できる。
さらに、充電装置に電力を供給するものとして、補機電源(およびエンジン)やAC電源アダプタを介した商用電源を適用したが、複数のリチウムイオン二次電池を半数に分けて、一方の半数の電池について出力回復させる際に、他方の半数の電池を用いて充電を行うなど、必要な電力を供給するようにしても良い。
また、前述の実施形態等では、充電装置を用いて、電池(組電池)を満充電としたが、必ずしも満充電とする必要はなく、適切な充電状態まで充電するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施形態1〜3および変形形態にかかるリチウムイオン二次電池システムを搭載する車両を示す説明図である。
【図2】実施形態1〜3および変形形態にかかるバッテリパックの構成を示す説明図である。
【図3】リチウムイオン二次電池を小さな放電電流で放電させたときの電池の電圧の経時変化を示すグラフである。
【図4】実施形態1〜3および変形形態にかかるバッテリコントローラのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図5】実施形態1,3および4にかかる出力回復ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】実施形態1,3および4にかかる第1出力回復ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】実施形態1,3および4にかかり、リチウムイオン二次電池について、第1出力回復ルーチンの実行回数と出力変化との関係を示すグラフである。
【図8】実施形態2〜4および変形形態にかかる出力回復ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】実施形態2〜4および変形形態にかかる回復前満充電ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】実施形態2〜4および変形形態にかかる第2出力回復ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】実施形態2〜4および変形形態にかかり、リチウムイオン二次電池について、第2出力回復ルーチンの実行回数と出力変化との関係を示すグラフである。
【図12】変形形態および実施形態4にかかる出力回復ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】変形形態および実施形態4にかかる第3出力回復ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】実施形態3,4にかかる複数回の第1出力回復ルーチンおよび第2出力回復ルーチンを含む手段を示すフローチャートである。
【図15】実施形態4にかかるリチウムイオン二次電池システムを搭載するノートPCを示す説明図である。
【図16】実施形態4にかかるバッテリパックの構成を示す説明図である。
【図17】実施形態4にかかるバッテリコントローラのメインルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1,101,201 車両
10,110,210,310 バッテリパック(リチウムイオン二次電池システム)
12,312 バッテリコントローラ(制御手段)
13,23,33,43 放電装置(放電手段)
14 充電装置(充電手段、満充電手段)
15,315 単電池(リチウムイオン二次電池)
301 ノート型パーソナルコンピュータ(電池搭載機器)
I1 第1放電電流(放電電流)
I2 第2放電電流(放電電流)
Vb 電圧
Vc 再増大時電圧
Vs1 第1酸化電位
t60 60%低下時間
S8a 出力回復ルーチン(反復第1出力回復手段)
S8b 出力回復ルーチン(反復第2出力回復手段)
S8c 出力回復ルーチン(反復第3出力回復手段)
S8d 出力回復ルーチン(混合反復出力回復手段)
S12,S85 第1出力回復ルーチン(第1出力回復手段)
S32,S82 回復前満充電ルーチン(第2回復前満充電手段、第3回復前満充電手段)
S33,S83 第2出力ルーチン(第2出力回復手段)
S63 第3出力ルーチン(第3出力回復手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極部材を有するリチウムイオン二次電池と、
上記リチウムイオン二次電池の充放電を制御する制御手段と、を備える
リチウムイオン二次電池システムであって、
上記リチウムイオン二次電池を放電させる放電手段、を備え、
上記制御手段は、
上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第1出力回復手段であって、
上記リチウムイオン二次電池が出力特性の低下した特性低下電池であるとした場合において、上記特性低下電池を0.2Cの放電電流で放電させ、上記特性低下電池の電圧のうち、単位時間当たりの電圧低下率が一旦低下した後に再び増大し始めた時点の電圧を、再増大時電圧としたとき、
上記リチウムイオン二次電池の電圧が上記再増大時電圧になるまで、上記放電手段により、所定の放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる
第1出力回復手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池システムであって、
前記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、
前記制御手段は、
前記第1出力回復手段による放電と、上記充電手段による充電と、を交互に繰り返す
反復第1出力回復手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池システムであって、
前記所定の放電電流を、前記リチウムイオン二次電池の0.2C以下の電流としてなる
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項4】
リチウムイオン二次電池と、
上記リチウムイオン二次電池の充放電を制御する制御手段と、を備える
リチウムイオン二次電池システムであって、
上記リチウムイオン二次電池を放電させる放電手段、を備え、
上記制御手段は、
上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第2出力回復手段であって、
上記リチウムイオン二次電池に用いている正極活物質が示す酸化電位のうち、上記正極活物質が含みうる最大量のリチウムを含ませた正極活物質が示す酸化電位を第1酸化電位としたとき、
上記リチウムイオン二次電池の電圧が、上記第1酸化電位の60%の大きさである60%値になるまで、上記放電手段により、10C以上の所定の放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる
第2出力回復手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項5】
請求項4に記載のリチウムイオン二次電池システムであって、
前記リチウムイオン二次電池を満充電まで充電する満充電手段、を備え、
前記制御手段は、
前記第2出力回復手段に先立ち、上記リチウムイオン二次電池を上記満充電手段により満充電とする
第2回復前満充電手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のリチウムイオン二次電池システムであって、
前記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、
前記制御手段は、
前記第2出力回復手段による放電と、上記充電手段による充電と、を交互に繰り返す
反復第2出力回復手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項7】
リチウムイオン二次電池と、
上記リチウムイオン二次電池の充放電を制御する制御手段と、を備える
リチウムイオン二次電池システムであって、
上記リチウムイオン二次電池を放電させる放電手段、を備え、
上記制御手段は、
上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第3出力回復手段であって、
上記リチウムイオン二次電池に用いている正極活物質が示す酸化電位のうち、この正極活物質が含みうる最大量のリチウムを含ませた正極活物質が示す酸化電位を第1酸化電位とし、
所定の放電開始時充電状態にある上記リチウムイオン二次電池を、10C以上の第1放電電流で放電させた場合に、放電開始から、上記リチウムイオン二次電池の電圧が、上記第1酸化電位の60%の大きさである60%値になるまでの時間を、60%低下時間としたとき、
上記所定の放電開始時充電状態にある上記リチウムイオン二次電池を、上記60%低下時間以上、上記放電手段により、上記10C以上の上記第1放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる
第3出力回復手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項8】
請求項7に記載のリチウムイオン二次電池システムであって、
前記リチウムイオン二次電池を満充電まで充電する満充電手段、を備え、
前記制御手段は、
前記第3出力回復手段に先立ち、上記リチウムイオン二次電池を上記満充電手段により満充電とする
第3回復前満充電手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のリチウムイオン二次電池システムであって、
前記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、
前記制御手段は、
前記第3出力回復手段による放電と、上記充電手段による充電とを、交互に繰り返す
反復第3出力回復手段を含む
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項10】
請求項4〜9に記載のリチウムイオン二次電池システムであって、
上記リチウムイオン二次電池を充電する充電手段、を備え、
前記制御手段は、
上記リチウムイオン二次電池の出力特性を回復させる第1出力回復手段であって、
上記リチウムイオン二次電池が出力特性の低下した特性低下電池であるとした場合において、上記特性低下電池を0.2Cの放電電流で放電させ、上記特性低下電池の電圧のうち、単位時間当たりの電圧低下率が一旦低下した後に再び増大し始めた時点の電圧を、再増大時電圧としたとき、
上記リチウムイオン二次電池の電圧が上記再増大時電圧になるまで、上記放電手段により、所定の放電電流で上記リチウムイオン二次電池を放電させる
第1出力回復手段を有し、
放電と上記充電手段による充電とを、交互に繰り返して、上記放電を複数回行う、混合反復出力回復手段であって、
上記複数回の放電には、上記第1出力回復手段による放電、および、上記第2出力回復手段または上記第3出力回復手段のいずれかによる放電を、それぞれ1回以上含む
混合反復出力回復手段を有する
リチウムイオン二次電池システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池システムを用いた車両。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池システムを用いた電池搭載機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−204715(P2008−204715A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38115(P2007−38115)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】