説明

リッドロック装置

【課題】 リッドの強度を高くすることなく、しかもリッドに設けられているノブ部材を、荷物袋を掛けるフックとして機能させることができる。
【解決手段】 ラゲージルーム2に形成された収容空間4を開閉するリッド6に穿設した貫通孔6aに対し、リッド6の裏面と表面とからロック部材16とノブ部材15とを挿通して係合させる。ロック部材16とノブ部材15とに設けられているロックレバー26とノブレバー21とは回転中心から半径方向へ偏倚した位置に立設されており、ロック部材16を上方へ回転させるとリッド6が閉状態でロックされる。リッド6をロックした状態のロックレバー26はリッド6の上端方向へ延出された状態にあり、このロックレバー26と対称な位置にあるノブレバー21も同様な姿勢となる。従って、このノブレバー21に荷物袋を掛けてもロックが解除されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部の側壁に設けられた収容空間に取付けるリッドの開閉操作を行うリッドロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両後部に設けられたラゲージルームやトランクルームの側壁に、買い物袋等の荷物袋を掛けるフックが設けられている。この種のフックは、例えば特許文献1(実開平4−74150号公報)に開示されているように、側壁に取付け孔を形成し、この取付け孔に外方からワンタッチで組付けるようにしたものが多い。
【0003】
又、この側壁にはジャッキ等の工具や備品等の小物類を収容する収容空間が形成されている場合が多く、このような収容空間はリッドにより閉塞されている。リッドにはノブ部材が設けられており、このノブ部材を把持して開閉操作すると共に、閉状態ではリッドに設けられている係止片が側壁に掛止されることでロックされる。
【0004】
ノブ部材としては、例えば特許文献2(実用新案登録第2512515号公報)に開示されているような摘み状に形成されたものが知られている。この特許文献2に記載されている摘み状のノブ部材は、リッドの回動端側に設けられており、このノブ部材を把持してリッドを開閉動作させる。リッドを閉塞すると、ノブ部材と一体に設けられていると共にリッドの裏面に突出されている脚部が、収容空間の開口側壁面に穿設されている孔部に挿入されて位置決めされる。又、この摘み状のノブ部材を一方へ回動させると、脚部から径方向へ突出されている係止片が孔部の背面側で掛止されてロックされる。
【特許文献1】実開平4−74150号公報
【特許文献2】実用新案登録第2512515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、リッドは合成樹脂等の比較的軟質な材料で形成されている場合が多く、強度的に弱い。そのため、このリッドに、例えば特許文献1に開示されているようなフックを取付け、このフックに買い物袋等の荷物袋を掛けて吊り下げた場合、その重みでリッドが撓んでしまう。特に、炎天下ではリッドが撓んだまま変形してしまう不具合がある。
【0006】
又、リッドにフックとノブ部材とを個々に取付けることは部品点数が多くなり、製品のコストが高くなる不都合がある。
【0007】
一方、特許文献2に開示されているノブ部材に、荷物袋を吊り下げるフックとしての機能を持たせることも考えられるが、荷物袋が、車両の急発進或いは急停止等において車体の前後方向へ揺動されると、ノブ部材に回転方向への荷重が印加されるため、この回転方向がロックを解除する方向へ作用した場合、走行中にロックが解除されて、リッドが解放され、荷物袋がノブ部材から外れてしまう不都合がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、リッドの強度を高くすることなく、しかもリッドに設けられているノブ部材を、荷物袋を掛けるフックとして機能させても、ロックが簡単に外れることがなく、荷物袋を確実に保持することができて取扱性の良いリッドロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、車両後部の側壁に形成された収容空間を開閉するリッドの閉状態を保持するリッドロック装置であって、
上記側壁の裏面に設けられた掛り部と、
上記リッドに穿設されている貫通孔と、
上記リッドの裏面と表面とに配設されると共に上記貫通孔を介して互いに一体的に回動自在に係合されるロック部材及びノブ部材とを備え、
上記ロック部材に、上記リッドの裏面に摺接するロック側フランジと、該ロック側フランジの回転中心から半径方向へ偏倚した位置に立設されて該ロック部材を一方へ回転させると上記掛り部に係合して上記リッドを閉状態でロックし、他方へ回転させると該ロックが解除されるロックレバーとが設けられ、
上記ノブ部材に、上記リッドの表面に摺接して上記ロック部材と一体的に回動するノブ側フランジと、該ノブ側フランジの回転中心から半径方向へ偏倚した位置に立設されたノブレバーとが設けられ、
上記ロックレバーは上記リッドの上端方向へ延出された状態で上記掛り部に係合されることを特徴とするリッドロック装置を提供するものである。
【0010】
本発明の第2は、前記第1の発明において、上記ロックレバーと上記ノブレバーとが同一の形状をなしていると共に、該両レバーが上記回転中心を挟んで対称な位置に配設されており、
又上記ロック側フランジと上記ノブ側フランジとの対向面に、上記貫通孔に挿通されて互いに凹凸嵌合される係合部が形成されていることを特徴とするリッドロック装置を提供するものである。
【0011】
本発明の第3は、前記第1又は第2の発明において、上記ノブレバーに対し下方へ回転力が作用したとき上記ロックレバーが上記掛り部に係合してロックされ、又上記ノブレバーに対し上方への回転力が作用したとき該ロックが解除されることを特徴とするリッドロック装置を提供するものである。
【0012】
本発明の第4は、前記第1〜3の発明のいずれか1つにおいて、上記リッドが表裏を反転させて上記側壁に取付け可能であり、
上記リッドの裏面に上方を開口すると共に上記収容空間に収容可能な収容箱が設けられており、
上記リッドを上記側壁に対し表裏を反転させて取付けた状態では上記収容箱が外部に露呈されると共に上記ノブレバーが上記掛り部に係合されて該リッドが閉状態でロックされることを特徴とするリッドロック装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収容空間を開閉するリッドに穿設されている貫通孔に対して、裏面と表面とからロック部材とノブ部材とを挿通して、両部材を互いに係合させて一体的に回動自在にする。ロック部材のロック側フランジとノブ部材のノブ側フランジとに形成されているロックレバーとノブレバーとは、回転中心から一方へ偏倚した位置に立設されており、ロック部材を一方へ回転させると、ロックレバーが側壁の裏面に設けられた掛り部に係合してリッドを閉状態でロックする。又、このロックレバーを他方へ回転させるとロックが解除される。このとき、ロックレバーはリッドの上端方向へ延出された状態で掛り部に係合されるので、ロックレバーと一体的に回転するノブレバーに荷物袋を掛けてもリッドが撓むことが無く、荷物袋を確実に保持することができる。
【0014】
こうして、リッドの強度を高くすることなく、しかもリッドに設けられているノブ部材を、荷物袋を掛けるフックとして機能させても、ロックが簡単に外れることがなく、荷物袋を確実に保持することができて取扱性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の一形態を説明する。図1〜図9に本発明の第1形態を示す。ここで、図1〜図3は車両のラゲージルーム内を態様別に示す概略斜視図である。
【0016】
同図に示すように、ワンボックス車、ワゴン車等の車両1の後部に設けられているラゲージルーム2内の両側壁面は、ラゲージサイドトリム3によって美装されている。
【0017】
ラゲージサイドトリム3に収容空間4が形成されている。この収容空間4はラゲージサイドトリム3を形成する際に一体に形成される場合が多く、その開口部5がリッド6によって閉塞される。
【0018】
リッド6の裏面には、上部に開口部8を有する収容箱7が固設されている。尚、収容箱7はリッド6と一体形成されていても、別体で形成した後互いに固設して一体化したものであっても良い。収容箱7は、主に工具や備品等の小物類を収容するものであり、リッド6にて収容空間4の開口部5を閉塞したとき、収容空間4内に収まる形状に形成されている。尚、図2の符号30は買い物袋等の荷物袋であり、この荷物袋30の上部には取っ手30aが設けられている。
【0019】
又、図4に示すように、リッド6の下端にヒンジピン9が固設されている。又、このヒンジピン9を回動自在に保持するヒンジ支持部10がヒンジ受け部材11の一端に形成されている。このヒンジ受け部材11は収容空間4の底部に固設され、ヒンジ支持部10が丁度、開口部5の下端に臨まされた位置に位置決めされている。
【0020】
ヒンジ支持部10はヒンジピン9を回動自在に支持可能なフック状に形成されており、上部にスリット状着脱口13が軸方向に沿って形成されている。このスリット状着脱口13の間口はヒンジピン9の直径よりも狭く形成されている。又、ヒンジ支持部10はある程度のばね性を有している。従って、ヒンジ支持部10に対して回動自在に支持されているヒンジピン9を上方へ引き抜くと、ヒンジ支持部10が径方向へ弾性変形して、スリット状着脱口13の間口が広げられ、ヒンジピン9をヒンジ支持部10から外すことができる。尚、ヒンジピン9をヒンジ支持部10に装着する場合は、逆の動作を行う。
【0021】
図1に示すように、ヒンジピン9がヒンジ支持部10に対して回動自在に支持されている状態では、リッド6が、ヒンジピン9を中心に開閉動作される。収容箱7が収容空間4側に収容されている状態でリッド6を開くと、収容箱7の開口部8がラゲージサイドトリム3からラゲージルーム2側に露呈される。
【0022】
このリッド6の上端側の幅方向略中央に貫通孔6aが穿設されており、この貫通孔6aの外周にリブ6bが形成されている。この貫通孔6aにリッドロック部材14が取り付けられている。図5に示すように、リッドロック部材14は、ノブ部材15とロック部材16とを備え、この両部材15,16が、貫通孔6aに対し、裏面側と表面側とから各々装着されて、互いに係合される。
【0023】
図6に示すように、ノブ部材15はノブ側フランジ17を有し、その裏面に軸部18が突設されている。この軸部18は貫通孔6aの内径よりもやや小さい径で形成されており、図5(b)に示すように、軸部18が貫通孔6aに対して回動自在に挿通支持される。又、軸部18を貫通孔6aに挿通し、ノブ側フランジ17の裏面をリブ6bの表側端面に当接した状態では、軸部18の端面がリッド6の表面側に突出されているリブ6bの端面と同じかやや凹んだ位置に臨まされる。
【0024】
軸部18の内部に、係合部としての係合凹部19が形成されている。図6(d)に示すように、この係合凹部19に回り止め用のノブ側二面幅20が形成されている。又、このノブ側二面幅20の開口端面に楔状のガイド面19aが形成され、更に、その奥にフック孔部19bが形成されている。一方、このノブ側フランジ17の表面の中心から半径方向へ偏倚した位置、すなわち、図6(a)においては、ノブ側二面幅20に沿って左側へ偏倚した位置にノブレバー21が立設されている。このノブレバー21はL字状に形成されており、図5(b)に示すように、内面に突条ガイド面21aが形成されている。
【0025】
又、図7に示すように、ロック部材16は、上述したノブ部材15とほぼ同一の形状を有しており、ロック側フランジ23の裏面に、ノブ部材15に形成されている係合凹部19に凹凸嵌合する係合部としての係合軸部24が突設されている。この係合軸部24に、係合凹部19に形成されているノブ側二面幅20に係合するロック側二面幅25が形成されている。更に、このロック側二面幅25の端面近傍にフック爪24aが形成されている。
【0026】
又、この係合軸部24を、ノブ部材15の係合凹部19に係合させると、その先端に形成されているフック爪24aが、係合凹部19に形成されているフック孔部19bに嵌合されると共に、ロック側フランジ23の裏面がリブ6bの裏側端面に当接される。
【0027】
一方、このロック側フランジ23の表面の中心から半径方向へ偏倚した位置、すなわち、図7(d)においては、ロック側二面幅25に沿って左側へ偏倚した位置にロックレバー26が立設されている。このロックレバー26は、ノブ部材15に形成されているノブレバー21と同一の位置で、且つ同一の形状を有している。すなわち、ロックレバー26はL字状に形成されており、図5(a)に示すように、内面に突条ガイド面26aが形成されている。従って、ロック部材16の係合軸部24をノブ部材15の軸部18に形成されている係合凹部19に嵌合すると、両レバー21,26は、両軸部18,23の回転中心を挟んで対称な位置に配設される。
【0028】
又、図8に示すように、リッド6にて閉塞される収容空間4の開口部5の上部内面に当て板27が取り付けられている。リッド6にて開口部5を閉塞すると、このリッド6の回動端側の裏面が当て板27に当接されて、位置規制される。この当て板27の内面に掛り部材28が固設されている。この掛り部材28はロック部材16に形成されているロックレバー26に係合して、このロックレバー26の回転を規制すると共に、リッド6をロックする。
【0029】
図9に示すように、掛り部材28は、ロックレバー26の内面に形成されている突条ガイド面26aをガイドするテーパ面28aが形成されており、このテーパ面28aの頂面を乗り越えた位置に凹部28bが形成されていると共に、ロックレバー26の側面に当接するストッパ面28cが形成されている。掛り部材28は、ロックレバー26が、リッド6の上端方向へ延出された状態で、図5(a)の反時計回り方向への回転を規制する位置に固設されており、図5、図8に示すように、ロックレバー26が掛り部材28のストッパ面28cに当接されて一方向への回転が規制された状態では、ノブ部材15に設けられているノブレバー21が、ロックレバー26に対し、回転中心を挟んで水平方向の対称な位置に配設されている。
【0030】
次に、このような構成による本形態の作用について説明する。先ず、リッドロック部材14の組立手順について説明する。
【0031】
リッド6の上部に穿設されている貫通孔6aに対して表面側からノブ部材15に形成されている軸部18を挿通する。この軸部18の径は貫通孔6aの内径よりもやや小さいサイズで形成されているため、この軸部18は貫通孔6aに対し回動自在に支持される。
【0032】
次いで、軸部18に穿設されている係合凹部19に対し、リッド6の裏面側から、ロック部材16の係合軸部24を装着する。係合凹部19と係合軸部24とには、回転方向を位置決めする二面幅20,25が形成されており、この両二面幅20,25を位置合わせした状態で互いに係合させると、先ず、係合軸部24のロック側二面幅25の先端部に形成されているフック爪24aが、係合凹部19のノブ側二面幅20の端面に形成されているガイド面19aにガイドされて挿通される。
【0033】
そして、レバー部材16をノブ部材15側へ更に押し込むと、係合軸部24の先端に形成されているフック爪24aが、係合凹部19の奥に形成されているフック孔部19bに係合される。すると、図8に示すように、両部材15,16のフランジ17,23の裏面が、貫通孔6aの外周に形成されているリブ6bの端面に摺接され、軸方向の移動が規制される。又、ノブ部材15に設けられている係合凹部19とロック部材16に設けられている係合軸部24とが凹凸嵌合されると、両部材15,16に形成されている二面幅20,25により回転方向が規制されるため、両部材15,16は貫通孔6aに支持された状態で一体的に回動自在となる。
【0034】
又、図4に示すように、ラゲージルーム2のラゲージサイドトリム3に形成されている収容空間4の底面にヒンジ受け部材11をねじ等により固設する。このときヒンジ受け部材11の一端に形成されているヒンジ支持部10を開口部5の下端に臨まされるように位置を調整する。次いで、このヒンジ支持部10の上方に開口されているスリット状着脱口13に対し、上方から、リッド6の下端に形成されているヒンジピン9を押し込む。すると、スリット状着脱口13が弾性変形により拡開し、ヒンジピン9がヒンジ支持部10内に係入され、このヒンジ支持部10に回動自在に支持され、リッドロック部材14の組立が完了する。
【0035】
次いで、ノブ部材15のノブレバー21を把持し、リッド6をヒンジピン9を中心に回動させて、このリッド6の回動端側の裏面を、収容空間4の開口部5の上部に設けられている当て板27に当接させる。その後、ノブレバー21を介してノブ部材15を、図5(a)の反時計回り方向へ回動させる。
【0036】
ノブ部材15とロック部材16とは一体的に回動するため、ノブ部材15を回動させるとロック部材16に設けられているロックレバー26の内面に形成されている突条ガイド面26aが、当て板27の裏面に固設されている掛り部材28に形成されているテーパ面28aに当接し、更に回動させると、このテーパ面28aの頂面を乗り越えて凹部28b側へ至る。すると、ロックレバー26の側面が、掛り部材28に形成されているストッパ面28cに当接し、ロックレバー26の回動が規制される。
【0037】
その結果、ロックレバー26は、リッド6の上端方向へ延出された状態で掛り部材28に掛止され、リッド6がロックされる。又、ロックレバー26とノブ部材15に設けられているノブレバー21とは、リッドロック部材14の回転中心を挟んで対称な位置に配設されているため、ロックレバー26が、リッド6の上端方向へ延出された状態で掛止されると、ノブレバー21も同様の姿勢となる。
【0038】
上記のように、ロックレバー26はリッド6の上端方向へ延出された状態で掛り部材28に係合されるので、ロックレバー26と一体的に回転するノブレバー21に荷物袋を掛けてもリッド6が撓むことが無く、荷物袋30を確実に保持することができる。
【0039】
こうして、リッド6の強度を高くすることなく、しかもリッド6に設けられているノブレバー21を、荷物袋30を掛けるフックとして機能させても、ロックが簡単に外れることがなく、荷物袋30を確実に保持することができて取扱性が良くなる。
【0040】
そして、上記の状態ではノブレバー21の、図5(a)の反時計回り方向への回動が規制されているため、このノブレバー21に、同図の下方へ回転力が発生しても回動することはない。そのため、ノブレバー21に荷物袋30を掛けてもロックが外れることが無く、ノブレバー21を荷物袋30を掛けるフックとして機能させることができる。また、図2に示すように、このノブレバー21に、買い物袋等の荷物袋30の上部に設けられている取っ手30aを掛けた状態で、例えば車両が急発進、或いは急停止して荷物袋30が車体の前後方向へ大きく揺られても、ノブレバー21が回動することがなく、ロックが外れてしまうことがない。
【0041】
又、ロックレバー26が掛かり部材28に掛止されているため、リッド6が解放方向へ撓むことが無い。従って、リッド6の強度を高くすることなく、ノブレバー21を荷物袋30を掛けるフックとして機能させることができる。その結果、従来採用している荷物袋用のフックを省略することができ、部品点数の削減が実現できる。
【0042】
又、図4に示すように、リッド6の下端に形成されているヒンジピン9は、ヒンジ支持部10に対して着脱自在であるため、図3、及び図4に二点鎖線で示すように、リッド6の表裏を反転させてヒンジピン9をヒンジ支持部10に係合させることで、収容箱7をラゲージルーム2側に配設することができ使い勝手が良くなる。その際、ノブ部材15とロック部材16とに形成されているノブレバー21とロックレバー26とが同一の形状を有し、且つ回転中心を挟んで対称な位置に配設されているため、ノブレバー21を掛り部材28に掛止させて、リッド6を閉状態でロックすることができる。
【0043】
又、図10、図11に本発明の第2形態を示す。尚、第1形態と同一の構成部分については同一の符号を付して説明を省略する。本形態で採用するリッドロック部材14’は、ノブ部材15’をロック部材として共用できるようにしたものである。
【0044】
すなわち、ノブ部材15’のノブ側フランジ17の裏面の回転中心を挟んで対称な位置に、軸部31と係合軸部32とが形成され、この軸部31に、係合軸部32を係入する係合凹部31aが形成されている。又、軸部32の外周が、リッド6に穿設されている貫通孔6aの内周に摺接する曲面状に形成されている。
【0045】
従って、貫通孔6aを介してノブ部材15’をリッド6の表側と裏側から各々挿通し、接着剤などを用いて両両者を固設する。すると、両軸部31に形成されている係合凹部31aに、係合軸部32が係入されて一体的に回動される。
【0046】
本形態によれば、ノブ部材15’をロック部材としても兼用するようにしたので、部品の共用化が実現でき、従って、成形型が共用化できるため、製品コストの低減を図ることができる。また、リッド6の表裏を反転させた状態で取付けることも可能であり、使い勝手が良く、用途を広げることができる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、掛り部材28が本発明における掛り部をなしている。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、リッドの強度を高くすることなく、しかもリッドに設けられているノブ部材を、荷物袋を掛けるフックとして機能させても、ロックが簡単に外れることがなく、荷物袋を確実に保持することができて取扱性の良いリッドロック装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1形態によるリッドを開放した状態のラゲージルーム内の斜視図である。
【図2】同、リッドを閉塞した状態のラゲージルーム内の斜視図である。
【図3】同、リッドの表裏を反転して取付けた状態のラゲージルーム内の斜視図である。
【図4】同、リッドの着脱状態を示す側面断面図である。
【図5】同、(a)はリッドロック部材をラゲージルーム側から見た分解斜視図、(b)はリッドロック部材を収容空間側から見た分解斜視図である。
【図6】同、(a)はノブ部材の正面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)のc−c断面図、(d)は(a)の背面図である。
【図7】同、(a)はロック部材の正面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)のc−c断面図、(d)は(a)の背面図である。
【図8】(a)は(b)のa−a断面図、(b)はリッドの側面断面図である。
【図9】(a)は掛り部材の側面図、(b)は掛り部材の断面側面図である。
【図10】第2形態を示し、(a)はノブ部材の正面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)の上面図、(d)は(a)のd−d断面図である。
【図11】同、リッドロック部材の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
2 ラゲージルーム
4 収容空間
5 開口部
6 リッド
6a 貫通孔
7 収容箱
8 開口部
9 ヒンジピン
10 ヒンジ支持部
11 ヒンジ受け部材
14,14’ リッドロック部材
15,15’ ノブ部材
16 ロック部材
17 ノブ側フランジ
18,31 軸部
19,32a 係合凹部
21 ノブレバー
23 ロック側フランジ
24,32 係合軸部
26 ロックレバー
27 当て板
28 掛り部材
30 荷物袋
32a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部の側壁に形成された収容空間を開閉するリッドの閉状態を保持するリッドロック装置であって、
上記側壁の裏面に設けられた掛り部と、
上記リッドに穿設されている貫通孔と、
上記リッドの裏面と表面とに配設されると共に上記貫通孔を介して互いに一体的に回動自在に係合されるロック部材及びノブ部材とを備え、
上記ロック部材に、上記リッドの裏面に摺接するロック側フランジと、該ロック側フランジの回転中心から半径方向へ偏倚した位置に立設されて該ロック部材を一方へ回転させると上記掛り部に係合して上記リッドを閉状態でロックし、他方へ回転させると該ロックが解除されるロックレバーとが設けられ、
上記ノブ部材に、上記リッドの表面に摺接して上記ロック部材と一体的に回動するノブ側フランジと、該ノブ側フランジの回転中心から半径方向へ偏倚した位置に立設されたノブレバーとが設けられ、
上記ロックレバーは上記リッドの上端方向へ延出された状態で上記掛り部に係合されることを特徴とするリッドロック装置。
【請求項2】
上記ロックレバーと上記ノブレバーとが同一の形状をなしていると共に、該両レバーが上記回転中心を挟んで対称な位置に配設されており、
又上記ロック側フランジと上記ノブ側フランジとの対向面に、上記貫通孔に挿通されて互いに凹凸嵌合される係合部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のリッドロック装置。
【請求項3】
上記ノブレバーに対し下方へ回転力が作用したとき上記ロックレバーが上記掛り部に係合してロックされ、又上記ノブレバーに対し上方への回転力が作用したとき該ロックが解除されることを特徴とする請求項1又は2記載のリッドロック装置。
【請求項4】
上記リッドが表裏を反転させて上記側壁に取付け可能であり、
上記リッドの裏面に上方を開口すると共に上記収容空間に収容可能な収容箱が設けられており、
上記リッドを上記側壁に対し表裏を反転させて取付けた状態では上記収容箱が外部に露呈されると共に上記ノブレバーが上記掛り部に係合されて該リッドが閉状態でロックされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のリッドロック装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−103523(P2006−103523A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293392(P2004−293392)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】