説明

リニアアクチュエータの予圧調整機構

【課題】リニアアクチュエータを大型化させることなく、ガイドレールとガイド部材の間の予圧を調整することができるリニアアクチュエータの予圧調整機構を提供すること。
【解決手段】スライドテーブル31の上面には、ワーク搭載面31bが形成されるとともに、スライドテーブル31にはワーク搭載面31bからガイド部材36に向かって延びる挿通孔31aが形成されている。挿通孔31aには、軸部材40が挿通されている。そして、軸部材40の軸力の分力をガイド部材36の押圧面36aに作用させるため、挿通孔31aはワーク搭載面31bからガイド部材36の押圧面36aに向けて斜めに延びるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールとガイド部材の間に与える予圧の調整を可能にしたリニアアクチュエータの予圧調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアアクチュエータにおいては、ベースに固定されたガイドレールと、スライドテーブルに固定されたガイド部材の間に予圧が与えられており、この予圧の調整を可能にしたものとして例えば、特許文献1が挙げられる。
【0003】
図6に示すように、特許文献1に記載の案内ユニット100において矩形状のベース101には一対のガイドレール102がベース101の長さ方向に延びるように設けられるとともに、スライドテーブル103には一対のガイド部材104がスライドテーブル103の長さ方向に延びるように設けられている。ガイド部材104はガイドレール102に対向配置され、ガイドレール102とガイド部材104の間には、針状ころ105が介装されている。そして、スライドテーブル103は針状ころ105によりガイドレール102に支持されている。ここで、スライドテーブル103の長さ方向に対し直交する方向を案内ユニット100及びスライドテーブル103の幅方向とすると、スライドテーブル103の幅方向両端にはベース101に向かって垂下する垂下部103aが形成されるとともに、垂下部103aはガイド部材104の側面を覆うように形成されている。一方の垂下部103aにはガイド部材104の押圧面104aに対し直交するように延びるねじ孔103bが形成されるとともに、このねじ孔103bに予圧調整ネジ106が螺入されている。そして、予圧調整ネジ106のねじ孔103bへの螺合量を調整し、予圧調整ネジ106による押圧面104aの押圧量を調整することにより、ガイド部材104とガイドレール102の間の予圧が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2541519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において、ガイド部材104は、予圧調整ネジ106の移動方向に沿った先方に配置され、ガイド部材104の押圧面104aは、予圧調整ネジ106の移動方向に直交している。このため、特許文献1においては、予圧調整を可能とするために、予圧調整ネジ106をガイド部材104の移動方向に沿って移動するように配置しなければならず、案内ユニット100が幅方向に大型化してしまっていた。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、リニアアクチュエータを大型化させることなく、ガイドレールとガイド部材の間の予圧を調整することができるリニアアクチュエータの予圧調整機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ベースの上面に設けられたガイドレールと、アクチュエータによって往復動し、上面にワーク搭載面を有するスライドテーブルと、前記スライドテーブルの下面に一体化され、該スライドテーブルを前記ガイドレールに沿って直線移動可能に支持するガイド部材と、を有するリニアアクチュエータに設けられ、前記ガイドレールと前記ガイド部材の間の予圧を調整するリニアアクチュエータの予圧調整機構において、前記スライドテーブルの下面に対し交差するように前記ガイド部材に設けられた押圧面と、前記スライドテーブルの一面から前記押圧面に向けて延びるように前記スライドテーブルに形成された挿通孔と、前記挿通孔に挿通される軸部材と、前記軸部材の軸力の分力を前記押圧面から前記ガイド部材に作用させ、前記予圧を発生させるための分力作用手段と、を有することを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構において、前記挿通孔には雌ねじが形成されるとともに、前記軸部材は、前記押圧面を押圧する押圧部材と、前記雌ねじに螺着され、前記押圧部材を前記押圧面に向けて押圧するネジとから形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構において、前記分力作用手段は、前記挿通孔全体を前記スライドテーブルの一面から前記押圧面に向けて斜めに延びるように形成することで構成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構において、前記挿通孔は、前記ワーク搭載面に対する直交方向に沿って延びるように形成されるとともに、前記分力作用手段は、前記挿通孔に連通し、かつ該挿通孔の軸方向に対し傾斜しつつ前記押圧面に向かって延びる傾斜部と、前記押圧面に接触する接触面を有するとともに前記傾斜部に摺接するテーパ面を有する前記押圧部材と、から構成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構において、前記スライドテーブルは、該スライドテーブルの往復動方向に直交する幅方向の中央に規制部を有するとともに、該規制部を挟む位置に前記ガイド部材が一体化されていることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、ベースの上面に設けられたガイドレールと、アクチュエータによって往復動し、上面にワーク搭載面を有するスライドテーブルと、前記スライドテーブルの下面に一体化され、該スライドテーブルを前記ガイドレールに沿って直線移動可能に支持するガイド部材と、を有するリニアアクチュエータに設けられ、前記ガイドレールと前記ガイド部材の間の予圧を調整するリニアアクチュエータの予圧調整機構において、前記ベースの上面に対し交差するように前記ガイドレールに設けられた押圧面と、前記ベースの一面から前記押圧面に向けて延びるように前記ベースに形成された挿通孔と、前記挿通孔に挿通される軸部材と、前記軸部材の軸力の分力を前記押圧面から前記ガイドレールに作用させ、前記予圧を発生させるための分力作用手段と、を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リニアアクチュエータを大型化させることなく、ガイドレールとガイド部材の間の予圧を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるリニアアクチュエータを示す斜視図。
【図2】第1実施形態におけるリニアアクチュエータを示す部分破断平面図。
【図3】第1実施形態における予圧調整機構を示す図2の1b−1b線断面図。
【図4】第2実施形態における予圧調整機構を示す断面図。
【図5】第1実施形態における別例の予圧調整機構を示す断面図。
【図6】従来例のリニアアクチュエータの予圧調整機構を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、リニアアクチュエータ1のアクチュエータとしてのエアシリンダ20において、シリンダチューブ21の軸方向一端(図1では右端)は蓋部22により封止されるとともに、軸方向他端(図1では左端)には連結部材23を介して矩形状のベース30が連結されている。ベース30上には矩形状をなすスライドテーブル31が移動可能に支持されている。なお、スライドテーブル31において、ベース30の長さ方向に沿う(スライドテーブル31の往復動方向)方向をスライドテーブル31の長さ方向とするとともに、ベース30及びスライドテーブル31において長さ方向に直交する方向を幅方向とする。
【0016】
図2に示すように、スライドテーブル31の長さ方向一端にはエンドプレート32がボルトB1によって固定されている。また、シリンダチューブ21内には、図示しないピストンがエアシリンダ20の軸方向に移動可能に収容されるとともに、ピストンにはピストンロッド24が取り付けられている。ピストンロッド24は連結部材23を貫通してシリンダチューブ21外に突出している。シリンダチューブ21外へ突出したピストンロッド24の先端にはフローティング部材33が固定されるとともに、このフローティング部材33はエンドプレート32に連結されている。そして、シリンダチューブ21に対するエアの給排により、ピストンロッド24がシリンダチューブ21に対して出没するとともに、スライドテーブル31が移動するようになっている。
【0017】
図1に示すように、ベース30の幅方向両側にはガイドレール35がベース30の長さ方向に延びるように互いに平行に固定されている。また、スライドテーブル31の幅方向中央には規制部31cがスライドテーブル31の長さ方向へ延びるように突設されるとともに、スライドテーブル31は幅方向に沿った断面がT字状になっている。スライドテーブル31の幅方向において、規制部31cを挟む位置には、それぞれ一対のガイド部材36がボルトB2により固定されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、各ガイド部材36はガイドレール35の長さ方向に沿った側面に対向配置されるとともに、各ガイド部材36におけるガイドレール35側には複数の転動ボール37が転動可能に支持されている。なお、本実施形態では図3に示すように、ガイド部材36において、規制部31cの側面に対向する面を押圧面36aとする。そして、スライドテーブル31はガイド部材36を介してガイドレール35により直線移動可能に支持されている。すなわち、ピストンロッド24の出没に伴いスライドテーブル31が移動すると転動ボール37が転動するとともにガイドレール35により、スライドテーブル31が円滑に直線移動できるようになっている。なお、規制部31cはガイド部材36の当接によりガイド部材36の移動を規制し、ガイド部材36とガイドレール35の間が必要以上に空くことを規制する。
【0019】
次に、予圧調整機構について説明する。
スライドテーブル31の一面である上面には、ワーク搭載面31bが形成されるとともに、スライドテーブル31にはワーク搭載面31bからガイド部材36に向かって延びる挿通孔31aが形成されている。挿通孔31aの一端は、ワーク搭載面31bにおけるスライドテーブル31の幅方向の略中央に開口している。また、挿通孔31aの他端は、規制部31cの一側面に開口しており、挿通孔31aは、ガイド部材36の押圧面36aに向けて開口している。そして、挿通孔31aの中心軸Fはワーク搭載面31bに対して斜めに延びているとともに中心軸Fと押圧面36aとの間の角度Θ1は30度になっている。
【0020】
上記構成の挿通孔31aのワーク搭載面31b側には雌ねじ31eが形成されている。また、挿通孔31aには、押圧部材38とネジ39が挿入されている。本実施形態においては、ネジ39と押圧部材38が軸部材40を構成している。押圧部材38において、ガイド部材36側の先端にはテーパ面38aが形成されている。ネジ39は、押圧部材38に続けて挿通孔31aに挿入され、挿通孔31aの雌ねじ31eに螺合されている。ネジ39の雌ねじ31eに対する螺入に従って押圧部材38が押圧面36aに向かって押圧され、押圧部材38が挿通孔31aに沿って移動するようになっている。押圧部材38がネジ39によって押圧されると、テーパ面38aが押圧面36aを押圧する力(ネジ39の軸力)は、X成分とY成分の分力に分けられる。そして、押圧部材38が押圧面36aを押圧するため、ガイド部材36はX成分に沿った方向へ押圧され、移動する。よって、本実施形態では、傾いて形成された挿通孔31aが軸部材40の分力をテーパ面38aからガイド部材36に作用させる分力作用手段となる。
【0021】
ここで、スライドテーブル31の幅方向に延び、かつ、押圧面36aに直交する仮想面を水平面Hとすると、中心軸Fと水平面Hとの間の角度Θ2は60度になっている。水平面Hはワーク搭載面31bと平行をなし、ワーク搭載面31bと中心軸Fとの間の角度も60度となっている。軸部材40は、挿通孔31aに沿って移動するため、軸部材40と水平面Hとの間の角度も同様に60度となる。このため、軸部材40を距離aだけ移動させた場合、水平面Hに沿った40の移動距離bは、距離aの1/2となっている。
【0022】
次に、予圧調整機構の作用及び、ガイドレール35とガイド部材36の間の予圧の調整方法について説明する。
ネジ39が挿通孔31aの雌ねじ31eに螺入されることにより、ネジ39の先端部により押圧部材38が押圧されるとともに、押圧部材38のテーパ面38aがガイド部材36の押圧面36aを押圧する。すると、ガイド部材36は、押圧部材38のX成分の分力により、スライドテーブル31の幅方向に沿ってガイドレール35に向けて移動する。すると、ガイド部材36の転動ボール37がガイドレール35に押し付けられ、ガイドレール35とガイド部材36の間の予圧は大きくなる。一方、予圧を小さくする場合、ネジ39を雌ねじ31eに対し螺退させると、ネジ39による押圧部材38の押圧力が弱まり、X成分の分力によるガイド部材36への押圧力が弱まる結果、予圧が小さくなる。そして、使用者は、ネジ39の螺入量を調整することによりガイドレール35とガイド部材36の間の予圧を所望する値に調整する。その後、使用者は、予圧の調整後、ネジ39を接着剤で固定し、調整を完了する。
【0023】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)スライドテーブル31にはワーク搭載面31bからガイド部材36の押圧面36aに向かって斜めに延びる挿通孔31aが形成されるとともに、この挿通孔31aには軸部材40が挿通されている。そして、軸部材40を挿通孔31aに沿って移動させることで、軸部材40の軸力の分力をガイド部材36の押圧面36aに作用させ、分力方向にガイド部材36を移動させることができる。すなわち、予圧調整のために移動させる軸部材40は、ガイド部材36の移動方向ではなく、その移動方向に対し交差する方向に移動する。よって、ガイド部材36は押圧部材38のX成分の分力により押圧される。このため、軸部材40をガイド部材36の移動方向に沿って移動するように配置する必要がなく、リニアアクチュエータ1がスライドテーブル31の幅方向に大型化しない。また、軸部材40はスライドテーブル31の厚みを利用して配置されるため、スライドテーブル31が厚み方向に大型化することもなく、リニアアクチュエータ1全体の大型化を招くこともない。
【0024】
(2)軸部材40を押圧部材38とネジ39とに分割して構成した。そして、ネジ39の挿通孔31aへの螺入に伴い押圧部材38を押圧面36aに向けて押圧することができる。よって、押圧部材38を回転させることなく挿通孔31aの延びる方向へ移動させることができる。このため、押圧部材38が回転することによって偏心した状態で押圧面36aが押圧されてしまうことを防止することができる。
【0025】
(3)挿通孔31aはワーク搭載面31bに対して60度傾いている。このため、軸部材40を距離aだけ移動させた場合、ワーク搭載面31bに沿った軸部材40の移動距離bは、距離aの1/2となり、ガイドレール35とガイド部材36間における予圧の微妙な調整を容易に行うことができる。
【0026】
(4)スライドテーブル31の幅方向に沿った断面はT字状になっているため、スライドテーブル31の幅方向中央に対する剛性が高められている。したがって、スライドテーブル31の幅方向中央に挿通孔31aを形成しても、スライドテーブル31の変形等を防止することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態について図4にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態において、第1実施形態と同一構成については、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0027】
図4に示すように、リニアアクチュエータ2のベース60上には、矩形状をなすスライドテーブル61が移動可能に支持されている。ベース60の幅方向中央には規制部60aがベース60の長さ方向へ伸びるように突設されるとともに、規制部60aを挟む位置には、それぞれ一対のガイドレール62がベース60の長さ方向に延びるように互いに平行に固定されている。
【0028】
スライドテーブル61の幅方向両側には、ガイド部材63がスライドテーブル61の長さ方向に延びるように互いに平行に固定されている。
各ガイド部材63は、一対のガイドレール62を外側から挟むように対向配置されるとともに、各ガイド部材63におけるガイドレール62側には複数の転動ボール37が転動可能に支持されている。なお、本実施形態ではガイドレール62において、規制部60aの側面に対向する面を押圧面62aとする。
【0029】
次に、予圧調整機構について説明する。
ベース60には、一面としてのベース下面60bからガイドレール62に向かって斜めに延びる挿通孔31aが形成されている。そして、挿通孔31aの中心軸Fはベース下面60bに対して斜めに延びているとともに中心軸Fと押圧面62aとの間の角度Θ1は30度になっている。なお、挿通孔31aは第1実施形態の挿通孔と構成が同じなので、その説明を省略する。
【0030】
挿通孔31aには、第1実施形態と同じ軸部材40(押圧部材38とネジ39)が挿入されている。押圧部材38がネジ39によって押圧されると、テーパ面38aが押圧面62aを押圧する力(ネジ39の軸力)は、X成分とY成分の分力に分けられる。そして、押圧部材38が押圧面62aを押圧するため、ガイドレール62はX成分に沿った方向へ押圧され、移動する。よって、本実施形態では、傾いて形成された挿通孔31aが軸部材40の分力をテーパ面38aからガイドレール62に作用させる分力作用手段となる。
【0031】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(5)ベース60にはベース下面60bからガイドレール62の押圧面62aに向かって斜めに延びる挿通孔31aが形成されるとともに、この挿通孔31aには軸部材40が挿通されている。そして、軸部材40を挿通孔31aに沿って移動させることで、軸部材40の軸力の分力をガイドレール62の押圧面62aに作用させ、分力方向にガイドレール62を移動させることができる。すなわち、予圧調整のために移動させる軸部材40は、ガイドレール62の移動方向ではなく、その移動方向に対し交差する方向に移動する。よって、ガイドレール62は押圧部材38のX成分の分力により押圧される。このため、軸部材40をガイドレール62の移動方向に沿って移動するように配置する必要がなく、リニアアクチュエータ2が大型化しない。
【0032】
(6)また、挿通孔31aをベース60に形成しても予圧を調整することが可能となり、使用者の用途に合わせて、スライドテーブル61に挿通孔を形成するか、ベース60に挿通孔を形成するかを選択することができるようになる。
【0033】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1及び第2実施形態において、軸部材40は、ネジ39のみで構成してもよい。この場合、ネジ39の先端にテーパ面を形成してもよい。
【0034】
・第1及び第2実施形態において、押圧部材38の先端にテーパ面38aを形成しなくてもよい。
・第1及び第2実施形態において、スライドテーブル31,61の幅方向に沿った断面形状はコ字状でもよい。
【0035】
・第1及び第2実施形態において、中心軸Fと水平面Hとの間の角度Θ2は変更してもよい。
・第1実施形態において、図5に示すように、挿通孔31aをワーク搭載面31bに直交する方向に沿って延びる様に形成してもよい。この場合、規制部31cの一方の側面に押圧面36aに向かって延びる傾斜部31dを形成するとともに、押圧面36aと傾斜部31dの間に押圧部材51が設けられる。押圧部材51には、傾斜部31dに摺接するテーパ面51aが形成されるとともに、押圧面36aに接触する接触面51bが形成されている。
【0036】
そして、ネジ39の挿通孔31aへの螺入に伴い、押圧部材51が傾斜部31dによって押圧部材51のX成分に沿った方向へ押圧される。すなわち、挿通孔31a、押圧部材51、テーパ面51a、傾斜部31dが分力作用手段となる。
【0037】
これによれば、挿通孔31aをワーク搭載面31bに対して斜めに形成しなくてもガイドレール35とガイド部材36の間の予圧を調整することができる。したがって、挿通孔31aを斜めに形成する場合に比べ、容易に挿通孔31aを形成することができる。
【0038】
・第1及び第2実施形態ではアクチュエータとしてエアシリンダ20に具体化したが、油圧シリンダに具体化してもよい。
・第1実施形態において、挿通孔31aは、スライドテーブル31の側面からガイド部材36に向かって斜めに延びるように形成されていてもよい。
【0039】
・第2実施形態において、挿通孔31aは、ベース60の側面からガイドレール62に向かって斜めに延びるように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1,2…リニアアクチュエータ、20…アクチュエータとしてのエアシリンダ、30,60…ベース、31,61…スライドテーブル、31a…分力作用手段を構成する挿通孔、31b…一面としてのワーク搭載面、31c,60a…規制部、31d…分力作用手段を構成する傾斜部、31e…雌ねじ、35,62…ガイドレール、36,63…ガイド部材、36a,62a…押圧面、38,51…軸部材及び分力作用手段を構成する押圧部材、38a…テーパ面、39…軸部材を構成するネジ、40…軸部材、51a…分力作用手段を構成するテーパ面、51b…接触面、60b…一面としてのベース下面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースの上面に設けられたガイドレールと、
アクチュエータによって往復動し、上面にワーク搭載面を有するスライドテーブルと、
前記スライドテーブルの下面に一体化され、該スライドテーブルを前記ガイドレールに沿って直線移動可能に支持するガイド部材と、を有するリニアアクチュエータに設けられ、前記ガイドレールと前記ガイド部材の間の予圧を調整するリニアアクチュエータの予圧調整機構であって、
前記スライドテーブルの下面に対し交差するように前記ガイド部材に設けられた押圧面と、
前記スライドテーブルの一面から前記押圧面に向けて延びるように前記スライドテーブルに形成された挿通孔と、
前記挿通孔に挿通される軸部材と、
前記軸部材の軸力の分力を前記押圧面から前記ガイド部材に作用させ、前記予圧を発生させるための分力作用手段と、を有することを特徴とするリニアアクチュエータの予圧調整機構。
【請求項2】
前記挿通孔には雌ねじが形成されるとともに、
前記軸部材は、前記押圧面を押圧する押圧部材と、前記雌ねじに螺着され、前記押圧部材を前記押圧面に向けて押圧するネジとから形成されている請求項1に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構。
【請求項3】
前記分力作用手段は、前記挿通孔全体を前記スライドテーブルの一面から前記押圧面に向けて斜めに延びるように形成することで構成されている請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構。
【請求項4】
前記挿通孔は、前記ワーク搭載面に対する直交方向に沿って延びるように形成されるとともに、
前記分力作用手段は、前記挿通孔に連通し、かつ該挿通孔の軸方向に対し傾斜しつつ前記押圧面に向かって延びる傾斜部と、
前記押圧面に接触する接触面を有するとともに前記傾斜部に摺接するテーパ面を有する前記押圧部材と、から構成されている請求項2に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構。
【請求項5】
前記スライドテーブルは、該スライドテーブルの往復動方向に直交する幅方向の中央に規制部を有するとともに、該規制部を挟む位置に前記ガイド部材が一体化されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータの予圧調整機構。
【請求項6】
ベースの上面に設けられたガイドレールと、
アクチュエータによって往復動し、上面にワーク搭載面を有するスライドテーブルと、
前記スライドテーブルの下面に一体化され、該スライドテーブルを前記ガイドレールに沿って直線移動可能に支持するガイド部材と、を有するリニアアクチュエータに設けられ、前記ガイドレールと前記ガイド部材の間の予圧を調整するリニアアクチュエータの予圧調整機構であって、
前記ベースの上面に対し交差するように前記ガイドレールに設けられた押圧面と、
前記ベースの一面から前記押圧面に向けて延びるように前記ベースに形成された挿通孔と、
前記挿通孔に挿通される軸部材と、
前記軸部材の軸力の分力を前記押圧面から前記ガイドレールに作用させ、前記予圧を発生させるための分力作用手段と、を有することを特徴とするリニアアクチュエータの予圧調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−180863(P2012−180863A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42837(P2011−42837)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】