説明

リニアガイド装置

【課題】リニアガイド装置においてボールネジを使用しないでスライダーをスムーズに移動可能な機構を構築する。
【解決手段】リニアガイド装置1は、直線状のレール10のレール面10aにはラック歯を刻設し、スライダー20にはラック歯と噛み合う2つのピニオンギヤー5a,5bを設けた入力軸3が軸支され、この入力軸3にモーター出力軸Jを連結させてピニオンギヤー5a,5bをモーター出力により回転させるように構成する。
これにより、ボールネジを使用しないでスライダー20をレール10上に自走させることができる。
また、上記2つのピニオンギヤー5a,5b間は、夫々のギヤー歯の角度をラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相αだけ周方向に回転してずらすように構成する。
これにより、実質的にバックラッシュを無くしてスライダー20をレール10上に走行させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状のレールと、レール上を自在に移動するスライダーとを備えたリニアガイド装置、特に高精度に移動可能なリニアガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨機やフライス盤等の工作機械や物品の搬送装置等には、ワークを支持又は保持する可動ベッドを直動案内する機構として、リニアガイド装置が用いられる。
図12に示すように、このリニアガイド装置Aは、直線状に延びるレール100と、
このレール100上を自在に移動するスライダー200とを有し、ワークWを支持等する可動ベッドBはスライダー200上に取り付けられている。
そして、可動ベッドBにはボールネジ等の送りネジ機構300が設けられ、この送りネジ機構300をサーボモーター等(図示せず)を駆動させることでスライダー200及び可動ベッドBが移動される。
【0003】
【特許文献1】特開2002−174234号公報
【特許文献2】特開平8−105439号公報(図2、図7、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記送りネジ機構300のボールネジは高価なうえに、長いストロークの高速移動になるとボールネジのたるみ等により「なわとび現象」が起こりスライダー200の移動に支障を来たす。
そのため、より径の太い高価なボールネジが必要となり、重量も増す。
それゆえに、低価格且つ軽量で精度のよい高速移動が可能な機構が求められる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、ボールネジを使用しないでスライダー又はレールを走行可能な機構を低価格に実現するリニアガイド装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1の本発明に係るリニアガイド装置は、直線状のレールに転動体を介して、自在にレール上を移動するスライダーを備えたリニアガイド装置において、上記レール上部にはラック歯が刻設され、上記スライダー内には上記ラック歯と噛み合うピニオンギヤーを設けた入力軸が軸支され、上記ピニオンギヤーをモーター出力により回転させるように構成したことを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
これにより、モーターを駆動してピニオンギヤーを回転させると、ピニオンギヤーがレール上部のラック歯と噛み合って回転する。
従って、ボールネジを使用しないで、例えばスライダーをレール上に自走させることができる。
【0008】
(2)また、第2の本発明に係るリニアガイド装置は、直線状のレールに転動体を介して、自在にレール上を移動するスライダーを備えたリニアガイド装置において、上記レール上部にはラック歯が刻設され、上記スライダー内には上記ラック歯と噛み合う2つのピニオンギヤーを設けた入力軸が軸支され、上記ピニオンギヤーをモーター出力により回転させるように構成し、上記2つのピニオンギヤー間は、夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相だけ周方向に回転してずらすように構成したことを特徴とするものである(請求項2)。
【0009】
これにより、モーターを駆動してピニオンギヤーを回転させると、ピニオンギヤーがレール上部のラック歯と噛み合って回転する。
従って、ボールネジを使用しないで、例えばスライダーをレール上に自走させることができる。
また、上記2つのピニオンギヤーの夫々は、レールのラック歯との間でバックラッシュを有するが、この2つのピニオンギヤー間では夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相だけ周方向に回転してずらすように構成するので、正回転では一方のピニオンギヤーがラック歯と前がかりで駆動し、逆回転では他方のピニオンギヤーがラック歯と後がかりで駆動して回転することとなる。
従って、正回転と逆回転の切替わり時等ではラック歯と2つのピニオンギヤーとの間で実質的にバックラッシュを無くして、例えばスライダーをレール上に走行させることができる。
【0010】
(3)また、第3の本発明に係るリニアガイド装置は、直線状のレールに転動体を介して、自在にレール上を移動するスライダーを備えたリニアガイド装置において、上記レール上部にはラック歯が刻設され、上記スライダー内には入力ギヤーを設けた入力軸及びこの入力ギヤーと噛み合うと共に上記ラック歯と噛み合う2つのピニオンギヤーを設けた保持軸が軸支され、上記入力ギヤーを介して上記ピニオンギヤーをモーター出力により回転させるように構成し、上記2つのピニオンギヤー間は、夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相だけ周方向に回転してずらすように構成し、上記2つのピニオンギヤーを設けた保持軸は、上記入力軸の両側に夫々配置され、且つ対角関係に位置したピニオンギヤー同士は、夫々のギヤー歯の角度が同期するように構成したことを特徴とするものである(請求項3)。
【0011】
これにより、モーターを駆動してピニオンギヤーを回転させると、ピニオンギヤーがレール上部のラック歯と噛み合って回転する。
従って、ボールネジを使用しないで、例えばスライダーをレール上に自走させることができる。
また、上記2つのピニオンギヤーの夫々は、レールのラック歯との間でバックラッシュを有するが、この2つのピニオンギヤー間では夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相だけ周方向に回転してずらすように構成するので、正回転では一方のピニオンギヤーがラック歯と前がかりで駆動し、逆回転では他方のピニオンギヤーがラック歯と後がかりで駆動して回転することとなる。
従って、正回転と逆回転の切替わり時等ではラック歯と2つのピニオンギヤーとの間で実質的にバックラッシュを無くして、例えばスライダーをレール上に走行させることができる。
しかも、上記2つのピニオンギヤーを設けた保持軸は、上記入力軸の両側に夫々配置され、且つ対角関係に位置したピニオンギヤー同士は、夫々のギヤー歯の角度が同期するように構成するので、正回転では一方の対角関係に位置したピニオンギヤー同士がラック歯と前がかりで駆動し、逆回転では他方の対角関係に位置したピニオンギヤー同士がラック歯と後がかりで駆動して回転することとなる。
その結果、正回転、逆回転のいずれにおいても対角関係にある左右両方のピニオンギヤーがラック歯と噛み合ってスライダーを駆動させることができる。
従って、スライダーの駆動に大きな伝達力が得られ、しかもスライダーを横方向へこじるおそれもなく直動させることができる。
【0012】
(4)上記2つのピニオンギヤーは、上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相がずれるように固定手段で接続したものでもよい(請求項4)。
これにより、2つのピニオンギヤー間においてラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相のずれたものを容易に得ることができる。
【0013】
(5)上記2つのピニオンギヤーは、上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相がずれるように歯切して形成したものでもよい(請求項5)。
これにより、2つのピニオンギヤー間においてラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相のずれたものを容易に得ることができる。
【0014】
(6)上記ラック歯と上記ピニオンギヤーがヘリカル状をなしたものでもよい(請求項6)。
これにより、ラック歯とピニオンギヤーは斜めに溝切りしたギヤー溝となって噛み合い長さが長くなるので、ピニオンギヤーの回転を円滑に行うことができ、スライダーの静粛な移動が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係るリニアガイド装置によれば、例えばスライダーをレールに自走させることができ、従来のようなボールネジ等の部品が不要となる。
従って、スライダーをスムーズに移動させることができ、また、低コストで軽量なものが得られる。
特に、第2、第3の本発明に係るリニアガイド装置では、加えて、バックラッシュを無くして、例えばスライダーをレール上で走行させることができるので、移動精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態1によるリニアガイド装置1は、直線状に延びるレール10と、このレール10上を自在に移動するスライダー20とを有する。
レール10は、その上面にはラック歯を刻設した平坦なレール面10aが左右に平行に2条になって形成され、また、両側面にはそれぞれ転動体のボール7が対接するボール案内部10bが形成されている。
レール面10aとボール案内部10bは、レール10の長手方向に沿って直線状に形成されている。
スライダー20は、断面門型に形成され、レール10の上面に対向配置されるスライダー上部21と、レール10の側面に対向配置されるスライダー側部22とを有する。
【0017】
図2、図3、図4に示すように、スライダー上部21には、上記レール面10aのラック歯と噛み合う2つのピニオンギヤー5(5a,5b)を一体形成した入力軸3が設けられている。
そして、図5に示すように、この2つのピニオンギヤー5a,5b間は、夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度(バックラッシュ分丁度か、バックラッシュ分以内で極力バックラッシュ分に近い間隔、以下同様)の位相αだけ周方向に回転してずらすように構成されている。
【0018】
上記入力軸3は、スライダー上部21の側面において貫通形成する貫通孔30に挿通され、その両側で軸受部材31によって軸支されている。
そして、この入力軸3の一方端部には、継手部材32によってサーボモーターMの出力軸Jが締結されている。
これにより、サーボモーターMの駆動により上記入力軸3が回転されてピニオンギヤー5がこのモーター出力により回転される。
【0019】
なお、上記入力軸3を軸支する軸受部材31は、既知のものを種々使用でき、例えば、ニードルベアリング(特開2002−310167号公報)によって構成してもよい。
これにより、入力軸3に大きな荷重が加わっても入力軸3を円滑に回転させることができる。
【0020】
また、スライダー上部21には、上記ピニオンギヤー5の配置箇所において上下に貫通する孔部24が設けられ、この孔部24には潤滑オイルを含浸させた含油フエルトFが装填されている。
なお、孔部24の上面部は、フタ23で塞がれている。
これにより、含油フエルトFがピニオンギヤー5に接して、ピニオンギヤー5が回転することでレール面10aのラック歯との間に潤滑オイルが供給され、円滑に歯合される。
【0021】
また、上記レール面10aのラック歯と上記スライダー上部21に軸支する2つのピニオンギヤー5a,5bのギヤー溝は、斜めに溝切りしたヘリカル状をなしている。
これにより、ラック歯とピニオンギヤー5a,5bは斜めに溝切りしたギヤー溝となって噛み合い長さが長くなるので、ピニオンギヤー5a,5bの回転を円滑に行うことができ、スライダー20の静粛な移動が可能となる。
【0022】
一方、左右のスライダー側部22には、図4に示すように、上下にボール循環路70が形成され、このボール循環路70内に転動体となる多数のボール7が装填されている。
そして、これらボール7は、レール10の両側面のボール案内部10bに対接される。
【0023】
また、このリニアガイド装置1は、図4に示すように、サーボモーターMの取付け部材6に光学式あるいは磁気式等の位置センサSが取り付けられており、この位置センサSによってレール10を取り付けた基台においてレール10の長手方向に沿って形成したリニアスケールLを読み取るように構成し、スライダー20の位置を認識可能にしている。
これにより、スライダー20の移動距離の精度を向上することができる。
【0024】
以上の構成のリニアガイド装置1によれば、サーボモーターMを駆動して入力軸3を回転させると、ピニオンギヤー5がレール面10aのラック歯と噛み合って回転し、これにより、スライダー20がレール10上を走行する。
従って、従来のようなボールネジ300を使用しないで、十分な回転力を発揮してスライダー20をレール10上でスムーズに自走させることができる。
しかも、ボールネジ300等の部品が不要となるので、低コストで軽量なものが得られる。
【0025】
また、上記2つのピニオンギヤー5a,5bの夫々は、レール面10aのラック歯との間でバックラッシュを有するが、この2つのピニオンギヤー5a,5b間では夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相αだけ周方向に回転してずらすように構成するので(図5参照)、図3中の夫々のピニオンギヤー5a,5bに矢印で示したように、正回転では一方のピニオンギヤー5aがレール面10aのラック歯と前がかりで駆動し、逆回転では他方のピニオンギヤー5bがレール面10aのラック歯と後がかりで駆動して回転することとなる。
これにより、正回転と逆回転の切替わり時等ではラック歯と2つのピニオンギヤー5a,5bとの間で実質的にバックラッシュを無くしてスライダー20をレール10上に走行させることができる。
従って、ラック歯とピニオンギヤー5とのギヤー機構を採用するものであっても、バックラッシュによる移動誤差がほとんどなく、スライダー20の移動精度を向上することができる。
【0026】
なお、上記2条のレール面10aのラック歯と上記2つのピニオンギヤー5a,5bは、ヘリカル状のギヤー溝の向きを同じ方向とするが(図3参照)、図6に示すように、他方のピニオンギヤー5b’のヘリカル状のギヤー溝の向きは、一方のピニオンギヤー5aのヘリカル状のギヤー溝の向きと反対方向となるように形成されてもよい。
この場合、他方のレール面10a’のラック歯の斜めに切ったギヤー溝の向きも、一方のレール面10aのラック歯の斜めに切ったギヤー溝の向きとは反対方向となる。
これにより、ラック歯とピニオンギヤー5a,5bのギヤー溝をヘリカル状とすることで、ピニオンギヤー5a,5bにはその軸方向へスラスト力が作用するが、各ピニオンギヤー5a,5bにおけるヘリカル状のギヤー溝の向きが相反するように構成することで、ピニオンギヤー5a,5bの夫々に作用するスラスト力の向きも反対方向となる。
従って、夫々のピニオンギヤー5a,5bに作用するスラスト力が相殺されて前方への転がり力を大きくすることができ、ひいてはスライダー20を力強く直動させることができる。
【0027】
(実施の形態2)
図7、図8に示すように、実施の形態2のリニアガイド装置1aは、スライダー上部21に、モーター出力軸Jと締結され、2つの入力ギヤー8を設けた入力軸3と、この入力軸3の両側に夫々配置され、上記入力ギヤー8と噛み合うと共にレール面10aのラック歯と噛み合う2つのピニオンギヤー5を保持した保持軸4とが設けられている。
また、夫々の保持軸4に設けた2つのピニオンギヤー5間は、夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相αだけ周方向に回転してずらすようにして保持軸4に固定されている(図5参照)。
そして、入力軸3の両側に配置される4つのピニオンギヤー5a,5b,5c,5dは、対角関係に位置したピニオンギヤー5同士(5aと5d、5bと5c)のギヤー歯の角度が同期するように構成されている。
なお、夫々の保持軸4はスライダー上部21の側面に貫通形成した貫通孔40に挿通させて、その両側で軸受部材31によって軸支されている。
その他の構成は、上記実施の形態1のものと同様であり、図7、図8において図1〜図5に示す符号と同一のものは実施の形態1で説明したものと同一又は相当する。
【0028】
上記実施の形態2によるリニアガイド装置1aによれば、特に、上記2つのピニオンギヤー5を設けた保持軸4は、上記入力軸3の両側に夫々配置され、且つその対角関係に位置したピニオンギヤー5同士(5aと5d、5bと5c)は、夫々のギヤー歯の角度が同期するように構成するので、図7中の夫々のピニオンギヤー5a,5b,5c,5dに矢印で示したように、正回転では一方の対角関係に位置したピニオンギヤー5同士(5aと5d)がレール面10aのラック歯と前がかりで駆動し、逆回転では他方の対角関係に位置したピニオンギヤー5同士(5bと5c)がレール面10aのラック歯と後がかりで駆動して回転することとなる。
その結果、正回転、逆回転のいずれにおいても対角関係にある左右両方のピニオンギヤー5がラック歯と噛み合ってスライダー20を駆動させることができる。
従って、スライダー20の駆動に大きな伝達力が得られ、しかもスライダー20を横方向へこじれるおそれもなく直動させることができる。
その他の作用効果は、上記実施の形態1のものと同様である。
【0029】
(その他)
(1)図9に示すように、本リニアガイド装置は、スライダー20の入力軸3を他のスライダー20xの入力軸3と継手Cによって連結して2列に構成してもよい。
これにより、1つのモーターM(駆動源)で平行に並んだ2つのスライダー20,20xを同期して互いのレール10,10x上を走行させることができる。
なお、同様に、必要に応じて3列、4列等の複数列のリニアガイド装置としてもよい。
【0030】
(2)また、図9に示すように、2列に構成したレール10,10xは、夫々のレール面10a,10a’のラック歯の斜めに切ったギヤー溝の向きが反対方向となるように構成してもよい。
この場合、夫々のスライダー20,20xに設けたピニオンギヤー5におけるヘリカル状のギヤー溝は、これと噛み合うラック歯の向きと一致される。
これにより、2列のスライダー20,20xの関係において、夫々のピニオンギヤー5に作用するスラスト力の向きが反対方向となって横方向へのスラスト力が相殺され、前方への転がり力を大きくすることができ、ひいてはスライダー20,20x全体を力強く直動させることができる。
【0031】
(3)図10に示すように、レール及びスライダーを2列等に構成する場合、夫々のスライダーを架渡すプレートを取り付け、このプレートにモーターを固定し、このモーター出力軸と、左右のスライダーの入力軸同士を連結する連結シャフトとを、タイミングベルト又はギヤー等の伝達手段により接続するように構成してもよい。
これにより、モーターが外側に出張らずレール間に配置されてコンパクトに構成することができ、また、モーター出力を連結シャフトに入力することから、連結シャフトのねじれが少なくなって一層正確なスライダーの移動が可能となる。
なお、図10中の符号Kは、モーターに電力供給するためのケーブルである。
【0032】
(4)図11に示すように、2列のレール10,10x上に4つのスライダー20,20x,20y,20zを配置し、レール10,10x間に平行に並んだ2つのスライダー(20と20x、20yと20z)を傘歯車等による伝達機構Gを組み込んだ連結ユニット9,9’によって夫々の入力軸3を接続すると共に側方の連結ユニット9,9’同士を連結軸90で接続し、一方の連結ユニット9にモーターMを取り付けると共にモーター出力軸Jをその連結ユニット9の伝達機構Gと接続するように構成してもよい。
これにより、上記の1つのモーターMを駆動することにより、上記各連結ユニット9,9’を介して2列のレール10,10x上に配置した4つのスライダー20,20x,20y,20zを同期して走行させることができる。
【0033】
(5)同軸上に設けた上記2つのピニオンギヤー5は、レール面10aのラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相αがずれるように継手等の固定手段で接続してもよく、また、上記2つのピニオンギヤー5は、上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相αがずれるように歯切して軸と一体形成したものでもよい。
これにより、2つのピニオンギヤー5間においてラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相αのずれたものを容易に得ることができる。
なお、上記固定手段としては、例えば、各種の継手が挙げられるが、この継手には嵌合式に軸を締結するものでもよいし、また、上記バックラッシュ分程度の位相αがずれるように内接歯を設けたものでもよい。
【0034】
(6)レール10のレール面10aは、2つのピニオンギヤー5に共通して噛み合う1条のものでもよい。
(7)上記ラック歯と上記ピニオンギヤー5のギヤー溝は、ヘリカル状とすることなく、平状のギヤー溝でもよい。
(8)上記各実施の形態1,2では、スライダーを移動側として走行させるが、スライダーを固定してレールを移動側として走行させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態1によるリニアガイド装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1による上記リニアガイド装置のスライダー内の構造を示す一部切欠の側面図である。
【図3】実施の形態1によるリニアガイド装置のスライダー内の構造を示す平面図である。
【図4】実施の形態1によるリニアガイド装置のスライドー内の構造を示す断面図である。
【図5】2つのピニオンギヤー間でバックラッシュ分程度の位相ずれがあることを示す模式図である。
【図6】実施の形態1の変形例のリニアガイド装置におけるスライダー内の構造を示す平面図である。
【図7】実施の形態2によるリニアガイド装置のスライダー内の構造を示す一部切欠の側面図である。
【図8】実施の形態2によるリニアガイド装置のスライダー内の構造を示す平面図である。
【図9】本発明の他の例として、平行に並ぶ2つのスライダーの入力軸を連結してスライダーを2列に連結したものを示す平面図である。
【図10】本発明の別の他の例として、平行に並ぶ2つのスライダーの入力軸を連結してスライダーを2列に連結したものを示す平面図である。
【図11】本発明の別の他の例として、4つのスライダーを連結ユニットにより連結したものを示す平面図である。
【図12】従来のリニアガイド装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 リニアガイド装置
3 入力軸
4 保持軸
5 ピニオンギヤー
8 入力ギヤー
10 レール
10a レール面
20 スライダー
J モーター出力軸
M モーター
α 位相


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状のレールに転動体を介して、自在にレール上を移動するスライダーを備えたリニアガイド装置において、
上記レール上部にはラック歯が刻設され、上記スライダー内には上記ラック歯と噛み合うピニオンギヤーを設けた入力軸が軸支され、上記ピニオンギヤーをモーター出力により回転させるように構成したことを特徴とするリニアガイド装置。
【請求項2】
直線状のレールに転動体を介して、自在にレール上を移動するスライダーを備えたリニアガイド装置において、
上記レール上部にはラック歯が刻設され、上記スライダー内には上記ラック歯と噛み合う2つのピニオンギヤーを設けた入力軸が軸支され、上記ピニオンギヤーをモーター出力により回転させるように構成し、
上記2つのピニオンギヤー間は、夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相だけ周方向に回転してずらすように構成したことを特徴とするリニアガイド装置。
【請求項3】
直線状のレールに転動体を介して、自在にレール上を移動するスライダーを備えたリニアガイド装置において、
上記レール上部にはラック歯が刻設され、上記スライダー内には入力ギヤーを設けた入力軸及びこの入力ギヤーと噛み合うと共に上記ラック歯と噛み合う2つのピニオンギヤーを設けた保持軸が軸支され、上記入力ギヤーを介して上記ピニオンギヤーをモーター出力により回転させるように構成し、
上記2つのピニオンギヤー間は、夫々のギヤー歯の角度を上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相だけ周方向に回転してずらすように構成し、
上記2つのピニオンギヤーを設けた保持軸は、上記入力軸の両側に夫々配置され、且つ対角関係に位置したピニオンギヤー同士は、夫々のギヤー歯の角度が同期するように構成したことを特徴とするリニアガイド装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のリニアガイド装置において、
上記2つのピニオンギヤーは、上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相がずれるように固定手段で接続したリニアガイド装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載のリニアガイド装置において、
上記2つのピニオンギヤーは、上記ラック歯との間のバックラッシュ分程度の位相がずれるように歯切して形成したリニアガイド装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載のリニアガイド装置において、
上記ラック歯と上記ピニオンギヤーがヘリカル状をなしたリニアガイド装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−92871(P2007−92871A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282305(P2005−282305)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】