説明

リフター装置

【課題】 リフトフォークの下限位置の調整を容易に、且つ短時間で正確に実行できるようにする。
【解決手段】 下限検出手段は、外部から高さ方向に操作可能な調整プレート24上に配置される第1及び第2の2つの検出スイッチ21,22で構成し、このスイッチ22,23の両方が昇降フォーク5を検出している状態を昇降フォーク5の下限位置P1として検出するものであり、調整プレート24を上下させて昇降フォーク5の下限位置P1を調整するとき、スイッチ22,23の両方が昇降フォーク5を検出している状態を保持するよう、調整プレート24の上下に連動して昇降モータ14を制御するモータ制御回路を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋詰めされた穀物を計量器等から掬い取り、任意の場所へ運搬・移送するリフター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているこの種の装置として、特許文献1がある。この装置は、可搬自在な台車フレームに昇降可能なリフトフォークを設け、このリフトフォークを計量器上に載置される穀粒袋の下に差し入れて計量器から穀粒袋を掬い取り、他の場所へ運搬・移送するものである。リフトフォークは、下限位置から上限位置までの範囲で昇降し、途中掬い取り位置と中間位置を検出して昇降を停止するようになっている。穀粒袋の掬い取りは、リフトフォークを下限位置にした状態で、計量器の計量台と穀粒袋との間にリフトフォークを差し入れ、計量台と袋とが擦れない掬い取り位置まで上昇させることで行われる。
【0003】
さて、計量台の高さは計量器の種類によって異なるため、この装置ではリフトフォークの下限位置を調整できる機能を備えている。この装置における下限位置の調整は、下限位置を検出する下限スイッチが取り付けられた調節プレートを台車フレームの長穴の範囲で上下させ、任意の位置でボルトにより固定することで行われる。しかしながら、この装置では、リフトフォークの位置を計量台の高さに合わせる場合、目測によって調整プレートを移動させてからボルトで固定し、ハンドルに設けた操作ボタンで上昇(もしくは下降)キーを入力してリフトフォークを移動させるようになっているため、位置調整後に上昇(もしくは下降)キーを入力してリフトフォークを移動させたときにはじめて正式なリフトフォークの下限位置がわかることになる。これでは、リフトフォークの位置が合わなかったら、再度同じ手順で高さ調整を繰り返さなければならず、非常に面倒である。
【特許文献1】特開2004−269146号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明が解決すべき課題は、リフトフォークの下限位置の調整を容易に、且つ短時間で正確に実行できるようにすることで、上記問題を解消するリフターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために本発明は、車輪を有する基台と、この基台上に立設される昇降フレームと、この昇降フレームに沿って昇降する昇降フォークと、この昇降フォークを昇降駆動する駆動手段と、この駆動手段を操作する操作手段と、昇降フォークの上限位置を検出する上限検出手段と、昇降フォークの下限位置を検出する下限検出手段とを備え、前記操作手段の操作により各検出手段で与える上限及び下限位置の間で昇降フォークを昇降するリフター装置において、前記下限検出手段は、外部から高さ調整可能な調整プレート上に配置される第1及び第2の2つの検出体からなり、2つの検出体が昇降フォークを検出している状態を昇降フォークの下限位置として検出するものであり、前記調整プレートを上下させて昇降フォークの下限位置を調整するとき、前記検出体の両方が昇降フォークを検出している状態を保持するよう、前記調整プレートの上下に連動して前記駆動手段を制御する制御手段を備えたを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、調整プレートを上下させるのに連動してリフトフォークが上下するため、計量台の荷物載置面の高さにリフトフォークを合わせる調整作業が、目視により正確に行うことができる。
【実施例1】
【0007】
以下、図面を基に実施例1について説明する。図1は実施例1のリフターを示す正面図、図2は平面図である。
1はリフターのベースとなる基台で、支柱フレーム2と、機械室3と、バッテリー13を載置し、両側面に車輪4,4を取り付けている。支柱フレーム2は、前面に荷物の昇降を行う昇降フォーク5を備え、上端に基台1を移動するためのハンドル7を備えている。昇降フォーク5は、前部に水平に延びる左右一対のフォーク8を備え、後部に支柱フレーム2を挟持するローラ9を備え、支柱フレーム2に沿って昇降する。機械室3は、内部に昇降フォーク5を昇降するための正逆転可能な昇降モータ14を装備し、上面に電源入力や掬い取り設定等を行う操作パネル15を備えている。車輪4は、後輪側にロック機構16が備えられ、安定した使用状態が得られるようになっている。ロック機構16は、後輪の転動面に噛み付く歯型のストッパー板17と、このストッパー板17をロック位置とフリー位置とに変位させるリンク板18とからなり、荷物の昇降時にはロック位置に、荷物の運搬時にはフリー位置に切り替えて使用される。バッテリー13は、商用電源からの充電を可能にし、前記昇降モータ14の動力源として機能する。尚、12はハンドル7の握り部付近に備えられる操作部で、昇降フォーク5の上昇/下降/停止の指令を行うものである。
【0008】
図3は支柱フレーム2の内部構造を示す断面図であり、この図を用いて昇降フォーク5の昇降構造について説明する。
支柱フレーム2の内部には、昇降フォーク5を昇降する駆動系6が備えられている。駆動系6は、支柱フレーム2内の上部に設けられる上スプロケット10aと、下部に設けられる下スプロケット10bと、このスプロケット間に懸回されるチェーン11とからなり、チェーン11の一端を昇降フォーク5の上端、他端を昇降フォーク5の下端に連係して無端ループを形成している。下スプロケット10bには、前記昇降モータ14が連係され、該モータの正転/逆転に伴い前記駆動系6を介して昇降フォーク5が昇降可能となる。
【0009】
この昇降フォーク5は、前記操作部12からの指令に基づいて任意の高さ位置に上昇/下降/停止できるようなっているのに加えて、所定の下限位置、掬い取り位置、上限位置で自動停止するようになっている。下限位置P1は、上下可動式の調整プレート24に取り付けた下限スイッチ21と中段スイッチ22が、昇降フォーク5の後部に形成したカム20により両方ともONの状態になることで検出される。掬い取り位置P2は、下限スイッチ21と中段スイッチ22が、両方ともONの状態から両方ともOFFの状態に変化することで検出される。上限位置P3は、支柱フレーム2の上部に固定された上限スイッチ23が、前記カム20によりONの状態になることで検出される。
【0010】
調整プレート24は、前記支柱フレーム2の背面に所定長さで開口した長穴25に対してハンドル付きボルト26により着脱され、ボルト26を緩めることで長穴25の範囲で上下方向に位置調整可能に配置されている。この調整プレート24を上下することにより、床面から下限位置P1及び床面から掬い取り位置P2を変更することができる。尚、下限スイッチ22と中段スイッチ23とは、所定間隔を有して調整プレート24に固定されるため、下限位置P1から掬い取り位置P2までの高さは一定に保たれる。
【0011】
続いて、図4を用いて実施例1の制御系について説明する。
30は制御部で、操作部12・操作パネル15・下限スイッチ21・中段スイッチ22上限スイッチ23が接続されるCPU31と、商用電源からバッテリー13に充電する充電回路32と、昇降モータ14を制御するモータ制御回路33とを備えている。操作部12には、昇降フォーク5を上昇させる上昇ボタン34と、昇降フォーク5を下降させる下降ボタン35が備えられている。尚、昇降中の昇降フォーク5を停止する場合は、上昇中/下降中に関係なく、どちらか一方のボタンを入力すればよい。操作パネル15は、電源キー36、掬い取りキー37、バッテリー残量表示部38を備えている。電源キー36を入力すると、電源が入り、各キースイッチに対応するランプが点灯するとともに、バッテリー残量に応じて表示部38が点灯する。掬い取りキー37を入力すると、前記した掬い取り位置P2での自動停止を行うか否かが切り替えられる。尚、初期状態において、掬い取りキー37はONの状態となる。
【0012】
このように構成するリフターは、計量台の上から米袋を掬い取る、トラックまで運搬する、トラックの荷台高さまで持ち上げる、といった作業に使用することができる。軽量台から米袋を掬い取る作業は、昇降フォーク5を下限位置P1にして計量台の前に移動させて車輪4を固定し、昇降フォーク5をフォーク溝に差し込んでから上昇ボタン34を入力することで行われる。昇降フォーク5が下限位置P1にある状態から上昇ボタン34を入力した場合、掬い取りキーがONであると、昇降フォーク5は計量台から少し浮いた掬い取り位置P2で停止するようになる。ここで、車輪4の固定を解放して米袋を計量台から引き出し、任意の場所へ移送することが可能になる。トラックの荷台に持ち上げる作業は、上昇ボタン34を入力して昇降フォーク5を任意高さまで上昇させて行う。このとき、昇降フォーク5の上昇は、上昇ボタン34、下降ボタン35のどちらを入力しても停止させることができるので、困惑せずに操作を行うことができる。
【0013】
ところで、計量台の高さは、計量器によって様々であるため、昇降フォーク5の下限位置を計量台のフォーク溝の高さに合わせる調整作業が必要となる。この調整作業について図5を用いて説明する。
調整前の昇降フォーク5の下限位置P1は、図5(a)に示すように、ハンドル付きボルト26が長穴25の最下位にあり、調整プレート24の下限スイッチ21と中段スイッチ22が両方とも昇降フォーク5のカム20によって押圧されている状態にある。この状態から、電源キー36を入力して、ハンドル付きボルト26を緩めて調整プレート24を長穴25に沿って押し上げると、図5(b)の実線に示すように、中段スイッチ22が外れてOFFになるため、モータ制御回路33では、このスイッチ22がONになるまで昇降モータ14を駆動して昇降フォーク5を上昇させ、図5(b)の点線に示すように、昇降フォーク5を調整プレート24に追従して上昇させる。また、調整プレート24を長穴25に沿って押し下げると、今度は図5(c)の実線のように、下限スイッチ21が外れてOFFになるため、モータ制御回路33では、このスイッチ21がONになるまで昇降モータ14が駆動して昇降フォーク5を下降させ、図5(c)の点線に示すように、昇降フォーク5を調整プレート24に追従して下降させる。こうして、調整プレート24の上下動に連動して、昇降フォーク5が上下するので、計量台の高さ位置に合わせて昇降フォーク5の下限位置P1を調整する作業を目視により行うことができ、従来のように、調整プレート24を固定した後、上昇キーもしくは下降キーを入力して実際の昇降フォーク5の高さを認識する調整作業に比べて容易に調整を行うことができる。尚、調整範囲は、スイッチの間隔以内とすれば、両方のスイッチが同時に外れることがない。
【0014】
尚、昇降フォーク5の各位置を検出するスイッチを接触式のものにしているが、非接触のものでもよく、特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のリフター装置を示す側面図である。
【図2】実施例1のリフター装置を示す平面図である。
【図3】実施例1のリフター装置の内部断面図である。
【図4】実施例1のリフター装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】昇降フォーク5の下限位置を調整する作業を示す説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 基台
2 支柱フレーム
4 車輪
5 昇降フォーク
12 操作部
14 昇降モータ
21 下限スイッチ
22 中段スイッチ
23 上限スイッチ
24 調整プレート
30 制御部
33 モータ制御回路




【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有する基台と、該基台上に立設される昇降フレームと、該昇降フレームに沿って昇降する昇降フォークと、該昇降フォークを昇降駆動する駆動手段と、該駆動手段を操作する操作手段と、昇降フォークの上限位置を検出する上限検出手段と、昇降フォークの下限位置を検出する下限検出手段とを備え、前記操作手段の操作により各検出手段で与える上限及び下限位置の間で昇降フォークを昇降するリフター装置において、
前記下限検出手段は、外部から高さ調整可能な調整プレート上に配置される第1及び第2の2つの検出体からなり、該2つの検出体が昇降フォークを検出している状態を昇降フォークの下限位置として検出するものであり、前記調整プレートを上下させて昇降フォークの下限位置を調整するとき、前記検出体の両方が昇降フォークを検出している状態を保持するよう、前記調整プレートの上下に連動して前記駆動手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするリフター装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−13273(P2008−13273A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183432(P2006−183432)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】