リフレクタおよびバックライト装置
リフレクタの反射面を、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面とすることにより、バックライト装置における入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリフレクタ及びこれを用いたバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の液晶表示装置を照明するため、光源から出射された光を液晶表示装置に導く導光板及びこの導光板を備え液晶表示装置を背面から照明するバックライト装置が提供されている。
【0003】
図1は、従来の導光板の外観を示す斜視図である。図中には、光源の発光ダイオード(2)も同時に示す。導光板(1)は、例えばPMMA又はポリカーボネートのような透明な材料からなり、略板状の平坦な形状を有している。そして、上面及び下面をそれぞれ出射面(3)及び反射面(4)とし、一つの側面を入射面(5)としている。反射面(4)には、入射面(5)から入射された光を出射面(3)に向けて反射するために反射素子(6)が形成されている。
【0004】
光源(2)から出射された光は、入射面(5)から導光板(1)に入射し、反射面(4)に形成された反射素子(6)によって出射面(3)方向に偏向して反射され、出射面(3)から出射される。このように、側面にある入射面(5)から入射された光を主面にある出射面(3)から出射する導光板(1)をサイドエッジ方式と称し、携帯電話機等において広く使用されている。
【0005】
図2は、従来の導光板及びバックライト装置の使用態様を示す断面図である。導光板(1)は、液晶表示装置(7)の直下に、出射面(3)が光学シート(8)を挟んで液晶表示装置(7)の下面(9)に対向するように配置される。導光板(1)には、発光ダイオード(2)から出射された光が入射面(5)から入射される。
【0006】
入射面(5)から導光板(1)に入射された光は、出射面(3)に対向する反射面(4)に形成された反射素子(6)によって偏向して反射されて液晶表示装置(7)の方向に立ち上げられ、出射面(3)から出射される。
【0007】
導光板(1)の出射面(3)から出射された光は、光学シート(8)を介して液晶表示装置(7)の下面(9)に入射される。光学シート(8)は、液晶表示装置(7)に下面(9)に光が垂直に入射されるように、導光板(1)から出射された光を液晶表示装置(7)の方向に立ち上げる。
【0008】
さらに、導光板(1)の反射面(4)と接する側に、反射面(4)からの射出光を反射させるリフレクタ(10)が設けられる。従来のリフレクタ(10)の反射面は、単純な鏡面である。
【発明の開示】
【0009】
従来技術では、光源(2)から出射された光は入射面(5)から導光板(1)に入射されるが、導光板(1)の入射面(5)付近はダイオード点光源からの光線が扇状に広がって導光板(1)内を導波していくが、点光源のため光源(2)間に暗部が発生してしまう。
【0010】
また光源(2)からの光は入光面(5)付近では発光ダイオード光線の強弱による、脈動明暗や目玉現象と呼ばれるホットスポット・輝線等が発生しやすい。
【0011】
そのため、反射素子(6)の形状を試行錯誤し形状設計しているが、反射素子(6)で反射し偏向された光線は、直ちに導光板(1)の出射面(3)から光学シート(8)を介して液晶表示装置(7)に出射されるため、図3で示すような局部的に明るいホットスポット(11)現象や輝線(12)および光源(2)間の光線配分不足による黒ずみ(13)等の問題が発生している。
【0012】
本発明はこれらの課題を解決できるリフレク及びそれを用いたバックライト装置を提供するものである。
【0013】
前述の課題を解決するために、本発明に係るリフレクタは、反射面が、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面を含むものである。前記プリズム要素の断面の高さは、一定であることが好ましい。前記プリズム要素の断面の高さは、連続的に減少していることが好ましい。前記リフレクタの構造化面の表面には、反射率を高めるため銀、銀合金、アルミニウム等の金属層が形成されていることが好ましい。更に前記金属層の表面には、耐久性を向上させるため透明な金属酸化物や樹脂による保護層が形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係るバックライト装置は、表示装置の背面側に配され、光を伝播、反射、拡散させる導光板と、前記導光板の少なくとも一側端部に配される光源と、前記導光板の底面に前記導光板からの光を反射させるリフレクタが配されたバックライト装置であって、前記リフレクタの反射面が、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面を含むものである。
【0015】
前記プリズム要素の断面の高さは、一定であることが好ましい。前記プリズム要素の断面の高さは、連続的に減少していることが好ましい。前記プリズム要素の稜線方向は、前記導光板の光源と接する面に垂直な方向とすることが好ましい。前記導光板は、液晶表示装置と隣接する面に反射素子を一体成形させ、その反射素子により液晶表示装置側と相対する導光板面と隣接するリフレクタ方向に光線を出射する導光板であることが好ましい。
【0016】
前記導光板は、ホットスポットや輝線および光源間の黒ずみを更に改善するため、反射素子を一体成形した面と相対する面に異方性拡散パターンが一体成形されたことが好ましい。前記異方性拡散パターンは光源間に多く拡散し、反入光部方向は少拡散になる異形拡散パターン層であることが好ましい。また、前記異方性拡散パターンは、サーフェスレリーフホログラムにより形成された凹凸パターンであることが好ましい。
【0017】
リフレクタの反射面を従来の単純な鏡面から、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面とすることにより、導光板の反射面より射出した光を単純な鏡面とは異なる方向にも反射することが可能になる。この反射光は、再び導光板に入射し、最終的には光学シートを介して液晶表事装置に入射するが、単純な鏡面とは異なる方向の反射光が加わったことにより、従来困難であった入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等が改良できる。
【0018】
入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を低減したむらが少なく均斉度の高いバックライト装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、導光板を示す図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は正面図、図1(c)は斜視図をそれぞれ示す。
【図2】図2は、従来のバックライト装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、従来のバックライト装置の入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみを示す図である。
【図4】図4は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図5】図5は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図7】図7は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図8】図8は、本発明のバックライト装置の実施形態を示す図である。
【図9】図9は、導光板を示す図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は正面図、図9(c)は斜視図をそれぞれ示す。
【図10】図10は、導光板の断面を示す図である。
【図11】図11は、導光板中での光線の動きを示す図である。
【図12】図12は、導光板に一体生計された異形拡散ホログラムパターンを示す図である。
【図13】図13は、異形拡散ホログラムパターンを200倍に拡大したものである。
【図14】図14は、ホログラムの性質を説明する図であり、図14(a)は導光板の出射面12の点P1,P2,P3から出射された光の強度の角度依存性を示す上面図、図14(b)は導光板10の出射面11の点P2から出射された光の強度分布を立体的に示す斜視図である。
【図15】図15は、本実施の形態のホログラムの作製を説明する図である。
【図16】図16は、マスターホログラムを作製する装置の構成を示す斜視図である。
【図17】図17は、導光板及び光学シートで構成されたバックライト装置の一部を示す図である。
【図18】図18は、光学シートを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るリフレクタ及びバックライト装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
本実施の形態においては、簡単のため、幾つかの異なる図面において共通の指示符号によって同一の部材を示すことにする。また、本実施の形態の図面は、本発明の内容を説明するために用いられるものであり、各部の寸法の比率を正確に反映するものではない。
【0022】
また、参照の便宜上、図中にxyz直交座標系を設定する。導光板における光の進行方向に導光板の上面又は下面の2つの辺に沿ってx軸及びy軸を設定し、出射面の法線方向にz軸を設定する。また、z軸の正負方向を上下と称することにする。
【0023】
図4は第一の実施形態のリフレクタを示す図である。図4(a)は、断面図であり、図4(b)は、鳥瞰図である。本実施形態では、リフレクタの反射面に断面が台形形状のプリズム要素が、プリズム要素とプリズム要素の間に隙間を空けることなく繰り返し形成される。また各プリズム要素の台形断面の高さは、図4(b)に示すように一定である。台形の底辺の長さは、すなわちプリズム要素の繰り返し周期は、1〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。1μm未満では回折による分光効果が強くなり、液晶表示装置の表示性能を劣化させる。200μmを超えると、液晶表示装置側からも構造が視認できてしまう。台形の斜辺が底辺となす角度は、20〜70度が好ましく、35〜55度がより好ましい。
【0024】
20度未満、または70度を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。左右の角度は、等しくても、異なっていても、どちらでもよい。台形の上辺の長さの底辺の長さ(プリズム要素の繰り返し周期)に対する比は、0.05〜0.5が好ましく、0.1〜0.3がより好ましい。0.05未満では輝度が低下し、0.5を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また各プリズム要素の台形断面は、同一でも、異なっていても、どちらでもよい。
【0025】
断面形状が三角形の場合には、頂角部分が傷つきやすく欠陥になり、表示品質を劣化させやすいが、台形にすることによりそのような欠陥が生じにくくなる利点もある。
【0026】
図4に示したような台形断面のプリズム要素の繰り返し構造は、例えばPETフィルム上に紫外線硬化樹脂を適当な厚みに塗布し、適当な形状を有する金型を押し当てながら、PETフィルム側から紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させた後、金型から離型することにより得ることができる。
【0027】
台形断面のプリズム要素を繰り返し形成した構造化面の表面には、反射率を高めるため銀、銀合金、アルミニウム等の金属層が形成されていることが好ましく、特に銀または銀合金が好ましい。金属層は、蒸着法やスパッタ法により形成することができる。金属層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成することが好ましい。平坦化した場合、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また、構造化面と金属層の間には、密着性を向上させるためのアンカー層を設けてもよい。
【0028】
更に前記金属層の表面には、耐久性を向上させるため透明な金属酸化物や樹脂による保護層が形成されていることが好ましい。保護層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成させても、構造化面を平坦化するように形成しても、どちらでもよいが、プリズム形状に追随させる方が、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が強く、より好ましい。
【0029】
リフレクタとして反射率は、75%以上が好ましく80%以上がより好ましい。75%以下だとバックライトの輝度が低下する。また入光付近の輝線などが目立ってくる。
【0030】
図5は第二の実施形態のリフレクタを示す図である。図5(a)は、断面図であり、図5(b)は、鳥瞰図である。本実施形態では、リフレクタの反射面に断面が台形形状のプリズム要素が、プリズム要素とプリズム要素の間に隙間を空けて繰り返し形成される。また各プリズム要素の台形断面の高さは、図5(b)に示すように一定である。プリズム要素の繰り返し周期は、1〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
【0031】
1μm未満では回折による分光効果が強くなり、液晶表示装置の表示性能を劣化させる。200μmを超えると、液晶表示装置側からも構造が視認できてしまう。台形の斜辺が底辺となす角度は、20〜70度が好ましく、35〜55度がより好ましい。20度未満、または70度を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。
【0032】
左右の角度は、等しくても、異なっていても、どちらでもよい。台形の上辺の長さとプリズム要素間の隙間の長さの和は、プリズム要素の繰り返し周期に対して、0.05〜0.5の範囲の比であることが好ましく、0.1〜0.3がより好ましい。0.05未満では輝度が低下し、0.5を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また各プリズム要素の台形断面は、同一でも、異なっていても、どちらでもよい。
【0033】
図6及び図7は、第三の実施形態のリフレクタを示す図である。本実施形態では、リフレクタの反射面に台形断面の高さが連続的に減少するプリズム要素が繰り返し形成される。プリズム要素間は図6(a)のように隙間がなくても、図6(b)のように隙間があっても、どちらでもよい。また、プリズム要素の稜線方向への繰り返し配置は、図6のようにプリズム要素を1個配置するのみでも、図7のように複数個を繰り返し配置しても、どちらでもよい。
【0034】
また、この場合の台形の底辺の長さ、プリズム要素の繰り返し周期、台形の斜辺が底辺となす角度、台形の上辺の長さと底辺の長さの比、台形の上辺の長さとプリズム要素間の隙間の長さの和とプリズム要素の繰り返し周期との比、などの好ましい範囲は、第一及び第二の実施形態の場合と同様である。
【0035】
また、第二及び第三の実施形態の場合も、第一の実施形態と同様に、構造化面は、例えばPETフィルム上に紫外線硬化樹脂を適当な厚みに塗布し、適当な形状を有する金型を押し当てながら、PETフィルム側から紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させた後、金型から離型することにより得ることができる。
【0036】
また構造化面の表面には、反射率を高めるため銀、銀合金、アルミニウム等の金属層が形成されていることが好ましく、特に銀または銀合金が好ましい。金属層は、蒸着法やスパッタ法により形成することができる。金属層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成することが好ましい。平坦化した場合、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また、構造化面と金属層の間には、密着性を向上させるためのアンカー層を設けてもよい。
【0037】
更に前記金属層の表面には、耐久性を向上させるため透明な金属酸化物や樹脂による保護層が形成されていることが好ましい。保護層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成させても、構造化面を平坦化するように形成しても、どちらでもよいが、プリズム形状に追随させる方が、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が強く、より好ましい。
【0038】
図8は、本発明のリフレクタを用いたバックライト装置の実施形態を示す図である。図8は従来技術で説明した図と同様の断面図である。
【0039】
導光板(1)は反射素子(6)が設けられており、導光板(1)と液晶表示装置(7)の間には、プリズムシートなどの光学シート(8)が配置されている。一方、導光板(1)の光学シート(8)を設置したのと対向する側には、本発明の構造化面を有するリフレクタ(10)を配置する。図8では、導光板の反射素子(6)は、出射面(3)に設けられているが、リフレクタ(10)と隣接する対向面に設けてもよい。
【0040】
図9は、本実施の形態の導光板を示す図である。図中には、光源の発光ダイオード(2)も同時に示す。
【0041】
図9(a)は導光板(1)の上面図、図9(b)は導光板(1)の正面図、図9(c)は導光板(1)の斜傾図である。また図10は断面図である。
【0042】
本実施の形態では、図11に示すように、液晶表示装置(7)側の導光板(1)の出射面(3)には反射素子(6)が一体成形されている。xy面内において発光ダイオード(2)から導光板(1)に入射された光線(100)は−z軸方向に反射偏向され一部は出射面(3)と相対する面(14)を透過しリフレクタ(10)面に到達する。
【0043】
導光板(1)の出射面(3)と相対する面(14)は鏡面または粗面でも良いが、本実施例では異形拡散が可能な拡散パターン層(18)が一体成形されている。導光板(1)は、例えばPMMA、ポリオレフィン又はポリカーボネートのような一定の屈折率を有する透明な材料からなり、略矩形状の上面及び下面を有する略板状の形状をする。
【0044】
前記座標軸を参照すると、導光板(1)は、xy平面と略平行な上面及び下面をそれぞれ出射面(3)及び異形拡散パターン一体成形層(18)とし、出射面(3)及び異形拡散パターン一体成形層(18)の間にあり端面から光線を入光させる部位を入射面(5)としている。
【0045】
出射面(3)には、反射素子(6)が形成されている。反射素子(6)は、入射面(5)から入射した光を反射して異形拡散パターン一体成形層(18)の方向に偏向する役割を果たしている。この反射素子(6)は、導光板(1)の一つの側面から他の側面まで連続または不連続して形成され、反射素子(6)の大部分が光の反射に使用される。したがって、本実施の形態のような反射素子(6)を形成された出射面(3)は、入射された光を異形拡散パターン一体成形層(18)の方向に反射する効率が高く、この導光板(1)の光の利用効率の向上を高めている。
【0046】
異形拡散パターン一体成形層(18)には、異方性を有するホログラム(異方性拡散パターン)が形成されている。このホログラムは、3次元的に形成されたホログラムと区別するためにサーフェスレリーフホログラムと称されることがある。このホログラムは、異形拡散パターン一体成形層(18)から出射される光を光源(2)間の方向へ大きく拡散して透過する。また光源の入射面(5)と相対する面である反入光面(15)に進む光線は小さな拡散となるように配置される。反射素子(6)によって反射された光は、前記ホログラムによって光源(2)間に発生する光線量不足を補うため、光源(2)間方向に大きくに拡散され、異形拡散パターン一体成形層(18)からは略楕円形状に拡散した光が出射される。
【0047】
前述のような形状を有する導光板(1)は、PMMA、ポリオレフィン系又はポリカーボネートのような材料を金型に射出成型することによって製造することができる。
【0048】
図10は、導光板の各部の寸法を示す図である。
【0049】
出射面(3)と異形拡散パターン一体成形層(18)の距離aは、一般的に光源(2)の種類により決められるがその距離範囲は0.3〜3.0mm、好ましくは0.4〜1.0mm、より好ましくは0.5〜0.8mmである。反射素子(6)の第1面(6)1と出射面(3)のなす角度θ1は、0.2〜5度であり、好ましくは0.3〜3.0度であり、さらに好ましくは0.3〜1.5度である。反射素子(6)の第2面(6)2と出射面(主面)のなす角度θ2は、90以下であり、好ましくは30〜89度であり、さらに好ましくは35〜89度である。
【0050】
隣接する反射素子間隔pは、一定であることが好ましく、その範囲は好ましくは5〜500μmであり、さらに好ましくは50〜250μmであり、さらに好ましくは100〜150μmである。なお、前記間隔pを一定にすると液晶表示素子のセル配置との干渉によってモアレの出現が現れることがあるので、前記間隔を意図的にランダムに設定することもできる。
【0051】
図11は、導光板における光路を示す図である。
【0052】
発光ダイオード(2)から導光板(1)の入射面(5)に入射した光線(100)は、異形拡散パターン一体成形層(18)となす角が臨界角に達するまでは異形拡散パターン一体成形層(18)と出射面(3)で全反射を繰り返しながら導光板(1)の内部を進む。
【0053】
反射素子(6)の第1面(6)1は、反射される光を異形拡散パターン一体成形層(18)方向に偏向する役割を果たしている。出射面(3)と小さい角度をなして入射面(5)に入射された光は、反射素子(6)第1面(6)1で反射するたびに異形拡散パターン一体成形層(18)方向に偏向され、異形拡散パターン一体成形層(18)となす角度が臨界角を超えると異形拡散パターン一体成形層(18)から出射される。
【0054】
したがって、反射素子(6)第1面(6)1と異形拡散パターン一体成形層(18)のなす角θ1が小さいほど、反射素子(6)第1の面(6)1との反射により光が徐々に立ち上げられるので、異形拡散パターン一体成形層(18)から出射される光の方向は整列している。整列した光は取り扱いが容易であるが、異形拡散パターン一体成形層(18)から抜け出た光は、リフレクタ(10)の表面に施された反射溝(16)とその表面に形成された金属蒸着膜(17)により更に偏向され、光線は、また導光板(1)の方向に反射される。
【0055】
この光線は導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)で更に拡散され出射面(3)に向かい光線が進む。この際、異形拡散パターン一体成形層(18)および反射素子(6)の面に対し全反射角以下の角度になるように設定する事により、リフレクタ(10)の反射溝(16)および金属蒸着膜(17)により反射された光は、導光板(1)の出射面(3)より出射される。導光板から出射された光線は光学シート(8)により所定の偏向が行われ液晶表示装置(7)の下面(9)より入射する。
【0056】
本実施形態の導光板(1)においては、反射素子(6)形状は図11に示すような形態のV字溝を用いた。
【0057】
出射面(3)となす角度は0.7°で入光面(5)と出射面(3)の交わるコーナ部(19)から120μmピッチ一定で傾斜を設けた。傾斜角度は入射面(5)からの光を徐々に全反射角以下にさせるため、図11に示す通り、光源に傾斜面が面するような方向で反射素子(6)のV字溝加工した金型を製作し射出成形により導光板(1)を作った。
【0058】
反射素子(6)と相対する面(18)には拡散できるパターン形成が好ましい。この場合、光源(2)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散とすることが正面輝度向上には望ましい。本実施の形態の導光板(1)においては、異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムは、光源(2)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散とした。また、各々の半値拡散角度は光源間方向は60°、他方は1°の特性をもつパターンを用いた。
【0059】
図12は、異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムを示す図である。
【0060】
図13はホログラムを200倍に拡大したものである。
【0061】
図12に示すように、ホログラムは、光源(6)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散とするように配置した。
【0062】
出射面(3)に一体成形されたV字型反射素子(6)により全反射し偏向された光線(100)は異形拡散パターン一体成形層(18)に当り一部の光線はリフレクタ(10)側に出射される。V字型反射素子(6)により全反射し偏向された光線(100)が異形拡散パターン一体成形層(18)に当たった場合、そのパターンが粗面(図11参照)のため全反射角を失いリフレクタ(10)側に一部出射する。導光板から出射される際、ホログラム拡散特性により異形に拡散され光源間方向に大きく光が拡散されリフレクタ(10)に到達する。
【0063】
図14は、ホログラムの性質を説明する図である。
【0064】
図14(a)は、導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)の点P1,P2,P3から出射された光の強度の角度依存性を示す上面図である。図14(b)は、導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)の点P2から出射された光の強度分布を立体的に示す斜視図である。
【0065】
導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)の点P1,P2,P3から出射された光は、異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムによって、楕円E1,E2,E3に示すように前記光源(6)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散となるように拡散される。拡散された光の強度分布を示す楕円E1,E2,E3の長軸方向と短軸方向の比率は、可変可能であり本実施の形態では1:60としたが、可変も可能である。
【0066】
図15は、マスターホログラムを作製する装置の構成を示すブロック図である。
【0067】
異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムは、マスターホログラムを転写したものであり、マスターホログラムと同一の光学的特性を有する。
【0068】
この装置は、所定波長のレーザ光を出射するレーザ光源71と、例えば矩形形状の開口を有するマスク72と、所望の領域のみ光を透過させるマスク73と、フォトレジストを平行移動可能に支持するテーブル75を有している。
【0069】
レーザ光源71は、RGBのレーザ光を切り替えて出射することができるものである。
【0070】
これは、例えば携帯電話機の液晶表示装置の照明に必要な白色光を拡散するホログラムを作製するためには、RGBのレーザ光についてそれぞれフォトレジスト74を露光する必要があるからである。なお、RGBのレーザ光をそれぞれ発する3個のレーザ光源を用い、これらのレーザ光源を切り替えて使用することもできる。
【0071】
マスク72は、矩形形状のディフューザによる開口を有している。このディフューザには、例えばすりガラスを使用することができる。前記矩形の長辺と短辺の寸法は、フォトレジスト74に形成される略楕円状のスペックルの短軸と長軸の寸法にそれぞれ対応している。なお、前記長辺及び短辺と前記短軸及び長軸は、相互にフーリエ変換によって変換される関係にある。
【0072】
マスク73は、フォトレジスト74を所望の部分のみ露光するために用いられる。本実施形態のホログラムは、フォトレジスト74を一度で全部露光することなく、各部分が所望の拡散特性を有するように該当部分についてのみ露光する。そして、このような露光を各部分について繰り返す多重露光を行い、フォトレジスト74の全体を露光する。この多重露光は、RGBのそれぞれについて行う。このように露光したホログラムを現像するとマスターホログラムが得られる。
【0073】
フォトレジスト74は、微弱な光を感度よく検知してスペックルを忠実に再現できるように、高感度の感光体を均一に分散した厚膜のものである。
【0074】
支持台75は、フォトレジスト74を平行移動させるために使用する。支持台75は、フォトレジスト74における露光位置を変更したり、マスク72,73とフォトレジスト74の距離を調整したりする際に、フォトレジスト74を移動する。
【0075】
図16は、マスターホログラムを作製する装置の構成を示す斜視図である。
【0076】
マスク81,82は、図15に示した矩形状の開口を有するマスク72に相当するものである。マスク81は、スリット81aを有している。矩形状の開口の短辺は、このスリット81aの幅によって定められる。マスク82は、三角形の開口82aを有している。前記矩形状の開口の長辺は、マスク81のスリット81aを透過した光がスリット82の開口82aを透過する領域の長手方向の最大の長さによって決定される。なお、マスク81,82は、図示しないディフューザによって透過する光を拡散している。
【0077】
マスク83は、図15に示したマスク73に相当している。マスク83は、四角形の開口83aを有している。フォトレジスト84が露光される領域は、この開口83aを透過した光が到達する部分に制限される。フォトレジスト84における前記部分を変更しつつ多重露光することにより、フォトレジスト84の全面を露光することができる。
【0078】
図15及び図16の装置を用いて露光したフォトレジストを現像すると、マスターホログラムが得られる。このように作製したマスターホログラムを導光板の成型に用いる金型の出射面の部分に凹凸として転写する。そして、マスターホログラムを転写した金型を用いて導光板を射出成型することにより、導光板の出射面にホログラムを一体成型することができる。
【0079】
図17は、導光板及び光学シートで構成されたバックライト装置の一部を示す図である。
【0080】
導光板(1)及び光学シート(8)からなるバックライト装置において、導光板(1)の出射面(3)から出射された光は、出射面(3)となす角度が小さい成分の光L1,L2を含んでいる。光学シート(8)は、平坦な上面51とプリズム状の下面52を有し、導光板(1)の出射面(3)となす角度が小さい光L1,L2が下面52から入射されると、上面51と大きな角度をなすように角度を変更して出射する(L1´,L2´)。このように、光学シート(8)は、液晶表示装置(7)に出射される光の正面強度を向上させる。
【0081】
図18は、光学シートを示す図である。
【0082】
光学シート(プリズムシート)(8)は、例えばPMMA、ポリオレフィン又はポリカーボネート、光硬化型樹脂のような透明な材料からなり、上面51に対向する下面52に、連続するプリズム状の構造をなす反射溝53を有している。この光学シート(8)は、導光板(1)の出射面(3)上に設置される。
【0083】
次に、本発明を適用したバックライト装置の実施例を示す。以下の実施例では、次のような構成を共通して用いる。この構成を図8を参照して説明する。
【0084】
光源(2)には、日亜化学製の発光ダイオードNSCW335を4個用いる。導光板(1)は、入射面(5)に平行方向の長さ40mm、垂直方向の長さ50mm、厚さ0.7mmのポリカーボネート製のものとする。反射素子(6)は、図10においてθ1=1.5度、θ2=35度、p=150μmの形状とする。導光板(1)において反射素子(6)が形成された反対側の面には、この面に垂直に入射した光が長軸方向及び短軸方向にそれぞれ60度及び1度にわたって拡散するようなホログラムパターンが異形拡散パターン一体成型層(18)により形成されている。そして、導光板(1)は、反射素子(6)側の面が光学シート(8)に対向する側に、異形拡散パターン一体成型層(18)側の面がリフレクタ(10)に対向する側になるように設置される。
【0085】
光学シート(8)は、三菱レイヨン製のプリズムフィルムM165であって、プリズム面が導光板(1)側に対向するように設置される。リフレクタ(10)は、種々のプリズムフィルムに銀を1000Åの厚みで蒸着してなり、プリズムの稜線方向が導光板(1)の入射面(5)と直交するように配置される。
【0086】
第1の実施例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.15とした。ここで、平坦部の比率とは、例えばリフレクタ(10)の一方の面における平坦部の面積の占める割合をいうものとする。この第1の実施例のバックライト装置の輝度は2290(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0087】
第2の実施例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.11とした。この第2の実施例のバックライト装置の輝度は2225(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0088】
第3の実施例は、図5に示したようなプリズム要素間に隙間をあけて台形形状のプリズム要素が繰り返し形成された第2の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.24とした。この第3の実施例のバックライト装置の輝度は2320(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0089】
第4の実施例は、図5に示したようなプリズム要素間に隙間をあけて台形形状のプリズム要素が繰り返し形成された第2の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.41とした。この第4の実施例のバックライト装置の輝度は2350(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近にわずかに輝線が認められた。
【0090】
次に、前述のバックライト装置の実施例と対照するために、バックライト装置の比較例を示す。この比較例においても、特に明記した場合を除いて前述の実施例と同様の構成とする。
【0091】
第1の比較例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0とした。この第1の比較例のバックライト装置の輝度は2100(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0092】
第2の比較例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を27度、台形の平坦部の比率を0.30とした。この第2の比較例のバックライト装置の輝度は2182(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線が認められた。
【0093】
第3の比較例は、鏡面状のリフレクタ(10)を用いる。この第3の比較例のバックライト装置の輝度は2360(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に強い輝線と光源間の黒ずみが認められた。
【0094】
前述の実施例及び比較例をまとめて次の表1に示す。
【表1】
【0095】
なお、上述の実施の形態は、本発明の一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されない。本発明の範囲を逸脱しない限り、種々の対象に適用することができる。また、実施例中に示した数値は、一例に過ぎず、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
【技術分野】
【0001】
本発明はリフレクタ及びこれを用いたバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の液晶表示装置を照明するため、光源から出射された光を液晶表示装置に導く導光板及びこの導光板を備え液晶表示装置を背面から照明するバックライト装置が提供されている。
【0003】
図1は、従来の導光板の外観を示す斜視図である。図中には、光源の発光ダイオード(2)も同時に示す。導光板(1)は、例えばPMMA又はポリカーボネートのような透明な材料からなり、略板状の平坦な形状を有している。そして、上面及び下面をそれぞれ出射面(3)及び反射面(4)とし、一つの側面を入射面(5)としている。反射面(4)には、入射面(5)から入射された光を出射面(3)に向けて反射するために反射素子(6)が形成されている。
【0004】
光源(2)から出射された光は、入射面(5)から導光板(1)に入射し、反射面(4)に形成された反射素子(6)によって出射面(3)方向に偏向して反射され、出射面(3)から出射される。このように、側面にある入射面(5)から入射された光を主面にある出射面(3)から出射する導光板(1)をサイドエッジ方式と称し、携帯電話機等において広く使用されている。
【0005】
図2は、従来の導光板及びバックライト装置の使用態様を示す断面図である。導光板(1)は、液晶表示装置(7)の直下に、出射面(3)が光学シート(8)を挟んで液晶表示装置(7)の下面(9)に対向するように配置される。導光板(1)には、発光ダイオード(2)から出射された光が入射面(5)から入射される。
【0006】
入射面(5)から導光板(1)に入射された光は、出射面(3)に対向する反射面(4)に形成された反射素子(6)によって偏向して反射されて液晶表示装置(7)の方向に立ち上げられ、出射面(3)から出射される。
【0007】
導光板(1)の出射面(3)から出射された光は、光学シート(8)を介して液晶表示装置(7)の下面(9)に入射される。光学シート(8)は、液晶表示装置(7)に下面(9)に光が垂直に入射されるように、導光板(1)から出射された光を液晶表示装置(7)の方向に立ち上げる。
【0008】
さらに、導光板(1)の反射面(4)と接する側に、反射面(4)からの射出光を反射させるリフレクタ(10)が設けられる。従来のリフレクタ(10)の反射面は、単純な鏡面である。
【発明の開示】
【0009】
従来技術では、光源(2)から出射された光は入射面(5)から導光板(1)に入射されるが、導光板(1)の入射面(5)付近はダイオード点光源からの光線が扇状に広がって導光板(1)内を導波していくが、点光源のため光源(2)間に暗部が発生してしまう。
【0010】
また光源(2)からの光は入光面(5)付近では発光ダイオード光線の強弱による、脈動明暗や目玉現象と呼ばれるホットスポット・輝線等が発生しやすい。
【0011】
そのため、反射素子(6)の形状を試行錯誤し形状設計しているが、反射素子(6)で反射し偏向された光線は、直ちに導光板(1)の出射面(3)から光学シート(8)を介して液晶表示装置(7)に出射されるため、図3で示すような局部的に明るいホットスポット(11)現象や輝線(12)および光源(2)間の光線配分不足による黒ずみ(13)等の問題が発生している。
【0012】
本発明はこれらの課題を解決できるリフレク及びそれを用いたバックライト装置を提供するものである。
【0013】
前述の課題を解決するために、本発明に係るリフレクタは、反射面が、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面を含むものである。前記プリズム要素の断面の高さは、一定であることが好ましい。前記プリズム要素の断面の高さは、連続的に減少していることが好ましい。前記リフレクタの構造化面の表面には、反射率を高めるため銀、銀合金、アルミニウム等の金属層が形成されていることが好ましい。更に前記金属層の表面には、耐久性を向上させるため透明な金属酸化物や樹脂による保護層が形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係るバックライト装置は、表示装置の背面側に配され、光を伝播、反射、拡散させる導光板と、前記導光板の少なくとも一側端部に配される光源と、前記導光板の底面に前記導光板からの光を反射させるリフレクタが配されたバックライト装置であって、前記リフレクタの反射面が、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面を含むものである。
【0015】
前記プリズム要素の断面の高さは、一定であることが好ましい。前記プリズム要素の断面の高さは、連続的に減少していることが好ましい。前記プリズム要素の稜線方向は、前記導光板の光源と接する面に垂直な方向とすることが好ましい。前記導光板は、液晶表示装置と隣接する面に反射素子を一体成形させ、その反射素子により液晶表示装置側と相対する導光板面と隣接するリフレクタ方向に光線を出射する導光板であることが好ましい。
【0016】
前記導光板は、ホットスポットや輝線および光源間の黒ずみを更に改善するため、反射素子を一体成形した面と相対する面に異方性拡散パターンが一体成形されたことが好ましい。前記異方性拡散パターンは光源間に多く拡散し、反入光部方向は少拡散になる異形拡散パターン層であることが好ましい。また、前記異方性拡散パターンは、サーフェスレリーフホログラムにより形成された凹凸パターンであることが好ましい。
【0017】
リフレクタの反射面を従来の単純な鏡面から、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面とすることにより、導光板の反射面より射出した光を単純な鏡面とは異なる方向にも反射することが可能になる。この反射光は、再び導光板に入射し、最終的には光学シートを介して液晶表事装置に入射するが、単純な鏡面とは異なる方向の反射光が加わったことにより、従来困難であった入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等が改良できる。
【0018】
入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を低減したむらが少なく均斉度の高いバックライト装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、導光板を示す図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は正面図、図1(c)は斜視図をそれぞれ示す。
【図2】図2は、従来のバックライト装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、従来のバックライト装置の入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみを示す図である。
【図4】図4は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図5】図5は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図7】図7は、本発明のリフレクタの実施形態を示す図である。
【図8】図8は、本発明のバックライト装置の実施形態を示す図である。
【図9】図9は、導光板を示す図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は正面図、図9(c)は斜視図をそれぞれ示す。
【図10】図10は、導光板の断面を示す図である。
【図11】図11は、導光板中での光線の動きを示す図である。
【図12】図12は、導光板に一体生計された異形拡散ホログラムパターンを示す図である。
【図13】図13は、異形拡散ホログラムパターンを200倍に拡大したものである。
【図14】図14は、ホログラムの性質を説明する図であり、図14(a)は導光板の出射面12の点P1,P2,P3から出射された光の強度の角度依存性を示す上面図、図14(b)は導光板10の出射面11の点P2から出射された光の強度分布を立体的に示す斜視図である。
【図15】図15は、本実施の形態のホログラムの作製を説明する図である。
【図16】図16は、マスターホログラムを作製する装置の構成を示す斜視図である。
【図17】図17は、導光板及び光学シートで構成されたバックライト装置の一部を示す図である。
【図18】図18は、光学シートを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るリフレクタ及びバックライト装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
本実施の形態においては、簡単のため、幾つかの異なる図面において共通の指示符号によって同一の部材を示すことにする。また、本実施の形態の図面は、本発明の内容を説明するために用いられるものであり、各部の寸法の比率を正確に反映するものではない。
【0022】
また、参照の便宜上、図中にxyz直交座標系を設定する。導光板における光の進行方向に導光板の上面又は下面の2つの辺に沿ってx軸及びy軸を設定し、出射面の法線方向にz軸を設定する。また、z軸の正負方向を上下と称することにする。
【0023】
図4は第一の実施形態のリフレクタを示す図である。図4(a)は、断面図であり、図4(b)は、鳥瞰図である。本実施形態では、リフレクタの反射面に断面が台形形状のプリズム要素が、プリズム要素とプリズム要素の間に隙間を空けることなく繰り返し形成される。また各プリズム要素の台形断面の高さは、図4(b)に示すように一定である。台形の底辺の長さは、すなわちプリズム要素の繰り返し周期は、1〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。1μm未満では回折による分光効果が強くなり、液晶表示装置の表示性能を劣化させる。200μmを超えると、液晶表示装置側からも構造が視認できてしまう。台形の斜辺が底辺となす角度は、20〜70度が好ましく、35〜55度がより好ましい。
【0024】
20度未満、または70度を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。左右の角度は、等しくても、異なっていても、どちらでもよい。台形の上辺の長さの底辺の長さ(プリズム要素の繰り返し周期)に対する比は、0.05〜0.5が好ましく、0.1〜0.3がより好ましい。0.05未満では輝度が低下し、0.5を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また各プリズム要素の台形断面は、同一でも、異なっていても、どちらでもよい。
【0025】
断面形状が三角形の場合には、頂角部分が傷つきやすく欠陥になり、表示品質を劣化させやすいが、台形にすることによりそのような欠陥が生じにくくなる利点もある。
【0026】
図4に示したような台形断面のプリズム要素の繰り返し構造は、例えばPETフィルム上に紫外線硬化樹脂を適当な厚みに塗布し、適当な形状を有する金型を押し当てながら、PETフィルム側から紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させた後、金型から離型することにより得ることができる。
【0027】
台形断面のプリズム要素を繰り返し形成した構造化面の表面には、反射率を高めるため銀、銀合金、アルミニウム等の金属層が形成されていることが好ましく、特に銀または銀合金が好ましい。金属層は、蒸着法やスパッタ法により形成することができる。金属層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成することが好ましい。平坦化した場合、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また、構造化面と金属層の間には、密着性を向上させるためのアンカー層を設けてもよい。
【0028】
更に前記金属層の表面には、耐久性を向上させるため透明な金属酸化物や樹脂による保護層が形成されていることが好ましい。保護層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成させても、構造化面を平坦化するように形成しても、どちらでもよいが、プリズム形状に追随させる方が、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が強く、より好ましい。
【0029】
リフレクタとして反射率は、75%以上が好ましく80%以上がより好ましい。75%以下だとバックライトの輝度が低下する。また入光付近の輝線などが目立ってくる。
【0030】
図5は第二の実施形態のリフレクタを示す図である。図5(a)は、断面図であり、図5(b)は、鳥瞰図である。本実施形態では、リフレクタの反射面に断面が台形形状のプリズム要素が、プリズム要素とプリズム要素の間に隙間を空けて繰り返し形成される。また各プリズム要素の台形断面の高さは、図5(b)に示すように一定である。プリズム要素の繰り返し周期は、1〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
【0031】
1μm未満では回折による分光効果が強くなり、液晶表示装置の表示性能を劣化させる。200μmを超えると、液晶表示装置側からも構造が視認できてしまう。台形の斜辺が底辺となす角度は、20〜70度が好ましく、35〜55度がより好ましい。20度未満、または70度を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。
【0032】
左右の角度は、等しくても、異なっていても、どちらでもよい。台形の上辺の長さとプリズム要素間の隙間の長さの和は、プリズム要素の繰り返し周期に対して、0.05〜0.5の範囲の比であることが好ましく、0.1〜0.3がより好ましい。0.05未満では輝度が低下し、0.5を超えると入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また各プリズム要素の台形断面は、同一でも、異なっていても、どちらでもよい。
【0033】
図6及び図7は、第三の実施形態のリフレクタを示す図である。本実施形態では、リフレクタの反射面に台形断面の高さが連続的に減少するプリズム要素が繰り返し形成される。プリズム要素間は図6(a)のように隙間がなくても、図6(b)のように隙間があっても、どちらでもよい。また、プリズム要素の稜線方向への繰り返し配置は、図6のようにプリズム要素を1個配置するのみでも、図7のように複数個を繰り返し配置しても、どちらでもよい。
【0034】
また、この場合の台形の底辺の長さ、プリズム要素の繰り返し周期、台形の斜辺が底辺となす角度、台形の上辺の長さと底辺の長さの比、台形の上辺の長さとプリズム要素間の隙間の長さの和とプリズム要素の繰り返し周期との比、などの好ましい範囲は、第一及び第二の実施形態の場合と同様である。
【0035】
また、第二及び第三の実施形態の場合も、第一の実施形態と同様に、構造化面は、例えばPETフィルム上に紫外線硬化樹脂を適当な厚みに塗布し、適当な形状を有する金型を押し当てながら、PETフィルム側から紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させた後、金型から離型することにより得ることができる。
【0036】
また構造化面の表面には、反射率を高めるため銀、銀合金、アルミニウム等の金属層が形成されていることが好ましく、特に銀または銀合金が好ましい。金属層は、蒸着法やスパッタ法により形成することができる。金属層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成することが好ましい。平坦化した場合、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が低減する。また、構造化面と金属層の間には、密着性を向上させるためのアンカー層を設けてもよい。
【0037】
更に前記金属層の表面には、耐久性を向上させるため透明な金属酸化物や樹脂による保護層が形成されていることが好ましい。保護層は、構造化面のプリズム形状に追随させて形成させても、構造化面を平坦化するように形成しても、どちらでもよいが、プリズム形状に追随させる方が、入光付近のホットスポットや輝線、光源間の黒ずみ等を改善する効果が強く、より好ましい。
【0038】
図8は、本発明のリフレクタを用いたバックライト装置の実施形態を示す図である。図8は従来技術で説明した図と同様の断面図である。
【0039】
導光板(1)は反射素子(6)が設けられており、導光板(1)と液晶表示装置(7)の間には、プリズムシートなどの光学シート(8)が配置されている。一方、導光板(1)の光学シート(8)を設置したのと対向する側には、本発明の構造化面を有するリフレクタ(10)を配置する。図8では、導光板の反射素子(6)は、出射面(3)に設けられているが、リフレクタ(10)と隣接する対向面に設けてもよい。
【0040】
図9は、本実施の形態の導光板を示す図である。図中には、光源の発光ダイオード(2)も同時に示す。
【0041】
図9(a)は導光板(1)の上面図、図9(b)は導光板(1)の正面図、図9(c)は導光板(1)の斜傾図である。また図10は断面図である。
【0042】
本実施の形態では、図11に示すように、液晶表示装置(7)側の導光板(1)の出射面(3)には反射素子(6)が一体成形されている。xy面内において発光ダイオード(2)から導光板(1)に入射された光線(100)は−z軸方向に反射偏向され一部は出射面(3)と相対する面(14)を透過しリフレクタ(10)面に到達する。
【0043】
導光板(1)の出射面(3)と相対する面(14)は鏡面または粗面でも良いが、本実施例では異形拡散が可能な拡散パターン層(18)が一体成形されている。導光板(1)は、例えばPMMA、ポリオレフィン又はポリカーボネートのような一定の屈折率を有する透明な材料からなり、略矩形状の上面及び下面を有する略板状の形状をする。
【0044】
前記座標軸を参照すると、導光板(1)は、xy平面と略平行な上面及び下面をそれぞれ出射面(3)及び異形拡散パターン一体成形層(18)とし、出射面(3)及び異形拡散パターン一体成形層(18)の間にあり端面から光線を入光させる部位を入射面(5)としている。
【0045】
出射面(3)には、反射素子(6)が形成されている。反射素子(6)は、入射面(5)から入射した光を反射して異形拡散パターン一体成形層(18)の方向に偏向する役割を果たしている。この反射素子(6)は、導光板(1)の一つの側面から他の側面まで連続または不連続して形成され、反射素子(6)の大部分が光の反射に使用される。したがって、本実施の形態のような反射素子(6)を形成された出射面(3)は、入射された光を異形拡散パターン一体成形層(18)の方向に反射する効率が高く、この導光板(1)の光の利用効率の向上を高めている。
【0046】
異形拡散パターン一体成形層(18)には、異方性を有するホログラム(異方性拡散パターン)が形成されている。このホログラムは、3次元的に形成されたホログラムと区別するためにサーフェスレリーフホログラムと称されることがある。このホログラムは、異形拡散パターン一体成形層(18)から出射される光を光源(2)間の方向へ大きく拡散して透過する。また光源の入射面(5)と相対する面である反入光面(15)に進む光線は小さな拡散となるように配置される。反射素子(6)によって反射された光は、前記ホログラムによって光源(2)間に発生する光線量不足を補うため、光源(2)間方向に大きくに拡散され、異形拡散パターン一体成形層(18)からは略楕円形状に拡散した光が出射される。
【0047】
前述のような形状を有する導光板(1)は、PMMA、ポリオレフィン系又はポリカーボネートのような材料を金型に射出成型することによって製造することができる。
【0048】
図10は、導光板の各部の寸法を示す図である。
【0049】
出射面(3)と異形拡散パターン一体成形層(18)の距離aは、一般的に光源(2)の種類により決められるがその距離範囲は0.3〜3.0mm、好ましくは0.4〜1.0mm、より好ましくは0.5〜0.8mmである。反射素子(6)の第1面(6)1と出射面(3)のなす角度θ1は、0.2〜5度であり、好ましくは0.3〜3.0度であり、さらに好ましくは0.3〜1.5度である。反射素子(6)の第2面(6)2と出射面(主面)のなす角度θ2は、90以下であり、好ましくは30〜89度であり、さらに好ましくは35〜89度である。
【0050】
隣接する反射素子間隔pは、一定であることが好ましく、その範囲は好ましくは5〜500μmであり、さらに好ましくは50〜250μmであり、さらに好ましくは100〜150μmである。なお、前記間隔pを一定にすると液晶表示素子のセル配置との干渉によってモアレの出現が現れることがあるので、前記間隔を意図的にランダムに設定することもできる。
【0051】
図11は、導光板における光路を示す図である。
【0052】
発光ダイオード(2)から導光板(1)の入射面(5)に入射した光線(100)は、異形拡散パターン一体成形層(18)となす角が臨界角に達するまでは異形拡散パターン一体成形層(18)と出射面(3)で全反射を繰り返しながら導光板(1)の内部を進む。
【0053】
反射素子(6)の第1面(6)1は、反射される光を異形拡散パターン一体成形層(18)方向に偏向する役割を果たしている。出射面(3)と小さい角度をなして入射面(5)に入射された光は、反射素子(6)第1面(6)1で反射するたびに異形拡散パターン一体成形層(18)方向に偏向され、異形拡散パターン一体成形層(18)となす角度が臨界角を超えると異形拡散パターン一体成形層(18)から出射される。
【0054】
したがって、反射素子(6)第1面(6)1と異形拡散パターン一体成形層(18)のなす角θ1が小さいほど、反射素子(6)第1の面(6)1との反射により光が徐々に立ち上げられるので、異形拡散パターン一体成形層(18)から出射される光の方向は整列している。整列した光は取り扱いが容易であるが、異形拡散パターン一体成形層(18)から抜け出た光は、リフレクタ(10)の表面に施された反射溝(16)とその表面に形成された金属蒸着膜(17)により更に偏向され、光線は、また導光板(1)の方向に反射される。
【0055】
この光線は導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)で更に拡散され出射面(3)に向かい光線が進む。この際、異形拡散パターン一体成形層(18)および反射素子(6)の面に対し全反射角以下の角度になるように設定する事により、リフレクタ(10)の反射溝(16)および金属蒸着膜(17)により反射された光は、導光板(1)の出射面(3)より出射される。導光板から出射された光線は光学シート(8)により所定の偏向が行われ液晶表示装置(7)の下面(9)より入射する。
【0056】
本実施形態の導光板(1)においては、反射素子(6)形状は図11に示すような形態のV字溝を用いた。
【0057】
出射面(3)となす角度は0.7°で入光面(5)と出射面(3)の交わるコーナ部(19)から120μmピッチ一定で傾斜を設けた。傾斜角度は入射面(5)からの光を徐々に全反射角以下にさせるため、図11に示す通り、光源に傾斜面が面するような方向で反射素子(6)のV字溝加工した金型を製作し射出成形により導光板(1)を作った。
【0058】
反射素子(6)と相対する面(18)には拡散できるパターン形成が好ましい。この場合、光源(2)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散とすることが正面輝度向上には望ましい。本実施の形態の導光板(1)においては、異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムは、光源(2)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散とした。また、各々の半値拡散角度は光源間方向は60°、他方は1°の特性をもつパターンを用いた。
【0059】
図12は、異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムを示す図である。
【0060】
図13はホログラムを200倍に拡大したものである。
【0061】
図12に示すように、ホログラムは、光源(6)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散とするように配置した。
【0062】
出射面(3)に一体成形されたV字型反射素子(6)により全反射し偏向された光線(100)は異形拡散パターン一体成形層(18)に当り一部の光線はリフレクタ(10)側に出射される。V字型反射素子(6)により全反射し偏向された光線(100)が異形拡散パターン一体成形層(18)に当たった場合、そのパターンが粗面(図11参照)のため全反射角を失いリフレクタ(10)側に一部出射する。導光板から出射される際、ホログラム拡散特性により異形に拡散され光源間方向に大きく光が拡散されリフレクタ(10)に到達する。
【0063】
図14は、ホログラムの性質を説明する図である。
【0064】
図14(a)は、導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)の点P1,P2,P3から出射された光の強度の角度依存性を示す上面図である。図14(b)は、導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)の点P2から出射された光の強度分布を立体的に示す斜視図である。
【0065】
導光板(1)の異形拡散パターン一体成形層(18)の点P1,P2,P3から出射された光は、異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムによって、楕円E1,E2,E3に示すように前記光源(6)間方向に大きく拡散し、反入光面(15)と光源間方向には小さな拡散となるように拡散される。拡散された光の強度分布を示す楕円E1,E2,E3の長軸方向と短軸方向の比率は、可変可能であり本実施の形態では1:60としたが、可変も可能である。
【0066】
図15は、マスターホログラムを作製する装置の構成を示すブロック図である。
【0067】
異形拡散パターン一体成形層(18)に形成されたホログラムは、マスターホログラムを転写したものであり、マスターホログラムと同一の光学的特性を有する。
【0068】
この装置は、所定波長のレーザ光を出射するレーザ光源71と、例えば矩形形状の開口を有するマスク72と、所望の領域のみ光を透過させるマスク73と、フォトレジストを平行移動可能に支持するテーブル75を有している。
【0069】
レーザ光源71は、RGBのレーザ光を切り替えて出射することができるものである。
【0070】
これは、例えば携帯電話機の液晶表示装置の照明に必要な白色光を拡散するホログラムを作製するためには、RGBのレーザ光についてそれぞれフォトレジスト74を露光する必要があるからである。なお、RGBのレーザ光をそれぞれ発する3個のレーザ光源を用い、これらのレーザ光源を切り替えて使用することもできる。
【0071】
マスク72は、矩形形状のディフューザによる開口を有している。このディフューザには、例えばすりガラスを使用することができる。前記矩形の長辺と短辺の寸法は、フォトレジスト74に形成される略楕円状のスペックルの短軸と長軸の寸法にそれぞれ対応している。なお、前記長辺及び短辺と前記短軸及び長軸は、相互にフーリエ変換によって変換される関係にある。
【0072】
マスク73は、フォトレジスト74を所望の部分のみ露光するために用いられる。本実施形態のホログラムは、フォトレジスト74を一度で全部露光することなく、各部分が所望の拡散特性を有するように該当部分についてのみ露光する。そして、このような露光を各部分について繰り返す多重露光を行い、フォトレジスト74の全体を露光する。この多重露光は、RGBのそれぞれについて行う。このように露光したホログラムを現像するとマスターホログラムが得られる。
【0073】
フォトレジスト74は、微弱な光を感度よく検知してスペックルを忠実に再現できるように、高感度の感光体を均一に分散した厚膜のものである。
【0074】
支持台75は、フォトレジスト74を平行移動させるために使用する。支持台75は、フォトレジスト74における露光位置を変更したり、マスク72,73とフォトレジスト74の距離を調整したりする際に、フォトレジスト74を移動する。
【0075】
図16は、マスターホログラムを作製する装置の構成を示す斜視図である。
【0076】
マスク81,82は、図15に示した矩形状の開口を有するマスク72に相当するものである。マスク81は、スリット81aを有している。矩形状の開口の短辺は、このスリット81aの幅によって定められる。マスク82は、三角形の開口82aを有している。前記矩形状の開口の長辺は、マスク81のスリット81aを透過した光がスリット82の開口82aを透過する領域の長手方向の最大の長さによって決定される。なお、マスク81,82は、図示しないディフューザによって透過する光を拡散している。
【0077】
マスク83は、図15に示したマスク73に相当している。マスク83は、四角形の開口83aを有している。フォトレジスト84が露光される領域は、この開口83aを透過した光が到達する部分に制限される。フォトレジスト84における前記部分を変更しつつ多重露光することにより、フォトレジスト84の全面を露光することができる。
【0078】
図15及び図16の装置を用いて露光したフォトレジストを現像すると、マスターホログラムが得られる。このように作製したマスターホログラムを導光板の成型に用いる金型の出射面の部分に凹凸として転写する。そして、マスターホログラムを転写した金型を用いて導光板を射出成型することにより、導光板の出射面にホログラムを一体成型することができる。
【0079】
図17は、導光板及び光学シートで構成されたバックライト装置の一部を示す図である。
【0080】
導光板(1)及び光学シート(8)からなるバックライト装置において、導光板(1)の出射面(3)から出射された光は、出射面(3)となす角度が小さい成分の光L1,L2を含んでいる。光学シート(8)は、平坦な上面51とプリズム状の下面52を有し、導光板(1)の出射面(3)となす角度が小さい光L1,L2が下面52から入射されると、上面51と大きな角度をなすように角度を変更して出射する(L1´,L2´)。このように、光学シート(8)は、液晶表示装置(7)に出射される光の正面強度を向上させる。
【0081】
図18は、光学シートを示す図である。
【0082】
光学シート(プリズムシート)(8)は、例えばPMMA、ポリオレフィン又はポリカーボネート、光硬化型樹脂のような透明な材料からなり、上面51に対向する下面52に、連続するプリズム状の構造をなす反射溝53を有している。この光学シート(8)は、導光板(1)の出射面(3)上に設置される。
【0083】
次に、本発明を適用したバックライト装置の実施例を示す。以下の実施例では、次のような構成を共通して用いる。この構成を図8を参照して説明する。
【0084】
光源(2)には、日亜化学製の発光ダイオードNSCW335を4個用いる。導光板(1)は、入射面(5)に平行方向の長さ40mm、垂直方向の長さ50mm、厚さ0.7mmのポリカーボネート製のものとする。反射素子(6)は、図10においてθ1=1.5度、θ2=35度、p=150μmの形状とする。導光板(1)において反射素子(6)が形成された反対側の面には、この面に垂直に入射した光が長軸方向及び短軸方向にそれぞれ60度及び1度にわたって拡散するようなホログラムパターンが異形拡散パターン一体成型層(18)により形成されている。そして、導光板(1)は、反射素子(6)側の面が光学シート(8)に対向する側に、異形拡散パターン一体成型層(18)側の面がリフレクタ(10)に対向する側になるように設置される。
【0085】
光学シート(8)は、三菱レイヨン製のプリズムフィルムM165であって、プリズム面が導光板(1)側に対向するように設置される。リフレクタ(10)は、種々のプリズムフィルムに銀を1000Åの厚みで蒸着してなり、プリズムの稜線方向が導光板(1)の入射面(5)と直交するように配置される。
【0086】
第1の実施例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.15とした。ここで、平坦部の比率とは、例えばリフレクタ(10)の一方の面における平坦部の面積の占める割合をいうものとする。この第1の実施例のバックライト装置の輝度は2290(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0087】
第2の実施例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.11とした。この第2の実施例のバックライト装置の輝度は2225(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0088】
第3の実施例は、図5に示したようなプリズム要素間に隙間をあけて台形形状のプリズム要素が繰り返し形成された第2の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.24とした。この第3の実施例のバックライト装置の輝度は2320(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0089】
第4の実施例は、図5に示したようなプリズム要素間に隙間をあけて台形形状のプリズム要素が繰り返し形成された第2の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0.41とした。この第4の実施例のバックライト装置の輝度は2350(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近にわずかに輝線が認められた。
【0090】
次に、前述のバックライト装置の実施例と対照するために、バックライト装置の比較例を示す。この比較例においても、特に明記した場合を除いて前述の実施例と同様の構成とする。
【0091】
第1の比較例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を45度、台形の平坦部の比率を0とした。この第1の比較例のバックライト装置の輝度は2100(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線は認められなかった。
【0092】
第2の比較例は、図4に示したような台形形状のプリズム要素が隙間なく形成された第1の実施の形態のリフレクタ(10)を用い、台形の底角を27度、台形の平坦部の比率を0.30とした。この第2の比較例のバックライト装置の輝度は2182(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に輝線が認められた。
【0093】
第3の比較例は、鏡面状のリフレクタ(10)を用いる。この第3の比較例のバックライト装置の輝度は2360(cd/m2)であり、光学シート(8)の上面から観察したところ導光板(1)の入射面(5)付近に強い輝線と光源間の黒ずみが認められた。
【0094】
前述の実施例及び比較例をまとめて次の表1に示す。
【表1】
【0095】
なお、上述の実施の形態は、本発明の一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されない。本発明の範囲を逸脱しない限り、種々の対象に適用することができる。また、実施例中に示した数値は、一例に過ぎず、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面が、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面を含むことを特徴とするリフレクタ。
【請求項2】
プリズム要素の断面の高さが一定である請求項1記載のリフレクタ。
【請求項3】
プリズム要素の断面の高さが連続的に減少している請求項1記載のリフレクタ。
【請求項4】
表示装置の背面側に配され、光を伝播、反射、拡散させる導光板と、前記導光板の少なくとも一側端部に配される光源と、前記導光板の底面に前記導光板からの光を反射させるリフレクタが配されたバックライト装置において、前記リフレクタが請求項1乃至3記載のリフレクタであることを特徴とするバックライト装置。
【請求項5】
液晶表示装置と隣接する面に反射素子を一体成形させ、その反射素子により液晶表示装置側と相対する導光板面と隣接するリフレクタ方向に光線を出射する導光板を用いることを特徴とする請求項4記載のバックライト装置。
【請求項6】
導光板に反射素子を一体成形した面と相対する面に異方性拡散パターンが一体成形されたことを特徴とする請求項5記載のバックライト装置。
【請求項1】
反射面が、台形断面のプリズム要素の繰り返しからなる構造化面を含むことを特徴とするリフレクタ。
【請求項2】
プリズム要素の断面の高さが一定である請求項1記載のリフレクタ。
【請求項3】
プリズム要素の断面の高さが連続的に減少している請求項1記載のリフレクタ。
【請求項4】
表示装置の背面側に配され、光を伝播、反射、拡散させる導光板と、前記導光板の少なくとも一側端部に配される光源と、前記導光板の底面に前記導光板からの光を反射させるリフレクタが配されたバックライト装置において、前記リフレクタが請求項1乃至3記載のリフレクタであることを特徴とするバックライト装置。
【請求項5】
液晶表示装置と隣接する面に反射素子を一体成形させ、その反射素子により液晶表示装置側と相対する導光板面と隣接するリフレクタ方向に光線を出射する導光板を用いることを特徴とする請求項4記載のバックライト装置。
【請求項6】
導光板に反射素子を一体成形した面と相対する面に異方性拡散パターンが一体成形されたことを特徴とする請求項5記載のバックライト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【国際公開番号】WO2005/068900
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517065(P2005−517065)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000344
【国際出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2005/000344
【国際出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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