説明

リフロー装置

【課題】複数の搬送路を有するリフロー装置において、搬送路間における温度干渉を防止する。
【解決手段】リフロー炉2は搬送路9内に基板Wを搬入する第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4とを備えることにより第1搬送路と第2搬送路とを有する。第1搬送コンベア3、第2搬送コンベア4は、リフロー炉2内において搬送方向に対して垂直方向内側に位置するように設けられた内側コンベア31、41と、内側コンベア31と略平行に設けられた外側コンベア32、42の2つのコンベアから構成されている。内側コンベア31は、搬送方向と略平行に搬入口7から搬送路9を通って搬出口8へ抜けるように水平に設けられたアルミ製のガイドレール31aを備え、ガイドレール31aに第1搬送路と第2搬送路と間の温度干渉を防止する遮蔽体5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリント配線基板のリフローを行うリフロー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品またはプリント配線基板に対して、予めはんだ組成物を供給しておき、リフロー炉の中に基板を搬送コンベアで搬送するリフロー装置が使用されている。リフロー装置は、基板を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアによって被加熱物としての基板が供給されるリフロー炉本体とを備えている。リフロー炉は、例えば、搬入口から搬出口に至る搬送経路に沿って、複数のゾーンに分割されており、これらの複数のゾーンがインライン状に配列されている。複数のゾーンは、その機能によって、加熱ゾーン、冷却ゾーンなどの役割を有する。
【0003】
加熱ゾーンのそれぞれは、上部炉体および下部炉体を有する。例えばゾーンの上部炉体から基板に対して熱風が吹きつけられ、下部炉体から基板に対して熱風が吹きつけられることによって、はんだ組成物内のはんだを溶融させて基板の電極と電子部品とがはんだ付けされる。リフロー装置では、被加熱物例えば基板の表面温度を所望の温度プロファイルにしたがって制御することによって、所望のはんだ付けを行うことができる。かかるリフロー装置は、非接触ではんだ付けを行うことができ、また、窒素ガス(N2 )等の不活性ガスの雰囲気においてはんだ付けを行うので、酸化を防止することができる。
【0004】
また、はんだ付けの効率を向上させるためにリフロー炉内に複数の搬送コンベアを並列に設け、各搬送コンベアで基板を同時に搬送してリフロー加熱するようにしたものがある。下記の特許文献1には、2つの搬送コンベアを並列に設け、搬送コンベアに基板を載せてリフロー加熱することによりはんだ付けを行うリフロー加熱方法が記載されている。
【0005】
特許文献1のリフロー加熱方法は、リフロー炉内に並列に設けた複数の搬送コンベアのうち、一方の搬送コンベアのみに基板を載せてリフロー加熱する場合に、リフロー炉内の温度プロファイルのずれが少なくなるように、一方の搬送コンベアに載せた基板と熱吸収特性が類似するダミー基板を他方の搬送コンベアに載せてはんだ付けを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009ッ200188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、複数の搬送経路を有するリフロー装置においては、一般的に各搬送経路に対応して複数の加熱手段が設けられている。したがって、複数の搬送経路に基板を載せてはんだ付けを行うと、各搬送経路間で温度干渉が起こり、温度プロファイルにずれが生じることによりはんだ付けの品質が低下するという問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の方法では、2つの搬送コンベアのうち、一方の搬送コンベアにのみ基板を載せる場合を想定しており、複数の搬送コンベアのすべてに基板を載せてはんだ付けを行う場合に対応するものではない。したがって、複数の搬送コンベアのそれぞれに基板を載置してはんだ付けを行う場合には、温度干渉が生じ、温度プロファイルにずれが生じてはんだ付けの品質が低下するという問題がある。また、はんだ付けをする必要がないダミー基板を必要とする点も問題である。
【0009】
したがって、この発明の目的は、複数の搬送経路を有し、それら搬送経路間における温度干渉を防ぐことができるリフロー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、この発明は、リフロー炉と、リフロー炉内に搬送方向に沿って並列に設けられた、被加熱体を搬送する複数の搬送手段と、リフロー炉内に設けられた被加熱体を加熱する加熱手段と、リフロー炉内を上記搬送方向に沿って遮蔽する遮蔽手段とからなるリフロー装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、複数の搬送コンベアを設け、はんだ付けの効率を向上させることができると同時に、搬送経路間における温度干渉を防ぎ、高品質なはんだ付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施の形態によるリフロー装置の概略を示す略線図である。
【図2】この発明の一実施の形態によるリフロー装置の外板を除いた概略的構成を示す略線図である。
【図3】搬送コンベアと遮蔽体の構成を示すリフロー炉の断面図である。
【図4】搬送コンベアと遮蔽体の構成を示すリフロー炉内の平面図である。
【図5】この発明に係るリフロー装置の遮蔽体の変形例を示すリフロー炉の断面図である。
【図6】この発明に係るリフロー装置の遮蔽体の変形例を示すリフロー炉の断面図である。
【図7】この発明に係るリフロー装置の遮蔽体の変形例を示すリフロー装置の外板を除いた概略的構成を示す略線図である。
【図8】この発明に係るリフロー装置の遮蔽体の変形例を示すリフロー装置の外板を除いた概略的構成を示す略線図である。
【図9】この発明に係るリフロー装置の搬送コンベアの変形例を示すリフロー炉の断面図である。
【図10】この発明に係るリフロー装置の搬送コンベアの変形例を示すリフロー炉の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明を実施の形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施の形態>
<2.変形例>
なお、以下に説明する一実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0014】
<1.第1の実施の形態>
「リフロー装置の構成」
図1は、この発明の一実施の形態によるはんだ付け装置の一例であるリフロー装置1の概略的構成を示す図である。リフロー装置1は、リフロー炉2と、第1搬送コンベア3、第2搬送コンベア4、遮蔽体5、外板6とを備える。
【0015】
リフロー炉2は、例えば、両面に表面実装用電子部品が搭載されたプリント配線基板(以下、基板Wと称する。)を上下から加熱し、加熱後に冷却するためのものである。搬送コンベアは、基板Wをリフロー炉2内に搬送するためものである。詳しくは後述するが、本実施の形態では、搬送コンベアとして、第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4の2つが設けられている。遮蔽体5は、搬送経路9の第1搬送コンベア3側と第2搬送コンベア4側を搬送方向に沿って遮蔽するためのものである。外板6は、全体を外側から覆うためのものである。
【0016】
図2は、図1に示すリフロー装置1の外板6を除く概略的構成を示す図である。第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4は、搬入口7から搬出口8に至る搬送経路9内に基板Wを搬入するように構成されている。基板Wは、搬入口7からリフロー炉2内に搬入された後、第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4により所定速度で矢印方向(図1および図2に向かって右から左方向)へ搬送され、最終的に搬出口8から取り出される。
【0017】
搬入口7および搬出口8のそれぞれには、リフロー炉2内の雰囲気ガスが外部に流出することを防止するガス流出制限部として、ガスシール機構10および11が設けられている。ガスシール機構10および11としては、例えばラビリンスシール機構を使用できる。
【0018】
搬入口7から搬出口8に至る搬送経路9に沿って、リフロー炉2が例えば9個のゾーンZ1からZ9に順次分割され、これらのゾーンZ1〜Z9がインライン状に配列されている。フラックス回収システム12が搬入口7側に設けられ、また、搬出口8側にもフラックス回収システム13および14が設けられている。搬入口7側から7個のゾーンZ1〜Z7が加熱ゾーンであり、搬出口8側の2個のゾーンZ8およびZ9が冷却ゾーンである。冷却ゾーンZ8およびZ9に関連して強制冷却ユニット15が設けられている。なお、ゾーン数は、一例であって、他の個数のゾーンを備えても良い。
【0019】
上述した複数のゾーンZ1〜Z9がリフロー時の温度プロファイルにしたがって基板Wの温度を制御する。加熱ゾーンZ1〜Z7のそれぞれは、それぞれ送風機を含む上部加熱ユニット16および下部加熱ユニット17を有する。例えばゾーンZ1の上部加熱ユニット16から搬送される基板Wに対して熱風が吹きつけられ、下部加熱ユニット17から搬送される基板Wに対して熱風が吹きつけられ、はんだが溶融される。なお、上部加熱ユニット16および下部加熱ユニット17は、各ゾーンにおいて第1搬送経路9a側と第2搬送経路側9bとにそれぞれ2つずつ設けてもよい。
【0020】
最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部R1であり、次の区間が温度がほぼ一定のプリヒート(予熱)部R2であり、次の区間が本加熱(リフロー)部R3であり、最後の区間が冷却部R4である。昇温部R1は、常温からプリヒート部R2(例えば150・C〜170・C)まで基板を加熱する期間である。プリヒート部R2は、等温加熱を行い、フラックスを活性化し、電極、はんだ粉の表面の酸化膜を除去し、また、プリント配線基板の加熱ムラをなくすための期間である。本加熱部R3(例えばピーク温度で220・C〜240・C)は、はんだが溶融し、接合が完成する期間である。本加熱部R3では、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。本加熱部R3は、プリヒート部R2を経過していても、温度上昇のムラが存在するので、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。最後の冷却部R4は、急速にプリント配線基板を冷却し、はんだ組成を形成する期間である。
【0021】
本実施の形態のリフロー装置1では、昇温部R1の温度制御を、主としてゾーンZ1およびZ2が受け持つ。プリヒート部R2の温度制御は、主としてゾーンZ3、Z4およびZ5が受け持つ。本加熱部R3の温度制御は、ゾーンZ6およびZ7が受け持つ。冷却部R4の温度制御は、ゾーンZ8およびゾーンZ9が受け持つ。
【0022】
図3は第1搬送コンベア3、第2搬送コンベア4および遮蔽体5の構成を示すリフロー炉2の断面図である。また、図4は、第1搬送コンベア3、第2搬送コンベア4および遮蔽体5の構成を示す平面図である。第1搬送コンベア3は、リフロー炉2内の搬送経路9に搬送方向に直交する方向の内側に位置するように設けられた内側コンベア31と、内側コンベア31と略平行に設けられた外側コンベア32の2つのコンベアから構成されている。
【0023】
内側コンベア31は、搬送方向と略平行に搬入口7から搬送経路9を通って搬出口8へ抜けるように水平に設けられたアルミ製のガイドレール(第1のガイド手段)31aと、ガイドレール31aのガイド部に挿入配置されたチェーン31bと、基板の搬送方向に所定の間隔を置いてチェーン31bから外側コンベア32方向へ突出するように設けられた複数のピン31cとから構成してある。
【0024】
外側コンベア32も内側コンベア31と同様に、ガイドレール(第2のガイド手段)32a、チェーン32bおよび複数のピン32cとから構成してある。外側コンベア32においては、複数のピン32cは内側コンベア31方向へ突出するように設けられている。よって、内側コンベア31のピン31cと外側コンベア32のピン32cとは対向状態となる。ピン31cとピン32cとの間に基板Wが載置される。
【0025】
内側コンベア31と外側コンベア32とは、所定の間隔を開けて対向するように設けられている。外側コンベア32は、搬送方向と直交する方向において設置位置が固定されている。また、内側コンベア31は、搬送方向と直交する方向において設置位置を変更可能に設けられている。これにより、図3Bに示すように、内側コンベア31の位置を変更することによって、内側コンベア3と外側コンベア32との距離、すなわち第1搬送コンベア3の幅が変更可能なように構成されている。これにより、第1搬送コンベア3は、様々な大きさの基板Wを搬送することができる。以上のようにして、第1搬送コンベア3が構成されている。
【0026】
第2搬送コンベア4も上述の第1搬送コンベア3と同様に内側コンベア41、外側コンベア42とから構成してある。内側コンベア41は第1搬送コンベア3の内側コンベア31と同様に、ガイドレール(第1のガイド手段)41a、チェーン41b、複数のピン41cとから構成してある。また、外側コンベア42も第1搬送コンベア3の外側コンベア32と同様に、ガイドレール(第2のガイド手段)42a、チェーン42b、複数のピン42cとから構成してある。
【0027】
そして、第2コンベア4も第1搬送コンベア3と同様に内側コンベア41の位置を変更することによって、幅が変更可能に構成されている。
【0028】
第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4は、搬送方向と直交方向に所定の間隔を開けて搬送方向と略平行に併設してある。これにより、搬送経路9は、第1搬送経路9aと第2搬送経路9bとに分割されることとなる。2つの搬送コンベアを有し、それぞれの搬送コンベアに基板を載置してはんだ付けを行うことにより、はんだ付けの効率を向上させることができる。
【0029】
遮蔽体5は、固定部5aおよび遮蔽部5bを有する長さ方向が長尺の断面略L字型の板状体として構成されている。そして、遮蔽体5は、遮蔽部5bがガイドレール31aの上面および下面から略垂直に起立するように、固定部5aをガイドレール31aの上面および下面に例えばボルトナット(図示せず。)などで固定することにより取り外し可能に設けられている。また、遮蔽体5は長尺に形成された長さ方向が搬送方向と略平行になるように設けられている。なお、遮蔽体5は、第1搬送経路9aと第2搬送経路9b間における温度干渉を抑制するものであるため、第1搬送コンベア3を構成する内側コンベア31と第2コンベア4を構成する内側コンベア41とに設けられる。遮蔽体5としてはステンレス(SUS)板、アルミ板、遠赤外線輻射塗料で塗装された板などを用いることができる。
【0030】
遮蔽体5は、遮蔽部5bの高さが搬送経路9の上方に位置する上部加熱ユニット16および搬送経路9の下方に位置する下部加熱ユニット17との間にわずかな空隙が形成されるように構成されている。遮蔽部5bの高さを上部加熱ユニット16および下部加熱ユニット17に接するように構成すると、内側コンベア31、41の位置を変更する場合に遮蔽体5の端が上部加熱ユニット16または下部加熱ユニット17に接触して、滑らかに内側コンベア31の位置を変更することが妨げられるからである。さらに、遮蔽体5が上部加熱ユニット16または下部加熱ユニット17に接触することにより、上部加熱ユニット16、下部加熱ユニット17、遮蔽体5が損傷するおそれもある。そこで、空隙が形成されるように遮蔽部5bの高さを構成することにより、内側コンベア31、41の滑らかな位置変更を可能とし、さらに損傷を防ぐことができる。
【0031】
なお、遮蔽体5は、上述のような断面略L字型に限られず、断面略T字型やI字型に構成して、ガイドレール31a、41aに固定してもよい。また、別部材としてではなく、ガイドレール31a、41aと一体成型することにより構成してもよい。
【0032】
上述のように、本実施の形態では搬送経路9の内側に位置する内側コンベア31、41の設置位置が変更可能に構成されているため、内側コンベア31、41の位置を変更することにより、遮蔽体5の位置も変更されることとなる。
【0033】
「リフロー装置の動作」
次に、上述のように構成されたリフロー装置1の動作について説明する。はんだ付けを行う場合、まず、はんだが印刷され、両面に表面実装用電子部品が搭載された基板Wを第1搬送コンベア3のピン31c、32cに載置する。また、同様にして、第2搬送コンベア4にも電子部品が搭載された基板Wを載置する。
【0034】
次に、第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4を起動することにより搬入口7から基板Wをリフロー炉2内に搬入する。次に、第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4が所定速度で矢印方向(図1に向かって左から右方向)へ基板を搬送していく。そして、基板W上のはんだが、リフロー炉2の加熱ゾーンを循環する加熱された雰囲気ガス(温風)によって所定の高温度に加熱融解される。さらに、冷却ゾーン内を循環する雰囲気ガス(冷却風)によって溶融半田が冷却固化することにより、電子部品が基板上にはんだ付けされる。はんだ付けがなされた基板Wは搬出口8から取り出される。
【0035】
この発明の実施の形態では、搬送コンベアを2つ備えているため、第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4のそれぞれに同一の種類の基板Wを載置することによって効率よくはんだ付けを行うことができる。また、第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4のそれぞれに熱吸収特性が異なる基板Wを載置してはんだ付けを行うことも可能である。さらに、この発明では、上述のように内側コンベア31、41の位置が搬送方向と直交する方向において変更可能に構成されている。これにより、内側コンベア31、41の位置を変更することにより第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4の幅を変更することができ、第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4のそれぞれに大きさの異なる基板Wを載置して、それらを同時にはんだ付けすることができる。
【0036】
ただし、第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4のにそれぞれ基板Wを載置してはんだ付けを行う場合には、第1搬送コンベア3側の第1搬送経路9aと第2搬送コンベア4側の第2搬送経路9b間で温度干渉が起こり、温度プロファイルにずれが生じてはんだ付けの品質が低下してしまうおそれがある。
【0037】
この発明は第1搬送経路9aと第2搬送経路9b間を搬送方向と平行に遮蔽する遮蔽体5を設けることにより、第1搬送経路9aと第2搬送経路9b間での雰囲気ガスの往来を抑制して温度干渉の発生を防ぐことができる。これにより、温度プロファイルを所望の状態に保ち、はんだ付けの品質が低下することを防止することができる。なお、上述のように遮蔽部5bの高さは上部加熱ユニット16と下部加熱ユニット17との間にわずかな空隙が形成されるように構成してある。しかし、わずかに空隙が存在しても、搬送経路の大部分を遮蔽することができていれば、温度プロファイルのずれを防止するには十分であると考えられる。
【0038】
この発明では、遮蔽体5は内側コンベア31、41を構成するガイドレール31a、41aに設けられているため、内側コンベア31、41の位置変更に伴って遮蔽体5の位置も変更されることになる。これにより、第1搬送コンベア3および第2搬送コンベア4の幅を変更して同時に大きさの異なる基板のはんだ付けを行っても、遮蔽体5により第1搬送経路9aと第2搬送経路9b間における雰囲気ガスの往来を抑制して温度干渉を抑制することができる。
【0039】
<2.変形例>
以下、この発明の変形例について説明する。まず、遮蔽体5の変形例について説明する。図5に示すように、ガイドレール31a、41aに対して斜めに構成してもよい。このように構成することにより、図5に示すように、上部加熱ユニット16及び下部加熱ユニット17からの温風が遮蔽体5に衝突して第1搬送経路9aの内側方向および第2搬送経路9bの内側方向に誘導される。これにより、リフロー炉2内の温度プロファイルをより均一な状態にすることができる。
【0040】
また、図6に示すように、遮蔽体5は板状に限らず、可撓性を有するカーテン状に構成してもよい。カーテン状の遮蔽体5は、耐熱性を有する合成樹脂を用いて構成するとよい。カーテン状の遮蔽体5をガイドレール31a、41aに取り付ける場合は、固定面18aと遮蔽体支持面18bとの二つの面を有する断面略L字型の取付け金具18を用いるとよい。取付け金具18の固定面18aをガイドレール31a、41aの上面および下面に例えばボルトナット(図示せず。)などで固定し、遮蔽体支持面18bにカーテン状の遮蔽体5を取り付ける。
【0041】
遮蔽体5をカーテン状とした場合、遮蔽体5は可撓性を有しているため、遮蔽体5の高さを上部加熱ユニット16と下部加熱ユニット17に接触する高さに構成することができる。すなわち、接触する高さに構成し、内側コンベア31、41を動かしてその位置を変更する際に遮蔽体7の先端が上部加熱ユニット16と下部加熱ユニット17に接触しても、遮蔽体5は撓曲するので、内側コンベア31、41の動作が妨げられることがない。これにより、遮蔽体6と上部加熱ユニット16と下部加熱ユニット17との間に空隙が生じず、第1搬送経路9a、第2搬送経路9b間における温度干渉をより抑制することができる。
【0042】
また、遮蔽体5の遮蔽部5bに開口部として、複数の孔やスリットを形成し、または、遮蔽体5自身をメッシュ状に形成して、雰囲気ガスの第1搬送経路9a、第2搬送経路9b間での通過率を調整するようにしてもよい。
【0043】
図7に示すように、遮蔽体5は、リフロー炉2の各ゾーン毎Z1〜Z9に分割して設けてもよい。また、遮蔽体5は全てのゾーンに設ける場合に限られない。図8に示すように、遮蔽体5を、昇温を目的とするゾーンZ1、Z2には設け、温度を維持するゾーンZ3〜Z5には設けず、本加熱を行うゾーンZ6、Z7、冷却を行うゾーンZ8、Z9には設ける、というように、選択的に遮蔽体5を設けてもよい。
【0044】
次に、搬送コンベアの変形例について説明する。図9に示すように、第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4とが1つの内側コンベア300を共有するようにしてもよい。この場合、共有される内側コンベア300の上下に遮蔽体5が設けられる。図9においては、外側コンベア32および42が搬送方向と直交する方向において設置位置が固定されている。内側コンベア300は、搬送方向と直交する方向において設置位置を可変することにより、第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4の幅が変更可能なように構成されている。なお、この変形例においては、第1搬送コンベア3の幅を広げるとそれに連動して第2搬送コンベア4の幅は狭まり、第1搬送コンベア3の幅を狭めると、それに連動して第2搬送コンベア4の幅は広がることとなる。
【0045】
また、図10に示すように、内側コンベア300の位置を固定して、外側コンベア32および42の位置を変更可能に構成することにより第1搬送コンベア3と第2搬送コンベア4の幅を変更できるようにしてもよい。
【0046】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、リフロー装置1に設ける搬送コンベアの数は2つに限られず、さらに多数の搬送コンベアを設けて、同時により多くの基板のはんだ付けを行うことができるようにしてもよい。
【0047】
また、搬送コンベアは搬送コンベアを構成する内側コンベア31と外側コンベア32はチェーンコンベアとして説明したが、チェーンコンベアに限られずベルトコンベアを用いてもよい。
【0048】
さらに、遮蔽体5を第1搬送コンベア3を構成する内側コンベア31と、第2搬送コンベア4を構成する内側コンベア31にそれぞれ設けたが、どちらか一方にのみ遮蔽体5を設ける構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・・・・・・リフロー装置
2・・・・・・・・リフロー炉
3・・・・・・・・第1搬送コンベア
4・・・・・・・・第2搬送コンベア
5・・・・・・・・遮蔽体
16・・・・・・・上部加熱ユニット
17・・・・・・・下部加熱ユニット
32a、42a・・ガイドレール
32b、42b・・チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフロー炉と、
該リフロー炉内に搬送方向に沿って並列に設けられた、被加熱体を搬送する複数の搬送手段と、
上記リフロー炉内に設けられた上記被加熱体を加熱する加熱手段と、
上記搬送手段間の温度干渉を抑制するための遮蔽手段と、
からなるリフロー装置。
【請求項2】
上記搬送手段は、第1のコンベアと、該第1のコンベアと平行に設けられた第2のコンベアとからなり、
上記第1のコンベアは、上記搬送方向と直交する方向において設置位置が可変に構成され、
上記第2のコンベアは、搬送方向と直交する方向において設置位置が固定され、
上記遮蔽手段は、設置位置が可変に構成された上記第1のコンベアに設けられた請求項1に記載のリフロー装置。
【請求項3】
上記第1のコンベアは、
搬送方向に沿って設けられた第1のチェーンまたはベルトと、
該第1のチェーンまたはベルトのガイドを行う第1のガイド手段とからなり、
上記第2のコンベアは、
上記第1のチェーンまたはベルトと平行に設けられた第2のチェーンまたはベルトと、 該第2のチェーンまたはベルトのガイドを行う第2のガイド手段とからなり、
上記遮蔽手段は、上記第1のガイド手段に設けられた請求項2に記載のリフロー装置。
【請求項4】
上記加熱手段は、上記搬送手段の上方および/または下方に位置するように設けられ、 上記遮蔽手段は、上記第1のガイド手段から上方および/または下方に起立するように設けられた板体であり、上記加熱手段との間に空隙が形成される高さに構成された請求項3に記載のリフロー装置。
【請求項5】
上記遮蔽手段は、上記第1のガイド手段に対して斜めに起立するように設けられた請求項4に記載のリフロー装置。
【請求項6】
上記遮蔽手段は、開口部を有する請求項4に記載のリフロー装置。
【請求項7】
上記加熱手段は、上記搬送手段の上方および/または下方に位置するように設けられ、 上記遮蔽手段は、上記第1のガイド手段から上方および/または下方に起立するように設けられたカーテン体であり、該カーテン体の高さは、該カーテン体の端部が上記加熱手段と接するように構成された請求項3に記載のリフロー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−119544(P2011−119544A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276845(P2009−276845)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】