説明

リブ材貼付装置およびリブ材貼付方法

【課題】 リブ材の粘着性が高くなってもリブ材の貼付作業性の低下を防ぐことができるリブ材貼付装置およびリブ材貼付方法を提供する。
【解決手段】 リブ材貼付装置1は、載置部72に載置された離型紙3を除去する際にまずエアーシリンダ91のシリンダチューブ内に空気を注入してロッドを後方から前方へ向けて斜め下方へ所定量移動させる。これによりチャック93が斜め下方へ所定量移動して両挟持部931、931が離型紙3の一端側を挟持した状態で斜め下方へ所定量移動する。これに伴い下側の挟持部931の当接部933がブラケット742の下方延出部742bに当接して移動テーブル本体741を離型紙3の剥離方向Cへ押していき、下方延出部742bがストッパー本体744に当たって移動テーブル本体741が停止することによりリブ材2から離型紙3が所定量剥離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車体の外板パネルに自動でリブ材を貼り付ける際に使用されるリブ材貼付装置およびリブ材貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車体の外板パネル(リヤフェンダーやドア等のアウタパネル)には、強度補強および防振対策のために車体組立工程でリブ材が貼り付けられている。
【0003】
このリブ材は熱硬化性樹脂によってシート状に形成されており、車体に下塗り塗料を塗装(電着塗装)し、乾燥させる時の熱で硬化するように構成されている。またこのリブ材は一方の面が粘着性を有しており、非使用時にはこの面全体に一回り大きく薄い離型紙が剥離可能な状態で貼付され、複数枚が積み重ねられた状態で工場のラインに納入・配置されている。
【0004】
そしてこのリブ材を外板パネルに貼付する際には、作業者がリブ材から離型紙を剥がして外板パネルの所定位置に貼付する。しかしながらこの作業は作業者の手作業によって行われることから作業効率が悪く、またリブ材の貼付位置にバラツキが生じるため外板パネルの品質が低下する。
【0005】
これらの問題を解決するために、リブ材を自動的に外板パネルへ貼付するリブ材貼付装置が提案されている(特許文献1参照)。このリブ材貼付装置は、リブ材(シート部材)を吸着保持する吸着パッドと、リブ材に貼付されている離型紙の一端部を挟むチャックと、吸着パッドを移動させるロボットとを備えている。
【0006】
このリブ材貼付装置で外板パネルにリブ材を貼り付けるには、まずリブ材の粘着性を有していない他方の面を吸着パッドで吸着保持した後、チャックで離型紙の一端部を挟む。次に、ロボットで吸着パッドを移動させてリブ材を離型紙から剥離し、外板パネルの所定位置に貼り付けている。
【特許文献1】特開2002−46183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、工場内の気温が高くなるとリブ材の粘着性も高くなるため、前述のリブ材貼付装置を使用すると、リブ材が離型紙から剥がれず逆に吸着パッドからリブ材が外れる場合がある。したがって、リブ材の貼付作業性が低下してしまう問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、リブ材の粘着性が高くなってもリブ材の貼付作業性の低下を防ぐことができるリブ材貼付装置およびリブ材貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1記載のリブ材貼付装置においては、シート状に形成されて粘着性を有する一方の面に一回り大きく薄い離型紙が貼付されたリブ材を被貼付部材に貼付するリブ材貼付装置において、前記リブ材から前記離型紙を除去する除去手段を備え、この除去手段は、前記離型紙の除去開始時に前記離型紙の方から剥離するように構成されたものとしている。
【0010】
かかる構成においては、リブ材の粘着性が高くなってもリブ材よりも薄い離型紙の方から剥離することでリブ材と離型紙とが離れるため、リブ材から離型紙を確実に除去することができる。
【0011】
また請求項2記載のリブ材貼付装置においては、前記除去手段は、前記離型紙が載置されるとともに、少なくとも前記離型紙の剥離が開始される側が前記離型紙の剥離方向とその逆方向とに移動自在に構成された載置部と、この載置部に、前記離型紙を、前記リブ材が貼付されていない非貼付部の少なくとも一端側がはみ出るように載置させる載置手段と、前記載置部に前記離型紙が載置された状態で、少なくとも前記リブ材の一端側の他方の面を解除可能に押さえる押さえ手段と、この押さえ手段が少なくとも前記リブ材の一端側の他方の面を押さえた状態で、前記非貼付部の一端側を挟持して前記離型紙を所定量剥離する第一剥離手段と、前記離型紙が所定量剥離された状態で前記リブ材または前記離型紙のいずれか一方を完全に剥離する第二剥離手段とを備えたものとしている。
【0012】
かかる構成において離型紙の除去開始時には、押さえ手段により載置部に載置された離型紙の浮き上がりが抑えられるため、離型紙を容易に剥離することができる。
【0013】
また請求項3記載のリブ材貼付装置においては、前記押さえ手段は、押さえ時に前記リブ材の他方の面に刺さるように形成されたものとしている。
【0014】
かかる構成においては、押さえ手段による離型紙の押さえ力が増して離型紙の浮き上がりがさらに抑えられるため、離型紙の除去開始時に離型紙をさらに容易に剥離することができる。
【0015】
また請求項4記載のリブ材貼付装置においては、前記離型紙が除去された前記リブ材の一方の面を前記被貼付部材に圧着させる圧着手段を備え、この圧着手段は、前記リブ材の他方の面に圧接する圧接面が、前記リブ材が貼付される被貼付部材の被貼付面の形状に合わせて変形可能に形成されたものとしている。
【0016】
かかる構成においては、リブ材を被貼付部材の被貼付面に合わせて圧着させることが可能となるため、被貼付面の形状に関わらずリブ材を被貼付面に隙間無く貼付することができる。
【0017】
また請求項5記載のリブ材貼付方法においては、シート状に形成されて粘着性を有する一方の面に一回り大きく薄い離型紙が貼付されたリブ材を被貼付部材に貼付するリブ材貼付方法において、前記リブ材から前記離型紙を除去する除去工程を備え、この除去工程は、前記離型紙の除去開始時に前記離型紙の方から剥離を行うものとしている。
【0018】
かかる構成においては、リブ材の粘着性が高くなってもリブ材よりも薄い離型紙の方から剥離することでリブ材と離型紙とが離れるため、リブ材から離型紙を確実に除去することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明の請求項1記載のリブ材貼付装置においては、リブ材の粘着性が高くなってもリブ材よりも薄い離型紙の方から剥離することでリブ材と離型紙とが離れるため、リブ材から離型紙を確実に除去することができる。よって、リブ材の貼付作業性の低下を防ぐことができる。
【0020】
また請求項2記載のリブ材貼付装置においては、離型紙の除去開始時には、押さえ手段により載置部に載置された離型紙の浮き上がりが抑えられるため、離型紙を容易に剥離することができる。よって、リブ材の貼付作業効率を高めることができる。
【0021】
また請求項3記載のリブ材貼付装置においては、押さえ手段による離型紙の押さえ力が増して離型紙の浮き上がりがさらに抑えられるため、離型紙の除去開始時に離型紙をさらに容易に剥離することができる。よって、リブ材の貼付作業効率をさらに高めることができる。
【0022】
また請求項4記載のリブ材貼付装置においては、リブ材を被貼付部材の被貼付面に合わせて圧着させることが可能となるため、被貼付面の形状に関わらずリブ材を被貼付面に隙間無く貼付することができる。よって、多種の被貼付部材に対する貼付性能を高めることができる。
【0023】
また請求項5記載のリブ材貼付方法においては、リブ材の粘着性が高くなってもリブ材よりも薄い離型紙の方から剥離することでリブ材と離型紙とが離れるため、リブ材から離型紙を確実に除去することができる。よって、リブ材の貼付作業性の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施の形態を示すリブ材貼付装置1の内部を示す左側面図である。このリブ材貼付装置1は、リブ材2を車体の外板パネル(被貼付部材)に貼り付ける装置である。
【0026】
リブ材2は図2に示すように熱硬化性樹脂によりシート状に形成されており、車体に下塗り塗料を塗装(電着塗装)し、乾燥させる時の熱で硬化するように構成されている。
【0027】
またこのリブ材2は一方の面21(図2で裏側の面)が粘着性を有しており、他方の面(図2で表側の面)22が非粘着性を有している。そして非使用時では一方の面21に離型紙3が貼付されており、複数枚が積み重ねられた状態でラインに納入・配置されている。
【0028】
また離型紙3は、リブ材2よりも一回り大きく、かつ薄く形成されており、リブ材の一方の面21に剥離可能な状態で貼付されている。
【0029】
そしてリブ材貼付装置1は、工場のラインに設けられたロボット4(図3参照)と、剥離ユニット7(図1参照)と、両機器4、7の動作を制御する図外の制御装置とを備えており、両機器4、7は本発明の除去手段を構成している。
【0030】
またロボット4は本発明の除去手段において載置手段と第二剥離手段を構成しており、ロボット本体(図示せず)と、図3に示すようにロボット本体にそれぞれ多方向へ可動可能に取り付けられたロボットアーム4aと、ロボットアーム4a先端部の手首部4bに取り付けられたロボットハンド42を備えている。
【0031】
このロボットハンド42は図3に示すように左右に長く形成されており、ロボットハンド42の上面には複数のエアーシリンダ41が先端を下に向けて取り付けられている。
【0032】
各エアーシリンダ41には接続管(図示せず)を介してエアーシリンダ41内に空気を注入またはエアーシリンダ41内の空気を排出させる図外の空気注入排出装置が接続されている。
【0033】
また各エアーシリンダ41の先端部にはバキューム5が取り付けられている。このバキューム5はエアーシリンダ41が上下に伸縮するのに伴い上下に移動するように構成されており、バキューム5の先端部には下降した際にリブ材2の他方の面22に当接される吸着パッド51が設けられている。
【0034】
またこのバキューム5は接続管(図示せず)を介して吸引装置(図示せず)に接続されている。そしてバキューム5は、吸着パッド51をリブ材2の他方の面22に当接した状態で、吸引装置によって内部の空気を吸引することによりバキューム5内部を負圧にしてリブ材2を吸着保持するように構成されている。
【0035】
一方、ロボットハンド42の下側にはLMガイド420が設けられている。このLMガイド420は、ロボットハンド42の下側に固定されたスライドレール421と、スライドレール421にスライド自在に設けられたスライド部422とから構成されている。
【0036】
スライドレール421はロボットハンド42の長さ方向Xに延在して形成されている。一方、スライド部422には、ロボットハンド42に設けられた駆動部(図示せず)が接続されており、この駆動部が作動することによりロボットハンド42の長さ方向Xに移動するように構成されている。
【0037】
またスライド部422の底面にはエアーシリンダ410が先端を下側に向けて設けられている。このエアーシリンダ410には接続管(図示せず)を介してエアーシリンダ410内に空気を注入またはエアーシリンダ410内の空気を排出させる図外の空気注入排出装置が接続されている。
【0038】
またこのエアーシリンダ410の先端部には本発明の圧着手段であるブラシ6が取り付けられている。このブラシ6は上下に長く形成されており、一端部61がエアーシリンダ410の先端部に取り付けられている。
【0039】
そして図4に示すように、ブラシ6は、他端部62で、離型紙3が除去されたリブ材2の一方の面21を外板パネルに圧着させており、この他端部62はリブ材2の他方の面22に圧接する圧接面63が外板パネル10の被貼付面11の形状に応じて変形可能に形成されている。
【0040】
一方、剥離ユニット7は、図1に示すように前後に離間してラインに設けられた一対の支持体71、71(一方のみ図示)を中心にして構成されており、各支持体71は、それぞれ左右に離間してラインに立設した一対の支持部材711、711(右側のみ図示)から構成されている。
【0041】
また両支持体71、71間には離型紙3を載置させる本発明の載置部72が設けられている。この載置部72は両支持体71、71の並び方向Xに延在して形成されているとともに、離型紙3が中心に合わせて載置された際に、リブ材2が貼付されていない非貼付部31の両端側311、311(図2参照)が両端からはみ出るように長さが設定されている。
【0042】
またこの載置部72は、両支持体71、71を連結して設けられた固定テーブル73と、一方の支持体71内に固定テーブル73と同じ高さ位置で前後に並んで配置され、前後に移動自在に設けられた移動テーブル74とを備えている。
【0043】
固定テーブル73は、両支持体71、71の支持部材711、711の対向側上部にそれぞれ両端部が固定された固定テーブル本体731と、位置決め装置732(図5参照)とを備えている。
【0044】
固定テーブル本体731は、図5にも示すように離型紙3に合わせて前後に長く形成されているとともに、固定テーブル本体731上に離型紙3が載置されるように形成されている。
【0045】
一方、位置決め装置732は、固定テーブル本体731上で幅方向Yに相対向して設けられた一対の固定ブロック732aおよび移動ブロック732bと、移動ブロック732bの外側に配置された複数のエアーシリンダ732cとから構成されている。
【0046】
固定ブロック732aと移動ブロック732bは、固定テーブル本体731の長さ方向Xに沿って延在して形成されている。そして両ブロック732a、732bはその間に離型紙3が載置されるように所定の間隔をあけて配置されており、固定ブロック732aは固定テーブル本体731上で固定され、移動ブロック732bは固定テーブル本体731上で固定テーブル本体731の幅方向Yに移動可能に設けられている。
【0047】
一方、エアーシリンダ732cは、先端を移動ブロック732bの外側面に当接した状態で配置されている。そしてこれらのエアーシリンダ732cには、接続管(図示せず)を介して各エアーシリンダ732c内に空気を注入またはエアーシリンダ732c内の空気を排出させる図外の空気注入排出装置が接続されている。
【0048】
そしてこの位置決め装置732は、両ブロック732a、732b間に通されて載置部72に載置された離型紙3に対し、エアーシリンダ732cを伸ばして移動ブロック732bを固定ブロック732a側へ移動させて離型紙3の左右側を両ブロック732a、732bで挟むことにより、載置された離型紙3を位置決めするように構成されている。
【0049】
一方、移動テーブル74は、一方の支持体71の両支持部材711、711にLMガイド(図示せず)を介して前後方向X(離型紙3の剥離方向とその逆方向)に移動自在に支持されて離型紙3が載置される移動テーブル本体741と、移動テーブル本体741の底面741aに取り付けられたブラケット742と、ブラケット742に取り付けられたストッパー743とから構成されている。
【0050】
前記LMガイドは、両支持部材711、711に対して前後方向Xに延在して固定された左右一対のスライドレールと、両スライドレールにそれぞれ前後方向Xスライド自在に設けられた左右一対のスライド部とから構成されており、この一対のスライド部に移動テーブル本体741の左右側が固定されている。
【0051】
またブラケット742は支持体71の中間側へ向いた逆L字状に形成されており、移動テーブル本体741の前後方向Xに延在して底面741aに固定された固定部742aと、固定部742aの内端から下方へ延出した下方延出部742bとから構成されている。
【0052】
一方、ストッパー743は、ブラケット742の固定部742aに前後一端側が固定されたストッパー本体744を中心にして構成されている。このストッパー本体744はテーブル本体741の前後方向Xに延在して支持体71の中間側へ向いた略L字状に形成されている。またストッパー本体744の前後両端側にはピン745、746が設けられており、両ピン745、746にはスプリング747が繋がれている。
【0053】
また、両支持体71、71内には、本発明の押さえ手段である一対のクランプ8、8(図1では一方のみ図示)が設けられている。
【0054】
このクランプ8は、基端側が固定部材712を介して両支持部材711、711に固定されたエアーシリンダ81と、エアーシリンダ81の先端側に上下に回動自在に支持されてリブ材2の一端側23または他端側23の他方の面22(図2参照)を押さえるクランプ本体82とを備えている。
【0055】
エアーシリンダ81は、基端側を下にして対向する支持体71へ向けて斜めに配置されており、固定部材712に固定されたシリンダチューブ811と、シリンダチューブ811内でスライド自在に納められたピストン(図示せず)と、このピストンに基端側が取り付けられて先端側がシリンダチューブ811から外部へ抜出されたロッド812とを備えている。
【0056】
シリンダチューブ811には接続管(図示せず)を介してシリンダチューブ811内に空気を注入またはシリンダチューブ811内の空気を排出させる図外の空気注入排出装置が接続されている。
【0057】
一方、クランプ本体82はコ字型に形成されており、支持体71の前後方向に延在した左右一対の支持部821、821と、両支持部821、821の一端側を連結して支持体71の左右方向に延在した押さえ部822とから構成されている。
【0058】
支持部821は、中間部821aが両支持部材711、711にそれぞれ上下に回動自在に支持されており、支持部821の他端側はロッド812の先端部に上下に回動自在に支持されている。
【0059】
一方、押さえ部822は、押さえ時にリブ材2の他方の面22に当接する先端部822aが、この面22に刺さるように剣山状に形成されている。
【0060】
そしてクランプ本体82は、非使用時には押さえ部822が上側に位置するように設置されており、ロッド812が前記ピストンを介してシリンダチューブ811内を前後に移動することにより、支持部821の中間部821aを中心にして移動テーブル74側で上下に回動するように構成されている。
【0061】
また一方の支持体71内においてクランプ8よりも外側には、リブ材2から離型紙3を剥離する本発明の第一剥離手段である剥離装置9が設けられている。
【0062】
この剥離装置9は、基端側が固定部材713を介して支持体71に固定されたエアーシリンダ91と、エアーシリンダ91の先端側に固定されて支持体71にスライド自在に支持されたスライド部92と、スライド部92にブラケット94を介して固定されたチャック93とを備えている。
【0063】
エアーシリンダ91は、前記エアーシリンダ92よりも外側で、基端側を下にして対向する支持体71へ向けて斜めに配置されており、固定部材713に固定されたシリンダチューブ911と、シリンダチューブ911内でスライド自在に納められたピストン(図示せず)と、このピストンに基端側が取り付けられて先端側がシリンダチューブ911から外部へ抜出されたロッド912とを備えている。
【0064】
シリンダチューブ911には接続管(図示せず)を介してシリンダチューブ911内に空気を注入またはシリンダチューブ911内の空気を排出させる図外の前記空気注入排出装置が接続されている。
【0065】
またスライド部92は上方が開口したコ字型に形成されており、シリンダチューブ911と同じ向きで斜めに配置されている。
【0066】
またこのスライド部92は、底部921がエアーシリンダ91のロッド912の先端部に固定された状態で左右側壁部921、921(左側壁部921のみ図示)がそれぞれ支持部材711、711にスライド自在に取り付けられている。 そしてロッド912が前記ピストンを介してシリンダチューブ911内を前後に移動することにより、スライド部92を介してチャック93が斜め上下方向に移動するように構成されている。
【0067】
一方、チャック93は、離型紙3の非貼付部31の一端側312を挟持する上下一対の挟持部931、931と、両挟持部931、931を駆動させる駆動部932とを備えている。
【0068】
両挟持部931、931は駆動部932に上下に回動可能に支持されており、下側の挟持部931の先端部には当接部933が設けられている。この当接部933は、チャック93を斜め下方へ移動させた際に移動テーブル74のブラケット742の下方延出部742bに当接するように設置位置が設定されている。
【0069】
一方、駆動部932はブラケット94を介してスライド部92の底部921に固定されている。そしてこの駆動部932は、両挟持部931、931を閉方向に駆動させて離型紙3の非貼付部31の一端側312を挟持するとともに、両挟持部931、931を開方向に駆動させて一端側312の挟持を解除するように構成されている。
【0070】
そして前記制御装置は、それぞれケーブルを介して前記ロボット本体、前記スライド部422の前記駆動部、前記吸引装置、前記空気注入排出装置、チャック93の駆動部92に接続されている。またこの制御装置には制御装置を起動させる起動スイッチが設けられているとともに本発明のリブ材2の貼付プログラムが記憶されており、このプログラムに基づいて各機器の動作を制御するように構成されている。
【0071】
かかる構成において、リブ材貼付装置1でリブ材2を外板パネル10に貼付する際には制御装置の起動スイッチをONにすると、リブ材2の貼付プログラムが起動する。
【0072】
最初にリブ材2から離型紙3を除去する除去工程を行う。この除去工程は、まずロボット4に取り付けたロボットハンド42を動かしてライン上に積み重ねられている複数のリブ材2の上方に位置させる。
【0073】
次に、エアーシリンダ41を伸ばしてバキューム5を下降させ、このバキューム5を一番上にあるリブ材2に当接させた後、吸引装置を作動させることによりバキューム5内を負圧状態にしてこのリブ材2を吸着保持する。
【0074】
次にこの状態でロボットハンド42を動かし、離型紙3の非貼付部31の両端側311がはみ出るようにリブ材2を載置部72に載置させる。
【0075】
次に吸引装置を停止させてバキューム5内の負圧状態を解除することによりリブ材2の吸着保持状態を解除した後、位置決め装置732により載置部72に載置された離型紙3の位置決めを行う。この結果、離型紙3は非貼付部31の両端側311、311がはみ出た状態で載置部72上に固定される(図1および図5参照)。
【0076】
次に空気注入排出装置からクランプ8のエアーシリンダ81のシリンダチューブ811内に空気を注入し、ピストンを介してロッド812を前方から後方に向かって斜め上方A(図1参照)に所定量移動させる。
【0077】
これにより両クランプ本体82、82が、前方側(載置部72側)下方へ所定量回動し、両押さえ部822、822がリブ材2の両端側23、23の他方の面22を押さえる(図6片方側参照)。
【0078】
次にチャック93の駆動部932を作動させ、上下一対の挟持部931、931で離型紙3の非貼付部31の一端側312を挟持する。そしてこの状態で、ロボットハンド42のバキューム5でリブ材2の他方の面22を再度吸着保持する(図7参照)。
【0079】
次に空気注入排出装置から剥離装置9のエアーシリンダ91のシリンダチューブ911内に空気を注入し、ピストンを介してロッド912を後方から前方へ向けて斜め下方Bへ所定量移動させる。
【0080】
これにより、図7から図9にかけて示すようにスライド部92を介してチャック93が斜め下方Bへ所定量移動し、両挟持部931、931が、離型紙3の非貼付部31の一端側312を挟持した状態で斜め下方Bへ所定量移動する。
【0081】
この両挟持部931、931の移動に伴い、図8に示すように下側の挟持部931の当接部933が、移動テーブル74のブラケット742の下方延出部742bに当接して移動テーブル本体741を離型紙3の剥離方向C(前方向)へ押すことによりリブ材2から離型紙3が一端側311の方から剥離され始める。
【0082】
そして前記当接部933は、下方延出部742bを介して移動テーブル本体741を剥離方向Cへさらに押していき、図9に示すように下方延出部742bがストッパー本体744に当たって移動テーブル本体741が停止することによりリブ材2から離型紙3が所定量剥離される。
【0083】
次に空気注入排出装置によりクランプ8のエアーシリンダ81のシリンダチューブ811内から空気を排出し、ピストンを介してロッド812を後方から前方へ斜め下方B(図9参照)へ元の位置まで移動させる。
【0084】
これにより両クランプ本体82、82が後方側(載置部72と反対側)に上方へ所定量回動して両押さえ部822、822がリブ材2から離れ、リブ材2の押さえ状態が解除される(図10参照)。
【0085】
そして、図11に示すように、チャック93の両挟持部931、931が離型紙3を挟持している状態、かつバキューム5がリブ材2を吸着保持した状態で、ロボットハンド42を剥離ユニット7の前方から後方へ斜め上方Aへ移動させることによりリブ材2を斜め上方Aへ移動させ、リブ材2から離型紙3を完全に剥離する。
【0086】
そして両挟持部931、931に挟持されている離型紙3は、両挟持部931、931を開いて下へ落とすか、若しくは図示しない別のバキューム5で吸着して取り除き、除去工程を終了する。
【0087】
次に離型紙3が除去されたリブ材2を被貼付部材である外板パネル10に貼付する貼付工程を行う。
【0088】
この貼付工程は、まずロボット4に取り付けたロボットハンド42を移動させてリブ材2を外板パネル10の被貼付面11に置く。
【0089】
次に吸入装置を作動させてバキューム5内の負圧状態を解除することによりリブ材2の吸着保持状態を解除した後、図12に示すようにエアーシリンダ410を伸ばしてブラシ6の他端部62をリブ材2の一端に斜めにした状態で押しつける。
【0090】
そしてこの状態で、駆動部を作動させてLMガイド420のスライド部422をスライドレール421の他端側(図12中の矢印方向側)へ動かしてブラシ6を他端側へ移動させることにより、リブ材2を外板パネル10に圧着させて貼付し、貼付工程を終了する。
【0091】
本実施の形態のリブ材貼付装置1およびリブ材貼付方法においては、リブ材2の粘着性が高くなってもリブ材2よりも薄い離型紙の方から剥離することでリブ材2と離型紙3とが離れるため、リブ材2から離型紙3を確実に除去することができる。よって、リブ材2の貼付作業性の低下を防ぐことができる。
【0092】
また本実施の形態のリブ材貼付装置1では、リブ材2または離型紙3の剥離時に離型紙3が載置部72の位置決め装置732で位置決めされて固定されているため、リブ材2と離型紙3とを容易に離すことができる。よって、リブ材2の貼付作業効率を高めることができる。
【0093】
また本実施の形態のリブ材貼付装置1では、離型紙3の除去開始時に押さえ手段である一対のクランプ8、8がリブ材2を押さえることで離型紙3の浮き上がりが抑えられるため、離型紙3を容易に剥離することができる。よって、リブ材2の貼付作業効率をさらに高めることができる。
【0094】
なお本実施の形態のリブ材貼付装置1では、リブ材2の両端側23、23を押さえるクランプ8、8を備えたものとしたが、少なくとも離型紙3が剥離される側にあるリブ材2の一端側23を押さえるクランプ8を備えていれば良い。
【0095】
さらに本実施の形態のリブ材貼付装置1では、クランプ8の先端部が822aが剣山状に形成されていることから、クランプ8による離型紙3の押さえ力が増すため、離型紙3の浮き上がりがさらに抑えられ、離型紙3の除去開始時に離型紙3をさらに容易に剥離することができる。よって、リブ材2の貼付作業効率をさらに高めることができる。
【0096】
また本実施の形態のリブ材貼付装置1では、図4に示すようにブラシ6の圧接面63が外板パネル10の被貼付面11の形状に合わせて変形可能に形成されていることから、被貼付面11が湾曲していてもリブ材を被貼付面11に合わせて圧着させることが可能となる。このため、被貼付面11の形状に関わらずリブ材2を被貼付面11に隙間無く貼付することができる。よって、多種の外板パネル10に対する貼付性能を高めることができる。
【0097】
なお本実施の形態では圧着手段としてブラシ6を使用したが、リブ材2の他方の面22に圧接する圧接面が、外板パネル10の被貼付面11の形状に合わせて変形可能に形成されるものであればこのブラシ6に限定されない。
【0098】
なお本実施の形態では、離型紙3の除去開始時に離型紙3を所定量だけ剥離するように、載置部72において離型紙3の剥離される側74を離型紙3の剥離方向Cとその逆方向とに移動自在に構成したが、載置部72全体を剥離方向Cとその逆方向とに移動自在に構成しても良く、この場合には剥離装置9だけで離型紙3をリブ材2から完全に剥離するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施の形態を示すリブ材貼付装置の概略を示す左側面図である。
【図2】離型紙が貼付されたリブ材の平面図である。
【図3】ロボットの先端部の要部を示す正面図である。
【図4】リブ材を圧着している状態を示す図である。
【図5】載置部の固定テーブル側を示す平面図である。
【図6】クランプがリブ材を押さえた状態を示す図である。
【図7】チャックが離型紙を挟持した状態を示す図である。
【図8】チャックを移動させて離型紙の剥離を開始した状態を示す図である。
【図9】離型紙を所定量まで剥離した状態を示す図である。
【図10】リブ材からクランプを離した状態を示す図である。
【図11】リブ材を移動させて離型紙を完全に剥離していく状態を示す図である。
【図12】リブ材の圧着開始を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 リブ材貼付装置
2 リブ材
3 離型紙
4 ロボット
6 ブラシ
7 剥離ユニット
9 剥離装置
10 外板パネル
11 被貼付面
31 非貼付部
63 圧接面
72 載置部
C 剥離方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成されて粘着性を有する一方の面に一回り大きく薄い離型紙が貼付されたリブ材を被貼付部材に貼付するリブ材貼付装置において、
前記リブ材から前記離型紙を除去する除去手段を備え、この除去手段は、前記離型紙の除去開始時に前記離型紙の方から剥離するように構成されたことを特徴とするリブ材貼付装置。
【請求項2】
前記除去手段は、
前記離型紙が載置されるとともに、少なくとも前記離型紙の剥離が開始される側が前記離型紙の剥離方向とその逆方向とに移動自在に構成された載置部と、
この載置部に、前記離型紙を、前記リブ材が貼付されていない非貼付部の少なくとも一端側がはみ出るように載置させる載置手段と、
前記載置部に前記離型紙が載置された状態で、少なくとも前記リブ材の一端側の他方の面を解除可能に押さえる押さえ手段と、
この押さえ手段が少なくとも前記リブ材の一端側の他方の面を押さえた状態で、前記非貼付部の一端側を挟持して前記離型紙を所定量剥離する第一剥離手段と、
前記離型紙が所定量剥離された状態で前記リブ材または前記離型紙のいずれか一方を完全に剥離する第二剥離手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のリブ材貼付装置。
【請求項3】
前記押さえ手段は、押さえ時に前記リブ材の他方の面に刺さるように形成されたことを特徴とする請求項2記載のリブ材の貼付装置。
【請求項4】
前記離型紙が除去された前記リブ材の一方の面を前記被貼付部材に圧着させる圧着手段を備え、この圧着手段は、前記リブ材の他方の面に圧接する圧接面が、前記リブ材が貼付される被貼付部材の被貼付面の形状に合わせて変形可能に形成されたことを特徴とする請求項1、2または3記載のリブ材貼付装置。
【請求項5】
シート状に形成されて粘着性を有する一方の面に一回り大きく薄い離型紙が貼付されたリブ材を被貼付部材に貼付するリブ材貼付方法において、
前記リブ材から前記離型紙を除去する除去工程を備え、この除去工程は、前記離型紙の除去開始時に前記離型紙の方から剥離を行うことを特徴とするリブ材貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−130767(P2006−130767A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321932(P2004−321932)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】