説明

リペア用具、及び電子部品のリペア装置

【課題】 電子部品取外しの際の基板と電子部品との接合部における加熱温度を均一化す
ることができ、基板や電子部品に損傷を与えることなく電子部品の取り換えや修理等を行
うことができるリペア用具を提供すること。
【解決手段】 基板1に搭載されたBGAパッケージ2をリペアする装置に装着され、B
GAパッケージ2に熱風を吹き付けるためのリペア用具10であって、BGAパッケージ
2を収容するための開口部12が底面に形成された筒状本体11を備え、筒状本体11の
開口部12が、開口部12にBGAパッケージ2を収容させた状態で、熱風を筒状本体1
1の側壁面14内側からのみBGAパッケージ2の下方に流入させ、BGAパッケージ2と基板1との間を経由させて、側壁面14に対向する側壁面13下から外部へ排出させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリペア用具、及び電子部品のリペア装置に関し、より詳細には基板上に実装さ
れた電子部品(BGA(ボール・グリット・アレイ)パッケージなど)の取り換えや修理
等のリペアを行う場合に用いられるリペア用具、及び電子部品のリペア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のこの種の電子部品のリペア装置の一例として、下記の特許文献1に記載
されたリペア電子部品の局部加熱装置を模式的に示した部分断面側面図である。
局部加熱装置51は、リペア電子部品であるBGAパッケージ52の上部に被せてプリ
ント配線基板53の平面部に密接させてシールドするシールドケース54と、シールドケ
ース54内部に配設され、熱風を噴き出すノズル部55を有する局部加熱ヒータ56と、
シールドケース54上部に配設され、シールドケース54をプリント配線基板53の平面
部に押圧して密接させるためのスプリング57及びスプリング支持板58とを含んで構成
されており、局部加熱ヒータ56のノズル部55から噴き出した熱風を、シールドケース
54内を循環させた後、シールドケース54の上部に設けられている排気穴59から上方
に排出させるようになっている。
【0003】
図7は、従来のこの種の電子部品のリペア装置の別の一例として、下記の特許文献2に
記載された電子部品交換用ノズル装置を模式的に示した部分断面側面図である。
電子部品交換用ノズル装置61は、交換対象のBGAパッケージ62を収容可能な空間
部64a、その開口端縁に排出口となる複数の切り欠き64b、及び回路基板63の部品
搭載面63aに着座させる着座部64cを有し、BGAパッケージ62と回路基板63と
の接合部を加熱・溶融するための熱風を供給する熱風供給用ノズル64と、熱風供給用ノ
ズル64の空間部64a内でBGAパッケージ62を吸着可能な部品吸着用ノズル65と
を備えている。熱風供給時には、回路基板63上における熱風供給用ノズル64内のBG
Aパッケージ62に対する熱風が切り欠き64bから熱風供給用ノズル64内に滞留する
ことなく排気されるようになっている。
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1記載の装置では、局部加熱ヒータ56のノズル部5
5から噴き出された熱風は、方形状のBGAパッケージ52の四辺各方向からBGAパッ
ケージ52の下方に略同圧力で吹き込まれるようになっているので、BGAパッケージ5
2の底面に配列されているはんだバンプのうち、BGAパッケージ52中央付近のはんだ
バンプに対する熱風の吹き付け量が少なく、はんだバンプの温度が上昇しにくい構造とな
っていた。
【0005】
また、上記した特許文献2記載の装置では、熱風供給用ノズル64に供給された熱風が
、BGAパッケージ62の四辺各側面に対向して位置する切り欠き64bから外部へ排出
されるようになっているので、BGAパッケージ62と回路基板63との間に熱風がほと
んど流れ込まず、すなわち、BGAパッケージ62の底面に配列されているはんだバンプ
に熱風が十分に吹き付けられず、特にパッケージ中央付近のはんだバンプの温度が上昇し
にくい構造となっていた。
【0006】
このため、BGAパッケージ52、62の外縁付近と中心付近とのはんだバンプに温度
差が生じ、すなわち、BGAパッケージ52、62外縁近傍のはんだバンプは溶融してい
るが、BGAパッケージ52、62中央のはんだバンプは加熱不足により十分に溶融して
いない状態となり、この状態でBGAパッケージ52、62を基板から取り外そうとする
と、BGAパッケージ52、62の中央付近の基板上の配線等が損傷してしまい、その基
板が使用できなくなってしまう危険性があった。
【0007】
また、BGAパッケージ52、62の中心付近のはんだバンプを完全に溶かすためには
、熱風の温度を高めたり、風量を上げたり、熱風の供給時間を長くすればよいが、このよ
うな方法を採用するとBGAパッケージ52、62の周縁部や基板等に余分な熱が掛かり
、基板や部品を熱損傷させる危険性があった。また、このようなBGAパッケージ52、
62のはんだバンプ(接合部)における加熱温度分布が不均一となる問題は、パッケージ
サイズが大きくなるほど顕著に現れるという問題があった。
【特許文献1】特開平11−330688号公報
【特許文献2】特開平11−312865号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、電子部品取外しの際の基板と電子部品
との接合部における加熱温度を均一化することができ、基板や電子部品に損傷を与えるこ
となく電子部品の取り換えや修理等を行うことができるリペア用具、及び電子部品のリペ
ア装置を提供することを目的としている。
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係るリペア用具(1)は、基板に搭載された電子部
品をリペアする装置に装着され、前記電子部品に熱風を吹き付けるためのリペア用具であ
って、前記電子部品を収容するための開口部が底面に形成された筒状本体を備え、該筒状本体の前記開口部が、該開口部に前記電子部品を収容させた状態で、前記熱風を前記筒状本体の一側壁面内側からのみ前記電子部品の下方に流入させ、該電子部品と前記基板との間を経由させて、前記一側壁面に対向する第2の側壁面下から外部へ排出させるように構成されていることを特徴としている。
【0010】
上記リペア用具(1)によれば、前記筒状本体の前記開口部が、該開口部に前記電子部
品を収容させた状態で、前記熱風を前記筒状本体の一側壁面内側からのみ前記電子部品の
下方に流入させ、該電子部品と前記基板との間を経由させて、前記一側壁面に対向する第
2の側壁面下から外部へ排出させるように構成されているので、前記電子部品をリペアす
る際に、前記電子部品と前記基板との接合部に前記熱風を一定の方向で流し込むことがで
き、前記接合部の加熱を効率良く行うことができるとともに、前記接合部における加熱温
度を均一化することができ、前記接合部(例えば半田)の溶融状態のバラツキや、前記基
板や前記電子部品の局所的な過加熱等を防ぎ、前記基板や前記電子部品に損傷を与えるこ
となく前記電子部品のリペアを行うことができる。また前記熱風の温度を前記接合部の溶
融温度に近い温度に設定したり、前記接合部を溶融させるまでの時間を短縮させることも
可能となり、前記装置側の熱風を供給するための消費電力を低減させることができる。
【0011】
また本発明に係るリペア用具(2)は、上記リペア用具(1)において、前記筒状本体
の開口部が、リペアする前記電子部品のサイズを考慮して、前記筒状本体の第2の側壁面
下端部内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とに、前記電子部品の側面を当接可
能な形状になっていることを特徴としている。
【0012】
上記リペア用具(2)によれば、前記筒状本体の開口部が、リペアする前記電子部品の
サイズを考慮して、前記筒状本体の第2の側壁面下端部内側と該第2の側壁面に隣接する
両側壁面内側とに、前記電子部品の側面を当接可能な形状になっているので、前記筒状本
体の第2の側壁面下端部内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とに前記電子部品
の側面を当接させた状態で、前記電子部品を前記開口部に収容させることができ、前記熱
風を前記筒状本体の一側壁面内側からのみ前記電子部品の下方に流入させ、該電子部品と
前記基板との間を経由させて、前記第2の側壁面下から外部へ排出させることができ、簡
素な構造で上記リペア用具(1)と略同様の効果を得ることができる。
【0013】
また本発明に係るリペア用具(3)は、上記リペア用具(1)において、前記筒状本体
の第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とに、前記熱風がこれら側
壁面側から前記電子部品の下方に流れ込まないようにするための熱風流入防止手段が配設
されていることを特徴としている。
【0014】
上記リペア用具(3)によれば、前記熱風流入防止手段により、前記筒状本体の第2の
側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とから前記熱風が前記電子部品の下
方に流れ込まない構造とすることができ、前記熱風を前記筒状本体の一側壁面内側からの
み前記電子部品の下方に流入させ、該電子部品と前記基板との間を経由させて、前記第2
の側壁面下から外部へ排出させることができ、上記リペア用具(1)と略同様の効果を得
ることができる。
【0015】
また本発明に係るリペア用具(4)は、上記リペア用具(3)において、前記熱風流入
防止手段が、少なくとも前記筒状本体の第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両
側壁面内側とを囲う形状をした板状体を備え、該板状体の下面に前記電子部品の上面周縁
部を当接させ得るように構成されていることを特徴としている。
【0016】
上記リペア用具(4)によれば、前記熱風流入防止手段が、少なくとも前記筒状本体の
第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とを囲う形状、例えば、平面
視略コの字形状、平面視略ロの字形状等をした板状体を備え、該板状体の下面に前記電子
部品の上面周縁部を当接させ得るように構成されているので、前記筒状本体の第2の側壁
面内側や該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側に前記電子部品の側面を当接させなくて
も、前記板状体の下面に前記電子部品の上面周縁部を当接させることにより、前記筒状本
体の第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とから前記熱風が前記電
子部品の下方に流れ込まないようすることができ、上記リペア用具(1)と略同様の効果
を得ることができる。また、前記板状体の内側方向への幅を利用することで、サイズの異
なる前記電子部品のリペアにも使用することができ、また前記筒状本体を前記電子部品に
被せる際の位置精度に余裕度を与えることができる。
【0017】
また本発明に係るリペア用具(5)は、上記リペア用具(4)において、前記板状体が
、前記筒状本体の第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とに沿って
上下方向に移動可能に構成されていることを特徴としている。
【0018】
上記リペア用具(5)によれば、前記板状体が、前記筒状本体の第2の側壁面内側と該
第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とに沿って上下方向に移動可能に構成されているの
で、前記板状体の下面に前記電子部品の上面周縁部を当接させた状態で、前記電子部品を
上下方向に移動させることができる。したがって、高さの異なる前記電子部品であっても
、前記筒状本体の第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とから前記
熱風が前記電子部品の下方に流れ込まないようすることができる。また、前記電子部品の
取り外し等の作業も問題なく行うことができる。
【0019】
また本発明に係るリペア用具(6)は、上記リペア用具(1)〜(5)のいずれかにお
いて、前記筒状本体の第2の側壁面下から排出される熱風の排出方向を変える排出方向変
更手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
上記リペア用具(6)によれば、前記排出方向変更手段により、前記筒状本体の第2の
側壁面下から排出される熱風の排出方向を変えることができ、前記基板上に搭載されてい
る他の部品に熱風が吹き付けられないようにすることができ、前記他の部品の熱損傷を回
避することができる。
【0021】
また本発明に係るリペア用具(7)は、基板に搭載された電子部品をリペアする装置に
装着され、前記電子部品に熱風を吹き付けるためのリペア用具であって、前記電子部品を
収容するための開口部が底面に形成された筒状本体を備え、該筒状本体の開口部が、該開
口部に前記電子部品を収容させた状態で、前記熱風を前記筒状本体の一側壁面を除く複数
の側壁面内側から前記電子部品の下方に流入させ、該電子部品と前記基板との間を経由さ
せて、前記一側壁面下から外部へ排出させるように構成されていることを特徴としている

【0022】
上記リペア用具(7)によれば、前記筒状本体の開口部が、該開口部に前記電子部品を
収容させた状態で、前記熱風を前記筒状本体の一側壁面を除く複数の側壁面内側から前記
電子部品の下方に流入させ、該電子部品と前記基板との間を経由させて、前記一側壁面下
から外部へ排出させるように構成されているので、前記電子部品をリペアする際に、前記
電子部品と前記基板との接合部に前記熱風を前記複数の側壁面内側から一定の方向に流し
込むことができ、前記接合部の加熱を一層効率良く行うことができるとともに、前記接合
部における加熱温度を均一化することができ、前記接合部の溶融状態のバラツキや、前記
基板や電子部品の局所的な過加熱等を防ぎ、前記基板や前記電子部品に損傷を与えること
なく前記電子部品のリペアを行うことができる。また前記熱風の温度を前記接合部の溶融
温度に近い温度に設定したり、前記接合部を溶融させるまでの時間を短縮させることも可
能となり、前記装置側の加熱ヒータ等の消費電力を低減させることができる。
【0023】
また本発明に係るリペア用具(8)は、上記リペア用具(7)において、前記筒状本体
の開口部が、リペアする前記電子部品のサイズを考慮して、前記筒状本体の一側壁面下端
部内側にのみ前記電子部品の側面を当接可能な形状になっていることを特徴としている。
【0024】
上記リペア用具(8)によれば、前記筒状本体の開口部が、リペアする前記電子部品の
サイズを考慮して、前記筒状本体の一側壁面下端部内側にのみ前記電子部品の側面を当接
可能な形状になっているので、前記筒状本体の一側壁面下端部内側に前記電子部品の一側
面を当接させた状態で、前記電子部品を前記開口部に収容させることにより、前記熱風を
前記筒状本体の複数の側壁面内側から前記電子部品の下方に流入させ、該電子部品と前記
基板との間を経由させて、前記一側壁面下から外部へ排出させることができ、簡素な構造
で上記リペア用具(7)と略同様の効果を得ることができる。
【0025】
また本発明に係るリペア用具(9)は、上記リペア用具(7)において、前記筒状本体
の一側壁面内側に、前記熱風が前記一側壁面側から前記電子部品の下方に流れ込まないよ
うするための熱風流入防止手段が配設されていることを特徴としている。
【0026】
上記リペア用具(9)によれば、前記熱風流入防止手段により、前記筒状本体の一側壁
面内側から前記熱風が前記電子部品の下方に流れ込まない構造とすることができ、前記熱
風を前記筒状本体の前記複数の側壁面内側から前記電子部品の下方に流入させ、該電子部
品と前記基板との間を経由させて、前記一側壁面下から外部へ排出させることができ、上
記リペア用具(7)と略同様の効果を得ることができる。
【0027】
また本発明に係るリペア用具(10)は、上記リペア用具(9)において、前記熱風流
入防止手段が、少なくとも前記筒状本体の一側壁面内側を囲う形状をした板状体を備え、
該板状体の下面に前記電子部品の上面周縁部を当接させ得るように構成されていることを
特徴としている。
【0028】
上記リペア用具(10)によれば、前記熱風流入防止手段が、少なくとも前記筒状本体
の一側壁面内側を囲う形状をした板状体を備え、該板状体の下面に前記電子部品の上面周
縁部を当接させ得るように構成されているので、前記筒状本体の一側壁面に前記電子部品
の側面を当接させなくても、前記板状体の下面に前記電子部品の上面周縁部を当接させる
ことにより、前記筒状本体の一側壁面内側から前記熱風が前記電子部品の下方に流れ込ま
ないようすることができ、上記リペア用具(7)と略同様の効果を得ることができる。ま
た、前記板状体の内側方向への幅を利用することで、サイズの異なる前記電子部品のリペ
アにも使用することができ、また前記筒状本体を前記電子部品に被せる際の位置精度に余
裕度を与えることができる。
【0029】
また本発明に係るリペア用具(11)は、上記リペア用具(10)において、前記板状
体が、前記筒状本体の一側壁面内側に沿って上下方向に移動可能に構成されていることを
特徴としている。
【0030】
上記リペア用具(11)によれば、前記板状体が、前記筒状本体の一側壁面内側に沿っ
て上下方向に移動可能に構成されているので、前記板状体の下面に前記電子部品の上面周
縁部を当接させた状態で、前記電子部品を上下方向に移動させることができる。したがっ
て、高さの異なる前記電子部品であっても、前記筒状本体の一側壁面内側から前記熱風が
前記電子部品の下方に流れ込まないようすることができる。また、前記電子部品の取り外
し等の作業も問題なく行うことができる。
【0031】
また本発明に係るリペア用具(12)は、上記リペア用具(7)〜(11)のいずれか
において、前記筒状本体の一側壁面下から排出される熱風の排出方向を変える排出方向変
更手段を備えていることを特徴としている。
【0032】
上記リペア用具(12)によれば、前記排出方向変更手段により、前記筒状本体の一側
壁面下から排出される熱風の排出方向を変えることができ、前記基板上に搭載されている
他の部品に熱風が吹き付けられないようにすることができ、前記他の部品の熱損傷を回避
することができる。
【0033】
また本発明に係るリペア用具(13)は、上記リペア用具(1)〜(12)のいずれか
において、前記筒状本体が、断熱部材を含んで構成されていることを特徴としている。
上記リペア用具(13)によれば、前記筒状本体が、断熱部材を含んで構成されている
ので、前記筒状本体の内部の熱が外部に放熱されにくい構造とすることができ、前記筒状
本体内部での前記熱風による加熱効率を一層高めることができる。
【0034】
また本発明に係る電子部品のリペア装置(1)は、上記リペア用具(1)〜(13)の
いずれかが装着されることを特徴としている。
上記電子部品のリペア装置(1)によれば、上記リペア用具(1)〜(13)の各効果
を得ることができるリペア装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係るリペア用具、及びリペア装置の実施の形態を図面に基づいて説明す
る。図1(a)は、実施の形態(1)に係るリペア用具を用いて電子部品(この場合、B
GAパッケージ)のリペアを行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、図
1(b)は、図1(a)におけるB−B線断面図である。また図2は、実施の形態(1)
に係るリペア用具を模式的に示した斜視図である。
【0036】
図中10は、プリント配線基板(以下、単に基板と記す)1上に搭載されたBGAパッ
ケージ2をリペアする装置(図示せず)に装着され、BGAパッケージ2に熱風を吹き付
けるためのリペア用具を示している。
【0037】
リペア用具10は、BGAパッケージ2を収容するための略矩形形状の開口部12が底
面に形成された筒状本体11から構成されている。筒状本体11は、断熱材(例えば、セ
ラミックファイバー等)を用いて形成されており、筒状本体11の側壁面13は、側壁面
13の略中央付近から内側に向けて所定幅ほど折り曲げられた後、対向する側壁面14と
略平行となるように折り返された形状となっている。
【0038】
側壁面13の下端部13aは他の側壁面14、15、16の各下端部より上方に位置し
、筒状本体11の開口部12を基板1上のBGAパッケージ2に被せたときに、基板1と
側壁面13の下端部13aとの間に、熱風を排出するための隙間Aが形成されるようにな
っている。隙間Aの高さは、リペアするBGAパッケージ2の側面が側壁面13の下端部
13a内側に当接可能な高さ、かつ熱風が円滑に排出可能な高さに設定されている。
【0039】
筒状本体11の側壁面13の下端部13a内側から側壁面14内側までの幅Bは、BG
Aパッケージ2の横幅よりも大きくなるように、すなわち、側壁面13の下端部13a内
側にBGAパッケージ2の側面を当接させた状態で、側壁面14内側とBGAパッケージ
2の側面とに、熱風流入部となる所定幅の隙間Dが形成されるように設定されている。一
方、筒状本体11の側壁面15内側から側壁面16内側までの幅Cは、BGAパッケージ
2の縦幅と略同一に設定されており、筒状本体11の側壁面15、16の各内側にBGA
パッケージ2の側面が当接可能な(すなわち、熱風が流れ込まない)形状になっている。
【0040】
また、筒状本体11の側壁面13の下端部13aの外側には、側壁面15、16に接合
された熱風流路変更板17が配設され、側壁面13の下端部13aと熱風流路変更板17
とにより、熱風の排気流路18aと排気口18bとが形成されている。
【0041】
また、筒状本体11の上方には熱風を噴き出す加熱ヒータ(図示せず)が配設されてお
り、加熱ヒータからの熱風が、筒状本体11の内部空間11aに供給されるようになって
いる。また、内部空間11aには、BGAパッケージ2を吸着するための部品吸着用ノズ
ル30が昇降可能に配設されている。リペア用具10は、不図示のリペア装置によって、
上下方向への移動、及び所定の水平方向への移動などの駆動制御が行われるようになって
いる。また、基板1の下面側には、ボトムヒータ31が配設されており、加熱ヒータやボ
トムヒータ31の加熱制御もリペア装置により行われるようになっている。
【0042】
次に、実施の形態(1)に係るリペア用具10を用いたBGAパッケージ2のリペア方
法について、図1を用いて説明する。機能検査等で不良品と判断されたBGAパッケージ
2を良品のBGAパッケージ2と交換するには、従来と同様、基板1上の不良品のBGA
パッケージ2を取り外した後、基板1上に良品のBGAパッケージ2を取り付けることに
より行う。
【0043】
まず、基板1上から不良品のBGAパッケージ2を取り外す場合、基板1をリペア装置
のX−Yテーブル(図示せず)に固定し、不良品のBGAパッケージ2をリペア用具10
下方の決めされた所定位置に配置する。
【0044】
次に、BGAパッケージ2の上方からリペア用具10を下降させて、筒状本体11の開
口部12をBGAパッケージ2に被せて、筒状本体11の側壁面14、15、16、及び
熱風流路変更板17の下端部を基板1上に当接(着座)させる。このとき側壁面13の下
端部13a内側と、側壁面15、16の各内側とにBGAパッケージ2の側面を当接させ
るようにリペア用具10が駆動制御される。
【0045】
次に、加熱ヒータを作動させて、所定温度に設定された熱風をリペア用具10の筒状本
体11の上部からBGAパッケージ2に向けて供給するとともに、ボトムヒータ31によ
り基板1下側からも加熱を行う。このとき、筒状本体11の上部からBGAパッケージ2
に向けて供給される熱風は、筒状本体11の側壁面14内側とBGAパッケージ2との隙
間DからのみBGAパッケージ2の下方に流れ込み、流れ込んだ熱風は、基板1とBGA
パッケージ2との接合部2aを経由して、側壁面13の下端部13a下の隙間Aから排気
流路18aを通って、排気口18bから外部へ排出されるようになっており、熱風により
BGAパッケージ2の接合部2aが短時間で均一に加熱・溶融されるようになっている。
【0046】
その後、BGAパッケージ2の接合部2aを溶融させるのに必要な所定時間ほど熱風を
供給した後、部品吸着用ノズル30でBGAパッケージ2を吸着して上昇させることによ
り、BGAパッケージ2を基板1から取り外すとともに、リペア用具10も上昇させて、
所定の位置に退避させる。
【0047】
次に、基板1上に良品のBGAパッケージ2を取り付ける際は、これと反対の動作で行
われる。まず、良品のBGAパッケージ2を部品吸着用ノズル30で吸着し、BGAパッ
ケージ2が筒状本体11の内部に保持された状態のリペア用具10を基板1の所定の取り
付け位置に下降させて、BGAパッケージ2を基板1の所定の取り付け位置に載置する。
このとき筒状本体11の開口部12を形成する側壁面14、15、16、及び熱風流路変
更板17の下端部は基板1上に当接され、側壁面13の下端部13a内側と、側壁面15
、16の各内側とにBGAパッケージ2の側面を当接させるようにリペア用具10の駆動
制御が行われる。
【0048】
次に、加熱ヒータを作動させて、所定温度に設定された熱風をリペア用具10の筒状本
体11の上方からBGAパッケージ2に向けて供給するとともに、ボトムヒータ31によ
り基板1の下側からも加熱を行う。
【0049】
このとき、筒状本体11の上部からBGAパッケージ2に向けて供給された熱風は、筒
状本体11の側壁面14内側とBGAパッケージ2との隙間DからのみBGAパッケージ
2の下方に流れ込み、流れ込んだ熱風は、基板1とBGAパッケージ2との接合部2aを
経由して、側壁面13の下端部13a下の隙間Aから排気流路18aを通って、排気口1
8bから外部へ排出されるようになっており、熱風によりBGAパッケージ2の接合部2
aが短時間で均一に加熱・溶融される。所定時間加熱して、BGAパッケージ2の接合部
2aと基板1の接点とを接合させた後、部品吸着用ノズル30の吸引を解除して、リペア
用具10を上方に退避させて、BGAパッケージ2の取り付けを終える。
【0050】
上記実施の形態(1)に係るリペア用具10によれば、筒状本体11の開口部12が、
リペアするBGAパッケージ2のサイズを考慮して、筒状本体11の側壁面13の下端部
13a内側と、側壁面15、16の各内側とに、BGAパッケージ2の側面を当接可能な
形状になっているので、筒状本体11の側壁面13の下端部13a内側と側壁面15、1
6の各内側とにBGAパッケージ2の側面を当接させた状態(すなわち、熱風が流れ込ま
ない状態)で、BGAパッケージ2を開口部12に収容させることができ、熱風を筒状本
体11の側壁面14内側の隙間DからのみBGAパッケージ2の下方に流入させ、BGA
パッケージ2と基板1との接合部2aを経由させて、側壁面13の下端部13a下の隙間
Aから排気流路18aを通って、排気口18bから外部へ排出させることができる。した
がって、BGAパッケージ2の接合部2aに熱風を一定の方向で流し込むことができ、B
GAパッケージ2の接合部2aの加熱を熱風により効率良く行うことができるとともに、
接合部2aにおける加熱温度を均一化することができ、接合部2a(半田)の溶融状態の
バラツキや、基板1やBGAパッケージ2の局所的な過加熱等を防ぎ、基板1やBGAパ
ッケージ2に損傷を与えることなくBGAパッケージ2のリペアを行うことができる。ま
た熱風の温度を接合部2aの溶融温度に近い温度に設定したり、接合部2aを溶融させる
までの時間を短縮させることも可能となり、リペア装置側の熱風を供給するための加熱ヒ
ータ等の消費電力を低減させることができる。
【0051】
また、熱風流路変更板(排出方向変更手段)17により、筒状本体11の側壁面13の
下端部13a下の隙間Aから排出される熱風の排出方向を上向きに変えることができ、基
板1上に搭載されている他の部品に熱風が吹き付けられない構造にすることができ、基板
1上の他の部品の熱損傷を回避することができる。
【0052】
また、筒状本体11が、断熱部材から構成されているので、筒状本体11の内部の熱が
外部に放熱されにくい構造にすることができ、筒状本体11内部での熱風による加熱効率
を一層高めることができる。
【0053】
図3(a)は、実施の形態(2)に係るリペア用具を用いてBGAパッケージのリペア
を行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、図3(b)は、図3(a)に
おけるB−B線断面図である。但し、図1に示したリペア用具10と同一機能を有する構
成部品には同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
【0054】
実施の形態(1)に係るリペア用具10では、筒状本体11の開口部12が、リペアす
るBGAパッケージ2のサイズを考慮して、筒状本体11の側壁面13の下端部13a内
側と側壁面15、16の各内側とに、BGAパッケージ2の側面を当接可能な形状になっ
ているが、実施の形態(2)に係るリペア用具10Aでは、筒状本体11Aの内部空間1
1aに、筒状本体11Aの側壁面13内側と、側壁面15、16の各内側とに接した状態
で、上下方向に移動可能な平面視略コの字形状をした断面L字型の熱風流入防止板20が
配設されている点が、実施の形態(1)に係るリペア用具10との主な相違点である。
【0055】
実施の形態(2)に係るリペア用具10Aでは、熱風流入防止板20の下面にBGAパ
ッケージ2の上面周縁部を当接させた状態で、熱風供給等のリペア操作が行われるように
なっている。熱風流入防止板20の下面の内側方向への張り出し幅Eは、リペアするBG
Aパッケージ2のサイズを考慮して必要な幅に設定されている。
【0056】
また、筒状本体11Aの側壁面13の下端部13a内側から側壁面14内側までの幅B
は、BGAパッケージ2の横幅よりも大きくなるように、すなわち、側壁面13内側の熱
風流入防止板20の下面にBGAパッケージ2の上面周縁部を当接させた状態で、側壁面
14内側とBGAパッケージ2の側面との間に、熱風流入部となる所定幅の隙間Dが形成
されるように設定されている。一方、筒状本体11Aの側壁面15内側から側壁面16内
側までの幅Cは、BGAパッケージ2の縦幅よりもやや大きく設定されており、筒状本体
11Aの側壁面15、16の各内側に配設された熱風流入防止板20の下面にBGAパッ
ケージ2の上面周縁部が当接されるようになっている。
【0057】
また、筒状本体11Aの側壁面13の下端部13a内側と、側壁面15、16の各内側
とには、熱風流入防止板20の下面側を係止するための突起状の係止片21が形成され、
側壁面15、16の各内側とには、熱風流入防止板20の横ずれを防止するための突起状
のずれ防止片22が形成されている。
【0058】
実施の形態(2)に係るリペア用具10Aを用いたBGAパッケージ2のリペア方法に
ついては、上記した実施の形態(1)に係るリペア用具10を用いた場合と略同様な方法
で行なわれるようになっており、図3に示しているように、筒状本体11Aの上部からB
GAパッケージ2に向けて供給された熱風は、筒状本体11Aの側壁面14内側とBGA
パッケージ2の側面との隙間DからのみBGAパッケージ2の下方に流れ込み、流れ込ん
だ熱風は、基板1とBGAパッケージ2との接合部2aを経由して、側壁面13の下端部
13a下の隙間Aから排気流路18aを通って、排気口18bから外部へ排出されるよう
になっている。
【0059】
上記実施の形態(2)に係るリペア用具10Aによれば、筒状本体11の側壁面13内
側と側壁面15、16の各内側とを囲う平面視略コの字形状をした断面L字形の熱風流入
防止板20が、その下面にBGAパッケージ2の上面周縁部を当接させ得るように配設さ
れているので、筒状本体11Aの側壁面13内側と側壁面15、16の各内側とから熱風
がBGAパッケージ2の下方に流れ込まない構造とすることができ、熱風を筒状本体11
Aの側壁面14内側からのみBGAパッケージ2の下方に流入させ、BGAパッケージ2
と基板1との間の接合部2aを経由させて、側壁面13の下端部13a下の隙間Aから排
気流路18aを通って、排気口18bから外部へ排出させることができ、上記実施の形態
(1)に係るリペア用具10と略同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、熱風流入防止板20の内側方向への幅を利用することで、サイズの異なるBGA
パッケージ2のリペアにも使用することができ、また筒状本体11AをBGAパッケージ
2に被せる際の位置精度に余裕度を与えることができる。
【0061】
また、熱風流入防止板20が、筒状本体11Aの側壁面13内側と側壁面15、16の
各内側とに沿って上下方向に移動するように構成されているので、筒状本体11Aの内部
でBGAパッケージ2を上下方向に移動させることができ、部品吸着用ノズル30による
BGAパッケージ2の取り外し等の作業を支障なく行うことができ、また、筒状本体11
AをBGAパッケージ2に被せた際に、熱風流入防止板20の下面とBGAパッケージ2
の上面周縁部とを当接させた状態で、熱風流入防止板20を上方向に移動させることがで
きるので、高さの異なるBGAパッケージ2に対しても適用することができる。
【0062】
なお、上記実施の形態(2)に係るリペア用具10Aでは、熱風流入防止板20が、側
壁面13の下端部13a、側壁面15、16の内側に沿って上下方向に移動できるように
なっているが、別の実施の形態では、リペアするBGAパッケージ2の高さ位置を考慮し
て、熱風流入防止板20を側壁面13、15、16内側に固定した構造としてもよく、こ
の場合、BGAパッケージ2を取り外す際に、部品吸着用ノズル30でBGAパッケージ
2を吸着した状態で、リペア用具10Aを上昇させるようにすれば、取り外し等も支障な
く行うことができる。
【0063】
また、熱風流入防止板20を係止させる係止片21やずれ防止片22を設ける代わりに
、熱風流入防止板20と部品吸着用ノズル30とを連結棒等の連結部材により連結させて
、部品吸着用ノズル30の昇降動作に連動させて熱風流入防止板20を昇降させる構造と
してもよく、この場合、部品吸着用ノズル30でBGAパッケージ2を吸着した状態で、
熱風流入防止板20の下面にBGAパッケージ2の上面周縁部を当接させるようにすれば
、熱風が側壁面13の下端部13a、側壁面15、16の各内側から下方に流れ込むこと
なく、リペア作業を支障なく行うことができる。
【0064】
また、実施の形態(2)では、熱風流入防止板20として、平面視略コの字形状をした
ものを適用したが、熱風流入防止板20の形状は、少なくとも筒状本体11Aの側壁面1
3内側と側壁面15、16内側とを囲う形状のものであればよく、例えば平面視略ロの字
形状(BGAパッケージ2の上面周縁部を囲う形状)をしたものなども適用することがで
きる。
【0065】
図4(a)は、実施の形態(3)に係るリペア用具を用いてBGAパッケージのリペア
を行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、図4(b)は、図4(a)に
おけるB−B線断面図である。但し、図1に示したリペア用具10と同一機能を有する構
成部品には同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
【0066】
実施の形態(1)に係るリペア用具10では、筒状本体11の開口部12が、リペアす
るBGAパッケージ2のサイズを考慮して、筒状本体11の側壁面13の下端部13a内
側と側壁面15、16の各内側とに、BGAパッケージ2の側面を当接可能な形状になっ
ているが、実施の形態(3)に係るリペア用具10Bでは、筒状本体11Bの開口部12
が、リペアするBGAパッケージ2のサイズを考慮して、筒状本体11の側壁面13の下
端部13a内側にのみBGAパッケージ2の側面を当接可能な形状になっている。
【0067】
すなわち、筒状本体11Bの開口部12が、開口部12にBGAパッケージ2を収容さ
せた状態で、熱風を筒状本体11Bの側壁面13を除く側壁面14、15、16の内側か
らBGAパッケージ2の下方に流入させ、該流入させた熱風を、基板1とBGAパッケー
ジ2との接合部2aを経由させて、側壁面13の下端部13aに形成された矩形形状の切
り欠き部13bから排気流路18aを通して、排気口18bから排出させるように形成さ
れている。なお、切り欠き部13bの高さは、リペアするBGAパッケージ2の高さより
も低く、その幅は、熱風が円滑に排出可能なサイズに設定されている。
【0068】
筒状本体11Bの側壁面13の下端部13a内側から側壁面14内側までの幅Bは、B
GAパッケージ2の横幅よりも大きくなるように、すなわち、側壁面13の下端部13a
内側にBGAパッケージ2の側面を当接させた状態で、側壁面14内側とBGAパッケー
ジ2の側面との間に、熱風流入部となる所定幅の隙間Dが形成されるように設定されてい
る。一方、筒状本体11Bの側壁面15内側から側壁面16内側までの幅Cは、BGAパ
ッケージ2の縦幅よりも大きく設定されており、筒状本体11の側壁面15、16の各内
側とBGAパッケージ2の両側面との間に、熱風流入部となる所定幅の隙間Fが形成され
るようになっている。
【0069】
実施の形態(3)に係るリペア用具10Bを用いたBGAパッケージ2のリペア方法に
ついては、上記した実施の形態(1)に係るリペア用具10を使用した場合と略同様な方
法で行なわれるようになっており、図4に示しているように、筒状本体11Bの上部から
BGAパッケージ2に向けて供給された熱風は、筒状本体11Bの側壁面14、15、1
6の各内側とBGAパッケージ2の側面との隙間D、FからBGAパッケージ2の下方に
流れ込み、流れ込んだ熱風は、基板1とBGAパッケージ2との接合部2aを経由して、
側壁面13の下端部13aに形成された切り欠き部13bから排気流路18aを通って、
排気口18bから外部へ排出されるようになっている。
【0070】
上記実施の形態(3)に係るリペア用具10Bによれば、筒状本体11Bの開口部12
が、リペアするBGAパッケージ2のサイズを考慮して、筒状本体11Bの側壁面13の
下端部13a内側にのみBGAパッケージ2の側面を当接可能な形状になっているので、
筒状本体11Bの側壁面13の下端部13a内側にBGAパッケージ2の一側面を当接さ
せた状態(すなわち、熱風が流れ込まない状態)で、BGAパッケージ2を開口部12に
収容させることにより、熱風を筒状本体11Bの側壁面14、15、16の各内側の隙間
D、FからBGAパッケージ2の下方に流入させ、BGAパッケージ2と基板1との接合
部2aを経由させて、側壁面13の下端部13aに形成された切り欠き部13bから排気
流路18aを通って、排気口18bから外部へ排出させることができる。したがって、B
GAパッケージ2の接合部2aに熱風を複数の側壁面内側から一定の方向に流し込むこと
ができ、BGAパッケージ2の接合部2aの加熱を一層効率良く行うことができ、上記実
施の形態(1)に係るリペア用具10と略同様な効果を得ることができる。
【0071】
図5(a)は、実施の形態(4)に係るリペア用具を用いてBGAパッケージのリペア
を行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、図5(b)は、図5(a)に
おけるB−B線断面図である。但し、図4に示したリペア用具10Bと同一機能を有する
構成部品には同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
【0072】
実施の形態(4)に係るリペア用具10Cでは、筒状本体11Cの側壁面13内側に、
熱風がBGAパッケージ2の下方に流れ込まないようするために、筒状本体11Cの側壁
面13内側に当接させた状態で上下に移動可能な断面L字型の熱風流入防止板20Aが配
設されている点が、実施の形態(3)に係るリペア用具10Bと相違している。
【0073】
実施の形態(4)に係るリペア用具10Cでは、熱風流入防止板20Aの下面にBGA
パッケージ2の上面周縁部を当接させた状態で、熱風供給等のリペア操作が行われるよう
になっている。熱風流入防止板20Aの下面の内側への張り出し幅Eは、リペアするBG
Aパッケージ2のサイズを考慮して必要な幅に設定されている。
【0074】
また、筒状本体11Cの側壁面13の下端部13a内側と、側壁面15、16の各内側
とには、熱風流入防止板20Aの下面側を係止するための突起状の係止片21が形成され
、側壁面15、16の各内側とには、熱風流入防止板20Aの横ずれを防止するための突
起状のずれ防止片22が形成されている。
【0075】
実施の形態(4)に係るリペア用具10Cを用いたBGAパッケージ2のリペア方法に
ついては、上記した実施の形態(3)に係るリペア用具10Bを用いた場合と略同様な方
法で行なわれるようになっており、図5に示しているように、筒状本体11Cの上部から
BGAパッケージ2に向けて供給された熱風は、筒状本体11Cの側壁面14、15、1
6の各内側とBGAパッケージ2との隙間D、FからBGAパッケージ2の下方に流れ込
み、流れ込んだ熱風は、BGAパッケージ2と基板1との接合部2aを経由して、側壁面
13の下端部13aに形成された切り欠き部13bから排気流路18aを通って、排気口
18bから外部へ排出されるようになっている。
【0076】
上記実施の形態(4)に係るリペア用具10Cによれば、筒状本体11Cの側壁面13
の下端部13a内側に配設された熱風流入防止板20Aが、その下面にBGAパッケージ
2の上面周縁部を当接させ得るように配設されているので、筒状本体11Cの側壁面13
内側から熱風がBGAパッケージ2の下方に流れ込まない構造とすることができ、熱風を
筒状本体11Cの複数の側壁面内側からBGAパッケージ2の下方に流入させ、BGAパ
ッケージ2と基板1との接合部2aを経由させて、側壁面13の下端部13aに形成され
た切り欠き部13bから排気流路18aを通って、排気口18bから外部へ排出させるこ
とができ、上記実施の形態(3)に係るリペア用具10Bと略同様の効果を得ることがで
きる。
【0077】
また、熱風流入防止板20Aの内側方向への幅を利用することで、サイズの異なるBG
Aパッケージ2のリペアにも使用することができ、また筒状本体11CをBGAパッケー
ジ2に被せる際の位置精度に余裕度を与えることができる。
【0078】
また、熱風流入防止板20Aが、筒状本体11Cの側壁面13内側に沿って上下方向に
移動するように構成されているので、筒状本体11Cの内部でBGAパッケージ2を上下
方向に移動させることができ、部品吸着用ノズル30によるBGAパッケージ2の取り外
し等の作業を支障なく行うことができ、また、筒状本体11CをBGAパッケージ2に被
せた際に、熱風流入防止板20Aの下面とBGAパッケージ2の上面周縁部とを当接させ
た状態で、熱風流入防止板20Aを上方向に移動させることができるので、高さの異なる
BGAパッケージ2に対しても適用することができる。
【0079】
なお、上記実施の形態(1)〜(4)に係るリペア用具では、BGAパッケージをリペ
アする場合について説明したが、基板と電子部品との間に半田等による接合部が形成され
る各種電子部品にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】(a)は、実施の形態(1)に係るリペア用具を用いてBGAパッケージのリペアを行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。
【図2】実施の形態(1)に係るリペア用具を模式的に示した斜視図である。
【図3】(a)は、実施の形態(2)に係るリペア用具を用いてBGAパッケージのリペアを行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。
【図4】(a)は、実施の形態(3)に係るリペア用具を用いてBGAパッケージのリペアを行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。
【図5】(a)は、実施の形態(4)に係るリペア用具を用いてBGAパッケージのリペアを行っている状態を模式的に示した部分側面断面図であり、(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。
【図6】従来のこの種の電子部品のリペア装置の一例として、特許文献1に記載されたリペア電子部品の局部加熱装置を模式的に示した部分断面側面図である。
【図7】従来のこの種の電子部品のリペア装置の別の一例として、特許文献2に記載された電子部品交換用ノズル装置を模式的に示した部分断面側面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 基板(プリント配線基板)
2 BGAパッケージ
10、10A、10B、10C リペア用具
11、11A、11B、11C 筒状本体
12 開口部
13 側壁面
14 側壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に搭載された電子部品をリペアする装置に装着され、前記電子部品に熱風を吹き付
けるためのリペア用具であって、
前記電子部品を収容するための開口部が底面に形成された筒状本体を備え、
該筒状本体の前記開口部が、該開口部に前記電子部品を収容させた状態で、前記熱風を
前記筒状本体の一側壁面内側からのみ前記電子部品の下方に流入させ、該電子部品と前記
基板との間を経由させて、前記一側壁面に対向する第2の側壁面下から外部へ排出させる
ように構成されていることを特徴とするリペア用具。
【請求項2】
前記筒状本体の開口部が、リペアする前記電子部品のサイズを考慮して、前記筒状本体
の第2の側壁面下端部内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とに、前記電子部品
の側面を当接可能な形状になっていることを特徴とする請求項1記載のリペア用具。
【請求項3】
前記筒状本体の第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面内側とに、前記
熱風がこれら側壁面側から前記電子部品の下方に流れ込まないようにするための熱風流入
防止手段が配設されていることを特徴とする請求項1記載のリペア用具。
【請求項4】
前記熱風流入防止手段が、少なくとも前記筒状本体の第2の側壁面内側と該第2の側壁
面に隣接する両側壁面内側とを囲う形状をした板状体を備え、該板状体の下面に前記電子
部品の上面周縁部を当接させ得るように構成されていることを特徴とする請求項3記載の
リペア用具。
【請求項5】
前記板状体が、前記筒状本体の第2の側壁面内側と該第2の側壁面に隣接する両側壁面
内側とに沿って上下方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項4記載のリ
ペア用具。
【請求項6】
前記筒状本体の第2の側壁面下から排出される熱風の排出方向を変える排出方向変更手
段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のリペア用具。
【請求項7】
基板に搭載された電子部品をリペアする装置に装着され、前記電子部品に熱風を吹き付
けるためのリペア用具であって、
前記電子部品を収容するための開口部が底面に形成された筒状本体を備え、
該筒状本体の開口部が、該開口部に前記電子部品を収容させた状態で、前記熱風を前記
筒状本体の一側壁面を除く複数の側壁面内側から前記電子部品の下方に流入させ、該電子
部品と前記基板との間を経由させて、前記一側壁面下から外部へ排出させるように構成さ
れていることを特徴とするリペア用具。
【請求項8】
前記筒状本体の開口部が、リペアする前記電子部品のサイズを考慮して、前記筒状本体
の一側壁面下端部内側にのみ前記電子部品の側面を当接可能な形状になっていることを特
徴とする請求項7記載のリペア用具。
【請求項9】
前記筒状本体の一側壁面内側に、前記熱風が前記一側壁面側から前記電子部品の下方に
流れ込まないようするための熱風流入防止手段が配設されていることを特徴とする請求項
7記載のリペア用具。
【請求項10】
前記熱風流入防止手段が、少なくとも前記筒状本体の一側壁面内側を囲う形状をした板
状体を備え、該板状体の下面に前記電子部品の上面周縁部を当接させ得るように構成され
ていることを特徴とする請求項9記載のリペア用具。
【請求項11】
前記板状体が、前記筒状本体の一側壁面内側に沿って上下方向に移動可能に構成されて
いることを特徴とする請求項10記載のリペア用具。
【請求項12】
前記筒状本体の一側壁面下から排出される熱風の排出方向を変える排出方向変更手段を
備えていることを特徴とする請求項7〜11のいずれかの項に記載のリペア用具。
【請求項13】
前記筒状本体が、断熱部材を含んで構成されていることを特徴とする請求項1〜12の
いずれかの項に記載のリペア用具。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかの項に記載のリペア用具が装着されることを特徴とする電子
部品のリペア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−228771(P2006−228771A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37133(P2005−37133)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】