説明

リポ酸濃縮物

本発明は、ユビキノンQ10、中鎖トリグリセリドまたはトリグリセリド混合物、α−リポ酸および/またはその誘導体ならびに食品または薬品のために認可され、かつHLB値9〜19を有する少なくとも1つの乳化剤からなる無水濃縮物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明はDE 101 08 614 A1に記載のα−リポ酸濃縮物に関する。
【0002】
(背景技術)
K.Rettらによる研究(Diabetes und Stoffwechsel[metabolism],1996,5/3,Suppl.(59−63))以来、α−リポ酸の投与が体重過多の患者における問題を緩和することが知られている。さらに、Min−Seon Kimらによるラットで実施された研究(NATURE MEDICINE Vol.10,No7,July 2004,pages 727−734)は、特定の食欲抑制効果がα−リポ酸に起因し得ることを示している。従って、そのことは、α−リポ酸の吸収のため、ヒトが食事をする必要性を軽減し、かくして、体重の減少に至る可能性を拡大する。
【0003】
(発明の開示)
従って、本発明の目的は、冒頭に述べた類の組成物であって、副作用がなく、かつ体重減少に寄与し得るか、またはかかる寄与を増大し得る組成物を製造することである。
【0004】
ユビキノン濃縮物は、文献WO 03/007907から知られており、乳化剤およびユビキノンQ10および軽質植物油(紅花油)からなる。この濃縮物は、脂肪分解のためにミトコンドリアにおいて必要とされるQ10の有用性を促進する性質を有する。
【0005】
独特許公開DE 101 08 614 A1は、α−リポ酸およびポリソルベートからなる水溶性α−リポ酸溶解物を製造するための実施例を説明している。
【0006】
この目的のために、本発明は、ユビキノンQ10および中鎖トリグリセリドまたはトリグリセリド混合物およびα−リポ酸またはその誘導体ならびに食品または薬品法に従って認可されたHLB値9〜19を有する1またはそれ以上の乳化剤を含む無水濃縮物を提供する。本発明は、一方で、十分な量のQ10を供給することにより脂肪分解を支援するという考えに基づき、および他方で、食物摂取と同時にα−リポ酸を投与すると視床下部への影響に起因して食物消費が遅延されるという点で、生物体内に貯蔵された脂肪に対する分解を制限するという考えに基づいている。本発明に記載の濃縮物の言及した成分は食品法により認可され、かつ副作用がない。適当な重量割合の成分を有する濃縮物は透明かつ粘性であり、さらに好ましくは、約60℃よりも僅かに高い温度で問題なくカプセルの内容物に加工できる。かかるカプセルを毎日投与することにより生物体の体重減少が導かれ得る。一方で、科学的研究を行い、本発明に記載の濃縮物を被験者に投与することにより、プラセボと比較して、より高い割合の体重喪失、すなわちより高い割合の内臓脂肪の減量、およびウエスト周辺においてより大きな違いのあることが分かった。
【0007】
本発明に記載の有用な乳化剤は、それぞれ国内および国際的な食品または薬品規制に制約されている。かかる可溶化剤の例は、世界中で認可されている非イオン性ポリソルベート、とりわけポリソルベート20および/またはポリソルベート80である。例えば、他の乳化剤も米国および日本で認可されており、本発明の文脈において用いられ得る。
【0008】
α−リポ酸に加えて、ジヒドロリポ酸またはジヒドロリポアミドも本発明に記載の濃縮物を製造するために首尾よく用いられ得る。さらに、本発明に記載の好ましい組成物が添付の特許請求の範囲において記載される。実施例において、本発明に記載の濃縮物はポリソルベート80のみを含むか、または必要ならば、ポリソルベート80とポリソルベート20の混合物のいずれかを含む。さらに、紅花油のごときマイルドな食用油か、または本質的にカプリル酸およびカプリン酸からなり、商品名Miglyol 812という製品として入手可能な組成物のいずれかを用いることが推奨される。
【0009】
好ましくは、ポリソルベートの重量の、本発明に記載の濃縮物中の成分合計の重量に対する割合は、約4:1ないし5.5:1である。実際的には、Q10の重量の、α−リポ酸の重量に対する割合は、20%までの幅をもたせて、1:1ないし約1:4である。
【0010】
本発明に記載の濃縮物の特に典型的な組成物は添付の特許請求の範囲において記載される。
【0011】
本発明に記載の濃縮物は、水、フルーツジュース、野菜ジュースなどの非アルコール性飲料に対する添加物として適当である。飲料中の濃縮物の濃度は、約1:0.1ないし最高約1:5,000が推奨される。濃縮物は乳製品、蜂蜜、植物油へも添加され得、そのために、濃縮物の上記製品に対する割合を1:0.1ないし約1:100から選択することが好ましい。
【0012】
本発明に記載の濃縮物を製造するために、実際的には、最初に、Q10、ポリソルベート80および中鎖トリグリセリドから溶解物を得、次いで、α−リポ酸およびポリソルベート80またはポリソルベート20から溶解物を得、その後、Q10溶解物をα−リポ酸と混合し、攪拌して、水溶性で均質かつ透明な物質を得るように処理される。約60℃の温度で、Q10溶解物とα−リポ酸溶解物を、重量比率で、約2:1、例えば、1.8:1で混合することが推奨される。有意なことに、α−リポ酸について最適な可溶化温度は熱に敏感なQ10のものより高く、結果として、2つの活性物質に適当な対応する温度での別々の沈殿のない可溶化が推奨される。
【0013】
本発明に記載の典型的な組成物を以下に詳細に記載する。
【0014】
最初に、5%の無水、水溶性Q10溶解物を文献WO 03/0077907の実施例2の記載に従って調製する。その実施例に従って、790重量部のポリソルベート80を約85℃に加温する。その後、50重量部の補酵素Q10を加え、温度を約85℃に保ちながら、均質かつ透明になるまで、所定の時間(約5分間)、混合物(840重量部)を攪拌する。続いて、160重量部の紅花油を約85℃に温めた後、この混合物へ加える。加熱後、温度を約85℃に保ちながら、均質かつ透明になるまで、所定の時間(約2分間)、全混合物(1,000重量部)を攪拌する。室温または体温まで冷却した後、透明かつ水溶性のものを保存する。この溶解物1グラムは50mgのQ10を含む。
【0015】
本明細書中、紅花油は一成分として記載される。本発明によれば、紅花油は、同量の別の中鎖トリグリセリド混合物で代用されてもよく、該混合物は、中鎖長の飽和植物脂肪酸を含み、本質的にカプリル酸およびカプリン酸からなり、例えば、商品名Miglyol 812 Nとしてthe Firm Sasol GmbHから販売されているものである。
【0016】
従って、10%の無水、水溶性α−リポ酸溶解物は、最初に、900重量部のポリソルベート20を60℃に加温することにより調製される。温かいポリソルベート20中へ100重量部のα−リポ酸(CAS登録番号62−46−4;the firm DegussaのALIPURE)を徐々に滴下して加える。透明になるまで、連続的に攪拌しながら、混合物を約100℃に加温した。室温に冷却した後、混合物は依然として透明であり、かつその形態で十分に水溶性である。この溶解物1gは100mgのα−リポ酸を含む。ポリソルベート20の使用は可溶化を促進するが、この場合において、同量のポリソルベート80が知覚的な理由からも好ましいだろう。
【0017】
Q10−α−リポ酸溶解物を得るために、約660重量部のQ10溶解物を約370重量部のα−リポ酸溶解物と一緒に約60℃の温度で攪拌し、均質な混合物を得る。この混合物は33重量部のQ10および37重量部のα−リポ酸を含み、その両方は、約10nmの粒径をもつポリソルベートミセル中に存在する。この混合物を用いて、470mgの充填重量で、ゼラチン含有またはゼラチン不含カプセルを充填する。よって、このカプセルの内容物は約15.02mgのQ10、約16.68mgのα−リポ酸、約48.22mgのトリグリセリドおよび約389.7mgのポリソルベート80からなる。
【0018】
従って、1日につきこの型のカプセルを3カプセル消費すると、生物体は約
− 45.15mgのQ10
− 50.58mgのα−リポ酸
− 144.66mgのトリグリセリド
− 1169.1mgのポリソルベート80
を摂取することになる。
【0019】
これらの量は依然として、食品法に従ってそれぞれの成分について公式に認可されている最大1日用量より十分に低い。
【0020】
本発明に記載の濃縮物の組成物についてのさらなる実施例を以下の表に示す。表中、MCTは上記したMiglyol 812を言い、ポリソルベートはポリソルベート80を言う。個々の典型的な濃縮物の調製は初めの実施例においてした説明に従って行う。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】

【0021】
水、特にやや温かい水(約35℃)への溶解性に起因して、適切な用量の本発明に記載のQ10−α−リポ酸濃縮物は、飲料の透明性を損なうことなく、アルコールを含まない飲料へ添加され得る。さらに、濃縮物のミセル構造が皮膚への浸透を促進するために、本発明に記載の濃縮物は軟膏または他の化粧品処方に添加され得る。最後に、本発明に記載の濃縮物は栄養補助食品として用いられ得るか、またはより高い用量では食品として用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユビキノンQ10、中鎖トリグリセリドまたはトリグリセリド混合物、α−リポ酸および/またはその誘導体ならびに食品または薬品法に従って認可されたHLB値9〜19を有する1またはそれ以上の乳化剤からなる、無水濃縮物。
【請求項2】
乳化剤がポリソルベートからなる、請求項1記載の濃縮物。
【請求項3】
乳化剤がポリソルベート20および/またはポリソルベート80からなる、請求項2記載の濃縮物。
【請求項4】
α−リポ酸誘導体がジヒドロリポ酸またはジヒドロリポアミドである、請求項1ないし3記載の濃縮物。
【請求項5】
中鎖トリグリセリドが紅花油のごとき軽油またはカプリル酸およびカプリン酸の混合物である、前記請求項いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項6】
ポリソルベートの重量の、残りの成分合計の重量に対する割合が約4:1ないし約5.5:1である、前記請求項いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項7】
ユビキノンの重量の、α−リポ酸の重量に対する割合が約1:1ないし約1:4である、前記請求項いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項8】
約85重量%のポリソルベート、約3.3重量%のQ10、約4重量%のα−リポ酸および約10重量%のトリグリセリドからなる、前記請求項いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項9】
約5重量%のQ10、約10重量%のα−リポ酸、約4重量%のトリグリセリドおよび約81重量%のポリソルベート80からなる、前記請求項1ないし7いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項10】
約4重量%のQ10、約8重量%のα−リポ酸、約6重量%のトリグリセリドおよび約82重量%のポリソルベート80からなる、前記請求項1ないし7いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項11】
約5重量%のQ10、約9重量%のα−リポ酸、約5重量%のトリグリセリドおよび約81重量%のポリソルベート80からなる、前記請求項1ないし7いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項12】
約2重量%のQ10、約8重量%のα−リポ酸、約6重量%のトリグリセリドおよび約84重量%のポリソルベート80からなる、前記請求項1ないし7いずれか1項に記載の濃縮物。
【請求項13】
前記請求項いずれか1項に記載の濃縮物の製造方法であって、最初に、Q10、ポリソルベート80およびトリグリセリドから溶解物を得、次いで、α−リポ酸およびポリソルベート80またはポリソルベート20から溶解物を得、その後、Q10溶解物をα−リポ酸溶解物と混合し、攪拌して均質な物質を得る、方法。
【請求項14】
10が可溶化する温度、例えば85℃よりも高い温度、例えば100℃でα−リポ酸溶解物を得、次いで、両溶解物をより低い温度、例えば60℃で混合する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
約2部、より実際的には、約1.8部のQ10溶解物を約1部のα−リポ酸溶解物と混合する、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
約0.1ないし最高約5,000部の飲料に対して1部の割合で非アルコール性飲料へ添加される、請求項1ないし12記載の濃縮物。
【請求項17】
約0.1ないし最高約500部の食品に対して1部の割合で乳製品、植物油または同様の食品に添加される、請求項1ないし12記載の濃縮物。

【公表番号】特表2007−513994(P2007−513994A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544471(P2006−544471)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008940
【国際公開番号】WO2006/018301
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(502435638)アクヴァノヴァ・ジャーマン・ソリュービリセイト・テクノロジーズ・(アーゲーテー)・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】AQUANOVA German Solubilisate Technologies (AGT) GmbH
【Fターム(参考)】