説明

リモートセンシングにおける補正方法

【課題】圃場を撮影するリモートセンシングにおいて、1つの圃場の作物情報から求めた補正値を利用し、この補正値を基に、前記圃場とは異なる圃場を撮影した画像データから求めた作物情報の補正を行えるようにすることを技術的課題とする。
【解決手段】基準とする基準圃場の作物情報を求める工程と、前記基準圃場の一部の区域が撮影範囲に含まれるように、前記基準圃場の近傍の圃場を撮影する工程と、前記作物情報から、前記区域の作物情報を基準作物情報として求める工程と、前記撮影により得た画像データから前記近傍の圃場の作物情報を求める工程と、前記画像データから、前記区域に該当する範囲の作物情報を求める工程と、前記基準作物情報と前記作物情報との差異を求める工程とを含み、前記近傍の圃場の作物情報を前記差異によって補正することを特徴とする補正方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートセンシングによる測定において、複数の圃場の画像データを効率良く補正する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、圃場脇から斜め下に見下ろす状態で圃場内の作物を撮影し、撮影して得た画像データから前記圃場内の作物の作物情報を求めるリモートセンシングが知られている。特許文献1のリモートセンシングでは、携帯型の測定装置による測定で前記圃場内の一部の作物の作物情報を求め、この作物情報を用いて補正値又は補正換算式(以下、「補正値」という)を作成することが記載されている。
【0003】
しかし、前記補正値は、該補正値を作成するために使用した圃場の画像データから求めた作物情報にのみ使用するものであり、異なる圃場の別途撮影した画像データから求めた作物情報の補正には使用できないという問題があった。このため、撮影する圃場毎に前記補正値を求める必要があり、非常に作業効率が悪かった。この問題を解決するために、特許文献1に記載された方法により求めた補正値を、別の圃場を撮影して得た画像データから求めた作物情報の補正にも利用できるようにすることが望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−350517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみ、地上から見下ろす状態で複数の圃場を撮影するリモートセンシングにおいて、1つの圃場の作物情報から求めた補正値を利用し、この補正値を基に、前記圃場とは異なる圃場を撮影した画像データから求めた作物情報の補正を行えるようにすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、圃場内の作物情報を測定するリモートセンシングにおいて、基準とする基準圃場の作物情報を求める工程と、前記基準圃場の一部の区域が撮影範囲に含まれるように、前記基準圃場の近傍の圃場を撮影する工程と、前記作物情報から、前記区域の作物情報を基準作物情報として求める工程と、前記撮影により得た画像データから前記近傍の圃場の作物情報を求める工程と、前記画像データから、前記区域に該当する範囲の作物情報を求める工程と、前記基準作物情報と前記作物情報との差異を求める工程とを含み、前記近傍の圃場の作物情報を前記差異によって補正することを特徴とする補正方法とした。さらに、前記補正方法により作物情報が補正された圃場を新たに基準圃場として用いることを可能とした。
【発明の効果】
【0007】
本願に記載の発明によれば、作物情報を補正した作物が生育する圃場を基準圃場とし、該基準圃場の一部の区域が含まれるようにリモートセンシングにより前記基準圃場とは別の圃場を撮影することで、1つの圃場で求めた補正値を基にして、別の圃場の補正を行うことができるようになる。したがって、測定精度を低下させることなく効率良く作業を行うことが可能となった。
【0008】
また、作物情報の補正が終了した圃場を新たに基準圃場とすることができるので、前記圃場の一部の区域が含まれるように別の圃場の撮影を繰り返すことで、1つの圃場で求めた1つの補正値を利用して、複数の圃場を補正できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。まず、リモートセンシングによる圃場の撮影方法について説明する。ここでは圃場で生育する作物を水稲とし、測定対象が前記水稲(稲体)の窒素含有率である場合を例にして説明する。なお、本願発明は、水稲に限定されるものではなく、陸稲や麦等の作物の場合でも使用でき、また、測定対象は作物の窒素含有率に限定されるものではなく、葉身の窒素含有率や収穫後に穀粒が含有するタンパク予測値等も測定することができる。
【0010】
地上に設置したカメラで圃場を斜め上方から撮影するリモートセンシングに関しては、特開2000−350517号公報、特開2001−45867号公報及び特開2001−45868号公報にて詳細な説明があるので、ここでは概要のみを説明する。図2は、圃場2を撮影する一例を示しており、水稲を栽培している圃場2に向けてカメラ3が所定の位置に設置されている。圃場2は自然光にさらされている。符号4は基準板であり、基準板4は、基準板4の自然光による反射光をカメラ3が受光できる位置に設置すればよい。また、カメラ3の撮影範囲には圃場2全体が含まれている。カメラ3はデータ処理装置20と接続されている。データ処理装置20は、カメラ3で撮影した画像データを処理できるものであればよく、例えば一般的なノート型パソコンを用いることができる。符号21は、カメラ3での測定値を補正するために必要な、後述する携帯型の測定装置である。なお、ここでの圃場2とは、「畔(あぜ)」で区切られた1枚の圃場であってもよいし、複数の圃場が含まれる「圃場群」であってもよい。
【0011】
図3で示すものは、カメラ3の機能を表す簡略なブロック図である。カメラ3はCCD5を備えている。また、カメラ3には複数の狭帯域フィルタ6を備えたフィルタホイール7が取り付けられている。このフィルタホイール7を回転させることにより狭帯域フィルタ6を切り換えて、各狭帯域フィルタ6で撮影することができる。狭帯域フィルタ6を透過した光は、集光レンズ8を介してCCD5によって受光される。フィルタホイール7は、制御回路9によって駆動制御されるステッピングモータ10によって回転する。また、制御回路9は、CCD5が受光して得た画像データをデータ処理装置20に送出する。なお、狭帯域フィルタ6は、可視光域波長と近赤外波長とから、それぞれ測定する作物の測定対象に対応させて適宜選択すればよい。図3では4枚の狭帯域フィルタ6を示しているが、目的に応じて随時変更可能であり、また、狭帯域フィルタ6に変えて、RGB信号を撮影できるようにしてもよい。
【0012】
カメラ3での撮影においてCCD5で受光するのは、圃場2内の稲体及び基準板4の自然光による反射光である。稲体の自然光による反射光量は、気象(照度)の影響により変動する。そのため、圃場2内の稲体及び基準板4の反射光量を同時に測定し、稲体の反射光量と基準板4の反射光量との比による稲体の反射率を求め、該反射率を用いることで気象(照度)の影響を除去する。具体的には、基準板4の反射率が95%で一定で、基準板4の反射光量がXであるとすると、基準とする基準反射量Yは、
【数1】

によって求まる。次に、カメラ3で測定した圃場2の稲体の反射光量をZとすると、
【数2】

によって、稲体の反射率Uが求まる。このように、反射率が既知の基準板4を用いて稲体の反射率を求めることで気象(照度)の影響を除去することができる。なお、この稲体の反射率は、稲体の窒素含有率を求めるために使用する。
【0013】
前述の稲体及び基準板4の反射光量は、次のように測定する。狭帯域フィルタ6を切り換えて各狭帯域フィルタ6を透過した自然光による圃場2の稲体及び基準板4の反射光をカメラ3のCCD5によってそれぞれ受光する。受光して得た画像データは、データ処理装置20に送出する。データ処理装置20では、前記画像データから前記稲体及び基準板4の反射光量を計算により求める。これらの反射光量を、数式1及び数式2にあてはめることにより稲体の反射率が得られる。なお、カメラ3への圃場からの反射光は、カメラ3に近い位置の圃場からの反射光と、カメラ3から離れた位置の圃場からの反射光とで、カメラ3への入射角度が異なる。したがって、入射角度が異なることによる入射光量の差異を補正して反射率を求めることが好ましい。
【0014】
データ処理装置20には、事前に作成しておいた検量線(以下、「第1の作物関係式」という)が記憶されている。この第1の作物関係式は、稲体の反射率からその稲体の窒素含有率を求めるためのものである。前記第1の作物関係式は次のようにして求める。まず、カメラ3で圃場内の一定面積の区域を撮影し、前記一定面積の区域内で生育している稲体の反射率を各狭帯域フィルタ6で求める。次に、前記一定面積の区域内に生育する複数の稲体から稲葉を採取し、採取した稲葉の窒素含有率を直接、化学分析により求める。そして、前記反射率を説明変数、前記窒素含有率を目的変数として多変量解析等を用いて第1の作物関係式を作成する。一般的に、多変量解析に用いる説明変数及び目的変数のサンプル数が多いほど第1の作物関係式の精度を高めることができる。また、第1の作物関係式は、サンプルデータを加えて毎年更新することにより、より的確なものとなる。
【0015】
数式1、数式2及び第1の作物関係式は、データ処理装置20に事前に記憶されているので、カメラ3によって、基準板4と圃場2で生育している稲体とを撮影し、撮影して得られた画像データをデータ処理装置20に送出すれば、データ処理装置20にて、数式1、数式2及び第1の作物関係式に基づき前記稲体の窒素含有率(以下、「第1の作物情報」という)を計算することができる。このようにして圃場で栽培されている稲体の第1の作物情報を測定する。前記第1の作物情報は、1枚の圃場ごとに平均値を求め、この平均値を各圃場の第1の作物情報として使用するのが一般的である。
【0016】
ところで、特開平10−96692に記載されているような携帯型の葉の成分測定装置(以下、「測定装置21」という)を用いることで、圃場2で栽培されている稲体の窒素含有率(以下、「第2の作物情報」という)を容易に測定することができる。また、この第2の作物情報にて、第1の作物情報を補正することができる。測定装置21は、稲葉を直接測定して稲体の窒素含有率を求めるので、測定方位や植栽密度などの影響を受けない。このため、本発明では、第1の作物情報の測定方位や植栽密度の影響による誤差異の補正に、測定装置21で測定した第2の作物情報を使用する。例えば、第1の作物情報と第2の作物情報との差異を補正に用いる。また、差異以外にも一般的に知られている手法により補正に用いてもよい。
【0017】
例えば、カメラ3で撮影した圃場2内の一定面積Yの区域で生育している稲体の窒素含有率が、カメラ3による測定で4.0%(第1の作物情報)、測定装置21による測定で3.0%(第2の作物情報)であったとする。なお、測定装置21による測定値は、前記一定面積Yの区域に生育している複数の稲体の葉を測定した平均値である。前記第1の作物情報はデータ処理装置20内のRAMに記憶されており、前記第2の作物情報は測定装置21に記憶されているから、この第2の作物情報を、データ処理装置20に入力して、データ処理装置20内のRAMに記憶する。前記入力方法は、自動又は手動のどちらの方法でも良い。データ処理装置20では、RAMに記憶した前記第1の作物情報と前記第2の作物情報との差異を算出し、この差異によって第1の作物情報の補正を行う。ここでは第1の作物情報を4.0%、第2の作物情報を3.0%としているので、第1の作物情報が第2の作物情報よりも1.0%高い値となっている。よって、差異は−1.0%となる。この差異を前記第1の作物情報に加えて、圃場2内の一定面積Yの区域における前記第1の作物情報は3.0%と補正される。
【0018】
前記差異を補正値としてデータ処理装置20内のRAMに記憶することで、カメラ3による測定で求めた圃場2全体の第1の作物情報を、前記差異の−1.0%によって補正することができる。これにより、測定方位や植栽密度の影響を除去した測定が、カメラ3とデータ処理装置20とによって実現可能となる。なお、補正値(差異)を定めるに当たって、カメラ3によって得られた第1の作物情報の情報源と、測定装置21によって得られた第2の作物情報の情報源とが共通であることが重要である。つまり、カメラ3によって撮影する稲体と、測定装置21によって測定する稲葉の稲体とが、同一であることが重要である。測定装置21の測定値は、測定方位や植栽密度に関係なく得られた値であることから、前記測定値を利用して補正した第1の作物情報、すなわち、カメラ3による測定値は、従来のリモートセンシングに比べて外的要因に左右されないものとなる。なお、本実施例では基準板の反射光量の測定を行っているが、第2の作物情報による補正を行う場合には、この測定を行わなくとも補正後の第1の作物情報への影響はない。
【0019】
ところで、前記補正値は、その補正値を求めるためにカメラ3で撮影した圃場内で生育している作物の第1の作物情報の補正には精度よく有効に使用することができる。しかし、前記圃場とは別の圃場をカメラ3で撮影し、撮影した画像データから前記圃場内で生育している作物の第1の作物情報を求める際に、前記補正値が有効に使用できるとは限らない。これは、本発明のリモートセンシングが太陽光を利用しているためである。太陽光は、刻々と高度や各スペクトル強度が変化するが、前記補正値はこの変化に対応していない。したがって、圃場を撮影した画像データ毎に前記第2の作物情報を測定して補正値を求める必要があり、撮影する圃場が多い場合には、作業効率が低下してしまう。このため、本発明の補正方法では、前記補正値を、該補正値を作成するために用いた画像データとは異なる、別の画像データでも利用可能とした。
【0020】
本発明の補正方法について図3及び図4を用いて説明する。まず、作物が生育している圃場A1〜A4を含む圃場群Aを前述の方法により撮影して画像データAを得る。そして、該画像データAから圃場A1〜A4のそれぞれの第1の作物情報を求める。次に、圃場群A内の一定面積の区域に生育する作物の前記第2の作物情報を測定装置21により測定し、前記区域に生育する作物の第1の作物情報を前記画像データAから求める。前記区域は圃場群A内であれば特に限定されない。そして、前記第1の作物情報と前記第2の作物情報との差異を算出して、この差異を補正値とし、該補正値により圃場A1〜A4のそれぞれの第1の作物情報を補正する。ここで、前記補正値により第1の作物情報が補正された作物が生育する圃場群Aを基準圃場とする。
【0021】
次に、圃場群A(基準圃場)とは異なる圃場群B(圃場B1〜B4)の撮影を行う。この際に圃場群A内の圃場の一つが含まれるように、言い換えれば、重複するように撮影して画像データBを得る。ここでは、図3で示すように、画像データBに、圃場群Aの一部である圃場A4が、画像データBに圃場B1として含まれるように撮影している。なお、測定装置21で測定する前記区域は、重複して撮影する圃場内に設けることが好ましく、ここでは圃場A4内に設けることが好ましい。
【0022】
ここで、画像データAの解析により求めた圃場群Aの各圃場(A1〜A4)で生育する作物の第1の作物情報の平均値が、それぞれ表1に示すような値であって、第2の作物情報を用いて求めた補正値が−1.0%であるとすると、前記補正値により補正した圃場A1〜A4の補正後の第1の作物情報は、表2で示したようになる。ここで、画像データA及びBに重複して撮影された圃場A4の、補正後の第1の作物情報を基準作物情報とする。
【0023】
【表1】

【表2】

【0024】
そして、画像データBの解析により求めた補正前の圃場群Bの各圃場(B1〜B4)の第1の作物情報の平均値が表3に示すような値であるとする。図3で示すように、圃場A4と圃場B1とは同一の圃場であり、基準作物情報とした圃場A4の補正後の第1の作物情報が4.4%であるから、当然、圃場B1の第1の作物情報は4.4%とすることができる。圃場B1の補正前の第1の作物情報は5.6%であるから、4.4%と5.6%との差異である−1.2%が、圃場群B(圃場B1〜B4)の共通の補正値となる。よって、この補正値−1.2%により圃場B1〜B4のそれぞれの第1の作物情報は表4に示すように補正することができる。
【0025】
【表3】

【表4】

【0026】
さらに、第1の作物情報の補正を行った圃場群Bを新たに基準圃場として、圃場群Aを基準圃場とした場合と同様の方法で、圃場群Bの近傍に位置する圃場群C内で生育する作物の第1の作物情報を補正する方法を説明する。まず、圃場群C(圃場C1〜C4)を圃場群Bの一部の圃場が含まれるように撮影して画像データCを得る。図3で示すように圃場群Bの圃場B4が、画像データCに圃場C1として含まれるように撮影している。そして、この画像データCの解析により求めた補正前の圃場群Cの各圃場(C1〜C4)の第1の作物情報の平均値が表5に示すような値であったとする。圃場B4と圃場C1とは同一の圃場であり、基準作物情報となる圃場B4の補正後の第1の作物情報が5.2%であることから、圃場C1の第1の作物情報を5.2%とすることができる。圃場C1の補正前の第1の作物情報は4.3%であるから、5.2%と4.3%との差異である0.9%が、圃場群C(圃場C1〜C4)の共通の補正値となる。よって、この補正値0.9%により圃場C1〜C4の第1の作物情報は表6に示すように補正することができる。
【0027】
【表5】

【表6】

【0028】
この様に、第2の作物情報を使用して補正した圃場を基準圃場とし、該基準圃場の一部が含まれるようにリモートセンシングにより異なる圃場を撮影することで、1つの圃場で求めた補正値を利用して、異なる圃場の補正を行うことができるようになる。ここでは圃場群Cまでの補正について説明したが、さらに第1の作物情報を補正した圃場群C内の圃場を基準圃場として、圃場群C近傍の圃場群を前記基準圃場の一部が含まれるように撮影することで、その撮影した圃場群の補正を行うことができる。すなわち、第1の作物情報を補正した圃場の一部が含まれるように撮影を繰り返すことで、1つの圃場で求めた1つの補正値を利用して、複数の圃場を補正できるようになる。すなわち、撮影した圃場の画像データ毎に第2の作物情報を用いて補正値を求める必要がなくなり、作業効率を向上させることが可能となる。
【0029】
また、地上からの撮影の他、気球、ラジコン飛行装置(飛行機、ヘリ)、有人飛行機又は人工衛星等にカメラ3を搭載して圃場を撮影することも可能である。なお、地上からの撮影とは、地面から1m〜30mの高さから圃場を見下ろすようにカメラにて撮影することであって、遠方を撮影する場合には望遠レンズを使用することが望ましい。望遠レンズを使用することで、カメラを移動させることなく広範囲の圃場の画像を撮影することが可能となる。
【実施例1】
【0030】
本発明の補正方法は、図4で示すように撮影した場合でも使用することができる。図4は、圃場D1〜D4からなる圃場群Dを撮影し、次に、圃場E1〜E3からなる圃場群Eを撮影する際の撮影範囲に、圃場群Dの圃場D4の一部である区域D4’が含まれるように撮影した場合を示している。なお、図4中の区域E0は、圃場群Eを撮影した際の区域D4’に該当する範囲を示しており、区域D4’と区域E0は、同一の区域である。この様に撮影した場合について説明する。
【0031】
まず、基準圃場として圃場群Dを撮影し、撮影して得た画像データDから圃場D1〜D4内で生育する作物のそれぞれの第1の作物情報を求め、これら第1の作物情報を、第2の作物情報を用いて求める補正値により補正する。次に、圃場群Eを撮影して得た画像データEから、圃場群Eの圃場E1〜E3及び区域E0の第1の作物情報を求める。そして、圃場D4の補正した第1の作物情報から、区域D4’に限定した範囲の第1の作物情報を基準作物情報として求める。ここで、前記基準作物情報が4.7%であって、補正前の区域E0の第1の作物情報が4.5%であるとすると、基準作物情報と補正前の区域E0の第1の作物情報との差は0.2%となり、この0.2%が圃場群E(圃場E1〜E3)の共通の補正値となる。よって、この補正値0.2%により圃場E1〜E3の第1の作物情報を補正することができる。当然、第1の作物情報が補正された圃場群の圃場E1〜E3は新たに基準圃場として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】撮影状態を示した説明図である。
【図2】圃場の撮影に使用するカメラの概略ブロック図である。
【図3】圃場群の撮影範囲を示した図である。
【図4】圃場群の撮影範囲を示した図である。
【符号の説明】
【0033】
2 圃場
3 カメラ
4 基準板
5 CCD
6 フィルタ
7 フィルタホイール
8 レンズ
9 制御回路
10 ステッピングモータ
20 データ処理装置
21 測定装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内の作物情報を測定するリモートセンシングにおいて、
基準とする基準圃場の作物情報を求める工程と、
前記基準圃場の一部の区域が撮影範囲に含まれるように、前記基準圃場の近傍の圃場を撮影する工程と、
前記作物情報から、前記区域の作物情報を基準作物情報として求める工程と、
前記撮影により得た画像データから前記近傍の圃場の作物情報を求める工程と、
前記画像データから、前記区域に該当する範囲の作物情報を求める工程と、
前記基準作物情報と前記作物情報との差異を求める工程とを含み、
前記近傍の圃場の作物情報を前記差異により補正することを特徴とするリモートセンシングにおける補正方法。
【請求項2】
前記補正方法により作物情報が補正された圃場を基準圃場とすることを特徴とする請求項1に記載の補正方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−136411(P2008−136411A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325293(P2006−325293)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】